説明

画像形成装置

【課題】画質不良を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電ローラ18に印加する帯電バイアスを2つの抵抗94、及び抵抗95で分圧して、抵抗95の分圧出力を高圧電源部66の制御部(図示せず)にフィードバックし、該制御部では、入力された分圧出力が目標値となるように制御する。分圧出力が抵抗95から該制御部にフィードバックする途中にコンデンサ96Aが設けられているため、該帯電ローラ用電源回路が起動してから、コンデンサ96Aに静電容量に応じた電荷が蓄えられるまでの時間に基づいて、帯電バイアスが所定の値に到達するまでの時間が遅延する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、帯電ローラへ所定の帯電バイアスを印加することで、像保持体の表面を一様に帯電し、一様に帯電された像保持体へ画像データに応じて光ビームを照射することで静電潜像を形成した後、静電潜像を現像することによりトナー像を形成し、形成されたトナー像を印刷用紙へ直接、あるいは、中間転写体を介して転写し、転写したトナー像を定着することで画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
この画像形成装置では、高画質な画像を形成することが望まれているが、像保持体表面の傷、もしくは帯電ローラのへこみ等が原因で負荷変動が発生した場合、変動した負荷に応じて帯電ローラを流れる電流が急激に変化するため、像保持体の表面電位にばらつきが生じ、その結果、トナーが均一に付着されなくなるため、記録媒体上にすじ等が発生して、画質不良となる。
【0004】
また、像保持体の表面の静電潜像が形成されていない非画像部にトナーが付着することで記録媒体が汚れてしまう現象、いわゆる「かぶり」の発生によっても、画像不良となる。
【0005】
この「かぶり」を防止するためには、像保持体上に形成された静電潜像の先端が現像開始位置に来たら現像ローラに現像バイアスを印加させる、若しくは現像ローラを回転させることにより、非画像部へのトナーの付着を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、像保持体の表面電位に基づいて現像バイアスの印加開始を遅らせることにより、像保持体の表面をトナーが付着しない電圧に維持して、「かぶり」を防止する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平07−261554号公報
【特許文献2】特開2003−270913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、電流が急激に変化することにより像保持体の表面の電位がばらつくために発生する画質不良を防止することが困難である。
【0007】
本発明は、上記問題を解消するためになされたもので、画質不良を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、表面に静電潜像が形成される像保持体と、所定の帯電電圧が印加されることにより、前記像保持体の表面を所定の帯電電位に帯電させる帯電ローラと、前記帯電ローラに帯電電圧の印加を開始し、所定の帯電電圧になるまで電圧を印加させ、所定の帯電電圧に達したら、該所定の帯電電圧の印加を維持する帯電電圧印加手段と、前記帯電電圧印加手段が帯電電圧の印加を開始してから印加させる帯電電圧が所定の帯電電圧に達するまでの時間が予め定められた所定時間となるように制御する帯電電圧印加制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置では、所定の帯電電圧が印加されることにより、帯電ローラが、表面に静電潜像が形成される像保持体の表面を所定の帯電電位に帯電させる。帯電電圧印加手段は、帯電ローラに帯電電圧の印加を開始し、所定の帯電電圧になるまで電圧を印加させ、所定の帯電電圧に達したら、所定の帯電電圧の印加を維持する。帯電電圧印加制御手段は、帯電電圧印加手段が帯電電圧の印加を開始してから印加させる帯電電圧が所定の帯電電圧に達するまでの時間が予め定められた所定時間となるように制御する。
【0010】
このように本発明の画像形成装置では、帯電電圧制御手段により、帯電電圧印加手段が帯電電圧の印加を開始してから予め定めた所定時間経過後に、印加する帯電電圧が所定の帯電電圧に到達するように制御されるので、像保持体の表面電位の急激な変化等が防止される。従って、画質不良を防止することができる。
【0011】
本発明では、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段に現像電圧を印加するための現像電圧印加手段と、前記現像手段により現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体上のトナー濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記現像電圧印加手段による現像電圧の印加開始を、前記帯電電圧印加手段による帯電電圧の印加開始よりも遅らせるよう制御する現像電圧印加開始制御手段とを更に備えることができる。
【0012】
本発明では、像保持体の表面電位のばらつきを防止するためには、所定時間には好ましい範囲があるので、該所定時間を500msec以上、かつ1000msec以下とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、請求項1及び請求項3に記載の本発明によれば、帯電電圧の印加を開始してから予め定めた所定時間経過後に、印加する帯電電圧が所定の帯電電圧に到達するので、像保持体の表面電位の急激な変化を防止することができ、画質不良を防止することができる、という効果が得られる。
【0014】
請求項2に記載の本発明によれば、帯電電圧の印加を開始した後に、現像電圧の印加を開始するので、所定の帯電電圧に到達するタイミングと所定の現像電圧に到達するタイミングとの差を少なくすることができ、画像のかぶりを防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成を示す図である。画像形成装置10は、帯電ローラで像保持体表面を帯電した後、レーザ光線の照射により静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像するゼログラフィエンジンをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色について備えたタンデム型のカラー電子写真方式の画像形成装置である。尚、図中では画像形成装置10の画像読取部や画像処理部などは省略している。
【0017】
なお、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付して説明し、YMCKを区別する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略する。
【0018】
画像形成装置10は、図中矢印Aの方向に回転する4つの像保持体16Y、16M、16C、16Kと、帯電バイアスを印加することにより、像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面を帯電させる帯電ローラ18Y、18M、18C、18Kと、帯電された像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面を各色の画像情報に基づいて変調された露光光により露光し、像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面に静電潜像を形成するROS(レーザ出力部)20Y、20M、20C、20Kと、各色現像剤を担持する現像剤担持体である現像ローラ62Y、62M、62C、62Kを各々備え、現像ローラ62Y、62M、62C、62Kに現像バイアスを印加することにより像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面の静電潜像を各色現像剤で現像して像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面にトナー像を形成する現像装置64Y、64M、64C、64Kと、像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面の各色トナー像を中間転写体70に転写する一次転写ローラ52Y、52M、52C、52Kと、中間転写体70上のトナー像を用紙Pに転写する二次転写ローラ54と、用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着装置56と、用紙Pを収納する用紙トレイTと、像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面をクリーニングするクリーナ(図示せず)と、像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面の残留電荷を除去する除電器(図示せず)と、中間転写体70の表面のトナー像の濃度を検出する濃度検出部86と、中間転写体70の表面をクリーニングする中間転写体クリーニング装置72とから構成されている。
【0019】
本構成図に示されている画像形成装置10における画像形成動作を簡単に説明する。画像形成装置10の駆動が開始されると、帯電ローラ用電源17Y、17M、17C、17K(図5)から帯電バイアスを帯電ローラ18Y、18M、18C、18Kに印加することで像保持体16Y、16M、16C、16Kの表面を所定の帯電電位に帯電させる。
【0020】
帯電バイアスの印加が開始されてから、現像バイアス印加開始時間T1(詳細後述)が経過すると、各色現像装置64Y、64M、64C、64Kにも現像装置用電源63Y、63M、63C、63K(図5)から所定の現像電位となるように現像バイアスが印加される。
【0021】
画像読取部(図示せず)で原稿から読み取られた原画像信号、或いは外部のコンピュータ(図示せず)などで作成された原画像信号は画像処理部(図示せず)に入力される。この入力画像信号は、各色の画像情報に分解された後、ROS(レーザ出力部)20Y、20M、20C、20Kに入力され、レーザ光線Lが変調される。そして、この変調されたレーザ光線Lは、帯電ローラ18Y、18M、18C、18Kにより帯電された像保持体16Y、16M、16C、16Kの表面に照射される。この像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面にレーザ光線Lが照射されると、像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面にはそれぞれ入力画像信号に対応した静電潜像が形成される。続いて、各色現像装置64Y、64M、64C、64Kにより像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面の静電潜像がトナーにより現像され、トナー像が形成される。像保持体16Y、16M、16C、16K各々の表面に形成されたトナー像は、それぞれ一次転写ローラ52Y、52M、52C、52Kにより中間転写体70に転写される。この中間転写体70へトナー像の転写が終了した像保持体16Y、16M、16C、16K各々は、クリーナ(図示せず)により表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、除電器(図示せず)により残留電荷が除去される。
【0022】
次に、中間転写体70上のトナー像は、二次転写ローラ54により、用紙トレイTから送られてくる用紙P上に転写された後、定着装置56により用紙P上に転写されたトナー像が定着され所望の画像が得られる。用紙P上へのトナー像の転写が終了した中間転写体70は、中間転写体クリーニング装置72により表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、また帯電ローラ18Y、18M、18C、18Kへの帯電バイアスの印加を停止し、各色現像装置64Y、64M、64C、64Kへの現像バイアスの印加を停止し、さらに画像形成装置10の駆動を停止することで、一回の画像形成動作が終了する。
【0023】
図2は、本実施の形態の画像形成装置10の主要構成を説明するための図である。像保持体16の周囲には表面を帯電させるための帯電ローラ18と、現像ローラ62を含む現像装置64とが配設されている。高圧電源部66は、制御部80の指示により、帯電ローラ18に帯電ローラ用電源17(図5)から帯電バイアスを印加し、現像ローラ62に現像装置用電源63(図5)から現像バイアスを印加する。
【0024】
本実施の形態における帯電ローラ用電源17の帯電ローラ用電源回路の主要構成部を図3及び図4に示す。図3には、帯電ローラ18に印加する帯電バイアスを分圧する抵抗94、95、及び本実施の形態の帯電電圧印加制御手段の一例であるコンデンサ96Aを含む主要構成部を示す。帯電バイアスを2つの抵抗94、及び抵抗95で分圧して、抵抗95の分圧出力を高圧電源部66の制御部(図示せず)にフィードバックし、該制御部では、入力された分圧出力が目標値となるように制御する。これにより、帯電バイアスを所定の値に一定にすることができる。分圧出力が抵抗95から該制御部にフィードバックする途中にコンデンサ96Aが設けられているため、該帯電ローラ用電源回路が起動してから、コンデンサ96Aに静電容量に応じた電荷が蓄えられるまでの時間に基づいて、帯電バイアスが所定の値に到達するまでの時間が遅延する。
【0025】
また、図4には、オペアンプ97及び実施の形態の帯電電圧印加制御手段の一例であるコンデンサ96Bを含む主要構成部を示す。オペアンプ97は、高圧電源部66の制御部(図示せず)からの指示電圧(オペアンプ97からの出力が所定の帯電バイアスとなるための指示電圧)と出力端子からの出力値を比較し、同じ値になるようにフィードバックしている。該フィードバック部にコンデンサ96Bが設けられているため、該帯電ローラ用電源回路が起動してから、コンデンサ96Bに静電容量に応じた電荷が蓄えられるまでの時間に基づいて、帯電バイアスが所定の値に到達するまでの時間が遅延する。
【0026】
本実施の形態では、帯電ローラ用電源回路の出力電圧のフィードバック部にコンデンサ96A及び96Bを設けているが、いずれか一方のみを設ける構成としても良く、また、配置する位置は、出力電圧をフィードバックさせている位置であればこれに限定されない。
【0027】
像保持体16の表面に傷やへこみ等が有り、像保持体16の表面の負荷に変動が生じた場合、図6(A)に示すように、像保持体16の表面電位は、傷に応じて急激に変化する。帯電ローラ用電源17が起動を開始してから、即ち、停電ローラに帯電バイアスの印加を開始してから、帯電バイアスが所定の値に到達するまでの時間が遅延した場合を図6(B)に示す。L1よりもL2の方が遅延時間が長く、L2よりもL3の方が遅延時間が長い場合を示している。像保持体16の表面電位は、遅延時間が長くなるほど緩やかに変化している。図6(C)は、図6(B)よりも更に遅延時間が長い場合を示している。L3よりもL4の方が遅延時間が長く、L4よりもL5の方が遅延時間が長い場合を示している。この場合、遅延時間が長くなるほど、像保持体16の表面電位の変化が激しくなる。
【0028】
従って、像保持体16の表面電位がばらつくために発生する画質不良を防止するためには、遅延時間は、単に長ければ良いのではなく、好ましい範囲があることがわかる。該好ましい範囲は、像保持体16を帯電させる帯電ローラ18の規格や特性等に基づいて予め定められている。
【0029】
本実施の形態の具体的な1例として、表1に遅延時間と画質不良の発生の有無の関係を示す。
【0030】
【表1】

なお、表1は、外径がφ9.0±0.1mm、振れが0.05以下、クラウンが50μm、高度が60°以下、表面粗さRzが10μm以下、及び体積抵抗値が6.8±0.3logΩの規格の帯電ローラ18を用いた場合を示している。また、画質不良の発生の有無は目視により行っている。
【0031】
遅延時間が短い場合は、遅延時間が300msecでは、用紙P上にすじ等が見られるため、画質不良が生じる。また、遅延時間が400msecでも、遅延時間が300msecの場合よりは程度が低いものの、画質不良が生じる。一方、遅延時間が長い場合は、遅延時間が1200msecでは、用紙P上にすじ等が見られるため、画質不良が生じる。また、遅延時間が1100msecでも、遅延時間が1200msecの場合よりは程度が低いものの、画質不良が生じる。従って、遅延時間は、500msec以上、かつ1000msec以下が好ましいことが分かる。従って、遅延時間が500msec以上、かつ1000msec以下となる静電容量のコンデンサを予め実験などにより得ておき、該静電容量のコンデンサをコンデンサ96A、96Bとして用いることが好ましい。なお静電容量の具体的な一例としては、0.1μ〜0.33μFがある。
【0032】
一方、転写ローラ52は、中間転写体70を介して像保持体16に接しており、像保持体16上に形成されたトナー像を中間転写体70に転写する。濃度検出部86は、中間転写体70の表面に付着されているトナーの濃度を検出する。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置10の制御系のブロック図である。なお、ここではYMCK4色のうちY色のみを代表させて図示した。
【0034】
制御部80には、IOTコントローラ90が接続されており、IOTコントローラ90には、ユーザインターフェイス92が接続され、ユーザの操作によって画像形成等に関する指示がなされると共に、画像形成時の情報をユーザへ報知するようになっている。更に、IOTコントローラ90には、図示しない外部ホストコンピュータとのネットワークラインが接続されており、画像データが入力される。
【0035】
制御部80は、タイマー81、CPU82、ROM(図示せず)、RAM(図示せず)、及びHDD(図示せず)を含むメモリ84を備えており、濃度検出部86が接続されている。CPU82では、現像装置64に現像バイアスの印加を開始するタイミングを制御するために、詳細を後述する制御ルーチンが実行される。制御ルーチンのプログラムは記憶媒体としてのROMに記憶されている。メモリ84のHDDには、詳細を後述する中間転写体70の表面のトナー濃度を検出する検出時間tx及び検出時間tyが予め記憶されている。
【0036】
また、制御部80には、高圧電源部66Y、66M、66C、66Kが接続されており、高圧電源部66Y、66M、66C、66Kは各々、帯電ローラ用電源17Y、17M、17C、17K及び現像装置用電源63Y、63M、63C、63Kを備えている。帯電ローラ用電源17Y、17M、17C、17Kには、各々、帯電ローラ18Y、18M、18C、18Kが接続されている。また、現像装置用電源63Y、63M、63C、63Kには、各々、現像装置64Y、64M、64C、64Kが接続されている。
【0037】
次に、本実施の形態の画像形成装置10において実行される制御ルーチンを図7を参照して説明する。図7に示す処理は、例えば、画像形成装置10の電源投入時やIOTコントローラ90から印刷を実行する指示が制御部80に入力されたときに実行される。
【0038】
まず、制御部80にIOTコントローラ90から指示が入力されると、ステップ100では、変数n=1とし、次のステップ102では、高圧電源部66m(m=Y、M、C、K)に帯電バイアスの印加を指示する。これにより高圧電源部66mの、帯電ローラ用電源17mでは、帯電ローラ18mに帯電バイアスの印加を開始(帯電バイアス印加開始時間T0n)する。
【0039】
次のステップ104では、タイマー81を読取って、検出時間txが経過したか否かを判断する。否定されると待機状態となり、肯定されるとステップ106へ進む。
【0040】
ステップ106では、高圧電源部66mに現像バイアスの印加を指示する。これにより、高圧電源部66mの、現像装置用電源63mでは、現像装置64mに現像バイアスの印加を開始(現像バイアス印加開始時間T1n)する。
【0041】
次のステップ108では、濃度検出部から中間転写体70の表面のトナー濃度を読取って、次のステップ110では、かぶりが有るか否かを判断する。本実施の形態では、トナー濃度が検出された場合(トナー濃度=0でない場合)、かぶりが有ると判断する。否定されるとステップ126へ進み、現像バイアス印加開始時間T1をT1=tx+n×ty(この場合は、n=0なので、T1=tx)に決定し、これをメモリ84に記憶する。一方、かぶりが有る場合は肯定されて、ステップ112へ進む。
【0042】
ステップ112では、変数n=n+1とし、次のステップ114では、帯電バイアス及び現像バイアスの印加を停止するように高圧電源部66mに指示する。これにより高圧電源部66mは、帯電ローラ用電源17m及び現像装置用電源63mを停止させる。
【0043】
この後、ステップ116では、再び、高圧電源部66mに帯電バイアスの印加を指示する。これにより高圧電源部66mの、帯電ローラ用電源17mでは、再び帯電ローラ18mに帯電バイアスの印加を開始(帯電バイアス印加開始時間T0n)する。
【0044】
次のステップ118では、タイマー81を読取って、帯電バイアス印加開始時間T0nから検出時間tx+n×検出時間tyが経過したか否かを判断する。否定されると待機状態となり、肯定されるとステップ120へ進む。なお、検出時間tyは時間が短いほど検出の精度が良くなるが、検出を繰返す回数が増加するので、検出時間tyは、所望の画質等により予め実験などにより定めておく。
【0045】
ステップ120では、高圧電源部66mに現像バイアスの印加を指示する。これにより、高圧電源部66mの、現像装置用電源63mでは、現像装置64mに現像バイアスの印加を開始(現像バイアス印加開始時間T1n)し、次のステップ122では、濃度検出部から中間転写体70の表面のトナー濃度を読取って、次のステップ124では、かぶりが有るか否かを判断する。
【0046】
肯定されると、ステップ112に戻り、変数nをインクリメントし、現像バイアス印加開始時間T1nを変えて、中間転写体70の表面のトナー濃度を検出し、かぶりの有無を判断する処理を繰返す。一方、否定されるとステップ126へ進む。ステップ126では、現像バイアス印加開始時間T1をT1=tx+n×tyに決定し、これをメモリ84に記憶する。
【0047】
次のステップ128では、像保持体16mの全てについて処理を終了したか否かを判断する。否定されると未処理の像保持体16mについて処理を実行するために、ステップ130に進み、他の像保持体16を選択(他のmを選択)し、ステップ100に戻り本処理を繰返す。一方、肯定されると本処理を終了する。
【0048】
ここで、図8及び図9を参照して、帯電バイアス印加開始時間T0、現像バイアス印加開始時間T1、及びかぶりの有無について説明する。図8は従来の画像形成装置における帯電バイアス及び現像バイアスについて各々印加開始からの時間変化を示している。また、図9は本実施の形態の画像形成装置10の帯電バイアス及び現像バイアスについて各々印加開始からの時間変化を示している。ここでは、帯電ローラ用電源17が、帯電バイアスの印加を開始してから印加する帯電バイアスが所定の帯電バイアスに達するまでの時間を到達時間tz、現像装置用電源63が、現像バイアスの印加を開始してから印加する現像バイアスが所定の現像バイアスに達するまでの時間を到達時間twとしている。
【0049】
図8に示すように、帯電バイアスの印加と現像バイアスの印加を同時に開始(帯電バイアス印加開始時間T0=現像バイアス印加開始時間T1)するため、到達時間twが到達時間tzよりも短い場合、現像バイアスの方が帯電バイアスよりも先に所定の値に到達してしまうため、到達時間twと到達時間tzとの差である時間tuの間、かぶりが発生する。
【0050】
一方、図9に示すように、本実施の形態では、帯電バイアスの印加を開始した後に、現像バイアスの印加を開始しているため、帯電バイアスが所定の値に到達するタイミングと現像バイアスが所定の値に到達するタイミングとを合わせることができる。すなわち、到達時間twと到達時間tzとの差である時間tu=0としているため、かぶりが発生しない。
【0051】
なお、本実施の形態では、画像形成装置をカラー画像を形成する装置としているが、これに限らず、単色画像を形成する装置であっても良い。
【0052】
また、かぶりの発生の有無のためのトナー濃度の検出は、所望の画像データに基づく画像形成時以外に本処理を行う場合は、中間転写体上のどこの位置を検出するようにしても良いが、画像形成時は、画像形成領域外、特に画像先端部の領域について行うことが好ましい。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置では、帯電ローラ用電源が帯電バイアスの印加を開始してから所定時間(遅延時間)経過後に、印加する帯電バイアスが所定の値に到達するので、像保持体の表面電位の急激な変化等を防止することができ、画質不良を防止することができる。
【0054】
また、帯電バイアスの印加を開始した後に、現像バイアスの印加を開始しているため、所定の帯電バイアスの印加開始タイミングと所定の現像バイアスの印加開始タイミングとを合わせることができるので、かぶりの発生を防止することができる。
【0055】
さらにまた、各色事に濃度検出装置や像保持体の表面電位を検出する手段等を設ける必要がないため、像保持体が複数ある場合でも、画像形成装置の構成が複雑にならずにすむので、容易な構成で、画質不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る高圧電源の一部の一例を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る高圧電源の一部の一例を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図6】遅延時間と像保持体の表面電位との関係を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で実行される制御処理のフローである。
【図8】従来の画像形成装置における帯電バイアス印加開始時間T0、現像バイアス印加開始時間T1、及びかぶりの有無について説明する説明図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の帯電バイアス印加開始時間T0、現像バイアス印加開始時間T1、及びかぶりの有無について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0057】
10 画像形成装置
16 像保持体
17 帯電ローラ用電源
18 帯電ローラ
63 現像装置用電源
64 現像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される像保持体と、
所定の帯電電圧が印加されることにより、前記像保持体の表面を所定の帯電電位に帯電させる帯電ローラと、
前記帯電ローラに帯電電圧の印加を開始し、所定の帯電電圧になるまで電圧を印加させ、所定の帯電電圧に達したら、該所定の帯電電圧の印加を維持する帯電電圧印加手段と、
前記帯電電圧印加手段が帯電電圧の印加を開始してから印加させる帯電電圧が所定の帯電電圧に達するまでの時間が予め定められた所定時間となるように制御する帯電電圧印加制御手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段に現像電圧を印加するための現像電圧印加手段と、前記現像手段により現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体上のトナー濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記現像電圧印加手段による現像電圧の印加開始を、前記帯電電圧印加手段による帯電電圧の印加開始よりも遅らせるよう制御する現像電圧印加開始制御手段とを更に備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定時間が500msec以上、かつ1000msec以下である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−112096(P2008−112096A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296310(P2006−296310)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】