説明

画像形成装置

【課題】 プリント出力後に排紙部に放置される機密文書へのセキュリティ対策を、ユーザを煩わせる入力操作を極力なくし、かつ機密を保つべき文書にもれなく対応し、既存の構成に容易に適用可能なものにすること。
【解決手段】 ドライバ情報(出力要求を指示するコマンド)にマル秘マーク等のスタンプ印字の合成処理を指示する制御データがあるか、否かを検索し、このデータがあれば、機密を保るべき文書とみなし、なければ、対象外とする判定を行う(S103)。機密文書とみなされた文書に対し、排紙部の取出し口に設けたシャッタを閉じる制御を行う(S104)。この制御によれば、ユーザによる設定等の入力操作を要せずに、装置が自律的に機密文書の判定を行い、シャッタを閉じるので、排紙部に収納された機密文書の取出しが防げ、セキュリティを保つことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント出力要求を指示するコマンドに従って記録用紙へ画像出力を行う、例えば、複写機、プリンタ、MFP(コピー、ファクシミリ、プリンタ、スキャナ配信、メール送受信等の多機能を複合させた画像処理装置;複合機)のような画像形成装置に関し、特に、機密文書等のセキュリティの保証を必要とする文書がプリント出力された後、用紙収納部(排紙トレイ)に放置される場合への対策を講じた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会や企業におけるIT化は、各々の活動を支える情報を取巻く環境を大きく変えようとしており、このような環境の変化を背景に、情報セキュリティに対する関心は非常に高くなっており、電子機器或いは電子媒体、書類などの情報媒体を安全且つ確実に管理することが求められている。
例えば、MFPにおいては、ファクシミリ受信、メール受信機能が常時、稼動状態にあって、受信時にこれらの機能が働いて、データのプリント出力が行われるので、受信に気が付かないと、出力したまま用紙収納部(排紙トレイ)に文書等が放置されることになり、第3者の目に触れやすい。また、ネットワークを介してコピー機能やプリンタ機能が使用される場合に、ユーザは離れた場所にいるといったケースもまれではなく、この場合にも、出力機の用紙収納部に文書が放置される可能性があり、プリント出力された文書等の機密の保持には、問題が生じる。
用紙収納部への放置により生じるセキュリティの問題への対応策として、プリント出力後の文書を収納するスタッカ(収容部)から文書を取出せないようにロック(施錠)し、IDやパスワード等の識別情報の入力を条件にロックを解除する方法を用いることが、下記特許文献1,2に提案されている。なお、ここでは、ネットワークを介して接続されたクライアントからプリント出力を指示するときにも、IDやパスワード等の識別情報の入力が必要である。また、特許文献1では、プリント出力を指示するときに、機密文書として扱うことを設定することにより、上記したスタッカの利用が可能となるようにしている。
また、印刷出力する画像に機密文書であることを示す情報を付加する機密印字設定が行われている場合に、ネットワーク内の特定の画像形成装置から出力を行い、機密情報の拡散を防ぐようにするシステムが、下記特許文献3に提案されている。
【特許文献1】特開2000−185449号公報
【特許文献2】特開2004−50514号公報
【特許文献3】特開2004−112517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1,2に示した従来技術では、クライアント側でIDやパスワード等の入力が必要であり、さらに、機密文書としての扱いを受ける(即ちスタッカを利用する)ためには、その設定を行う必要があるので、これらの入力は、ユーザを煩わせることになり、又ユーザがこれらの入力を忘れたために、機密を保持すべき文書が第3者の目に触れてしまう、という危険が生じる。
また、上記特許文献3に示した従来技術では、既存の処理システムを利用することができるので実現は容易であるが、反面、ネットワーク接続された2以上の画像形成装置よりなる処理システムを構成している場合に限られる。また、出力を特定の画像形成装置で行うというだけでは、機密を保持すべき文書が第3者の目に触れてしまう、という危険を全く無くすこともできない。
本発明は、機密文書等の文書がプリント出力された後に用紙収納部(排紙トレイ)に放置されることへのセキュリティ対策として提案された上述の従来技術の問題に鑑み、これを解決するためになされたもので、ユーザに煩わしさを感じさせる入力操作を極力なくし、かつ機密を保持すべき出力文書に対してもれなく対応することを可能にするとともに、既存の構成に容易に適用することを可能にすることによって、より万全なセキュリティを保証することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、プリント出力要求を指示するコマンドを入力する入力部と、前記入力部から入力されたコマンドに従いプリント出力用データを生成する画像処理部と、前記画像処理部によって生成されたプリント出力用データを用いて記録用紙に画像を形成する印字部と、前記印字部により印字された記録用紙を収納する用紙収納部と、前記用紙収納部に収納された用紙の取出しを開閉制御が可能なシャッターを閉じることにより阻止するシャッター部と、前記シャッター部のシャッターの開閉制御を行うシャッター制御手段を有する画像形成装置であって、前記入力部から入力された前記コマンドに本体画像への印字合成処理を指示するコマンドがあるか、否かを検索するプリント出力要求検索手段を備え、前記シャッター制御手段は、前記プリント出力要求検索手段によって、印字合成処理を指示するコマンドがある、という検索結果が得られたことを条件に、前記シャッター部のシャッターを閉じる制御を行うようにしたことを特徴とする画像形成装置である。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載された画像形成装置において、前記プリント出力要求検索手段は、プリンタドライバの機能を用いた印字合成処理を指示するコマンドを検索する機能を備えたことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、前記入力部に操作により処理条件を指示する操作手段を有した請求項1又は2に記載された画像形成装置において、前記プリント出力要求検索手段は、前記操作手段を通して入力された印字合成処理を指示するコマンドを検索する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、前記プリント出力要求検索手段は、機密文書を表すための印字合成処理を指示するコマンドを対象に前記コマンドを検索する機能を備えた手段であることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置において、閉じられた状態にある前記シャッター部のシャッターの開動作を指示する入力操作手段を備え、前記シャッター制御手段は、前記入力操作手段の指示に従い前記シャッター部のシャッターを開く制御を行うようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、プリント出力要求を指示するコマンドを検索することにより得られる、印字合成処理を指示するコマンドの存在を条件に、収納部に排紙された用紙の取出しを阻止するシャッターを閉じる制御を行うようにしたので、煩わしさをユーザに感じさせる入力操作の必要をなくし、又人為的なミスを発生させることなく、機密を保持すべき出力文書に対してもれなく対応することが可能になる。
特に、プリンタドライバの機能を用いて印字合成処理を指示するコマンドを検索することを可能にしたことで、通信インタフェースを介して外部のホストからの出力要求に対応することができ(請求項2)、また、装置自身の操作パネルを通して入力された印字合成処理を指示するコマンドを検索することを可能にしたことで、例えば、装置が搭載するコピー機能への出力要求にも対応することができる(請求項3)。
また、機密文書を表すための印字合成処理(例えば、マル秘などの文字等、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理)を指示するコマンドを特定して検索することで、該当する文書に絞った動作が可能になる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、プリント出力要求に応じて記録用紙(以下、単に「用紙」とも記す)への画像形成処理を行う装置に係わり、画像形成を終え、排紙される用紙が収納される収納部を持つ排紙部に、開閉制御が可能なシャッターを設け、シャッターを閉じることにより、収納部から用紙の取出しを阻止することができるようにし、用紙が第3者の目に触れたり、第3者の手に渡ることを防止する手段を備える。
シャッターを閉じる必要があるのは、機密を保持すべき文書に対してであり、対象の文書であるか、否かをプリント出力要求の内容から判断し、判断した結果に従いシャッターの開閉制御を行う機能を画像形成装置の機能として装備する。
プリント出力要求としては、原稿から読取られた画像データをもとにするコピー出力のような内部の処理要求、及び外部ホストからネットワークを介して送信されてくるプリンタドライバによる出力要求があり、ここでは、それぞれに対応して、上記した制御機能を実現する。
【0009】
以下には、コピー出力のような内部の処理要求、及び外部ホストからネットワークを介して送信されてくる出力要求に対応したプリント出力が可能な画像形成装置として、MFPを例に本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のMFPに係わる制御システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示すMFPの制御システムは、制御部1が、システムコントローラとしての機能を持ち、システムプログラムに従い装置全体を制御する。
メモリ(1)2は、制御部1が制御に用いるシステムプログラムが記憶されている。また、メモリ(2)3は、システムプログラムに従った制御動作を行うためのワークエリア等に使用される。メモリ(1)2及びメモリ(2)3は、いずれもランダムアクセスメモリ(RAM)で構成する。
圧縮伸張部4は、外部に送信する画像や画像蓄積装置(図示せず)に保存する画像等のデータ圧縮、伸張を行う。
操作部5は、操作キーとLCD(Liquid Crystal Display)タッチパネル等の表示装置で構成される操作パネルを有し、動作させるコピー、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、メール送受信等の各機能の選択や動作・処理条件を設定するオペレータ(ユーザ)の入力操作をダイアログ方式で行う(LCDの表示画面によって操作を案内したり、機器側の状態を知らせる)ことを可能とする。なお、後述する「マル秘」のスタンプ印字等の印字合成機能を利用する時のには、操作部5から設定操作が行われる。また、後述する排紙部に設けたシャッター33の開閉をオペレータ(ユーザ)が指示する時にも、操作部5のキーを操作する。
【0010】
スキャナ6は、CCDラインセンサなどの画像変換器により原稿を光学的にスキャンし、得られるアナログ画像信号をA/D変換し、画像出力に用いるデータへ処理する。
プロッタ7は、スキャナ6からの画像データや後記する通信制御部9、ホストI/F部8、LAN制御部10を介して外部から送信されてくるFAXデータやプリントデータをもとに記録用紙上に電子写真等の方式により作像を行い出力する。
ホストI/F部8は、セントロニクスI/F、USBなどで構成され、ホストコンピューターとのインターフェースであり、ホスト側からのプリント出力要求等を受取る。
通信制御部9は、通信制御と網制御を行いファクシミリ通信を行う。
LAN(Local Area Network)制御部10は、データリンク層制御及び物理層制御を行い、ネットワークを介して外部にプリント出力等の機能を提供し、外部機能を利用することを可能にしている。
I/O制御部12は、制御部1が制御に必要な情報をセンサから取得したり、制御信号をアクチュエータに与えるための入出力制御を行う。
上記各部は、制御部1の制御下でシステムバス11を通してデータ転送を行う。
【0011】
I/O制御部12を介して接続されたシャッター部13は、排紙部から用紙の取出しを阻止するためのシャッターと、シャッターの開閉を制御するためのステッピングモーター、電磁クラッチ等からなり、本実施形態では、シャッターの動作を制御するステッピングモーター及び電磁クラッチの制御は、I/O制御部12を介して行われる。
ここで、シャッター部13に設けるシャッターの配置をMFPの全体図を示す図2を参照して説明する。
図2に例示するMFP50は、シャッター部13を設け、シャッター部13を制御するための機能を新たに装備した点以外は、既存の構成を有するものである。
図2を参照して、その構成の概要を示すと、図示したMFP50は、大別すると、ADF部21、スキャナー部25、プリンタ部27、給紙部29及び排紙部31からなる。
ADF(Automatic Document Feeder)部21は、ADF原稿トレイ22にセットされた原稿を読み取り位置に搬送し、読み取り後にADF原稿排紙部23に排出する機構を持つ装置である。
スキャナー部25は、上記スキャナ6(図1)と原稿台等よりなり、原稿台に載置された原稿、或いはADFで搬送される原稿を読み取り、画像データを生成する。
プリンタ部27は、上記プロッタ7(図1)と記録用紙を操作する機構よりなり、プリント出力用のデータをもとに記録用紙上に電子写真等の方式により作像を行う。
給紙部29は、記録用紙を収容する給紙トレイ(1)〜(4)と用紙をプロッタ7に搬送する用紙搬送機構よりなる。
排紙部31は、プロッタ7でプリント出力された後、ユーザが取出すことができる位置に、印刷済みの用紙を排出する機構と排出紙の収納部32よりなり、図2の構成では、スキャナ部25とプリンタ部27の間における装置内部のスペースに排紙収納部32を設ける構成としている。
また、本実施形態では、排紙後、収納された用紙の取出しを阻止するためのシャッター33を排紙部31の取出し口に配設する。シャッター33は、通常、開いた状態にあって、用紙の取り出しを妨げない位置を占める。後述する排紙時に行われる制御部1によるシャッターの制御動作により、I/O制御部12を介してシャッター閉が指示されると、シャッター33は、ステッピングモーター、電磁クラッチの駆動により、図2における矢印に示す方向に移動し、取出し口を塞ぐ(この例では、取出し時に用紙は、排紙収納部32から紙面に垂直方向、手前に取出される)位置、即ち、破線の閉位置を占め、用紙が取出せないようになる。
【0012】
次に、上記したMFP50の排紙部31に設けたシャッター33の開閉制御に係わる実施形態を説明する。
シャッターを閉じる必要があるのは、機密を保持すべき文書に対してであり、このために、対象とする文書であるか、否かの判定をする必要がある。本実施形態では、プリント出力要求の内容から判定する。具体的には、プリント出力要求を指示するコマンドに印字合成処理を指示するコマンドがあるか、否かを検索し、このコマンドがあれば、対象とする機密を保持すべき文書であるとし、なければ、対象外の文書とする判定を行う。
上記の判定方法によって、機密を保持すべき対象であると判定された文書に対しては、排紙の際に、シャッターを閉じる制御を行うことにより、本発明の課題の解決を図る。即ち、煩わしさをユーザに感じさせる入力操作の必要をなくし、又人為的なミス(例えば、入力をし忘れる、といった単純なミス)を発生させることなく、機密を保持すべき出力文書に対して、漏れなく対応することを可能にし、従来システムの不具合(上記[発明が解決しようとする課題]の項、参照)を解消する。
【0013】
プリント出力要求としては、原稿から読取られた画像データをもとにするコピー出力のような内部の処理要求、及び外部ホストからネットワークを介して送信されてくるプリンタドライバによる出力要求があり、ここでは、それぞれに対応した処理を行うようにする。以下に示す「実施形態1」「実施形態3」は、これらの実施形態をそれぞれ示す。
また、印字合成処理を指示するコマンドの検索を行う際に、印字合成処理の内容をさらに、機密を保持すべき文書に直接関係する処理に特定し、より絞り込んだ検索を行うことにより得られる結果に従った制御を行うことを可能にし、その実施形態を以下に示す。この場合にも、内部の処理要求と外部からの処理要求それぞれについて、「実施形態2」「実施形態4」として記載する。
【0014】
「実施形態1」
先ず、外部のホスト機から送信されてくるプリンタドライバによる出力要求に対応して行う、排紙部のシャッター開閉制御に係わる実施形態を示す。
図3は、本実施形態に係わる排紙部のシャッター開閉制御のフローを示す。
制御部1は、メモリ(1)2内のシステムプログラムの一部に図3に示す制御フローを実行するためのプログラムを備え、ホスト機から送信されてくるプリント出力要求に対応する制御フローの一環としてこのプログラムによる制御動作を行う。このとき、各タスクの起動とそのスケジューリングはシステムプログラムのモニタ部により制御される。動作の同時性等については、現存するマルチタスク、リアルタイムOS(Operating System)の概念をモニタ部に用いる事により、容易に実現できる。なお、上記の動作条件は、以下に示す実施形態2〜4においても同様である。
図3の制御フローを参照して、動作を説明すると、制御部1は、システムプログラムにより、ホスト機からのプリント出力要求に応えて、プリント出力の制御を行う際に、図3の制御フローを起動する。
まず、プリント出力の完了を待ち、出力が完了すると(ステップS101-YES)、次のドライバ情報を参照する処理へ進む(ステップS102)。この処理は、ホスト機でプリンタドライバにより作成され、プリント出力を要求して送られてきたデータには、ドライバ情報として、出力画像の処理条件が指示されている。その中に、文書本文にスタンプ印字等を付加してプリント出力を行う印字合成処理を行う場合に設定されるデータが含まれる。本実施形態では、この印字合成処理の設定データに着目し、このデータが設定されている文書は、機密文書であるとみなし(つまり、スタンプ印字等の印字合成は、機密文書と関連して利用されるので、少なくとも、印字合成が設定された文書中には機密文書が含まれる)、このデータの存在をシャッター開閉制御の制御条件にする。従って、ドライバ情報を参照して、この中に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在するか、否かを検索する。
この検索を行った結果、ドライバ情報に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在しなければ(ステップS103-NO)、通常の扱いをする文書とみなして、シャッター開閉の制御は、何の動作もしないで(即ち、シャッターは開いたままにして)、処理を終了する。
他方、検索を行った結果、ドライバ情報に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在すれば(ステップS103-YES)、機密文書とみなして、シャッターを閉じる制御を行う。即ち、I/O制御部12を介してシャッター部13に制御指示を与えて、シャッター33を閉じ(ステップS104)、排紙収納部32から文書を取出すことができないようにし、処理を終了する。
【0015】
この後、プリント出力した文書を排紙収納部32から取出すためには、閉じた状態のシャッター33を開ける必要がある。このシャッター33の開動作の指示は、ユーザが即時に取出すことができるように、操作部1の操作パネルからのキー入力により行えるようにする。なお、この実施形態では、装置が自律的に行う上記したシャッター開閉制御とは別に、ユーザがシャッターを利用したいと考えた時に、出力要求をした文書を対象に機密保持が行えるように、操作部1からシャッターの閉動作についても指示し得るようにする。
図4は、本実施形態に係わる操作部からの指示による排紙部のシャッター開閉制御のフローを示す。
図4の制御フローを参照して、動作を説明すると、制御部1は、プリント出力要求に応えて、プリント出力の制御を行う際に、適当なタイミングで図4の制御フローを起動する。
まず、操作部1のパネルからシャッター33の開閉制御の指示が入力されるのを待ち、入力操作が行われると(ステップS201-YES)、次の処理ステップである、制御動作の指示がシャッター開閉のどちらの動作を指示するかをチェックする処理へ進む(ステップS202)。
チェックの結果、シャッターの閉動作が指示されている場合には、シャッター33を閉じる制御を行う。即ち、I/O制御部12を介してシャッター部13に制御指示を与えて、シャッター33を閉じ(ステップS203)、排紙収納部32から文書を取出すことができない状態にして、処理を終了する。
他方、シャッターの開動作が指示されている場合には、シャッター33を開く制御を行う。即ち、I/O制御部12を介してシャッター部13に制御指示を与えて、シャッター33を開き(ステップS203)、排紙収納部32から文書を取出すことができる状態にして、処理を終了する。
【0016】
「実施形態2」
本実施形態は、上記実施形態1をベースにして、印字合成処理を指示するコマンドの検索を行う際に、処理内容を機密文書に直接関係する印字合成処理にさらに特定し、より絞り込んだ検索を行うことにより得られる結果に従って、制御を行うようにする。上記実施形態1では、印字合成処理が設定された場合には、処理内容のいかんを問わず、機密文書であるとみなしたので、必要以上にシャッターの閉じ動作が行われる、というケースが起きる可能性がある。
そこで、本実施形態では、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理(例えば、マル秘などの文字の合成処理)に絞ることにより、制御処理を効率化し、必要以上にシャッターの閉じ動作が行われる、というケースを改善し得るようにする。
図5は、本実施形態に係わる排紙部のシャッター開閉制御のフローを示す。
この制御フローは、上記「実施形態1」をベースにしており、「実施形態1」で行っている、ドライバ情報に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在するか、否かを検索するステップに係わるステップとして、ステップS304が付加されている。ただ、これ以外の処理ステップに変わりがない。従って、ここでは、付加したステップS304に係わる処理についてのみ説明し、他の部分は、「実施形態1」の説明を参照することとし、記載を省略する。
【0017】
図5の制御フローに示すように、制御部1は、対象とする文書のドライバ情報を参照して、この中に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在するか、否かを検索し、検索結果として、制御データが存在する場合に(ステップS303-YES)、文書が機密文書である可能性がある、と判断する。
このとき、上記実施形態1では、機密文書であるとみなして、シャッターを閉じる制御を行うようにしているが、本実施形態では、さらに、印字合成処理の内容が、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理(例えば、マル秘などの文字の合成処理)であるか、否かを調べ、調べた結果に従って、シャッターを閉じる制御を行う。
即ち、印字合成処理の内容が、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理が設定されているか、否かを調べ(ステップS304)、この印字合成処理が設定されていれば、機密文書のプリント出力であると判定して、シャッターを閉じる制御を行う(ステップS305)。
この後、プリント出力した文書を排紙収納部32から取出すためには、閉じた状態のシャッター33を開ける必要がある。このシャッター33の開動作の指示は、ユーザが即時に取出すことができるように、操作部1の操作パネルからのキー入力により行えるようにする。なお、ユーザによる排紙部のシャッター開閉制御は、上記実施形態1に示した制御フロー(図4)をそのまま適用できるので、ここでは、記載を省略する。
他方、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理が設定されていなければ(ステップS304-NO)、印字合成処理が設定されていても、機密文書のプリント出力であると判断せずに、通常の扱いをする文書として、シャッター開閉の制御は、何の動作もしないで(即ち、シャッターは開いたままにして)、処理を終了する。
【0018】
「実施形態3」
次に、原稿から読取られた画像データをもとにプリント出力を行うコピー出力のような、画像形成装置内部の出力要求に対応して行う、排紙部のシャッター開閉制御に係わる実施形態を示す。
図6は、本実施形態に係わる排紙部のシャッター開閉制御のフローを示す。
図6の制御フローを参照して、動作を説明すると、制御部1は、システムプログラムにより、操作部5のパネルからの入力操作により指示されたコピー等のプリント出力要求に応えて、プリント出力の制御を行う際に、図6の制御フローを起動する。
まず、プリント出力の完了を待ち、出力が完了すると(ステップS401-YES)、次の処理ステップの、操作部情報(操作パネルへの入力操作によって指示された処理条件を示す情報)を参照する処理ステップへ進む(ステップS402)。この操作部情報の参照は、ユーザが操作パネルを通して指示したプリント出力の処理条件の中に、文書本文にスタンプ印字等を付加してプリント出力を行う印字合成処理を行う場合に設定されるデータが含まれているからである。本実施形態では、この印字合成処理の設定データに着目し、このデータが設定されている文書は、機密文書であるとみなし(つまり、スタンプ印字等の印字合成は、機密文書と関連して利用されるので、少なくとも、印字合成が設定された文書中には機密文書が含まれる)、このデータの存在をシャッター開閉制御の制御条件にする。従って、操作部情報を参照して、この中に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在するか、否かを検索する。
この検索を行った結果、操作部情報に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在しなければ(ステップS403-NO)、通常の扱いをする文書とみなして、シャッター開閉の制御は、何の動作もしないで(即ち、シャッターは開いたままにして)、処理を終了する。
他方、検索を行った結果、操作部情報に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在すれば(ステップS403-YES)、機密文書とみなして、シャッターを閉じる制御を行う。即ち、I/O制御部12を介してシャッター部13に制御指示を与えて、シャッター33を閉じ(ステップS404)、排紙収納部32から文書を取出すことができないようにして、処理を終了する。
この後、プリント出力した文書を排紙収納部32から取出すためには、閉じた状態のシャッター33を開ける必要がある。このシャッター33の開動作の指示は、ユーザが即時に取出すことができるように、操作部1の操作パネルからのキー入力により行えるようにする。なお、ユーザによる排紙部のシャッター開閉制御は、上記実施形態1に示した制御フロー(図4)をそのまま適用できるので、ここでは、記載を省略する。
【0019】
「実施形態4」
本実施形態は、上記実施形態3をベースにして、印字合成処理を指示するコマンドの検索を行う際に、処理内容を機密文書に直接関係する印字合成処理にさらに特定し、より絞り込んだ検索を行うことにより得られる結果に従って、制御を行うようにする。上記実施形態3では、印字合成処理が設定された場合には、処理内容の如何を問わず、機密文書であるとみなしたので、必要以上にシャッターの閉じ動作が行われる、というケースが起きる可能性がある。
そこで、本実施形態では、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理(例えば、マル秘などの文字の合成処理)に絞ることにより、制御処理を効率化し、必要以上にシャッターの閉じ動作が行われる、というケースを改善し得るようにする。
図7は、本実施形態に係わる排紙部のシャッター開閉制御のフローを示す。
この制御フローは、上記「実施形態3」をベースにしており、「実施形態3」で行っている、操作部情報に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在するか、否かを検索するステップに係わるステップとして、ステップS504が付加されている。ただ、これ以外の処理ステップに変わりがない。従って、ここでは、付加したステップS504に係わる処理についてのみ説明し、他の部分は、「実施形態3」の説明を参照することとし、記載を省略する。
【0020】
図7の制御フローに示すように、制御部1は、対象とする文書の操作部情報を参照して、この中に印字合成処理を利用することを指示する制御データが存在するか、否かを検索し、検索結果として、制御データが存在する場合に(ステップS503-YES)、文書が機密文書である可能性がある、と判断する。
このとき、上記実施形態3では、機密文書であるとみなして、シャッターを閉じる制御を行うようにしているが、本実施形態では、さらに、印字合成処理の内容が、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理(例えば、マル秘などの文字の合成処理)であるか、否かを調べ、調べた結果に従って、シャッターを閉じる制御を行う。
即ち、印字合成処理の内容が、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理が設定されているか、否かを調べ(ステップS504)、この印字合成処理が設定されていれば、機密文書のプリント出力であると判定して、シャッターを閉じる制御を行う(ステップS505)。
この後、プリント出力した文書を排紙収納部32から取出すためには、閉じた状態のシャッター33を開ける必要がある。このシャッター33の開動作の指示は、ユーザが即時に取出すことができるように、操作部1の操作パネルからのキー入力により行えるようにする。なお、ユーザによる排紙部のシャッター開閉制御は、上記実施形態1に示した制御フロー(図4)をそのまま適用できるので、ここでは、記載を省略する。
他方、機密文書を表すために用いられる特定のフォーマットの印字合成処理が設定されていなければ(ステップS504-NO)、印字合成処理が設定されていても、機密文書のプリント出力であると判断せずに、通常の扱いをする文書として、シャッター開閉の制御は、何の動作もしないで(即ち、シャッターは開いたままにして)、処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態としてのMFP(複合機)に係わる制御システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】排紙部にシャッターを設けたMFP(図1)の全体図を示す。
【図3】本発明の実施形態としてのMFP(図1,2)における排紙部のシャッター開閉制御のフロー(実施形態1)を示す。
【図4】本発明の実施形態としてのMFP(図1,2)における、操作部からの指示による排紙部のシャッター開閉制御のフローを示す。
【図5】本発明の実施形態としてのMFP(図1,2)における排紙部のシャッター開閉制御のフロー(実施形態2)を示す。
【図6】本発明の実施形態としてのMFP(図1,2)における排紙部のシャッター開閉制御のフロー(実施形態3)を示す。
【図7】本発明の実施形態としてのMFP(図1,2)における排紙部のシャッター開閉制御のフロー(実施形態4)を示す。
【符号の説明】
【0022】
1・・制御部、 5・・操作部、
6・・スキャナ、 7・・プロッタ、
8・・ホストI/F部、 10・・LAN制御部、
12・・I/O制御部、 13・・シャッター部、
21・・ADF部、 25・・スキャナ部、
27・・プリンタ部、 29・・給紙部、
31・・排紙部、 32・・排紙収納部、
33・・シャッター、 50・・MFP(複合機)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント出力要求を指示するコマンドを入力する入力部と、前記入力部から入力されたコマンドに従いプリント出力用データを生成する画像処理部と、前記画像処理部によって生成されたプリント出力用データを用いて記録用紙に画像を形成する印字部と、前記印字部により印字された記録用紙を収納する用紙収納部と、前記用紙収納部に収納された用紙の取出しを開閉制御が可能なシャッターを閉じることにより阻止するシャッター部と、前記シャッター部のシャッターの開閉制御を行うシャッター制御手段を有する画像形成装置であって、前記入力部から入力された前記コマンドに本体画像への印字合成処理を指示するコマンドがあるか、否かを検索するプリント出力要求検索手段を備え、前記シャッター制御手段は、前記プリント出力要求検索手段によって、印字合成処理を指示するコマンドがある、という検索結果が得られたことを条件に、前記シャッター部のシャッターを閉じる制御を行うようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、前記プリント出力要求検索手段は、プリンタドライバの機能を用いた印字合成処理を指示するコマンドを検索する機能を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記入力部に操作により処理条件を指示する操作手段を有した請求項1又は2に記載された画像形成装置において、前記プリント出力要求検索手段は、前記操作手段を通して入力された印字合成処理を指示するコマンドを検索する機能を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、前記プリント出力要求検索手段は、機密文書を表すための印字合成処理を指示するコマンドを対象に前記コマンドを検索する機能を備えた手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置において、閉じられた状態にある前記シャッター部のシャッターの開動作を指示する入力操作手段を備え、前記シャッター制御手段は、前記入力操作手段の指示に従い前記シャッター部のシャッターを開く制御を行うようにしたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−327164(P2006−327164A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157893(P2005−157893)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】