画像形成装置
【課題】中間転写体(記録材担持体)に摺動している複数の転写部材と、中間転写体(記録材担持体)との間に生じる吸着力の総和を減少させることで、中間転写体(記録材担持体)に生じる不具合を防ぐ。
【解決手段】クリーニングバイアス電源22a1〜22d1によってトナー像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを1次転写部材10a〜10dに印加させることにより、中間転写ベルト13上に残留した不要なトナーを感光ドラム1a〜1d上に逆転写させてクリーニングユニット3a〜3dにより除去させる場合に、1次転写部材10a〜10dに対してクリーニングバイアスを同時に印加しないようにクリーニングバイアス電源22a1〜22d1を制御する。
【解決手段】クリーニングバイアス電源22a1〜22d1によってトナー像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを1次転写部材10a〜10dに印加させることにより、中間転写ベルト13上に残留した不要なトナーを感光ドラム1a〜1d上に逆転写させてクリーニングユニット3a〜3dにより除去させる場合に、1次転写部材10a〜10dに対してクリーニングバイアスを同時に印加しないようにクリーニングバイアス電源22a1〜22d1を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真記録方式を利用する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置には、現像剤としてのトナーを用いた電子写真方式が多く用いられている。
【0003】
これらの画像形成装置においては、次に示すような転写工程がある。それは、像担持体としての感光ドラム上に担持されている現像剤像としてのトナー像を、トナーの帯電極性と逆極性の電界を転写手段に与えた記録材搬送体に担持されている記録材もしくは中間転写体表面に対して静電的に転移させる転写工程である。
【0004】
この転写工程においては、トナーを静電的に転移させるために、必要なバイアスを与える転写バイアス印加手段が設けられ、その高圧電源に接続されている転写手段として、次に示すような構成のものがよく用いられている。それは、感光体ドラムに対して記録材搬送体(以下、記録材搬送ベルト)や中間転写体(以下、中間転写ベルト)を挟んで対向位置(記録材搬送ベルトや中間転写ベルトの裏面側)に転写ローラなどの接触転写部材を配置した構成である。
【0005】
しかしながら、転写手段として転写ローラを用いた場合には、所謂、飛び散りなどの画像品位の低下を発生させる場合があった。これは、転写ローラに印加する転写バイアスにより形成される転写電界により、感光ドラム上のトナー像が記録材搬送ベルトに担持されている記録材もしくは中間転写ベルト上にプレ転写することによる。
【0006】
この対策として、転写手段としてシート状の部材やブラシ状の部材を用いた構成が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0007】
シート状の部材やブラシ状の部材を転写手段として用いることにより、転写バイアスにより形成される転写電界の影響を抑制することが可能となり、所謂、飛び散りなどの画像品位の低下を防ぐことができる。これらのように転写手段としてシート状の部材やブラシ状の部材を用いた構成の共通点は、転写手段が記録材搬送ベルトあるいは中間転写ベルトと接触・摺動しているということである。
【0008】
また、記録材搬送ベルトもしくは中間転写ベルトのクリーニングを行うクリーニング工程を備えた画像形成装置がある。このクリーニング工程は、上述した転写工程とは反対に、記録材搬送ベルトもしくは中間転写ベルト上に残留した不要なトナーを、トナーの帯電極性と同極性の電界を転写手段に与えることにより、感光ドラム上に静電的に逆転写させるものである。
【0009】
こうしたクリーニング工程を備えた画像形成装置の従来例として、第2の像担持体である中間転写ベルト上に残留した不要なトナーを静電的にクリーニングする画像形成装置の動作について説明する。図10は、画像形成部であるプロセスステーションを4個並べて配置した4色フルカラーの電子写真方式を用いた画像形成装置の一例であって、所謂インライン方式の構成を採用した画像形成装置を示す概略断面図である。
【0010】
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、例えば感光ドラム101として負極性
の有機感光体、現像剤として負極性のトナーを含む現像装置が使用されている。このため、転写時には転写部材110にバイアス電源122a〜122dによって正極性の転写バイアスが印加される。
【0011】
これに対して、次に示すような場合には、中間転写ベルト113上に残留した不要なトナーをクリーニングするために、転写部材110にバイアス電源122a1〜122d1によって負極性のクリーニングバイアスが印加される。それは、2次転写後に中間転写ベルト113上に2次転写残トナーが残っている場合や、ジャム時や、中間転写ベルト113上に直接レジストマークや濃度検出パターンを形成してこれを検知するようなシステムを使用した後等の場合である。
【0012】
また、所謂インライン方式で静電的に中間転写ベルト113のクリーニングを行う場合において重要なことは、不要なトナーを複数の廃トナー容器103に振り分けて回収することである。これは、1つの廃トナー容器だけに不要なトナーを回収し続けると、回収量の最大値を超えた場合に廃トナーが漏れ出し、画像を汚す不良が発生するためである。
【0013】
そこで従来例として、複数の廃トナー容器に中間転写ベルト113上の不要なトナーを振り分けながら、中間転写ベルト113上をクリーニングする方法を、図10に加え図11を用いて説明する。
【0014】
図11は、中間転写ベルト113上の不要なトナーを振り分け回収する従来のクリーニング動作について説明するための図である。この例では、中間転写ベルト113上の不要なトナーを、廃トナー容器103a〜103dの4つに振り分けて回収を行う。
【0015】
中間転写ベルト113上にある不要なトナーを回収する場合、まず不要なトナーの先頭が感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部に到達するまでは、転写部材110a,110b,110cには正極性の転写バイアスを印加しておく。これは、中間転写ベルト113上にある不要なトナーが感光ドラム101a,101b,101cに逆転写されてしまうことがないようにするためである。
【0016】
次に、中間転写ベルト113上の不要なトナーの先頭が感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部に到達すると同時に、転写部材110a〜110dに印加されるバイアスを正極性の転写バイアスから負極性のクリーニングバイアスに切り替える。すると、中間転写ベルト113上にある不要なトナーは、感光ドラム101a〜101dに逆転写され始める。
【0017】
中間転写ベルト113が隣接する感光ドラムの間隔と等しい距離だけ進むまで、転写部材110a〜110dに負極性のバイアスを印加しておくことにより、図11に示す領域1の不要なトナーが、廃トナー容器103a〜103dに振り分けて回収される。
【0018】
そして、領域1の不要なトナーが全て回収されると同時に、転写部材110a〜110dに印加するバイアスを負極性のクリーニングバイアスから正極性の転写バイアスに切り替える。すると、再び中間転写ベルト113上の不要なトナーは感光ドラム101a,101b,101cに逆転写されることなく感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部まで進み始める。
【0019】
次に、図11に示す領域2の先頭が感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部に到達すると同時に、再び転写部材110a〜110dに印加されるバイアスを正極性の転写バイアスから負極性のクリーニングバイアスに切り替える。すると、領域2の不要なトナーも、領域1の不要なトナーと同様に廃トナー容器103a〜103dに振り分け
られる。
【0020】
この過程を繰り返すことにより、中間転写ベルト113の不要なトナーを廃トナー容器103a〜103dに振り分けることが可能となり、単一の廃トナー容器に過剰な量の廃トナーが回収されるのを防ぐことができる。
【特許文献1】特許第3388535号公報
【特許文献2】特開平05−127546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述のような従来例では、中間転写ベルトと転写部材が摺動している系において、中間転写ベルトに不具合が生じてしまうことが懸念されていた。これは、中間転写ベルトのクリーニング時に複数の転写部材に負極性のクリーニングバイアスを同時に印加しているため、中間転写ベルトと転写部材との間での吸着力の総和が極端に大きくなってしまうことによるものである。
【0022】
この問題は、一般的に転写部材に印加される転写バイアスとクリーニングバイアスの大きさでは、クリーニングバイアスの大きさの方が大きいことに関係している。
【0023】
例えば、特開2005−242178号公報に記載の装置の場合には、転写バイアスは+1kvなのに対して、クリーニングバイアスは−2.5kvあり、大きさでは1.5kvの差がある。この印加する電圧の差により、クリーニング時の方がベルトと電写部材の間に発生する吸着力が大きくなる。このため、複数の転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加してしまうと、中間転写ベルトと転写部材の間の吸着力の総和が大きくなり、その結果、中間転写ベルトに不具合が生じてしまう可能性がある。
【0024】
尚、上記課題は、中間転写ベルトを用いた画像形成装置の場合について説明したが、記録材を担時搬送する記録材担持体を用いた画像形成装置の場合も同様である。
【0025】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、中間転写体(記録材担持体)に摺動している複数の転写部材と、中間転写体(記録材担持体)との間に生じる吸着力の総和を減少させることで、中間転写体(記録材担持体)に生じる不具合を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材と、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記ニップ部により挟持搬送されることで前記像担持体上の現像剤像が1次転写される中間転写体と、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段と、
を有する複数の画像形成部を備え、
前記中間転写体上に1次転写された現像剤像を記録材に一括して2次転写することにより前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記中間転写体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0027】
また、現像剤像を担持する像担持体、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段、及び、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段
を有する複数の画像形成部と、
複数の前記ニップ部で挟持搬送されるように設けられ、記録材を担持搬送する記録材担持体と、
を備え、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記記録材担持体により担持搬送される記録材に前記像担持体上の現像剤像を転写することにより、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記記録材担持体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、中間転写体(記録材担持体)に摺動している複数の転写部材と、中間転写体(記録材担持体)との間に生じる吸着力の総和を減少させることで、中間転写体(記録材担持体)に生じる不具合を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
【0031】
以下、画像形成装置の画像形成動作について図1に則して詳細に説明する。本実施例においては、複数の画像形成部として4つの画像形成部を備えた画像形成装置について説明する。以下の説明では、4つの画像形成部(以下、ステーション)をそれぞれ、第1ステーションをイエロー(Y)、第2ステーションをマゼンタ(M)、第3ステーションをシアン(C)、第4ステーションをブラック(K)としている。
【0032】
第1ステーションにおいて、像担持体としての感光ドラム(OPC感光ドラム)1a、帯電手段としての帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、及び、現像手段としての現像ユニット8aは、一体型のプロセスカートリッジ9aを構成している。ここで、現像ユニット8aは、現像スリーブ4a、非磁性一成分現像剤(以下、トナー)5a、現像剤塗布ブレード7aから構成されている。また、クリーニングユニット3aは、クリーニング手段を構成しており、感光ドラム1a上(像担持体上)の転写残トナー(残留現像剤)をクリーニングするものである。
【0033】
11aは露光手段であり、レーザ光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLEDアレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。
【0034】
次に、画像形成動作について説明する。
【0035】
画像形成動作がスタートすると、感光ドラム1aや中間転写体としての中間転写ベルト13等は所定のプロセススピードで図に示す矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、電源20aから電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に負極性に帯電され、続いて露光装置11aからの走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。
【0036】
現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像スリーブ4aに塗布される。現像スリーブ4aには、現像バイアス電源21aよりバイアスが供給される。
【0037】
そして、感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像スリーブ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(本実施例では、Y)のトナー像(現像剤像)が形成される。
【0038】
以上、第1ステーションについて説明したが、第2〜第4ステーションにおいても第1ステーションと同様の構成であり同様の画像形成動作を行うものであるため、その説明は省略する。
【0039】
一方、トナー像担持体である中間転写ベルト13は、4つの感光ドラム1a〜4d全てに対し当接する様に配置される。
【0040】
中間転写ベルト13は、その張架部材として2次転写対向ローラ24、駆動ローラ15、テンションローラ14の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ15を駆動させることにより、中間転写ベルト13は図に示す矢印方向(図1において時計回り)に回転し、中間転写ベルト13は感光ドラム1a〜4dに対して順方向に略同速度で移動する。
【0041】
10aは転写部材としての1次転写部材で、感光ドラム1aとの間でニップ部を形成するように、中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1aと反対側に配置されている。1次転写部材10aは、中間転写ベルト13が回転(移動)している間、中間転写ベルト13に対して摺動している。
【0042】
また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段としての帯電バイアス電源20aに接続され、現像スリーブ4aは、現像スリーブ4aへの電圧供給手段としての現像バイアス電源21aに接続されている。また、1次転写部材10aは、1次転写部材10aへ転写バイアスを印加する電圧供給手段としての1次転写バイアス電源22aに接続され、2次転写ローラ25は2次転写バイアス電源26に接続されている。ここで、1次転写バイアス電源22aは、後述するクリーニングバイアス電源22a1とともに、バイアス印加手段を構成している。
【0043】
1次転写部材10a〜10dは、中間転写ベルト13の周囲であって、感光ドラム1a〜1dとの対向部に、各々の感光ドラム1a〜1dに対応して配設されている。
【0044】
各色の1次転写位置間(ニップ部間)の距離に応じて、各色毎、一定のタイミングで不図示のコントローラからの書き出し信号を遅らせながら、露光による静電潜像を各感光ドラム1a〜1d上に形成させる。そして、1次転写バイアス電源22a〜22dよりそれぞれ1次転写部材10a〜10dにトナーと逆極性のDCバイアス(転写バイアス)を印加するようにする。この転写バイアスが印加された状態で、中間転写ベルト13は、1次
転写部材10a〜10dと感光ドラム1a〜1dとでそれぞれ構成されるニップ部により挟持搬送される。
【0045】
以上の工程により、第1ステーションから、中間転写ベルト13の回転方向下流側(ニップ部による搬送方向下流側)に向かって第4ステーションまで順に中間転写ベルト13にトナー像が1次転写され、中間転写ベルト13上に多重画像が形成される。
【0046】
その後、露光による静電潜像の作像に合わせて、記録材カセット16に積載されている記録材Pが、給送ローラ17によりピックアップされ、不図示の搬送ローラによりレジストローラ18まで搬送される。レジストローラ18まで搬送された記録材Pは、中間転写ベルト13上(中間転写体上)のトナー像に同期するように、レジストローラ18によって中間転写ベルト13と2次転写ローラ25とで形成される当接部へ搬送される。
【0047】
その後、2次転写ローラ25には2次転写バイアス電源26により、トナーと逆極性のバイアスの印加が行われ、記録材P上に中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像が一括して2次転写される。
【0048】
尚、本実施例では、2次転写ローラ25はφ8mmのニッケルメッキ鋼棒を、抵抗値を108Ω、厚み5mmに調整したNBRの発砲スポンジ体で覆った外径φ18mmのものを用いた。また、2次転写ローラ25は、中間転写ベルト13に対して、5〜15g/cm程度の線圧で当接させ、且つ中間転写ベルト13の移動方向に対して順方向に略等速度で回転するように配置した。
【0049】
2次転写終了後の記録材Pは定着手段19へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置外へと排出される。
【0050】
尚、中間転写ベルト13の構成としては、厚さ100μm、体積抵抗率1011ΩcmのPVDF(ポリふっ化ビニリデン)を用いている。
【0051】
1次転写部材10a〜10dの構成は、シート部材と弾性体を有しており、シート部材が中間転写ベルト13と弾性体の間に狭持されている。本実施例においては、シート部材として導電シートを用いており、導電シートとしては、厚み200μmの超高分子導電ポリエチレンシートを用いている。また弾性体としては、ウレタンの発泡スポンジ状の弾性体を肉厚2mm、幅5mm、長さ230mmの略直方体形状にしたものを用いている。シート部材は、弾性体により総圧4.9Nで中間転写ベルト13に押圧されており、中間転写ベルト13の移動時には中間転写ベルト13に摺動することとなる。
【0052】
張架部材としてのテンションローラ14は、φ18.6mmのAlの金属棒を用い、テンションは総圧58.8Nとしている。
【0053】
張架部材としての駆動ローラ15は、Al芯金にカーボンを導電剤として分散した抵抗104Ω、肉厚1.0mmのEPDMゴム(エチレンプロピレンゴム)を被覆したφ25mmのものを用いている。
【0054】
張架部材としての2次転写対向ローラ24は、Al芯金にカーボンを導電剤として分散した抵抗104Ω、肉厚1.5mmのEPDMゴムを被覆したφ25mmのものを用いている。
【0055】
以下、本実施例の特徴について説明する。
【0056】
ジャム時やレジストマークや濃度検出パターンを形成する場合には、中間転写ベルト13にトナーが付着するため、これをクリーニングする必要がある。本実施例では、この不要トナー(残留現像剤)を除去するために、1次転写部材10a〜10dにトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを印加するクリーニングバイアス電源22a1〜22d1が設けられている。
【0057】
1次転写部材10a〜10dにトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを印加することにより、中間転写ベルト13上の不要トナーを感光ドラム1a〜1dに逆転写させることができ、さらにクリーニングユニット3a〜3dで除去することができる。これにより、中間転写ベルト13のクリーニングを行うことができる。同時に、不要なトナーをクリーニングユニット3a〜3dにそれぞれ設けられた廃トナー容器に振り分けて回収することができる。本実施例では、このクリーニングを行う際に、複数の転写部材に対して同時にクリーニングバイアスを印加することを避けることを特徴とする。
【0058】
画像形成装置の制御手段により行われる、中間転写ベルト13のクリーニング方法について、以下に具体的に説明する。
【0059】
図2は、本実施例において、中間転写ベルト13上の不要なトナーを振り分け回収するクリーニング動作について説明するための図である。図3は、本実施例のクリーニング動作において、クリーニングバイアス電源22a1〜22d1からそれぞれ1次転写部材10a〜10dに印加されるバイアスを説明するための図である。本実施例において、感光ドラム1a〜1dと中間転写ベルト13との接触部(ニップ部)は、一方向(中間転写ベルト13の回転方向)に等間隔となるように並列配置されている。
【0060】
図3の横軸において、不要なトナーの先頭(先端部)が感光ドラム1aと中間転写ベルト13の接触部に到達した時間を基準時間0とする。また、図3の横軸において、中間転写ベルト13が図2の領域1に示すクリーニングを必要とする領域(クリーニング領域、不要トナーが存在する領域)の4分の1を進む(通過する)のに要する時間をu秒とする。
【0061】
まず、基準時間0からu秒間、1次転写部材10aにクリーニングバイアス(−1300V)を印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−1にある不要なトナーは、感光ドラム1aに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0062】
ここで、クリーニングバイアスの絶対値は、転写時のバイアスの絶対値よりも大きな値としている。これは、転写時に大き過ぎる電圧を印加した場合には、転写されたトナー像が乱れる可能性があるのに対して、クリーニング時の逆転写されるトナー像はそのような点を気にする必要がないからである。また、クリーニングは電荷量が低いトナーを移動させる必要があるので、強い電界を形成する必要があるからである。
【0063】
次に、基準時間0から2u秒後に、1次転写部材10bにクリーニングバイアス(−1300V)をu秒間印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−2にある不要なトナーは、感光ドラム1bに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0064】
次に、基準時間から4u秒後時に、1次転写部材10cにクリーニングバイアス(−1300V)をu秒間印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−3にある不要なトナーは、感光ドラム1cに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0065】
次に、基準時間から6u秒後に、1次転写部材10dにクリーニングバイアス(−1300V)をu秒間印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−4にある不要
なトナーは、感光ドラム1dに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0066】
このように、第1ステーションから、中間転写ベルト13の回転方向下流側(ニップ部による搬送方向上流側から下流側)に向かって順に、1つのステーションごとに、1次転写部材に対して、クリーニングバイアスの印加動作が行われる。
【0067】
上記のようなクリーニング方法を行うことにより、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーは、感光ドラム1a,1b,1c,1dに順次振り分けられて中間転写ベルト13上から除去される。
【0068】
尚、本実施例では、1次転写部材10a〜10dには、クリーニングバイアス(−1300V)を印加していない時には、300Vの電圧を印加している。
【0069】
次に、本実施例の作用について説明する。
【0070】
本実施例では、上述したように、中間転写ベルト13上にある不要なトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアス(−1300V)を1次転写部材10a〜10dに印加している。このことにより、感光ドラム1a〜1dに不要なトナーを逆転写させて中間転写ベルト13のクリーニングを行っている。
【0071】
このとき、本実施例においては、1次転写部材10a〜10dに対して同時にクリーニングバイアス(−1300V)を印加しないことを特徴としている。これにより、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和を減少させることができる。その結果、中間転写ベルト13に架かる張架力の総和が低減するため、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に、中間転写ベルト13に不具合が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0072】
[実施例の評価]
本実施例の画像形成装置の効果を調べるため、プロセススピード100mm/secの画像形成装置を用いて、以下に示す比較例1と共に評価を行った。評価は、初期と中間転写ベルトのクリーニングを200回、400回行った後の、中間転写ベルトの駆動トルクの値、中間転写ベルトの破断状況について行った。クリーニングの頻度については、50枚通紙につき1回行っており、200回目のクリーニングを行う時には、画像形成装置本体の通紙耐久枚数が10000枚に到達したときに相当する。
【0073】
[比較例1]
比較例1での中間転写ベルトのクリーニング動作を図4と図5に則して説明する。
【0074】
図4は、本比較例において、中間転写ベルト13上の不要なトナーを振り分け回収するクリーニング動作について説明するための図である。図5は、本比較例のクリーニング動作によって1次転写部材10a〜10dに印加されるバイアスを説明するための図である。
【0075】
中間転写ベルト13上にある不要なトナーを回収する場合に、不要なトナーの先頭が感光ドラム1aと中間転写ベルト13の接触部に到達した時間を基準時間0、中間転写ベルト13が隣接するステーション間隔の距離だけ移動するのにかかる時間をt秒とする。
【0076】
本比較例においては、基準時間から3t秒だけ時間が経過した時に1次転写部材10a,10b,10c,10dに不要なトナーと同極性のバイアスであるクリーニングバイアス(−1300V)を同時にt秒間印加する。
【0077】
すると、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーのうち、領域1−1にある不要なトナーは感光ドラム1dに、領域1−2にある不要なトナーは感光ドラム1cに逆転写される。また、領域1−3にある不要なトナーは感光ドラム1bに、領域1−4にある不要なトナーは感光ドラム1aに逆転写される。
【0078】
このようにして、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーは、感光ドラム1a,1b,1c,1dに振り分けて中間転写ベルト13上から除去される。
【0079】
また、基準時間0から4t秒時間が経過した後も、上記の基準時間0から4t秒までの制御を繰り返すことにより、中間転写ベルト13上の領域2以降の不要なトナーも感光ドラム1a,1b,1c,1dに振り分けて中間転写ベルト13上から除去される。
【0080】
尚、本比較例でも実施例1と同じく、1次転写部材10a〜10dには、クリーニングバイアス(−1300V)を印加していない時には、300Vの電圧を印加している。
【0081】
[評価結果]
評価結果を図6に示す。本評価は、中間転写ベルト13上の不要トナーをクリーニングしている時の、中間転写ベルト13の駆動トルクと中間転写ベルト13の状態(不具合状況)に着目して評価を行った。また、通紙耐久テストとして、Xerox社製4024 坪量75g/m2を用いた。
【0082】
本実施例の構成においては、中間転写ベルト13上の不要トナーをクリーニングしている時の、中間転写ベルト13の駆動トルクの値の最大値は、800回のクリーニング後で3.0kgf・cmであり、中間転写ベルト13の破断はなく、良好な結果が得られた。
【0083】
比較例1においては、中間転写ベルト13上の不要トナーをクリーニングしている時の、中間転写ベルト13の駆動トルクの値の最大値は、400回のクリーニング後で5.0kgf・cmであり、このときに中間転写ベルト13が破断してしまった。(ここで、3.0kgf・cmは29.4N・cmであり、5.0kgf・cmは49N・cmである。)
【0084】
以上述べたように、本実施例では、中間転写ベルト13上にある不要なトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを複数の1次転写部材に印加することにより、感光ドラムに不要なトナーを逆転写させて中間転写ベルトのクリーニングを行うものである。そして、このようなクリーニングを行う場合に、複数の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しないことを特徴としている。
【0085】
これにより、不要なトナーの回収を複数の廃トナー容器に振り分けると同時に、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和を減少させることができる。その結果、中間転写ベルト13に架かる張架力の総和が低減するため、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に発生する中間転写ベルト13の不具合を防ぐことができる。
【0086】
なお、本実施例においては、複数の画像形成部として、4つのステーションが設けられた画像形成装置について説明したが、これに限るものではない。すなわち、5つ以上のステーションが設けられた場合であっても、第1ステーションから、中間転写ベルト13の回転方向下流側に向かって順に、1つのステーションごとに、1次転写部材に対して、クリーニングバイアスの印加動作を行うとよい。このような制御により、中間転写ベルトに過剰な張架力が架かった場合に、中間転写ベルトに不具合が生じてしまうことを防ぐこと
ができる。
【0087】
また、本実施例においては、中間転写ベルト13を用いた画像形成装置について説明したが、これに限らず、記録材を担時搬送する記録材担持体(転写ベルト)を用いた画像形成装置においても、本発明を好適に適用することができる。ここで、記録材担持体は、感光ドラムと転写部材との間に形成される複数のニップ部で挟持搬送されるように設けられるもので、記録材担持体が担持搬送している記録材に、感光ドラム上のトナー像が転写されることにより、記録材上に画像が形成されるものである。そして、記録材担持体上に残留した不要トナーを感光ドラム上に逆転写させて記録材担持体をクリーニングする画像形成装置においても、上述のような制御を行うことにより、上記同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0088】
以下に、本発明の実施例2について説明する。
【0089】
図7は、本実施例に係る画像形成装置を示す概略断面図である。図8は、本実施例において、中間転写ベルト13上の不要なトナーを振り分け回収するクリーニング動作について説明するための図である。図9は、本実施例のクリーニング動作によって1次転写部材10a〜10dに印加されるバイアスを説明するための図である。なお、本実施例で適用する画像形成装置の構成は、上述した実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0090】
以下、本実施例の特徴について説明する。
【0091】
本実施例の画像形成装置は、上述した実施例1の画像形成装置に対して、コストダウンの目的で1次転写部材にバイアスを印加するバイアス電源22c,22c1,22d1を排している。そして、第2,第3ステーション(第2画像形成部、第3画像形成部)において、1次転写部材10b,10cには、共通(同一)のバイアス電源(バイアス電源22b,22b1)から共通のバイアスを印加している。また、中間転写ベルト13上の不要なトナーをクリーニングする際に、不要なトナーをクリーニングユニット3a〜3cにそれぞれ設けられた3つの廃トナー容器に振り分けて回収する。
【0092】
本実施例においては、中間転写ベルト13のクリーニングを行う際に、3つ以上の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しないことを特徴とする。
【0093】
本実施例における中間転写ベルト13のクリーニング方法について、以下に具体的に説明する。
【0094】
中間転写ベルト13上にある不要なトナーを回収する場合に、不要なトナーの先頭が感光ドラム1aと中間転写ベルト13の接触部に到達した時間を基準時間0、中間転写ベルト13が隣接するステーション間隔の距離だけ移動するのにかかる時間をt秒とする。
【0095】
まず、基準時間0からt秒後に、第1ステーション(第1画像形成部)の1次転写部材10aに不要なトナーと同極性のバイアスであるクリーニングバイアス(−1300V)をt秒間印加する。
【0096】
これにより、中間転写ベルト13上の領域1−2にある不要なトナーが感光ドラム1aに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0097】
次に、基準時間から2t秒後に、1次転写部材10b,10cにクリーニングバイアス
(−1300V)を2t秒間印加する。
【0098】
すると、この2t秒間のうち、前半のt秒間は、中間転写ベルト13上の領域1−1にある不要なトナーが感光ドラム1cに逆転写され、後半のt秒間は、中間転写ベルト13上の領域1−3にある不要なトナーが感光ドラム1bに逆転写される。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−1にある不要なトナーと、領域1−3にある不要なトナーが、中間転写ベルト13上から除去される。
【0099】
そして、このt秒から4t秒までの制御により、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーは、感光ドラム1a,1b,1cに振り分けられて中間転写ベルト13上から除去される。
【0100】
また、基準時間0から4t秒だけ時間が経過した後も、上記のt秒から4t秒までの制御を繰り返すことにより、中間転写ベルト13上の領域2以降の不要なトナーも感光ドラム1a,1b,1cに振り分けて中間転写ベルト13上から除去することができる。ここで、上記のt秒から4t秒までの制御を繰り返すことに関して、aを自然数とした場合に、次の(1),(2)のように示すことができる。
(1)時間t×(3a−2)経過後のタイミングで、1次転写部材10aに不要なトナーと同極性のバイアスであるクリーニングバイアス(−1300V)を時間tの間印加する。
(2)時間t×(3a−1)経過後のタイミングで、1次転写部材10b,10cにクリーニングバイアス(−1300V)を時間2tの間印加する。
【0101】
尚、本実施例においても、1次転写部材10a〜10dには、クリーニングバイアス(−1300V)を印加していない時には、300Vの電圧を印加している。
【0102】
次に、本実施例の作用について説明する。
【0103】
本実施例では、1次転写部材10にバイアスを印加するバイアス電源の数を少なくすることでコストダウンを実現すると同時に、中間転写ベルト13上にある不要なトナーのクリーニング時に、3つ以上の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しない。このため、全ての1次転写部材10に対して同時にクリーニングバイアス(−1300V)を印加しない場合よりも中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和は大きくなってしまう。
【0104】
しかしながら、本実施例では、同時にクリーニングバイアスを印加する1次転写部材10の数を2つ以下としている。このことで、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和が、中間転写ベルト13に不具合が発生してしまう程の大きさにはならないようにしている。
【0105】
このため、コストダウンの実現と同時に、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に中間転写ベルトに不具合が発生することを防止することができる。
【0106】
以上述べたように本実施例では、2つの1次転写部材に共通してバイアスを印加するバイアス電源を設けることで、コストダウンを実現するとともに、クリーニングを行う場合に3つ以上の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しないようにしている。
【0107】
このことにより、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和を、中間転写ベルト13に不具合が発生する場合の値よりも小さくすることができる。その結果、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に、中間転
写ベルト13に不具合が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0108】
なお、本実施例においては、複数の画像形成部として、4つのステーションが設けられた画像形成装置について説明したが、これに限るものではない。すなわち、5つ以上のステーションが設けられた場合であっても、隣合う3つのステーションに対して、上述したような制御を行うことにより、中間転写ベルトに過剰な張架力が架かった場合に、中間転写ベルトに不具合が生じてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1に係る画像形成装置を示す概略断面図。
【図2】実施例1のクリーニング動作による振り分け回収を説明するための図。
【図3】実施例1のクリーニング動作によって1次転写部材に印加されるバイアスを説明するための図。
【図4】比較例1のクリーニング動作による振り分け回収を説明するための図。
【図5】比較例1のクリーニング動作によって1次転写部材に印加されるバイアスを説明するための図。
【図6】実施例1の評価結果を示す図。
【図7】実施例2に係る画像形成装置を示す概略断面図。
【図8】実施例2のクリーニング動作による振り分け回収を説明する図。
【図9】実施例2のクリーニング動作によって1次転写部材に印加されるバイアスを説明するための図。
【図10】従来の画像形成装置を示す概略断面図。
【図11】従来のクリーニング動作による振り分け回収を説明するための図。
【符号の説明】
【0110】
1a〜1d 感光ドラム
3a〜3d クリーニングユニット
10a〜10d 1次転写部材
13 中間転写ベルト
22a〜22d 1次転写バイアス電源
22a1〜22d1 クリーニングバイアス電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真記録方式を利用する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置には、現像剤としてのトナーを用いた電子写真方式が多く用いられている。
【0003】
これらの画像形成装置においては、次に示すような転写工程がある。それは、像担持体としての感光ドラム上に担持されている現像剤像としてのトナー像を、トナーの帯電極性と逆極性の電界を転写手段に与えた記録材搬送体に担持されている記録材もしくは中間転写体表面に対して静電的に転移させる転写工程である。
【0004】
この転写工程においては、トナーを静電的に転移させるために、必要なバイアスを与える転写バイアス印加手段が設けられ、その高圧電源に接続されている転写手段として、次に示すような構成のものがよく用いられている。それは、感光体ドラムに対して記録材搬送体(以下、記録材搬送ベルト)や中間転写体(以下、中間転写ベルト)を挟んで対向位置(記録材搬送ベルトや中間転写ベルトの裏面側)に転写ローラなどの接触転写部材を配置した構成である。
【0005】
しかしながら、転写手段として転写ローラを用いた場合には、所謂、飛び散りなどの画像品位の低下を発生させる場合があった。これは、転写ローラに印加する転写バイアスにより形成される転写電界により、感光ドラム上のトナー像が記録材搬送ベルトに担持されている記録材もしくは中間転写ベルト上にプレ転写することによる。
【0006】
この対策として、転写手段としてシート状の部材やブラシ状の部材を用いた構成が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0007】
シート状の部材やブラシ状の部材を転写手段として用いることにより、転写バイアスにより形成される転写電界の影響を抑制することが可能となり、所謂、飛び散りなどの画像品位の低下を防ぐことができる。これらのように転写手段としてシート状の部材やブラシ状の部材を用いた構成の共通点は、転写手段が記録材搬送ベルトあるいは中間転写ベルトと接触・摺動しているということである。
【0008】
また、記録材搬送ベルトもしくは中間転写ベルトのクリーニングを行うクリーニング工程を備えた画像形成装置がある。このクリーニング工程は、上述した転写工程とは反対に、記録材搬送ベルトもしくは中間転写ベルト上に残留した不要なトナーを、トナーの帯電極性と同極性の電界を転写手段に与えることにより、感光ドラム上に静電的に逆転写させるものである。
【0009】
こうしたクリーニング工程を備えた画像形成装置の従来例として、第2の像担持体である中間転写ベルト上に残留した不要なトナーを静電的にクリーニングする画像形成装置の動作について説明する。図10は、画像形成部であるプロセスステーションを4個並べて配置した4色フルカラーの電子写真方式を用いた画像形成装置の一例であって、所謂インライン方式の構成を採用した画像形成装置を示す概略断面図である。
【0010】
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、例えば感光ドラム101として負極性
の有機感光体、現像剤として負極性のトナーを含む現像装置が使用されている。このため、転写時には転写部材110にバイアス電源122a〜122dによって正極性の転写バイアスが印加される。
【0011】
これに対して、次に示すような場合には、中間転写ベルト113上に残留した不要なトナーをクリーニングするために、転写部材110にバイアス電源122a1〜122d1によって負極性のクリーニングバイアスが印加される。それは、2次転写後に中間転写ベルト113上に2次転写残トナーが残っている場合や、ジャム時や、中間転写ベルト113上に直接レジストマークや濃度検出パターンを形成してこれを検知するようなシステムを使用した後等の場合である。
【0012】
また、所謂インライン方式で静電的に中間転写ベルト113のクリーニングを行う場合において重要なことは、不要なトナーを複数の廃トナー容器103に振り分けて回収することである。これは、1つの廃トナー容器だけに不要なトナーを回収し続けると、回収量の最大値を超えた場合に廃トナーが漏れ出し、画像を汚す不良が発生するためである。
【0013】
そこで従来例として、複数の廃トナー容器に中間転写ベルト113上の不要なトナーを振り分けながら、中間転写ベルト113上をクリーニングする方法を、図10に加え図11を用いて説明する。
【0014】
図11は、中間転写ベルト113上の不要なトナーを振り分け回収する従来のクリーニング動作について説明するための図である。この例では、中間転写ベルト113上の不要なトナーを、廃トナー容器103a〜103dの4つに振り分けて回収を行う。
【0015】
中間転写ベルト113上にある不要なトナーを回収する場合、まず不要なトナーの先頭が感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部に到達するまでは、転写部材110a,110b,110cには正極性の転写バイアスを印加しておく。これは、中間転写ベルト113上にある不要なトナーが感光ドラム101a,101b,101cに逆転写されてしまうことがないようにするためである。
【0016】
次に、中間転写ベルト113上の不要なトナーの先頭が感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部に到達すると同時に、転写部材110a〜110dに印加されるバイアスを正極性の転写バイアスから負極性のクリーニングバイアスに切り替える。すると、中間転写ベルト113上にある不要なトナーは、感光ドラム101a〜101dに逆転写され始める。
【0017】
中間転写ベルト113が隣接する感光ドラムの間隔と等しい距離だけ進むまで、転写部材110a〜110dに負極性のバイアスを印加しておくことにより、図11に示す領域1の不要なトナーが、廃トナー容器103a〜103dに振り分けて回収される。
【0018】
そして、領域1の不要なトナーが全て回収されると同時に、転写部材110a〜110dに印加するバイアスを負極性のクリーニングバイアスから正極性の転写バイアスに切り替える。すると、再び中間転写ベルト113上の不要なトナーは感光ドラム101a,101b,101cに逆転写されることなく感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部まで進み始める。
【0019】
次に、図11に示す領域2の先頭が感光ドラム101dと中間転写ベルト113の接触部に到達すると同時に、再び転写部材110a〜110dに印加されるバイアスを正極性の転写バイアスから負極性のクリーニングバイアスに切り替える。すると、領域2の不要なトナーも、領域1の不要なトナーと同様に廃トナー容器103a〜103dに振り分け
られる。
【0020】
この過程を繰り返すことにより、中間転写ベルト113の不要なトナーを廃トナー容器103a〜103dに振り分けることが可能となり、単一の廃トナー容器に過剰な量の廃トナーが回収されるのを防ぐことができる。
【特許文献1】特許第3388535号公報
【特許文献2】特開平05−127546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述のような従来例では、中間転写ベルトと転写部材が摺動している系において、中間転写ベルトに不具合が生じてしまうことが懸念されていた。これは、中間転写ベルトのクリーニング時に複数の転写部材に負極性のクリーニングバイアスを同時に印加しているため、中間転写ベルトと転写部材との間での吸着力の総和が極端に大きくなってしまうことによるものである。
【0022】
この問題は、一般的に転写部材に印加される転写バイアスとクリーニングバイアスの大きさでは、クリーニングバイアスの大きさの方が大きいことに関係している。
【0023】
例えば、特開2005−242178号公報に記載の装置の場合には、転写バイアスは+1kvなのに対して、クリーニングバイアスは−2.5kvあり、大きさでは1.5kvの差がある。この印加する電圧の差により、クリーニング時の方がベルトと電写部材の間に発生する吸着力が大きくなる。このため、複数の転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加してしまうと、中間転写ベルトと転写部材の間の吸着力の総和が大きくなり、その結果、中間転写ベルトに不具合が生じてしまう可能性がある。
【0024】
尚、上記課題は、中間転写ベルトを用いた画像形成装置の場合について説明したが、記録材を担時搬送する記録材担持体を用いた画像形成装置の場合も同様である。
【0025】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、中間転写体(記録材担持体)に摺動している複数の転写部材と、中間転写体(記録材担持体)との間に生じる吸着力の総和を減少させることで、中間転写体(記録材担持体)に生じる不具合を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材と、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記ニップ部により挟持搬送されることで前記像担持体上の現像剤像が1次転写される中間転写体と、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段と、
を有する複数の画像形成部を備え、
前記中間転写体上に1次転写された現像剤像を記録材に一括して2次転写することにより前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記中間転写体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0027】
また、現像剤像を担持する像担持体、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段、及び、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段
を有する複数の画像形成部と、
複数の前記ニップ部で挟持搬送されるように設けられ、記録材を担持搬送する記録材担持体と、
を備え、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記記録材担持体により担持搬送される記録材に前記像担持体上の現像剤像を転写することにより、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記記録材担持体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、中間転写体(記録材担持体)に摺動している複数の転写部材と、中間転写体(記録材担持体)との間に生じる吸着力の総和を減少させることで、中間転写体(記録材担持体)に生じる不具合を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
【0031】
以下、画像形成装置の画像形成動作について図1に則して詳細に説明する。本実施例においては、複数の画像形成部として4つの画像形成部を備えた画像形成装置について説明する。以下の説明では、4つの画像形成部(以下、ステーション)をそれぞれ、第1ステーションをイエロー(Y)、第2ステーションをマゼンタ(M)、第3ステーションをシアン(C)、第4ステーションをブラック(K)としている。
【0032】
第1ステーションにおいて、像担持体としての感光ドラム(OPC感光ドラム)1a、帯電手段としての帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、及び、現像手段としての現像ユニット8aは、一体型のプロセスカートリッジ9aを構成している。ここで、現像ユニット8aは、現像スリーブ4a、非磁性一成分現像剤(以下、トナー)5a、現像剤塗布ブレード7aから構成されている。また、クリーニングユニット3aは、クリーニング手段を構成しており、感光ドラム1a上(像担持体上)の転写残トナー(残留現像剤)をクリーニングするものである。
【0033】
11aは露光手段であり、レーザ光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLEDアレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。
【0034】
次に、画像形成動作について説明する。
【0035】
画像形成動作がスタートすると、感光ドラム1aや中間転写体としての中間転写ベルト13等は所定のプロセススピードで図に示す矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、電源20aから電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に負極性に帯電され、続いて露光装置11aからの走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。
【0036】
現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像スリーブ4aに塗布される。現像スリーブ4aには、現像バイアス電源21aよりバイアスが供給される。
【0037】
そして、感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像スリーブ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(本実施例では、Y)のトナー像(現像剤像)が形成される。
【0038】
以上、第1ステーションについて説明したが、第2〜第4ステーションにおいても第1ステーションと同様の構成であり同様の画像形成動作を行うものであるため、その説明は省略する。
【0039】
一方、トナー像担持体である中間転写ベルト13は、4つの感光ドラム1a〜4d全てに対し当接する様に配置される。
【0040】
中間転写ベルト13は、その張架部材として2次転写対向ローラ24、駆動ローラ15、テンションローラ14の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ15を駆動させることにより、中間転写ベルト13は図に示す矢印方向(図1において時計回り)に回転し、中間転写ベルト13は感光ドラム1a〜4dに対して順方向に略同速度で移動する。
【0041】
10aは転写部材としての1次転写部材で、感光ドラム1aとの間でニップ部を形成するように、中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1aと反対側に配置されている。1次転写部材10aは、中間転写ベルト13が回転(移動)している間、中間転写ベルト13に対して摺動している。
【0042】
また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段としての帯電バイアス電源20aに接続され、現像スリーブ4aは、現像スリーブ4aへの電圧供給手段としての現像バイアス電源21aに接続されている。また、1次転写部材10aは、1次転写部材10aへ転写バイアスを印加する電圧供給手段としての1次転写バイアス電源22aに接続され、2次転写ローラ25は2次転写バイアス電源26に接続されている。ここで、1次転写バイアス電源22aは、後述するクリーニングバイアス電源22a1とともに、バイアス印加手段を構成している。
【0043】
1次転写部材10a〜10dは、中間転写ベルト13の周囲であって、感光ドラム1a〜1dとの対向部に、各々の感光ドラム1a〜1dに対応して配設されている。
【0044】
各色の1次転写位置間(ニップ部間)の距離に応じて、各色毎、一定のタイミングで不図示のコントローラからの書き出し信号を遅らせながら、露光による静電潜像を各感光ドラム1a〜1d上に形成させる。そして、1次転写バイアス電源22a〜22dよりそれぞれ1次転写部材10a〜10dにトナーと逆極性のDCバイアス(転写バイアス)を印加するようにする。この転写バイアスが印加された状態で、中間転写ベルト13は、1次
転写部材10a〜10dと感光ドラム1a〜1dとでそれぞれ構成されるニップ部により挟持搬送される。
【0045】
以上の工程により、第1ステーションから、中間転写ベルト13の回転方向下流側(ニップ部による搬送方向下流側)に向かって第4ステーションまで順に中間転写ベルト13にトナー像が1次転写され、中間転写ベルト13上に多重画像が形成される。
【0046】
その後、露光による静電潜像の作像に合わせて、記録材カセット16に積載されている記録材Pが、給送ローラ17によりピックアップされ、不図示の搬送ローラによりレジストローラ18まで搬送される。レジストローラ18まで搬送された記録材Pは、中間転写ベルト13上(中間転写体上)のトナー像に同期するように、レジストローラ18によって中間転写ベルト13と2次転写ローラ25とで形成される当接部へ搬送される。
【0047】
その後、2次転写ローラ25には2次転写バイアス電源26により、トナーと逆極性のバイアスの印加が行われ、記録材P上に中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像が一括して2次転写される。
【0048】
尚、本実施例では、2次転写ローラ25はφ8mmのニッケルメッキ鋼棒を、抵抗値を108Ω、厚み5mmに調整したNBRの発砲スポンジ体で覆った外径φ18mmのものを用いた。また、2次転写ローラ25は、中間転写ベルト13に対して、5〜15g/cm程度の線圧で当接させ、且つ中間転写ベルト13の移動方向に対して順方向に略等速度で回転するように配置した。
【0049】
2次転写終了後の記録材Pは定着手段19へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置外へと排出される。
【0050】
尚、中間転写ベルト13の構成としては、厚さ100μm、体積抵抗率1011ΩcmのPVDF(ポリふっ化ビニリデン)を用いている。
【0051】
1次転写部材10a〜10dの構成は、シート部材と弾性体を有しており、シート部材が中間転写ベルト13と弾性体の間に狭持されている。本実施例においては、シート部材として導電シートを用いており、導電シートとしては、厚み200μmの超高分子導電ポリエチレンシートを用いている。また弾性体としては、ウレタンの発泡スポンジ状の弾性体を肉厚2mm、幅5mm、長さ230mmの略直方体形状にしたものを用いている。シート部材は、弾性体により総圧4.9Nで中間転写ベルト13に押圧されており、中間転写ベルト13の移動時には中間転写ベルト13に摺動することとなる。
【0052】
張架部材としてのテンションローラ14は、φ18.6mmのAlの金属棒を用い、テンションは総圧58.8Nとしている。
【0053】
張架部材としての駆動ローラ15は、Al芯金にカーボンを導電剤として分散した抵抗104Ω、肉厚1.0mmのEPDMゴム(エチレンプロピレンゴム)を被覆したφ25mmのものを用いている。
【0054】
張架部材としての2次転写対向ローラ24は、Al芯金にカーボンを導電剤として分散した抵抗104Ω、肉厚1.5mmのEPDMゴムを被覆したφ25mmのものを用いている。
【0055】
以下、本実施例の特徴について説明する。
【0056】
ジャム時やレジストマークや濃度検出パターンを形成する場合には、中間転写ベルト13にトナーが付着するため、これをクリーニングする必要がある。本実施例では、この不要トナー(残留現像剤)を除去するために、1次転写部材10a〜10dにトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを印加するクリーニングバイアス電源22a1〜22d1が設けられている。
【0057】
1次転写部材10a〜10dにトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを印加することにより、中間転写ベルト13上の不要トナーを感光ドラム1a〜1dに逆転写させることができ、さらにクリーニングユニット3a〜3dで除去することができる。これにより、中間転写ベルト13のクリーニングを行うことができる。同時に、不要なトナーをクリーニングユニット3a〜3dにそれぞれ設けられた廃トナー容器に振り分けて回収することができる。本実施例では、このクリーニングを行う際に、複数の転写部材に対して同時にクリーニングバイアスを印加することを避けることを特徴とする。
【0058】
画像形成装置の制御手段により行われる、中間転写ベルト13のクリーニング方法について、以下に具体的に説明する。
【0059】
図2は、本実施例において、中間転写ベルト13上の不要なトナーを振り分け回収するクリーニング動作について説明するための図である。図3は、本実施例のクリーニング動作において、クリーニングバイアス電源22a1〜22d1からそれぞれ1次転写部材10a〜10dに印加されるバイアスを説明するための図である。本実施例において、感光ドラム1a〜1dと中間転写ベルト13との接触部(ニップ部)は、一方向(中間転写ベルト13の回転方向)に等間隔となるように並列配置されている。
【0060】
図3の横軸において、不要なトナーの先頭(先端部)が感光ドラム1aと中間転写ベルト13の接触部に到達した時間を基準時間0とする。また、図3の横軸において、中間転写ベルト13が図2の領域1に示すクリーニングを必要とする領域(クリーニング領域、不要トナーが存在する領域)の4分の1を進む(通過する)のに要する時間をu秒とする。
【0061】
まず、基準時間0からu秒間、1次転写部材10aにクリーニングバイアス(−1300V)を印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−1にある不要なトナーは、感光ドラム1aに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0062】
ここで、クリーニングバイアスの絶対値は、転写時のバイアスの絶対値よりも大きな値としている。これは、転写時に大き過ぎる電圧を印加した場合には、転写されたトナー像が乱れる可能性があるのに対して、クリーニング時の逆転写されるトナー像はそのような点を気にする必要がないからである。また、クリーニングは電荷量が低いトナーを移動させる必要があるので、強い電界を形成する必要があるからである。
【0063】
次に、基準時間0から2u秒後に、1次転写部材10bにクリーニングバイアス(−1300V)をu秒間印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−2にある不要なトナーは、感光ドラム1bに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0064】
次に、基準時間から4u秒後時に、1次転写部材10cにクリーニングバイアス(−1300V)をu秒間印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−3にある不要なトナーは、感光ドラム1cに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0065】
次に、基準時間から6u秒後に、1次転写部材10dにクリーニングバイアス(−1300V)をu秒間印加する。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−4にある不要
なトナーは、感光ドラム1dに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0066】
このように、第1ステーションから、中間転写ベルト13の回転方向下流側(ニップ部による搬送方向上流側から下流側)に向かって順に、1つのステーションごとに、1次転写部材に対して、クリーニングバイアスの印加動作が行われる。
【0067】
上記のようなクリーニング方法を行うことにより、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーは、感光ドラム1a,1b,1c,1dに順次振り分けられて中間転写ベルト13上から除去される。
【0068】
尚、本実施例では、1次転写部材10a〜10dには、クリーニングバイアス(−1300V)を印加していない時には、300Vの電圧を印加している。
【0069】
次に、本実施例の作用について説明する。
【0070】
本実施例では、上述したように、中間転写ベルト13上にある不要なトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアス(−1300V)を1次転写部材10a〜10dに印加している。このことにより、感光ドラム1a〜1dに不要なトナーを逆転写させて中間転写ベルト13のクリーニングを行っている。
【0071】
このとき、本実施例においては、1次転写部材10a〜10dに対して同時にクリーニングバイアス(−1300V)を印加しないことを特徴としている。これにより、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和を減少させることができる。その結果、中間転写ベルト13に架かる張架力の総和が低減するため、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に、中間転写ベルト13に不具合が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0072】
[実施例の評価]
本実施例の画像形成装置の効果を調べるため、プロセススピード100mm/secの画像形成装置を用いて、以下に示す比較例1と共に評価を行った。評価は、初期と中間転写ベルトのクリーニングを200回、400回行った後の、中間転写ベルトの駆動トルクの値、中間転写ベルトの破断状況について行った。クリーニングの頻度については、50枚通紙につき1回行っており、200回目のクリーニングを行う時には、画像形成装置本体の通紙耐久枚数が10000枚に到達したときに相当する。
【0073】
[比較例1]
比較例1での中間転写ベルトのクリーニング動作を図4と図5に則して説明する。
【0074】
図4は、本比較例において、中間転写ベルト13上の不要なトナーを振り分け回収するクリーニング動作について説明するための図である。図5は、本比較例のクリーニング動作によって1次転写部材10a〜10dに印加されるバイアスを説明するための図である。
【0075】
中間転写ベルト13上にある不要なトナーを回収する場合に、不要なトナーの先頭が感光ドラム1aと中間転写ベルト13の接触部に到達した時間を基準時間0、中間転写ベルト13が隣接するステーション間隔の距離だけ移動するのにかかる時間をt秒とする。
【0076】
本比較例においては、基準時間から3t秒だけ時間が経過した時に1次転写部材10a,10b,10c,10dに不要なトナーと同極性のバイアスであるクリーニングバイアス(−1300V)を同時にt秒間印加する。
【0077】
すると、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーのうち、領域1−1にある不要なトナーは感光ドラム1dに、領域1−2にある不要なトナーは感光ドラム1cに逆転写される。また、領域1−3にある不要なトナーは感光ドラム1bに、領域1−4にある不要なトナーは感光ドラム1aに逆転写される。
【0078】
このようにして、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーは、感光ドラム1a,1b,1c,1dに振り分けて中間転写ベルト13上から除去される。
【0079】
また、基準時間0から4t秒時間が経過した後も、上記の基準時間0から4t秒までの制御を繰り返すことにより、中間転写ベルト13上の領域2以降の不要なトナーも感光ドラム1a,1b,1c,1dに振り分けて中間転写ベルト13上から除去される。
【0080】
尚、本比較例でも実施例1と同じく、1次転写部材10a〜10dには、クリーニングバイアス(−1300V)を印加していない時には、300Vの電圧を印加している。
【0081】
[評価結果]
評価結果を図6に示す。本評価は、中間転写ベルト13上の不要トナーをクリーニングしている時の、中間転写ベルト13の駆動トルクと中間転写ベルト13の状態(不具合状況)に着目して評価を行った。また、通紙耐久テストとして、Xerox社製4024 坪量75g/m2を用いた。
【0082】
本実施例の構成においては、中間転写ベルト13上の不要トナーをクリーニングしている時の、中間転写ベルト13の駆動トルクの値の最大値は、800回のクリーニング後で3.0kgf・cmであり、中間転写ベルト13の破断はなく、良好な結果が得られた。
【0083】
比較例1においては、中間転写ベルト13上の不要トナーをクリーニングしている時の、中間転写ベルト13の駆動トルクの値の最大値は、400回のクリーニング後で5.0kgf・cmであり、このときに中間転写ベルト13が破断してしまった。(ここで、3.0kgf・cmは29.4N・cmであり、5.0kgf・cmは49N・cmである。)
【0084】
以上述べたように、本実施例では、中間転写ベルト13上にある不要なトナーの帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを複数の1次転写部材に印加することにより、感光ドラムに不要なトナーを逆転写させて中間転写ベルトのクリーニングを行うものである。そして、このようなクリーニングを行う場合に、複数の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しないことを特徴としている。
【0085】
これにより、不要なトナーの回収を複数の廃トナー容器に振り分けると同時に、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和を減少させることができる。その結果、中間転写ベルト13に架かる張架力の総和が低減するため、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に発生する中間転写ベルト13の不具合を防ぐことができる。
【0086】
なお、本実施例においては、複数の画像形成部として、4つのステーションが設けられた画像形成装置について説明したが、これに限るものではない。すなわち、5つ以上のステーションが設けられた場合であっても、第1ステーションから、中間転写ベルト13の回転方向下流側に向かって順に、1つのステーションごとに、1次転写部材に対して、クリーニングバイアスの印加動作を行うとよい。このような制御により、中間転写ベルトに過剰な張架力が架かった場合に、中間転写ベルトに不具合が生じてしまうことを防ぐこと
ができる。
【0087】
また、本実施例においては、中間転写ベルト13を用いた画像形成装置について説明したが、これに限らず、記録材を担時搬送する記録材担持体(転写ベルト)を用いた画像形成装置においても、本発明を好適に適用することができる。ここで、記録材担持体は、感光ドラムと転写部材との間に形成される複数のニップ部で挟持搬送されるように設けられるもので、記録材担持体が担持搬送している記録材に、感光ドラム上のトナー像が転写されることにより、記録材上に画像が形成されるものである。そして、記録材担持体上に残留した不要トナーを感光ドラム上に逆転写させて記録材担持体をクリーニングする画像形成装置においても、上述のような制御を行うことにより、上記同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0088】
以下に、本発明の実施例2について説明する。
【0089】
図7は、本実施例に係る画像形成装置を示す概略断面図である。図8は、本実施例において、中間転写ベルト13上の不要なトナーを振り分け回収するクリーニング動作について説明するための図である。図9は、本実施例のクリーニング動作によって1次転写部材10a〜10dに印加されるバイアスを説明するための図である。なお、本実施例で適用する画像形成装置の構成は、上述した実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0090】
以下、本実施例の特徴について説明する。
【0091】
本実施例の画像形成装置は、上述した実施例1の画像形成装置に対して、コストダウンの目的で1次転写部材にバイアスを印加するバイアス電源22c,22c1,22d1を排している。そして、第2,第3ステーション(第2画像形成部、第3画像形成部)において、1次転写部材10b,10cには、共通(同一)のバイアス電源(バイアス電源22b,22b1)から共通のバイアスを印加している。また、中間転写ベルト13上の不要なトナーをクリーニングする際に、不要なトナーをクリーニングユニット3a〜3cにそれぞれ設けられた3つの廃トナー容器に振り分けて回収する。
【0092】
本実施例においては、中間転写ベルト13のクリーニングを行う際に、3つ以上の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しないことを特徴とする。
【0093】
本実施例における中間転写ベルト13のクリーニング方法について、以下に具体的に説明する。
【0094】
中間転写ベルト13上にある不要なトナーを回収する場合に、不要なトナーの先頭が感光ドラム1aと中間転写ベルト13の接触部に到達した時間を基準時間0、中間転写ベルト13が隣接するステーション間隔の距離だけ移動するのにかかる時間をt秒とする。
【0095】
まず、基準時間0からt秒後に、第1ステーション(第1画像形成部)の1次転写部材10aに不要なトナーと同極性のバイアスであるクリーニングバイアス(−1300V)をt秒間印加する。
【0096】
これにより、中間転写ベルト13上の領域1−2にある不要なトナーが感光ドラム1aに逆転写され、中間転写ベルト13上から除去される。
【0097】
次に、基準時間から2t秒後に、1次転写部材10b,10cにクリーニングバイアス
(−1300V)を2t秒間印加する。
【0098】
すると、この2t秒間のうち、前半のt秒間は、中間転写ベルト13上の領域1−1にある不要なトナーが感光ドラム1cに逆転写され、後半のt秒間は、中間転写ベルト13上の領域1−3にある不要なトナーが感光ドラム1bに逆転写される。これにより、中間転写ベルト13上の領域1−1にある不要なトナーと、領域1−3にある不要なトナーが、中間転写ベルト13上から除去される。
【0099】
そして、このt秒から4t秒までの制御により、中間転写ベルト13上の領域1にある不要なトナーは、感光ドラム1a,1b,1cに振り分けられて中間転写ベルト13上から除去される。
【0100】
また、基準時間0から4t秒だけ時間が経過した後も、上記のt秒から4t秒までの制御を繰り返すことにより、中間転写ベルト13上の領域2以降の不要なトナーも感光ドラム1a,1b,1cに振り分けて中間転写ベルト13上から除去することができる。ここで、上記のt秒から4t秒までの制御を繰り返すことに関して、aを自然数とした場合に、次の(1),(2)のように示すことができる。
(1)時間t×(3a−2)経過後のタイミングで、1次転写部材10aに不要なトナーと同極性のバイアスであるクリーニングバイアス(−1300V)を時間tの間印加する。
(2)時間t×(3a−1)経過後のタイミングで、1次転写部材10b,10cにクリーニングバイアス(−1300V)を時間2tの間印加する。
【0101】
尚、本実施例においても、1次転写部材10a〜10dには、クリーニングバイアス(−1300V)を印加していない時には、300Vの電圧を印加している。
【0102】
次に、本実施例の作用について説明する。
【0103】
本実施例では、1次転写部材10にバイアスを印加するバイアス電源の数を少なくすることでコストダウンを実現すると同時に、中間転写ベルト13上にある不要なトナーのクリーニング時に、3つ以上の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しない。このため、全ての1次転写部材10に対して同時にクリーニングバイアス(−1300V)を印加しない場合よりも中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和は大きくなってしまう。
【0104】
しかしながら、本実施例では、同時にクリーニングバイアスを印加する1次転写部材10の数を2つ以下としている。このことで、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和が、中間転写ベルト13に不具合が発生してしまう程の大きさにはならないようにしている。
【0105】
このため、コストダウンの実現と同時に、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に中間転写ベルトに不具合が発生することを防止することができる。
【0106】
以上述べたように本実施例では、2つの1次転写部材に共通してバイアスを印加するバイアス電源を設けることで、コストダウンを実現するとともに、クリーニングを行う場合に3つ以上の1次転写部材に同時にクリーニングバイアスを印加しないようにしている。
【0107】
このことにより、中間転写ベルト13と1次転写部材10a〜10dとの間に発生する静電吸着力の総和を、中間転写ベルト13に不具合が発生する場合の値よりも小さくすることができる。その結果、中間転写ベルト13に過剰な張架力が架かった場合に、中間転
写ベルト13に不具合が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0108】
なお、本実施例においては、複数の画像形成部として、4つのステーションが設けられた画像形成装置について説明したが、これに限るものではない。すなわち、5つ以上のステーションが設けられた場合であっても、隣合う3つのステーションに対して、上述したような制御を行うことにより、中間転写ベルトに過剰な張架力が架かった場合に、中間転写ベルトに不具合が生じてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1に係る画像形成装置を示す概略断面図。
【図2】実施例1のクリーニング動作による振り分け回収を説明するための図。
【図3】実施例1のクリーニング動作によって1次転写部材に印加されるバイアスを説明するための図。
【図4】比較例1のクリーニング動作による振り分け回収を説明するための図。
【図5】比較例1のクリーニング動作によって1次転写部材に印加されるバイアスを説明するための図。
【図6】実施例1の評価結果を示す図。
【図7】実施例2に係る画像形成装置を示す概略断面図。
【図8】実施例2のクリーニング動作による振り分け回収を説明する図。
【図9】実施例2のクリーニング動作によって1次転写部材に印加されるバイアスを説明するための図。
【図10】従来の画像形成装置を示す概略断面図。
【図11】従来のクリーニング動作による振り分け回収を説明するための図。
【符号の説明】
【0110】
1a〜1d 感光ドラム
3a〜3d クリーニングユニット
10a〜10d 1次転写部材
13 中間転写ベルト
22a〜22d 1次転写バイアス電源
22a1〜22d1 クリーニングバイアス電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材と、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記ニップ部により挟持搬送されることで前記像担持体上の現像剤像が1次転写される中間転写体と、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段と、
を有する複数の画像形成部を備え、
前記中間転写体上に1次転写された現像剤像を記録材に一括して2次転写することにより前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記中間転写体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現像剤像を担持する像担持体、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段、及び、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段
を有する複数の画像形成部と、
複数の前記ニップ部で挟持搬送されるように設けられ、記録材を担持搬送する記録材担持体と、
を備え、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記記録材担持体により担持搬送される記録材に前記像担持体上の現像剤像を転写することにより、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記記録材担持体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記複数の画像形成部に対して、前記ニップ部による搬送方向上流側から下流側に向かって順に、1つの画像形成部ごとに、前記バイアス印加手段により前記クリーニングバイアスの印加動作を行わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の画像形成部のうち2つの画像形成部に設けられたバイアス印加手段は、同一の手段で構成されており、
前記制御手段は、複数の前記転写部材のうち3つ以上の転写部材に対して、クリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の画像形成部は、一方向に等間隔に並列配置され、
前記複数の画像形成部のうち隣合う3つの画像形成部を、前記ニップ部による搬送方向上流側から下流側に向かって順に、第1画像形成部、第2画像形成部、第3画像形成部とした場合に、前記第2画像形成部及び前記第3画像形成部に設けられたバイアス印加手段
が同一の手段で構成されており、
前記制御手段は、
前記残留現像剤が存在するクリーニング領域のうち、前記ニップ部による搬送方向下流側の先端部が、隣合う2つの画像形成部の間を通過するのに要する時間をtとし、aを自然数とした場合、
前記先端部が、前記第1画像形成部を通過してから、時間t×(3a−2)経過後のタイミングで、前記第1画像形成部に対して時間tの間、前記バイアス印加手段により前記クリーニングバイアスの印加動作を行わせるように制御し、
前記先端部が、前記第1画像形成部を通過してから時間t×(3a−1)経過後のタイミングで、前記第2画像形成部及び前記第3画像形成部に対して時間2tの間、前記バイアス印加手段により前記クリーニングバイアスの印加動作を行わせるように制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項1】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材と、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記ニップ部により挟持搬送されることで前記像担持体上の現像剤像が1次転写される中間転写体と、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段と、
を有する複数の画像形成部を備え、
前記中間転写体上に1次転写された現像剤像を記録材に一括して2次転写することにより前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記中間転写体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現像剤像を担持する像担持体、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材、
前記転写部材にバイアスを印加するバイアス印加手段、及び、
前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段
を有する複数の画像形成部と、
複数の前記ニップ部で挟持搬送されるように設けられ、記録材を担持搬送する記録材担持体と、
を備え、
前記バイアス印加手段により前記転写部材に転写バイアスが印加された状態で、前記記録材担持体により担持搬送される記録材に前記像担持体上の現像剤像を転写することにより、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記バイアス印加手段によって現像剤像の帯電極性と同極性のクリーニングバイアスを前記転写部材に印加させることにより、前記記録材担持体上に残留した残留現像剤を前記像担持体上に逆転写させて前記クリーニング手段により除去させる制御手段であって、
複数の前記転写部材に対してクリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記複数の画像形成部に対して、前記ニップ部による搬送方向上流側から下流側に向かって順に、1つの画像形成部ごとに、前記バイアス印加手段により前記クリーニングバイアスの印加動作を行わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の画像形成部のうち2つの画像形成部に設けられたバイアス印加手段は、同一の手段で構成されており、
前記制御手段は、複数の前記転写部材のうち3つ以上の転写部材に対して、クリーニングバイアスを同時に印加しないように前記バイアス印加手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の画像形成部は、一方向に等間隔に並列配置され、
前記複数の画像形成部のうち隣合う3つの画像形成部を、前記ニップ部による搬送方向上流側から下流側に向かって順に、第1画像形成部、第2画像形成部、第3画像形成部とした場合に、前記第2画像形成部及び前記第3画像形成部に設けられたバイアス印加手段
が同一の手段で構成されており、
前記制御手段は、
前記残留現像剤が存在するクリーニング領域のうち、前記ニップ部による搬送方向下流側の先端部が、隣合う2つの画像形成部の間を通過するのに要する時間をtとし、aを自然数とした場合、
前記先端部が、前記第1画像形成部を通過してから、時間t×(3a−2)経過後のタイミングで、前記第1画像形成部に対して時間tの間、前記バイアス印加手段により前記クリーニングバイアスの印加動作を行わせるように制御し、
前記先端部が、前記第1画像形成部を通過してから時間t×(3a−1)経過後のタイミングで、前記第2画像形成部及び前記第3画像形成部に対して時間2tの間、前記バイアス印加手段により前記クリーニングバイアスの印加動作を行わせるように制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−204835(P2009−204835A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46324(P2008−46324)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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