説明

画像形成装置

【課題】露光ヘッドおよび現象ローラと感光体ドラムとの位置決め精度を向上させ、さらに、位置決め用の部品コストを低減する。
【解決手段】露光ヘッド16に位置決め用当接部材44を設け、圧縮コイルバネ46で位置決め用当接部材44を感光体ドラム12に付勢当接させる。第1転写ローラ15を圧縮コイルバネ52で感光体ドラム12に付勢当接させる。さらに、現像ローラ19の回転軸19Aに位置決め用当接部材56を取付け、圧縮コイルバネ58で位置決め用当接部材56を感光体ドラム12に付勢当接させる。圧縮コイルバネ46、52、58の付勢力は同一とし、露光ヘッド16、第1転写ローラ15、現像ローラ19は、感光体ドラム12の回りに等間隔に配置される。これにより、感光体ドラム12の軸受内でのガタ分のズレを抑制し、露光ヘッド16、現像ローラ19の感光体ドラム12に対する位置決め精度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光手段によって像担持体に形成された静電潜像を現像手段によってトナーで現像し、現像手段によって形成されたトナー像を像担持体から記録媒体に転写する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムの表面に画像情報に応じた静電潜像を書き込む露光手段としてLEDアレイヘッドを用いた画像形成装置では、LEDアレイと感光体ドラムとの離間距離や角度が、LEDアレイヘッドによって感光体ドラムの表面に照射される光の照射位置やスポット径等に多大な影響を及ぼす。このため、LEDアレイヘッドの感光体ドラムに対する位置決め精度の要求は極めて高い。
【0003】
従来から、LEDアレイヘッドの感光体ドラムに対する位置決め方法は種々考案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。特許文献1では、LEDアレイヘッドに位置決め用当接部を設け、この位置決め用当接部を、感光体ドラムに取付けられたベアリングに当接させることで、LEDアレイヘッドと感光体ドラムとの位置決めを行っている。また、特許文献2、3では、LEDアレイヘッドと感光体ドラムとの距離を定めるスペーサやトラッキングロール等を、LEDアレイヘッド又は感光体ドラムに設け、LEDアレイヘッドを感光体ドラム側へ付勢している。さらに、特許文献4では、感光体ドラムの両端部をベアリングを介してフレームに取り付け、露光手段等の作像エレメントの感光体ドラムに対する位置決めを、ベアリングの外周を基準として行う。
【0004】
しかしながら、特許文献1乃至4では、感光体ドラムの外径とベアリング、ベアリングと支持フレームとの嵌め合い公差や加工誤差により、感光体ドラムとベアリング、ベアリングと支持フレームとの間にガタが生じる。
【0005】
このため、特許文献1の構成では、このガタ分だけ位置決め用当接部材と感光体ドラムとの間に隙間が出来、LEDアレイヘッドと感光体ドラムとの間隔を所望の距離にすることが出来なくなる。また、特許文献2、3では、付勢力により、感光体ドラムの位置が上記ガタの分だけずれてしまうので、LEDアレイヘッドが感光体ドラムに対して傾きを持ってしまうことも有り得る。また、感光体ドラムの位置がずれることによって、現像ローラと感光体ドラムとの距離に誤差が生じてしまう。
【0006】
さらに、特許文献4では、特許文献1乃至3と同様、上記ガタによって作像エレメントと感光体ドラムとの位置決め精度が狂ってしまうし、ベアリングの加工精度の要求が極めて高くなってしまい、コストアップになるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−80156号公報
【特許文献2】特開2002−361931号公報
【特許文献3】特開2000−255100号公報
【特許文献4】特開2001−305912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、露光手段と像担持体との位置決め精度を向上させると共に、現像手段と像担持体との位置決め精度を向上し、さらに、位置決め用の部品のコストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の画像形成装置は、支持部材の軸受部に回転可能に支持された像担持体と、前記像担持体に露光により静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段によって前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記現像手段によって前記像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記露光手段に設けられ、前記像担持体に当接して前記露光手段を前記像担持体に対して位置決めする第1位置決め部材と、前記現像手段に設けられ、前記像担持体に当接して前記現像手段を前記像担持体に対して位置決めする第2位置決め部材と、前記露光手段を前記像担持体側に付勢する第1付勢手段と、前記現像手段を前記像担持体側に付勢する第2付勢手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の画像形成装置では、まず、露光手段が像担持体を露光して像担持体に静電潜像を形成し、現像手段が、露光手段によって像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像する。そして、転写手段が、現像手段によって像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する。
【0010】
また、露光手段には第1位置決め部材が設けられており、この第1位置決め部材は、露光手段が第1付勢手段によって像担持体側に付勢されることで像担持体に当接し、露光手段を像担持体に対して位置決めする。
【0011】
ここで、像担持体は、支持部材の軸受部に回転可能に支持されている。即ち、像担持体と支持部材の軸受部との間には、像担持体が回転できるだけの嵌め合い公差が設けられている。また、支持部材の軸受部と像担持体には加工誤差があることも考えられる。このため、像担持体と支持部材の軸受部との間にはガタが生じ、像担持体は第1付勢手段の付勢力でガタ分だけずれようとする。すると、現像手段の像担持体に対する位置決め精度が低下する。
【0012】
そこで、請求項1に記載の画像形成装置では、第2付勢手段で現像手段を像担持体側に付勢し、現像手段に設けた第2位置決め部材を像担持体に当接させることで、現像手段の像担持体に対する位置決め精度を向上させている。
【0013】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記転写手段を前記像担持体側に付勢する第3付勢手段を有し、前記像担持体の芯部に向う前記第1乃至第3付勢手段の付勢力が相殺されるように前記露光手段、前記現像手段、及び前記転写手段を配置し、前記第1乃至第3付勢手段の付勢力を設定したことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の画像形成装置では、現像手段を第2付勢手段によって、転写手段を第3付勢手段によってそれぞれ像担持体側に付勢している。
【0015】
ここで、像担持体の芯部に向う第1乃至第3付勢手段の付勢力が相殺されるように、露光手段、現像手段、転写手段を配置し、第1乃至第3付勢手段の付勢力を設定している。これによって、像担持体の軸受部内でのズレが生じないので、露光手段と像担持体、現像手段と像担持体、更には転写手段と像担持体との位置決め精度を向上できる。また、ベアリング等の高価な位置決め部材が不要となる。
【0016】
また、像担持体が支持部材の軸受部の一部にのみ押圧されるということがないので、像担持体に偏磨耗が生じることがない。また、像担持体の回転負荷を抑制できるので、像担持体用のモータの回転トルクを小さくすることができ、電力、部品コストを低減できる。
【0017】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記露光手段、前記現像手段、及び前記転写手段を前記像担持体の回りに等間隔に配置し、前記第1乃至第3付勢手段の付勢力を同一にしたことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の画像形成装置では、露光手段、現像手段、及び転写手段を像担持体の回りに等間隔に配置し、第1乃至第3付勢手段の付勢力を同一にしている。これによって、像担持体に作用する第1乃至第3付勢手段の付勢力が相殺され、像担持体の軸受部内でのズレが生じない。
【0019】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項2又は3に記載の画像形成装置であって、前記記録媒体が、前記像担持体を従動して回転させる中間転写ベルトであることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の画像形成装置では、請求項2、3と同様、像担持体の回転負荷が抑制されているので、像担持体が中間転写ベルトの回転に従動して回転させるように構成することが可能となっている。これによって、像担持体を回転させるためのモータが不要となり、コストを低減できる。
【0021】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記露光手段と前記像担持体との距離の公差、及び前記現像手段と前記像担持体との距離の公差を共に±120μm以下としたことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の画像形成装置では、上述したように、像担持体の軸受部内でのズレ量を抑制することで、露光手段と像担持体との距離の公差、及び現像手段と像担持体との距離の公差を共に±120μm以下とし、露光ムラ、照射位置のズレ、像担持体へのトナー供給量のバラツキ等を許容レベル以下まで抑制している。これによって、濃度ムラの無い高画質の画像形成が可能となる。
【0023】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記露光手段が、LEDアレイであることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の画像形成装置では、露光手段をLEDアレイとすることで露光手段を小型化している。
【0025】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記露光手段が、有機ELアレイであることを特徴とする。
【0026】
請求項7に記載の画像形成装置では、露光手段を有機ELアレイとすることで露光手段を小型化し、また、露光ムラを低減している。
【発明の効果】
【0027】
本発明は上記構成にしたので、露光手段と像担持体との位置決め精度を向上できると共に、現像手段と像担持体との位置決め精度を向上でき、さらに、位置決め用の部品のコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態のレーザービームプリンタ11の概略構成を示している。レーザービームプリンタ11は、公知の電子写真プロセスを適用して記録紙Pに画像を形成する。なお、公知の電子写真プロセスとは、感光体ドラム12に対する帯電、感光体ドラム12への露光による静電潜像の形成、トナーによる静電潜像の現像を経て、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を記録紙Pに転写し、そして、トナー像を記録紙Pに定着することで、画像を記録する一連のプロセスを言う。
【0030】
また、レーザービームプリンタ11は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色トナーを用いて記録紙Pにカラー画像の形成が可能とされたものである。
【0031】
なお、以下の説明において、本発明の本質とは直接関係しないものについては、詳細な説明を省略する。
【0032】
図1に示すように、レーザービームプリンタ11は、下部に給紙部20が配置されている。給紙部20には、記録紙Pが収容された給紙カセット21が備えられている。
【0033】
給紙部20の上部には、画像形成部30が配置されている。画像形成部30は、前述した公知の電子写真プロセスにより、給紙部20から送られてきた記録紙Pにカラー画像を形成する。
【0034】
画像形成部30の上部は、記録紙Pが排出される排紙トレイ40となっており、排紙トレイ40の左側には、搬送部100が設けられている。搬送部100は画像形成部30で画像が形成された記録紙Pを、排紙トレイ40へ搬送し排紙する。
【0035】
つぎに、画像形成部30の構成の概要と記録紙Pにカラー画像の形成を行うプロセスの概要とを説明する。
【0036】
図1に示すように、画像形成部30には、4つの感光体ドラム12が並んで回転可能に配設されている。各感光体ドラム12は駆動手段(図示省略)により、矢印Kの方向に回転する。
【0037】
各感光体ドラム12の左斜め下部には帯電ローラ14が感光体ドラム12に接触するように配設されており、帯電ローラ14に帯電バイアスVcを印加し、感光体ドラム12の表面を所定の電位に帯電する。帯電後、各感光体ドラム12の下方に配置された各露光ヘッド16によって出射された光LB(図2参照)によって露光が行われ、画像情報に応じた潜像が感光体ドラム12の表面に形成される。各色の現像器18の現像ローラ19には、所定の極性に帯電した各色トナーが担持されている。各感光体ドラム12の表面に形成された潜像は、現像ローラ19に現像バイアスVdを印加することで現像され各色トナー像となる。
【0038】
4個の各感光体ドラム12にそれぞれ形成された各色のトナー像は、各感光体ドラム12の上方に配置された中間転写ベルト13上に第1転写ローラ15で転写され、中間転写ベルト13上に重畳されてフルカラーのトナー像となる。
【0039】
一方、給紙カセット21に収容された記録紙Pが、ピックアップローラ26により送り出され、搬送ローラ28によって画像形成部30に送られる。
【0040】
画像形成部30に送られた記録紙Pは搬送ローラ64で搬送され、レジストローラ68により所定のタイミングで第2転写ローラ134と中間転写ローラ131とのニップ部に送られ、フルカラーのトナー像が記録紙Pに転写される。なお、中間転写ローラ131側の記録紙Pの面にトナー像は転写される。
【0041】
フルカラーのトナー像が転写された記録紙Pは定着器136に送られる。定着器136は熱と圧力とで記録紙Pにトナー像を定着する。トナー像が定着した記録紙Pは、排出ローラ204によって排紙トレー40へ排出される。
【0042】
一方、中間転写ベルト13と記録紙Pとにトナー像は全て転写されずに、一部は感光体ドラム12及び中間転写ベルト13に残留トナーとして残る。この残留トナーは、クリーニング装置138で除去される。
【0043】
図2に示すように、各色の露光ヘッド16は、、感光体ドラム12の外周面に対向して感光体ドラム12の回転軸方向Jに延在し、感光体ドラム12に対して画像形成用の光を出射するLEDアレイ142と、LEDアレイ142から出射された光を感光体ドラム120上に結像させるレンズアレイ144とから構成されている。LEDアレイ142は、600dpiの間隔でLED146が感光体ドラム12の回転軸方向Jに1列に配置されている。なお、各LED146は電流制御によって容易に個別に光量の制御が可能である。よって、各LED146の光量を制御することで、感光体ドラム12に露光される光LBの露光量が変化し、形成される潜像を制御できる。具体的には、光量を上げると記録紙Pに形成される画像の濃度が濃くなり、また点や線も大きくなる。反対に光量を下げると、濃度が薄くなり、点や線も小さくなる。
【0044】
ここで、LEDアレイ142、レンズアレイ144と感光体ドラム12との距離、角度が、露光ヘッド16によって感光体ドラム12の表面に照射される光LBの照射位置やスポット径等に多大な影響を及ぼす。このため、LEDアレイ142、レンズアレイ144の感光体ドラム12に対する位置決め精度の要求は、極めて高い。
【0045】
以下、露光ヘッド16等の感光体ドラム12に対する位置決め機構について説明する。
【0046】
図3に示すように、感光体ドラム12は、軸受22を介してフレーム23に回転可能に支持される。感光体ドラム12の外径D1と軸受22の内径D2には、感光体ドラム12を回転可能とするだけの嵌合い公差が設けられている。また、感光体ドラム12の直径D1、軸受22の内径D2には多少の加工誤差があることが考えられる。
【0047】
また、軸受22の外径D3と、軸受22が取付けられるフレーム23の取付穴23Aの内径D4には、軸受22を取付穴23Aに嵌め込むことができるだけの嵌合い公差が設けられ、また、軸受22の外径D3、取付穴の内径D4には多少の加工誤差があることが考えられる。
【0048】
このため、感光体ドラム12と軸受22との間、及び軸受22と取付穴23Aとの間には微小なガタがあり、感光体ドラム12の微小なズレによって露光ヘッド16の感光体ドラム12に対する位置決め精度が低下し、露光ムラ等が発生することも考えられる。このため、本発明の露光ヘッド16の感光体ドラム12に対する位置決め機構では、感光体ドラム12の微小なズレを抑制することで、露光ヘッド16の感光体ドラム12に対する位置決め精度を向上している。
【0049】
図4乃至図6に示すように、露光ヘッド16では、LEDアレイ142、レンズアレイ144が支持部材42に支持されている。この支持部材42は、感光体ドラム12の軸方向に延出する棒材で、長手方向両端部を図示しない支持部材によって感光体ドラム12に対して接離可能に支持されている。また、支持部材42の長手方向の両端面には、位置決め用当接部材44が取付けられている。
【0050】
この位置決め用当接部材44は、支持部材42の長手方向の両端面からレンズアレイ144よりも感光体ドラム12側に突出したV字状の板材である。この位置決め用当接部材44の感光体ドラム12側は、中央部が凹、両端部が凸のV字形状となっており、両端部(先端部)が感光体ドラム12に当接する当接部44Aとなっている。また、位置決め用当接部材44の感光体ドラム12の反対側にはボス44Bが設けられており、このボス44Bには圧縮コイルバネ46の伸縮方向一端部が嵌め込まれている。また、圧縮コイルバネ46を支持するための支持部材48には、ボス48Aがボス44Bに対向して設けられており、圧縮コイルバネ46の伸縮方向他端部がこのボス48Aに嵌め込まれている。
【0051】
即ち、位置決め用当接部材44は、圧縮コイルバネ46の付勢力で感光体ドラム12側に付勢され、当接部44Aを感光体ドラム12の非感光面12Aに当接させる。これにより、感光体ドラム12の微小なズレが無ければLEDアレイ142、レンズアレイ144と感光体ドラム12との距離、角度を設計値にすることが出来る。
【0052】
ここで、感光体ドラム12の微小なズレを抑制するための機構について説明する。
【0053】
図4乃至図6に示すように、第1転写ローラ15の回転軸15Aの両端部には、バネホルダー50が取付けられている。このバネホルダー50には感光体ドラム12の反対側へ突出したボス50Aが立設されており、このボス50Aには圧縮コイルバネ52の伸縮方向一端部が嵌め込まれている。また、圧縮コイルバネ52を支持するための支持部材54には、ボス54Aがボス50Aに対向して設けられており、圧縮コイルバネ52の伸縮方向他端部がこのボス54Aに嵌め込まれている。即ち、第1転写ローラ15は、圧縮コイルバネ52の付勢力で感光体ドラム12に押し付けられている。
【0054】
また、現像ローラ19の回転軸19Aの両端部には、位置決め用当接部材56が取付けられている。この位置決め用当接部材56は、現像ローラ19の外周よりも感光体ドラム12側に突出したV字状の板材である。この位置決め当接部材56の感光体ドラム12側は、中央部が凹、両端部が凸のV字形状となっており、両端部(先端部)が感光体ドラム12に当接する当接部56Aとなっている。また、位置決め用当接部材56の感光体ドラム12の反対側にはボス56Bが設けられており、このボス56Bには圧縮コイルバネ58の伸縮方向一端部が嵌め込まれている。また、圧縮コイルバネ58を支持するための支持部材60には、ボス60Aがボス56Bに対向して設けられており、圧縮コイルバネ58の伸縮方向他端部がこのボス60Aに嵌め込まれている。
【0055】
即ち、位置決め用当接部材56は、圧縮コイルバネ58の付勢力で感光体ドラム12側に付勢され、当接部56Aを感光体ドラム12の非感光面12Aに当接させる。これにより、感光体ドラム12の微小なズレが無ければ現像ローラ19と感光体ドラム12との距離を設計値にすることが出来る。
【0056】
ここで、露光ヘッド16、現像ローラ19、第1転写ローラ15は、感光体ドラム12の回りに等間隔に配置されている。また、感光体ドラム12に作用する圧縮コイルバネ46、52、58の付勢力が同一となるように、圧縮コイルバネ46、52、58の取付長や弾性率等を設定している。
【0057】
これにより、感光体ドラム12の軸心Oに向う圧縮コイルバネ46、52、58の付勢力が相殺されるので、感光体ドラム12が軸受22内で一方向に偏ることがなく、又、軸受22が取付穴23A内で一方向に偏ることがない。即ち、感光体ドラム12の軸心Oと取付穴23Aの中心O´とを一致させることができるので、LEDアレイ142、レンズアレイ144と感光体ドラム12との距離、角度の精度、及び現像ローラ19と感光体ドラム12との距離の精度を向上させることができる。
【0058】
なお、LEDアレイ142、レンズアレイ144と感光体ドラムとの距離の公差、及び現像ローラ19と感光体ドラム12との距離の公差は、±50μm以下が望ましいが、±120μm以下であれば、露光ムラ、光の照射位置のズレ、現像ローラ19から感光体ドラム12へのトナー供給量のバラツキ等の実用上の問題の発生を防止できる。本実施形態によると、感光体ドラム12の嵌め合い公差や加工誤差をキャンセルできるので十分に達成可能である。従って、濃度ムラのない高画質な画像形成を行うことができる。また、本実施形態では、ベアリング等の高価な位置決め用の部品が不要となるので、コストを低減できる。
【0059】
また、感光体ドラム12が、従来のように露光ヘッド16を感光体ドラム12側に付勢する付勢力で軸受22の一部に押付けられるようなことがないので、感光体ドラム12に偏磨耗が発生することがなく、さらには、感光体ドラム12の回転負荷を抑制することができる。このため、本実施形態では、感光体ドラム12を中間転写ベルト13に従動して回転させる構成とすることが可能となり、感光体ドラム12を回転させるモータを設けずにコストダウンすることが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、露光ヘッド16の小型化のために、露光手段としてLEDアレイ142を用いたが、これに限らず、有機ELアレイ等も適用可能である。有機ELアレイは、LEDアレイと同様、小型化に適しており、また、LEDアレイと比して露光ムラが少ない。
【0061】
また、本実施形態では、所謂タンデム式のフルカラーレーザープリンタを例に取って本発明を説明したが、これに限らず、モノクロレーザープリンタ等にも適用可能である。なお、モノクロレーザープリンタの場合、記録媒体が、中間転写ベルトではなく記録紙になる場合がある。
【0062】
さらに、本実施形態では、露光ヘッド16、現像ローラ19、第1転写ローラ15を感光体ドラム12側に付勢する付勢力によって感光体ドラム12を3点支持することで、感光体ドラム12のズレを抑制したが、これに限らず、露光ヘッド16、現像ローラ19(又は第1転写ローラ15)を感光体ドラム12側に付勢する付勢力による2点支持でも感光体ドラム12のズレを抑制することが可能である。この場合、露光ヘッド16、現像ローラ19(又は第1転写ローラ15)を対向させて(180度間隔で)配置し、付勢力を同一にすることで感光体ドラム12のズレを無くすことができる。また、3点支持の場合でも、本実施形態のように、露光ヘッド16、現像ローラ19、第1転写ローラ15を等間隔に配置し、付勢力を同一にすることは必須ではなく、これらは、感光体ドラムの軸心に向う付勢力が相殺されるように設定されていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態のレーザービームプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態のレーザービームプリンタの露光ヘッドを模式的に示す図である。
【図3】本実施形態のレーザービームプリンタの感光体ドラムの支持構造を示す分解斜視図である。
【図4】本実施形態のレーザービームプリンタの画像形成部の概略構成を示す図である。
【図5】本実施形態のレーザービームプリンタの画像形成部を示す斜視図である。
【図6】本実施形態のレーザービームプリンタの画像形成部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
11 レーザービームプリンタ(画像形成装置)
12 感光体ドラム(像担持体)
13 中間転写ベルト(記録媒体)
15 第1転写ローラ(転写手段)
16 露光ヘッド(露光手段)
19 現像ローラ(現像手段)
22 軸受(軸受部)
23 フレーム(支持部材)
44 位置決め用当接部材(第1位置決め部材)
46 圧縮コイルバネ(第1付勢手段)
52 圧縮コイルバネ(第3付勢手段)
56 位置決め用当接部材(第2位置決め部材)
58 圧縮コイルバネ(第2付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材の軸受部に回転可能に支持された像担持体と、
前記像担持体に露光により静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段によって前記像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段と、
前記現像手段によって前記像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記露光手段に設けられ、前記像担持体に当接して前記露光手段を前記像担持体に対して位置決めする第1位置決め部材と、
前記現像手段に設けられ、前記像担持体に当接して前記現像手段を前記像担持体に対して位置決めする第2位置決め部材と、
前記露光手段を前記像担持体側に付勢する第1付勢手段と、
前記現像手段を前記像担持体側に付勢する第2付勢手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写手段を前記像担持体側に付勢する第3付勢手段を有し、
前記像担持体の芯部に向う前記第1乃至第3付勢手段の付勢力が相殺されるように前記露光手段、前記現像手段、及び前記転写手段を配置し、前記第1乃至第3付勢手段の付勢力を設定したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光手段、前記現像手段、及び前記転写手段を前記像担持体の回りに等間隔に配置し、前記第1乃至第3付勢手段の付勢力を同一にしたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体が、前記像担持体を従動して回転させる中間転写ベルトであることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記露光手段と前記像担持体との距離の公差、及び前記現像手段と前記像担持体との距離の公差を共に±120μm以下としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記露光手段が、LEDアレイであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記露光手段が、有機ELアレイであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−11267(P2006−11267A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191551(P2004−191551)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】