説明

画像形成装置

【課題】 色覚異常者であっても色情報の識別を行うことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 表示されたカラーサンプル200に対して操作パネル107上で作成された色変換パターンを基に、操作パネル107上に表示する入力画像データの変換イメージ作成及び入力画像データに対する色変換処理を行う画像処理ユニット103を備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー表示あるいはカラー出力機能を持つ画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタのカラー化が進み、ビジネス文書などにも複数の色を使用したものが増えてきている。様々な色を用いて作成した文書は多くの人にとっては見やすいものとなるが、色の判別が困難な人々にとっては逆に色の違いで与えられた情報を読み取ることができず、分かりにくい文書となってしまう。
この色覚への対策として、特定の登録した色を別の色に変更して出力する機能が提示されている(特許文献1参照)。また、登録した色を紙に出力し、その色見本を操作パネル上に掲示可能とすることで操作者に現在登録されている色変換処理の内容を示している。
また、入力した画像イメージを操作パネルに表示し、特定の色成分を指定してその濃度を調整する機能や、上記変換後のイメージを操作パネルに表示する機能は、例えば特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2000−35708公報
【特許文献2】特開平06−343119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来技術では、色変換の見本が操作パネル上に掲示されているのみで実際の出力イメージがどのように変化するのかを確認することができない。
また原稿画像を操作部に表示し、調整後の結果を表示する技術は従来から存在しているが、ある範囲の色成分を別の系統の色成分に変換するような提案はされていない。
本発明は、色覚異常者であっても色情報の識別を行うことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内蔵のスキャナ、あるいは外部接続されたPCから入力された画像データを操作部画面上にイメージ表示可能で、画像の色情報を操作者の設定した色成分の組み合わせに応じて変換し、その変換結果を操作部画面上で実際の出力イメージとして確認した上で入力画像データに対して前記色変換処理を行い出力する画像形成装置において、出力する画像イメージを出力前に表示する画像表示手段と、色変換用のカラーチャートあるいは予め設定してある色変換設定を表示し色変換情報を入力する色変換情報入力手段と、設定された色変換情報を記憶しておく色変換情報記憶手段と、入力画像データに対して色変換処理を行う色変換処理手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、操作部上に表示する基本色のカラーサンプルをRGBCMYの6色として各色が互いに全ての色に接するサンプルパターンを表示し、操作者に隣り合った色の違いを認識できない組合わせを指定させることで色成分変換情報を得ることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、操作者が選択した変換パターンによってR成分に対する検知不足が認識された場合、あるいは予め用意したR成分に対する検知不足を補う変換パターンを用いる場合に、前記R成分の大小に応じてG成分とB成分の値を増減させる色変換処理を行うことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記G成分またはB成分のうちの大きい方の値が前記R成分の値と等しくなるように前記G成分とB成分に変倍処理を行うことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、操作者が選択した変換パターンによって前記G成分に対する検知不足が認識された場合、あるいはあらかじめ用意したG成分に対する検知不足を補う変換パターンを用いる場合に、前記G成分の大小に応じて前記R成分とB成分の値を増減させる色変換処理を行うことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記R成分またはB成分のうちの大きい方の値が前記G成分の値と等しくなるように前記R成分とB成分に変倍処理を行うことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、操作者が選択した変換パターンによって前記B成分に対する検知不足が認識された場合、あるいはあらかじめ用意したB成分に対する検知不足を補う変換パターンを用いる場合に、前記B成分の大小に応じて前記R成分とG成分の値を増減させる色変換処理を行うことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記R成分またはG成分のうちの大きい方の値が前記B成分の値と等しくなるように前記R成分とG成分に変倍処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、操作者の認識できる色の組み合わせと認識できない色の組み合わせを正確に反映させた色成分変換処理を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
以下に本発明を適用した画像形成装置の構成例としてデジタル複合複写機を示す。
図1は本発明の実施形態に係るデジタル複合複写機のシステム構成を示すブロック図である。デジタル複合複写機は、エンジン制御ユニット101、スキャナユニット102、画像処理ユニット103、書込みユニット104、各種センサ類105、シーケンス機器群106、操作パネル107、給紙装置108を備える。
次にデジタル複合複写機のシステム動作を説明する。コピー指示がなされた場合には、スキャナユニット102が原稿を読み取り、画像処理ユニット103に画像データを転送する。画像処理ユニット103では画質調整、変倍等を行い書込みユニット104に処理後のデータを送る。書込みユニット104は受け取ったデータに従ってレーザ素子を駆動し、感光体上に光書込みを行う。
これらの動作は各種センサ類105の入力を基にエンジン制御ユニット101によって制御され、給紙ユニット108からの転写紙の給紙、感光体の駆動、及び定着ユニットの加熱回転等を含むシーケンス機器群106も同様にエンジン制御ユニット101に制御されて記録紙に画像を形成する。また、操作者の指示は操作パネル107によってなされ、エンジン制御ユニット101に伝えられる。
本発明の画像形成装置は、操作パネル107の画面上にカラーサンプルを表示し、操作者が指定した基本色の組み合わせを基に色変換パターンを作成し、これを基に入力画像データの変換イメージを操作パネル107の画面上に表示確認した上で入力画像データに対して、画像処理ユニット103で色変換処理を行い、書込みユニット104で出力するものである。
【0007】
図2、図3はカラーサンプルに基く各種色変換パターンを示す図である。その説明は後述する。
図4は操作者が操作パネル上で作成した色変換パターンを基に色変換処理を行う一連の動作を示すフローチャートである。
スキャナユニット102から入力された画像データ、あるいは入力後に蓄積されている画像の中で選択された画像データを入力して(S301)の画像イメージを操作パネル107の画面上に表示する(S302)。操作者は表示された画像イメージを確認し、必要ならば色変換等の指示を行う(S303)。この色変換情報は、操作者が操作パネル107に表示されたカラーサンプルから識別できる色や識別できない色を選択し、色変換パターンを作成する。これを基に色変換情報を算出する。色変換パターンを作成する手段としては、キー操作によるものやタッチパネル方式などが考えられる。
【0008】
ここで色変換パターンについて、図2を基に説明する。操作パネル107にはRGBCMYの6色が互いに全ての色に接するカラーサンプル200が表示される。操作者は隣り合った色との違いを認識できない色を指定する。
例えば図2(1)に示す色変換パターン201は、P1で示す位置にあるR成分が周囲と区別できない例を示している。図2(2)に示す色変換パターン202は、P2で示す位置にあるG成分が周囲と区別できない例を示している。図2(3)に示す色変換パターン203は、P3で示す位置にあるB成分が周囲と区別できない例を示している。
図3(1)に示す色変換パターン204は、P4で示す2つの位置にあるC成分が周囲と区別できない例を示している。図3(2)に示す色変換パターン205は、P5で示す2つの位置にあるM成分が周囲と区別できない例を示している。図3(3)に示す色変換パターン206は、P6で示す2つの位置にあるY成分が周囲と区別できない例を示している。
色変換の指示が行われると、つまり図2、図3示す色変換パターンのいずれかが作成されると、操作部パネル107上の画像イメージに指示された色変換が反映される(S304)。操作者はこの画像イメージを見て色変換のやり直しや取り消しなどの操作を行うことが可能である。
画像に対する指示を終えて画像形成動作の開始が指示されると(S305)、指示された色変更情報を画像処理ユニット103へ送信し(S306)、画像処理ユニット103は、その情報からRGBの各基本成分のうちどの色成分に感度が不足しているかを算出して画像処理を実行(S307)した後に画像形成出力する(S308)。
【0009】
ここでカラーサンプルとして、図2、3に示すRGBCMYの6色が互いに全ての色に接するカラーサンプル200(各色変換パターンの基本となるもの;識別できない色を指定する前のもの)を示したが、別の形状でもよい。要は、色変換の指定を行うために、操作パネル107上に基本色を並べたカラーサンプルを表示し、操作者はカラーサンプル上で認識できない色の組み合わせ、すなわち同じ色に見える色の組み合わせを指定する。このとき上記組み合わせが複数存在する場合はそれらを全て選択する。このときの操作フローとしては、上記のように認識できない色の組合わせを指定しても良いし、逆に認識できる色の組合わせを指定する形をとっても同じことである。
なお、カラーサンプルの表示の仕方は基本色を一色ずつ並べる方法や一対ずつの色の組み合わせを並べる方法、順番に色の組み合わせを提示し見え方の確認を順次取っていく方法などさまざまな方法が考えられる。
【0010】
(実施例1)
上記の処理において、操作パネル107上のカラーサンプル200への指定によって算出した不感色がR成分であった場合、あるいはあらかじめ設定された色変換パターンがR成分を不感色としている場合、画像処理ユニット103では入力画像データのR成分の値に応じてG成分、B成分の値を変換する。
(実施例2)
操作パネル107上のカラーサンプル200への指定によって算出した不感色がR成分であった場合、あるいはあらかじめ設定された色変換パターンがR成分を不感色としている場合、画像処理ユニット103では入力画像データのG成分とB成分の値の比率を保ったまま、G成分あるいはB成分のどちらか大きいほうの値がR成分の値と同じになるようにG成分とB成分を変換する(変倍処理する)。G成分、B成分を不感色としている場合も同様である。
不感色に設定した色成分の値に応じてその他の色成分の値を変換するものであれば本発明が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタル複合複写機のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】カラーサンプルに基く各種色変換パターンを示す図である。
【図3】カラーサンプルに基く各種色変換パターンを示す図である。
【図4】操作者が操作パネル上で作成した色変換パターンを基に色変換処理を行う一連の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0012】
103 画像処理ユニット
107 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵のスキャナ、あるいは外部接続されたPCから入力された画像データを操作部画面上にイメージ表示可能で、画像の色情報を操作者の設定した色成分の組み合わせに応じて変換し、その変換結果を操作部画面上で実際の出力イメージとして確認した上で入力画像データに対して前記色変換処理を行い出力する画像形成装置において、
出力する画像イメージを出力前に表示する画像表示手段と、色変換用のカラーチャートあるいは予め設定してある色変換設定を表示し色変換情報を入力する色変換情報入力手段と、設定された色変換情報を記憶しておく色変換情報記憶手段と、入力画像データに対して色変換処理を行う色変換処理手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、操作部上に表示する基本色のカラーサンプルをRGBCMYの6色として各色が互いに全ての色に接するサンプルパターンを表示し、操作者に隣り合った色の違いを認識できない組合わせを指定させることで色成分変換情報を得ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、操作者が選択した変換パターンによってR成分に対する検知不足が認識された場合、あるいは予め用意したR成分に対する検知不足を補う変換パターンを用いる場合に、前記R成分の大小に応じてG成分とB成分の値を増減させる色変換処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、前記G成分またはB成分のうちの大きい方の値が前記R成分の値と等しくなるように前記G成分とB成分に変倍処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、操作者が選択した変換パターンによって前記G成分に対する検知不足が認識された場合、あるいはあらかじめ用意したG成分に対する検知不足を補う変換パターンを用いる場合に、前記G成分の大小に応じて前記R成分とB成分の値を増減させる色変換処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、前記R成分またはB成分のうちの大きい方の値が前記G成分の値と等しくなるように前記R成分とB成分に変倍処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、操作者が選択した変換パターンによって前記B成分に対する検知不足が認識された場合、あるいはあらかじめ用意したB成分に対する検知不足を補う変換パターンを用いる場合に、前記B成分の大小に応じて前記R成分とG成分の値を増減させる色変換処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記R成分またはG成分のうちの大きい方の値が前記B成分の値と等しくなるように前記R成分とG成分に変倍処理を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−4310(P2007−4310A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181247(P2005−181247)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】