説明

画像形成装置

【課題】定着器から発生する水蒸気を減らすことができる画像形成装置を得る。
【解決手段】ピックアップロール132によって取り出され、給紙ロール122と分離ロール124によって、一枚ずつ搬送経路108に送り出されたシート材Pは、加圧ロール24によって加振部材22のホーンへ押圧され、ホーンの先端部に生じる超音波振動がシート材Pへ瞬時に伝達される。超音波振動がシート材Pへ伝達されることで、シート材Pに含まれる水分の内部に振動による気泡が生じ,水分は、水蒸気してシート材Pから放出され、水蒸気は、排出口36から画像形成装置100外へ排出される。このように、シート材Pに含まれる水分を画像形成装置100外へ放出させることで、定着器116がシート材Pを加熱して発生する水蒸気量を減らすことができ、これにより、定着器116近傍で発生する結露を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、画像形成部に設けられた感光体ドラム上のトナー画像がシート材(記録媒体)に転写され、その後、定着器によってシート材に加熱圧着され、排出ロールによって排出トレイに排出される。
【0003】
ここで、シート材に多くの水分が含まれている場合は、定着器によってシート材が加熱圧着されることで、シート材に含まれている水分が上方へ水蒸気として放出される。この水蒸気が装置内で結露して、水滴となりシート材に付着して紙詰まり、シート材汚損、及びシート材変形という不良が発生する場合がある。
【0004】
そこで、定着器の上部に設けられた金属部材の下面に断熱材を設けて、水蒸気を金属部材に直接接触させるのを防ぎ、これにより、水蒸気の結露を防止する画像形成装置が提案されている。(特許文献1)
【特許文献1】特開平1−251072公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この画像形成装置によれば、断熱材を設けただけでは十分ではなく、水蒸気は断熱材の表面で結露することが考えられる。
【0006】
ここで、結露を防止する手段として、水蒸気を排出させる開口部を定着器の上方に設けることが考えられるが、開口部を設けてしまうと、定着器の騒音が装置外に漏れるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、定着器から発生する水蒸気を減らすことができる画像形成装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、シート材の搬送経路に設けられ、前記搬送経路に沿って搬送される前記シート材と当接して前記シート材を可聴周波数以上の周波数で振動させる加振部材と、前記加振部材によって振動した前記シート材から発生する水蒸気を排出する排出口と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、シート材の搬送経路に設けられた加振部材が、搬送経路に沿って搬送されるシート材と当接してシート材を可聴周波数以上の周波数で振動させる。
【0010】
シート材を可聴周波数以上の周波数で振動させることで、シート材Pに含まれる水分の内部に振動による気泡が生じ,水分は、水蒸気となり放出され、放出された水蒸気は、排出口から装置外へ排出される。
【0011】
このように、シート材に含まれる水分を装置外へ放出させることで、定着器によって発生するシート材の水蒸気を減らすことができ、これにより、結露を防止することができる。
【0012】
また、定着器によって発生するシート材の水蒸気を減らすことで、定着器の近傍に水蒸気を排出させる開口を設ける必要がないため、定着器の騒音が装置外へ漏れるのを防止することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1記載において、前記シート材を前記加振部材に押し付ける加圧部材が設けられたことを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、加圧部材がシート材を加振部材に押し付けているため、加振部材の振動が効率良くシート材へ伝達され、シート材の水分を効率良く放出させることができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2記載において、前記シート材が収容されるシート収容部から前記シート材を一枚ずつ分離して給紙する給紙ロールが設けられ、前記加振部材は、前記給紙ロールよりも搬送方向下流に配置されることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、加振部材は、シート収容部からシート材を一枚ずつ分離して給紙する給紙ロールよりも搬送方向下流に配置されている。
【0017】
ここで、給紙ロールがシート材を一枚ずつ分離するときに、シート材同士が擦れて騒音が発生する場合がある。しかし、加振部材によって水蒸気が放出される前にシート材は給紙ロールを通過するため、給紙ロールを通過する際のシート材には水分が含まれている。つまり、シート材が水分を含んだ状態で給紙ロールを通過するため、水分が少ないシート材と比較するとシート材同士が擦れて発生する騒音を小さくすることができる。
【0018】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1から3何れか1項記載において、前記加振部材は、駆動波形を印加すると振動する圧電素子を備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、加振部材は、駆動波形を印加すると振動する圧電素子を備えている。
【0020】
バイブレーターと比較すると、圧電素子の消費電力は低いため,ランニングコストを抑えることができる。
【0021】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項2から4何れか1項記載において、前記加圧部材は、回転駆動する加圧ローラであって、前記加圧ローラの表面には、水分を吸湿する水分吸湿部材が設けられることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、加圧部材は、回転駆動する加圧ロールであるため、シート材を加振部材に押し付けながら安定した状態で搬送することができる。
【0023】
さらに、加圧ロールの表面には、水分を吸湿する水分吸湿部材が設けられているため、シート材から放出された水蒸気を吸湿することができ、水蒸気が拡散するのを防止することができる。
【0024】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、請求項5項記載において、前記加圧ローラの表面に設けられた水分吸湿部材は、前記加振部材によって、加振されることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、前記加圧ロールの表面に設けられた水分吸湿部材は、加振部材によって、加振されるため、水分吸湿部材に吸湿された水分を水蒸気として排出口から排出することができる。
【0026】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項1から6何れか1項記載において、前記シート材が収容されるシート収容部に積載される最上部のシート材の含水率を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された含水率に基づいて前記加振部材の加振振幅を変える制御部と、を備えることを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、検知手段が、シート収容部に積載される最上部のシート材の含水率を検知する。
【0028】
さらに、検知手段によって検知された含水率に基づいて制御部が加振部材の加振振幅を変える。
【0029】
このように、加振部材の加振振幅を変えることで、シート材から放出される水蒸気の放出量をコントロールすることができ、加振部材を通過した後のシート材に含まれる水分量を調整することができる。
【0030】
つまり、シート材に画像が形成される際のシート材に含まれる水分量を調整することで、良質な画像をシート材上に形成させることができる。
【0031】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、請求項1から7何れか1項記載において、前記加振部材と前記排出口の間には、筒状の排出路が設けられることを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、加振部材と排出口の間には、筒状の排出路が設けられるため、シート材から放出された水蒸気が装置内で拡散し、フレームに水蒸気が付着してフレームが錆びるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、定着器から発生する水蒸気を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0035】
図1に示されるように、画像形成装置100の筐体102内の下部には、給紙カセット18が配置されており、給紙カセット18には、画像形成装置100の画像形成部111に供給されるシート材Pが積載されている。
【0036】
さらに、給紙カセット18には、シート材Pが載るボトムプレート16が設けられており、画像形成部111にシート材Pを給紙する際には、ボトムプレート16は、昇降手段(図示省略)によって、上方に移動するようになっている。そして、ボトムプレート16に載せられた最上部のシート材Pをピックアップロール132に押し当てる構成となっている。
【0037】
また、給紙カセット18を筐体102から引き出すとボトムプレート16は、昇降手段によって、下方へ移動し、シート材Pを給紙カセット18に収容することができる構成となっている。
【0038】
さらに、最上部のシート材Pの上方には、ピックアップロール132と並んで、最上部のシート材Pの含水率を検知する検知手段としてのマイクロ波水分検知センサ20が設けられている。なお、マイクロ波水分検知センサ20については詳細を後述する。
【0039】
また、画像形成部111へシート材Pを送り出す時は、シート材Pは、ピックアップロール132によって順次取り出され、さらに、回転駆動する給紙ロール122と分離ロール124によって、一枚ずつ搬送されるようになっている。
【0040】
詳細には、この分離ロール124は、トルクリミッター内蔵(図示省略)で、1枚のシート材Pを介して給紙ロール122の回転力を受けるときは、シート材Pと相対移動することなく回転するが、2〜3枚のシート材Pが重送されたときには、この2〜3枚のシート材Pの間の摩擦抵抗が小さいため、最上層のシート材Pのみが給紙ロール122によって画像形成部111へ送り出され、下層のシート材Pは分離ロール124の回転抵抗力によって送りが阻止されるようになっている。つまり、2〜3枚のシート材Pが重送されたときには、シート材P同士が擦れて給紙ロール122に当接するシート材Pのみが搬送される構成となっている。
【0041】
また、給紙ロール122の搬送方向下流には、レジロール120が設けられており、給紙ロール122によって送り出されたシート材Pは、レジロール120で一端停止され、所定のタイミング、画像形成部111に送り出されるようになっている。
【0042】
さらに、レジロール120の搬送方向下流には、搬送されるシート材Pと当接してシート材Pを可聴周波数以上(15000Hz以上)の周波数で振動させる加振部材22が設けられている。また、搬送されるシート材Pを挟んで加振部材22の反対側には、回転駆動する加圧ロール24が設けられており、この加圧ロール24が搬送されるシート材Pを加振部材22に押し付ける構成となっている。なお、加振部材22、及び加圧ロール24等については詳細を後述する。
【0043】
さらに、筐体102内の所定位置には、搬送ロール106が配置されており、シート材Pを搬送する搬送経路108を構成している。また、搬送経路108の両側に配置されたガイド部材128はシート材Pを搬送経路108に沿って案内するようになっている。
【0044】
また、搬送経路108の途中には、感光体ドラム110がシート材Pに接触するように配置されており、シート材Pに接触しつつ回転するようになっている。感光体ドラム110の表面は、図示しない帯電装置で帯電された後、露光装置112によって画像情報に応じたレーザービームが照射されて静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対し現像装置114からトナーが供給され、静電潜像はトナー像として可視化される。
【0045】
画像形成部111は、感光体ドラム110と転写ロール130とで構成されており、感光体ドラム110は、転写ロール130との間でシート材Pを挟持して、シート材Pに密着する。これにより、感光体ドラム110上のトナー像がシート材Pに転写され、シート材Pに画像が形成される構成となっている。
【0046】
さらに、感光体ドラム110の下流側には、定着器116が配置されている。この定着器116は、内部にヒータを備えた加熱ロール116Hと、加熱ロール116Hに圧接される圧接ロール116Nとを備えている。そして、これら2つのロールでシート材Pを挟持搬送することでシート材Pを加熱し、シート材Pのトナー像をシート材Pに定着させるようになっている。
【0047】
また、定着器116の下流側には、排出ロール118が配置されており、トナー像が定着されたシート材Pは、排出ロール118によって筐体102の上方に設けられた排出トレイ126へ排出される構成となっている。
【0048】
上記構成による画像形成装置100では、次のようにして画像が形成される。
【0049】
まず、電圧が印加された図示しない帯電器は、感光体ドラム110の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。
【0050】
続いて、露光装置112が帯電された感光体ドラム110の上に静電潜像を形成する。つまり、図示しない制御装置から供給される画像情報に基づき、露光装置112が発光するレーザービームをオン・オフすることによって画像情報に対応した静電潜像が感光体ドラム110上に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置114から供給されるトナーによってトナー像として可視化される。
【0051】
そこで、給紙カセット18に収容されたシート材Pが、ピックアップロール132によって順次取り出され、回転駆動する給紙ロール122と分離ロール124によって、一枚ずつ搬送経路108に送り出される。さらに、シート材Pは、レジロール120で一端停止され、所定のタイミングで画像形成部111に送り出される。
【0052】
レジロール120によって送り出されたシート材Pは、加振部材22と加圧ロール24の間を通過し、さらに、搬送ロール106によって挟持搬送されて感光体ドラム110と転写ロール130の間の画像形成部111を通り、トナー像がシート材Pに転写される。
【0053】
この転写されたトナー像は、定着器116に備えられた加熱ロール116Hと圧接ロール116Nの間を通過することでシート材Pに定着され,排出ロール118によって排出トレイ126に排出される。
【0054】
次に、加振部材22、加圧ロール24、及びマイクロ波水分検知センサ等について説明する。
【0055】
図2に示されるように、加振部材22は、シート材Pの搬送方向(図2に示す矢印方向)に対して直交する方向に延びて設けられており、シート材Pのシート材幅より幅広く設けられている。
【0056】
さらに、加振部材22は、シート材Pと当接する先端部が丸まった断面カマボコ形状のホーン26を備えており、さらに、このホーン26の裏面には、ホーン26を可聴周波数以上の周波数で振動させる3個の圧電素子28がシート材幅方向へ並べられており、これらは、金属材料で製造された矩形状のベースブロック30に固定されている。
【0057】
この構成により、図示しない圧電素子駆動回路から,所定の駆動波形を印加することで、圧電素子28が振動し,この振動がホーン26によって共振増幅され,ホーン26の先端部で可聴周波数以上の周波数であって、20〜40μmの振幅の振動が生じる構成となっている。
【0058】
つまり、シート材Pを可聴周波数以上の周波数で振動させることで、シート材Pに含まれる水分の内部に振動による気泡が生じ,水分は、水蒸気となり放出されるようになっている。
【0059】
また、図4に示されるように、加振部材22(図1参照)に対向配置され、搬送されるシート材Pを加振部材22に加圧する加圧ロール24は、金属シャフト24Aにスポンジ材で形成されたロール部24Bを備えており、シート材Pから放出された水蒸気を吸湿することができるようになっている。
【0060】
また、図1に示されるように、加振部材22の搬送方向上流には、受け口が広がった断面ハ字形状のシート搬送ガイド34が設けられており、シート材Pの先端が確実に加振部材22と加圧ロール24の挟持部へ搬送されるようになっている。
【0061】
さらに、加圧ロール24、及び加振部材22に隣接する筐体102の壁面102Aには、加振部材22によって振動したシート材Pから発生する水蒸気を排出する格子状の排出口36が設けられている。
【0062】
また、図3に示されるように、給紙カセット18に積載さえる最上部のシート材Pの上方には、最上部のシート材Pの含水率を検知するマイクロ波水分検知センサ20が設けられている。
【0063】
詳細には、マイクロ波水分検知センサ20は、シート材幅方向にならんで配置され、含水率を検知するセンサ20A、センサ20B、及びセンサ20Cを備えており、最上部のシート材Pの含水率を検知できるようになっている。
【0064】
さらに、マイクロ波水分検知センサ20によって検知された含水率を受信する加振制御部32が設けられており、この加振制御部32は、受信した含水率に基づいて、加振部材22(図1参照)の加振振幅を制御するようになっている。
【0065】
次に、加振部材22、加圧ロール24、及びマイクロ波水分検知センサ等の作用について説明する。
【0066】
図1に示されるように、マイクロ波水分検知センサ20が、給紙カセット18に収容された最上部のシート材Pの含水率を検知して、この含水率情報を加振制御部32へ送信する。
【0067】
加振制御部32は、含水率情報に基づき、シート材Pの除湿に必要な加振振幅を決定し、圧電素子駆動回路を通じて、決定した加振振幅に応じた駆動波形を図2に示す圧電素子28へ印加する。
【0068】
なお、加振振幅の決定については、画像形成部111で画像をシート材Pへ転写するときに、良好な画像転写が実現されるのに必要なシート材Pの含水率を考慮して決められる。
【0069】
駆動波形が圧電素子28に印加されると、圧電素子28は振動し,この振動がホーン26によって共振増幅され,ホーン26の先端部で可聴周波数以上の周波数であって、20〜40μmの振幅の超音波振動が生じる。
【0070】
一方、図1に示されるように、給紙カセット18に収容された最上部のシート材Pは、ピックアップロール132によって順次取り出され、給紙ロール122と分離ロール124によって、一枚ずつ搬送経路108に送り出される。さらに、レジロール120によって所定のタイミングで加振部材22へ向けて送り出される。
【0071】
加振部材22へ到達したシート材Pは、加圧ロール24によってホーン26へ押圧され、ホーン26の先端部に生じる超音波振動がシート材Pへ瞬時に伝達される。超音波振動がシート材Pへ伝達されることで、シート材Pに含まれる水分の内部に振動による気泡が生じ,水分は、水蒸気してシート材Pから放出される。
【0072】
さらに、シート材Pから放出された水蒸気は、排出口36から画像形成装置100外へ排出される。
【0073】
また、加圧ロール24のスポンジ材で形成されたロール部24Bは、排出口36から排出せずに装置内に滞留する余剰の水蒸気を吸湿し、水蒸気が拡散するのを防止する。
【0074】
なお、加振制御部32は、図示せぬシート材通過センサの情報に基づいて、シート材Pの先端部が加振部材22と加圧ロール24の挟持部へ到達するタイミングを取得し、この到達タイミングに応じて加振部材22を加振させる。
【0075】
また、定期的に加振制御部32は、加圧ロール24を直接加振部材22によって加振させ、加圧ロール24に吸湿された水分を蒸発させて、排出口36から排出するようになっている。
【0076】
このように、シート材Pに含まれる水分を画像形成装置100外へ放出させることで、定着器116がシート材Pを加熱して発生する水蒸気量を減らすことができ、これにより、定着器116近傍で発生する結露を防止することができる。
【0077】
また、定着器116によって発生するシート材Pの水蒸気量を減らすことで、定着器116の近傍に水蒸気を排出させる開口を設ける必要がないため、定着器116の騒音が画像形成装置100外へ漏れるのを防止することができる。
【0078】
また、加圧ロール24がシート材Pをホーン26に押し付けているため、加振部材22の振動が効率良くシート材Pへ伝達され、シート材Pの水分を効率良く水蒸気として放出することができる。
【0079】
また、加振部材22は、給紙ロール122より搬送方向下流に配置されている。給紙ロール122がシート材Pを一枚ずつ分離するときに、シート材同士が擦れて騒音が発生する場合がある。しかし、加振部材22によって水蒸気が放出される前にシート材Pは給紙ロール122を通過するため、給紙ロール122を通過する際のシート材Pには水分が含まれている。つまり、シート材Pが水分を含んだ状態で給紙ロール122を通過するため、水分が少ないシート材Pと比較するとシート材同士が擦れて発生する騒音を小さくすることができる。
【0080】
また、加振部材22は、圧電素子28によってシート材Pを振動させてシート材Pの水分を蒸発させるようになっている。このため、バイブレーター等と比較すると圧電素子28の消費電力は低いため,ランニングコストを抑えることができる。
【0081】
また、加振制御部32は、マイクロ波水分検知センサ20が検知したシート材Pの含水率と、良好な画像転写が実現されるのに必要なシート材Pの含水率とを考慮して加振振幅を決定し、加振部材22を振動させるため、良質な画像をシート材P上に形成させることができる。
【0082】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、シート材Pの含水率を検知するのにマイクロ波水分検知センサ20を使用したが、給紙カセット18の周囲の雰囲気湿度を検知しておき,この情報に基づいてシート材Pの含水率を推定してもよい。
【0083】
次に本発明の画像形成装置100の第2実施形態を図5、図6に従って説明する。
【0084】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図5に示されるように、この実施形態では前記第1実施形態のように、加振部材22は、壁面102Aの近傍に設けられておらず、筐体102の内部に配置されている。
【0086】
また、加振部材22が当接するシート材Pは、当接する時に垂直方向に搬送されておらず、それに替えて、水平方向へ搬送されている。さらに、加振部材22によってシート材Pから放出した水蒸気は、ファン40によって筒状の排出路42に沿って案内され、壁面102Aに設けられた排出口36から排出されるようになっている。
【0087】
このように、加振部材22が、筐体102の内部に配置されている場合でも、ファン40、及び排出路42を設けることで、水蒸気を画像形成装置100内に滞留させることなく、画像形成装置100外へ排出することができる。
【0088】
また、ファン40は、筐体102から40mm以上離して配置されている。このように配置することで、ファン40の騒音は、排出路42を伝搬する際に減衰して,ファン40の騒音が画像形成装置100外へ排出するのを防止することができる。
【0089】
さらに、図6に示されるように、加圧ロール24は、金属シャフト24Aと、その周囲に設けられた円筒状のゴム部24Dと、外表面に設けられた吸水材であるゼオライトから形成されたゼオライト部24Eが設けられている。つまり、このゼオライト部24Eで余剰の水蒸気を吸湿することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の加振部材を示した分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の給紙カセット近傍を示した斜視図である。
【図4】(A)本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された加圧ロールの正面図である。(B)本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された加圧ロールの断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図6】(A)本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に採用された加圧ロールの正面図である。(B)本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に採用された加圧ロールの断面図である。
【符号の説明】
【0091】
20 マイクロ波水分検知センサ(検知手段)
22 加振部材
24 加圧ロール(加圧部材)
24B ロール部(水分吸湿部材)
24E ゼオライト部(水分吸湿部材)
28 圧電素子
30 ベースブロック
32 加振制御部(制御部)
36 排出口
42 排出路
108 搬送経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の搬送経路に設けられ、前記搬送経路に沿って搬送される前記シート材と当接して前記シート材を可聴周波数以上の周波数で振動させる加振部材と、
前記加振部材によって振動した前記シート材から発生する水蒸気を排出する排出口と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート材を前記加振部材に押し付ける加圧部材が設けられたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート材が収容されるシート収容部から前記シート材を一枚ずつ分離して給紙する給紙ロールが設けられ、前記加振部材は、前記給紙ロールよりも搬送方向下流に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加振部材は、駆動波形を印加すると振動する圧電素子を備えることを特徴とする請求項1から3何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記加圧部材は、回転駆動する加圧ローラであって、前記加圧ローラの表面には、水分を吸湿する水分吸湿部材が設けられることを特徴とする請求項2から4何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加圧ローラの表面に設けられた水分吸湿部材は、前記加振部材によって、加振されることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シート材が収容されるシート収容部に積載される最上部のシート材の含水率を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された含水率に基づいて前記加振部材の加振振幅を変える制御部と、
を備えることを特徴とした請求項1から6何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記加振部材と前記排出口の間には、筒状の排出路が設けられることを特徴とする請求項1から7何れか1項記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−201531(P2008−201531A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39120(P2007−39120)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】