説明

画像形成装置

【課題】中間転写ベルト181上に残留したトナーの影響を除去し、且つ現像スリーブ121aが回り始めることによって発生するかぶりトナーの影響を考慮した光量調整を行える画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム101aの一次転写部T1から光学式センサ200までの距離をL、導電性ファーブラシ116bから感光体ドラム101aの一次転写部T1までの距離をLcln-1tr、感光体ドラム101aの現像スリーブ121aの現像ニップから感光体ドラム101aの一次転写部T1までの距離をLsl-1tr、中間転写ベルト181の循環速度をPとする。クリーニングバイアスの電圧を設定した後、(Lcln-1tr + L)/P後から中間転写ベルト181上のトナー像が光学式センサ200の読み取り位置に到達するまでに光学式センサ200の光量調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に担持させたトナー像を記録材等へ転写する画像形成装置、詳しくは、像担持体の転写残トナーを除去するクリーニング装置におけるクリーニングバイアスの電圧の自動設定に関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写ベルトを用いた静電写真プロセスにより、記録材にカラー画像を形成する画像形成装置が実用化されている。そのような画像形成装置の例では、直列に配列させた4個の感光体ドラムに個別形成されたシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックのトナー画像が、中間転写ベルト上に順次重ねて一次転写される。そして、中間転写ベルトから最終的な記録材へ4色のトナー像が一括して二次転写される。
【0003】
中間転写ベルトを用いる画像形成装置では、中間転写ベルトにおける一次転写位置と二次転写位置との間に、中間転写ベルト上の検知用トナー像を光学的に検知する濃度検知センサを備える場合がある。濃度検知センサは、感光体ドラムに形成されるトナー像の濃度調整を目的とするもので、濃度検知センサの検知結果は、一次帯電電圧や現像バイアス電圧にフィードバックされる。
【0004】
中間転写ベルトを用いる画像形成装置では、中間転写ベルトにおける二次転写位置と一次転写位置との間に、中間転写ベルト上の二次転写残トナーを除去するクリーニング装置を備える。中間転写ベルトに残った二次転写残トナーが次回に一次転写されるトナー像に混合すると、混色を生じて画像品質が低下するからである。
【0005】
そのようなクリーニング装置として、帯電させた回転ブラシを中間転写ベルトに接触させて二次転写残トナーを静電吸着させる静電ファーブラシ方式が提案されている。静電ファーブラシ方式は、クリーニングに係る圧力や摩擦力が極めて小さいため、中間転写ベルトの駆動効率が高まり、走行も安定する。
【0006】
特許文献1には、感光体ドラムのクリーニング方法として一般的なクリーニングブレードを中間転写ベルトに摩擦させて二次転写残トナーを機械的に排除するクリーニング装置が示される。
【0007】
特許文献2には、静電ファーブラシ方式のクリーニング装置が示される。ここでは、導電性の繊維を芯金に巻き付けた円筒状部材を、バイアス電圧を印加した状態で当接させ、転写残トナーの帯電極性とは逆極性のバイアス電圧を印加している。
【0008】
特許文献3には、中間転写ベルト上に順次重ねて一次転写されたシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの原色トナー画像を二次転写位置で一括二次転写するカラー画像形成装置が示される。ここでは、中間転写ベルトに沿って静電ファーブラシを2個並べて配置し、それぞれの静電ファーブラシに接触させた金属ローラに、逆極性のバイアス電圧をそれぞれ印加している。静電ファーブラシ方式は、機械的に二次転写残トナーを除去するブレード方式とは異なり、バイアス電圧と同極性の転写残トナーを吸着できないからである。
【0009】
特許文献4には、静電ファーブラシの下流側でクリーニングベルトを接触させ、静電ファーブラシをかいくぐった二次転写残トナーをクリーニングベルトに移動させるクリーニング装置が示される。
【0010】
【特許文献1】特開2001−305878号公報
【特許文献2】特許第3236442号公報
【特許文献3】特開2002−207403号公報
【特許文献4】特開平10−149033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3に示される金属ローラを介して静電ファーブラシを帯電させる方式では、環境温度、湿度、静電ファーブラシの損耗状態、トナー吸着量等に応じて静電ファーブラシのクリーニング性能が変化する。最も効率的に中間転写ベルトから二次転写残トナーを除去できるバイアス電圧も変化する。
【0012】
そこで、印刷ジョブの開始時や画像形成の中間位置(紙間)で金属ローラに印加するバイアス電圧を自動的に再調整する自動クリーニング電圧制御(ACVC)を採用することが提案された。
【0013】
しかし、自動クリーニング電圧制御を行っている期間、金属ローラに印加されるバイアス電圧が最適ではないので、中間転写ベルトに残留したトナーを十分に回収できない。自動クリーニング電圧制御を行うためにバイアス電圧が複数段階に変化されると、逆に静電ファーブラシに付着したトナーが中間転写ベルトに移動して中間転写ベルトを汚す可能性すらある。
【0014】
従って、このような状態で、濃度検知センサによって中間転写ベルトを検知して濃度検知センサの検知光の発光量やゲインの自動調整を行わせると、中間転写ベルトの汚れに起因して、発光量やゲインを誤って設定する可能性がある。発光量やゲインを誤って設定された濃度検知センサを用いてトナー像の濃度調整を行うと、トナー像の濃度設定を間違う可能性がある。
【0015】
本発明は、クリーニング装置におけるバイアス電圧の自動調整に影響されずに、濃度検知センサにおける各種自動調整を正確に行える画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像形成装置は、移動する像担持体と、トナー像形成位置にて前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体上の前記トナー像を記録材へ転写する転写手段と、前記像担持体に接してクリーニングバイアスが印加され、クリーニング位置にて前記像担持体上のトナーを除去するクリーニング部材と、前記クリーニングバイアスの印加条件を制御するバイアス制御手段と、前記像担持体上の検知用トナー像を検知位置にて光学的に検知する検知手段と、前記クリーニング部材にテストバイアスを印加する際の電圧−電流の関係に基づき、前記クリーニング部材に印加する前記クリーニングバイアスの電圧を制御する制御手段と、前記像担持体に検知光を照射して、前記検知手段が検知を行う際の発光量を調整する発光量調整手段とを有するものである。前記発光量の調整のための前記検知光の照射は、前記制御により得られた前記クリーニングバイアスの電圧が前記クリーニング部材に印加された時に前記クリーニング位置にあった前記像担持体の部分が前記検知位置を通過してから、前記検知位置に前記検知用トナー像が到達するまでの間に行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置では、バイアス電圧を適正に設定し終えた際にクリーニング手段に位置した像担持体の部分よりも下流側を用いて、検知手段が光学検出に係る自動調整を行う。バイアス電圧の自動設定に伴う像担持体の汚れ(清掃漏れトナーおよび付着トナー)を避けた位置で、光学検出に係る自動調整が行われる。
【0018】
従って、バイアス電圧の自動調整に伴う像担持体の汚れが、光学検出に係る自動調整結果またはトナー像の検知結果に悪影響を及ぼさない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の画像形成装置の一実施形態であるカラー複写機について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、以下に説明する実施形態の限定的な構成には限定されない。バイアス電圧を用いて像担持体の転写残トナーを除去する限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実現可能である。
【0020】
なお、特許文献1〜4に示される画像形成装置の一般的な構造、材料、制御、運転方法等については一部図示を省略し、詳細な説明も省略する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成を模式的に説明する断面図、図2は中間転写ベルトの構成の説明図、図3はクリーニング装置の構成を模式的に説明する断面図である。図4はバイアス電圧とクリーニング効果との関係の説明図、図5はバイアス電圧の自動調整手順を説明するタイムチャート、図6は光学式センサの説明図、図7は各種自動調整のタイミング制御のフローチャートである。図8は、現像スリーブの起動タイミングの説明図、図9は各種自動調整のタイミング制御のタイムチャート、図10は光学式センサにおける発光量の自動調整の説明図である。
【0022】
図1に示すように、第1実施形態の画像形成装置100は、4つの感光体ドラム101a〜101dを中間転写ベルト181に沿って直列配置したタンデム方式の複写機である。中間転写ベルト181は、表面に弾性材を配置した無端ベルト状の弾性中間転写媒体である。中間転写ベルト181は、駆動ローラ125、テンションローラ126、バックアップローラ129に巻回されて循環する。中間転写ベルト181の水平部に沿って、4組の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdが直列に配設されている。
【0023】
画像形成部Paは、第1像担持体として感光体ドラム101aを備える。感光体ドラム101aは、回転可能に配置されたドラム状の電子写真感光体である。感光体ドラム101aの周囲には、一次帯電器122a、現像器123a、クリーニング装置112a等のプロセス機器が配置されている。
【0024】
他の画像形成部Pb、Pc、Pdは、画像形成部Paと同様の構成を備える。それぞれ感光体ドラム101b、101c、101d、一次帯電器122b、122c、122d、現像器123b、123c、123d、クリーニング装置112b、112c、112dを備える。
【0025】
画像形成部Pa〜Pdに配置した現像器123a〜123dには、それぞれイエロトナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが収納されている。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの異なる点は、それぞれイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する点である。それ以外の構成は同様であるので、以下では画像形成部Paを代表として詳細に説明する。
【0026】
感光体ドラム101aは、一次帯電器122aによって一様に帯電され、露光装置111aから原稿のイエロ成分色による画像信号がポリゴンミラー等を介して感光体ドラム101a上に投射されて静電潜像が形成される。ついで、現像器123aからイエロトナーが供給されて静電潜像がイエロトナー像として現像される。
【0027】
イエロトナー像は、感光体ドラム101aの回転に伴って、感光体ドラム101aと中間転写ベルト181とが当接する1次転写部T1に到来する。1次転写部T1では、1次転写装置である一次転写ローラ124aから一次転写バイアス電圧が印加されて、イエロトナー像が中間転写ベルト181へ一次転写される。イエロトナー像を担持した中間転写ベルト181は、次の画像形成部Pbに搬送される。一次転写ローラ124aによって転写しきれなかった感光体ドラム101a上の一次転写残トナーは、クリーニング装置112aによってクリーニングされる。
【0028】
次の画像形成部Pbでは、画像形成部Paと同様の手順で感光体ドラム101b上に形成されたマゼンタトナー像がイエロトナー像に重畳させて一次転写される。その後、中間転写ベルト181が矢印方向に沿って画像形成部Pc、Pdへ順次進行する。そして、それぞれの転写部T1で、シアントナー像、ブラックトナー像が前述のトナー像に重畳して一次転写される。
【0029】
中間転写ベルト181に重畳して一次転写されたトナー像が二次転写部T2に達するまでに、給紙カセット160から送り出された記録材Pが二次転写部T2に達している。二次転写部T2では、二次転写装置である二次転写ローラ140に印加された二次転写バイアス電圧によって、4色のトナー像が記録材P上に一括して二次転写される。4色のトナー像が二次転写された記録材Pは、定着部141に搬送され、定着部141で加熱加圧を受けることにより、4色のトナー像が表面に固着される。
【0030】
二次転写ローラ140によって転写しきれなかった中間転写ベルト181上の二次転写残トナーは、導電性ファーブラシ116a、116bによって除去される。中間転写ベルト181の表面に付着して、導電性ファーブラシ116a、116bでも回収できなかった外添剤は、不図示のクリーニングウェブによって掻き取られる。
【0031】
次に各部の構成について、画像形成部Paを例に順次説明する。第1像担持体としての感光体ドラム101aは、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導電体層(OPC)を塗布して構成したものである。感光体ドラム101aは、その両端部をフランジによって回転自在に支持されており、一方の端部に不図示の駆動モータから駆動力を伝達することにより、図1上で反時計回り方向に回転駆動される。
【0032】
一次帯電器122aは、ローラ状に形成された導電性ローラであって、不図示の電源によって一次帯電バイアス電圧を印加されている。一次帯電器122aを感光体ドラム101a表面に当接回転させることにより、感光体ドラム101a表面が一様な負極性に帯電される。
【0033】
露光装置111aは、赤外発光するレーザー半導体素子から射出されたレーザービームを不図示のポリゴンミラーで走査して感光体ドラム101aの表面に静電潜像を書き込む。レーザー半導体素子は、不図示の駆動回路により画像信号に応じて出力制御される。
【0034】
現像器123aは、不図示のトナー収納部に負帯電特性のイエロのトナーを収納し、現像スリーブ121aを感光体ドラム101a表面に隣接配置している。現像スリーブ121aは、内部の永久磁石の磁界によって表面にイエロトナーを保持した状態で不図示の駆動部により回転駆動される。現像スリーブ121aは、不図示の現像バイアス電源によって現像バイアス電圧を印加されている。現像スリーブ121a表面のイエロトナーは、現像バイアス電圧の電界に駆動されて感光体ドラム101aの潜像表面へ移動する。現像器123a、123b、123c、123dの各トナー収納部には、中間転写ベルト181の循環方向の上流側から順に、イエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナーが収納されている。
【0035】
中間転写ベルト181の内側には、一次転写ローラ124a、125b、125c、125dが、それぞれ感光体ドラム101a、101b、101c、101dに対向して配置される。一次転写ローラ124aは、不図示の一次転写バイアス用電源に接続されて、イエロトナーとは逆極性の一次転写バイアス電圧(正極性の電圧)を印加される。一次転写ローラ124aは、高抵抗の中間転写ベルト181を部分的に正極性に帯電させて感光体ドラム101の表面から中間転写ベルト181へイエロトナーを移動させる。
【0036】
一次転写ローラ124a〜125dは、接触中の中間転写体181に、感光体ドラム101a〜1d上の負極性の各色トナー像を順次一次転写させてフルカラーのトナー像を形成する。
【0037】
最も下流側の画像形成部Pdの下流側に、中間転写体181に一次転写されたトナー像の濃度検知を行うための光学式センサ200が配置される。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdでそれぞれ形成された濃度検知用のパターンである4個のカラーパッチが光学式センサ200によってそれぞれ検知される。制御部130は、4個のカラーパッチの検知結果に基いて、現像スリーブ121a、121b、121c、121dに印加される現像バイアス電圧をそれぞれ調整する。光学式センサ200は、発光部から中間転写体181に赤外光を照射して、検知面で反射光を受光する。
【0038】
図2に示すように、中間転写ベルト181は、樹脂層181a、弾性層181b、表層181cの3層構造からなる弾性ベルトである。引張り強度を担う樹脂層181aを構成する樹脂材料としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、変性ポリカーボネート等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0039】
また、表面弾性を担う上記弾性層181bを構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、ブチルゴム,フッ素系ゴム,アクリルゴム,EPDM,NBR,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア,ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0040】
また、トナー像を担持する表層181cの材料は、特に制限は無いが、中間転写ベルト181表面へのトナー像の付着力を小さくして二次転写性を高めるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類の樹脂材料か、弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムの弾性材料のうち、2種類以上を使用し、表面エネルギーを小さくして潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならせたものを分散させて使用することができる。
【0041】
中間転写ベルト181の樹脂層181aや弾性層181bには、抵抗値調節用導電剤が添加される。抵抗値調節用導電剤としては特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物である。導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。抵抗値調節用導電剤は、これらの導電剤に限定されるものではない。
【0042】
中間転写ベルト181の製造方法としては、例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込んでベルトを形成する遠心成型法、表層の薄い膜を形成させるスプレイ塗工法がある。また、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け加硫研磨を行う方法もある。しかし、これらの方法に限定されるものではなく、複数の製造方法を組み合わせてベルトを成形することができる。
【0043】
図1の一次転写部T1で中間転写ベルト181に一次転写されたフルカラーのトナー像は、二次転写部T2で記録材Pに二次転写される。二次ローラ140は、不図示の二次転写バイアス用電源に接続されて、中間転写ベルト181に当接している。転写ローラ140に印加された正極性の二次転写バイアス電圧が形成する電界は、中間転写181ベルトに接触中の記録材Pに、中間転写ベルト181上の負極性のトナー像を一括して転写する。
【0044】
二次転写部T2で二次転写を逃れて中間転写ベルト181上に残留する二次転写残トナーは、導電性ファーブラシ116a、116bによって除去される。導電性ファーブラシ116a、116bは、二次転写部T2と最も上流側の一次転写部T1との間に、テンションローラ126と対向して配置されたクリーニング部材である。
【0045】
図3に示すように、導電性ファーブラシ116a、116bは、中間転写ベルト181の近傍に配置された装置ハウジング117の内部に配置されている。導電性ファーブラシ116a、116bは、印加されるクリーニングバイアス電圧が逆極性である以外は同様に構成されている。従って、導電性ファーブラシ116aで代表させて説明する。また、図3中、別々に図示されるテンションローラ126は、図1に示すように、導電性ファーブラシ116a、116bに対して共通な1つの部材である。
【0046】
導電性ファーブラシ116aは、中間転写ベルト181に接して回転する。導電性ファーブラシ116aは、抵抗値10MΩ、繊維太さ6デニールのカーボン分散型ナイロン繊維3を、その植毛密度50万本/inch2の割合で金属ローラ上に植毛して成る。中間転写ベルト181の反対側で導電性ファーブラシ116aに接する金属ローラ119は、表面が硬質アルマイト処理の施されたアルミニウム製の導電性ブラシローラである。金属ローラ119aをクリーニングするクリーニングブレード120が導電性ブラシローラ119aに当接配置される。
【0047】
この構成からなるクリーニング装置が中間転写ベルト181に並列に配列される。導電性ファーブラシ116aは、中間転写ベルト181に対して約1.0mmの侵入量を保って摺接配置され、不図示の駆動モータに駆動されて、50mm/秒の速度で矢印方向へ回動する。
【0048】
金属ローラ119aは、導電性ファーブラシ116aに対して約1.0mmの侵入量を保って配置され、導電性ファーブラシ116aと同等の速度で矢印方向へ回転駆動される。金属ローラ119aに当接するクリーニングブレード120aは、ウレタンゴムからなり、金属ローラ119aに侵入量1.0mmを保って配置される。
【0049】
電流検知部131a、131bは同じもので、導電性ファーブラシ116a、116bに印加される極性の異なるバイアス電圧によってテンションローラ126に流れ込む電流値を検知する。電源132a、132bは、制御部130が設定した可変のバイアス電圧を出力して金属ローラ119a、119bに印加する。
【0050】
以下に、第1実施形態におけるバイアス電圧を自動設定する制御(ACVC)について説明する。
【0051】
第1実施形態では、上流側、下流側の導電性ファーブラシ116a、116bで回収する二次転写残トナーの極性が異なる。そのため、画像濃度が高い場合と低い場合とで、上流側、下流側の導電性ファーブラシ116a、116bの汚れ方が異なってくる。よって、上流側、下流側の導電性ファーブラシ116a、116bで個々に印加するバイアス電圧の調整を行わなければならない。
【0052】
バイアス電圧は、定電圧で制御される。中間転写ベルト181上の二次転写残トナーをクリーニングするのに必要なクリーニング電流は、図4に示すように、クリーニング電流を振ったときの二次転写残トナーの回収性から決定することができる。
【0053】
具体的には、画像形成が行われる以前の非通紙時に、電源132aが金属ローラ119aに印加するバイアス電圧を段階的に変化させる。このとき、導電性ファーブラシ116aから中間転写ベルト181を経てテンションローラ126に流れ込む電流値を電流検知部131aによりバイアス電圧の段階ごとに検知する。そして、検知された電流値が、適正電流となるようにバイアス電圧の電圧値を変化させる。適正電流に対応する電圧値が見つかった場合に、その電圧値を画像形成時に導電性ファーブラシ116aに印加するバイアス電圧の電圧値として使用する。
【0054】
例えば、クリーニングに必要な適正電流が上流側の導電性ファーブラシ116aで20μA、下流側の導電性ファーブラシ116bで−20μAとする。このとき、上流側の導電性ファーブラシ116aに対して、制御部130は、図5に示すように、電源132aから300V、900Vのバイアス電圧を出力する。このとき、電流検知部131aを通じて検知された電流値が10μA、31μAだったとすると、制御部130は、2点の電圧−電流の関係より、クリーニング電流が目標の20μAとなるバイアス電圧をおおよそ600Vと算出する。
【0055】
そして、制御部130は、電圧設定の精度を上げるために、電源132aから550V、650Vのバイアス電圧を出力させる。この2点のバイアス電圧を印加した時の電流値が18μA、22μAだったとすると、制御部130は、2点の電圧−電流の関係より、クリーニング電流が目標の20μAとなるバイアス電圧を600Vと算出する。このようにして、時刻T1において、制御部130は、電源132aから金属ローラ119aへ600Vのバイアス電圧を出力させて、適正電流20μAを実現する。 続いて、下流側の導電性ファーブラシ116bで適正電流−20μAを実現するために、制御部130は、電源132bを制御して同様な自動設定を行う。すなわち、電源132bからバイアス電圧−300V、−900Vを順次印加させ、以下は上流側の導電性ファーブラシ116aと同様に制御して時刻T2にバイアス電圧の設定を完了する。
【0056】
次に、第1実施形態における光学式センサ200の光量調整について説明する。図6に示すように、光学式センサ200は、中間転写ベルト181に一次転写されたカラーパッチFを読み取る。光学式センサ200は、発光部201から赤外光を射出し、中間転写ベルト181からの反射光を検知面202で受光する。制御部130は、カラーパッチFを読み取る以前に、発光ダイオード203の電流値を調整して、受光部204で受光した中間転写ベルト181からの反射光強度を目標設定値に誘導する。
【0057】
図10に示すように、制御部130は、発光ダイオード203の電流値を6段階に変化させて発光させ、6段階の受光量から、発光量に対する受光量の線形式を計算する。そして、目標設定値を満たす発光量となる発光ダイオード203の電流値を算出する。
【0058】
画像形成装置100は、コンピュータ制御装置である制御部130を装備している。制御部130は、不図示のバックアップRAMが記憶している制御タイミングチャートより、制御タイミングを読み出して各種のタイミングを連繋させる。導電性ファーブラシ116a、116bにおけるバイアス電圧設定の制御タイミング、現像スリーブ121a〜121dの回転タイミング、光学式センサ200の光量調整タイミングを連繋させる。
【0059】
図7に示すように、制御部130は、画像形成装置に起動ジョブが指令されると、起動ジョブをスタートさせる(S11)。まず、中間転写ベルト181および感光体ドラム101a〜101dを作動させた状態で導電性ファーブラシ116a、116bのバイアス電圧を設定する(S12)。そして、後述するタイミングを待って現像スリーブ121a〜121dの回転を開始させる(S13)。そして、後述する別のタイミングで光学式センサ200の光量調整を実行して(S14)、起動ジョブを完了する(S15)。
【0060】
制御部130は、中間転写ベルト181に一次転写されたトナー像が光学式センサ200の読み取り位置に到達するまでの時間を制御する。
【0061】
図8に示すように、最上流の感光体ドラム101aの一次転写部T1から光学式センサ200までの距離をL(mm)とする。導電性ファーブラシ116bから感光体ドラム101aの一次転写部T1までの距離をLcln-1tr(mm)とする。感光体ドラム101aの現像スリーブ121aの現像ニップから感光体ドラム101aの一次転写部T1までの距離をLsl-1tr(mm)とする。中間転写ベルト181の循環速度(プロセススピード)をP(mm/sec)とし、感光体ドラム101aの表面の移動速度をV(mm/sec)とする。
【0062】
制御部130は、導電性ファーブラシ116bのバイアス電圧を決定した後、
「(Lcln-1tr/P)−(Lsl-1tr/V)」秒前から現像スリーブ121aを回す。現像スリーブ121aが回転しているとき、現像スリーブ121aと対向する感光ドラム101aの表面は、一次帯電器122aで帯電されている。このとき、現像スリーブ121aには電圧が印加される。
【0063】
また、制御部130は、導電性ファーブラシ116bのバイアス電圧を決定した後、「(Lcln-1tr + L)/P」秒後から中間転写ベルト181上のカラーパッチF(図6)が光学式センサ200の読み取り位置に到達するまでに光学式センサ200の光量調整を行う。
【0064】
また、バイアス電圧決定から「(Lcln-1tr/P)−(Lsl-1tr/V)」秒後の時点から、カラーパッチFが光学センサ200の読み取り位置到達の「(L/P)+(Lcln-1tr/V)」秒前までの間に、現像現像スリーブ121aは回転する。
これにより、中間転写ベルト181上に残留した二次転写残トナーの影響を除去し、且つ現像スリーブ121aが回り始めることによって発生するかぶりトナーの影響を考慮した光量調整を行うことが可能となる。
つまり、光学式センサ200発光量の調整のための検知光の照射は、クリーニングバイアスの電圧が設定されるまでの部分が読み取り位置(検知位置)を通過してから、読み取り位置にトナー像が到達するまでの間に行われる。クリーニングバイアスの電圧を設定する制御により得られた電圧が導電性ファーブラシ116a、116bに印加された時に、導電性ファーブラシ116a、116bと接していた中間転写ベルト181の部分が通り過ぎるのを待って行われる。このとき、回転する現像スリーブ121aと対向した感光ドラム101aの部分と同時に1次転写部T1にあった中間転写ベルトの部分に対して、光学式センサ200発光量の調整のための検知光の照射は行われる。
【0065】
図8のフローチャートに示すステップS11〜S15を図9にタイムチャートで示す。
【0066】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施例について説明する。第2実施形態の画像形成装置は、第1実施形態と同様の構成を備え、光学式センサ200の光量調整の方法を第1実施形態とは少し異ならせている。従って、図1〜図10をそのまま用いて説明する。
【0067】
第2実施形態における光学式センサ200の光量調整について説明する。図6に示すように、光学式センサ200は、発光部201から光を射出し、検知面202で反射光を受光する。制御部130(図1)は、受光部204で受光した中間転写ベルト181の反射光量が目標設定値になるように、発光ダイオード203の発光量を調整する。発光量の調整は、光量最小から、光量最大までを6段階に予め設定しておき、光量最小側から順次光量を増して出力させる。制御部130(図1)は、受光部204の受光量がある値以上となった発光ダイオード203の電流値を光量調整の設定値とする。
【0068】
第2実施形態も、第1実施形態と同じく、図7に示すように、最上流の感光体ドラム101aの一次転写部T1から光学式センサ200までの距離をL(mm)とする。導電性ファーブラシ116bから感光体ドラム101aの一次転写部T1までの距離をLcln-1tr(mm)とする。感光体ドラム101aの現像スリーブ121aの現像ニップから感光体ドラム101aの一次転写部T1までの距離をLsl-1tr(mm)とする。中間転写ベルト181の循環速度(プロセススピード)をP(mm/sec)とし、感光体ドラム101aの表面の移動速度をV(mm/sec)とする。
【0069】
制御部130は、導電性ファーブラシ116bのバイアス電圧を決定する制御(ACVC)後、少なくとも「(Lcln-1tr − Lsl-1tr)/P」秒前から現像スリーブを回す。そして、ACVC後、「(Lcln-1tr + L)/P」秒後から中間転写ベルト181上のトナー像が光学式センサ200の読み取り位置に到達するまでに光学式センサ200の光量調整を行う。これにより、中間転写ベルト181上に残留したトナーの影響を除去し、且つ現像スリーブ121aが回り始めることによって発生するかぶりトナーの影響を考慮した光量調整を行うことが可能となる。
【0070】
<開発の背景>
近年、静電写真プロセスを用いる画像形成装置では、多種多様な紙への高画質な画像を求めるニーズから、中間転写ベルトが広く用いられている。中間転写ベルトとしては、一般的にポリイミド等に代表される樹脂ベルトが高画質品位、高寿命、高安定的な特性からも広く用いられている。また、中間転写ベルトのクリーニング装置としても、樹脂ベルトの表面性等を考慮して、特許文献1で開示されているようなクリーニング能力が高いブレード方式が広く用いられている。
【0071】
一方、最近では、さらなる高画質化、およびブレード方式によるクリーニング能力の安定化等から、トナーが小粒径化およびトナー形状の非球形化へと変化してきている。ところが樹脂からなる中間転写ベルトでは、トナーの変化に伴って転写の際に生じる、中抜け現象が問題となってきている。
【0072】
中抜け現象とは、画像が転写される際、画像に大きな圧力が加わることで、トナーが応力変形し、トナー同士の凝集力が増大し、画像の一部分が転写されずに像担持体上に残留してしまう現象で、特に文字やライン画像などで顕著に現れる。樹脂ベルトの場合、転写時の画像への圧力が大きいために特にこの中抜けは問題となっている。
【0073】
そこで、この中抜けを解消するために、最近では、樹脂を用いた中間転写ベルトに変わって、層構成に少なくとも一層の弾性層を用いた弾性中間転写ベルトが主流となってきている。弾性中間転写ベルトは、層構成に少なくとも一層の弾性層を有するため、柔らかく、転写部でのトナーに作用する圧力が低減できることから、中抜け防止に効果がある。また、二次転写部において紙との密着性がよいことから、一般的な紙に対しての転写効率の向上のみならず、厚紙に対する転写性や、凹凸を有する紙への転写性の向上にも効果がある。
【0074】
しかし、弾性中間転写ベルトをクリーニングする場合、上記ブレード方式を用いると、表層が弾性の為、弾性中間転写ベルトに対するクリーニングブレードの接触負荷が大きくなる。また、クリーニングブレードのエッジ先端が、ベルト表層に喰い込んで、クリーニングブレードのエッジ先端の挙動が不安定になって、クリーニング不良を引き起こす。さらに、ベルトとクリーニングブレードとの間の摩擦力が増大する結果、クリーニングブレードのめくれ、びびり、鳴き等の問題が生じる。弾性中間転写ベルト表層の傷やトナーの融着発生等さまざまな弊害を生じて画質を乱してしまう恐れがある。そこで、上記の弊害を避ける為に、弾性中間転写体との接触負荷の少ない、静電ファーブラシ方式が弾性中間転写体クリーニング方式として一般的になってきている。
【0075】
静電ファーブラシ方式としては、特許文献2に示されるように、導電性の繊維を芯金に巻き付けた円筒状部材を、バイアス電圧を印加した状態で当接させる。二次転写残トナーの極性と逆極性のバイアス電圧を印加することによって、トナーを静電的にファーブラシに吸着させ、像担持体からトナーを除去する。
【0076】
静電的にトナーを吸着して中間転写ベルトから除去するファーブラシ方式は、機械的にトナーを除去するブレード方式に比べて、クリーニング可能なトナー量、およびトナー極性に制約がある。静電ファーブラシ方式は、静電気的にトナーをファーブラシに吸着した後に、フリッカーあるいは、バイアス印加ローラ(金属ローラ)等でトナーをファーブラシからさらに転移させる必要がある。ファーブラシのトナー吸着量が増えてくると、クリーニング性能が低下し、ファーブラシの本来の効果を得る事ができない。このため、一般的にクリーニング可能量としてはブレード方式よりも劣る。
【0077】
また、ファーブラシ方式は前述の通り、トナーをファーブラシに吸着させてクリーニングする方式であるため、ファーブラシに印加するバイアス電圧と逆極性のトナーのみがクリーニングされる。ところが、中間転写ベルト上のトナー像を紙に転写した後に残留する二次転写残トナーは、転写時に加えられた二次転写バイアス電圧の値によっては、トナーの極性が反転(プラスからマイナスへ、或いは、マイナスからプラスへ)する。この極性が反転した転写残トナーは、ファーブラシに印加されるバイアス電圧と同極性のために、ファーブラシでは吸着されず、通過してしまう。ファーブラシを通過したトナーは、次の画像と重なってしまうために、画像欠陥を引き起こす恐れがある。このため、特許文献3で開示されているように、ファーブラシを2つ用いて、それぞれに極性の異なるバイアスを印加する。これにより、二次転写部での二次転写バイアス電圧や、使用環境や、トナー劣化等によって、プラスマイナスどちらの極性に帯電していても確実にファーブラシにトナーを吸着して除去できる。
【0078】
<発明との対応>
第1実施形態の画像形成装置100は、移動する中間転写ベルト181と、一次転写部T1にて中間転写ベルト181にトナー像を形成する画像形成部Paと、中間転写ベルト181上のトナー像を記録材Pへ転写する一次転写ローラ124aと、中間転写ベルト181に接してクリーニングバイアスが印加され、クリーニング位置にて中間転写ベルト181上のトナーを除去する導電性ファーブラシ116a、116bと、クリーニングバイアスの印加条件を制御する電源132a、132bと、中間転写ベルト181上の検知用トナー像を検知位置にて光学的に検知する光学式センサ200と、導電性ファーブラシ116a、116bにテストバイアスを印加する際の電圧−電流の関係に基づき、導電性ファーブラシ116a、116bに印加するクリーニングバイアスの電圧を制御する制御部130と、中間転写ベルト181に検知光を照射して、光学式センサ200が検知を行う際の発光量を調整する制御部130とを有する。光学式センサ200の調整のための検知光の照射は、前記制御により得られたクリーニングバイアスの電圧が導電性ファーブラシ116a、116bに印加された時にクリーニング位置にあった中間転写ベルト181の部分が検知位置を通過してから、検知位置に検知用トナー像が到達するまでの間に行われる。
【0079】
画像形成装置100では、バイアス電圧を適正に設定し終えた際に導電性ファーブラシ116bに位置した中間転写ベルト181の部分よりも下流側を用いて、光学式センサ200が光学検出に係る自動調整とトナー像の検知との少なくとも一方を行う。バイアス電圧の自動設定に伴う中間転写ベルト181の汚れ(清掃漏れトナーおよび付着トナー)を避けた位置で、光学検出に係る自動調整とトナー像の検知との少なくとも一方が行われる。
【0080】
従って、バイアス電圧の自動調整に伴う中間転写ベルト181の汚れが、光学検出に係る自動調整結果またはトナー像の検知結果に悪影響を及ぼさない。
【0081】
画像形成装置100の画像形成部Paは、静電像を担持して移動する感光体ドラム101aと、トナーを担持して回転する現像スリーブ121aに電圧を印加することで静電像を現像してトナー像を形成する現像器123aとを有する。回転する現像スリーブ121aと対向した感光体ドラム101aの部分と同時に一次転写部T1にあった中間転写ベルト181の部分に対して前記検知光は照射される
【0082】
画像形成装置100の画像形成部Paは、静電像を担持して移動する感光体ドラム101aと、トナーを担持して回転する現像スリーブ121aに電圧を印加することで静電像を現像してトナー像を形成する現像器123aと、感光体ドラム101a上の現像されたトナー像を一次転写部T1にて中間転写ベルト181に一次転写する一次転写ローラ124aとを備える。制御部130は、最終的なクリーニングバイアスの電圧が導電性ファーブラシ116a、116bに印加された後に、現像スリーブ121aの回転を開始させる。制御部130は、最終的なクリーニングバイアスの電圧が導電性ファーブラシ116a、116bに印加された時にクリーニング位置にあった中間転写ベルト181の部分が一次転写部T1を通過するまでに、現像スリーブ121aが回転開始した時に現像スリーブ121aに位置していた感光体ドラム101aの部分が一次転写部T1を通過するように、現像スリーブ121aの回転を開始させる。これにより、現像スリーブ121aが回転開始した際に感光体ドラム101aに付着したかぶりトナーは、最終的なクリーニングバイアスの電圧でクリーニングされる前の中間転写ベルト181の部分に一次転写される。光学式センサ200は、最終的なクリーニングバイアスの電圧でクリーニングされた後の中間転写ベルト181の部分で光学検出に係る自動調整を行うので、中間転写ベルト181の部分に一次転写されたかぶりトナーは光学検出に係る自動調整に影響を及ぼさない。
【0083】
画像形成装置100は、感光体ドラム101aに形成されたトナー像を一次転写されて担持して移動させる中間転写ベルト181と、中間転写ベルト181に担持されたトナー像を感光体ドラム101aの下流側で転写媒体に二次転写させる二次転写ローラ129と、二次転写ローラ129と感光体ドラム101aとの間で、バイアス電圧を用いて、移動する中間転写ベルト181上の二次転写残トナーを除去する導電性ファーブラシ116a、116bとを備える。感光体ドラム101aの下流側で、中間転写ベルト181上のトナー像を光学的に検知する光学式センサ200と、バイアス電圧を変化させて適正な電圧値を自動設定する制御部130と、適正な前記電圧値を設定し終えた際に導電性ファーブラシ116bに位置した中間転写ベルト181の部分が光学式センサ200を通過した後に、光学式センサ200の光学検出に係る自動設定を実行する制御部130とを備える。
【0084】
画像形成装置100は、感光体ドラム101aにトナー像を形成する画像形成部Paと、画像形成部Paを制御してトナー像の濃度調整用のカラーパッチFを形成する制御部130とを備える。制御部130は、光学式センサ200によるカラーパッチFの検知結果に基いてトナー像の濃度を自動調整する。制御部130がカラーパッチFを形成する感光体ドラム101a上の位相位置は、前記光学検出に係る自動設定を終えた際に光学式センサ200に位置する中間転写ベルト181の部分よりも下流側にカラーパッチFが一次転写される位相位置である。
【0085】
クリーニング装置は、中間転写ベルト181の表面に接触させて配置した導電性ファーブラシ116bと、中間転写ベルト181とは異なる位相位置で導電性ファーブラシ116bに接触して導電性ファーブラシ116bを帯電させる金属ローラ119bと、金属ローラ119bに可変のバイアス電圧を印加する電源132bとを有する。
【0086】
画像形成装置100の中間転写ベルト181は、駆動ローラ125、テンションローラ126に巻回されて循環する無端状の中間転写ベルト部材である。複数の感光体ドラム101a、101b、101c、101dが中間転写ベルト181に沿って配置され、それぞれ色が異なるトナーを保持させた現像スリーブ121a、121b、121c、121dを用いて現像を行う。
【0087】
中間転写ベルト部材181の最も上流側でトナー像が一次転写される感光体ドラム101aと一次転写ローラ124aとのニップから光学式センサ200までの距離をLとし、導電性ファーブラシ116bから前記ニップまでの距離をLcln-1trとし、最も上流側の感光体ドラム101aが現像スリーブ121aに接する位置から前記ニップまでの距離をLsl-1trとし、中間転写ベルト181の循環速度をPとする。制御部130は、前記適正な前記電圧値を設定し終えた後、少なくとも「(Lcln-1tr − Lsl-1tr)/P」前から現像スリーブ121aを回転させる。制御部130は、前記適正な前記電圧値を設定し終えた後、「(Lcln-1tr + L)/P」後から、最も上流側の感光体ドラム101aから転写されたカラーパッチFが光学式センサ200に到達するまでに前記光学検出に係る自動設定を終える。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の構成を模式的に説明する断面図である。
【図2】中間転写ベルトの構成の説明図である。
【図3】クリーニング装置の構成を模式的に説明する断面図である。
【図4】バイアス電圧とクリーニング効果との関係の説明図である。
【図5】バイアス電圧の自動調整手順を説明するタイムチャートである。
【図6】光学式センサの説明図である。
【図7】各種自動調整のタイミング制御のフローチャートである。
【図8】現像スリーブの起動タイミングの説明図である。
【図9】各種自動調整のタイミング制御のタイムチャートである。
【図10】光学式センサにおける発光量の自動調整の説明図である。
【符号の説明】
【0089】
101a、101b、101c、101d 第1像担持体(感光体ドラム)
116a、116b クリーニング部材(導電性ファーブラシ)
119a、119b 回転電極部材(金属ローラ)
121a、121b、121c、121d 現像スリーブ
123a、123b、123c、123d 現像器
124a、124b、124c、124d 一次転写手段(一次転写ローラ)
125、126 回転体(駆動ローラ、テンションローラ)
129 二次転写手段(二次転写ローラ)
130 制御手段、発光量調整手段(制御部)
131a、131b 電流検知部
132a、132b バイアス制御手段(電源)
181 中間転写ベルト
200 検知手段(光学式センサ)
Pa、Pb、Pc、Pd トナー像形成手段(画像形成部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する像担持体と、
トナー像形成位置にて前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体上の前記トナー像を記録材へ転写する転写手段と、
前記像担持体に接してクリーニングバイアスが印加され、クリーニング位置にて前記像担持体上のトナーを除去するクリーニング部材と、
前記クリーニングバイアスの印加条件を制御するバイアス制御手段と、
前記像担持体上の検知用トナー像を検知位置にて光学的に検知する検知手段と、
前記クリーニング部材にテストバイアスを印加する際の電圧−電流の関係に基づき、前記クリーニング部材に印加する前記クリーニングバイアスの電圧を制御する制御手段と、
前記像担持体に検知光を照射して、前記検知手段が検知を行う際の発光量を調整する発光量調整手段と、を有する画像形成装置において、
前記発光量の調整のための前記検知光の照射は、
前記制御により得られた前記クリーニングバイアスの電圧が前記クリーニング部材に印加された時に前記クリーニング位置にあった前記像担持体の部分が前記検知位置を通過してから、前記検知位置に前記検知用トナー像が到達するまでの間に行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー像形成手段は、
静電像を担持して移動する静電像担持体と、
トナーを担持して回転するトナー担持体に電圧を印加することで前記静電像を現像してトナー像を形成する現像器と、を有し、
回転する前記トナー担持体と対向した前記静電像担持体の部分と同時に前記トナー像形成位置にあった前記像担持体の部分に対して、前記検知光は照射されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー像形成手段は、
静電像を担持して移動する静電像担持体と、
トナーを担持して回転するトナー担持体に電圧を印加することで前記静電像を現像してトナー像を形成する現像器と、
前記静電像担持体上の現像された前記トナー像を前記トナー像形成位置にて前記像担持体に一次転写する一次転写手段と、
前記制御手段の制御により得られた電圧が前記クリーニング部材に印加された後に、前記トナー担持体の回転を開始させる現像器制御手段と、を備え、
前記現像器制御手段は、前記電圧が前記クリーニング部材に印加された時に前記クリーニング位置にあった前記像担持体の部分が前記トナー像形成位置を通過するまでに、前記トナー担持体が回転開始した時に前記トナー担持体に位置していた前記静電像担持体の部分が前記トナー像形成位置を通過するように、前記トナー担持体の回転を開始させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体は、複数の回転体に巻回されて循環する無端状の中間転写ベルト部材であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−271880(P2007−271880A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96931(P2006−96931)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】