説明

画像形成装置

【課題】操作表示パネルの位置をより使い勝手のよい位置に調整できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成処理を行う本体部5と、本体部5の上部に配置され、原稿の画像を読み取って、その読み取った原稿の画像データを本体部5へ送る画像読取ユニット4とを備えた複写機1において、画像読取ユニット4および本体部5に、ぞれぞれ、操作手段9のコネクタ92を取り付けるためのコネクタ受け部(第1コネクタ受け部11および第2コネクタ受け部12)を設ける。
【効果】互いに上下に位置する画像読取ユニット4および本体部5にそれぞれ設けられたコネクタ受け部11,12のいずれにコネクタ92を接続するかにより、操作手段9を画像読取ユニット4または本体部5に選択的に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、机の上などに設置される小型の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置には、通常、その外形を区画するハウジングの上面に、操作部および表示部を有する操作表示パネルが配置されている(たとえば、特許文献1参照)。この操作表示パネルの操作部により、画像形成装置の運転内容を設定するなどの各種操作を行うことができ、表示部により、画像形成装置の運転状況などの各種表示を行うことができる。
【特許文献1】特開2002−361971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、机の上などに設置される小型の(デスクトップタイプの)画像形成装置において、その操作パネルがハウジングの上面に配置されているような場合には、ユーザが椅子に座った状態で、机の上に設置されている画像形成装置の操作パネルの操作部を操作したり、表示部の表示を確認したりするのは困難である。
また、操作表示パネルの操作部を操作したり表示部の表示を確認したりするのに使い勝手のよい位置は、ユーザによって異なる。
【0004】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、操作表示パネルの位置をより使い勝手のよい位置に調整できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、画像形成処理を行う本体部(5)と、上記本体部の上部に配置され、原稿の画像を読み取って、その読み取った原稿の画像データを上記本体部へ送る画像読取ユニット(4)とを備える画像形成装置(1)において、操作部および表示部を有する操作表示パネル(91;91A)と、上記操作表示パネルを所定の部位へ取り付けるためのコネクタ(92;92A)とを含む操作手段(9;9A)を備え、上記本体部および上記画像読取ユニットには、それぞれ、上記操作手段の上記コネクタを取り付けることができるコネクタ受け部(12,11)が設けられており、上記本体部および上記画像読取ユニットにそれぞれ設けられたコネクタ受け部のいずれに上記コネクタを接続するかにより、上記操作手段を上記本体部または上記画像読取ユニットに選択的に取り付けることができることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、互いに上下に位置する本体部および画像読取ユニットにそれぞれ設けられたコネクタ受け部のいずれにコネクタを接続するかにより、操作手段を本体部または画像読取ユニットに選択的に取り付けることができる。したがって、より使い勝手のよい高さに対応するコネクタ受け部にコネクタを接続することにより、操作表示パネルの位置をより使い勝手のよい位置に調整できる。
【0007】
請求項2記載の発明は、上記操作表示パネル(91A)は、上記コネクタ(92A)に対して変位可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置(1)である。
この構成によれば、本体部または画像読取ユニットに選択的に取り付けられた操作手段の操作表示パネルをコネクタに対して変位させることにより、操作表示パネルの位置をさらに使い勝手のよい位置に調整できる。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記操作表示パネル(91A)が上記コネクタ(92A)に対して変位されることに応答して、上記表示部の表示を変化させる表示制御手段(20)をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置(1)である。
この構成によれば、操作表示パネルをコネクタに対して変位させて、その上下を反転させて使用する場合などに、表示部の表示を前後反転させて、ユーザに見やすい向きで表示を行うことができる。したがって、操作表示パネルの姿勢の自由度がさらに大きくなるので、操作表示パネルの位置をさらに使い勝手のよい位置に調整できる。
【0009】
請求項4記載の発明は、上記操作手段(9;9A)の上記コネクタ(92;92A)が接続されていない方の上記コネクタ受け部(12,11)に取り付けられるカバー(10)をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置(1)である。
この構成によれば、操作手段のコネクタが接続されていない方のコネクタ受け部をカバーで覆うことにより、そのコネクタ受け部にごみなどの異物が進入するのを防止でき、画像形成装置が故障するのを防止できる。
【0010】
請求項5記載の発明は、上記操作手段(9;9A)の上記コネクタ(92;92A)が接続されていない方の上記コネクタ受け部(12,11)に上記カバー(10)が取り付けられていない場合に、その旨を報知するための報知手段(20,9;20,9A)をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置(1)である。
この構成によれば、操作手段のコネクタが接続されていない方のコネクタ受け部にカバーが確実に取り付けられるので、そのコネクタ受け部にごみなどの異物が進入するのを確実に防止でき、画像形成装置が故障するのを効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る複写機1の外観構成を概略的に示す右側面図である。図1における左側を前方、右側を後方として説明する。
この複写機1は、机の上などに設置される小型の(デスクトップタイプの)ものであって、その外形がハウジング2により区画されている。ハウジング2の上面には、画像を読み取らせるべき原稿をセットするためのコンタクトガラス(図示せず)が配置されている。ハウジング2の上部には、コンタクトガラス上にセットされた原稿に光を照射し、原稿で反射した光を検出して電気信号に変換することにより原稿の画像データを得るための画像読取ユニット4が配置されている。
【0012】
ハウジング2の下部には、画像読取ユニット4から送られてくる画像データに基づいて画像形成処理を行う本体部5が配置されている。本体部5の構成は、たとえば、感光体、メインチャージャ、現像装置および転写装置などを含む周知の構成である。すなわち、画像形成処理時には、略円筒状の感光体の表面がメインチャージャによって一様に帯電され、この感光体の表面に画像データに基づいて光が照射されることにより、感光体の表面にいわゆる静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体の表面には、現像装置によりトナーが選択的に付着され、トナー像が形成される。そして、感光体の表面に形成されたトナー像は、転写装置の働きにより、前後方向に1枚ずつ送られてくる用紙に対して転写される。
【0013】
トナー像転写後の用紙は、定着部(図示せず)で所定の定着処理が施された後、画像読取ユニット4と本体部5との間の前方側に形成された排出部8に、後方側から前方に向かって排出される。定着部は、所定の定着温度に加熱される熱ローラと、熱ローラに対して所定の定着圧力で圧接された圧ローラとを備えていて、感光体から用紙に転写されたトナー像は、その用紙が熱ローラおよび圧ローラの間を通過する過程でトナー粒子が溶融され、用紙に定着される。
【0014】
ハウジング2には、操作手段9を着脱することができる。操作手段9は、操作表示パネル91と、この操作表示パネル91に突出形成されたコネクタ92とを備えている。操作表示パネル91には、複写機1の運転内容を設定するなどの各種操作を行うための操作部と、複写機1の運転状況などの各種表示を行うための表示部とが配置された操作表示面93が備えられている。
【0015】
画像読取ユニット4が配置されている部分におけるハウジング2の前面、および、本体部5が配置されている部分におけるハウジング2の前面には、それぞれ、操作手段9のコネクタ92を取り付けることができる同一形状のコネクタ受け部(第1コネクタ受け部11および第2コネクタ受け部12)が設けられている。
本体部5には、この複写機1の動作を制御するためのCPU20を備えた制御基板21が配置されている。各コネクタ受け部11,12は、CPU20に対して電気的に接続されている。操作手段9のコネクタ92を第1コネクタ受け部11に接続する場合には、第2コネクタ受け部12にカバー10を被せることができる一方、操作手段9のコネクタ92を第2コネクタ受け部12に接続する場合には、第1コネクタ受け部11にカバー10を被せることができる。
【0016】
このような構成によれば、互いに上下に位置する画像読取ユニット4および本体部5にそれぞれ設けられたコネクタ受け部11,12のいずれにコネクタ92を接続するかにより、操作手段9を画像読取ユニット4または本体部5に選択的に取り付けることができる。したがって、より使い勝手のよい高さに対応するコネクタ受け部11,12にコネクタ92を接続することにより、操作表示パネル91の位置をより使い勝手のよい位置に調整できる。
【0017】
また、操作手段9のコネクタ92が接続されていない方のコネクタ受け部(第1コネクタ受け部11または第2コネクタ受け部12)をカバー10で覆うことにより、そのコネクタ受け部にごみなどの異物が進入するのを防止でき、複写機1が故障するのを防止できる。
図2は、操作手段9をハウジング2に取り付けた状態を概略的に示す右側面図である。
【0018】
図2(a)は、操作手段9のコネクタ92を第1コネクタ受け部11に取り付け、第2コネクタ受け部12にカバー10を被せた状態を示している。図2(b)は、操作手段9のコネクタ92を第2コネクタ受け部12に取り付け、第1コネクタ受け部11にカバー10を被せた状態を示している。操作手段9は、その操作表示面93が上方を向くようにして、第1コネクタ受け部11または第2コネクタ受け部12に取り付けられる。
【0019】
第1コネクタ受け部11および第2コネクタ受け部12には、それぞれ、操作手段9のコネクタ92またはカバー10が取り付けられたことを検知するための取付検知スイッチ(図示せず)が備えられている。各コネクタ受け部11,12の取付検知スイッチは、CPU20に接続されていて、各取付検知スイッチからの出力信号がCPU20に入力されるようになっている。
【0020】
したがって、CPU20は、各取付検知スイッチからの入力信号に基づいて、第1コネクタ受け部11または第2コネクタ受け部12の一方に操作手段9のコネクタ92が取り付けられ、他方にカバー10が被せられているか否かを検知することができる。そして、第1コネクタ受け部11または第2コネクタ受け部12の一方に操作手段9のコネクタ92が取り付けられ、他方にカバー10が被せられていない場合には、CPU20は、操作手段9に所定の制御信号を送信することにより、操作表示パネル91の表示部にその旨を表示させる。
【0021】
このような構成によれば、操作手段9のコネクタ92が接続されていない方のコネクタ受け部(第1コネクタ受け部11または第2コネクタ受け部12)にカバー10が確実に取り付けられるので、そのコネクタ受け部にごみなどの異物が進入するのを確実に防止でき、複写機1が故障するのを効果的に防止できる。
ただし、操作手段9のコネクタ92が接続されていない方のコネクタ受け部にカバー10が取り付けられていない場合に、その旨を報知するための報知手段は、操作表示パネル91の表示部に対する表示によるものに限らず、たとえば、音声などによるものであってもよい。
【0022】
図3は、変形例に係る操作手段9Aをハウジング2に取り付けた状態を概略的に示す右側面図である。
図1および図2に示すような操作手段9では、コネクタ92に対して操作表示パネル91が固定されている。したがって、図2(a)および図2(b)に示すように、操作手段9は、その操作表示パネル91の操作表示面93が上方側を向くようにしてハウジング2に取り付けられるため、操作手段9の上方側から操作部を操作したり表示部の表示を確認したりしなければならない。
【0023】
そこで、図3に示す操作手段9Aは、操作表示パネル91Aとコネクタ92Aとがヒンジ94Aで接続されることにより、操作表示パネル91Aをコネクタ92Aに対して変位させることができるような構成となっている。操作表示パネル91Aおよびコネクタ92Aの構成は、図1および図2において説明した操作手段9の操作表示パネル91およびコネクタ92と同様の構成である。
【0024】
このような構成によれば、画像読取ユニット4または本体部5に選択的に取り付けられた操作手段9Aの操作表示パネル91Aをコネクタ92Aに対して変位させることにより、操作表示パネル91Aの位置をさらに使い勝手のよい位置に調整できる。
操作手段9Aを画像読取ユニット4に取り付ける場合には、図3(a)に実線で示すように、操作表示パネル91Aの操作表示面93Aが下方を向くような姿勢とした上で、図3(a)に破線で示すように、操作表示面93Aが前方側を向くように(右側面視で時計回りに)、操作表示パネル91Aをコネクタ92Aに対して変位(回転)させることができる。
【0025】
また、操作手段9Aを本体部5に取り付ける場合には、図3(b)に実線で示すように、操作表示パネル91Aの操作表示面93Aが上方を向くような姿勢(図3(a)に実線で示す状態から操作表示パネル91Aを180°回転させた姿勢)とした上で、図3(b)に破線で示すように、操作表示面93Aが前方側を向くように(右側面視で反時計回りに)、操作表示パネル91Aをコネクタ92Aに対して変位(回転)させることができる。
【0026】
操作手段9Aには、コネクタ92Aに対する操作表示パネル91Aの変位(回転)に応じて切り替わるスイッチ(図示せず)が備えられており、CPU20は、このスイッチからの入力信号に基づいて、操作表示パネル91Aの表示部の表示を変化させることができるようになっている。
このような構成によれば、操作表示パネル91Aをコネクタ92Aに対して変位させて、その上下を反転させて使用する場合などに(図3(a)および図3(b)参照)、表示部の表示を前後反転させて、ユーザに見やすい向きで表示を行うことができる。したがって、操作表示パネル91Aの姿勢の自由度がさらに大きくなるので、操作表示パネル91Aの位置をさらに使い勝手のよい位置に調整できる。
【0027】
この実施形態に係る複写機1は、画像読取ユニット4を取り外して、プリンタとして使用することも可能である。この場合、操作手段9,9Aのコネクタ92,92Aを第2コネクタ12に取り付ければ、操作手段9,9Aを用いた各種操作および各種表示が可能である。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施形態に係る複写機の外観構成を概略的に示す右側面図である。
【図2】操作手段をハウジングに取り付けた状態を概略的に示す右側面図である。
【図3】変形例に係る操作手段をハウジングに取り付けた状態を概略的に示す右側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 複写機
4 画像読取ユニット
5 本体部
9,9A 操作手段
91,91A 操作表示パネル
92,92A コネクタ
10 カバー
11 第1コネクタ受け部
12 第2コネクタ受け部
20 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成処理を行う本体部と、上記本体部の上部に配置され、原稿の画像を読み取って、その読み取った原稿の画像データを上記本体部へ送る画像読取ユニットとを備える画像形成装置において、
操作部および表示部を有する操作表示パネルと、上記操作表示パネルを所定の部位へ取り付けるためのコネクタとを含む操作手段を備え、
上記本体部および上記画像読取ユニットには、それぞれ、上記操作手段の上記コネクタを取り付けることができるコネクタ受け部が設けられており、
上記本体部および上記画像読取ユニットにそれぞれ設けられたコネクタ受け部のいずれに上記コネクタを接続するかにより、上記操作手段を上記本体部または上記画像読取ユニットに選択的に取り付けることができることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記操作表示パネルは、上記コネクタに対して変位可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記操作表示パネルが上記コネクタに対して変位されることに応答して、上記表示部の表示を変化させる表示制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記操作手段の上記コネクタが接続されていない方の上記コネクタ受け部に取り付けられるカバーをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記操作手段の上記コネクタが接続されていない方の上記コネクタ受け部に上記カバーが取り付けられていない場合に、その旨を報知するための報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−98693(P2006−98693A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284194(P2004−284194)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】