説明

画像形成装置及び画像形成処理制御プログラム

【課題】像担持体の表面性を維持するために、像担持体とクリーニングデバイスとの摩擦係数を適正に維持することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面にトナー像が形成される感光体ドラム20を回転させる駆動モータ36と、感光体ドラム20を帯電させる接触式の帯電デバイス26と、帯電デバイス26に交流電圧と直流電圧との重畳バイアスを印加するバイアス回路34と、感光体ドラム20の表面と接触して転写後の感光体ドラム20の表面をクリーニングするクリーニングデバイス28と、画像形成処理中における感光体ドラム20の回転駆動に要する駆動モータ36の出力電流値を検知する検知センサ37と、駆動モータ36の出力電流規定値を記憶したROM31と、検知センサ37の出力値とROM31に記憶された出力電流規定値とを比較して重畳バイアスの交流出力を調整する制御回路30と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にトナー像が形成される像担持体を回転させる駆動装置と、前記像担持体を帯電させる接触式の帯電デバイスと、該帯電デバイスに交流と直流の重畳バイアスを印加するバイアス印加デバイスと、前記像担持体の表面と接触して転写後の前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニングデバイスと、を備えた画像形成装置及び画像形成処理制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ・複写機・ファクシミリ或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置において、アモルファスシリコン感光体ドラム等の像担持体の表面を帯電する接触式の帯電デバイスを設置したものが周知である。
【0003】
また、この帯電デバイスにおいては、帯電のための直流電圧と交流電圧との重畳バイアスを印加する方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これは、直流電圧の印加だけでは、像担持体上の抵抗の低いところにだけ電流が流れて像担持体を均一に帯電することができない。また、像担持体表面が局所的に汚れると、その部分だけ帯電しなくなるという問題が生じるからである。
【0005】
しかしながら、交流電圧は印加電圧が高過ぎると像担持体が磨耗するという不具合が生じ、逆に印加電圧が低過ぎると、帯電の均一性が保てなくなり、画像形成処理した転写画像にムラができるという不具合が発生する。そのため、交流電圧の印加電圧は必要最低限の最適な値に設定する必要がある。
【0006】
そこで、特許文献1に開示の技術では、回転駆動される像担持体と、像担持体に接触又は近接して配置され、像担持体を帯電させる帯電デバイスと、像担持体に対向配置された電極と、電極に表れる像担持体の表面電位の変化量を検出する電圧検出部と、帯電デバイスに印加する交流電圧又は交流電流をステップ状に変化させ且つ電圧検出部の検出結果に基づいて帯電デバイスに印加する交流電圧又は交流電流を制御する制御回路とを備え、簡単な構成で像担持体の表面電位の変化量を検出して帯電デバイスに印加する最適な交流電圧又は交流電流を決定している。
尚、像坦持体に圧接する帯電ローラ等の回転数・駆動トルク・駆動電流値の変化を検出し、その検出結果に基づいて像坦持体への潤滑剤の塗布量を制御することによって、像担持体表面のクリーニング性の向上や付着トナーの減少に伴うトナーイールドの向上、トナー固着による画像ボケの防止及びトナー抜け防止等の効果を得る画像形成装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
ところで、像担持体への帯電に必要な交流電圧は、設計条件や環境条件によって異なるが、どの場合においても適正な値が存在する。
【0008】
一方、画像形成処理を続けていると、像担持体や帯電デバイスが温まり、必要な交流電圧は少なくて済むようになる。
【0009】
このような場合、交流電圧は必要以上にかかることになり、像担持体表面に放電生成物が発生し易くなる。この放電生成物が像担持体表面に付着すると摩擦係数が上がってしまい、その放電生成物の付着量が少量の場合にはクリーニングデバイスでクリーニングすることが可能であるが、放電生成物の付着量が増えると充分なクリーニングを行うことが困難となってしまう。
【0010】
したがって、交流電圧を調整し、放電生成物の発生を抑えることが重要となる。
【0011】
図5は、このような像担持体の表面電位と交流電圧との関係を示し、例えば、画像形成装置本体の機内温度が常温環境下(例えば、機内温度23℃)の場合、画像形成処理開始時は交流電圧1000(V)付近とするのが好ましいが、連続した画像形成処理中においては900(V)付近の交流電圧を印加すれば良いことを示し、連続した画像形成処理中においては画像形成処理開始時よりも100(V)分余計な交流電圧が印加されることになる。また、画像形成処理開始時の機内環境が低温環境下(例えば、機内温度10℃)であった場合、交流電圧1500(V)付近とするのが好ましく、連続印字で機内温度も上昇した時との差は600(V)と、さらに顕著となる。
【特許文献1】特開平08−202137号公報
【特許文献2】特開平08−328435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上記の如く構成された画像形成装置にあっては、像担持体の帯電する交流電圧を制御しただけでは、像担持体表面とクリーニングデバイスとの摩擦係数の増加に充分に対応することができず、クリーニングデバイスが損傷してしまい、結果的に高いクリーニング性能を維持することができず、転写画像にクリーニング不良の影響がでる等の問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、像担持体の表面性を維持するために、像担持体とクリーニングデバイスとの摩擦係数を適正に維持することができる画像形成装置及び画像形成処理制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像形成装置は、表面にトナー像が形成される像担持体を回転させる駆動装置と、前記像担持体を帯電させる接触式の帯電デバイスと、該帯電デバイスに交流電圧と直流電圧との重畳バイアスを印加するバイアス印加デバイスと、前記像担持体の表面と接触して転写後の前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニングデバイスと、を備えた画像形成装置において、画像形成処理中における前記像担持体の回転駆動に要する前記駆動装置の出力電流値を検知する検知デバイスと、前記駆動装置の出力電流規定値を記憶した記憶部と、該検知デバイスの出力値と前記記憶部に記憶された出力電流規定値とを比較して重畳バイアスの交流出力を調整する制御回路と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
この際、前記制御回路は、重畳バイアスの交流出力の調整を前記像担持体の表面に静電潜像を形成していない時に行うのが好ましい。
【0016】
また、前記制御回路は、重畳バイアスの交流出力の調整値を、前記検知デバイスによる前記駆動装置の出力値を検知した後、前記像担持体の帯電電流の直流成分流れ込み量を確認したうえで決定するのが好ましい。
【0017】
さらに、前記制御回路は、連続画像形成処理を実行した後に前記駆動装置の駆動電流が予め設定された規定値よりも高い場合には、エージング処理又はエージング処理とトナー吐き処理とを行うのが好ましい。
【0018】
尚、前記制御回路は、エージング処理又はエージング処理とトナー吐き処理とを行いつつ、前記検知デバイスの検知値を監視し、該検知デバイスからの検知値が前記規定値に下がるまで次の画像形成処理を実行しないのが好ましい。
【0019】
また、本発明の画像形成処理制御プログラムは、像担持体を回転駆動させる駆動装置の出力電流値を検知する出力電流値検知ステップと、検知した駆動装置の出力電流値と予め設定された出力電流規定値とを比較する出力電流比較ステップと、検知値が出力電流規定値よりも大きい場合に像担持体の帯電電流の直流成分流れ込み量を検知する帯電電流の直流成分流れ込み量検知ステップと、帯電電流の直流成分流れ込み量検知値と予め設定された帯電電流の直流成分流れ込み量規定値とを比較する流れ込み量比較ステップと、帯電電流の直流成分流れ込み量検知値が帯電電流の直流成分流れ込み量規定値よりも大きい場合に帯電デバイスの交流電圧を落とす交流電圧制御ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像形成装置は、像担持体の表面性を維持するために、像担持体とクリーニングデバイスとの摩擦係数を適正に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのタンデム方式のカラープリンタの説明図、図2は本発明の一実施形態に係る要部の説明図、図3は本発明の一実施形態に係る駆動電流と制御値との関係のグラフ図、図4は本発明の一実施形態に係る制御回路の制御ルーチンのフロー図である。
【0023】
(全体構成)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのタンデム方式のカラープリンタ11は、プリンタ本体12の内部に、転写紙(図示せず)を収納する給紙カセット13と、給紙カセット13から転写紙を取り出す給紙部14と、給紙カセット13又は図示を略する手差トレイから供給された転写紙に画像形成処理を行う画像形成処理部15と、給紙カセット13又は手差トレイから供給された転写紙を搬送する転写紙搬送経路16と、転写紙搬送経路16で搬送された転写紙に画像形成処理部15で画像形成処理(一次転写)したトナー像を転写する二次転写部17と、二次転写部17で転写されたトナー像を転写紙に定着する定着部18と、を備えている。
【0024】
(画像形成処理部15の構成)
画像形成処理部15は、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を用いて画像形成処理を行うタンデム方式が採用されている。尚、以下の説明では、特に色指定に関する場合にのみ、各算用数字の符号に括弧書きで(Y,M,C,K)の色を付し、共通の場合には算用数字のみの符号を付して説明する。
【0025】
画像形成処理部15は、各色(Y,M,C,K)毎に対応して、補給用トナーを収納した複数のトナーコンテナ19と、各色トナーを図示を略するパーソナルコンピュータから送信された印刷データに含まれる画像データに基づいてトナー像を形成するアモルファスシリコン製の像担持体としての複数の感光体ドラム20と、各感光体ドラム20にトナーを供給する複数の現像装置21と、各感光体ドラム20に形成されたトナー像が一次転写される無端状の中間転写ベルト22と、中間転写ベルト22の回動移動方向最下流側の感光体ドラム20と二次転写部17との間に配置されたトナー濃度検知センサ23と、トナー濃度検知センサ23とは略反対側に配置されて中間転写ベルト22の表面に付着した残トナー等を除去するベルトクリーニングデバイス24と、各感光体ドラム20にビーム光束を出射する露光器ユニット25と、を備えている。
【0026】
<感光体ドラム20の構成>
各感光体ドラム20は、その各表面に露光器ユニット25から出射されたビーム光束に基づいて各色のトナー像を担持して中間転写ベルト22にトナー像を転写するためのものであり、現像装置21と共に中間転写ベルト22の下方に配置されている。また、感光体ドラム20の周囲には、帯電デバイス(帯電ローラ)26、露光器ユニット25、現像装置21、一次転写ローラ27、クリーニングデバイス28、除電デバイス29が転写プロセス順に配置されている。
【0027】
感光体ドラム20と一次転写ローラ27との協働によって構成された各一次転写部で中間転写ベルト22上に転写されたトナー像は、給紙カセット13又は手差トレイから転写紙搬送経路16を通って搬送されてきた転写紙に対し二次転写部17で転写される。
【0028】
<現像装置21の構成>
各現像装置21は、基本的に同一構成のものが中間転写ベルト22の下方に回動移動方向に沿って隣接配置されている。尚、現像装置21は、公知のものを使用することができるため、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0029】
<中間転写ベルト22の構成>
中間転写ベルト22は、プリンタ本体12内で水平方向に延びて配置された無端ベルトであり、画像形成動作に伴って循環駆動される。また、中間転写ベルト22上に転写されたトナー像は、給紙カセット13又は手差トレイから転写紙搬送経路16を通って搬送されてきた転写紙に対し二次転写部17で転写する。
【0030】
尚、二次転写部17でトナー像を転写した転写紙は転写紙搬送経路16を通って定着部18で定着された後、転写紙搬送経路16の終端部へと案内されてプリンタ本体12の上面として兼用する排紙トレイ12aに向けて排出される。
【0031】
<トナー濃度検知センサ23の構成>
トナー濃度検知センサ23は、中間転写ベルト22のトナー像の反射濃度を測定し、図2に示すように、その検知値を制御回路30に出力する。
【0032】
尚、トナー濃度検知センサ23は、中間転写ベルト22の回動移動方向並びにこの回動移動方向と直交する幅方向のそれぞれに複数設けることができる。この際、トナー濃度検知センサ23は、中間転写ベルト22の幅方向片側だけのトナー濃度を検知したのでは、例えば、中間転写ベルト22の幅方向両端側で濃度差が生ずる現象(片焼け現象)が発生した場合に対応できないため、両幅付近に配置するのが好ましい。
【0033】
<制御回路30の構成>
この制御回路30は、ROM31に格納した画像形成処理全般に係わる各種制御プログラムに基づいて、各感光体ドラム20を制御する他、各現像装置21へのトナー補給や現像装置21に印加するバイアス電圧等の現像条件、帯電デバイス26に直流電圧と交流電圧との重畳バイアスを印加するバイアス回路34の印加電圧、露光器ユニット25から出射されるレーザー光P(図1参照)のレーザパワー等の露光条件、除電デバイス29のイレース光量、等のキャリブレーションを実行する。また、制御回路30は、モータ駆動ドライバ35を介して感光体ドラム20を回転させる駆動モータ36を制御すると共に、この駆動モータ36の出力電流を検知する検知センサ37からの検知値並びに感光体ドラム20の帯電電流の直流成分流れ込み量を検知する検知センサ38からの検知値に基づいてバイアス回路34を制御する。さらに、制御回路30には、連続した画像形成処理枚数をカウントするカウンタ39からのカウント値が入力される。
【0034】
また、ROM31には、本発明の画像形成処理補正に係わる制御プログラムも格納されており、この画像形成処理制御プログラムを実行する制御回路30とでマイクロコンピュータを構成している。尚、画像形成処理を実行する際の画像データ等は、このROM31とは別のRAM32又はHDD33の記憶部に一時的に記憶される。また、制御回路30は、トナー濃度検知センサ23からの検知結果をRAM32又はHDD33に記憶する。
【0035】
<クリーニングデバイス28の構成>
一方、図2に示すように、クリーニングデバイス28は、転写紙幅方向(紙面に直行する方向)に奥行きのある筐体40と、筐体40の内部下方寄りに配置されて図示時計回り方向に回転することで転写紙幅方向の一方に回収トナーを搬送廃トナー容器(図示せず)へと送り出す回収スパイラル41と、筐体40の外部下方寄りに取り付けられたクリーニングブレード42と、筐体40の内部上方寄りに配置されて感光体ドラム20の表面と接触する摺擦ローラ43と、摺擦ローラ43の上方に配置されて摺擦ローラ43の表面と接触するスクレーパ44と、を備えている。
【0036】
クリーニングブレード42は、ウレタンゴム等から構成されており、感光体ドラム20の回転軸よりも下方から感光体ドラム20の表面に先端が当接する。この際、クリーニングブレード42の先端は、感光体ドラム20の回転方向(図2の矢印参照)に対してカウンタ方向で当接している。
【0037】
摺擦ローラ43は、感光体ドラム20の表面から廃トナーを回収するとともに、摺擦ローラ43の表面に付着した廃トナーによって感光体ドラム20の表面を研磨する。このため、摺擦ローラ43は、廃トナーの保持性を高く維持するために発泡ゴム(例えば、カーボン含有導電性発泡EPDM)から転写紙奥行き方向に延びる円筒形状に構成され、クリーニングブレード42の先端よりも感光体ドラム20の回転方向上流側に配置される。また、摺擦ローラ43の回転方向は感光体ドラム20の回転方向とは逆方向に回転する。
【0038】
スクレーパ44は、耐久性を確保した薄肉板金製のものが用いられており、摺擦ローラ43の表面付着トナーの付着量を均一にするために、摺擦ローラ43の回転方向下流側にカウンタ方向で先端が当接されている。
【0039】
(実施例)
上記の構成において、制御回路30は、ROM31に格納した画像形成処理全般に係わる各種制御プログラムに基づいて画像形成処理を実行すると共に、その画像形成処理の際に、帯電デバイス26に直流電圧と交流電圧との重畳バイアスを印加するバイアス回路34の印加電圧を、駆動モータ36の出力電流を検知する検知センサ37からの検知値並びに感光体ドラム20の帯電電流の直流成分流れ込み量を検知する検知センサ38からの検知値に基づいて予めROM31(又はHDD33)に格納された駆動モータ36の出力電流規定値並びに感光体ドラム20の帯電電流の直流成分流れ込み量規定値に基づいてバイアス回路34を制御する。
【0040】
この際、制御回路30は、検知センサ37の出力値とROM31に記憶された出力電流規定値とを比較して、図3に示すように、重畳バイアスの交流出力を調整する。
【0041】
この図3に示した画像形成装置の制御例では、正常な値を駆動モータ36の駆動電流値が530mAとしたシステムの場合、30mAの電流値が増加した場合は、帯電の交流出力分を50V落とし、それでも制御のミスマッチが起きた場合は、駆動電流が増加するので、連続した画像形成処理中に、各駆動電流値に対応した分だけ電圧を落とすことを意味している。
【0042】
尚、制御回路30は、重畳バイアスの交流出力の調整を感光体ドラム20の表面に静電潜像を形成していない時(例えば、紙間や後エージング処理時等)に行うのが好ましい。また。制御回路30は、重畳バイアスの交流出力の調整値を、検知センサ37による駆動モータ36の出力値の検知後、感光体ドラム20の帯電電流の直流成分流れ込み量を検知センサ38で確認したうえで決定するのが好ましい。さらに、制御回路30は、連続画像形成処理を実行した後に駆動モータの駆動電流が予め設定された規定値よりも高い場合には、エージング処理又はエージング処理とトナー吐き処理とを行うと共に、検知センサ37の検知値を監視し、その検知値が規定値に下がるまでエージング処理又はエージング処理とトナー吐き処理とを行って次の画像形成処理は実行しないのが好ましい。
【0043】
尚、エージング処理(エージング動作)時とは、感光体ドラム20にトナーを供給する現像装置21の現像ローラには現像剤が形成された状態となるが、感光体ドラム20の表面には静電潜像を形成させず(感光体ドラム20への帯電もレーザー光照射もしない)、トナーが感光体ドラム20に実質的に供給されないようにして駆動させる状態のことであり、感光体ドラム20・現像装置21・中間転写ベルト20・二次転写部17等を安定化させるための動作であり、この動作を行うことで摺擦ローラ43が感光体ドラム20の表面を研磨し、感光体ドラム20の表面をクリーニングする。
【0044】
また、トナー吐き処理とは、摺擦ローラ43が感光体ドラム20の表面を研磨する際の研磨剤として、非印字時に現像装置21の現像ローラから感光体ドラム20へ所定量のトナーを供給する動作である。
【0045】
以下、図4のフロー図に基づいて、制御回路30の具体的な制御ルーチンを説明する。尚、このフロー図においては、例えば、プリンタから出力された印刷データを受信して画像形成処理を開始した時点から説明する。
(ステップS1)
ステップS1では、制御回路30は、画像形成処理の開始に伴い、駆動モータ36の出力電流値を検知センサ37から受け取ってステップS2へと移行する。
【0046】
(ステップS2)
ステップS2では、制御回路30は、検知センサ37から受け取った駆動モータ36の出力電流値(検知値)と、ROM31に記憶された出力電流規定値(例えば、530mA)とを比較し、検知値が出力電流規定値以下の場合にはステップS1へとループして画像形成処理を継続し、検知値が出力電流規定値よりも大きい場合には、帯電が足りなくなって画像不具合が発生するのを防止するため、ステップS3へと移行する。
【0047】
(ステップS3)
ステップS3では、制御回路30は、感光体ドラム20の帯電電流の直流成分流れ込み量を検知センサ38から受け取ってステップS4へと移行する。
【0048】
(ステップS4)
ステップS4では、制御回路30は、検知センサ38から受け取った帯電電流の直流成分流れ込み量(検知値)とROM31に記憶された帯電電流の直流成分流れ込み量規定値(例えば、90μA)とを比較し、検知値が規定値以下の場合にはステップS1へとループして画像形成処理を継続し、検知値が規定値よりも大きい場合にはステップS5へと移行する。
【0049】
(ステップS5)
ステップS5では、制御回路30は、帯電の交流電圧を紙間で落としてステップS6へと移行する。
【0050】
(ステップS6)
ステップS6では、制御回路30は、カウンタ39からのカウント値を受け取り、そのカウント値がROM31に記憶された所定カウント値(例えば、10枚)に達したか否かが確認され、所定カウント値に達した場合には画像形成処理を継続するためステップS1へとループし、所定カウント値に達していない場合にはステップS7へと移行する。
【0051】
(ステップS7)
ステップS7では、制御回路30は、画像形成処理が終了したか否かが確認され、画像形成処理が継続している場合にはステップS1へとループされ、画像形成処理が完了した場合にはステップS8へと移行する。
【0052】
(ステップS8)
ステップS8では、制御回路30は、画像形成処理の完了に伴い、後エージング処理を実行するために、再び駆動モータ36の出力電流値を検知センサ37から受け取ってステップS9へと移行する
(ステップS9)
ステップS9では、制御回路30は、検知センサ37から受け取った駆動モータ36の出力電流値(検知値)と、ROM31に記憶された出力電流規定値(例えば、530mA)とを比較し、検知値が規定値以下の場合にはルーチンを終了し、検知値が規定値よりも大きい場合には、ステップS10へと移行する。
【0053】
(ステップS10)
ステップS10では、制御回路30は、エージング処理を開始し、以下、検知センサ37から受け取った駆動モータ36の出力電流値(検知値)とROM31に記憶された出力電流規定値(例えば、530mA)とを比較し、検知値が規定値以下になるまでこのルーチンを繰り返す。
【0054】
このように、画像形成処理中における感光体ドラム20の回転駆動に要する駆動モータの出力電流値を検知センサ37で検知し、その検知センサ37の出力値とROM31に記憶された出力電流規定値とを比較して重畳バイアスの交流出力を制御回路で調整することにより、感光体ドラム20の表面性を維持し得て、感光体ドラム20とクリーニングデバイス28のクリーニングブレード42との摩擦係数を適正に維持することができ、クリーニングブレード42のめくれ等の発生を抑制し、画像不具合の発生を防止することができる。
【0055】
尚、制御回路30は、後エージング処理時において、エージングの時間を抑えるために、感光体ドラム20上にトナーを少量のせるような制御を行っても良い。
【0056】
ところで、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置をカラープリンタ11に適用して説明したが、例えば、複写機や複合機等の画像形成装置全般に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのタンデム方式のカラープリンタの説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る要部の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る駆動電流と制御値との関係のグラフ図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る制御回路の制御ルーチンのフロー図である。
【図5】画像形成装置における像担持体表面電位と交流電圧との関係のグラフ図である。
【符号の説明】
【0058】
11…カラープリンタ(画像形成装置)
20…感光体ドラム(像担持体)
26…帯電デバイス
28…クリーニングデバイス
30…制御回路
31…ROM(記憶部)
33…HDD(記憶部)
34…バイアス回路(バイアス印加デバイス)
36…駆動モータ(駆動装置)
37…検知センサ(検知デバイス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像が形成される像担持体を回転させる駆動装置と、前記像担持体を帯電させる接触式の帯電デバイスと、該帯電デバイスに交流電圧と直流電圧との重畳バイアスを印加するバイアス印加デバイスと、前記像担持体の表面と接触して転写後の前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニングデバイスと、を備えた画像形成装置において、
画像形成処理中における前記像担持体の回転駆動に要する前記駆動装置の出力電流値を検知する検知デバイスと、前記駆動装置の出力電流規定値を記憶した記憶部と、該検知デバイスの出力値と前記記憶部に記憶された出力電流規定値とを比較して重畳バイアスの交流出力を調整する制御回路と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御回路は、重畳バイアスの交流出力の調整を前記像担持体の表面に静電潜像を形成していない時に行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御回路は、重畳バイアスの交流出力の調整値を、前記検知デバイスによる前記駆動装置の出力値を検知した後、前記像担持体の帯電電流の直流成分流れ込み量を確認したうえで決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御回路は、連続画像形成処理を実行した後に前記駆動装置の駆動電流が予め設定された規定値よりも高い場合には、エージング処理又はエージング処理とトナー吐き処理とを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御回路は、エージング処理又はエージング処理とトナー吐き処理とを行いつつ、前記検知デバイスの検知値を監視し、該検知デバイスからの検知値が前記規定値に下がるまで次の画像形成処理を実行しないことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
像担持体を回転駆動させる駆動装置の出力電流値を検知する出力電流値検知ステップと、
検知した駆動装置の出力電流値と予め設定された出力電流規定値とを比較する出力電流比較ステップと、
検知値が出力電流規定値よりも大きい場合に像担持体の帯電電流の直流成分流れ込み量を検知する帯電電流の直流成分流れ込み量検知ステップと、
帯電電流の直流成分流れ込み量検知値と予め設定された帯電電流の直流成分流れ込み量規定値とを比較する流れ込み量比較ステップと、
帯電電流の直流成分流れ込み量検知値が帯電電流の直流成分流れ込み量規定値よりも大きい場合に帯電デバイスの交流電圧を落とす交流電圧制御ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像形成処理制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192568(P2009−192568A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30074(P2008−30074)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】