説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】 フルカラー出力によるコストを効果的に抑える。
【解決手段】 原稿がフルカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判定するカラー判定手段55と、複数の色処理方法の中から一の色処理方法を選択する選択手段561と、原稿がフルカラー画像である場合に前記選択された一の色処理方法にもとづいてこの原稿の画像処理を行う画像処理手段564を備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートカラーセレクト機能を有する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー複写機等には、原稿を複写する際に、予めその原稿がフルカラー画像であるか、モノクロ画像であるかを判定し、フルカラー画像と判定した場合には自動的にフルカラー複写を行い、モノクロ画像と判定した場合にはモノクロ複写する、いわゆるオートカラーセレクト(ACS:Automatic Color select)の機能(以下、ACS又はACS機能という。)を備えたものがある。
また、ACSの応用として、原稿がフルカラー画像と判定された場合であって、その原稿中に所定の閾値以上の文字領域があるときには、他の色処理方法(例えば、2色カラー処理等)を選択できるようにしたカラー複写機もある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−297610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されてあるような従来の画像形成装置では、文字領域が多いフルカラー原稿に対し減色を行うものであり、対象がごく限られている。
特に、企業等における業種やセクションの違い、個々人の利用態様等、画像形成装置が取り扱う原稿の種類(文字、写真、グラフ、CAD等)は多様であり、これら利用者の利用態様に幅広く対応しているとは言い難い。
このため、利用態様を問わず、汎用的かつ効果的に減色制御を行う画像形成装置が望まれていた。
【0005】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、フルカラー原稿に対する色処理方法の選択や、カラー比率に応じた色処理方法の選択制御によってフルカラー出力を抑えることにより、効果的に減色処理を行う画像形成装置及び画像形成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、原稿がフルカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判定するカラー判定手段と、複数の色処理方法の中から一の色処理方法を選択する選択手段と、原稿がフルカラー画像である場合に前記選択された一の色処理方法にもとづいてこの原稿の画像処理を行う画像処理手段とを備えた構成としてある。
【0007】
また、本発明の画像形成方法は、原稿がフルカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判定するステップと、複数の色処理方法の中から一の色処理方法を選択するステップと、原稿がフルカラー画像である場合に前記選択された一の色処理方法にもとづいてこの原稿の画像処理を行うステップとを有する方法としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、フルカラー出力によるコストを効果的に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るディジタルカラー複写機の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】本実施形態に係るディジタルカラー複写機の画像処理の流れを説明するためのブロック図である。
【図3】本実施形態に係る選択回路の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第一の画像形成方法を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第二の画像形成方法を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第三の画像形成方法を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第四の画像形成方法を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第五の画像形成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、以下に説明する本発明の実施形態に係るディジタルカラー複写機1は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示すような所定の処理・機能を行わせる。すなわち、本実施形態のディジタルカラー複写機は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るディジタルカラー複写機1の内部構成を示す概略断面図である。
このディジタルカラー複写機1は、原稿読取部2で読み取った原稿のカラー画像データに基づいて、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各単色トナーを用紙に対して重ね合わせることによって、いわゆる電子写真方式により、モノクロ、2色又はフルカラー画像を形成することができる。
【0012】
原稿読取部2で画像を読み取らせるための原稿は、ディジタルカラー複写機1の上面に配置されたコンタクトガラス3上に、その画像が下方を向くようにしてセットされる。
このコンタクトガラス3の上方には、開閉可能なカバー4が対向して配置されていて、このカバー4を開閉して、1枚ずつ原稿をコンタクトガラス3上にセットすることができるようになっている。
原稿読取部2は、コンタクトガラス3上にセットされた原稿を下方から照明するための光源21と、原稿からの反射光を検出して電気信号に変換するためのCCDイメージセンサ22と、原稿からの反射光をCCDイメージセンサ22の検出面に導くための第1、第2及び第3の反射鏡231〜233と、原稿の光学像をCCDイメージセンサ22の検出面上に結像させるためのレンズ24とを備えている。原稿の主走査は、CCDイメージセンサ22における電気的な走査により達成される。
【0013】
光源21及び第1反射鏡231は、第1保持部材251に保持されており、第2及び第3反射鏡232,233は、第2保持部材252に保持されていて、これらの第1及び第2保持部材251,252は、コンタクトガラス3の下面に沿って、図1の左右方向(副走査方向)に移動可能となっている。第1及び第2保持部材251,252は、ステッピングモータの回転駆動により、第2保持部材252の速度が第1保持部材251の半分の速度となるように、互いに同じ方向に移動するようになっている。第1及び第2保持部材251,252の移動に伴う光源21及び反射鏡231〜233の移動により、コンタクトガラス3上にセットされた原稿の副走査が行われる。
【0014】
CCDイメージセンサ22の検出面には、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の各色を検出するため読取ライン22R,22G,22B(図示せず)が、それぞれ主走査方向に沿って、互いに所定の間隔(例えば、4ライン分の距離)を空けて延びている。光源21から照射した光は原稿に反射し、その反射光は、反射鏡231〜233に反射してCCDイメージセンサ22の検出面に入射する。そして、CCDイメージセンサ22の各読取ライン(レッド読取ライン22R、グリーン読取ライン22G、ブルー読取ライン22B)で検出された各色成分(RGB)に基づく画像信号が、ディジタルカラー複写機1に備えられた制御部5(図2参照)に入力される。
【0015】
制御部5は、入力された画像信号に基づいて、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の中から選ばれた1色、2色、3色又は全色のデジタル画像データを生成し、それぞれのデジタル画像データをレーザ走査ユニット6(LSU)に与える。レーザ走査ユニット6は、与えられた各デジタル画像データに基づく照射光を、画像形成部7に備えられた略円筒状の感光体71の表面に向けて別々に照射する。
【0016】
画像形成部7には、上記感光体71の他に、感光体71の表面を帯電するためのメインチャージャ72と、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色トナーを収容し、感光体71の表面に各色トナー像を形成するための現像装置73C,73M,73Y,73BKと、トナー像転写後の感光体71の表面に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置73とが備えられている。
感光体71の表面には、略円筒状の転写ドラム75の表面が当接している。この転写ドラム75は、その外周の長さが、使用する用紙の長さよりも長くなるように形成されている。転写ドラム75内には、感光体71と対向する位置に、転写装置76が備えられている。このディジタルカラー複写機1では、図1における時計回りに回転する転写ドラム75に用紙を巻き付けて、転写位置(感光体71と転写ドラム75との間)を1回から4回通過させることにより、感光体71の表面に順次形成される各色トナー像を、転写装置76の働きによって1色ずつ用紙に転写させることができるようになっている。
【0017】
より具体的に説明すると、画像形成時には、まず、図1において反時計回りに回転する感光体71の表面が、メインチャージャ72の放電によって一様に帯電される。この帯電された感光体71の表面に対して、原稿読取部2で読み取った原稿のデジタル画像データに基づく照射光がレーザ走査ユニット6から照射されることにより、感光体71の表面が選択的に露光され、感光体71の表面には、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのうちいずれか1色に対応する静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体71の表面には、上記1色のトナーに対応する現像装置によりトナーが付着され、用紙に転写すべき1色のトナー像が形成される。
【0018】
使用する用紙は、例えば、用紙カセット8または手差しトレイ9にセット可能となっていて、ディジタルカラー複写機1内には、用紙カセット8及び手差しトレイ9のそれぞれから画像形成部7へと用紙を導くことができるように、分岐した用紙搬送路10が配置されている。
用紙カセット8は、例えば複数枚の用紙を収容可能であって、収容されている用紙をピックアップローラ81により1枚ずつ用紙搬送路10に送り出すことができるようになっている。一方、手差しトレイ9に1枚ずつセットされる用紙は、給紙ローラ91により用紙搬送路10に送り出されるようになっている。
【0019】
用紙カセット8または手差しトレイ9から用紙搬送路10を通って画像形成部7側に送られてきた用紙は、その先端がレジストローラ11に到達した時点で一旦停止される。そして、感光体71の表面に形成された上記1色のトナー像が転写ドラム75に対向する位置にくるタイミングと、用紙が転写位置に到達するタイミングとが合うように、レジストローラ11の回転が再開される。このとき、転写ドラム75の表面に対向して配置された放電装置12の放電により、転写ドラム75の表面に静電気が付与され、レジストローラ11から送り出された用紙は、静電気力によって転写ドラム75に巻き付けられるようになっている。レジストローラ11から送り出された用紙は、転写ローラ75に巻き付けられながら転写位置へ向かい、感光体71の表面に形成された上記1色のトナー像が用紙に転写される。
【0020】
続いて他の色の転写を続ける場合は、トナー像転写後の感光体71は、その表面に残留しているトナーがクリーニング装置73により回収された後、再びメインチャージャ72によって一様に帯電される。この帯電された感光体71の表面には、レーザ走査ユニット6からの照射光により、次に形成すべき色のトナー像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像が形成された感光体71の表面には、その色に対応する現像装置によりトナーが付着され、用紙に転写すべき次の1色のトナー像が形成される。そして、この感光体71の表面に形成されたトナー像が、転写ドラム75に巻き付けられて再び転写位置に到達した用紙に転写される。
【0021】
このようにして、転写ドラム75に用紙を巻き付けて転写位置を1〜4回通過させ、用紙が転写位置を通過する度にトナー像を用紙に転写することにより、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックから選ばれる1〜4色のトナー像が用紙に(2色以上の場合は重ねて)転写される。
用紙に1〜4色のトナー像が転写されると、放電装置12の放電により転写ドラム75の表面の静電気が除去され、用紙が転写ドラム75から分離される。そして、用紙が分離された後の転写ドラム75の表面に付着しているトナーが、クリーニングブラシ装置77により回収される。
【0022】
転写ドラム75から分離されたトナー像転写後の用紙は、回転する無端状の搬送ベルト13の表面に載って定着装置14へと搬送される。そして、定着装置14によって所定の定着処理がなされた後の用紙は、搬送ローラ15及び排出ローラ16を経て、機外に配置された用紙排出部17に排出される。
【0023】
図2は、本実施形態に係るディジタルカラー複写機における画像処理の流れを説明するためのブロック図である。
ディジタルカラー複写機1内には、マイクロコンピュータなどにより構成される制御部5が備えられている。制御部5は、カラー画像読取回路51、入力補正回路52、領域分離処理回路53、UCR・黒生成回路54、カラー・白黒原稿判別回路55、選択回路56、空間フィルター処理回路57、出力階調処理回路58などを機能的に有している。
【0024】
さらに、制御部5には、ディジタルカラー複写機1の上面に配置された操作部18からの信号が入力されるようになっている。ユーザは、操作部18を操作することにより、ディジタルカラー複写機1における画像形成動作を開始させたり、モノクロで処理するか、2色カラーで処理するか、フルカラーで処理するかを選択したりすることができる。また、原稿の中に、カラー領域が閾値以上の割合で存在するかどうか判定するときの閾値を、例えば「カラー判定:強/中/弱」といった形でユーザに選択させることもできる。
【0025】
CCDイメージセンサ22から制御部5に、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の画像信号が入力されると、制御部5は、ROMやハードディスクなど所定の媒体に予め記憶されているプログラムソフトウェアを用いて、各処理回路における種々の処理を行う。
具体的には、まず、カラー画像読取回路51は、入力された各色の画像信号を取り込み、レッド、グリーン及びブルーの各画像信号を、シアン、マゼンタ及びイエローの各デジタル画像データ(例えば、256階調)に量子化して変換して入力補正回路52に送る。入力補正回路52は、各色の取り込みタイミングのずれを補正するためのライン補正を行い、光源21などの光学系が主走査方向の中央部と端部とで異なる配光特性(主走査方向両端部の輝度が低下する特性)を有することに起因する読取ラインの感度ばらつきを補正するためのシェーディング補正処理や、原稿の濃度に比例する階調特性を持たせるためのガンマ補正処理の他、デジタル画像データを副走査方向に拡大または縮小する処理や、主走査方向に拡大または縮小する処理などを施す。
【0026】
領域分離処理回路53は、原稿画像の中で、文字領域、写真領域(網点領域)、グラフなどの図形領域を抽出し、それぞれの画像信号に分離して、UCR・黒生成回路54に送る。
また、領域分離処理回路53は、原稿画像の中で、カラー領域を抽出することもできる。
UCR・黒生成回路54は、シアン、マゼンタ及びイエローから同じ成分(レベル)だけを取り出し、ブラックの成分に置き換えることにより、黒生成処理を行う。これにより、レーザ走査ユニット6に与えられるデジタル画像データには、ブラック(BK)のデジタル画像データが付加されることになる。
【0027】
カラー・白黒原稿判別回路(カラー判定手段)55は、ACS(オートカラーセレクト)機能を用いて原稿がフルカラーかモノクロかを判定する。
選択回路56は、カラー・白黒原稿判別回路55による判別結果及びカラー比率等に応じ、又は、入力操作に応じ、色処理方法を選択する。
この選択回路56の詳細な機能については後述する。
空間フィルター処理回路57は、2色カラー処理をする際に、原稿画像を、選択された色のみの画像に変換する処理を行う。また、モノクロ処理する際に、原稿画像を、ブラックの画像に変換する処理を行う。さらに、フィルター処理(いわゆるエッジ強調処理や平滑化処理など)を行う。なお、フルカラー処理する際は、上述の変換処理は行われない。
【0028】
以上の各回路で処理されたデジタル画像データは、出力階調処理回路58で出力階調処理が施されて、出力階調処理後に出力装置59を通してレーザ走査ユニット6に送られるようになっている。出力階調処理には、例えば、中間値処理(いわゆる誤差拡散処理やディザ処理など)などが含まれる。
【0029】
図3は、本実施形態に係る選択回路の機能的な構成を示した機能ブロック図である。
同図に示すように、本実施形態に係る選択回路56は、選択手段561と、カラー比率算出手段562と、表示手段563と、画像処理手段564とを備える。
【0030】
選択手段561は、複数の色処理方法の中から一の色処理方法を選択するものであり、本実施形態の場合、フルカラー処理、2色カラー処理又はモノクロ処理の中から自動又は手動により選択する。選択手段561により選択された色処理方法にもとづき画像処理手段564が画像処理を行う。
具体的には、カラー判定手段55により原稿がフルカラー画像と判定された場合、選択手段561は、カラー比率に応じた色処理方法を選択することができる。
例えば、カラー比率が30%未満であるフルカラー画像の原稿に対してはフルカラー処理を選択し、カラー比率がその30%以上であるフルカラー画像の原稿に対してはモノクロ処理や2色カラー処理を選択するように設定することができる。
一方、原稿がモノクロ画像と判定された場合、選択手段561は、モノクロ処理を選択する。
つまり、このような選択制御により、フルカラー印刷(減色処理)を促進するものである。
【0031】
また、選択手段561は、フルカラー画像を含む複数の原稿に対しては、全体のカラーページ比率に応じた色処理方法を自動的に選択することができる。
例えば、カラーページ比率が30%未満であるフルカラー画像の原稿に対してはフルカラー処理を選択し、カラーページ比率が30%以上であるフルカラー画像の原稿に対してはモノクロ処理や2色カラー処理を選択するように設定することができる。
この方法によっても、前述と同様、減色処理を促進することができる。
なお、前記カラー比率及びカラーページ比率は、カラー比率算出手段562によって算出される。
【0032】
さらに、選択手段561は、原稿がフルカラー画像と判定された場合には、ユーザの入力操作に応じて一の色処理方法を選択することもできる。
具体的には、ユーザのタッチパネル操作等に応じ、フルカラー処理、2色カラー処理又はモノクロ処理の中から選択する。
【0033】
カラー比率算出手段562は、原稿におけるカラー領域の比率(以下、カラー比率という。)を算出する。
ここで、「カラー比率」とは、原稿1ページの面積中に占めるフルカラー領域面積の割合をいう。
【0034】
また、カラー比率算出手段562は、全原稿におけるフルカラー画像の原稿が占める割合(カラーページ比率)を求めることができる。
ここで、「カラーページ比率」とは、全原稿におけるフルカラー原稿が占めるページの割合をいう。
例えば、10ページの原稿中、フルカラー画像と判定された原稿が2ページある場合には、カラー比率算出手段562は、カラーページ比率を20%と算出する。
【0035】
また、カラー比率算出手段562は、全原稿に占めるフルカラー領域面積の割合を、「カラーページ比率」として求めることもできる。
この場合、例えば、10ページの原稿中、1〜5ページのフルカラー領域が20%で、6〜10ページのフルカラー領域が40%である場合には、カラーページ比率は30%と算出される。
さらに、すべてのフルカラー原稿に占めるフルカラー領域面積の割合を「カラーページ比率」として求めることもできる。
この場合、例えば、10ページの原稿中、フルカラー画像と判定された原稿が5ページあり、かつ、これらの各ページのフルカラー領域がそれぞれ20%である場合には、カラーページ比率は10%と算出される。
【0036】
表示手段563は、各種通知すべき事項を、操作部18に含まれるパネル画面等を介してユーザに知らせるものである。
特に、本実施形態に係る表示手段563は、画像形成処理に先立ち、フルカラー画像の原稿の中からカラー比率が閾値以上のものの画像を表示させることができる。
さらに、表示手段563は、カラー比率に応じた番号を原稿の各ページに付すことにより、フルカラー画像の原稿の中からカラー比率が閾値以上のページ画像をそのカラー比率が高い順に表示させることができる。
これは、単にプレビューを行うだけでなく、減色による影響が大きいと予測される原稿画像のみを表示するものであり、このため、ユーザは、効率よく色処理を選択することができる。
【0037】
画像処理手段564は、原稿をフルカラー処理、2色カラー処理又はモノクロ処理のいずれかにもとづいて画像処理を行うものである。
具体的には、選択手段561により選択された色処理方法にもとづいて対象原稿についての画像処理を行う。
【0038】
次に、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の画像形成方法について図4乃至8を参照しながら説明を行う。
【0039】
図4は、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第一の画像形成方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、原稿読取部2が原稿の画像データを読み取る(A1)。
次いで、カラー判定手段55が、ACS機能を用いて原稿がフルカラー画像かモノクロ画像かを判定する(A2)。
【0040】
この結果、原稿がモノクロ画像であると判定された場合(A3:モノクロ原稿)、選択手段561はモノクロ処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿の画像データにモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(A4)。
一方、原稿がフルカラー画像であると判定された場合(A3:カラー原稿)、選択手段561はユーザが選択した色処理方法を選択し、画像処理手段564はその色処理方法にもとづいて画像処理を行う。
【0041】
この場合、ユーザは、(ア)「フルカラー」、(イ)「2色カラー」、(ウ)「モノクロ」のうちのいずれかを選択することができる。
例えば、図4に示すように、ユーザにより(ア)が選択された場合、選択手段561はフルカラー処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿の画像データにフルカラー処理を施して画像形成処理を行う(A5)。
ユーザによる色処理方法の選択は、操作部18を介して予め設定するのみならず、途中で変更することもできる。
なお、ステップA4及びA5において形成された画像形成データは、出力装置59に送られる。
そして、出力装置59は、受け取った画像形成データにもとづいて印刷処理を行う(A6)。
【0042】
このように、上述した第一の画像形成方法によれば、ACS機能によりモノクロ画像は自動的にモノクロ印刷され、フルカラー画像は、ユーザによって選択された色処理が施されて印刷されることとなる。
このため、例えば、フルカラー画像の原稿を、2色カラー処理やモノクロ処理を施して出力させることも可能である。これにより印刷にかかるコストを低減させることが可能である。
勿論、フルカラー画像の原稿を、フルカラー出力させることも可能である。
したがって、この画像形成方法によれば、出力コストの低減を図りつつ、一方で、出力品質を維持させることも可能である。
【0043】
次に、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第二の画像形成方法について図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第二の画像形成方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、原稿読取部2が原稿の画像データを読み取る(B1)。
次いで、カラー判定手段55が、ACS機能を用いて原稿がフルカラー画像かモノクロ画像かを判定する(B2)。
【0044】
この結果、原稿がモノクロ画像であると判定された場合(B3:モノクロ原稿)、選択手段561はモノクロ処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿の画像データにモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(B4)。
一方、原稿がフルカラー画像であると判定された場合(B3:カラー原稿)、次いで、カラー比率判定手段561が、その原稿におけるカラー領域の比率を算出する(B5)。
【0045】
この結果、所定の閾値以上のカラー比率が算出された場合(B6:閾値以上)、選択手段561はモノクロ処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿の画像データにモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(B4)。
一方、この閾値未満のカラー比率が算出された場合(B6:閾値未満)、選択手段561はフルカラー処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿の画像データにフルカラー処理を施して画像形成処理を行う(B7)。
なお、ステップB4及びB7において形成された画像形成データは、出力装置59に送られる。
そして、出力装置59は、受け取った画像形成データにもとづいて印刷処理を行う(B8)。
【0046】
このように、上述した第二の画像形成方法によれば、ACS機能によりモノクロ画像は自動的にモノクロ印刷され、フルカラー画像については、カラー比率の低い原稿は自動的にフルカラー印刷され、カラー比率の高い原稿は自動的にモノクロ印刷されることとなる。
つまり、カラー領域が比較的小さな原稿についてはフルカラー出力を許容し、カラー領域が大きな原稿についてはフルカラー出力を制限するようにしている。
このため、前述した第一の画像形成方法と異なり、ユーザの自主性によらず、ある程度強制的にフルカラー出力を制限することができる。
ただし、カラー比率の閾値は変更することにより、フルカラー出力の制限を緩めたり、強めたりすることも可能である。
したがって、この画像形成方法によれば、出力コストをより一層低減させることができる。
【0047】
次に、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第三の画像形成方法について図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第三の画像形成方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、原稿読取部2が原稿の画像データを読み取る(C1)。
次いで、カラー判定手段55が、ACS機能を用いて原稿がフルカラー画像かモノクロ画像かを判定する(C2)。
【0048】
この結果、原稿がモノクロ画像であると判定された場合(C3:モノクロ原稿)、選択手段561はモノクロ処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿にモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(C4)。
一方、原稿がフルカラー画像であると判定された場合(C3:カラー画像)、次いで、カラー比率判定手段561が、その原稿におけるカラー領域の比率を算出する(C5)。
【0049】
この結果、所定の閾値未満のカラー比率が算出された場合(C6:閾値未満)、選択手段561はモノクロ処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿にモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(C4)。
一方、この閾値以上のカラー比率が算出された場合(C6:閾値以上)、選択手段561は2色カラー処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿に2色カラー処理を施して画像形成処理を行う(C7)。
なお、ステップC4及びC7において形成された画像形成データは、出力装置59に送られる。
そして、出力装置59は、受け取った画像形成データにもとづいて印刷処理を行う(C8)。
【0050】
このように、上述した第三の画像形成方法によれば、ACS機能によりモノクロ画像は自動的にモノクロ出力され、フルカラー画像については、カラー比率の低い原稿は自動的にモノクロ印刷され、カラー比率の高い原稿は自動的に2色カラー印刷されることとなる。
つまり、この画像形成方法では、フルカラー処理を一切行わないようにしている。
このため、上述した画像形成方法に比べ、さらに出力コストを抑えることが可能となる。
【0051】
次に、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第四の画像形成方法について図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第四の画像形成方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、原稿読取部2が原稿の画像データを読み取る(D1)。
ここでは、複数枚の原稿に関する画像データを順次読み取ったものとする。
次いで、カラー判定手段55が、ACS機能を用いて各原稿がフルカラー画像かモノクロ画像かを判定する(D2)。
【0052】
この結果、モノクロ画像と判定された原稿(D3:モノクロ原稿)については、選択手段561の選択を介し、画像処理手段564はモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(D4)。
一方、フルカラー画像と判定された原稿(D3:カラー画像)については、カラー比率判定手段561が、その原稿におけるカラー領域の比率を算出する(D5)。
【0053】
この結果、所定の閾値未満のカラー比率が算出された原稿(D6:閾値未満)については、選択手段561による選択を介し、画像処理手段564はモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(D4)。
一方、この閾値以上のカラー比率が算出された原稿(D6:閾値以上)については、表示手段563が、そのフルカラー画像のプレビュー画像をその比率の順に応じて表示させる。
つまり、ユーザは、このプレビュー画像により、全原稿のうちカラー比率の高い原稿のみを確認することができる。
【0054】
そして、ユーザは、操作部18を介して、表示されている原稿に対する色処理方法を選択する(D8)。
この選択は、プレビューされているすべてのフルカラー原稿に対して一律に行うだけでなく、一原稿ごと個別に行うことができる。
具体的には、ユーザは、パネルに表示されている「フルカラー処理」、「2色カラー処理」又は「モノクロ処理」の選択キーの中からいずれか一を押下する。
【0055】
ここで、「モノクロ処理」が選択された場合(D8:モノクロ)、選択手段561はモノクロ処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿にモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(D4)。
また、「2色カラー」が選択された場合(D8:2色カラー)、選択手段561は2色カラー処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿に2色カラー処理を施して画像形成処理を行う(D9)。
また、「フルカラー処理」が選択された場合(D8:フルカラー)、選択手段561はフルカラー処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿にフルカラー処理を施して画像形成処理を行う(D10)。
なお、ステップD4、D9及びD10において形成された画像形成データは、出力装置59に送られる。
そして、出力装置59は、受け取った画像形成データにもとづいて印刷処理を行う(D11)。
【0056】
このように、上述した第四の画像形成方法によれば、ACS機能によりモノクロ画像は自動的にモノクロ出力され、フルカラー画像については、カラー比率の低い原稿は自動的にモノクロ印刷され、カラー比率の高い原稿はカラー比率が高い順に表示してユーザにその処理方法を選択できるようにしている。
この画像形成方法は、色処理方法をユーザが選択できる点では第一の画像形成方法と同様である。また、カラー比率の高い原稿の色処理方法をフルカラー処理以外に設定できる点においては第二又は第三の画像形成方法と同様である。
ただし、この画像形成方法によれば、フルカラー原稿のうちカラー比率の高い原稿を予め画像表示するようにしている。
このため、他の画像形成方法と同様、出力コストの低減を図りつつ、加えて出力品質を効果的に維持することもできる。
【0057】
次に、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第五の画像形成方法について図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態に係るディジタルカラー複写機の第五の画像形成方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、原稿読取部2が原稿の画像データを読み取る(E1)。
ここでは、複数枚の原稿に関する画像データを順次読み取ったものとする。
次いで、カラー判定手段55が、ACS機能を用いて各原稿がフルカラー画像かモノクロ画像かを判定する(E2)。
【0058】
この結果、モノクロ画像と判定された原稿(E3:モノクロ原稿)については、選択手段561による選択を介し、画像処理手段564は画像データにモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(E4)。
一方、フルカラー画像と判定された原稿(E3:カラー原稿)については、カラー比率判定手段561が、その原稿におけるカラー領域の比率を算出する(E5)。
【0059】
この結果、所定の閾値以上のカラー比率が算出された場合(E6:閾値以上)、選択手段561はモノクロ処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿の画像データにモノクロ処理を施して画像形成処理を行う(E4)。
一方、この閾値未満のカラー比率が算出された場合(E6:閾値未満)、選択手段561はフルカラー処理を選択し、画像処理手段564は対象原稿の画像データにフルカラー処理を施して画像形成処理を行う(E7)。
なお、ステップE4及びE7において形成された画像形成データは、出力装置59に送られる。
そして、出力装置59は、受け取った画像形成データにもとづいて印刷処理を行う(E8)。
【0060】
このように、上述した第五の画像形成方法によれば、ACS機能によりモノクロ画像は自動的にモノクロ印刷され、フルカラー画像については、カラー比率の低い原稿は自動的にフルカラー印刷され、カラー比率の高い原稿は自動的にモノクロ印刷されることとなる。
したがって、前述の各画像形成方法と異なる方法によっても、同一の作用・効果を奏することができる。
【0061】
以上、説明したように、本実施形態のディジタルカラー複写機1によれば、ACS機能やユーザ選択に応じたモノクロ処理、2色カラー処理又はフルカラー処理のいずれかの色処理が可能である。
特に、本実施形態のディジタルカラー複写機1によれば、フルカラー原稿のカラー比率を算出し、算出されたカラー比率に応じた色処理を行うことができる。
このため、ユーザの利用態様に拘わらず、フルカラー出力に係るコストを効果的に抑えることができる。
また、ユーザの利便性や出力の品質の維持を図ることもできる。
【0062】
以上、本発明の画像形成装置について、実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明の画像形成装置や画像形成方法は、カラー複合機に限らず、カラープリンタやカラーディスプレイ等、カラー対応の画像形成装置において適用させることができる。
【0063】
また、カラー比率やカラーページ比率の閾値に応じて色処理方法を選択する態様についても上述の実施形態に限るものではない。
例えば、視認性を重視するユーザに対しては、カラー比率等が閾値以上の場合にフルカラー処理を行うように設定することもできる。
また、閾値を段階的に設定して、各閾値範囲に応じた色処理方法を自動的に選択するようにすることもできる。
例えば、カラー比率が、20%未満の場合にはフルカラー処理を行い、20%以上60%未満の場合には2色カラー処理を行い、60%以上の場合にはモノクロ処理を行うようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、カラー複合機やカラープリンタなど、フルカラー対応の画像形成装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ディジタルカラー複写機
55 カラー判定手段
561 選択手段
562 カラー比率算出手段
563 表示手段
564 画像処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿がフルカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判定するカラー判定手段と、
複数の色処理方法の中から一の色処理方法を選択する選択手段と、
原稿がフルカラー画像である場合に前記選択された一の色処理方法にもとづいてこの原稿の画像処理を行う画像処理手段とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
原稿におけるカラー領域の比率を算出するカラー比率算出手段を備え、
前記選択手段は、
フルカラー画像の原稿におけるカラー領域の比率に関し、所定の閾値を基準として前記一の色処理方法を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択手段は、
フルカラー画像の原稿におけるカラー領域の比率が所定の閾値未満である場合に前記一の色処理方法としてフルカラー処理を選択する
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、
フルカラー画像の原稿におけるカラー領域の比率が所定の閾値以上である場合に前記一の色処理方法として2色カラー処理又はモノクロ処理を選択する
ことを特徴とする請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カラー比率算出手段は、
一又は二ページ以上からなる原稿に占めるフルカラー画像の割合をカラーページ比率として算出し、
前記選択手段は、
前記カラーページ比率に関し、所定の閾値を基準として前記一の色処理方法を選択する請求項2乃至4のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記選択手段は、
前記カラーページ比率が所定の閾値未満である場合に前記一の色処理方法としてフルカラー処理を選択する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
フルカラー画像と判定された原稿のうちカラー領域の比率が所定の閾値以上である原稿画像を表示する表示手段を備える
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記表示手段は、
フルカラー画像と判定された原稿のうちカラー領域の比率が所定の閾値以上である原稿画像をその比率の順に表示する
ことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記選択手段は、
入力操作に応じ、前記複数の色処理方法の中から一の色処理方法を選択する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項10】
原稿がフルカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判定するステップと、
複数の色処理方法の中から一の色処理方法を選択するステップと、
原稿がフルカラー画像である場合に前記選択された一の色処理方法にもとづいてこの原稿の画像処理を行うステップとを有すること
を特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−109581(P2011−109581A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264994(P2009−264994)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】