説明

画像形成装置及び画像形成システム、画像形成プログラム

【課題】使用可能な資源を用いて効率よく画像を形成可能であるとともに、複数の印刷データによる画像形成結果が重ならないように印刷データの実行を制御する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像入力部1で受け取った印刷データは画像圧縮伸長部4で圧縮して記憶部5に格納される。ジョブ制御部3は、印刷部6の印刷資源が印刷データの条件を満たすことのチェックと1ページ分の印刷する処理を繰り返す。このとき、1ページも画像形成せずに資源不足が判明した場合には印刷部6を解放して後続のジョブによる追い越しを可能にするが、1ページでも画像形成した場合には印刷部6を解放せずにそのまま資源の回復を待つ。これによって、同じ排紙ビンに複数の印刷データの画像形成結果が重なるのを防止することができる。もちろん、異なる排紙ビンについては、後続のジョブによる追い越しが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷データを受信し、印刷データに基づいて画像を形成する画像形成装置、画像形成システム、画像形成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置の高機能化は著しく、例えば複数の用紙トレイを備え、また用紙を排出するための複数のビンを備えた装置が開発されている。また、画像形成装置にも大容量のメモリやHDDのような大容量外部記憶装置が装着されることが多くなってきた。このような大容量の記憶装置を用いることによって、複数の印刷データを展開して印刷可能な状態で記憶装置に保持しておくことが可能になった。これにより、印刷データの展開プロセスと印刷データの印刷プロセスを分割して両者を並行して動作させることが可能となり、画像形成処理の高速化が図れるようになった。
【0003】
しかし、受信した印刷データを順に処理してゆくうちに、使用していたサイズの用紙がなくなってしまったり、画像を形成するためのインクやトナーなどの色材がなくなってしまうことがある。このような場合、用紙や色材が補給されるまで画像形成処理は停止していた。しかし、上述のように複数の用紙トレイを備えている場合、他のサイズの用紙は利用可能であり、その利用可能なサイズの用紙を利用する印刷データは画像形成可能であるにもかかわらず、画像を形成することはできない。同様に、例えばカラー画像を形成している場合に、黒以外のある色材がなくなってしまった場合、モノクロの画像を形成する印刷データについては画像形成可能であるにもかかわらず、画像を形成することができなかった。
【0004】
このような不具合を防止する技術として、例えば特開平11−245491号公報には、印刷データの印刷中に用紙などの印刷資源不足で印刷不可能となった場合にも、展開済みの印刷イメージデータを記憶装置に保持して、不足した資源を使用しない後続の印刷データの印刷を実行する方法が提案されている。このような技術によって、一部の印刷資源が不足した場合でも、その不足した資源を使用しない印刷データについては画像形成を行うことができ、画像形成装置を有効に利用することができる。
【0005】
しかしながら、印刷資源の使用可否の判断のみで後続の印刷データの画像形成を実行してしまうと、画像形成の途中で停止している先行の印刷データによる画像形成結果が排紙トレイや排紙ビンに堆積している上に、後続の印刷データによる画像形成結果が重なって排出されてしまう。そのため、同じ排紙トレイや排紙ビンに異なる印刷データによる画像形成結果が重なり合ってしまい、結果的に仕分けの手間が増大し、後続の印刷データについて先に画像形成した利点が失われてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−836号公報
【特許文献2】特開平5−755号公報
【特許文献3】特開2000−6499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、使用可能な資源を用いて効率よく画像を形成することができるとともに、複数の印刷データによる画像形成結果が重ならないように印刷データの実行を制御する画像形成装置、画像形成システム、画像形成プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の印刷データを受信し、画像形成手段を用いて画像を形成する画像形成装置及び画像形成システム、画像形成プログラムであって、画像形成手段によって画像を形成するのに必要な資源のチェックと1ページ分の画像形成を繰り返す制御を行う制御手段を有し、該制御手段は、前記資源のチェックにより1ページも画像形成することなく画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、後続の他の印刷データに基づいた画像の形成が前記印刷データに基づいた画像の形成を追い越して処理するように制御し、1ページ以上の画像形成を行った後に前記画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、画像形成手段を解放せずに資源の回復を待つように制御することを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によって、例えば印刷データを処理するのに必要な資源が不足した時点で1ページも画像形成していなければ当該印刷データを保留とし、前記画像形成手段を解放して他の印刷データが追い越して処理されるように制御することによって、画像形成装置を有効に利用することができる。また、印刷データを処理するのに必要な資源が不足した時点で1ページ以上の画像形成を行っていた場合には前記画像形成手段を解放せずに資源の回復を待つように制御することによって、複数の印刷データによる画像形成結果が重ならないように印刷データの実行を制御することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、先行するジョブが資源不足などで保留状態となったとき、後続のジョブが先行するジョブを追い越して画像形成処理を行うことによって装置を有効利用するが、このとき、先行するジョブが少なくとも1ページ出力されていた場合には、後続のジョブによる追い越しを抑止する。これによって、複数のジョブの画像形成出力が重なることを防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の一形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の実施の一形態における蓄積処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の一形態における印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の一形態における印刷処理の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の一形態を示すブロック構成図である。図中、1は画像入力部、2は表示操作部、3はジョブ制御部、4は画像圧縮伸長部、5は記憶部、6は印刷部、11は通信制御部、12はネットワーク通信部、13はイメージスキャナ、14はPDL展開部である。画像入力部1では、印刷部6で印刷すべき印刷データが入力される。印刷データの受け取り方には種々の形態があるが、ここでは3つの方法によって印刷データを受け取るものとし、そのための構成として通信制御部11,ネットワーク通信部12,イメージスキャナ13を有している。通信制御部11は、例えば公衆回線などに接続され、ファクシミリ画像の送受信を制御する。通信制御部11で受信したファクシミリ画像は、そのまま画像圧縮伸長部4に渡される。またネットワーク通信部12はLAN等のネットワークに接続され、他のネットワーク機器との通信を行う。他のネットワーク機器からは、ネットワークなどを介して例えばPDL等によって記述されたデータを受信することができる。この場合、PDL展開部14においてPDLデータを印刷可能なイメージデータ等に展開して画像圧縮伸長部4に渡す。さらにイメージスキャナ13は、例えば原稿上の画像を読み取ってイメージデータを画像圧縮伸長部4に渡す。ここでは3種類の印刷データの入力手段を有している例を示しているが、いずれか2つあるいは1つでもよいし、もちろん、他の入力手段を備える構成であってもよい。
【0013】
表示操作部2は、装置の動作状況等をユーザに通知したり、ユーザからの指示を受け付ける。
【0014】
ジョブ制御部3は、画像入力部1で入力されたひとまとまりの印刷データを1つのジョブとし、複数のジョブについてその流れを制御する。このとき、複数のジョブが印刷部6が空くのを待っている場合に、先行して印刷部6で画像形成を行っているジョブの実行状況を判断するとともに、次に実行するジョブを処理するのに必要な印刷部6における資源を調べて印刷データの処理可能性を判断し、これらの判断結果に基づいてジョブの実行順序を制御する。例えば先行するジョブが資源の不足などによって保留状態となるとき、その時点で1ページも画像形成していなければ先行するジョブを追い越して後続のジョブが実行されるように制御する。また、先行するジョブが保留状態となるときに1ページ以上の画像形成を行っていた場合には、そのまま資源の回復を待つように制御し、先行するジョブによる画像形成結果と後続のジョブの画像形成結果が重ならないようにする。さらに、印刷部6に画像形成後の用紙を排出する複数のビンが備えられている場合には、先行するジョブが保留状態となるときに1ページ以上の画像形成を行っていても、後続のジョブが異なるビンを用いる時には、先行するジョブを追い越して後続のジョブが実行されるように制御することができる。なお、このジョブ制御部3の詳細な動作については後述する。
【0015】
画像圧縮伸長部4は、画像入力部1で入力された印刷データを必要に応じて圧縮して記憶部5に転送する。また、圧縮して記憶部5に格納されている印刷データを伸長して印刷部6に転送する。さらに、例えば画像入力部1でファクシミリ画像を入力した場合には、所定の符号化方式により復号する機能を含んでいてよい。
【0016】
記憶部5は、画像入力部1で入力された印刷データを、例えば画像圧縮伸長部4で圧縮された状態で格納する。印刷データは、例えばページ単位で格納される。また、複数のジョブの印刷データを格納することが可能である。この記憶部5は、例えばハードディスク装置などの外部記憶装置や大容量の半導体メモリなどによって構成することが可能である。
【0017】
印刷部6は、印刷データに従って例えば用紙上に画像を形成する。画像を形成するために、印刷部6は、印刷データに従って各種の資源を利用する。例えば1ないし複数のサイズ、方向の用紙を備えており、いずれかの用紙を選択して利用することができるように構成されていてよい。また、例えばカラー画像を形成可能に構成され、複数の色材を利用する構成であってもよい。色材は、例えば画像形成方式が電子写真方式であればトナーが用いられ、インクジェット方式であればインクが、熱転写方式ではドナーフィルムなどが用いられる。このほかの画像形成方式においても、その画像形成方式に応じた色材が用いられる。さらに、画像形成後の用紙を排出するために、複数のビンを備えた構成としてもよい。以下の動作の説明では、用紙を排出するビンが1つの場合と複数の場合について説明している。
【0018】
次に、上述の構成における動作の一例について説明する。ここでは、画像入力部1で印刷データを受け取ってから記憶部5に格納するまでの処理を行う蓄積処理と、記憶部5から印刷データを読み出して印刷部6で画像を形成するまでの処理を行う印刷処理とが並行して動作するものとし、それぞれの処理について説明してゆく。
【0019】
図2は、本発明の実施の一形態における蓄積処理の一例を示すフローチャートである。ここでは画像入力部1のネットワーク通信部12において他のネットワーク装置からPDLデータを受け取る場合について説明する。S21において、ネットワーク通信部12はネットワークを介して他のネットワーク装置からのPDLデータを受信すると、S22において、S21で受信したPDLデータを図示しない受信バッファに一旦格納する。
【0020】
続いてS23において、PDL展開部14が使用可能か否かをチェックし、使用不可であれば、S24において、PDL展開部14を先行するジョブが使用しているので、その先行するジョブにおけるPDLデータの展開処理が終了し、PDL展開部14が開放されるまで待つ。PDL展開部14が使用可能であれば(あるいはPDL展開部14が使用可能になったら)、S25において、PDL展開部14で1ページ分のPDLデータを画像形成可能な画像データに展開する。S26において、S25で展開した画像データを画像圧縮伸長部4に転送して圧縮し、S27において記憶部5に格納する。
【0021】
次にS28において、最終ページであるか否かを判別し、最終ページでなければ、S29においてページ数を更新し、S25に戻って次のページのPDLデータを画像データに展開する処理を行う。このようにして1ページごとに処理してゆき、最終ページまで処理し終えたらこの蓄積処理を終了する。このようにして、ネットワークを介して他のネットワーク装置から送られてくるPDLデータは、それぞれのページごとに画像データに展開され、圧縮されて記憶部5に格納されてゆく。すべてのページの画像データが記憶部5に格納されると、このジョブは印刷待ち行列の最後尾に追加される。あるいはプライオリティが高い場合にはそのプライオリティに応じた位置に挿入される。
【0022】
なお、通信制御部11においてファクシミリ画像を受信した場合には、ファクシミリ画像は既に圧縮されているのでそのまま記憶部5にページ単位で格納したり、あるいは、画像圧縮伸長部4で一旦復号した後に所定の圧縮方式で圧縮し、記憶部5に格納することができる。また、イメージスキャナ13で原稿上の画像を読み取る場合には、1ページ分の画像を読み取る毎に画像圧縮伸長部4で圧縮し、記憶部5に格納する処理を繰り返して行えばよい。
【0023】
図3は、本発明の実施の一形態における印刷処理の一例を示すフローチャートである。上述の蓄積処理が終了すると、印刷処理が開始される。なお、図3に示した例では、印刷部6には用紙を排出するためのビンが1つであるものとして説明する。
【0024】
まずS31において、印刷待ち行列の先頭のジョブを取得する。このときには、印刷が保留されているジョブについては取得されず、保留されていないジョブのうちの先頭のジョブが取得されることになる。ジョブを取得すると、S32において、そのジョブにおいて指定されている印刷条件を、印刷部6の資源が満たすか否かを判断する。ここで判断する資源としては、例えば用紙と色材などである。例えば印刷条件にフルカラーが指定されている場合であって、何れかの色の色材がない場合には、印刷資源が不足していると判断する。また、印刷条件に指定された用紙サイズの用紙がトレイに無い場合にも、印刷資源が不足であると判断する。ここで、印刷条件を満たさないと判断された場合には、S34において、当該ジョブを保留状態にするジョブ保留処理を行う。ジョブ保留処理を行うことによって、ジョブの印刷待ち行列から外れ、S31で印刷待ちジョブを取得する際に取得されなくなる。なお、印刷資源が回復した場合には、その通知を受け、回復した資源を利用しようとしていたジョブについて保留状態を解除し、印刷待ち行列に戻される。
【0025】
印刷部6が印刷条件を満たした場合には、S33で印刷部6が使用中であるか否かを調べる。もし印刷部6が使用中である場合には、S35において印刷部6が空くのを待つ。印刷部6が使用中でない場合、あるいは印刷部6の使用が解除された場合には、S36においてページを示す変数PAGEを1に初期化する。
【0026】
続いて、S37とS38で印刷資源のチェックを行う。S37では、色材のチェックを行う。当該ジョブの印刷条件で利用する色材が1つでも無い場合には、S44で当該ジョブを保留状態とするジョブ保留処理を行う。また、S38では用紙のチェックを行う。当該ジョブの印刷条件で指定された用紙トレイに用紙があるか否かを調べる。指定された用紙トレイに用紙が無ければ、S43において、別の用紙トレイをチェックし、別の用紙トレイに同一サイズの用紙が存在する場合には、S42で用紙トレイの切り替え処理を行い、S38へ戻る。この場合には切り替えられた用紙トレイについて、用紙があるか否かを再び調べることになる。同一サイズの用紙が他の用紙トレイに見つからない場合には、S44で当該ジョブを保留状態とするジョブ保留処理を行う。
【0027】
S44でジョブ保留処理を行った後、S45で出力ページを調べ、変数PAGEが1以下であり、1ページも出力していないことが判明した場合には、S46において印刷部6を解放し、次のジョブの受け入れを可能とする。すなわち、この場合には後続のジョブが当該ジョブを追い越して実行されることになる。排紙されるビンにはまだ1枚も用紙が排出されていないので、複数のジョブによって画像形成された用紙が重なることはない。
【0028】
S45で変数PAGEが1より大きく、1ページ以上の画像形成を行って用紙がビンに排紙されていると判断された場合には、後続のジョブが実行されると、複数のジョブによって画像形成された用紙が重なってしまうことになる。この場合には、印刷部6を解放せずに、S47において印刷資源の回復を待つ。印刷資源が回復したら、S37へ戻り、再び印刷資源のチェックを行う。
【0029】
S37及びS38で当該ジョブで使用する印刷資源があると判断された場合には、S39において変数PAGEで指定されているページの画像を1ページ分形成する。そしてS40において、最終ページか否かをチェックし、最終ページでなければS41へ進み、次のページの画像形成処理が行われるように変数PAGEを1だけインクリメントしてS37へ戻る。このようにして1ページずつ画像形成を行ってゆき、最終ページまで画像を形成したら、当該ジョブにおける印刷処理を終了する。なお、印刷処理の終了によって印刷部6は解放され、他のジョブが利用できるようになる。
【0030】
このような印刷処理によって、印刷ジョブが何らかの資源不足で停止した場合、用紙が排出されるビンに途中のページまでの用紙が存在する状態で、後続の印刷ジョブにより画像形成された用紙が排出され、重なり合うといった不具合を防止することができる。もちろん、ビンに1ページも用紙が排出されていなければ後続のジョブが先行するジョブを追い越して実行されるので、装置を有効に利用することができる。
【0031】
図4は、本発明の実施の一形態における印刷処理の別の例を示すフローチャートである。この図4に示した例では、印刷部6に例えばスタッカが備えられ、用紙を排出するためのビンが複数設けられている場合の例を示している。なお、図3と同様の処理を行うステップには同じ符号を付してある。
【0032】
まずS31において、印刷待ち行列の先頭のジョブを取得する。このときには、印刷が保留されているジョブについては取得されず、保留されていないジョブのうちの先頭のジョブが取得されることになる。ジョブを取得すると、S32において、そのジョブにおいて指定されている印刷条件を、印刷部6の資源が満たすか否かを判断する。ここで判断する資源としては、例えば用紙、色材、排紙ビンなどである。例えば印刷条件にフルカラーが指定されている場合であって、何れかの色の色材がない場合には、印刷資源が不足していると判断する。また、印刷条件に指定された用紙サイズの用紙がトレイに無い場合にも、印刷資源が不足であると判断する。さらに、印刷条件にビンの指定がある場合には、そのビンが使用できない場合には資源不足であると判断される。ここで、印刷条件を満たさないと判断された場合には、S34において、当該ジョブを保留状態にするジョブ保留処理を行う。ジョブ保留処理を行うことによって、ジョブの印刷待ち行列から外れ、S31で印刷待ちジョブを取得する際に取得されなくなる。なお、印刷資源が回復した場合には、その通知を受け、回復した資源を利用しようとしていたジョブについて保留状態を解除し、印刷待ち行列に戻される。
【0033】
印刷部6が印刷条件を満たした場合には、S33で印刷部6が使用中であるか否かを調べる。もし印刷部6が使用中である場合には、S35において印刷部6が空くのを待つ。印刷部6が使用中でない場合、あるいは印刷部6の使用が解除された場合には、S36においてページを示す変数PAGEを1に初期化する。
【0034】
続いて、S37、S38、S51で印刷資源のチェックを行う。S37では、色材のチェックを行う。当該ジョブの印刷条件で利用する色材が1つでも無い場合には、S44で当該ジョブを保留状態とするジョブ保留処理を行う。また、S38では用紙のチェックを行う。当該ジョブの印刷条件で指定された用紙トレイに用紙があるか否かを調べる。指定された用紙トレイに用紙が無ければ、S43において、別の用紙トレイをチェックし、別の用紙トレイに同一サイズの用紙が存在する場合には、S42で用紙トレイの切り替え処理を行い、S38へ戻る。この場合には切り替えられた用紙トレイについて、用紙があるか否かを再び調べることになる。同一サイズの用紙が他の用紙トレイに見つからない場合には、S44で当該ジョブを保留状態とするジョブ保留処理を行う。
【0035】
S44でジョブ保留処理を行った後、S45で出力ページを調べ、変数PAGEが1以下であり、1ページも出力していないことが判明した場合には、S46において印刷部6を解放し、次のジョブの受け入れを可能とする。すなわち、この場合には後続のジョブが当該ジョブを追い越して実行されることになる。排紙されるビンにはまだ1枚も用紙が排出されていないので、複数のジョブによって画像形成された用紙が重なることはない。
【0036】
さらにS51では、印刷条件に指定されたビンが使用できるか否かを調べる。ビンが使用できない状態とは、壊れているかあるいは用紙フルの状態である。指定されたビンが使用不可と判断された場合には、S52において当該ジョブを保留状態とするジョブ保留処理を行う。この場合、他のビンを使用するジョブについては画像形成が可能である。従ってS46において印刷部6を開放し、次のジョブの受け入れを可能にする。なお、当該ジョブで使用できないビンについては、後続のジョブにおいても使用できないので、同じビンに複数のジョブによって画像形成された用紙が重なることはない。
【0037】
S37,S38、S51で印刷条件に指定された印刷資源があると判断された場合には、S39において変数PAGEで指定されているページの画像を1ページ分形成する。そしてS40において、最終ページか否かをチェックし、最終ページでなければS41へ進み、次のページの画像形成処理が行われるように変数PAGEを1だけインクリメントしてS37へ戻る。このようにして1ページずつ画像形成を行ってゆき、最終ページまで画像を形成したら、当該ジョブにおける印刷処理を終了する。なお、印刷処理の終了によって印刷部6は解放され、他のジョブが利用できるようになる。
【0038】
このような印刷処理によって、印刷ジョブが何らかの資源不足で停止した場合、用紙が排出されるビンに途中のページまでの用紙が存在する状態で、後続の印刷ジョブにより画像形成された用紙が排出され、重なり合うといった不具合を防止することができる。もちろん、ビンに1ページも用紙が排出されていない場合や他のビンを使用する場合には、後続のジョブが先行するジョブを追い越して実行されるので、装置を有効に利用することができる。特にビンが用紙フルとなって停止した場合でも、後続のジョブを実行することができるので、印刷処理が停止する時間を低減することができ、生産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1…画像入力部、2…表示操作部、3…ジョブ制御部、4…画像圧縮伸長部、5…記憶部、6…印刷部、11…通信制御部、12…ネットワーク通信部、13…イメージスキャナ、14…PDL展開部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷データを受信して画像を形成する画像形成装置において、前記印刷データに基づいて画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって画像を形成するのに必要な資源のチェックと1ページ分の画像形成を繰り返す制御を行う制御手段を有し、該制御手段は、前記資源のチェックにより1ページも画像形成することなく前記画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、前記画像形成手段を解放して後続の他の印刷データに基づいた画像の形成が前記印刷データに基づいた画像の形成を追い越して処理するように制御し、1ページ以上の画像形成を行った後に前記画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、前記画像形成手段を解放せずに資源の回復を待つように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数の印刷データを受信して画像を形成する画像形成装置において、前記印刷データに基づいて画像を形成する画像形成手段と、前記印刷データを処理するのに必要な資源を調べて印刷データの処理可能性を判断して前記資源があると判断された場合に1ページ分の画像を形成する処理を繰り返して行うとともに先行する印刷データの印刷状況を判断し前記処理可能性及び前記印刷状況の判断結果に応じて前記印刷データの印刷順序を制御するジョブ制御手段を有し、前記ジョブ制御手段は、前記判断により前記印刷データを処理するのに必要な資源が不足した時点で1ページも画像形成していなければ当該印刷データを保留とし、前記画像形成手段を解放して他の印刷データが追い越して処理されるように制御し、前記印刷データを処理するのに必要な資源が不足した時点で1ページ以上の画像形成を行っていた場合には前記画像形成手段を解放せずに資源の回復を待つように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
複数の印刷データを受信して画像を形成する画像形成システムにおいて、前記印刷データに基づいて画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像を形成するのに必要な資源のチェックと1ページ分の画像形成を繰り返す制御を行う制御装置を有し、該制御装置は、前記資源のチェックにより1ページも画像形成することなく前記画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、前記画像形成装置を解放して後続の他の印刷データに基づいた画像の形成が前記印刷データに基づいた画像の形成を追い越して処理するように制御し、1ページ以上の画像形成を行った後に前記画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、前記画像形成装置を解放せずに資源の回復を待つように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
コンピュータに、複数の印刷データを受信して画像形成手段に画像を形成させる処理を行わせるための画像形成プログラムにおいて、前記画像形成手段によって画像を形成するのに必要な資源のチェックと1ページ分の画像形成を繰り返して行い、前記資源のチェックにより1ページも画像形成することなく前記画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、前記画像形成手段を解放して前記印刷データに基づいた画像の形成を追い越して後続の他の印刷データに基づいた画像の形成を行わせるように制御し、1ページ以上の画像形成を行った後に前記画像を形成するのに必要な資源が不足していると判断したとき、前記画像形成手段を解放せずに資源の回復を待つように制御する処理を行わせるものであることを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−166556(P2012−166556A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−81460(P2012−81460)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2009−149809(P2009−149809)の分割
【原出願日】平成12年12月28日(2000.12.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】