説明

画像形成装置

【課題】 機密文書に対する安全性が高く、かつ状況に応じて安全性のレベルを選択できる画像蓄積機能を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 制御部7は、指示入力部8から指示された暗号化の要否、データ消去までの時間等をもとに、読取装置1から読み取られた画像データを暗号化して、あるいは暗号化せずに画像蓄積装置3へ蓄積する制御を行う。そして画像データ有効時間が過ぎると画像データ消去装置4は、画像を消去する為に消去情報記憶部5に対して消去する画像ID番号から画像開始アドレスと容量とを問い合わせる。それによって、画像蓄積装置3に入っている画像データを消去するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に画像蓄積装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機、ファクシミリあるいはこれらの機能を併せ持つ複合機などの画像形成装置においては、処理すべき入力データや印刷出力画像を保存、蓄積する記憶装置を備えたものがある。この種の記憶装置は、通常は印刷ジョブをスタックして処理の効率化を図るためのものであるが、親展印刷あるいは親展FAXのように、他人に見られないように印刷する必要があるものは、印刷装置で印刷データを一時保存して、利用者のID情報やパスワードを印刷装置から入力することにより、当事者立会いの下で印刷することが可能になっている。
また、入力されたデータを所定の識別情報である機密IDと対応付けて暗号化して蓄積する画像形成装置もある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−99328公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ID情報とパスワードだけに較べれば暗号化することにより安全性は増すが、ID情報が漏れたら暗号化されたデータも復号されて印刷出力ができてしまうという問題がある。また、反対にすぐ印刷結果を取りに行くことがわかっている場合は、暗号化をしなくても良い場合もある。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたものであって、機密文書に対する安全性をより高めることができ、且つ、状況に応じて安全性のレベルを選択できる画像蓄積機能を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像データを蓄積する画像蓄積手段を有する画像形成装置において、画像を読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段により読み取った画像データを暗号化する暗号化手段と、前記前記画像蓄積手段から画像データを消去する画像データ消去手段と、指示入力手段と、該指示入力手段からの指示入力情報にしたがって前記画像読取手段で読み取った画像データを暗号化して前記画像蓄積手段に蓄積させ、所定時間経過後に前記画像蓄積手段に蓄積した画像データを消去させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記指示入力手段からは、画像データを消去する時間情報が入力されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記指示入力手段からは、削除対象の画像データを指定した指定情報が入力されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記指示入力手段からは、画像データを暗号化するか否かの情報が入力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、暗号化した画像データを一定時間経過後に自動的に削除することにより、より安全性を高めることができる。
また画像データを削除する迄の時間や、削除対象の画像データをユーザが自由に設定できるようにすれば、不要な画像データだけを適切なタイミングで除去することができるようになる。
また、前記指示入力手段により画像データに対する暗号化あるいは非暗号化をユーザに選択できるようにすると、印刷結果をすぐに取りに行く場合に好適な装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の要部機能構成示すブロック図である。
画像読み取り装置1(例えばスキャナ)にて原稿データを読み取り、読み取った画像データは、暗号化装置2を経由して画像蓄積装置3に蓄積される。暗号化する画像データであれば、暗号化装置2で暗号化される。また、暗号化された画像データを画像蓄積装置3に蓄積する際に、画像データを特定する為のID番号と開始アドレスと画像容量とを画像データ消去装置4へ渡す。画像データ消去装置4は、画像データを特定する為のID番号と開始アドレスと画像容量とが渡されると、画像ID情報の登録を消去情報記憶部5に対して行い、画像データ有効時間のカウントを開始する。そして、画像データ有効時間が過ぎると画像データ消去装置4は、画像を消去する為に消去情報記憶部5に対して消去する画像ID番号から画像開始アドレスと容量とを問い合わせる。それによって、画像蓄積装置3に入っている画像データを消去出来る。
復号化装置6は、画像蓄積装置3に蓄積されている暗号化された画像データを復号してもとの画像データに戻す装置である。指示入力部8は図示しないタッチパネルとディスプレイとを備え、ユーザが、印刷出力したい画像データのID番号等を入力すると、消去情報記憶部5に登録されている画像データと一致する画像データを復号化装置6が画像蓄積装置3から読み出し、復号化して図示しない印刷処理部に渡して出力する。また、制御部7は、指示入力部8から指示された暗号化の要否、データ消去までの時間等をもとに、読み取り装置1から読み取られた画像データを暗号化して(あるいは暗号化せずに)画像蓄積装置3へ蓄積する制御を行う。
【0007】
図2は、消去情報記憶部5に記憶されている画像データの例を示す図である。例えば、図2に示すように画像ID番号と画像蓄積装置3に蓄積した画像データの開始アドレスと容量とを対応付けて不揮発メモリなどで構成した消去情報記憶部5に登録しておけば、画像ID番号から削除する画像データの開始アドレスと容量とを取得することが可能である。この例では、画像ID番号「0x0001」の画像データは、アドレス「0x0000〜0x0100」まで暗号化されたデータが蓄積されている。画像ID番号「0x0002」の画像データは、アドレス「0x1000〜0x1100」と「0x1500〜0x1600」の2つの領域に暗号化されたデータが蓄積されている。そして、画像データ消去装置4は消去する画像データの開始アドレスからデータの消去を行う。
図3、図4、図5は、画像データに対する処理を指示する表示画面例を示す図である。
例えば、ユーザが画像データを蓄積する際に、指示入力部8から暗号化するかどうかを選択する際、図3のようなユーザインターフェースで暗号化するかどうかを選択する。その際に、図4のようなユーザインターフェースにて、一緒に削除するまでの時間(あるいは日時など)を指定することによって、暗号化する画像データと消去するまでの時間とを関連付けて記憶することができる。
また、図5のようなユーザインターフェースにて、蓄積する画像データを削除対象に指定するかどうかをユーザが決めるようにしてもよい。もし、削除対象に指定する場合にはユーザがさらに削除までの時間を決める。そして、ユーザが指定した時間を経過したら、画像形成装置が自動的に暗号化して蓄積している画像データを削除する。削除対象にしない場合には、画像データを暗号化してから蓄積を行い、ユーザが明示的に削除しない限りは蓄積されていることになる。
従って、このような本実施の形態も画像形成装置によれば、画像データ消去装置4において、暗号化した画像データを一定時間経過後に自動的に削除するようにしているので、より安全性を高めることができる。また画像データを削除する迄の時間や、削除対象の画像データをユーザが自由に設定できるようにすれば、不要な画像データだけを適切なタイミングで除去することができるようになる。さらに指示入力部8により画像データに対する暗号化あるいは非暗号化をユーザに選択できるようにすると、印刷結果をすぐに取りに行く場合に好適な装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の要部機能構成を示すブロック図。
【図2】記憶装置に記憶されている画像データの例を示す図。
【図3】画像データに対する処理を指示する表示画面例を示す図。
【図4】画像データに対する処理を指示する表示画面例を示す図。
【図5】画像データに対する処理を指示する表示画面例を示す図。
【符号の説明】
【0009】
1 読み取り装置、2 暗号化装置、3 画像蓄積装置、4 画像データ消去装置、5 消去情報記憶部、6 復号化装置、7 制御部、8 指示入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを蓄積する画像蓄積手段を有する画像形成装置において、画像を読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段により読み取った画像データを暗号化する暗号化手段と、前記前記画像蓄積手段から画像データを消去する画像データ消去手段と、指示入力手段と、該指示入力手段からの指示入力情報にしたがって前記画像読取手段で読み取った画像データを暗号化して前記画像蓄積手段に蓄積させ、所定時間経過後に前記画像蓄積手段に蓄積した画像データを消去させる制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、前記指示入力手段からは、画像データを消去する時間情報が入力されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、前記指示入力手段からは、削除対象の画像データを指定した指定情報が入力されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、前記指示入力手段からは、画像データを暗号化するか否かの情報が入力されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−53875(P2006−53875A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236825(P2004−236825)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】