説明

画像形成装置及びVL上昇抑制方法

【課題】透光性支持体上に透光性導電層と感光層を積層してなる感光体の内周側から、帯電していない感光体全面に光照射を行うことで、VL上昇の原因となっている電荷輸送層中にトラップされた電荷担体に効率よく光エネルギーを与え電荷担体を解放することにより、VLを低下させ画像品質の劣化を防止する画像形成装置及びVL上昇制御方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、透光性支持体上に透光性導電層と電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光層とを積層する感光体12と、感光層に対して光照射する光源8と、を有する。光源8は、感光体停止中に、感光層に光照射を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置に関し、詳しくは、感光体に光を照射することにより、感光体を露光し画像を形成する際の画像部の感光体表面電位(以下、VLと略する)の上昇を防止する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式画像形成装置に用いられる電子写真感光体は、一般的には、導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を設けた所謂、機能分離型積層感光体が主流である。更には、機械的もしくは化学的耐久性向上のため必要に応じて感光体最表面に表面保護層を形成する。この機能分離型積層感光体において、表面が帯電された感光体が露光されたとき、光は電荷輸送層を透過し、電荷発生層中の電荷発生材料に吸収される。電荷発生材料はこの光を吸収して電荷担体を発生する。発生した電荷担体は電荷輸送層に注入され帯電によって生じている電界に沿って電荷輸送層を移動して感光体の表面電荷を中和する。その結果感光体の表面に静電潜像が形成される。
【0003】
しかし、電荷担体が電荷輸送層を移動する過程において電荷輸送層のバルクに生成したトラップに電荷担体が捕獲されると、感光体表面電荷を中和できないだけでなく電界強度を弱めることになる。つまり感光体露光部において表面の電荷を中和しにくくなるため、VLが上昇してしまう。VLが上昇すると、静電潜像を現像するために現像装置と感光体の間に印加される現像バイアスとVLの電位差である現像ポテンシャルが小さくなるため画像濃度の低下を引き起こしてしまう。
【0004】
このような現像ポテンシャルの低下に対して、VLの上昇量を検知して、その上昇量を現像バイアスおよび感光体帯電電位に上乗せし現像ポテンシャルを一定に制御する技術が開示されている。VLの上昇量を現像バイアスだけでなく帯電電位にも上乗せするのは、現像バイアスのみを高くすると帯電電位と現像バイアスの差が小さくなり、感光体非露光部への現像が起こりやすくなり、かぶり濃度が高くなってしまうからであるが、感光体帯電電位を高くすると電界強度が強くなりすぎることによる絶縁破壊が危惧されるため感光体帯電電位を高くするには限界がある。よって、VL上昇量を現像バイアスと帯電電位に上乗せする制御では、VL上昇量の限界値は帯電電位の限界値によって決まるため、VL上昇量が限界値を上回る場合は適切な制御を行うことができないという問題があった。
【0005】
上記問題を解決するために、感光体における導電性支持体と電荷発生層の間に配置される中間層に、書き込み光を吸収する金属酸化物であるルチル型酸化チタンを含有させ、中間層で光キャリアを発生させることでVL上昇を抑制する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、感光体表層の保護層の樹脂中に2種以上のフィラーを含有させ、そのうちの一種を平均粒径50nm以下のダイヤモンド状カーボンもしくは非晶質カーボン微粒子とすることにより、VL上昇を抑制する技術も開示されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2007−233348号公報
【特許文献2】特開2004−286887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、感光体の処方や構成を変えることによりVL上昇を低減する技術が様々開示されている。しかし、感光体の静電疲労は感光体処方、あるいはプロセス条件によって大きく異なるものであり、感光体の開発側から考えると、プロセス条件ごとに対応を迫られるという問題があった。
【0008】
そこで、感光体の開発側ではなく、画像形成装置本体の制御でVL上昇を低減するために、感光体に強いエネルギーを与えることにより、上昇したVLを初期状態に戻す方法を開発した。上記感光体に強いエネルギーを与える方法のうち、実現が容易な方法の一つに光エネルギーの照射があげられ、除電光量を強くしたり、光照射装置と光照射モードを備え、所定のタイミングで回転する感光体に光を照射したりして、VLを低下させるという方法が考えられる。
【0009】
しかし、除電光量を強くする方法では、除電効果による通過電荷量増加に伴うVL上昇を打ち消し、さらにVLを低下させるほどの大きな光量が必要となり、また、光照射モードにより回転する感光体に光を照射する方法では、感光体に均一に光照射を行うためには一度に照射できる面積が限られるため、VL低下に必要な光照射時間は長くなりがちである。
【0010】
効率よくVLを低下させる理想的な条件は、帯電していない感光体全面に光照射を行うことである。この理想的な条件を達成する方法の一つとして、感光体の支持体および導電層に透光性の材料を用いることにより、感光体の内側から感光層に光を照射する方法が考えられる。従来から、透光性支持体上に透光性導電層と感光層を積層してなる感光体の内周側に書込み露光手段を配し、省スペース化を図った画像形成装置が検討されており、このような画像形成装置は公知である(例えば、特開昭58-153957号他)。
【0011】
しかし、感光層に光エネルギーを与えることによりVLを低下させるという知見は新たな知見であり、透光性支持体上に透光性導電層と感光層を積層してなる感光体の内周側から、書込みや除電といった目的とは異なる、感光層全面に単純に光を照射するだけの光源を設けた画像形成装置は公知ではない。
【0012】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、透光性支持体上に透光性導電層と感光層を積層してなる感光体の内周側から、帯電していない感光体全面に光照射を行うことで、VL上昇の原因となっている電荷輸送層中にトラップされた電荷担体に効率よく光エネルギーを与え電荷担体を解放することにより、VLを低下させ画像品質の劣化を防止する画像形成装置及びVL上昇制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、透光性支持体上に透光性導電層と電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光層とを積層する感光体と、感光層に対して光照射する光源と、を有し、光源は、感光体停止中に、感光層に光照射を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置は、パラメータを記憶する記憶部をさらに有し、光源による光照射時間は、所定の時間帯電及び露光を連続して繰り返した際の、単位時間あたりのVLもしくはVR上昇量Aと、VLが変化した感光体において、感光体停止中に光源により所定の光量で光照射を行った場合の、単位時間あたりのVLもしくはVR低下量Bと、画像形成動作開始時から連続画像形成終了時までの感光体走行時間T1と、を下記式(1)に代入して得られる時間T2であり、記憶部は、光源による光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合のT2の残り時間T3を記憶し、光源は、記憶部が残り時間T3を記憶した場合には、感光体停止中にT2とT3との和の時間、感光層に光照射を行うことを特徴とする。
T2 = T1*A/B・・・式(1)
【0015】
本発明の画像形成装置は、感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、表面電位検知装置により検知された表面電位を記憶する表面電位記憶部と、をさらに有し、光源は、感光体停止中であって、感光体初期のVLと所定のタイミングで検知するVLとの差ΔVLとBとが下記式(3)を満たす時間T4だけ、感光層に光照射を行い、記憶手段は、T4及び光源による光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合のT4の残り時間を記憶し、光照射時間がT4に達する場合及び所定のVL検知タイミングに達する場合の何れかにはT4をリセットすることを特徴とする。
T4 = ΔVL/B・・・式(3)
【0016】
本発明のVL上昇制御方法は、透光性支持体上に透光性導電層と荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光層とを積層する感光体に静電潜像を現像するステップと、静電潜像を記録媒体に転写するステップと、感光体に対して光照射を行うステップと、を有し、照射を行うステップは、感光体停止中に、感光体に光照射を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明のVL上昇制御方法は、感光体走行時間T1を算出するステップと、所定の時間帯電及び露光を連続して繰り返した際の単位時間あたりのVLもしくはVR上昇量Aと、VLが変化した感光体において感光体停止中に光源により所定の光量で光照射を行った場合の単位時間あたりのVLもしくはVR低下量Bと、算出するステップで算出した画像形成動作開始時から連続画像形成終了時までの感光体走行時間T1と、を下記式(1)に代入して得られる感光体光照射時間T2を算出するステップと、画像形成動作の開始時に所定時間T2の光照射が完了しているか否かを判断するステップと、判断するステップにより光照射が完了していないと判断された場合に、時間T2の残り時間T3を記憶するステップと、を有し、照射を行うステップは、記憶するステップにより時間T3が記憶された場合には、画像形成動作の終了時に、算出するステップにより新たに算出された時間T1に基づいて算出される感光体光照射時間T2と、残り時間T3を記憶するステップにより記憶された残り時間T3と、の和の時間感光体に光照射を行うことを特徴とする。
T2 = T1*A/B・・・式(1)
【0018】
本発明のVL上昇制御方法は、感光体の表面電位を検知するステップと、検知するステップにより検知された表面電位を記憶するステップと、感光体初期のVLと所定のタイミングで検知するVLとの差ΔVLとBとが下記式(3)を満たす時間T4を算出するステップと、光照射時間がT4に達する場合及び所定のVL検知タイミングに達する場合の何れかにはT4をリセットするステップと、をさらに有し、照射を行うステップは、感光体停止中に時間T4を算出するステップにより算出された時間T4だけ、感光体に光照射を行い、光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合は一旦光照射を中断し画像形成動作終了後に光照射を再開することを特徴とする。
T4 = ΔVL/B・・・式(3)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、VL上昇の原因となっている電荷輸送層中にトラップされた電荷担体に効率よく光エネルギーを与え電荷担体を解放することにより、VLを低下させ画像品質の劣化を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の内部機構の全体概略構成例を示す。図2は、本実施形態に係る画像形成装置の作像機構の拡大構成例を示す。
【0022】
図示するように、本実施形態に係る画像形成装置本体10は、ドラム上の感光体12、レーザ書込み装置18、定着装置25、原稿読取装置30、を有する。そして、感光体12の周辺に、帯電装置13、現像装置14、転写・搬送装置15、クリーニング装置16、除電装置17、を有している。レーザ書込み装置18は、レーザダイオード等の光源20、走査用の回転多面鏡21、ポリゴンモータ22、fθレンズ等の走査光学系23、を備える。定着装置25は、ヒータを内蔵する定着ローラ26と、その定着ローラ26に下方から押し当てる加圧ローラ27と、を備える。また、原稿読取装置30は、光源31、複数のミラー32、結像レンズ33、CCD等のイメージセンサ34、を備える。
【0023】
感光体12は、画像形成装置本体10内に設けられている。この感光体12は電荷輸送層の膜厚が38μmであり、電荷発生層には電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含む。また感光体12の線速は630mm/sec、直径100mmである。帯電装置13は、例えば感光体12を一様にマイナス帯電する。現像装置14は、潜像を可視化する。例えば電子写真式画像形成装置においては、静電気によりトナーをひきつけ、トナーを感光体12に現像する。
【0024】
転写・搬送装置15は、感光体12の表面上に担持されたトナー像を、搬送してきた記録媒体に転写する。クリーニング装置16は、クリーニングブラシとクリーニングブレードを備え、それぞれが像担持体に当接してクリーニングを行っている。除電装置17は、光照射により除電を行う除電装置で、その光量は1W/m2であり、感光体12表面と除電装置17先端の間の距離が13mmの位置に配置している。
【0025】
レーザ書込み装置18は、光源8及び結像光学系を介して原稿光像を感光体12上に形成する。定着装置25は、記録媒体上のトナーを熱、圧力、溶剤等で記録媒体上に固着させる。原稿読取装置30は、光源31、複数のミラー32、結像レンズ33、CCD等のイメージセンサ34などを用いて原稿を読取る。
【0026】
ここで、感光体12の繰り返し使用により電荷輸送層中に電荷担体がトラップされ、VLが上昇してしまうという問題がある。本発明者は、このVLが上昇した感光体に光を照射し続けるとVLが低下するということを見出した。透光性支持体上に透光性導電層と電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光層とを積層してなる感光体を感光体12として用いる。さらに感光体12内周側に、図3に示すように直管型10W白色蛍光灯を光源8として備え、感光体駆動停止時に蛍光灯を点灯させる制御を用いて、画像形成動作と待機状態をそれぞれ5分間ずつ交互に240時間連続して繰り返したところ、VLが全く上昇しないという結果を得た。
【0027】
感光体停止時に感光層に光エネルギーを与えることによりVLを低下させ、感光体の長期使用によるVL上昇に起因する画像品質の劣化を防止する本実施形態の例を以下に示す。なお、以下の実施の形態に係る画像形成装置はすべて、上記実施形態1において透光性支持体上に透光性導電層と電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光層とを積層してなる感光体を感光体12として用いる。さらに感光体12内周側に、図3に示すように直管型10W白色蛍光灯を光源8として備えている。また、光源は白色蛍光灯に限定するものではなく、白熱電球やLED、有機ELなど、感光層に光エネルギーを与えることが可能であれば全て応用可能であるが、光の波長は電荷輸送層が吸収を持たない範囲の波長であることが望ましい。
【0028】
(実施形態2)
図4は、本実施形態に係る画像形成装置において、感光体停止状態に光源8を点灯した場合と、光源8を点灯しない場合のVL上昇量の例を示す。本実施形態に係る画像形成装置は、感光体停止状態時に光源8を点灯する。これにより、図4に示すように感光体12の長期使用においてもVL上昇を抑制することができる。なお、図4のグラフは、上記実施形態1と本実施形態について、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:-800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:全面黒ベタ、転写電流:130μAという条件で、画像形成動作と待機状態をそれぞれ5分間ずつ交互に繰り返した場合の、感光体走行時間とVL上昇量を示している。図示するように、本実施形態ではVL上昇が解消されている。
【0029】
本実施形態により、感光体の繰り返し使用によりトラップされた電荷担体が増大し、VL及びVR(除電後の感光体表面残留電位)が上昇するという問題に対して、待機中の空き時間を利用して感光体に継続的に光エネルギーを与えることによって、トラップされた電荷担体を解放し、感光体の長期使用によるVL、VR上昇に起因する画像品質の劣化を防止することが可能となる。
【0030】
(実施形態3)
図5は、本実施形態に係る画像形成装置において、光源8により光照射する処理の流れの例を示す。本実施形態は、感光体停止状態時に、下記式(1)から算出される時間T2だけ光源8によって光照射を行い、光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合は、残り時間T3を記憶し、画像形成動作終了後はT2+T3の時間光照射を行い、画像形成動作終了時にT2を算出するたびにT1をリセットする。残り時間T3は、図示しない記憶部に記憶している。尚、式(1)中のAおよびBは、感光体帯電電位-800V、書込み光量110μW、書込みパターン全面ベタの条件下で所定の時間帯電、露光を連続して繰り返した際の、単位時間あたりのVLもしくはVR上昇量A、および、前記条件にてVLが変化した感光体において、感光体停止中に該光源によって所定の光量で光照射を行った場合の、単位時間あたりのVLもしくはVR低下量Bである。
【0031】
T2 = T1*A/B・・・式(1)
【0032】
感光体停止状態時に光照射する処理の流れの例について、図5に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。まず、画像形成動作開始時から連続画像形成終了時までの、感光体12走行時間T1を決定する(ステップS501)。式(1)から時間T2を算出し、算出された時間T2だけ光照射を開始する(ステップS502)。
【0033】
次の画像形成動作開始時に所定時間の光照射が完了しているか否かを判断する(ステップS503)。所定時間の光照射が完了している場合(ステップS503/YES)には、画像形成動作を開始し(ステップS504)、画像形成終了後は、上記ステップS501へ戻る。
【0034】
一方、所定時間の光照射が完了していない場合(ステップS503/NO)には、光照射の残り時間T3を記憶し、画像形成動作を開始する(ステップS505)。そして、画像形成動作が終了(ステップS506)した後、画像形成動作開始時から連続画像形成終了時までの感光体走行時間T1を決定する(ステップS507)。上記ステップS507で決定した感光体走行時間T1に基づいて式(1)から算出される時間T2+残り時間T3の時間光照射を行い(ステップS508)、上記ステップS503へ戻る。
【0035】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置の感光体走行時間と露光部の電位上昇量との関係例を示す。図7は、本実施形態に係る画像形成装置において、感光体停止中に光源8を用いて光照射を行った場合の、光照射時間とVL低下量との関係例を示す。次に、本実施形態における式(1)の詳細について、図6及び図7に示すグラフを用いて説明する。
【0036】
感光体帯電電位-800V、書込み光量110μW、書込みパターン全面ベタの条件下で所定の時間帯電、露光を連続して繰り返したところ、単位時間あたりのVL上昇量は、図6に示すように約2.3×10-3V という結果を得た。よって式(1)におけるAの値を2.3×10-3とした。次に、VLが上昇した感光体を用いて、感光体停止中に光源8を用いて光照射を行ったところ、単位時間あたりのVL低下量は、図7に示すように、約0.3Vという結果を得た。よって式(1)におけるBの値を0.3とした。以上のようにA、Bの値を決定し、式(2)を得た。
【0037】
T2 = 7.7*10-3*T1・・・式(2)
【0038】
図8は、上記実施形態1と本実施形態に係る画像形成装置において、感光体走行時間とVL上昇量との関係例を示す。図8に示すように、上記実施形態2と同様の効果を短い光照射時間で達成することができ、省エネ化を図ることができる。なお、図8のグラフは、上記実施形態1と本実施形態について、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:-800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:全面黒ベタ、転写電流:130μAという条件で、画像形成動作と待機状態をそれぞれ5分間ずつ交互に繰り返した場合の、感光体走行時間とVL上昇量を示している。本実施形態の例ではVL上昇が解消されている。しかも、この場合光照射時間は実施形態2の場合と比較して1/130程度に短くできている。
【0039】
本実施形態により、感光体に継続的に光エネルギーを与えることによってトラップされた電荷担体を解放し上昇したVL、VRを低下させているので、感光体の長期使用によるVL、VR上昇に起因する画像品質の劣化を防止することができる。さらに、本実施形態では、感光体走行時間からVLもしくはVR上昇量を予測し、上昇量に応じて適宜光照射時間を決定しているので、無駄な光照射を無くし省エネ化を図ることが可能となる。
【0040】
(実施形態4)
本実施形態では、上記実施形態3においてさらに、上記ステップS508で算出されるT2+T3が120sec以上となった場合には、印刷動作を受け付けずに光照射動作を優先する。これにより、印刷を行わない待機時間がほとんど無く常に印刷動作が連続して続き、光照射時間を確保できないような場合においても、図9に示すとおりVLを低下させることができる。なお図9は、上記実施形態3と本実施形態について、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:-800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:全面黒ベタ、転写電流:130μAという条件で連続印刷を繰り返すという特定の場合における、感光体走行時間とVL上昇量を比較したグラフである。上記実施形態3ではVLが上昇しているのに対し、本実施形態ではVL上昇が解消されている。
【0041】
上記実施形態3では、印刷を行わない待機時間がほとんど無く常に印刷動作が連続して続くような場合には、T3の値大きくなっていきVLもしくはVRも上昇していってしまう。しかし、本実施形態により、T2+T3の値が所定の値以上になった場合には印刷動作を受け付けずに光照射を優先することで、印刷を行わない待機時間がほとんど無く常に印刷動作が連続して続くような場合においても、確実にVL、VRを低下させ、画像品質の劣化を防止することが可能となる。
【0042】
なお、本実施形態では、T2+T3が120sec以上となった場合には、印刷動作を受け付けずに光照射動作を優先することを例として挙げて説明したが、これに限定されることなく、種々設定可能であることは言うまでもない。
【0043】
(実施形態5)
図10は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す。図11は、上記実施形態3と本実施形態とに係る画像形成装置の感光体走行時間とVL上昇量との関係例を示す。本実施形態では、図10に示す図及び図11に示すグラフを用いて、メインスイッチOFF状態時に光源8によって光照射を行う場合の例について詳細に説明する。
【0044】
本実施形態では、上記実施形態3において、メインスイッチOFF状態時に光源8によって光照射を行う図10に示すような構成である。これにより、日中は常に印刷動作が連続して続き、1日の印刷動作終了時はすぐにメインスイッチOFF状態となるような場合においても、図11に示すとおり、VLを低下させることができる。なお、図11のグラフは、上記実施形態3と本実施形態について、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:-800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:全面黒ベタ、転写電流:130μAという条件で連続印刷を11時間継続した直後にメインスイッチOFFにし13時間放置するというパターンを繰り返すという特定の場合における、感光体走行時間とVL上昇量を示している。
【0045】
図11に示すように、上記実施形態3ではVLが上昇しているのに対し、本実施形態ではVL上昇が解消されている。しかも、上述した実施形態4のように印刷動作を受け付けないダウンタイムを発生させずにVL低下を実現できる。さらに、想定される夜間の放置時間は長く、光照射を行うことが出来る時間が長時間確保できるため、光量を低下させて省エネ化を図ることもできる。
【0046】
本実施形態により、メインスイッチOFF状態となる夜間等に光照射を行うことで、日中等の稼動時においては印刷を行わない待機時間がほとんど無く、常に印刷動作が連続して続くような場合でも、VL、VRを低下させる時間を確保することが可能となる。そのため、日中等の稼動時においては印刷を行わない待機時間がほとんど無く常に印刷動作が連続して続くような場合でも、VL、VRを低下させることができ、感光体の長期使用によるVL、VR上昇に起因する画像品質の劣化を防止することが可能となる。
【0047】
(実施形態6)
図12は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す。本実施形態では、上記実施形態5において、蓄電可能な内部電源としてキャパシタを備え、メインスイッチOFF状態時に外部主電源へコンセントが接続されていない場合には、内部電源の電力を用いて光照射を行う。なお、キャパシタへの充電は、メインスイッチON時に主電源から供給される電力で行う。
【0048】
本実施形態により、上記実施形態5において、メインスイッチOFF時にコンセントが接続されていない場合に光照射を実行できないという不具合を解消し、上記実施形態5と同様の効果を得ることができる。すなわち、メインスイッチOFF状態となる夜間等に光照射を行うことで、日中等の稼動時においては印刷を行わない待機時間がほとんど無く常に印刷動作が連続して続くような場合でも、VL、VRを低下させる時間を確保することが可能となる。そのため、日中等の稼動時においては印刷を行わない待機時間がほとんど無く常に印刷動作が連続して続くような場合で、さらにインスイッチOFF時にコンセントが接続されていない場合であっても、VL、VRを低下させることができ、感光体の長期使用によるVL、VR上昇に起因する画像品質の劣化を防止することが可能となる。
【0049】
(実施形態7)
図13は、本実施形態に係る画像形成装置の感光体12周辺の構成例を示す。図示するように、本実施形態に係る画像形成装置は、感光体表面電位を検知する電位センサ9と、図示しない表面電位記憶手段と、感光体初期のVLを表面電位記憶手段に記憶するモードを備え、マシン設置時や出荷時又は感光体交換時等に、この感光体初期のVLを記憶するモードを実行することにより感光体初期のVLを記憶する。感光体初期のVLを記憶するモードを実行すると、帯電とVLパターンの書込みを行い、VLを検知、記憶する。VLパターンは感光体周方向長さ40mm、幅30mmの長方形ベタパターンであり、電位センサ9位置に対応する感光体長手方向中央部に作成する。このVLパターンはさらに、積算1000プリントを超えたプリント終了時および電源投入時にも作成し、VLを検知する。
【0050】
なお、VL検知後は積算1000プリントをカウントするカウンタはリセットされる。この検知したVLと、記憶された感光体初期のVLの差であるΔVLと、上記実施形態3記載の方法と同様にして求めた、光照射による単位時間あたりのVL低下量Bを下記式(3)に代入して得られる時間T4だけ、感光体停止中に光源8によって光照射を行う。そして、光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合は、一旦光照射を中断し画像形成動作終了後に光照射を再開し、光照射時間がT4に達するもしくは積算1000プリントを超えたプリント終了時であるVL検知タイミングに達した場合にはT4をリセットする。
【0051】
T4 = ΔVL/B・・・式(3)
【0052】
なお、本実施形態におけるBの値は上記実施形態3と同様に0.3となっている。このような構成としたことにより、VL上昇量を予測ではなく実測できる。そのため、上記実施形態3及び4において、予測するVL上昇量と、実際のVL上昇量の間にズレが生じるような場合においても、VL上昇量に応じて適切な照射時間で光照射を実行することができる。このことにより、光照射時間が必要以上に長くなるといったことがなく、効率よくVLを低下させることができる。
【0053】
予測するVL上昇量と、実際のVL上昇量の間にズレが生じる場合の例としては、まず画像面積率の違いが挙げられる。単位時間あたりのVL上昇量Aを算出するときの画像面積率は100%となっている。しかし、実際の画像形成時は画像面積率が100%未満であることがほとんどであり、10%以下であることも多いため、画像面積率が100%と比較して大きく異なる場合にはVL上昇量が予測した量よりも小さく、結果として無駄な光照射が発生してしまうことになる。
【0054】
また、単位時間あたりのVL上昇量Aを算出するときは連続して画像形成を行っているので、複数枚ずつのプリントが繰り返される場合には感光体の走行時間が長くなるため走行時間あたりの画像形成量が少なくなり、この場合もVL上昇量が予測した量よりも小さく、結果として無駄な光照射が発生してしまうことになる。
【0055】
このように、実際のVL上昇量と、予測するVL上昇量に差が生じる場合があり、その場合は光照射時間が短くて良いのに、無駄に光照射モードを実行することになってしまい、エネルギーを無駄使いすることとなる。さらに、上記実施形態4においてはダウンタイムが必要以上に長くなってしまうことにもなる。また、温湿度条件が変動した場合も、予測値と実際の値にズレが生じてしまう。しかし本実施形態においては実際にVLを検知しているため、適切な照射時間で、図14に示すように、VLの上昇を抑制することができる。
【0056】
なお、図13のグラフは、本実施例における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:-800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で、画像形成動作と待機状態をそれぞれ5分間ずつ交互に繰り返した場合の、感光体走行時間とVL上昇量の関係を示している。
【0057】
本実施形態により、電位センサを搭載し所定のタイミングでVL上昇量を検知し、検知したVL上昇量に基づいて光照射時間を決定することで、適切な照射時間で効率良くVLを低下させることができ、感光体の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を防止することができる。
【0058】
(実施形態8)
本実施形態に係る画像形成装置は、図13に示すように感光体表面電位を検知する電位センサ9と、図示しない表面電位記憶手段と、感光体初期のVRを表面電位記憶手段に記憶するモードを備え、マシン設置時や出荷時又は感光体交換時等に、この感光体初期のVRを記憶するモードを実行することにより感光体初期のVRを記憶する。感光体初期のVRを記憶するモードを実行すると、帯電と除電を行い、VRを検知、記憶する。さらにVR検知は、積算1000プリントを超えたプリント終了時および電源投入時にも行う。なお、VR検知後は積算1000プリントをカウントするカウンタはリセットされる。この検知したVRと、記憶された感光体初期のVRの差であるΔVRと、上記実施形態3に記載の方法と同様にして求めた、光照射による単位時間あたりのVR低下量Bを下記式(4)に代入して得られる時間T5だけ、感光体停止中に光源8によって光照射を行う。光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合は、一旦光照射を中断し画像形成動作終了後に光照射を再開し、光照射時間がT5に達するもしくは積算1000プリントを超えたプリント終了時であるVR検知タイミングに達した場合にはT5をリセットする。
【0059】
T5 = ΔVR/B・・・式(4)
【0060】
なお、本実施形態におけるBの値は上記実施形態3と同様の方法で測定し、図15に示す結果から0.3としている。このような構成としたことにより、上記実施形態7と同様に、実際のVRと予測したVRのズレによる無駄な光照射を発生させることがない。さらに、上記実施形態7のように、VL検知毎にVLパターンを作成する必要がないため、ダウンタイムを低減することができ、かつ図16に示すように、VLの上昇を抑制することができる。
【0061】
なお、図16のグラフは、本実施形態における、温度:23℃、湿度:50%、感光体帯電電位:-800V、書込み光量:110μW、書込みパターン:黒ベタ、転写電流:130μAという条件で、画像形成動作と待機状態をそれぞれ5分間ずつ交互に繰り返した場合の、感光体走行時間とVL上昇量の関係を示している。
【0062】
VLが上昇するのは、感光体の繰り返し使用等によりトラップされた電荷担体が増大し、感光体表面と電荷発生位置間の電界強度が低下することによる感度低下が原因である。そのため、このVL上昇分の電位は、VRの上昇分とほぼ等しくなる。VLを検知するには感光体表面を帯電させVLパターンの書込みを行う必要があるが、VRを検知するには感光体を除電するだけで良く簡便である。
【0063】
本実施形態により、上記実施形態7に記載の画像形成装置において、VLではなくVRを検知することで、感光体を帯電させVLパターンの書込みを行うという動作の必要が無く、感光体の感度低下をより簡単で即座に検知できるようにし、ダウンタイムを短くすることが可能となる。さらに、上記実施形態7と同様に適切な照射時間で効率良くVLを低下させることができ、感光体の長期使用による感度低下に起因する画像品質の劣化を防止することが可能となる。
【0064】
なお、図5のフローチャートに示す処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0065】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した画像形成装置及びVL上昇制御方法に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の内部機構の全体概略構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の作像機構の拡大構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の感光体の概略構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体停止状態に光源を点灯した場合と、光源を点灯しない場合のVL上昇量の例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置において、光源により光照射する処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置の感光体走行時間と露光部の電位上昇量との関係例を示すグラフである。
【図7】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体停止状態に光源を用いて光照射を行った場合の、光照射時間とVL低下量との関係例を示すグラフである。
【図8】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体走行時間とVL上昇量との関係例を示すグラフである。
【図9】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体走行時間とVL上昇量との関係例を示すグラフである。
【図10】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体走行時間とVL上昇量との関係例を示すグラフである。
【図12】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【図13】本実施形態に係る画像形成装置の感光体周辺の概略構成例を示す図である。
【図14】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体走行時間とVL上昇量との関係例を示すグラフである。
【図15】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体停止状態に光源を用いて光照射を行った場合の、光照射時間とVR低下量との関係例を示すグラフである。
【図16】本実施形態に係る画像形成装置において、感光体走行時間とVL上昇量との関係例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
8 光源
9 電位センサ
10 画像形成装置
12 感光体
13 帯電装置
14 現像装置
15 転写・搬送装置
16 クリーニング装置
17 除電装置
18 レーザ書込み装置
20 レーザダイオード等の光源
21 走査用の回転多面鏡
22 ポリゴンモータ
23 fθレンズ等の走査光学系
25 定着装置
26 定着ローラ
27 加圧ローラ
30 原稿読取装置
31 光源
32 複数のミラー
33 結像レンズ
34 イメージセンサ
51 現像ローラ
52 現像ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性支持体上に透光性導電層と電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光層とを積層する感光体と、
前記感光層に対して光照射する光源と、を有し、
前記光源は、前記感光体停止中に、前記感光層に光照射を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
パラメータを記憶する記憶部をさらに有し、
前記光源による光照射時間は、
所定の時間帯電及び露光を連続して繰り返した際の、単位時間あたりのVLもしくはVR上昇量Aと、
前記VLが変化した感光体において、前記感光体停止中に前記光源により所定の光量で光照射を行った場合の、単位時間あたりのVLもしくはVR低下量Bと、
画像形成動作開始時から連続画像形成終了時までの前記感光体走行時間T1と、を下記式(1)に代入して得られる時間T2であり、
前記記憶部は、前記光源による光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合の前記T2の残り時間T3を記憶し、
前記光源は、前記記憶部が前記T3を記憶した場合には、前記感光体停止中に前記T2と前記T3との和の時間、前記感光層に光照射を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
T2 = T1*A/B・・・式(1)
【請求項3】
前記光源は、光照射開始時の前記T2と前記T3との和の値が所定の値以上であった場合に、印刷動作に優先して前記感光層に光を照射することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
電源をON及びOFFするメインスイッチをさらに有し、
前記光源は、前記メインスイッチOFF状態時に前記感光層に光を照射することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
外部電源に接続されるPSUと、
電力蓄積可能な内部電源と、をさらに有し、
前記光源は、前記外部電源及び前記内部電源の何れかの電力を用いて前記感光層に光照射を行うことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、
前記表面電位検知装置により検知された表面電位を記憶する表面電位記憶部と、をさらに有し、
前記光源は、前記感光体停止中であって、前記感光体初期のVLと所定のタイミングで検知するVLとの差ΔVLと前記Bとが下記式(3)を満たす時間T4だけ、前記感光層に光照射を行い、
前記記憶手段は、前記T4及び前記光源による光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合の前記T4の残り時間を記憶し、光照射時間が前記T4に達する場合及び所定のVL検知タイミングに達する場合の何れかには前記T4をリセットすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
T4 = ΔVL/B・・・式(3)
【請求項7】
前記感光体の表面電位を検知する表面電位検知装置と、
前記表面電位検知装置により検知された表面電位を記憶する表面電位記憶部と、をさらに有し、
前記光源は、前記感光体停止中であって、前記感光体初期のVRと所定のタイミングで検知するVRとの差ΔVRと前記Bとが下記式(4)を満たす時間T5だけ、前記感光層に光照射を行い、
前記記憶手段は、前記T5及び前記光源による光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合の前記T5の残り時間を記憶し、光照射時間が前記T5に達する場合及び所定のVR検知タイミングに達する場合の何れかには前記T5をリセットすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
T5 = ΔVR/B・・・式(4)
【請求項8】
透光性支持体上に透光性導電層と電荷発生材料としてチタニルフタロシアニンを含有する感光層とを積層する感光体に静電潜像を現像するステップと、
前記静電潜像を記録媒体に転写するステップと、
前記感光体に対して光照射を行うステップと、を有し、
前記照射を行うステップは、前記感光体停止中に、前記感光体に光照射を行うことを特徴とするVL上昇制御方法。
【請求項9】
前記感光体走行時間T1を算出するステップと、
所定の時間帯電及び露光を連続して繰り返した際の単位時間あたりのVLもしくはVR上昇量Aと、前記VLが変化した感光体において感光体停止中に前記光源により所定の光量で光照射を行った場合の単位時間あたりのVLもしくはVR低下量Bと、前記算出するステップで算出した画像形成動作開始時から連続画像形成終了時までの前記T1と、を下記式(1)に代入して得られる感光体光照射時間T2を算出するステップと、
画像形成動作の開始時に前記T2の光照射が完了しているか否かを判断するステップと、
前記判断するステップにより光照射が完了していないと判断された場合に、前記T2の残り時間T3を記憶するステップと、を有し、
前記照射を行うステップは、前記記憶するステップにより前記T3が記憶された場合には、前記画像形成動作の終了時に前記算出するステップにより新たに算出されたT1に基づいて算出されるT2と、前記T3を記憶するステップにより記憶されたT3と、の和の時間光照射を行うことを特徴とする請求項8記載のVL上昇制御方法。
T2 = T1*A/B・・・式(1)
【請求項10】
前記感光体の表面電位を検知するステップと、
前記検知するステップにより検知された表面電位を記憶するステップと、
前記感光体初期のVLと所定のタイミングで検知するVLとの差ΔVLと前記Bとが下記式(3)を満たす時間T4を算出するステップと、
前記光照射時間が前記T4に達する場合及び所定のVL検知タイミングに達する場合の何れかには前記T4をリセットするステップと、をさらに有し、
前記照射を行うステップは、前記感光体停止中に時間T4を算出するステップにより算出されたT4だけ光照射を行い、光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合は一旦光照射を中断し画像形成動作終了後に光照射を再開することを特徴とする請求項8又は9に記載のVL上昇制御方法。
T4 = ΔVL/B・・・式(3)
【請求項11】
前記感光体の表面電位を検知するステップと、
前記検知するステップにより検知された表面電位を記憶するステップと、
前記感光体初期のVRと所定のタイミングで検知するVRとの差ΔVRと前記Bが下記式(4)を満たす時間T5を算出するステップと、
前記光照射時間が前記T5に達する場合及び所定のVR検知タイミングに達する場合の何れかには前記T5をリセットするステップと、をさらに有し、
前記照射を行うステップは、前記感光体停止中に時間T5を算出するステップにより算出された時間T5だけ、前記感光層に光照射を行い、光照射が完了する以前に画像形成動作を行う必要が生じた場合は一旦光照射を中断し画像形成動作終了後に光照射を再開することを特徴とする請求項8又は9に記載のVL上昇制御方法。
T5 = ΔVR/B・・・式(4)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−54844(P2010−54844A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220130(P2008−220130)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】