画像形成装置
【課題】タンデム型画像形成装置において、記録部材上に転写されたトナー画像を飛散させずに定着できる装置を提供する。
【解決手段】複数の静電潜像担持体2a〜2d上に形成された各色トナー像を、記録部材搬送ベルト5で転写ローラ4a〜4d間に保持搬送される記録部材6に順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、静電潜像担持体2a〜2d上と転写ローラ4a〜4dの各転写ニップ上流側に各色の画像データに応じて記録部材搬送ベルト5裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材10a〜10dを備えるため、記録部材6上に転写されたトナー画像が飛散することなく、定着され、トナー飛散の少ない良好な画像を得ることができる。
【解決手段】複数の静電潜像担持体2a〜2d上に形成された各色トナー像を、記録部材搬送ベルト5で転写ローラ4a〜4d間に保持搬送される記録部材6に順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、静電潜像担持体2a〜2d上と転写ローラ4a〜4dの各転写ニップ上流側に各色の画像データに応じて記録部材搬送ベルト5裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材10a〜10dを備えるため、記録部材6上に転写されたトナー画像が飛散することなく、定着され、トナー飛散の少ない良好な画像を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置あるいはそれらの複合機で直接転写方式を使用する画像形成装置に関し、詳細には画質改良を行うための転写プロセスの制御を改良、改善したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の直接転写方式のカラー電子写真画像形成装置では、複数の静電潜像担持体上に形成されたトナーを、各静電潜像担持体と記録部材及び記録部材を搬送するベルト状搬送部材(以下記録部材搬送ベルトと記す)で形成される転写ニップ近傍でトナーに圧力と電気力を作用させることにより、記録部材上に順次トナー画像を重畳転写した後、加圧及び加熱による定着作業を経て、最終カラー画像を得ている。
【0003】
このような装置で高品位画像を得るためには、静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を過不足なく、静電潜像担持体上の潜像に忠実に、正確に重ね合わせて記録部材上へ転写し、この状態を保持したまま定着工程を終わらせる必要がある。
【0004】
静電潜像担持体上のトナーは、前述したように、各転写ニップ近傍での電気力と圧力により記録部材上に移動する。この際、静電潜像担持体上のトナーは、転写ニップ手前より電気力により記録部材上に移動を開始する。転写ニップ手前で転写が行われる場合、転写されるトナーの一部はトナー間の静電反発力により、本来転写されるべき位置からずれて記録部材上に転写され、結果として画像にぼやけが生ずる転写チリと呼ばれる異常画像を発生させる。
【0005】
また、転写ニップ通過後、記録部材上に転写されたトナーに掛かる転写バイアスによる電界は速やかに減少する。このためトナーを記録部材側に抑え付ける力が弱まりトナー間の静電反発力によりトナーが飛散して、チリ画像となり画質を損なう。この転写ニップ通過後に発生するチリ画像は、特に記録部材上で複数色のトナー像が重ねられ、画像を形成するトナー量が増えた場合に顕著となり、画像の劣化度合いは、転写ニップ手前で発生する転写チリに比べて極めて大きく、良好な最終画像を得るためには、この転写ニップ通過後に発生するチリ画像を抑制することが必要となる。
【0006】
上述した転写ニップ前後で発生するトナー飛散を抑制する有効な方法として、記録部材のトナーが転写すべき位置に静電潜像を形成することが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1では、実際に、TESI法を用いて記録部材上に静電潜像を作成し、転写時のトナー飛散を抑制している。しかし特許文献1に記された方法では、記録部材上に静電潜像担持体を用いてネガ潜像を作成するための工程が必要となるための時間が必要となる。また、高速印画に優れるタンデム型の画像形成装置への応用は極めて困難である。
【0008】
また、光導電性ベルトを用いてベルト上に潜像(ネガ型)を作り、トナー飛散を押さえている技術も提案されている(例えば特許文献2参照)が、この方式でも、高速印画に優れるタンデム型の画像形成装置への応用は極めて困難であり、高速でのカラー画像形成には向かない。
【0009】
【特許文献1】特許第3699826号公報
【特許文献2】特開2004−37996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上の問題点にかんがみてなしたものであり、簡易的な方法により記録部材に転写されるトナー像に対応する潜像を形成することにより、記録部材上でのトナー飛散を防ぎ、高品質な画像を得ることが出来る直接転写方式のカラー電子写真画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置のうち請求項1に係るものは、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする。
【0012】
同請求項2に係るものは、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記重畳順で二色目以降の各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする。
【0013】
同請求項3に係るものは、請求項2に記載の画像形成装置において、前記重畳順で一色目の画像形成に用いるトナーがイエローの画像形成用のトナーであることを特徴とする。
【0014】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材により与えられた電荷を、前記重畳順で最終色のトナー画像を前記記録部材上に重畳転写後に除去する電荷除去部材を備えてなることを特徴とする。
【0015】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された平面電極であることを特徴とする。
【0016】
同請求項6に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された針電極であることを特徴とする。
【0017】
同請求項7に係るものは、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記各転写ニップと対応する前記各電荷付与部材間距離Dが、前記ベルト状搬送部材の体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度Vとの間にD≦ρ×ε×Vの関係を有するものとしてなることを特徴とする。
【0018】
同請求項8に係るものは、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写部材が芯金上に二層からなる弾性体を均一に形成して作られたローラ状部材で構成され、且つ前記弾性体の表面層の体積抵抗率が1×108Ω・m以上で他層の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする。
【0019】
同請求項9に係るものは、請求項4から8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で、且つ前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、記録部材上に転写されたトナー画像がまったくあるいはほとんど飛散することなく定着され得るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に関して、添付図面を参照して説明する。但し、以下の実施例に用いられている、構成部品の配置、種類、数値等は本発明の範囲を限定せず、種々公知、周知のものを採用し得る。
【実施例1】
【0022】
図1に本発明に係る画像形成装置の実施例1の要部構成を示す。現像装置1a〜1dにはそれぞれ、異なる色のトナーが、それぞれ負帯電状態(帯電量Q/M=−30μC/g)で、キャリアに保持されている。トナー色の設置順に制限はないが、一色目はイエローが望ましいとされている。そこで本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順としたものとして説明する。
【0023】
電気的に接地された芯金上に有機感光体層を形成した静電潜像担持体2a〜2dは、図中矢印A1〜A4方向にそれぞれ回転可能に保持されており、コロナ放電装置3a〜3dで表面を均一に負帯電(−600V)された後、図示しないレーザーダイオードからなる発光手段により、画像対応部分に光照射が行われ、静電潜像が形成される。本実施例では、例えば書き込み解像度を600dpiとするが、これには限定されない。これら静電潜像担持体2a〜2dに前記トナーが現像された後、トナー像は正電圧及び圧力を印加された転写ローラ4a〜4dと静電潜像担持体2a〜2dの接触領域に作られる各転写ニップ内及びその近傍で記録部材6上へ重畳転写される。記録部材搬送ベルト5の裏面には、各転写ニップに入る手前で電荷付与部材10a〜10dによる、放電で、その転写ニップでトナーが転写される記録部材の場所の対向面に正電荷で潜像が作られている。このため、負帯電トナーは転写ニップ近傍で正電荷潜像に引き付けられるように転写され、転写ニップ入り口でのチリが抑制される。
【0024】
記録部材6上に転写された負極性のトナー画像は、記録部材搬送ベルト対向裏面に形成された正電荷潜像と引き合い、定着装置7の入り口に達するまで記録部材6上でのトナー飛散を抑えることが出来る。
【0025】
本発明では、記録部材搬送ベルト5として、例えば体積抵抗率が5×107Ω・mのポリイミドベルト(80μm厚)を用い、また、転写ローラ4a〜4dとして直径が10mmφの芯金の周りに厚さ2mmの発泡ゴム層(体積抵抗率1×105Ω・m)を形成したものを用いた。もちろん、この例の形状、数値には限定されない。
【0026】
四色目のトナー像を記録部材6上に形成後、記録部材6上に重畳的に形成された各トナーは、定着装置7より記録部材6上に固着される。
【0027】
記録部材搬送ベルト5裏面に形成された正電荷は、記録部材6が記録部材搬送ベルト5から離されて、定着装置7に入り、トナー電荷が対向面に無くなると、ポリイミドベルトの低い体積抵抗率のため、直ちに拡散し、近傍の接地部分から逃げる。このため、ポリイミドベルトのような体積抵抗率の低い素材を記録部材搬送ベルトとして用いる場合には、裏面に形成される正電荷潜像を除去する装置は設置しなくても構わない(勿論設置しても良い)。
【0028】
静電潜像担持体2a〜2d上に残ったトナーはクリーニング装置8a〜8dにて回収、再利用される。潤滑油供給装置9a〜9dからは潤滑油としてステアリン酸亜鉛が静電潜像担持体2a〜2d上に一定量供給され、静電潜像担持体2a〜2d表面の静止摩擦係数を一定に保っている。
【0029】
次に記録部材上トナー画像転写部位の対向面(記録部材搬送ベルト5裏面上)に正電荷を形成する方法について説明する。
電荷付与部材10a〜10dは、記録部材搬送ベルト5の裏面側に記録部材搬送ベルト裏面から50μm離間し、且つ各転写ニップの上流側5mmの場所に設置され、正極性の電位が可変付与でるようになっている。また、図2に示すように、本実施例の書き込み解像度600dpiに合わせて、42.3μmピッチで40μm×35μmの電極xが7021個形成され、297mm幅の印画領域まで対応できるようになっている。
【0030】
各静電潜像担持体2a〜2d上へ書き込まれる印画データ情報は、電荷付与部材10a〜10dにも転送され、予め直ぐ下流の転写ニップでトナーが形成される記録部材6の対向面(記録部材搬送ベルト5裏面上)に放電により正電荷の潜像が形成される。この正電荷潜像形成のタイミングは、各転写ニップと対応する各電荷付与部材10a〜10dの離間距離と各静電潜像担持体2a〜2d及び記録部材搬送ベルト5の線速から求めることができる。搬送系の微妙な線速変動に対応するために、通常の転写位置合わせ機構用の信号を補正用に用いて、正電荷潜像形成位置の精度を向上させ得る。
【0031】
図3に示すように、レッド、マゼンタ、イエロートナーを順次重畳してなる画像を形成する場合を例にとり、画像形成機構を更に詳細に説明する。なお、図4(A)はイエローステーションY、マゼンタステーションMを横から見た側面図で、図4(B)は上から見た平面図であって、静電潜像担持体と転写ローラは図示していないものである。
【0032】
イエローステーションYの例えば5mm上流側でイエロー画像情報に応じて電荷付与部材10aを動作させ、トナー転写場所の裏側に放電により正電荷潜像が形成され、イエローステーションYの転写ニップ通過後、負極性トナーが正電荷潜像上に転写される。正電荷潜像と負極性トナー間のクーロン力により、イエロートナーは正電荷潜像上に留まったまま、マゼンタステーションMへ向かう。マゼンタステーションMの例えば5mm上流側で、マゼンタ画像情報に基づき、電荷付与部材10bの画像部電極に正電位が印加され、マゼンタトナー転写位置対向面に正電荷潜像が形成される。なおイエローの正電荷潜像が既に形成されている部分にマゼンタの正電荷潜像を重ねる場合には、当該電極に与える電位テーブルを切り替えて、適切な放電が起こるようにする。
【0033】
マゼンタステーションM通過後、図3に示す画像が記録部材上に形成されるが、この際、レッド形成部分の記録部材搬送ベルト対向裏面には、マゼンタ、イエロー単色形成部分対向面の約2倍の正電荷が付与されることとなる(本実施例では、イエロートナーとマゼンタトナーの帯電量をほぼ同じにしたため。帯電量の異なるトナーを用いる場合には、トナー帯電量毎に付与する正電荷量を調整する。)。記録部材搬送ベルト5裏面のトナー画像形成部裏面には記録部材5上対向面のトナー量に比例した量の正電荷潜像が形成されるため、記録部材5上のトナー量が増えても、トナー間のクーロン反発力に基づく、転写ニップ後のチリを抑えることが可能となる。
【0034】
四色画像を形成する場合は、上記の過程を繰り返せば良い。但し、搬送方向下流側の電荷付与部材は、上流側での正電荷潜像形成情報を用いて必要に応じて電極に与える正電位を調整する必要がある。
【0035】
本実施例の効果の検証として、株式会社リコー製のIPSiOCX8200(商品名)を母体とした改造機を評価機器として用い、600dpi出力(印画速度277mm/秒)にて評価画像の出力をして、画質評価を行った。
【0036】
評価用画像として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド(イエロー+マゼンタ)、グリーン(イエロー+シアン)、ブルー(マゼンタ+シアン)、三色ブラック(イエロー+マゼンタ+シアン)の各色で中間転写ベルト搬送方向に幅4ドットのライン(長さは中間転写ベルト幅方向に最大)を各10本ずつ紙上に印画し、定着終了後の最終画像100枚について画像のチリ出現状況をチリのない状況をランク5、チリの発生がひどく、画像として成立しない場合をランク1として官能評価を行った。
【0037】
前記画像評価用4ドットラインは評価画像一枚の中で他のラインと重ならないように、また、一枚毎にランダムな位置に形成した。画像評価は前述したランク1から5の間を5段階に分けた限度見本に従い行い、100枚の平均値を評価値として採用した。
【0038】
比較例として、電位付与部材10a〜10dのない場合(その他の画像形成条件は実施例1と同じ)について、同様の評価を行った。
【0039】
評価結果は図5に示すように、単色のラインでは大差が見られなかったが、二色以上のトナーを重ねた場合、比較例ではチリの発生が目立った。対して本実施例では二色以上のトナーを重ねてもチリの発生は最小限に抑えられ、高品質な画像を得ることが出来た。
【0040】
なお、本実施例1で用いる電荷付与部材10a〜10d上の電極の形は例えば正方形でも良く、また種々の形状を採用できる。
【実施例2】
【0041】
図6に本発明の実施例2を示す。
本実施例の基本的な構成は実施例1と同様であるが、電位付与部材12aを取り除いてある。また、電荷付与部材12b〜12dに形成される電極として、図7に示すような、高さ1mm、先端の太さ20μmの針電極を42.3μmピッチで形成したものを用い、針電極の先端を、中間転写ベルト裏面から100μm離間させて設置した。
【0042】
本実施例の効果を検証するために、評価用画像出力機としてやはり株式会社リコー製のIPSioCX8200(商品名)を母体とした改造機を用い600dpi出力(印画速度277mm/秒)にて、実施例1と同様の画質評価を行った。
【0043】
比較例として、電位付与部材10a〜10dのない場合(比較例1と同様)について、同様の評価を行った。
【0044】
評価結果は図8に示すように、単色のラインでは大差が見られなかったが、二色以上のトナーを重ねた場合、比較例ではチリの発生が目立った。対して実施例では二色以上のトナーを重ねてもチリの発生は最小限に抑えられ、高品質な画像を得ることが出来た。
【実施例3】
【0045】
図9に本発明の実施例3を示す。
基本的な構成は実施例1と同様であるが、記録部材搬送ベルト5として体積抵抗率が1×1010Ω・mのポリビニリデンジフルオロライドベルト(厚さ150μm)を用い、さらに図10に示すように転写ローラとして直径10mmφの芯金4−1上に厚さ2mmの発泡ゴム層4−2(体積抵抗率1×105Ω・m)、厚さ1mmのポリビニリデンジフルオロライド層4−3(体積抵抗率1×1010Ω・m)を順次形成したものを用いた。さらに、電荷付与部材10a〜10dは各転写ニップ入り口の10mm上流側に、搬送ベルト裏面から50μm離間させて設置させた。
【0046】
また、記録部材6が定着装置7に送られ、記録部材搬送ベルト5と離間した後に電荷除去部材11により、記録部材搬送ベルト5裏面に形成された正電荷潜像を除去出来るようにした。電荷除去部材11は、接地された直径10mmφの芯金上に厚さ2mmの発泡ゴム層(体積抵抗率1×105Ω・m)が均一に形成されたローラ状であり、記録部材搬送ベルト5裏面に接するように設置されている。
【0047】
本実施例の効果を検証するために、評価用画像出力機としてやはり株式会社リコー製のIPSioCX8200(商品名)を母体とした改造機を用い600dpi(印画速度277mm/秒)出力にて、実施例1と同様の画質評価を行った。
【0048】
比較例として、電位付与部材10a〜10dのない場合(比較例1と同様)について、同様の評価を行った。
【0049】
結果を図11示す。図11から分かるように、特に複数色を重ねた場合の画像でチリ画像を抑制する効果が現れ、画質的には問題のない実施例1よりもさらに質の高い画像を得ることができた。これは、記録部材搬送ベルト5の体積抵抗率を上げたため、裏面に形成された正電荷潜像の保持が確実になったこと、また、転写ローラ4a〜4d上層を高体積抵抗率の部材を用いたため、転写ローラに負荷されるバイアスとの干渉を低減出来たこと、更に電荷除去部材11の弾性体層として低体積抵抗率の部材を用いたため、記録部材搬送ベルト5裏面の正電荷潜像の除去が確実となったことが原因と考えられる。
【0050】
次に記録部材搬送ベルトの体積抵抗率ρと誘電率ε及び電荷付与部材設置位置の関係について述べる。体積抵抗率と誘電率の積ρ×εは、記録部材搬送ベルト上に存在する電荷量が1/e(eは自然対数)になるまでの時間(緩和時間)を与える。よって、電荷付与部材により記録部材裏面に与えられた正電荷潜像が転写ニップにρ×ε以内の時間で入ると、正電荷潜像が余り失われない状態で対向面の記録部材上に負極性のトナーが正電荷潜像に引き付けられるように転写される。一旦トナーが転写されると、トナーと正電荷潜像間のクーロン力により正電荷潜像は保持されるため、正電荷潜像拡散の心配は無くなる。このため、各転写ニップと対応する各電荷付与部材間距離Dが、記録部材搬送ベルトの体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度Vとの間にD≦ρ×ε×Vの関係を有するものとすることが好ましい。すなわちこの条件は、正電荷潜像が有効に作用する条件の目安を与えるものである。
【0051】
実際に実施例1で使用された記録部材搬送ベルトの比誘電率は測定の結果5.0であった。この値と体積抵抗率5×107Ω・mから計算される緩和時間は、2.2×10−3秒となる。記録部材ベルトの搬送速度は印画速度に等しく277mm/秒であるから、電荷付与部材は転写ニップの上流側0.6mm(=277mm/秒×2.2×10−3秒)以内に設置することが望ましい。実施例1で、電荷付与部材は転写ニップの5mm上流に設置されているため、前記条件を満たさない。しかし、正電荷潜像が完全に拡散するまでの時間は概ね緩和時間の10倍とされ、この条件は満たしている(転写ニップ上流6mm以内の設置に相当する)。このため、一定レベルのチリ画像抑制効果が現れたものと考えられる。
【0052】
一方、本実施例で使用された記録部材搬送ベルトの比誘電率は測定の結果、7.0であり、上述の計算を繰り返すと、電荷付与部材の望ましい設置位置は、転写ニップの上流側17mm以内であることが分かる。本実施例では10mm上流側に設定しているため、この条件を満たしており、チリ画像を極めて上手く抑制出来たものと考えられる。
【0053】
図11には、本実施例で電荷付与部材の設置位置を、対応する転写ニップの上流側17mm、18mm、20mmとした場合のチリ画像の評価結果も併せて提示してある。図11に示した結果より、前記条件を満たす距離D=17mmまでは、特に二色以上のトナーを重ねた場合に、実施例1以上の高品位画像を維持していることが分かる。
【実施例4】
【0054】
電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で、且つ前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることが好ましいこと、すなわち電荷除去ローラの体積抵抗率の効果を確認するため、以下の評価を行った。
【0055】
実施例3と同様な構成で、電荷除去部材11の弾性体の体積抵抗率を1×105Ω・m(実施例3に対応)、1×107Ω・m、1×108Ω・m、1×1012Ω・mとした場合について、実施例1と同様の評価画像を用いて40000枚の連続印画を行い、画質評価を行った。この際、これまでのチリ画像評価に加え、画像の地汚れ評価も併せて行った。地汚れの評価基準は、地汚れ発生のない良好な画像を5、地汚れがひどく、画像として成立しないものを1とした限度見本を用いた官能評価により5段階評価を行った。
【0056】
39900枚目から40000枚目の100枚についての評価結果を図12に示す。体積抵抗率が1×105Ω・m、1×107Ω・mのものについては、チリ、地汚れ画像の発生はほとんど無く良好な画像を得ることが出来た。一方、体積抵抗率1×108Ω・mの場合、チリの発生は見られなかったが、画像に地汚れが僅かに発生していた。これは、二次転写対向ローラの弾性体の体積抵抗率が高いため、記録部材搬送ベルト裏面上の正電荷が十分に除電されず、記録部材搬送ベルト裏面上に徐々に正電荷が蓄積され、不要な潜像となったため、転写部で地汚れを発生させたものと推定される。実際に体積抵抗率が1×1012Ω・mの場合は更に地汚れが悪化した。
【0057】
前記結果より、長期的な使用を視野に入れた場合、既述のように、電荷除去部材弾性体の体積抵抗率は少なくとも1×108Ω・m未満であることが望ましいといえる。
【0058】
すなわち本発明によれば、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、各転写ニップ上流側に各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を具備することを特徴とする画像形成装置であるため、記録部材上に転写されたトナー画像が飛散することなく、定着され、トナー飛散の少ない良好な画像を得ることが出来る。
【0059】
また、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、二色目以降の各転写ニップ上流側に各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を具備することを特徴とする画像形成装置であるため、低コストで、特にチリ画像として目立つ、二色以上のトナー画像が重ねられた場合に転写ニップ出口で発生する重ねチリ画像を抑制した良好な画像を得ることが出来る。またこの画像形成装置で、一色目の画像形成に用いるトナーがイエローであることを特徴とする画像形成装置であるため、一色目トナーの転写過程でチリが多少発生しても、画質への影響は最小限に抑えられる。このため、低コストで重ねチリのほとんど目立たない良好な画像を得ることが出来る。
【0060】
また上述の各画像形成装置で、前記電荷付与部材により与えられた電荷を、最終色トナー画像を前記記録部材上に重畳転写後に除去する電荷除去部材を具備することを特徴とする画像形成装置であるため、次画像を作成する前に、前記電荷付与部材で与えられたトナーとは逆極性を持つ電荷を除去することが出来、特に高体積抵抗率を有する記録材搬送ベルトを使用する場合に、前記トナーとは逆極性の電荷の残存に伴う地汚れの発生を防ぎ、チリ及び地汚れの少ない高品質の画像を得ることが出来る。
【0061】
同じく前記各画像形成装置で、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された平面電極であることを特徴とする画像形成装置であるため、平易な方法で前記電荷付与部材を作成することが出来、低コストでトナー飛散の少ない良好な画像を得ることが出来る。
【0062】
同じく前記各画像形成装置で、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された針電極であることを特徴とする画像形成装置であるため、一般に流通する針電極を流用出来、低開発コストでトナー飛散の少ない良好な画像を得ることが出来る。
【0063】
また同じく前記各画像形成装置で、前記ベルト状搬送部材の体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度V及び、前記各転写ニップと対応する前記各電荷付与部材間距離Dの間にD≦ρ×ε×Vの関係があることを特徴とする画像形成装置であるため、記録部材搬送ベルト上のトナー形成位置の対向面側に付与されたトナーとは逆極性の電荷が、転写ニップまで十分保持されるため、記録部材上でのトナー飛散を防ぎ、良好な画像を得ることが出来る。
【0064】
また前記各画像形成装置で、前記転写部材が芯金上に二層からなる弾性体を均一に形成して作られたローラ状部材で構成され、且つ、前記弾性体の表面層の体積抵抗率が1×108Ω・m以上で他層の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置であるため、転写部材芯金への前記付与された電荷の流出を抑えることが出来、記録部材搬送ベルト上のトナー形成位置の対向面側に付与されたトナーとは逆極性の電荷の保持性が高まるため、記録部材上でのトナー飛散を防ぎ、良好な画像を得ることが出来る。
【0065】
さらに前記各像形成装置で、前記電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で且つ、前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置であるため、前記記録部材搬送ベルト上のトナー形成位置の対向面側に付与されたトナーとは逆極性の電荷を、確実に除去することが可能となり、特に高体積抵抗率を有する記録部材搬送ベルトを用いる場合に、地汚れやトナー飛散のない良好な画像を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施例1の要部構成を示す概念図
【図2】実施例1における書き込み解像度と電荷付与部材のピッチの関係図
【図3】レッド、マゼンタ、イエロートナーを順次重畳してなる画像を概念的に示す断面図
【図4】イエローステーションY、マゼンタステーションMを横から見た側面図(A)、同平面図(B)
【図5】本発明の実施例1の評価結果を示す図
【図6】本発明に係る画像形成装置の実施例1の要部構成を示す概念図
【図7】電荷付与部材として針電極を用いた場合の図2想到の関係図
【図8】本発明の実施例2の評価結果を示す図
【図9】本発明に係る画像形成装置の実施例3の要部構成を示す概念図
【図10】本発明の実施例3で用いた転写ローラを示す断面図
【図11】本発明の実施例3の評価結果を示す図
【図12】本発明の実施例3において40000枚の連続印画を行い、39900枚目から40000枚目の100枚について行った評価結果を示す図
【符号の説明】
【0067】
1a〜1d:現像装置
2a〜2d:静電潜像担持体
3a〜3d:コロナ放電装置
4a〜4d:転写ローラ
4−1:芯金
4−2:発泡ゴム層
4−3:ポリビニリデンジフルオロライド層
5:記録部材搬送ベルト
6:記録部材
7:定着装置
8a〜8d:クリーニング装置
9a〜9d:潤滑油供給装置
10a〜10d:電荷付与部材
10a〜10d:電荷付与部材
11:電荷除去部材
12b〜12d:電荷付与部材
Y:イエローステーション
M:マゼンタステーション
x:電荷付与部材の電極
y:電荷付与部材の針電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置あるいはそれらの複合機で直接転写方式を使用する画像形成装置に関し、詳細には画質改良を行うための転写プロセスの制御を改良、改善したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の直接転写方式のカラー電子写真画像形成装置では、複数の静電潜像担持体上に形成されたトナーを、各静電潜像担持体と記録部材及び記録部材を搬送するベルト状搬送部材(以下記録部材搬送ベルトと記す)で形成される転写ニップ近傍でトナーに圧力と電気力を作用させることにより、記録部材上に順次トナー画像を重畳転写した後、加圧及び加熱による定着作業を経て、最終カラー画像を得ている。
【0003】
このような装置で高品位画像を得るためには、静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を過不足なく、静電潜像担持体上の潜像に忠実に、正確に重ね合わせて記録部材上へ転写し、この状態を保持したまま定着工程を終わらせる必要がある。
【0004】
静電潜像担持体上のトナーは、前述したように、各転写ニップ近傍での電気力と圧力により記録部材上に移動する。この際、静電潜像担持体上のトナーは、転写ニップ手前より電気力により記録部材上に移動を開始する。転写ニップ手前で転写が行われる場合、転写されるトナーの一部はトナー間の静電反発力により、本来転写されるべき位置からずれて記録部材上に転写され、結果として画像にぼやけが生ずる転写チリと呼ばれる異常画像を発生させる。
【0005】
また、転写ニップ通過後、記録部材上に転写されたトナーに掛かる転写バイアスによる電界は速やかに減少する。このためトナーを記録部材側に抑え付ける力が弱まりトナー間の静電反発力によりトナーが飛散して、チリ画像となり画質を損なう。この転写ニップ通過後に発生するチリ画像は、特に記録部材上で複数色のトナー像が重ねられ、画像を形成するトナー量が増えた場合に顕著となり、画像の劣化度合いは、転写ニップ手前で発生する転写チリに比べて極めて大きく、良好な最終画像を得るためには、この転写ニップ通過後に発生するチリ画像を抑制することが必要となる。
【0006】
上述した転写ニップ前後で発生するトナー飛散を抑制する有効な方法として、記録部材のトナーが転写すべき位置に静電潜像を形成することが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1では、実際に、TESI法を用いて記録部材上に静電潜像を作成し、転写時のトナー飛散を抑制している。しかし特許文献1に記された方法では、記録部材上に静電潜像担持体を用いてネガ潜像を作成するための工程が必要となるための時間が必要となる。また、高速印画に優れるタンデム型の画像形成装置への応用は極めて困難である。
【0008】
また、光導電性ベルトを用いてベルト上に潜像(ネガ型)を作り、トナー飛散を押さえている技術も提案されている(例えば特許文献2参照)が、この方式でも、高速印画に優れるタンデム型の画像形成装置への応用は極めて困難であり、高速でのカラー画像形成には向かない。
【0009】
【特許文献1】特許第3699826号公報
【特許文献2】特開2004−37996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上の問題点にかんがみてなしたものであり、簡易的な方法により記録部材に転写されるトナー像に対応する潜像を形成することにより、記録部材上でのトナー飛散を防ぎ、高品質な画像を得ることが出来る直接転写方式のカラー電子写真画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置のうち請求項1に係るものは、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする。
【0012】
同請求項2に係るものは、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記重畳順で二色目以降の各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする。
【0013】
同請求項3に係るものは、請求項2に記載の画像形成装置において、前記重畳順で一色目の画像形成に用いるトナーがイエローの画像形成用のトナーであることを特徴とする。
【0014】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材により与えられた電荷を、前記重畳順で最終色のトナー画像を前記記録部材上に重畳転写後に除去する電荷除去部材を備えてなることを特徴とする。
【0015】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された平面電極であることを特徴とする。
【0016】
同請求項6に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された針電極であることを特徴とする。
【0017】
同請求項7に係るものは、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記各転写ニップと対応する前記各電荷付与部材間距離Dが、前記ベルト状搬送部材の体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度Vとの間にD≦ρ×ε×Vの関係を有するものとしてなることを特徴とする。
【0018】
同請求項8に係るものは、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写部材が芯金上に二層からなる弾性体を均一に形成して作られたローラ状部材で構成され、且つ前記弾性体の表面層の体積抵抗率が1×108Ω・m以上で他層の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする。
【0019】
同請求項9に係るものは、請求項4から8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で、且つ前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、記録部材上に転写されたトナー画像がまったくあるいはほとんど飛散することなく定着され得るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に関して、添付図面を参照して説明する。但し、以下の実施例に用いられている、構成部品の配置、種類、数値等は本発明の範囲を限定せず、種々公知、周知のものを採用し得る。
【実施例1】
【0022】
図1に本発明に係る画像形成装置の実施例1の要部構成を示す。現像装置1a〜1dにはそれぞれ、異なる色のトナーが、それぞれ負帯電状態(帯電量Q/M=−30μC/g)で、キャリアに保持されている。トナー色の設置順に制限はないが、一色目はイエローが望ましいとされている。そこで本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順としたものとして説明する。
【0023】
電気的に接地された芯金上に有機感光体層を形成した静電潜像担持体2a〜2dは、図中矢印A1〜A4方向にそれぞれ回転可能に保持されており、コロナ放電装置3a〜3dで表面を均一に負帯電(−600V)された後、図示しないレーザーダイオードからなる発光手段により、画像対応部分に光照射が行われ、静電潜像が形成される。本実施例では、例えば書き込み解像度を600dpiとするが、これには限定されない。これら静電潜像担持体2a〜2dに前記トナーが現像された後、トナー像は正電圧及び圧力を印加された転写ローラ4a〜4dと静電潜像担持体2a〜2dの接触領域に作られる各転写ニップ内及びその近傍で記録部材6上へ重畳転写される。記録部材搬送ベルト5の裏面には、各転写ニップに入る手前で電荷付与部材10a〜10dによる、放電で、その転写ニップでトナーが転写される記録部材の場所の対向面に正電荷で潜像が作られている。このため、負帯電トナーは転写ニップ近傍で正電荷潜像に引き付けられるように転写され、転写ニップ入り口でのチリが抑制される。
【0024】
記録部材6上に転写された負極性のトナー画像は、記録部材搬送ベルト対向裏面に形成された正電荷潜像と引き合い、定着装置7の入り口に達するまで記録部材6上でのトナー飛散を抑えることが出来る。
【0025】
本発明では、記録部材搬送ベルト5として、例えば体積抵抗率が5×107Ω・mのポリイミドベルト(80μm厚)を用い、また、転写ローラ4a〜4dとして直径が10mmφの芯金の周りに厚さ2mmの発泡ゴム層(体積抵抗率1×105Ω・m)を形成したものを用いた。もちろん、この例の形状、数値には限定されない。
【0026】
四色目のトナー像を記録部材6上に形成後、記録部材6上に重畳的に形成された各トナーは、定着装置7より記録部材6上に固着される。
【0027】
記録部材搬送ベルト5裏面に形成された正電荷は、記録部材6が記録部材搬送ベルト5から離されて、定着装置7に入り、トナー電荷が対向面に無くなると、ポリイミドベルトの低い体積抵抗率のため、直ちに拡散し、近傍の接地部分から逃げる。このため、ポリイミドベルトのような体積抵抗率の低い素材を記録部材搬送ベルトとして用いる場合には、裏面に形成される正電荷潜像を除去する装置は設置しなくても構わない(勿論設置しても良い)。
【0028】
静電潜像担持体2a〜2d上に残ったトナーはクリーニング装置8a〜8dにて回収、再利用される。潤滑油供給装置9a〜9dからは潤滑油としてステアリン酸亜鉛が静電潜像担持体2a〜2d上に一定量供給され、静電潜像担持体2a〜2d表面の静止摩擦係数を一定に保っている。
【0029】
次に記録部材上トナー画像転写部位の対向面(記録部材搬送ベルト5裏面上)に正電荷を形成する方法について説明する。
電荷付与部材10a〜10dは、記録部材搬送ベルト5の裏面側に記録部材搬送ベルト裏面から50μm離間し、且つ各転写ニップの上流側5mmの場所に設置され、正極性の電位が可変付与でるようになっている。また、図2に示すように、本実施例の書き込み解像度600dpiに合わせて、42.3μmピッチで40μm×35μmの電極xが7021個形成され、297mm幅の印画領域まで対応できるようになっている。
【0030】
各静電潜像担持体2a〜2d上へ書き込まれる印画データ情報は、電荷付与部材10a〜10dにも転送され、予め直ぐ下流の転写ニップでトナーが形成される記録部材6の対向面(記録部材搬送ベルト5裏面上)に放電により正電荷の潜像が形成される。この正電荷潜像形成のタイミングは、各転写ニップと対応する各電荷付与部材10a〜10dの離間距離と各静電潜像担持体2a〜2d及び記録部材搬送ベルト5の線速から求めることができる。搬送系の微妙な線速変動に対応するために、通常の転写位置合わせ機構用の信号を補正用に用いて、正電荷潜像形成位置の精度を向上させ得る。
【0031】
図3に示すように、レッド、マゼンタ、イエロートナーを順次重畳してなる画像を形成する場合を例にとり、画像形成機構を更に詳細に説明する。なお、図4(A)はイエローステーションY、マゼンタステーションMを横から見た側面図で、図4(B)は上から見た平面図であって、静電潜像担持体と転写ローラは図示していないものである。
【0032】
イエローステーションYの例えば5mm上流側でイエロー画像情報に応じて電荷付与部材10aを動作させ、トナー転写場所の裏側に放電により正電荷潜像が形成され、イエローステーションYの転写ニップ通過後、負極性トナーが正電荷潜像上に転写される。正電荷潜像と負極性トナー間のクーロン力により、イエロートナーは正電荷潜像上に留まったまま、マゼンタステーションMへ向かう。マゼンタステーションMの例えば5mm上流側で、マゼンタ画像情報に基づき、電荷付与部材10bの画像部電極に正電位が印加され、マゼンタトナー転写位置対向面に正電荷潜像が形成される。なおイエローの正電荷潜像が既に形成されている部分にマゼンタの正電荷潜像を重ねる場合には、当該電極に与える電位テーブルを切り替えて、適切な放電が起こるようにする。
【0033】
マゼンタステーションM通過後、図3に示す画像が記録部材上に形成されるが、この際、レッド形成部分の記録部材搬送ベルト対向裏面には、マゼンタ、イエロー単色形成部分対向面の約2倍の正電荷が付与されることとなる(本実施例では、イエロートナーとマゼンタトナーの帯電量をほぼ同じにしたため。帯電量の異なるトナーを用いる場合には、トナー帯電量毎に付与する正電荷量を調整する。)。記録部材搬送ベルト5裏面のトナー画像形成部裏面には記録部材5上対向面のトナー量に比例した量の正電荷潜像が形成されるため、記録部材5上のトナー量が増えても、トナー間のクーロン反発力に基づく、転写ニップ後のチリを抑えることが可能となる。
【0034】
四色画像を形成する場合は、上記の過程を繰り返せば良い。但し、搬送方向下流側の電荷付与部材は、上流側での正電荷潜像形成情報を用いて必要に応じて電極に与える正電位を調整する必要がある。
【0035】
本実施例の効果の検証として、株式会社リコー製のIPSiOCX8200(商品名)を母体とした改造機を評価機器として用い、600dpi出力(印画速度277mm/秒)にて評価画像の出力をして、画質評価を行った。
【0036】
評価用画像として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド(イエロー+マゼンタ)、グリーン(イエロー+シアン)、ブルー(マゼンタ+シアン)、三色ブラック(イエロー+マゼンタ+シアン)の各色で中間転写ベルト搬送方向に幅4ドットのライン(長さは中間転写ベルト幅方向に最大)を各10本ずつ紙上に印画し、定着終了後の最終画像100枚について画像のチリ出現状況をチリのない状況をランク5、チリの発生がひどく、画像として成立しない場合をランク1として官能評価を行った。
【0037】
前記画像評価用4ドットラインは評価画像一枚の中で他のラインと重ならないように、また、一枚毎にランダムな位置に形成した。画像評価は前述したランク1から5の間を5段階に分けた限度見本に従い行い、100枚の平均値を評価値として採用した。
【0038】
比較例として、電位付与部材10a〜10dのない場合(その他の画像形成条件は実施例1と同じ)について、同様の評価を行った。
【0039】
評価結果は図5に示すように、単色のラインでは大差が見られなかったが、二色以上のトナーを重ねた場合、比較例ではチリの発生が目立った。対して本実施例では二色以上のトナーを重ねてもチリの発生は最小限に抑えられ、高品質な画像を得ることが出来た。
【0040】
なお、本実施例1で用いる電荷付与部材10a〜10d上の電極の形は例えば正方形でも良く、また種々の形状を採用できる。
【実施例2】
【0041】
図6に本発明の実施例2を示す。
本実施例の基本的な構成は実施例1と同様であるが、電位付与部材12aを取り除いてある。また、電荷付与部材12b〜12dに形成される電極として、図7に示すような、高さ1mm、先端の太さ20μmの針電極を42.3μmピッチで形成したものを用い、針電極の先端を、中間転写ベルト裏面から100μm離間させて設置した。
【0042】
本実施例の効果を検証するために、評価用画像出力機としてやはり株式会社リコー製のIPSioCX8200(商品名)を母体とした改造機を用い600dpi出力(印画速度277mm/秒)にて、実施例1と同様の画質評価を行った。
【0043】
比較例として、電位付与部材10a〜10dのない場合(比較例1と同様)について、同様の評価を行った。
【0044】
評価結果は図8に示すように、単色のラインでは大差が見られなかったが、二色以上のトナーを重ねた場合、比較例ではチリの発生が目立った。対して実施例では二色以上のトナーを重ねてもチリの発生は最小限に抑えられ、高品質な画像を得ることが出来た。
【実施例3】
【0045】
図9に本発明の実施例3を示す。
基本的な構成は実施例1と同様であるが、記録部材搬送ベルト5として体積抵抗率が1×1010Ω・mのポリビニリデンジフルオロライドベルト(厚さ150μm)を用い、さらに図10に示すように転写ローラとして直径10mmφの芯金4−1上に厚さ2mmの発泡ゴム層4−2(体積抵抗率1×105Ω・m)、厚さ1mmのポリビニリデンジフルオロライド層4−3(体積抵抗率1×1010Ω・m)を順次形成したものを用いた。さらに、電荷付与部材10a〜10dは各転写ニップ入り口の10mm上流側に、搬送ベルト裏面から50μm離間させて設置させた。
【0046】
また、記録部材6が定着装置7に送られ、記録部材搬送ベルト5と離間した後に電荷除去部材11により、記録部材搬送ベルト5裏面に形成された正電荷潜像を除去出来るようにした。電荷除去部材11は、接地された直径10mmφの芯金上に厚さ2mmの発泡ゴム層(体積抵抗率1×105Ω・m)が均一に形成されたローラ状であり、記録部材搬送ベルト5裏面に接するように設置されている。
【0047】
本実施例の効果を検証するために、評価用画像出力機としてやはり株式会社リコー製のIPSioCX8200(商品名)を母体とした改造機を用い600dpi(印画速度277mm/秒)出力にて、実施例1と同様の画質評価を行った。
【0048】
比較例として、電位付与部材10a〜10dのない場合(比較例1と同様)について、同様の評価を行った。
【0049】
結果を図11示す。図11から分かるように、特に複数色を重ねた場合の画像でチリ画像を抑制する効果が現れ、画質的には問題のない実施例1よりもさらに質の高い画像を得ることができた。これは、記録部材搬送ベルト5の体積抵抗率を上げたため、裏面に形成された正電荷潜像の保持が確実になったこと、また、転写ローラ4a〜4d上層を高体積抵抗率の部材を用いたため、転写ローラに負荷されるバイアスとの干渉を低減出来たこと、更に電荷除去部材11の弾性体層として低体積抵抗率の部材を用いたため、記録部材搬送ベルト5裏面の正電荷潜像の除去が確実となったことが原因と考えられる。
【0050】
次に記録部材搬送ベルトの体積抵抗率ρと誘電率ε及び電荷付与部材設置位置の関係について述べる。体積抵抗率と誘電率の積ρ×εは、記録部材搬送ベルト上に存在する電荷量が1/e(eは自然対数)になるまでの時間(緩和時間)を与える。よって、電荷付与部材により記録部材裏面に与えられた正電荷潜像が転写ニップにρ×ε以内の時間で入ると、正電荷潜像が余り失われない状態で対向面の記録部材上に負極性のトナーが正電荷潜像に引き付けられるように転写される。一旦トナーが転写されると、トナーと正電荷潜像間のクーロン力により正電荷潜像は保持されるため、正電荷潜像拡散の心配は無くなる。このため、各転写ニップと対応する各電荷付与部材間距離Dが、記録部材搬送ベルトの体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度Vとの間にD≦ρ×ε×Vの関係を有するものとすることが好ましい。すなわちこの条件は、正電荷潜像が有効に作用する条件の目安を与えるものである。
【0051】
実際に実施例1で使用された記録部材搬送ベルトの比誘電率は測定の結果5.0であった。この値と体積抵抗率5×107Ω・mから計算される緩和時間は、2.2×10−3秒となる。記録部材ベルトの搬送速度は印画速度に等しく277mm/秒であるから、電荷付与部材は転写ニップの上流側0.6mm(=277mm/秒×2.2×10−3秒)以内に設置することが望ましい。実施例1で、電荷付与部材は転写ニップの5mm上流に設置されているため、前記条件を満たさない。しかし、正電荷潜像が完全に拡散するまでの時間は概ね緩和時間の10倍とされ、この条件は満たしている(転写ニップ上流6mm以内の設置に相当する)。このため、一定レベルのチリ画像抑制効果が現れたものと考えられる。
【0052】
一方、本実施例で使用された記録部材搬送ベルトの比誘電率は測定の結果、7.0であり、上述の計算を繰り返すと、電荷付与部材の望ましい設置位置は、転写ニップの上流側17mm以内であることが分かる。本実施例では10mm上流側に設定しているため、この条件を満たしており、チリ画像を極めて上手く抑制出来たものと考えられる。
【0053】
図11には、本実施例で電荷付与部材の設置位置を、対応する転写ニップの上流側17mm、18mm、20mmとした場合のチリ画像の評価結果も併せて提示してある。図11に示した結果より、前記条件を満たす距離D=17mmまでは、特に二色以上のトナーを重ねた場合に、実施例1以上の高品位画像を維持していることが分かる。
【実施例4】
【0054】
電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で、且つ前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることが好ましいこと、すなわち電荷除去ローラの体積抵抗率の効果を確認するため、以下の評価を行った。
【0055】
実施例3と同様な構成で、電荷除去部材11の弾性体の体積抵抗率を1×105Ω・m(実施例3に対応)、1×107Ω・m、1×108Ω・m、1×1012Ω・mとした場合について、実施例1と同様の評価画像を用いて40000枚の連続印画を行い、画質評価を行った。この際、これまでのチリ画像評価に加え、画像の地汚れ評価も併せて行った。地汚れの評価基準は、地汚れ発生のない良好な画像を5、地汚れがひどく、画像として成立しないものを1とした限度見本を用いた官能評価により5段階評価を行った。
【0056】
39900枚目から40000枚目の100枚についての評価結果を図12に示す。体積抵抗率が1×105Ω・m、1×107Ω・mのものについては、チリ、地汚れ画像の発生はほとんど無く良好な画像を得ることが出来た。一方、体積抵抗率1×108Ω・mの場合、チリの発生は見られなかったが、画像に地汚れが僅かに発生していた。これは、二次転写対向ローラの弾性体の体積抵抗率が高いため、記録部材搬送ベルト裏面上の正電荷が十分に除電されず、記録部材搬送ベルト裏面上に徐々に正電荷が蓄積され、不要な潜像となったため、転写部で地汚れを発生させたものと推定される。実際に体積抵抗率が1×1012Ω・mの場合は更に地汚れが悪化した。
【0057】
前記結果より、長期的な使用を視野に入れた場合、既述のように、電荷除去部材弾性体の体積抵抗率は少なくとも1×108Ω・m未満であることが望ましいといえる。
【0058】
すなわち本発明によれば、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、各転写ニップ上流側に各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を具備することを特徴とする画像形成装置であるため、記録部材上に転写されたトナー画像が飛散することなく、定着され、トナー飛散の少ない良好な画像を得ることが出来る。
【0059】
また、複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、二色目以降の各転写ニップ上流側に各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を具備することを特徴とする画像形成装置であるため、低コストで、特にチリ画像として目立つ、二色以上のトナー画像が重ねられた場合に転写ニップ出口で発生する重ねチリ画像を抑制した良好な画像を得ることが出来る。またこの画像形成装置で、一色目の画像形成に用いるトナーがイエローであることを特徴とする画像形成装置であるため、一色目トナーの転写過程でチリが多少発生しても、画質への影響は最小限に抑えられる。このため、低コストで重ねチリのほとんど目立たない良好な画像を得ることが出来る。
【0060】
また上述の各画像形成装置で、前記電荷付与部材により与えられた電荷を、最終色トナー画像を前記記録部材上に重畳転写後に除去する電荷除去部材を具備することを特徴とする画像形成装置であるため、次画像を作成する前に、前記電荷付与部材で与えられたトナーとは逆極性を持つ電荷を除去することが出来、特に高体積抵抗率を有する記録材搬送ベルトを使用する場合に、前記トナーとは逆極性の電荷の残存に伴う地汚れの発生を防ぎ、チリ及び地汚れの少ない高品質の画像を得ることが出来る。
【0061】
同じく前記各画像形成装置で、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された平面電極であることを特徴とする画像形成装置であるため、平易な方法で前記電荷付与部材を作成することが出来、低コストでトナー飛散の少ない良好な画像を得ることが出来る。
【0062】
同じく前記各画像形成装置で、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された針電極であることを特徴とする画像形成装置であるため、一般に流通する針電極を流用出来、低開発コストでトナー飛散の少ない良好な画像を得ることが出来る。
【0063】
また同じく前記各画像形成装置で、前記ベルト状搬送部材の体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度V及び、前記各転写ニップと対応する前記各電荷付与部材間距離Dの間にD≦ρ×ε×Vの関係があることを特徴とする画像形成装置であるため、記録部材搬送ベルト上のトナー形成位置の対向面側に付与されたトナーとは逆極性の電荷が、転写ニップまで十分保持されるため、記録部材上でのトナー飛散を防ぎ、良好な画像を得ることが出来る。
【0064】
また前記各画像形成装置で、前記転写部材が芯金上に二層からなる弾性体を均一に形成して作られたローラ状部材で構成され、且つ、前記弾性体の表面層の体積抵抗率が1×108Ω・m以上で他層の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置であるため、転写部材芯金への前記付与された電荷の流出を抑えることが出来、記録部材搬送ベルト上のトナー形成位置の対向面側に付与されたトナーとは逆極性の電荷の保持性が高まるため、記録部材上でのトナー飛散を防ぎ、良好な画像を得ることが出来る。
【0065】
さらに前記各像形成装置で、前記電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で且つ、前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置であるため、前記記録部材搬送ベルト上のトナー形成位置の対向面側に付与されたトナーとは逆極性の電荷を、確実に除去することが可能となり、特に高体積抵抗率を有する記録部材搬送ベルトを用いる場合に、地汚れやトナー飛散のない良好な画像を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施例1の要部構成を示す概念図
【図2】実施例1における書き込み解像度と電荷付与部材のピッチの関係図
【図3】レッド、マゼンタ、イエロートナーを順次重畳してなる画像を概念的に示す断面図
【図4】イエローステーションY、マゼンタステーションMを横から見た側面図(A)、同平面図(B)
【図5】本発明の実施例1の評価結果を示す図
【図6】本発明に係る画像形成装置の実施例1の要部構成を示す概念図
【図7】電荷付与部材として針電極を用いた場合の図2想到の関係図
【図8】本発明の実施例2の評価結果を示す図
【図9】本発明に係る画像形成装置の実施例3の要部構成を示す概念図
【図10】本発明の実施例3で用いた転写ローラを示す断面図
【図11】本発明の実施例3の評価結果を示す図
【図12】本発明の実施例3において40000枚の連続印画を行い、39900枚目から40000枚目の100枚について行った評価結果を示す図
【符号の説明】
【0067】
1a〜1d:現像装置
2a〜2d:静電潜像担持体
3a〜3d:コロナ放電装置
4a〜4d:転写ローラ
4−1:芯金
4−2:発泡ゴム層
4−3:ポリビニリデンジフルオロライド層
5:記録部材搬送ベルト
6:記録部材
7:定着装置
8a〜8d:クリーニング装置
9a〜9d:潤滑油供給装置
10a〜10d:電荷付与部材
10a〜10d:電荷付与部材
11:電荷除去部材
12b〜12d:電荷付与部材
Y:イエローステーション
M:マゼンタステーション
x:電荷付与部材の電極
y:電荷付与部材の針電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記重畳順で二色目以降の各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記重畳順で一色目の画像形成に用いるトナーがイエローの画像形成用のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材により与えられた電荷を、前記重畳順で最終色のトナー画像を前記記録部材上に重畳転写後に除去する電荷除去部材を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された平面電極であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された針電極であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記各転写ニップと対応する前記各電荷付与部材間距離Dが、前記ベルト状搬送部材の体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度Vとの間にD≦ρ×ε×Vの関係を有するものとしてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写部材が芯金上に二層からなる弾性体を均一に形成して作られたローラ状部材で構成され、且つ前記弾性体の表面層の体積抵抗率が1×108Ω・m以上で他層の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項4から8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で、且つ前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数の静電潜像担持体上に形成された各色トナー像を、前記各静電潜像担持体と各転写部材間に、ベルト状搬送部材と前記ベルト状搬送部材上に保持搬送される記録部材を介して形成される各転写ニップ内及びその近傍で、前記記録部材上に電界と圧力を用いて順次重畳して転写後、熱及び圧力により転写済みトナー画像を記録部材上に固着されることで最終画像を得るタンデム型画像形成装置において、前記重畳順で二色目以降の各転写ニップ上流側に、各色の画像データに応じて前記ベルト状搬送部材裏面の各色トナー画像形成部の対向部分に、前記各色トナーと逆極性を持つ電荷を与える電荷付与部材を配してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記重畳順で一色目の画像形成に用いるトナーがイエローの画像形成用のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材により与えられた電荷を、前記重畳順で最終色のトナー画像を前記記録部材上に重畳転写後に除去する電荷除去部材を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された平面電極であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷付与部材が、画像形成装置の最大解像度に対応する大きさ及びピッチで形成された針電極であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記各転写ニップと対応する前記各電荷付与部材間距離Dが、前記ベルト状搬送部材の体積抵抗率ρ、誘電率ε、搬送速度Vとの間にD≦ρ×ε×Vの関係を有するものとしてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写部材が芯金上に二層からなる弾性体を均一に形成して作られたローラ状部材で構成され、且つ前記弾性体の表面層の体積抵抗率が1×108Ω・m以上で他層の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項4から8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷除去部材は、電気的に接地された芯金上に弾性体が均一に形成されたローラ状部材で、且つ前記弾性体の体積抵抗率が1×108Ω・m未満であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−242229(P2008−242229A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84801(P2007−84801)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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