画像形成装置
【課題】新たな検出器を配置することなく、スキャナ部のロック解除忘れをユーザに警告可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】シート搬送路上にジャム検出用の通紙センサと排紙センサが配置される。各センサは、検出位置にシートが存在せず、かつスキャナ部が非ロック状態のときにLレベルの信号を、シートの存在とスキャナ部のロック状態の少なくとも一方のときにHレベルの信号を出力する。また、自装置が新品であるか否かを示す情報が記憶されている。自装置への電源がオンされた時点で、自装置が新品であり、両センサの出力がHレベルの場合には(S23で「YES」)、スキャナロックを検出する(S24)。
【解決手段】シート搬送路上にジャム検出用の通紙センサと排紙センサが配置される。各センサは、検出位置にシートが存在せず、かつスキャナ部が非ロック状態のときにLレベルの信号を、シートの存在とスキャナ部のロック状態の少なくとも一方のときにHレベルの信号を出力する。また、自装置が新品であるか否かを示す情報が記憶されている。自装置への電源がオンされた時点で、自装置が新品であり、両センサの出力がHレベルの場合には(S23で「YES」)、スキャナロックを検出する(S24)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなスキャナ部を有する画像形成装置では、装置の輸送中にスキャナ部が勝手に移動して他の部材に衝突等するなどによりスキャナ部自身や他の部材が破損するおそれがあり、そのために従来からスキャナ部が移動できないようにスキャナ部を装置本体に固定するロック部材を設けることが行われている。ロック部材は、ユーザの操作によりロック解除可能に構成されている。
【特許文献1】特開平5−204055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなスキャナ部がロックされた状態で輸送される場合、ユーザは、自己のオフィスや自宅等において装置使用前にロック解除の操作を行う必要がある。ところがユーザの中には、ロック解除が必要であることを知らずに、あるいは忘れて装置の電源をオンしてしまうユーザも存在する。スキャナ部をロックしたままジョブを実行しようとすると、当然にスキャン動作を行えず、またスキャナ部を駆動させるためのモータ等に過大な負荷がかかるなどトラブル発生の要因になる。
【0004】
ロック解除忘れを防止する方法として、例えばロック状態を検出するための専用のセンサ等を配置し、ロック状態が検出されると、その旨を警告する方法が考えられる。
しかしながら、ユーザによるロック解除の操作は、搬入時(新品時)に1回行われることがほとんどであり、そのためだけに専用のセンサを新たに配置するとコスト的に不利になる。また、新たなセンサを配置すれば、そのセンサからの信号を入力するためのポートを制御用のプリント基板に新たに設ける必要も生じ、コスト増になってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、専用のセンサ等を配置することなく、スキャナ部のロック解除忘れをユーザに警告可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが搬送路上の検出位置に存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記検出位置に存在していないときに第2信号を出力する検出手段と、前記ロック状態の有無を判定するために前記検出手段の出力信号と共に参照されるべき参照情報を取得する取得手段と、前記検出手段の出力信号と前記取得手段により取得された参照情報から前記スキャナ部がロック状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によりロック状態にあることが判定されると、その旨をユーザに警告する警告手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにすれば、スキャナ部のロック検出専用の新たな検出手段を配置しなくてもロックを検出でき、新たなセンサ等を配置すると共に制御プリント板に当該センサ用の入力ポートを別途設ける構成をとるよりも、コスト低減を図ることができる。
また、自装置の電源オフ時点における自装置の状態を示す装置状態情報を記憶している記憶部を備え、前記参照情報は、前記装置状態情報のことであり、前記取得手段は、自装置の電源がオンされると前記記憶部から前記装置状態情報を取得し、前記判定手段は、自装置の電源オン時点における前記検出手段の出力信号と前記読み出された装置状態情報とから前記判定を行うことを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、参照情報を記憶部から読み出して取得することができる。
ここで、前記装置状態情報は、自装置が新品であるか否かを示す情報であり、前記判定手段は、自装置の電源オン時点で自装置が新品かつ前記検出手段の出力信号が第1信号の場合にロック状態と判定することを特徴とする。
このようにすれば、新品であることの情報を利用してロック状態を判定することが可能になる。
【0009】
さらに、画像形成中に前記検出手段の第1信号と第2信号の切り換わりタイミングに応じて当該画像形成に際に搬送されるシートのジャムを検出するジャム検出手段を備え、前記装置状態情報は、前記電源オフ時点に前記ジャムの検出状態であったことを示すジャム情報であり、前記判定手段は、自装置の電源オン時点において、前記ジャム情報が取得されると共に前記検出手段の出力信号が第1信号である場合に、ロック状態である旨の判定に加えて当該ジャムが継続している可能性があると判定することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、ジャム継続も含めて検出できるようになる。
また、前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが前記搬送路上における前記検出位置とは別の検出位置にシートが存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記別の検出位置に存在していないときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、前記判定手段は、前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、元々、装置に備えられているシート検出手段としての別の検出手段を利用して、ロック状態を判定できるようになる。
さらに、前記搬送路で詰まったシートの除去の際に開閉されるカバーと、前記スキャナ部がロック状態のときと前記カバーが開放されているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記カバーが閉じているときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、前記判定手段は、前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、元々、装置に備えられているカバー開閉検出手段としての別の検出手段を利用して、ロック状態を判定できるようになる。
本発明に係る画像形成装置は、スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、搬送されるシートが搬送路上における検出位置に到達する前、通過中、通過後の各順に第1信号と第2信号を交互に変化させて出力し、前記スキャナ部が非ロック状態からロック状態に切り換えられる際に、その開始から終了までの間に第1信号と第2信号を前記シート検出時の変化回数と異なる回数で交互に変化させて出力する検出手段と、前記検出手段の出力信号を監視し、その信号変化の回数から前記検出位置におけるシートのジャムとロック状態の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、スキャナ部のロック検出専用の新たな検出手段を配置しなくてもロックを検出でき、新たなセンサ等を配置すると共に制御プリント板に当該センサ用の入力ポートを別途設ける構成をとるよりも、コスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型のカラーデジタル複写機(以下、単に「複写機」と言う。)に適用した場合を例にして説明する。
<実施の形態1>
図1は、当該複写機1の概略構成を示す図である。
同図に示すように複写機1は、大きく分けて、原稿画像を読み取るイメージリーダ部2と、読み取った画像をシート上にプリントして再現するプリンタ部3とから構成される。
【0015】
イメージリーダ部2は、固定光学系の一つであるシートスルー方式と移動光学系の一つであるスキャナ移動方式の両方で原稿画像の読み取りが可能なように構成されている。
ここで、シートスルー方式は、光学系を静止させた状態で、原稿を移動させて読み取る方式である。スキャナ移動方式は、プラテンガラス上に原稿を載置(静止)した状態で、原稿面からの反射光をCCDセンサに導くミラーを原稿に対して移動させ、原稿読取位置からCCDセンサまでの光路長を一定に維持した状態で読み取る方式である。
【0016】
イメージリーダ部2は、シートスルー方式を実現するための自動原稿搬送部4と、画像を読み取る画像読取部5を備えている。
自動原稿搬送部4は、シートスルー方式による原稿読取の際に、原稿給紙トレイ91にセットされた原稿束から原稿を1枚ずつ分離してプラテンガラス87の上面を通過させた後、原稿排紙トレイ98に排出するものである。
【0017】
原稿給紙トレイ91にセットされた原稿束における最上位の原稿は、例えばローラ対93およびローラ92によってプラテンガラス87へと搬送される。プラテンガラス87を通過した原稿は、さらにローラ対95によって、原稿排紙トレイ98へと排出される。上記した各ローラは、原稿搬送用モータ(不図示)を動力源とする動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。
【0018】
画像読取部5は、シートスルー方式とスキャナ移動方式の両方式での画像読み取りを実行するものである。ここでシートスルー方式により原稿を読み取る場合には、スキャナ部80がプラテンガラス87下方の位置(シートスルーポジション)に存する。スキャナ部80がシートスルーポジションに静止している状態で、原稿が自動原稿搬送部4により搬送されると、当該原稿は、プラテンガラス87上を通過する際にスキャナ部80のランプ81によって照射される。原稿面からの反射光は、第1ミラー82、第2ミラー83および第3ミラー84により光路変更され、集光レンズ85によってCCDセンサ86の受光面で結像される。
【0019】
一方、スキャナ移動方式で原稿を読み取る場合には、自動原稿搬送部4を上方に開放して、原稿を画像読取部5の手置き用プラテンガラス88上にセットする。この場合には、スキャナ部80は、同図のX´方向に移動する(スキャン動作)。この際、第2ミラー83と第3ミラー84が対となって上記スキャナ部80と同方向に、その移動速度の半分の速度で移動するようになっており、これにより原稿面から集光レンズ85までの距離(光路長)が常に一定に保たれて、原稿の反射光は、CCDセンサ86の受光面で結像される。なお、上記スキャナ部80および第2ミラー83、第3ミラー84は、スキャンモータ89を動力源とする動力伝達機構(不図示)を介して走行駆動される。
【0020】
画像読取部5には、装置輸送時などにスキャナ部80が移動(スキャン)できないようにロックするロック状態と、ロックを解除してスキャン自在な非ロック状態のいずれかに切り換えるロック部材100が設けられている。このロック部材100の構成については、後述する。また、イメージリーダ部2の前面の操作しやすい位置には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6には、コピー枚数を入力するためのテンキーやコピー開始を指示するためのスタートキー、ジョブのモードを設定するための設定キー、設定されたモードやジャムの発生などをメッセージで表示する表示部などが設けられている。
【0021】
プリンタ部3は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する作像部10Y、10M、10C、10Kと、中間転写ベルト25を備える画像形成部20と、シートSを収容すると共にシートを1枚ずつ画像形成部20に繰り出す給送部30と、定着部40と、水平搬送部50と、制御部60などを備えている。
作像部10Y〜10Kは、中間転写ベルト25に対向する状態で中間転写ベルト25に沿って所定の間隔をおいて直列に配置されている。
【0022】
作像部10Kは、感光体ドラム11、その周囲に配設された帯電器12、露光部13、現像器14、一次転写ローラ15、感光体ドラム11を清掃するためのクリーナ16などを備えている。露光部13は、レーザダイオードなどの発光素子およびレンズ等を備え、制御部60からの駆動信号を受けて、感光体ドラム11を露光するためのレーザ光を出射し、感光体ドラム11上を主走査方向に露光する。
【0023】
感光体ドラム11は、当該露光を受ける前にクリーナ16で表面の残存トナーが除去された後、帯電器12により一様に帯電されており、このように帯電した状態で、レーザ光により露光されると、感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器14によりK色のトナーで現像され、これにより感光体ドラム11表面にK色のトナー像が作像される。他の作像部10Y〜10Cについても、作像部10Kと同様の構成になっており、対応する色のトナー像が感光体ドラム11上に作像される。
【0024】
各感光体ドラム11上に作像されたトナー像は、感光体ドラム11と一次転写ローラ15間に生じる電界による静電力の作用を受けて、矢印方向に周回走行される中間転写ベルト25上に順次一次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト25上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるようにタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト25上に転写された各色トナー像は、中間転写ベルト25の走行により二次転写位置36に移動する。
【0025】
中間転写ベルト25の移動タイミングに合わせて、給送部30からは、タイミングローラ対34を介してシートSが給送されて来ており、二次転写位置36において、二次転写ローラ35に印加された電圧により生じた静電力の作用を受けて中間転写ベルト25上のトナー像が一括してシートS上に二次転写される。二次転写位置36を通過したシートSは、定着部40に搬送され、シートS上のトナー像が定着部40において加熱、加圧によりシートSに定着された後、ローラ対41を介して水平搬送部50に送られる。
【0026】
水平搬送部50は、ローラ対41により送られて来たシートSをローラ対51〜53により搬送路39に沿ってX方向に搬送して機外に排出し、収容トレイ43に収容させるものである。ローラ対51〜53は、不図示のモータを動力源とする動力伝達機構を介して回転駆動される。
水平搬送部50には、搬送路39に沿って所定間隔離れた位置に透過型の光学センサからなる通紙センサ54と排紙センサ55が配設されている。通紙センサ54と排紙センサ55は、搬送路39を搬送されるシートSの検出と、ロック部材100によるスキャナ部80のロック状態の検出に兼用されるセンサである。
【0027】
以下、図2〜図6を用いてロック部材100と、シートSとロック状態を検出する検出機構101の構成およびその検出方法を具体的に説明する。
図2は、ロック部材100と検出機構101の概略拡大図であり、図3は、両者を図2の矢印A方向から見たときの分解斜視図であり、一部を破断して示している。
両図に示すように、ロック部材100は、垂直方向(Z方向)に伸びる回転軸110と、板状のアーム111、112、113からなる。
【0028】
回転軸110は、その上端部が外装カバー71に設けられた孔を介して機外に突出した状態で、軸芯を中心にフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。
アーム111は回転軸110の上端部に、アーム112は回転軸110の中央部に、アーム113は回転軸110の下端部にそれぞれ固定されている。ユーザは、アーム111を把持して矢印B方向とその逆方向に回すことにより、ロック部材100の位置を実線の位置(非ロック位置)と二点鎖線の位置(ロック位置)に切り換えることができる。
【0029】
非ロック位置では、アーム112がスキャナ部80と係合せず、スキャナ部80が移動自在になってスキャン可能な非ロック状態になる。一方、ロック位置では、アーム112がスキャナ部80に設けられた凹部801に嵌り込み、スキャナ部80のX´方向への移動を妨げてスキャン不可なロック状態になる。
図4は、非ロック状態とロック状態でのロック部材100の姿勢を図3のX方向から見たときの側面図であり、(a)は非ロック状態を、(b)はロック状態を示している。
【0030】
図4(a)に示すように、非ロック状態ではアーム112がスキャナ部80の凹部801から外れるが、ロック状態では、図4(b)に示すようにアーム112がスキャナ部80の凹部801に嵌り、スキャナ部80の移動が妨げられることが判る。
ロック状態にする必要があるのは、上述の通り装置輸送中にその振動などでスキャナ部80が動いてダメージを受けないようにするためなので、輸送中にロック部材100が勝手に回転して非ロック状態に切り換わってしまうといったことを防止する必要がある。そこで、ロック部材100の回転を規制する手段が設けられている。
【0031】
規制手段としては、例えばアーム111の下面に1つの凹部(不図示)を設けると共に、外装カバー71表面の、ロック位置と非ロック位置に対応する各位置に、アーム111の凹部に係合する凸部(不図示)を設けておき、ロック部材100がロック位置と非ロック位置にあるときに外装カバー71の凸部とアーム111の凹部が係合するようにしてアーム111の回転を規制する構成が考えられる。
【0032】
アーム111に所定以上の回転力を加えたときにだけ凸部と凹部の係合が解除されるように凸部と凹部の形状を構成すれば、輸送中の振動程度では解除されず、ユーザが所定以上の力でアーム111を回転させることにより切り換えを行うことができる。なお、このような構成をとらずに、例えばアーム111をテープなどで外装カバー71に貼り付けたりネジ止めしたりすることにより、操作により切り換えられた状態(ロック状態または非ロック状態)が維持されるようにするとしても良い。
【0033】
図3に戻り、検出機構101は、プレート102、揺動レバー103、104、通紙センサ54、排紙センサ55、アクチュエータ56、57などから構成される。
プレート102は、X方向に平行な方向にスライド移動自在にベース72(図2)のガイド部材(不図示)により支持されている。そして、プレート102のX方向略中央の位置には、Y方向に伸びる長孔120が穿設されている。長孔120には、ロック部材100のアーム113の下面に設けられたピン114が遊嵌される。また、プレート102の下面には、X方向に所定間隔をおいた2箇所の位置に突起121、122が設けられている。突起121、122は、揺動レバー103、104に当接する。
【0034】
揺動レバー103は、ロッド131と、ロッド131の一方端に設けられた遮光片132と、他方端に設けられた当接片133と、ロッド131の長手方向略中央に設けられた支軸134を備え、支軸134を中心に矢印D方向とその逆方向に揺動自在に支持部材(不図示)により支持されている。支軸134には、揺動レバー103を矢印D方向に回動付勢するためのコイルバネ135が挿入されており、揺動レバー103は、コイルバネ135によりD方向に常時、回動付勢されつつ、当接片133がプレート102の突起121に当接することにより静止した状態になる。
【0035】
揺動レバー104は、揺動レバー103と同様の構成であり、ロッド141と、遮光片142と、当接片143と、支軸144を備えている。支軸144には、揺動レバー104をD方向に回動付勢するためのコイルバネ145が挿入されている。揺動レバー104は、コイルバネ145によりD方向に常時、回動付勢されつつ、当接片143がプレート102の突起122に当接することにより静止するようになっている。
【0036】
このような構成において、非ロック状態からロック状態に切り換えられると、アーム113の矢印B方向への回動によるピン114のX方向変位量に相当する距離だけプレート102がX方向にスライドする。このスライド動作に伴って揺動レバー103、104が略同時にD方向に回動し、遮光片132、142が通紙センサ54、排紙センサ55の発光部541、551と受光部542、552の間に介挿され、発光部541、551から受光部542、552に向かう光が遮光(光路が遮断)される(遮光状態)。この切り換えの様子を図5と図6を用いて具体的に説明する。
【0037】
図5は、アーム113とプレート102を図3のP方向から見たときの平面図であり、(a)は非ロック状態を、(b)はロック状態の様子を示している。図6(a)は、非ロック状態の揺動レバー104を図3のY方向から見たときの拡大正面図であり、図6(b)は、ロック状態に切り換わったときの揺動レバー104を示す拡大正面図であり、図6(c)は、揺動レバー104と排紙センサ55の位置関係を示すための平面図である。
【0038】
非ロック状態では、図5(a)に示すようにアーム113は、X´方向に向いており、図6(a)に示すように揺動レバー104は、その当接片143がプレート102の突起122の頂部1221に当接すると共に、遮光片142が排紙センサ55の発光部と受光部の間に介挿されない姿勢になり、非遮光(透光)状態になっている。
非ロック状態からロック状態への切り換えの際に、図5(a)の状態からアーム113がY方向を向くまでB方向に回転すると、アーム113のピン114がプレート102の長孔120に沿ってB方向に移動しつつ、プレート102は、アーム113のピン114を介してアーム113の回転駆動力を受けてX方向に距離α移動する(図5(b))。プレート102は、上記のようにX方向とX´方向に移動自在に支持されているので、Y方向には移動せずX方向に平行移動することになる。
【0039】
一方、揺動レバー104は、図6(b)に示すように当接片143の、プレート102の突起122との当接位置が頂部1221から斜面部1222に変わる。この当接位置の頂部1221から斜面部1222への垂直方向の変位量に相当する量だけ、揺動レバー104がD方向に回動し、この回動により遮光片142が排紙センサ55の発光部と受光部の間に介挿される位置まで移動して遮光状態に切り換わる。この遮光状態への切り換わりが通紙センサ54と排紙センサ55で略同時に行われ、遮光状態を示す信号が略同時に両センサから出力される。
【0040】
逆に、ロック状態から非ロック状態への切り換えの際にアーム113がB方向の逆方向に回転すると、プレート102が距離αだけX´方向にスライドして、図5(a)に示す状態に戻る。このスライド動作に連動して、揺動レバー104は、その当接片143の、プレート102の突起122との当接位置が斜面部1222から頂部1221に戻り、その戻り量に相当する分だけ、揺動レバー104がD方向の反対方向に回転し、この回転により遮光片142が排紙センサ55の発光部と受光部の間から外れて透光状態になる。揺動レバー103についても揺動レバー104と同じ動作が並行して行われ、通紙センサ54が透光状態になる。
【0041】
図3に戻り、アクチュエータ56は、通紙センサ54の近辺に、アクチュエータ57は、排紙センサ55の近辺に配置されている。アクチュエータ56、57は、細長い棒状のアーム561、571と、扇型の遮光片562、572と、これらを保持する支軸563、573を備え、支軸563、573を中心に矢印E方向とその逆方向に揺動自在に不図示の支持部材により支持されている。
【0042】
支軸563、573には、アクチュエータ56、57をE方向に回動付勢するコイルバネ564、574が挿入されており、アクチュエータ56、57は、コイルバネ564、574によりE方向に常時、回動付勢されつつ、アーム561、571が当該支持部材に当接することにより静止した状態になる。この静止状態では、アーム561、571が垂下して搬送路39上を検出位置S1、S2(図2)において横断すると共に、遮光片562、572が通紙センサ54、排紙センサ55の発光部541、551と受光部542、552の間に介挿されない姿勢になる(図6(a)の実線で示す状態)。スキャナ部80が非ロック状態にあれば、両センサは透光状態になる。
【0043】
コピージョブが開始され、例えば静止状態のアクチュエータ57のアーム571が検出位置S2において搬送中のシートSにより搬送方向に押されると、押された分だけアクチュエータ57がコイルバネ574の付勢力に抗して矢印Eの逆方向に回り、遮光片572が排紙センサ55の発光部551と受光部552の間に介挿される(図6(a)の二点鎖線で示す状態)。これにより排紙センサ55が遮光状態になる。当該シートSが通過すると、アーム571がコイルバネ574の付勢力によりE方向に回って静止状態に戻る。アクチュエータの揺動により透光状態と遮光状態の切換が行われることは、アクチュエータ56と通紙センサ54についても同様である。
【0044】
このように本実施の形態では、通紙センサ54は、非ロック状態かつシートSが検出位置S1に存在しないときに透光状態になり、ロック状態とシートSの存在の少なくとも一方のときに遮光状態になる。同様に、排紙センサ55は、非ロック状態かつシートSが検出位置S2に存在しないときに透光状態になり、ロック状態とシートSの存在の少なくとも一方のときに遮光状態になるように構成されている。両センサは、透光状態で「L」レベルの信号を出力し、遮光状態で「H」レベルの信号を出力するので、以下、透光状態のときをセンサ出力が「L」レベルであり、遮光状態のときを「H」レベルであるという場合がある。
【0045】
図7は、複写機1の制御部60の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御部60は、主な構成要素として、CPU61、ROM62、RAM63、記憶部64およびタイマー65を備えている。
CPU61は、ROM62から必要なプログラムを読み出して、自動原稿搬送部4、画像読取部5、プリンタ部3などの動作をタイミングを取りながら統一的に制御して、画像読取部5により画像を読み取るスキャンジョブ、読み取った画像をプリンタ部3によりプリントして再現するコピージョブ等を円滑に実行させる。また、公知の濃度補正や色ずれ補正などの画像安定化処理を実行し、これにより得られた露光量、露光タイミング、現像バイアスなどの制御変数や補正値などの制御情報を記憶部64に格納する。そして、ジョブ実行中には、格納されている制御情報を用いて露光量や現像バイアス電圧などを適正な値に制御する。
【0046】
さらに、通紙センサ54、排紙センサ55の出力信号を受信して、ロック状態、ジャム発生の有無を検出する検出処理を行う。当該検出処理には、装置の電源がオンされた時点で実行される処理と、電源オン後の待機中およびジョブ実行中に実行される処理が含まれ、各処理がそれぞれのタイミングで個別に実行される。ここで、待機中とは、ジョブが実行可能なレディ状態でジョブの実行指示を待っている期間をいう。なお、ロック状態やジャム発生が検出されるとジョブの実行が停止される。
【0047】
記憶部64は、EEPROMなどの不揮発性の記憶手段であり、新品情報、ジャム/ロック情報を含む情報などが格納(記憶)されている。ここで、新品情報とは、自装置が新品(工場出荷後、未使用のもの)であるか否かを判断するための情報であり、本実施の形態では、装置の工場出荷時に新品を示す情報、例えば「0」を示すデータが書き込まれる。新品情報は、後述のように装置の電源がオンされる毎に読み出されるが、ユーザにより最初に電源がオンされたときに「0」が読み出されると、その時点で新品でないことを示す情報、例えば「1」を示すデータに書き換えられ、これ以降は「1」が維持される。
【0048】
ジャム/ロック情報とは、ジャムとロックの発生検出の有無を示す情報であり、後述のように未検出の場合には「0」を示す情報が書き込まれ、検出されるとその内容を示す情報として「1」〜「4」を示すデータが書き込まれる。なお、記憶部64には、ユーザにより登録されたユーザ情報、コピー累積枚数などの履歴情報なども記憶される。
タイマー65は、ジャム検出に用いられる。具体的には、ジョブ実行中に通紙センサ54からの出力信号をモニターして、搬送中のシートSの先端が検出位置S1を通過した時点(出力信号がLからHレベルに変化した時点)から計時を開始し、そのカウント値が所定時間(シートSの搬送方向長さを搬送速度で除した値+固定値)を超えた時点でLレベルの信号を受信していない場合、すなわち当該シートSが検出位置S1に存在したままになっている場合に、ジャム検出条件を満たしたとしてジャムを検出する。このジャム検出方法は、排紙センサ55にも同様に適用できる。なお、センサを用いてシートSのジャムを検出する方法自体は、公知であり、上記の方法に限られないことはいうまでもない。
【0049】
次に、CPU61によるロックとジャムの検出処理の内容を、具体的に図8〜図12を用いて説明する。
図8は、電源オン時点で実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず記憶部64に記憶されている装置状態情報を読み出す(取得する)(ステップS11)。
【0050】
読み出した情報に含まれる新品情報を参照して、自装置が新品であるか否かを判断する(ステップS12)。読み出した新品情報が「0」を示すデータである場合には、新品であると判断して(ステップS12で「YES」)、第1検出処理を実行し(ステップS13)、ステップS15に移る。一方、新品情報が「1」を示すデータである場合には、新品ではないと判断して(ステップS12で「NO」)、第2検出処理を実行し(ステップS14)、ステップS15に移る。
【0051】
図9は、第1検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず記憶部64に記憶されている新品情報を新品ではないことを示すデータ、ここでは「1」に書き換える(ステップS21)。これにより、次回以降に電源オン時点で当該処理が実行される際には、新品ではないと判断されて第2検出処理が実行されることになる。
【0052】
そして、通紙センサ54と排紙センサ55の現在の出力信号を受信(取得)する(ステップS22)。以下、両方のセンサをいうときには「両センサ」、いずれか一方を特定せずにいうときには「一方のセンサ」と略す。
両センサの出力信号が「H」レベルと判断すると(ステップS23で「YES」)、スキャナ部80がロック状態であるとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を、ロック状態を示すデータ、ここでは「3」に書き換えて(ステップS24)、リターンする。自装置が新品であるのに電源オン時点で検出位置S1、S2両方にシートSが存在している状態になっているということを想定できないからである。
【0053】
一方、両センサの出力信号が「H」レベルではなく(ステップS23で「NO」)、一方のセンサだけが「H」レベルと判断すると(ステップS25で「YES」)、当該センサの故障を検出し(ステップS26)、リターンする。また、両センサの出力が「L」レベルと判断すると(ステップS25で「NO」)、そのままリターンする。
図10は、第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0054】
同図に示すように、両センサの現在の出力信号を受信する(ステップS31)。両センサの出力信号が「H」レベルの場合には(ステップS32で「YES」)、前回の電源オフ時点においてジャムが検出されていたか否かを判断する(ステップS33)。
この判断は、読み出した装置状態情報に含まれるジャム/ロック情報を参照することにより行われる。すなわち、後述のようにジャム/ロック情報は、電源がオンされている状態において、検出位置S1でジャムが検出されると「1」を示すデータに、検出位置S2でジャムが検出されると「2」を示すデータに書き換えられ、詰まったシートSが取り除かれてジャムが解除されると「0」を示すデータに戻される。従って、例えばユーザがジャム解除前に電源をオフしてしまったような場合には、その後、電源がオンされると、ジャム/ロック情報はジャム検出を示すデータのままになっていることになり、当該情報を参照することでジャム検出されていたか否かを判断できる。
【0055】
ジャムが検出されていなかったことを判断すると(ステップS33で「NO」)、スキャナ部80のロック状態を検出したとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を「3」に書き換えて(ステップS34)、リターンする。このようにロック状態を検出するとしているのは、電源オフ時点でジャムが発生していなかったのに、電源オフ中に検出位置S1、S2両方にシートSが存在する状態になることを想定できないからである。
【0056】
一方、電源オフ時点でジャム検出されていた、すなわちジャム/ロック情報が「1」または「2」であることを判断すると(ステップS33で「YES」)、ロック状態とジャム継続の両方の可能性があることを検出したとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を「4」に書き換えて(ステップS35)、リターンする。
このように両方の可能性があるとしているのは、前回の電源オフ時点でジャムが発生しており、今回の電源オン時点で両センサの出力が「H」レベルであるということは、電源オン時までの間にジャムによるシートSが取り除かれなかった場合と、シートSは取り除かれたがユーザによりロック部材100が操作されてロック状態になってしまった場合の両方が考えられるからである。なお、この状態で電源がオフされた後、次に電源がオンされた時点でステップS33を実行する際に、ジャム/ロック情報が「1」または「2」でなくても「4」であればジャム状態であったとして、再度ステップS35を実行するようにしても良い。
【0057】
両センサの出力信号が「H」レベルではなく(ステップS32で「NO」)、通紙センサ54の出力信号だけが「H」レベルであると判断すると(ステップS36で「YES」)、検出位置S1におけるジャムを検出したとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を「1」に書き換えて(ステップS37)、リターンする。一方のセンサだけが「H」レベルということは、ロック状態ではあり得ないからである。
【0058】
通紙センサ54の出力信号が「L」レベルであり(ステップS36で「NO」)、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルであると判断すると(ステップS36で「NO」、S38で「YES」)、検出位置S2におけるジャムを検出したとしてジャム/ロック情報を「2」に書き換えて(ステップS39)、リターンする。両センサの出力が「L」レベルと判断すると(ステップS38で「NO」)、そのままリターンする。
【0059】
図8に戻り、ステップS15では、エラーが検出されたか否かを判断する。ここで、エラーとは、ジャム、ロック状態のことをいうが、上記ステップS26におけるセンサ故障も含むものとする。ジャム等の検出の有無は、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を参照することにより判断される。例えば、ジャム/ロック情報が「0」を示すデータである場合には、エラーが検出されていないとされる。
【0060】
エラーが検出されていないと判断すると(ステップS15で「NO」)、通常の起動を許可して(ステップS16)、当該処理を終了する。これにより、例えばウォームアップなどが開始され、ジョブ実行可能な状態にされる。
一方、エラーが検出されていると判断すると(ステップS15で「YES」)、警告/復帰処理を実行する(ステップS17)。
【0061】
図11は、警告/復帰処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、ジャムやロック状態が検出されたとして、装置の稼動を停止する(ステップS51)。この稼動の停止とは、例えばジョブ実行中にローラ対51〜53などを回転駆動中であれば、その回転を停止させる。また、スキャンモータ89に駆動用電流の供給を開始しようとしている、または開始している場合にはその供給を停止させる。
【0062】
続いて、操作パネル6の表示部に警告メッセージを表示させる(ステップS52)。具体的には、例えばジャム/ロック情報が「1」の場合には、検出位置S1のところでジャムが発生していること、および詰まっているシートの除去を促す旨のメッセージが表示される。ユーザは、このメッセージを見て、ジャム発生を知ると共に詰まったシートSを取り除く操作を行うことができる。詰まったシートSが取り除かれると、通紙センサ54の出力信号が「H」から「L」レベルに変化することになる。
【0063】
また、例えばジャム/ロック情報が「3」の場合には、スキャナ部80のロック解除を促す旨のメッセージが表示される。ユーザは、このメッセージを見て、スキャナ部80がロック状態であることを知ると共にロック解除の操作(非ロック状態への切り換え)を行うことができる。ロックが解除されると、両センサの出力信号が略同時に「H」から「L」レベルに変化することになる。
【0064】
さらに、例えばジャム/ロック情報が「4」の場合には、ジャムとロックの両方の確認を促す旨のメッセージが表示される。なお、センサ故障の場合には、その旨のメッセージが表示される。これらメッセージのデータは、ROM62などに予め格納される。
両センサの出力信号を監視(モニター)して(ステップS53)、両センサの出力信号が共に「L」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS54)。「L」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS54で「NO」)、ジャム、ロック状態が継続しているとして、ステップS53に戻る。
【0065】
両センサの出力信号が共に「L」レベルに変化したことを判断すると(ステップS54で「YES」)、警告メッセージの表示を消すと共に(ステップS55)、ジャム/ロック情報を「0」に書き換えて(ステップS56)、エラー解除を行うと共に装置を復帰させて(ステップS57)、リターンする。この復帰とは、例えば電源オン時点でエラー検出された場合には、ステップS16と同様の起動を開始する。また、ジョブ実行の途中にジャム検出によりジョブが停止した場合には、残りのコピー等の動作を再開する。
【0066】
上記のように電源オフ時点における装置状態(新品、ジャム、ロック)を記憶しておくようにしたのは、次の理由による。すなわち、ロック検出と2箇所のジャム検出を2つの光学センサで兼用する構成なので、電源オン時点で両センサの出力信号を受信するだけでは、ロックなのかジャムなのかを区別することができない。
そこで、本実施の形態では、電源オフ時点の装置状態を示す情報を記憶しておくと共に、電源オフ時点の装置状態と、電源オン時点における両センサの出力信号と、これら双方から得られる検出結果とを予め決めておき、実際に電源がオンされた時点で、前回に電源オフされた時点の装置状態情報を参照情報として参照しつつ、今回の電源オン時点における両センサの出力信号から、双方に対応する検出結果を現在の装置状態として検出するようにしたものである。
【0067】
図12は、待機中/ジョブ実行中に実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。同図に示すように、両センサの出力信号を監視して(ステップS61)、両センサの出力信号が略同時に「H」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS62)。両センサの出力信号が略同時に「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS62で「YES」)、ロック状態に切り換えられたとしてジャム/ロック情報を「3」を示すデータに書き換えて(ステップS63)、警告/復帰処理を実行する(ステップS71)。この処理は、上記ステップS17の警告/復帰処理と同じ処理である。
【0068】
なお、両センサの出力信号が略同時に「H」レベルに変化する場合には、ロック状態への切換だけでなく、例えばジャムとロック状態の切換動作とが同時に発生した場合も含まれるが、このような場合はおよそ想定できないため、本実施の形態では、ロック状態への切換が行われたとして判定するようにしている。
両センサの出力信号が「H」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS62で「NO」)、ジョブ実行中であるか否かを判断する(ステップS64)。ここで、ジョブ実行中ではない、すなわち待機中であることを判断すると(ステップS64で「NO」)、ステップS61に戻る。
【0069】
ジョブ実行中であることを判断すると(ステップS64で「YES」)、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS65)。搬送中のシートSが検出位置S1に到達していない、または通過後の場合には、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化していない、すなわち「L」レベルと判断し(ステップS65で「NO」)、ステップS66に移る。ステップS66において、上記のジャム検出条件を満たすか否かを判断する。この場合、ジャム検出条件を満たさないとして(ステップS66で「NO」)、ステップS61に戻る。
【0070】
ルーチンが一巡して、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS65で「YES」)、ステップS68に移る。ステップS68では、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化してから一定時間経過後に排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したか否かを判断する。
排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化していない、すなわち「L」レベルのままであると判断すると(ステップS68で「NO」)、ステップS66に移る。この場合、シートSの先端が通紙センサ54の検出位置S1を通過したが排紙センサ55の検出位置S2に到達していないことになり、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化してから所定時間以内に「L」レベルに戻らないことになるので、ジャム検出条件を満たしたとして(ステップS66で「YES」)、ジャム検出としてジャム/ロック情報を「1」に書き換えて(ステップS67)、ステップS71に移る。
【0071】
一方、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化してから一定時間経過後に排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS68で「YES」)、ステップS69に移る。ステップS69では、ジャム検出条件を満たすか否かを判断する。ここでは、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化してから所定時間以内に「L」レベルに戻るとジャムが発生しておらず、「H」レベルのままになっている場合にジャム発生とする。
【0072】
ジャム検出条件を満たさない場合には(ステップS69で「NO」)、ステップS61に戻る。ジャム検出条件を満たす場合には(ステップS69で「YES」)、ジャム/ロック情報を「2」に書き換えて(ステップS70)、ステップS71に移る。
ステップS71の警告/復帰処理では、上記のように検出されたエラーの警告メッセージの表示等が行われ、ユーザによる解除操作が行われると装置が復帰状態に戻る。
【0073】
以上、説明したように本実施の形態では、元々、装置に配されているジャム検出用の2つの光学センサ(通紙センサ54と排紙センサ55)をスキャナ部80のロック検出に兼用する構成としたので、ロック検出のための新たなセンサを設けなくても、スキャナ部80のロックと、検出位置S1のジャムと、検出位置S2のジャムの3つを検出することができ、新たなセンサを設けると共に制御プリント板に当該センサ用の入力ポートを別途設ける構成をとるよりも、コスト低減を図ることができる。
【0074】
また、待機中とジョブ実行中における検出処理では、両センサの出力信号がレベル変化するタイミングと、そのタイミングでレベルが変化した場合の検出結果を予め決めておき、待機中などに実際に両センサの出力信号を監視して、各信号のレベルの変化タイミングに対応する検出結果を現在の装置状態として検出する方法をとっている。
この検出方法によれば、電源オン時点で実行される検出処理のように前回の電源オフ時点の装置状態を記憶しておく必要がないので、例えば待機中やジョブ実行中にロック状態への切り換えを検出するだけの構成をとる場合には、記憶手段を必要としない分、よりコストの低減を図ることができる。
【0075】
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、ジャム検出用の2つの光学センサをロック検出に兼用するとしたが、本実施の形態2では、ジャム検出用の1つの光学センサと外装カバーの開閉を検出する1つの光学センサをロック検出に兼用するとしており、この点が異なっている。以下、実施の形態1と異なる部分を中心に説明し、共通する部分についてはその説明を省略する。また、実施の形態1と同じ部材については同符号を付すこととする。
【0076】
図13は、本実施の形態に係る検出機構200の構成例を示す斜視図である。
同図に示すように、検出機構200は、実施の形態1のプレート102、揺動レバー104、排紙センサ55などに加えて、開閉センサ201、揺動レバー202、203などを備えている。なお、実施の形態1の揺動レバー103、通紙センサ54については含まれない。
【0077】
開閉センサ201は、排紙センサ55と同様の透過型の光学センサであり、外装カバーの開閉を検出するためのものである。外装カバーとしては、例えば装置前側や横側などに位置し、ジャムにより詰まったシートSを取り除くためにユーザにより開閉されるカバーとすることができる。本実施の形態では、イメージリーダ部2が背面側に位置するX軸と平行な揺動軸(不図示)によりプリンタ部3に軸支され、この揺動軸を中心に上下方向に揺動することで開閉可能な構成になっており、このイメージリーダ部2が外装カバーの一つとして機能する構成になっている。ユーザは、水平搬送部50でジャムが発生した場合に、イメージリーダ部2を開放状態にして水平搬送部50に手を差し入れることにより、ジャムにより詰まったシートを取り除くことができる。以下、外装カバーの開閉という。
【0078】
揺動レバー202は、揺動レバー104と略同様の形状であり、コイルバネ205によりD方向に回動付勢されつつ、当接片213がイメージリーダ部2に設けられた移動片210に当接することにより静止するようになっている。この移動片210は、外装カバーが開放される際に外装カバーと共に上方向(G方向)に移動し、閉じられる際に下方向に移動するようになっている。
【0079】
揺動レバー203は、コイルバネ206によりF方向に回動付勢されつつ、当接片223がプレート102の突起121に当接することにより静止するようになっている。
このような構成において、非ロック状態からロック状態に切り換えられ、プレート102がX方向にスライドすると、揺動レバー104がD方向に、揺動レバー203がF方向に略同時に回動して、遮光片142、222が排紙センサ55、開閉センサ201の発光部と受光部の間に介挿されて両センサにおいて遮光状態になる。このとき両センサから略同時にHレベルの信号が出力される。ロック状態から非ロック状態に戻されると、プレート102がX´方向にスライドして、揺動レバー104、203が上記とは逆方向に回動し、両センサにおいて透光状態に戻る。
【0080】
一方、外装カバーが開放されると、その開放により移動片210が上方向に移動する分だけ、揺動レバー202がD方向に回動して、遮光片212が開閉センサ201の発光部と受光部の間に介挿されることにより遮光状態になる。外装カバーが閉じられると、揺動レバー202がD方向の逆方向に回動して、遮光片212が開閉センサ201の発光部と受光部の間から外れて透光状態に戻る。
【0081】
開閉センサ201は、非ロック状態かつ外装カバーが閉状態の場合に透光状態になり、ロック状態と外装カバーの開状態の少なくとも一方の場合に遮光状態になることになる。
図14は、本実施の形態に係る第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。当該第2検出処理では、実施の形態1に係る第2検出処理のステップS35〜S37に代えてステップS201〜S203が実行される点が異なる。
【0082】
すなわち、両センサ(排紙センサ55と開閉センサ201)の出力信号が「H」レベルでない場合には(ステップS32で「NO」)、開閉センサ201の出力信号だけが「H」レベルであるか否かを判断する(ステップS202)。ここで、開閉センサ201の出力信号だけが「H」レベルと判断すると(ステップS202で「YES」)、外装カバーが開けられたことを検出したとして、ジャム/ロック情報を「5」に書き換えて(ステップS203)、リターンする。ここで、ジャム/ロック情報が「5」とは、外装カバーが開いていることを示している。
【0083】
一方、両センサの現在の出力信号が「H」レベルであり(ステップS32で「YES」)、前回の電源オフ時点でジャム状態であった場合には(ステップS33で「YES」)、ロック状態であること、およびジャムが継続すると共に外装カバーも開いていることの両方の可能性があるとして、ジャム/ロック情報を「4」に書き換えて(ステップS202)、リターンする。ジャムが解除されていないのに電源がオフされ、その後、電源オン時点で両センサの出力が「H」レベルであるということは、電源オン時までの間にユーザが外装カバーを開けてジャムを解除しようとしたが、ジャムによるシートSを除去できず、外装カバーも開けられたままになっている場合と、シートSが除去されて外装カバーも閉じられたがユーザによりロック部材100が操作されてロック状態になってしまった場合の両方が考えられるからである。
【0084】
図15は、本実施の形態に係る待機中/ジョブ実行中に実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。当該処理では、実施の形態1に係る検出処理のステップS64〜S70に代えてステップS210〜S215が実行される点が異なるので、その異なる部分を抜き出して示している。
すなわち、両センサの出力信号がHレベルに変化せず(ステップS62で「NO」)、開閉センサ201の出力だけが「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS210で「YES」)、ジャム/ロック情報を「5」に書き換えて(ステップS211)、ステップS212に移る。一方、開閉センサの出力が「H」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS210で「NO」)、そのままステップS212に移る。
【0085】
ステップS212では、ジョブ実行中であるか否かを判断する。ジョブ実行中ではないことを判断すると(ステップS212で「NO」)、そのままステップS61に戻る。
ジョブ実行中であることを判断すると(ステップS212で「YES」)、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS213)。排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS213で「NO」)、ステップS61に戻る。
【0086】
ルーチンが一巡して、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS213で「YES」)、上記のジャム検出条件を満たすか否かを判断する(ステップS214)。ジャム検出条件を満たさない場合には(ステップS214で「NO」)、ジャムが発生していないのでステップS61に戻る。ジャム検出条件を満たす場合には(ステップS214で「YES」)、ジャム検出としてジャム/ロック情報を「2」に書き換えて(ステップS215)、ステップS71に移る。ステップS71の警告/解除処理では、例えばジャム/ロック情報が「5」の場合には、外装カバーを閉じることをユーザに促す旨のメッセージが表示される。
【0087】
なお、ユーザによりロック状態への切換と外装カバーの開放の各動作が同時に実行されることは想定できないため、本実施の形態でも実施の形態1と同様に、両センサの出力が略同時に「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS62で「YES」)、ロック状態を検出(ステップS63)することとしている。
このように本実施の形態では、元々、装置に配されているジャム検出用の排紙センサ55と、外装カバーの開閉検出用の開閉センサ201をスキャナ部80のロック検出に兼用する構成としたので、実施の形態1と同様に、ロック検出のための新たなセンサを設けなくても、スキャナ部80のロックと、検出位置S2のジャムと、外装カバー開閉の3つを検出することができ、コスト低減を図れる。なお、通紙センサ54については、本実施の形態ではロック検出と兼用されず、通常のジャム検出用のセンサとして用いられ、検出位置S1のジャムは、公知の検出処理により通紙センサ54の出力信号に基づいて検出されることになる。
【0088】
<実施の形態3>
上記実施の形態では、2つの光学センサをロック検出に兼用するとしたが、本実施の形態では、1つの光学センサをジャムとロック検出に兼用するとしており、この点が異なっている。
図16は、本実施の形態に係る検出機構300の要部を示す斜視図である。
【0089】
同図に示すように検出機構300は、光学センサとしての排紙センサ301と、アクチュエータ302と、プレート303などを備える。
排紙センサ301は、実施の形態1の排紙センサ55に相当するものである。
プレート303は、実施の形態1のプレート102に相当するものであり、本実施の形態3では、長手方向の一方端側に長孔320が穿設されていると共に、他方端側の下面に2つの突起321、322が設けられている。プレート303は、X方向に平行な方向に移動自在に支持されており、非ロック状態とロック状態の切り換えにより、ロック部材100が回転され、その回転駆動力がロック部材のピン114を介して伝わると、その回転に応じた距離だけ移動する。
【0090】
アクチュエータ302は、支軸311と、アーム312と、遮光片313、314と、アーム315を備える。アーム312、315、遮光片313、314は、支軸311に固定されている。支軸311は、図示しない支持部材によりE方向とその逆方向に回転自在に支持されており、アクチュエータ302をE方向に回動付勢するためのコイルバネ316が挿入されている。
【0091】
アクチュエータ302は、非ロック状態とロック状態の切り換わりに連動して回転し、その姿勢が変化する。この姿勢変化の様子を具体的に図17を用いて説明する。
図17(a)、(b)は、非ロック状態におけるアクチュエータ302の姿勢を示す正面図であり、図17(c)は平面図である。図17(d)はロック状態におけるアクチュエータ302の姿勢を示す正面図であり、図17(e)は平面図である。なお、両平面図においては、アクチュエータ302とプレート303の突起321、322との位置関係を判り易くするために、プレート303を透視して示すと共に突起321、322が位置する部分を破線で示している。
【0092】
図17(a)に示すように、シートSが搬送路39上の検出位置S2に存在しないときには、遮光片314が突起321に当接して静止し、このときアーム312が垂下する状態になると共に、遮光片313が排紙センサ301の発光部と受光部の間に介在する遮光状態になる。排紙センサ301は、透光状態で「L」、遮光状態で「H」レベルの信号を出力するので、図17(a)の状態では、「H」レベルの信号が出力される。
【0093】
シートSが搬送路39を搬送され、検出位置S2に至ると、図17(b)に示すようにアーム312がシートSに押され、その押された分だけコイルバネ316の付勢力に抗して矢印H方向に回転する。このとき、遮光片314が突起321から離間すると共に遮光片313が排紙センサ301の発光部と受光部の間から外れて透光状態になり、排紙センサ301の出力信号は、「H」から「L」レベルに変化する。なお、シートSが検出位置S2を通過すると、図17(a)の状態に戻る。
【0094】
従って、シートSが詰まらずに検出位置S2を通過すれば、排紙センサ301の出力信号は、「H」→「L」→「H」レベルの順に、搬送速度とシートSの搬送方向長さの関係で決まるタイミングで変化する。一方、ジャムによりシートSが検出位置S2で詰まると、「H」→「L」レベルに変化した後、「L」レベルの状態が継続することになる。
図17(a)の非ロック状態(シートなし)からロック状態に切り換えられると、図17(d)に示すようにプレート303がX方向に移動して、この移動に伴って突起321によるアクチュエータ302の回転規制が解除されて、アクチュエータ302がコイルバネ316の付勢力によりE方向に回り、アーム315が突起322に当接する位置で静止する。この切り換え際に、遮光片313と314が順に排紙センサ301の発光部と受光部の間を通過するので、排紙センサ301において遮光、透光、遮光、透光の順に状態が変わり、排紙センサ301の出力信号は、「H」→「L」→「H」→「L」レベルの順に、ユーザによるロック部材100の回転操作の速度に応じたタイミングで変化することになる。
【0095】
このように本実施の形態では、排紙センサ304の出力レベル変化の回数がジャムの場合には1回、ロックの場合には3回と異なるようになっており、この回数の相違からジャムとロック状態を区別して検出するようにしている。
以下、本実施の形態に係る検出処理の内容を説明するが、本実施の形態では電源オン時点での検出処理は実行されず、待機中とジョブ実行中の検出処理が実行される。
【0096】
図18は、本実施の形態に係る待機中とジョブ実行中における検出処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、排紙センサ301の出力信号を監視して(ステップS301)、待機中でありジョブ実行中でなければ(ステップS302で「NO」)、センサ出力がH→L→H→Lレベルの順に3回変化したか否かを判断する(ステップS303)。この変化回数のカウントは、例えばHとLのレベル変化が検出される毎にフラグを内部メモリ(不図示)に記憶しておき、そのフラグの数をカウントすることなどにより行われる。
【0097】
レベル変化がないことを判断すると(ステップS303で「NO」)、ステップS301に戻る。一方、レベル変化が3回あったことを判断すると(ステップS303で「YES」)、ユーザによりロック状態に切り換えられたことを検出して(ステップS304)、警告/復帰処理を実行する(ステップS309)。
この警告/復帰処理は、実施の形態1の警告/復帰処理(ステップS17)と同様であるが、本実施の形態3では、排紙センサ301が1つの構成なので、ロック解除を促す警告メッセージの表示後(ステップS52)、排紙センサ301の出力信号が「H」レベルに戻ると(ステップS54で「YES」)、ユーザによる解除操作が行われたとして、警告メッセージの消去(ステップS55)以下の処理が実行される。
【0098】
ジョブ実行中の場合には(ステップS302で「YES」)、通紙予定時期であるか否かを判断する(ステップS305)。通紙予定時期とは、搬送中のシートSの先端が検出位置S2に到着するであろう時期のことであり、予め搬送速度などから求められる。
通紙予定時期ではないことを判断すると(ステップS305で「NO」)、ステップS303に移る。ジョブ実行中であるが、仮にユーザの誤操作によりロック状態に切り換えられたような場合には、ステップS303、S304においてロック状態が検出される。ロック状態が検出されると、当該ジョブは警告/解除処理(ステップS309)において中断されることになる。
【0099】
通紙予定時期に至っていることを判断すると(ステップS305で「YES」)、センサ出力がHからLレベルに変化したか否かを判断する(ステップS306)。通常は、この時点でレベル変化があるはずであるが、シートとローラのすべりなどによりシートSの検出位置S2への到達時期が予定よりも多少遅れる場合があり、この場合にはレベル変化の時期も遅れることになる。
【0100】
レベル変化したことを判断できない場合には(ステップS306で「NO」)、ステップS303に移る。センサ出力がH→L→H→Lレベルに変化せず(ステップS303で「NO」)、ステップS301に戻ってルーチンが一巡し、再度ステップS306に戻ったときにセンサ出力がHからLレベルに変化したことを判断すると(ステップS306で「YES」)、その出力変化時点から所定時間以内にHレベルに再度変化したか否かを判断する(ステップS307)。この所定時間とは、上記したようにシートSの搬送方向長さを搬送速度で除した値+固定値で表される時間であり、この判断とは、上記ジャム検出条件を満たすか否かの判断に相当する。
【0101】
所定時間以内にHレベルに変化したことを判断すると(ステップS307で「YES」)、ジャム検出条件を満たしていない、すなわちジャムが発生していないとしてステップS301に戻る。一方、所定時間以内にHレベルに変化せずLレベルのまま(レベル回数が1回)であることを判断すると(ステップS307で「NO」)、ジャム検出条件を満たした、すなわちジャム発生を検出して(ステップS308)、警告/復帰処理(ステップS309)に移る。
【0102】
警告/復帰処理では、ロック検出の場合と同様に、詰まったシートの除去を促す警告メッセージの表示後、排紙センサ301の出力信号が「H」レベルに戻ると、ユーザによる解除操作が行われたとして警告メッセージの消去以下の処理が実行される。
以上説明したように、本実施の形態では、排紙センサ301を1つだけ用いてジャムとロックの両方を検出できるようにしたので、別に新たにロック検出用のセンサを配置する必要がなく、コスト低減を図れる。なお、上記では、ロック状態の検出後、排紙センサ301の出力信号がHレベルに戻ると、ロックが解除されたと判断するようにしたが、ロック解除の判断方法は、これに限られない。例えば、センサ出力のレベル変化がロック検出のときの逆順、すなわちL→H→L→Hレベルの順に変化した場合にロックが解除されたと判断する方法をとることもできる。
【0103】
なお、上記では、センサ出力がH→Lの変化だけの場合にジャム検出、H→L→H→Lの順に変化した場合にロック検出を行うとしたが、これに限られない。HとLを全て反転させるとしても良い。レベルの変化回数の差分からジャムとロックを区別して検出できる構成であれば良く、アクチュエータ302の形状等が上記のものに限られることもない。また、レベルの変化の回数も上記に限られない。例えば、ロック検出の回数がジャム検出の回数よりもさらに多くなるようにアクチュエータの形状を工夫するとしても良い。
【0104】
例えば、待機状態において遮光片314が排紙センサ301の発光部と受光部の間の遮光位置に存し、シート検出時には図17のH方向に回転することにより遮光片313が遮光位置まで移動して遮光→透光→遮光の順に状態が変化すると共に、ロック状態への切換時にはE方向に回転することにより遮光位置にある遮光片314が遮光位置から脱し、遮光→透光の順に切り換わる構成をとれば、状態変化により信号レベルの変化回数がシート検出とロック切換とで異なることになり、その回数に応じてシートとロック状態の検出を行うとすることもできる。
【0105】
すなわち、検出手段としては例えば、光学センサと、前記光学センサの光路を開閉するための第1遮光片と第2遮光片と、搬送路上を通過するシートと当接する第1アームと、ロック状態に切り換えられる際のロック部材に係合する第2アームと、回転自在に支持され、前記第1遮光片、第2遮光片、第1アーム、第2アームをそれぞれが回転軸方向に直交する方向に放射状に伸びるようにした状態で保持する支持軸と、を備え、前記光学センサは、前記光路の開閉により第1と第2信号を交互に変化させて出力し、前記第1遮光片と第2遮光片は、前記支持軸の回転方向に互いに所定角をなすように当該支持軸に取着されており、前記光路は、前記第1と第2遮光片の少なくとも一方の遮光片により、前記第1アームが前記シートと当接することにより前記支持軸が第1方向に第1角度だけ回転するとその間にM(1以上の整数)回開閉され、前記第2アームが前記ロック部材に係合することにより前記支持軸が前記第1方向の逆の第2方向に第2角度だけ回転するとその間に前記Mとは異なるN(1以上の整数)回開閉されることを特徴とすることができる。ここで、開閉の回数とは、開から閉状態に変わるとき、閉から開状態に変わるときのそれぞれを1回とカウントすることができる。また、第2アームがロック部材に係合するとは、直接係合すること、他の部材を介して係合することを含む意味で用いられる。
【0106】
本発明は、画像形成装置に限られず、ジャム/ロックの検出方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0107】
〔変形例〕
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態1では、2つの光学センサを用いてロック、検出位置S1のジャム、検出位置S2のジャムの3つを検出するとしたが、いずれか一方のセンサだけを用いてジャムとロックの2つを検出する構成とすることもできる。例えば、通紙センサ54を用いる場合には、揺動レバー104が不要になり、検出処理(図9〜図12)においては、両センサを通紙センサ54と読み換えるようにすれば良い。
【0108】
具体的には、第1検出処理(図9)では、ステップS22で通紙センサ54の出力信号を受信し、ステップS23で通紙センサ54の出力がHレベルであるか否かを判断する。そして、通紙センサ54の出力がHレベルであれば、ステップS24においてジャム/ロック情報を「3」に書き換える(ロック検出)。新品のときに通紙センサ54の出力がHレベルということは、ロック状態になっていると判断できるからである。
【0109】
第2検出処理(図10)では、ステップS32で通紙センサ54の出力信号がHレベルであると判断し、ステップS33で電源オフ時点においてジャム状態でないと判断すると、ステップS34でジャム/ロック情報を「3」に書き換える。電源オフ時点でジャムが発生していないのに、次に電源オンするまでの間にシートSが詰まる状態になることが想定できないからである。なお、通紙センサ54の出力がLレベルであれば(ステップS32で「NO」)、そのままリターンする。
【0110】
待機中/ジョブ実行中の検出処理(図12)では、ステップS62において待機中(通紙予定時期ではない期間)に通紙センサ54の出力がHレベルに変化すると、ステップS63でジャム/ロック情報を「3」に書き換えるとすることができる。
(2)上記実施の形態1では、水平搬送部50の通紙センサ54と排紙センサ55を用いるとしたが、これらに限られず、搬送路39に配される別のジャム検出用のセンサを用いるとしても良い。また、実施の形態2では、ジャム検出用の排紙センサ55と、外装カバーの開閉検出用の開閉センサ201を用いるとしたが、これらに限られることもない。
【0111】
さらに、ロック部材100と検出機構101、200についても、スキャナ部80をロックと非ロック状態に切り換え可能であり、その切り換え動作に連動して光学センサの遮光/透光状態を切り換えることが可能な構成であれば良く、形状、大きさ、構成、部材等が上記のものに限られることはない。また、ロック部材100によるロック状態と非ロック状態の切換の際に両センサの出力レベル(H/L)が略同時に変わる構成としたが、例えば一定の時間差をもって変わる構成であっても構わない。この場合には、当該一定の時間差をもって予め決められた順に両センサの出力レベルが変わったときに、ロックと非ロックの状態の切換が行われたと判断することができる。
【0112】
また、検出器としては、透過型の光学センサに限られず、検出対象の状態(シート存在/不存在、スキャナロック/非ロックなどの状態)に応じて異なる第1信号と第2信号を出力するものであれば、反射型の光学センサ、光学センサ以外の検出器、例えばリードスイッチなどを用いるとしても良い。
(3)上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をタンデム型カラーデジタル複写機に適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、スキャナ部を移動させて原稿を読み取る構成の画像形成装置一般、例えばFAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。また、装置に元々備えられている記憶部に装置状態情報を記憶(格納)するとしたが、これに限られない。例えば、新たな検出手段を配置するよりもコストを抑制できるような場合などには、装置状態情報を記憶するための記憶部を設けるとすることも可能である。
【0113】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、スキャナ部を移動させて原稿を読み取る構成の画像形成装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】実施の形態1に係る複写機の概略構成を示す図である。
【図2】複写機のスキャナ部のロック等を検出する検出機構の概略拡大図である。
【図3】検出機構を図2の矢印A方向から見たときの分解斜視図である。
【図4】非ロック状態とロック状態でのロック部材の姿勢を図3のX方向から見たときの側面図である。
【図5】検出機構におけるアームとプレートを図3のP方向から見たときの平面図である。
【図6】揺動レバーを図3のY方向から見たときの拡大正面図である。
【図7】複写機の制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】電源オン時点で実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】第1検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図10】第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】警告/復帰処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図12】待機中/ジョブ実行中に実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る検出機構の構成例を示す斜視図である。
【図14】実施の形態2に係る第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態2に係る待機中/プリント中に実行される検出処理の一部の内容を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態3に係る検出機構の要部を示す斜視図である。
【図17】実施の形態3に係るアクチュエータの、ロック状態と非ロック状態における姿勢を示す正面図および平面図である。
【図18】実施の形態3に係る待機中とジョブ実行中における検出処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
1 複写機
2 イメージリーダ部
3 プリンタ部
54 通紙センサ
55、301 排紙センサ
60 制御部
64 記憶部
80 スキャナ部
100 ロック部材
101、200、300 検出機構
201 開閉センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなスキャナ部を有する画像形成装置では、装置の輸送中にスキャナ部が勝手に移動して他の部材に衝突等するなどによりスキャナ部自身や他の部材が破損するおそれがあり、そのために従来からスキャナ部が移動できないようにスキャナ部を装置本体に固定するロック部材を設けることが行われている。ロック部材は、ユーザの操作によりロック解除可能に構成されている。
【特許文献1】特開平5−204055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなスキャナ部がロックされた状態で輸送される場合、ユーザは、自己のオフィスや自宅等において装置使用前にロック解除の操作を行う必要がある。ところがユーザの中には、ロック解除が必要であることを知らずに、あるいは忘れて装置の電源をオンしてしまうユーザも存在する。スキャナ部をロックしたままジョブを実行しようとすると、当然にスキャン動作を行えず、またスキャナ部を駆動させるためのモータ等に過大な負荷がかかるなどトラブル発生の要因になる。
【0004】
ロック解除忘れを防止する方法として、例えばロック状態を検出するための専用のセンサ等を配置し、ロック状態が検出されると、その旨を警告する方法が考えられる。
しかしながら、ユーザによるロック解除の操作は、搬入時(新品時)に1回行われることがほとんどであり、そのためだけに専用のセンサを新たに配置するとコスト的に不利になる。また、新たなセンサを配置すれば、そのセンサからの信号を入力するためのポートを制御用のプリント基板に新たに設ける必要も生じ、コスト増になってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、専用のセンサ等を配置することなく、スキャナ部のロック解除忘れをユーザに警告可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが搬送路上の検出位置に存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記検出位置に存在していないときに第2信号を出力する検出手段と、前記ロック状態の有無を判定するために前記検出手段の出力信号と共に参照されるべき参照情報を取得する取得手段と、前記検出手段の出力信号と前記取得手段により取得された参照情報から前記スキャナ部がロック状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によりロック状態にあることが判定されると、その旨をユーザに警告する警告手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにすれば、スキャナ部のロック検出専用の新たな検出手段を配置しなくてもロックを検出でき、新たなセンサ等を配置すると共に制御プリント板に当該センサ用の入力ポートを別途設ける構成をとるよりも、コスト低減を図ることができる。
また、自装置の電源オフ時点における自装置の状態を示す装置状態情報を記憶している記憶部を備え、前記参照情報は、前記装置状態情報のことであり、前記取得手段は、自装置の電源がオンされると前記記憶部から前記装置状態情報を取得し、前記判定手段は、自装置の電源オン時点における前記検出手段の出力信号と前記読み出された装置状態情報とから前記判定を行うことを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、参照情報を記憶部から読み出して取得することができる。
ここで、前記装置状態情報は、自装置が新品であるか否かを示す情報であり、前記判定手段は、自装置の電源オン時点で自装置が新品かつ前記検出手段の出力信号が第1信号の場合にロック状態と判定することを特徴とする。
このようにすれば、新品であることの情報を利用してロック状態を判定することが可能になる。
【0009】
さらに、画像形成中に前記検出手段の第1信号と第2信号の切り換わりタイミングに応じて当該画像形成に際に搬送されるシートのジャムを検出するジャム検出手段を備え、前記装置状態情報は、前記電源オフ時点に前記ジャムの検出状態であったことを示すジャム情報であり、前記判定手段は、自装置の電源オン時点において、前記ジャム情報が取得されると共に前記検出手段の出力信号が第1信号である場合に、ロック状態である旨の判定に加えて当該ジャムが継続している可能性があると判定することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、ジャム継続も含めて検出できるようになる。
また、前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが前記搬送路上における前記検出位置とは別の検出位置にシートが存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記別の検出位置に存在していないときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、前記判定手段は、前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、元々、装置に備えられているシート検出手段としての別の検出手段を利用して、ロック状態を判定できるようになる。
さらに、前記搬送路で詰まったシートの除去の際に開閉されるカバーと、前記スキャナ部がロック状態のときと前記カバーが開放されているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記カバーが閉じているときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、前記判定手段は、前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、元々、装置に備えられているカバー開閉検出手段としての別の検出手段を利用して、ロック状態を判定できるようになる。
本発明に係る画像形成装置は、スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、搬送されるシートが搬送路上における検出位置に到達する前、通過中、通過後の各順に第1信号と第2信号を交互に変化させて出力し、前記スキャナ部が非ロック状態からロック状態に切り換えられる際に、その開始から終了までの間に第1信号と第2信号を前記シート検出時の変化回数と異なる回数で交互に変化させて出力する検出手段と、前記検出手段の出力信号を監視し、その信号変化の回数から前記検出位置におけるシートのジャムとロック状態の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、スキャナ部のロック検出専用の新たな検出手段を配置しなくてもロックを検出でき、新たなセンサ等を配置すると共に制御プリント板に当該センサ用の入力ポートを別途設ける構成をとるよりも、コスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型のカラーデジタル複写機(以下、単に「複写機」と言う。)に適用した場合を例にして説明する。
<実施の形態1>
図1は、当該複写機1の概略構成を示す図である。
同図に示すように複写機1は、大きく分けて、原稿画像を読み取るイメージリーダ部2と、読み取った画像をシート上にプリントして再現するプリンタ部3とから構成される。
【0015】
イメージリーダ部2は、固定光学系の一つであるシートスルー方式と移動光学系の一つであるスキャナ移動方式の両方で原稿画像の読み取りが可能なように構成されている。
ここで、シートスルー方式は、光学系を静止させた状態で、原稿を移動させて読み取る方式である。スキャナ移動方式は、プラテンガラス上に原稿を載置(静止)した状態で、原稿面からの反射光をCCDセンサに導くミラーを原稿に対して移動させ、原稿読取位置からCCDセンサまでの光路長を一定に維持した状態で読み取る方式である。
【0016】
イメージリーダ部2は、シートスルー方式を実現するための自動原稿搬送部4と、画像を読み取る画像読取部5を備えている。
自動原稿搬送部4は、シートスルー方式による原稿読取の際に、原稿給紙トレイ91にセットされた原稿束から原稿を1枚ずつ分離してプラテンガラス87の上面を通過させた後、原稿排紙トレイ98に排出するものである。
【0017】
原稿給紙トレイ91にセットされた原稿束における最上位の原稿は、例えばローラ対93およびローラ92によってプラテンガラス87へと搬送される。プラテンガラス87を通過した原稿は、さらにローラ対95によって、原稿排紙トレイ98へと排出される。上記した各ローラは、原稿搬送用モータ(不図示)を動力源とする動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。
【0018】
画像読取部5は、シートスルー方式とスキャナ移動方式の両方式での画像読み取りを実行するものである。ここでシートスルー方式により原稿を読み取る場合には、スキャナ部80がプラテンガラス87下方の位置(シートスルーポジション)に存する。スキャナ部80がシートスルーポジションに静止している状態で、原稿が自動原稿搬送部4により搬送されると、当該原稿は、プラテンガラス87上を通過する際にスキャナ部80のランプ81によって照射される。原稿面からの反射光は、第1ミラー82、第2ミラー83および第3ミラー84により光路変更され、集光レンズ85によってCCDセンサ86の受光面で結像される。
【0019】
一方、スキャナ移動方式で原稿を読み取る場合には、自動原稿搬送部4を上方に開放して、原稿を画像読取部5の手置き用プラテンガラス88上にセットする。この場合には、スキャナ部80は、同図のX´方向に移動する(スキャン動作)。この際、第2ミラー83と第3ミラー84が対となって上記スキャナ部80と同方向に、その移動速度の半分の速度で移動するようになっており、これにより原稿面から集光レンズ85までの距離(光路長)が常に一定に保たれて、原稿の反射光は、CCDセンサ86の受光面で結像される。なお、上記スキャナ部80および第2ミラー83、第3ミラー84は、スキャンモータ89を動力源とする動力伝達機構(不図示)を介して走行駆動される。
【0020】
画像読取部5には、装置輸送時などにスキャナ部80が移動(スキャン)できないようにロックするロック状態と、ロックを解除してスキャン自在な非ロック状態のいずれかに切り換えるロック部材100が設けられている。このロック部材100の構成については、後述する。また、イメージリーダ部2の前面の操作しやすい位置には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6には、コピー枚数を入力するためのテンキーやコピー開始を指示するためのスタートキー、ジョブのモードを設定するための設定キー、設定されたモードやジャムの発生などをメッセージで表示する表示部などが設けられている。
【0021】
プリンタ部3は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する作像部10Y、10M、10C、10Kと、中間転写ベルト25を備える画像形成部20と、シートSを収容すると共にシートを1枚ずつ画像形成部20に繰り出す給送部30と、定着部40と、水平搬送部50と、制御部60などを備えている。
作像部10Y〜10Kは、中間転写ベルト25に対向する状態で中間転写ベルト25に沿って所定の間隔をおいて直列に配置されている。
【0022】
作像部10Kは、感光体ドラム11、その周囲に配設された帯電器12、露光部13、現像器14、一次転写ローラ15、感光体ドラム11を清掃するためのクリーナ16などを備えている。露光部13は、レーザダイオードなどの発光素子およびレンズ等を備え、制御部60からの駆動信号を受けて、感光体ドラム11を露光するためのレーザ光を出射し、感光体ドラム11上を主走査方向に露光する。
【0023】
感光体ドラム11は、当該露光を受ける前にクリーナ16で表面の残存トナーが除去された後、帯電器12により一様に帯電されており、このように帯電した状態で、レーザ光により露光されると、感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器14によりK色のトナーで現像され、これにより感光体ドラム11表面にK色のトナー像が作像される。他の作像部10Y〜10Cについても、作像部10Kと同様の構成になっており、対応する色のトナー像が感光体ドラム11上に作像される。
【0024】
各感光体ドラム11上に作像されたトナー像は、感光体ドラム11と一次転写ローラ15間に生じる電界による静電力の作用を受けて、矢印方向に周回走行される中間転写ベルト25上に順次一次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト25上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるようにタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト25上に転写された各色トナー像は、中間転写ベルト25の走行により二次転写位置36に移動する。
【0025】
中間転写ベルト25の移動タイミングに合わせて、給送部30からは、タイミングローラ対34を介してシートSが給送されて来ており、二次転写位置36において、二次転写ローラ35に印加された電圧により生じた静電力の作用を受けて中間転写ベルト25上のトナー像が一括してシートS上に二次転写される。二次転写位置36を通過したシートSは、定着部40に搬送され、シートS上のトナー像が定着部40において加熱、加圧によりシートSに定着された後、ローラ対41を介して水平搬送部50に送られる。
【0026】
水平搬送部50は、ローラ対41により送られて来たシートSをローラ対51〜53により搬送路39に沿ってX方向に搬送して機外に排出し、収容トレイ43に収容させるものである。ローラ対51〜53は、不図示のモータを動力源とする動力伝達機構を介して回転駆動される。
水平搬送部50には、搬送路39に沿って所定間隔離れた位置に透過型の光学センサからなる通紙センサ54と排紙センサ55が配設されている。通紙センサ54と排紙センサ55は、搬送路39を搬送されるシートSの検出と、ロック部材100によるスキャナ部80のロック状態の検出に兼用されるセンサである。
【0027】
以下、図2〜図6を用いてロック部材100と、シートSとロック状態を検出する検出機構101の構成およびその検出方法を具体的に説明する。
図2は、ロック部材100と検出機構101の概略拡大図であり、図3は、両者を図2の矢印A方向から見たときの分解斜視図であり、一部を破断して示している。
両図に示すように、ロック部材100は、垂直方向(Z方向)に伸びる回転軸110と、板状のアーム111、112、113からなる。
【0028】
回転軸110は、その上端部が外装カバー71に設けられた孔を介して機外に突出した状態で、軸芯を中心にフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。
アーム111は回転軸110の上端部に、アーム112は回転軸110の中央部に、アーム113は回転軸110の下端部にそれぞれ固定されている。ユーザは、アーム111を把持して矢印B方向とその逆方向に回すことにより、ロック部材100の位置を実線の位置(非ロック位置)と二点鎖線の位置(ロック位置)に切り換えることができる。
【0029】
非ロック位置では、アーム112がスキャナ部80と係合せず、スキャナ部80が移動自在になってスキャン可能な非ロック状態になる。一方、ロック位置では、アーム112がスキャナ部80に設けられた凹部801に嵌り込み、スキャナ部80のX´方向への移動を妨げてスキャン不可なロック状態になる。
図4は、非ロック状態とロック状態でのロック部材100の姿勢を図3のX方向から見たときの側面図であり、(a)は非ロック状態を、(b)はロック状態を示している。
【0030】
図4(a)に示すように、非ロック状態ではアーム112がスキャナ部80の凹部801から外れるが、ロック状態では、図4(b)に示すようにアーム112がスキャナ部80の凹部801に嵌り、スキャナ部80の移動が妨げられることが判る。
ロック状態にする必要があるのは、上述の通り装置輸送中にその振動などでスキャナ部80が動いてダメージを受けないようにするためなので、輸送中にロック部材100が勝手に回転して非ロック状態に切り換わってしまうといったことを防止する必要がある。そこで、ロック部材100の回転を規制する手段が設けられている。
【0031】
規制手段としては、例えばアーム111の下面に1つの凹部(不図示)を設けると共に、外装カバー71表面の、ロック位置と非ロック位置に対応する各位置に、アーム111の凹部に係合する凸部(不図示)を設けておき、ロック部材100がロック位置と非ロック位置にあるときに外装カバー71の凸部とアーム111の凹部が係合するようにしてアーム111の回転を規制する構成が考えられる。
【0032】
アーム111に所定以上の回転力を加えたときにだけ凸部と凹部の係合が解除されるように凸部と凹部の形状を構成すれば、輸送中の振動程度では解除されず、ユーザが所定以上の力でアーム111を回転させることにより切り換えを行うことができる。なお、このような構成をとらずに、例えばアーム111をテープなどで外装カバー71に貼り付けたりネジ止めしたりすることにより、操作により切り換えられた状態(ロック状態または非ロック状態)が維持されるようにするとしても良い。
【0033】
図3に戻り、検出機構101は、プレート102、揺動レバー103、104、通紙センサ54、排紙センサ55、アクチュエータ56、57などから構成される。
プレート102は、X方向に平行な方向にスライド移動自在にベース72(図2)のガイド部材(不図示)により支持されている。そして、プレート102のX方向略中央の位置には、Y方向に伸びる長孔120が穿設されている。長孔120には、ロック部材100のアーム113の下面に設けられたピン114が遊嵌される。また、プレート102の下面には、X方向に所定間隔をおいた2箇所の位置に突起121、122が設けられている。突起121、122は、揺動レバー103、104に当接する。
【0034】
揺動レバー103は、ロッド131と、ロッド131の一方端に設けられた遮光片132と、他方端に設けられた当接片133と、ロッド131の長手方向略中央に設けられた支軸134を備え、支軸134を中心に矢印D方向とその逆方向に揺動自在に支持部材(不図示)により支持されている。支軸134には、揺動レバー103を矢印D方向に回動付勢するためのコイルバネ135が挿入されており、揺動レバー103は、コイルバネ135によりD方向に常時、回動付勢されつつ、当接片133がプレート102の突起121に当接することにより静止した状態になる。
【0035】
揺動レバー104は、揺動レバー103と同様の構成であり、ロッド141と、遮光片142と、当接片143と、支軸144を備えている。支軸144には、揺動レバー104をD方向に回動付勢するためのコイルバネ145が挿入されている。揺動レバー104は、コイルバネ145によりD方向に常時、回動付勢されつつ、当接片143がプレート102の突起122に当接することにより静止するようになっている。
【0036】
このような構成において、非ロック状態からロック状態に切り換えられると、アーム113の矢印B方向への回動によるピン114のX方向変位量に相当する距離だけプレート102がX方向にスライドする。このスライド動作に伴って揺動レバー103、104が略同時にD方向に回動し、遮光片132、142が通紙センサ54、排紙センサ55の発光部541、551と受光部542、552の間に介挿され、発光部541、551から受光部542、552に向かう光が遮光(光路が遮断)される(遮光状態)。この切り換えの様子を図5と図6を用いて具体的に説明する。
【0037】
図5は、アーム113とプレート102を図3のP方向から見たときの平面図であり、(a)は非ロック状態を、(b)はロック状態の様子を示している。図6(a)は、非ロック状態の揺動レバー104を図3のY方向から見たときの拡大正面図であり、図6(b)は、ロック状態に切り換わったときの揺動レバー104を示す拡大正面図であり、図6(c)は、揺動レバー104と排紙センサ55の位置関係を示すための平面図である。
【0038】
非ロック状態では、図5(a)に示すようにアーム113は、X´方向に向いており、図6(a)に示すように揺動レバー104は、その当接片143がプレート102の突起122の頂部1221に当接すると共に、遮光片142が排紙センサ55の発光部と受光部の間に介挿されない姿勢になり、非遮光(透光)状態になっている。
非ロック状態からロック状態への切り換えの際に、図5(a)の状態からアーム113がY方向を向くまでB方向に回転すると、アーム113のピン114がプレート102の長孔120に沿ってB方向に移動しつつ、プレート102は、アーム113のピン114を介してアーム113の回転駆動力を受けてX方向に距離α移動する(図5(b))。プレート102は、上記のようにX方向とX´方向に移動自在に支持されているので、Y方向には移動せずX方向に平行移動することになる。
【0039】
一方、揺動レバー104は、図6(b)に示すように当接片143の、プレート102の突起122との当接位置が頂部1221から斜面部1222に変わる。この当接位置の頂部1221から斜面部1222への垂直方向の変位量に相当する量だけ、揺動レバー104がD方向に回動し、この回動により遮光片142が排紙センサ55の発光部と受光部の間に介挿される位置まで移動して遮光状態に切り換わる。この遮光状態への切り換わりが通紙センサ54と排紙センサ55で略同時に行われ、遮光状態を示す信号が略同時に両センサから出力される。
【0040】
逆に、ロック状態から非ロック状態への切り換えの際にアーム113がB方向の逆方向に回転すると、プレート102が距離αだけX´方向にスライドして、図5(a)に示す状態に戻る。このスライド動作に連動して、揺動レバー104は、その当接片143の、プレート102の突起122との当接位置が斜面部1222から頂部1221に戻り、その戻り量に相当する分だけ、揺動レバー104がD方向の反対方向に回転し、この回転により遮光片142が排紙センサ55の発光部と受光部の間から外れて透光状態になる。揺動レバー103についても揺動レバー104と同じ動作が並行して行われ、通紙センサ54が透光状態になる。
【0041】
図3に戻り、アクチュエータ56は、通紙センサ54の近辺に、アクチュエータ57は、排紙センサ55の近辺に配置されている。アクチュエータ56、57は、細長い棒状のアーム561、571と、扇型の遮光片562、572と、これらを保持する支軸563、573を備え、支軸563、573を中心に矢印E方向とその逆方向に揺動自在に不図示の支持部材により支持されている。
【0042】
支軸563、573には、アクチュエータ56、57をE方向に回動付勢するコイルバネ564、574が挿入されており、アクチュエータ56、57は、コイルバネ564、574によりE方向に常時、回動付勢されつつ、アーム561、571が当該支持部材に当接することにより静止した状態になる。この静止状態では、アーム561、571が垂下して搬送路39上を検出位置S1、S2(図2)において横断すると共に、遮光片562、572が通紙センサ54、排紙センサ55の発光部541、551と受光部542、552の間に介挿されない姿勢になる(図6(a)の実線で示す状態)。スキャナ部80が非ロック状態にあれば、両センサは透光状態になる。
【0043】
コピージョブが開始され、例えば静止状態のアクチュエータ57のアーム571が検出位置S2において搬送中のシートSにより搬送方向に押されると、押された分だけアクチュエータ57がコイルバネ574の付勢力に抗して矢印Eの逆方向に回り、遮光片572が排紙センサ55の発光部551と受光部552の間に介挿される(図6(a)の二点鎖線で示す状態)。これにより排紙センサ55が遮光状態になる。当該シートSが通過すると、アーム571がコイルバネ574の付勢力によりE方向に回って静止状態に戻る。アクチュエータの揺動により透光状態と遮光状態の切換が行われることは、アクチュエータ56と通紙センサ54についても同様である。
【0044】
このように本実施の形態では、通紙センサ54は、非ロック状態かつシートSが検出位置S1に存在しないときに透光状態になり、ロック状態とシートSの存在の少なくとも一方のときに遮光状態になる。同様に、排紙センサ55は、非ロック状態かつシートSが検出位置S2に存在しないときに透光状態になり、ロック状態とシートSの存在の少なくとも一方のときに遮光状態になるように構成されている。両センサは、透光状態で「L」レベルの信号を出力し、遮光状態で「H」レベルの信号を出力するので、以下、透光状態のときをセンサ出力が「L」レベルであり、遮光状態のときを「H」レベルであるという場合がある。
【0045】
図7は、複写機1の制御部60の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御部60は、主な構成要素として、CPU61、ROM62、RAM63、記憶部64およびタイマー65を備えている。
CPU61は、ROM62から必要なプログラムを読み出して、自動原稿搬送部4、画像読取部5、プリンタ部3などの動作をタイミングを取りながら統一的に制御して、画像読取部5により画像を読み取るスキャンジョブ、読み取った画像をプリンタ部3によりプリントして再現するコピージョブ等を円滑に実行させる。また、公知の濃度補正や色ずれ補正などの画像安定化処理を実行し、これにより得られた露光量、露光タイミング、現像バイアスなどの制御変数や補正値などの制御情報を記憶部64に格納する。そして、ジョブ実行中には、格納されている制御情報を用いて露光量や現像バイアス電圧などを適正な値に制御する。
【0046】
さらに、通紙センサ54、排紙センサ55の出力信号を受信して、ロック状態、ジャム発生の有無を検出する検出処理を行う。当該検出処理には、装置の電源がオンされた時点で実行される処理と、電源オン後の待機中およびジョブ実行中に実行される処理が含まれ、各処理がそれぞれのタイミングで個別に実行される。ここで、待機中とは、ジョブが実行可能なレディ状態でジョブの実行指示を待っている期間をいう。なお、ロック状態やジャム発生が検出されるとジョブの実行が停止される。
【0047】
記憶部64は、EEPROMなどの不揮発性の記憶手段であり、新品情報、ジャム/ロック情報を含む情報などが格納(記憶)されている。ここで、新品情報とは、自装置が新品(工場出荷後、未使用のもの)であるか否かを判断するための情報であり、本実施の形態では、装置の工場出荷時に新品を示す情報、例えば「0」を示すデータが書き込まれる。新品情報は、後述のように装置の電源がオンされる毎に読み出されるが、ユーザにより最初に電源がオンされたときに「0」が読み出されると、その時点で新品でないことを示す情報、例えば「1」を示すデータに書き換えられ、これ以降は「1」が維持される。
【0048】
ジャム/ロック情報とは、ジャムとロックの発生検出の有無を示す情報であり、後述のように未検出の場合には「0」を示す情報が書き込まれ、検出されるとその内容を示す情報として「1」〜「4」を示すデータが書き込まれる。なお、記憶部64には、ユーザにより登録されたユーザ情報、コピー累積枚数などの履歴情報なども記憶される。
タイマー65は、ジャム検出に用いられる。具体的には、ジョブ実行中に通紙センサ54からの出力信号をモニターして、搬送中のシートSの先端が検出位置S1を通過した時点(出力信号がLからHレベルに変化した時点)から計時を開始し、そのカウント値が所定時間(シートSの搬送方向長さを搬送速度で除した値+固定値)を超えた時点でLレベルの信号を受信していない場合、すなわち当該シートSが検出位置S1に存在したままになっている場合に、ジャム検出条件を満たしたとしてジャムを検出する。このジャム検出方法は、排紙センサ55にも同様に適用できる。なお、センサを用いてシートSのジャムを検出する方法自体は、公知であり、上記の方法に限られないことはいうまでもない。
【0049】
次に、CPU61によるロックとジャムの検出処理の内容を、具体的に図8〜図12を用いて説明する。
図8は、電源オン時点で実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず記憶部64に記憶されている装置状態情報を読み出す(取得する)(ステップS11)。
【0050】
読み出した情報に含まれる新品情報を参照して、自装置が新品であるか否かを判断する(ステップS12)。読み出した新品情報が「0」を示すデータである場合には、新品であると判断して(ステップS12で「YES」)、第1検出処理を実行し(ステップS13)、ステップS15に移る。一方、新品情報が「1」を示すデータである場合には、新品ではないと判断して(ステップS12で「NO」)、第2検出処理を実行し(ステップS14)、ステップS15に移る。
【0051】
図9は、第1検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず記憶部64に記憶されている新品情報を新品ではないことを示すデータ、ここでは「1」に書き換える(ステップS21)。これにより、次回以降に電源オン時点で当該処理が実行される際には、新品ではないと判断されて第2検出処理が実行されることになる。
【0052】
そして、通紙センサ54と排紙センサ55の現在の出力信号を受信(取得)する(ステップS22)。以下、両方のセンサをいうときには「両センサ」、いずれか一方を特定せずにいうときには「一方のセンサ」と略す。
両センサの出力信号が「H」レベルと判断すると(ステップS23で「YES」)、スキャナ部80がロック状態であるとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を、ロック状態を示すデータ、ここでは「3」に書き換えて(ステップS24)、リターンする。自装置が新品であるのに電源オン時点で検出位置S1、S2両方にシートSが存在している状態になっているということを想定できないからである。
【0053】
一方、両センサの出力信号が「H」レベルではなく(ステップS23で「NO」)、一方のセンサだけが「H」レベルと判断すると(ステップS25で「YES」)、当該センサの故障を検出し(ステップS26)、リターンする。また、両センサの出力が「L」レベルと判断すると(ステップS25で「NO」)、そのままリターンする。
図10は、第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0054】
同図に示すように、両センサの現在の出力信号を受信する(ステップS31)。両センサの出力信号が「H」レベルの場合には(ステップS32で「YES」)、前回の電源オフ時点においてジャムが検出されていたか否かを判断する(ステップS33)。
この判断は、読み出した装置状態情報に含まれるジャム/ロック情報を参照することにより行われる。すなわち、後述のようにジャム/ロック情報は、電源がオンされている状態において、検出位置S1でジャムが検出されると「1」を示すデータに、検出位置S2でジャムが検出されると「2」を示すデータに書き換えられ、詰まったシートSが取り除かれてジャムが解除されると「0」を示すデータに戻される。従って、例えばユーザがジャム解除前に電源をオフしてしまったような場合には、その後、電源がオンされると、ジャム/ロック情報はジャム検出を示すデータのままになっていることになり、当該情報を参照することでジャム検出されていたか否かを判断できる。
【0055】
ジャムが検出されていなかったことを判断すると(ステップS33で「NO」)、スキャナ部80のロック状態を検出したとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を「3」に書き換えて(ステップS34)、リターンする。このようにロック状態を検出するとしているのは、電源オフ時点でジャムが発生していなかったのに、電源オフ中に検出位置S1、S2両方にシートSが存在する状態になることを想定できないからである。
【0056】
一方、電源オフ時点でジャム検出されていた、すなわちジャム/ロック情報が「1」または「2」であることを判断すると(ステップS33で「YES」)、ロック状態とジャム継続の両方の可能性があることを検出したとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を「4」に書き換えて(ステップS35)、リターンする。
このように両方の可能性があるとしているのは、前回の電源オフ時点でジャムが発生しており、今回の電源オン時点で両センサの出力が「H」レベルであるということは、電源オン時までの間にジャムによるシートSが取り除かれなかった場合と、シートSは取り除かれたがユーザによりロック部材100が操作されてロック状態になってしまった場合の両方が考えられるからである。なお、この状態で電源がオフされた後、次に電源がオンされた時点でステップS33を実行する際に、ジャム/ロック情報が「1」または「2」でなくても「4」であればジャム状態であったとして、再度ステップS35を実行するようにしても良い。
【0057】
両センサの出力信号が「H」レベルではなく(ステップS32で「NO」)、通紙センサ54の出力信号だけが「H」レベルであると判断すると(ステップS36で「YES」)、検出位置S1におけるジャムを検出したとして、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を「1」に書き換えて(ステップS37)、リターンする。一方のセンサだけが「H」レベルということは、ロック状態ではあり得ないからである。
【0058】
通紙センサ54の出力信号が「L」レベルであり(ステップS36で「NO」)、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルであると判断すると(ステップS36で「NO」、S38で「YES」)、検出位置S2におけるジャムを検出したとしてジャム/ロック情報を「2」に書き換えて(ステップS39)、リターンする。両センサの出力が「L」レベルと判断すると(ステップS38で「NO」)、そのままリターンする。
【0059】
図8に戻り、ステップS15では、エラーが検出されたか否かを判断する。ここで、エラーとは、ジャム、ロック状態のことをいうが、上記ステップS26におけるセンサ故障も含むものとする。ジャム等の検出の有無は、記憶部64に記憶されているジャム/ロック情報を参照することにより判断される。例えば、ジャム/ロック情報が「0」を示すデータである場合には、エラーが検出されていないとされる。
【0060】
エラーが検出されていないと判断すると(ステップS15で「NO」)、通常の起動を許可して(ステップS16)、当該処理を終了する。これにより、例えばウォームアップなどが開始され、ジョブ実行可能な状態にされる。
一方、エラーが検出されていると判断すると(ステップS15で「YES」)、警告/復帰処理を実行する(ステップS17)。
【0061】
図11は、警告/復帰処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、ジャムやロック状態が検出されたとして、装置の稼動を停止する(ステップS51)。この稼動の停止とは、例えばジョブ実行中にローラ対51〜53などを回転駆動中であれば、その回転を停止させる。また、スキャンモータ89に駆動用電流の供給を開始しようとしている、または開始している場合にはその供給を停止させる。
【0062】
続いて、操作パネル6の表示部に警告メッセージを表示させる(ステップS52)。具体的には、例えばジャム/ロック情報が「1」の場合には、検出位置S1のところでジャムが発生していること、および詰まっているシートの除去を促す旨のメッセージが表示される。ユーザは、このメッセージを見て、ジャム発生を知ると共に詰まったシートSを取り除く操作を行うことができる。詰まったシートSが取り除かれると、通紙センサ54の出力信号が「H」から「L」レベルに変化することになる。
【0063】
また、例えばジャム/ロック情報が「3」の場合には、スキャナ部80のロック解除を促す旨のメッセージが表示される。ユーザは、このメッセージを見て、スキャナ部80がロック状態であることを知ると共にロック解除の操作(非ロック状態への切り換え)を行うことができる。ロックが解除されると、両センサの出力信号が略同時に「H」から「L」レベルに変化することになる。
【0064】
さらに、例えばジャム/ロック情報が「4」の場合には、ジャムとロックの両方の確認を促す旨のメッセージが表示される。なお、センサ故障の場合には、その旨のメッセージが表示される。これらメッセージのデータは、ROM62などに予め格納される。
両センサの出力信号を監視(モニター)して(ステップS53)、両センサの出力信号が共に「L」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS54)。「L」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS54で「NO」)、ジャム、ロック状態が継続しているとして、ステップS53に戻る。
【0065】
両センサの出力信号が共に「L」レベルに変化したことを判断すると(ステップS54で「YES」)、警告メッセージの表示を消すと共に(ステップS55)、ジャム/ロック情報を「0」に書き換えて(ステップS56)、エラー解除を行うと共に装置を復帰させて(ステップS57)、リターンする。この復帰とは、例えば電源オン時点でエラー検出された場合には、ステップS16と同様の起動を開始する。また、ジョブ実行の途中にジャム検出によりジョブが停止した場合には、残りのコピー等の動作を再開する。
【0066】
上記のように電源オフ時点における装置状態(新品、ジャム、ロック)を記憶しておくようにしたのは、次の理由による。すなわち、ロック検出と2箇所のジャム検出を2つの光学センサで兼用する構成なので、電源オン時点で両センサの出力信号を受信するだけでは、ロックなのかジャムなのかを区別することができない。
そこで、本実施の形態では、電源オフ時点の装置状態を示す情報を記憶しておくと共に、電源オフ時点の装置状態と、電源オン時点における両センサの出力信号と、これら双方から得られる検出結果とを予め決めておき、実際に電源がオンされた時点で、前回に電源オフされた時点の装置状態情報を参照情報として参照しつつ、今回の電源オン時点における両センサの出力信号から、双方に対応する検出結果を現在の装置状態として検出するようにしたものである。
【0067】
図12は、待機中/ジョブ実行中に実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。同図に示すように、両センサの出力信号を監視して(ステップS61)、両センサの出力信号が略同時に「H」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS62)。両センサの出力信号が略同時に「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS62で「YES」)、ロック状態に切り換えられたとしてジャム/ロック情報を「3」を示すデータに書き換えて(ステップS63)、警告/復帰処理を実行する(ステップS71)。この処理は、上記ステップS17の警告/復帰処理と同じ処理である。
【0068】
なお、両センサの出力信号が略同時に「H」レベルに変化する場合には、ロック状態への切換だけでなく、例えばジャムとロック状態の切換動作とが同時に発生した場合も含まれるが、このような場合はおよそ想定できないため、本実施の形態では、ロック状態への切換が行われたとして判定するようにしている。
両センサの出力信号が「H」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS62で「NO」)、ジョブ実行中であるか否かを判断する(ステップS64)。ここで、ジョブ実行中ではない、すなわち待機中であることを判断すると(ステップS64で「NO」)、ステップS61に戻る。
【0069】
ジョブ実行中であることを判断すると(ステップS64で「YES」)、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS65)。搬送中のシートSが検出位置S1に到達していない、または通過後の場合には、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化していない、すなわち「L」レベルと判断し(ステップS65で「NO」)、ステップS66に移る。ステップS66において、上記のジャム検出条件を満たすか否かを判断する。この場合、ジャム検出条件を満たさないとして(ステップS66で「NO」)、ステップS61に戻る。
【0070】
ルーチンが一巡して、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS65で「YES」)、ステップS68に移る。ステップS68では、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化してから一定時間経過後に排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したか否かを判断する。
排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化していない、すなわち「L」レベルのままであると判断すると(ステップS68で「NO」)、ステップS66に移る。この場合、シートSの先端が通紙センサ54の検出位置S1を通過したが排紙センサ55の検出位置S2に到達していないことになり、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化してから所定時間以内に「L」レベルに戻らないことになるので、ジャム検出条件を満たしたとして(ステップS66で「YES」)、ジャム検出としてジャム/ロック情報を「1」に書き換えて(ステップS67)、ステップS71に移る。
【0071】
一方、通紙センサ54の出力信号が「H」レベルに変化してから一定時間経過後に排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS68で「YES」)、ステップS69に移る。ステップS69では、ジャム検出条件を満たすか否かを判断する。ここでは、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化してから所定時間以内に「L」レベルに戻るとジャムが発生しておらず、「H」レベルのままになっている場合にジャム発生とする。
【0072】
ジャム検出条件を満たさない場合には(ステップS69で「NO」)、ステップS61に戻る。ジャム検出条件を満たす場合には(ステップS69で「YES」)、ジャム/ロック情報を「2」に書き換えて(ステップS70)、ステップS71に移る。
ステップS71の警告/復帰処理では、上記のように検出されたエラーの警告メッセージの表示等が行われ、ユーザによる解除操作が行われると装置が復帰状態に戻る。
【0073】
以上、説明したように本実施の形態では、元々、装置に配されているジャム検出用の2つの光学センサ(通紙センサ54と排紙センサ55)をスキャナ部80のロック検出に兼用する構成としたので、ロック検出のための新たなセンサを設けなくても、スキャナ部80のロックと、検出位置S1のジャムと、検出位置S2のジャムの3つを検出することができ、新たなセンサを設けると共に制御プリント板に当該センサ用の入力ポートを別途設ける構成をとるよりも、コスト低減を図ることができる。
【0074】
また、待機中とジョブ実行中における検出処理では、両センサの出力信号がレベル変化するタイミングと、そのタイミングでレベルが変化した場合の検出結果を予め決めておき、待機中などに実際に両センサの出力信号を監視して、各信号のレベルの変化タイミングに対応する検出結果を現在の装置状態として検出する方法をとっている。
この検出方法によれば、電源オン時点で実行される検出処理のように前回の電源オフ時点の装置状態を記憶しておく必要がないので、例えば待機中やジョブ実行中にロック状態への切り換えを検出するだけの構成をとる場合には、記憶手段を必要としない分、よりコストの低減を図ることができる。
【0075】
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、ジャム検出用の2つの光学センサをロック検出に兼用するとしたが、本実施の形態2では、ジャム検出用の1つの光学センサと外装カバーの開閉を検出する1つの光学センサをロック検出に兼用するとしており、この点が異なっている。以下、実施の形態1と異なる部分を中心に説明し、共通する部分についてはその説明を省略する。また、実施の形態1と同じ部材については同符号を付すこととする。
【0076】
図13は、本実施の形態に係る検出機構200の構成例を示す斜視図である。
同図に示すように、検出機構200は、実施の形態1のプレート102、揺動レバー104、排紙センサ55などに加えて、開閉センサ201、揺動レバー202、203などを備えている。なお、実施の形態1の揺動レバー103、通紙センサ54については含まれない。
【0077】
開閉センサ201は、排紙センサ55と同様の透過型の光学センサであり、外装カバーの開閉を検出するためのものである。外装カバーとしては、例えば装置前側や横側などに位置し、ジャムにより詰まったシートSを取り除くためにユーザにより開閉されるカバーとすることができる。本実施の形態では、イメージリーダ部2が背面側に位置するX軸と平行な揺動軸(不図示)によりプリンタ部3に軸支され、この揺動軸を中心に上下方向に揺動することで開閉可能な構成になっており、このイメージリーダ部2が外装カバーの一つとして機能する構成になっている。ユーザは、水平搬送部50でジャムが発生した場合に、イメージリーダ部2を開放状態にして水平搬送部50に手を差し入れることにより、ジャムにより詰まったシートを取り除くことができる。以下、外装カバーの開閉という。
【0078】
揺動レバー202は、揺動レバー104と略同様の形状であり、コイルバネ205によりD方向に回動付勢されつつ、当接片213がイメージリーダ部2に設けられた移動片210に当接することにより静止するようになっている。この移動片210は、外装カバーが開放される際に外装カバーと共に上方向(G方向)に移動し、閉じられる際に下方向に移動するようになっている。
【0079】
揺動レバー203は、コイルバネ206によりF方向に回動付勢されつつ、当接片223がプレート102の突起121に当接することにより静止するようになっている。
このような構成において、非ロック状態からロック状態に切り換えられ、プレート102がX方向にスライドすると、揺動レバー104がD方向に、揺動レバー203がF方向に略同時に回動して、遮光片142、222が排紙センサ55、開閉センサ201の発光部と受光部の間に介挿されて両センサにおいて遮光状態になる。このとき両センサから略同時にHレベルの信号が出力される。ロック状態から非ロック状態に戻されると、プレート102がX´方向にスライドして、揺動レバー104、203が上記とは逆方向に回動し、両センサにおいて透光状態に戻る。
【0080】
一方、外装カバーが開放されると、その開放により移動片210が上方向に移動する分だけ、揺動レバー202がD方向に回動して、遮光片212が開閉センサ201の発光部と受光部の間に介挿されることにより遮光状態になる。外装カバーが閉じられると、揺動レバー202がD方向の逆方向に回動して、遮光片212が開閉センサ201の発光部と受光部の間から外れて透光状態に戻る。
【0081】
開閉センサ201は、非ロック状態かつ外装カバーが閉状態の場合に透光状態になり、ロック状態と外装カバーの開状態の少なくとも一方の場合に遮光状態になることになる。
図14は、本実施の形態に係る第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。当該第2検出処理では、実施の形態1に係る第2検出処理のステップS35〜S37に代えてステップS201〜S203が実行される点が異なる。
【0082】
すなわち、両センサ(排紙センサ55と開閉センサ201)の出力信号が「H」レベルでない場合には(ステップS32で「NO」)、開閉センサ201の出力信号だけが「H」レベルであるか否かを判断する(ステップS202)。ここで、開閉センサ201の出力信号だけが「H」レベルと判断すると(ステップS202で「YES」)、外装カバーが開けられたことを検出したとして、ジャム/ロック情報を「5」に書き換えて(ステップS203)、リターンする。ここで、ジャム/ロック情報が「5」とは、外装カバーが開いていることを示している。
【0083】
一方、両センサの現在の出力信号が「H」レベルであり(ステップS32で「YES」)、前回の電源オフ時点でジャム状態であった場合には(ステップS33で「YES」)、ロック状態であること、およびジャムが継続すると共に外装カバーも開いていることの両方の可能性があるとして、ジャム/ロック情報を「4」に書き換えて(ステップS202)、リターンする。ジャムが解除されていないのに電源がオフされ、その後、電源オン時点で両センサの出力が「H」レベルであるということは、電源オン時までの間にユーザが外装カバーを開けてジャムを解除しようとしたが、ジャムによるシートSを除去できず、外装カバーも開けられたままになっている場合と、シートSが除去されて外装カバーも閉じられたがユーザによりロック部材100が操作されてロック状態になってしまった場合の両方が考えられるからである。
【0084】
図15は、本実施の形態に係る待機中/ジョブ実行中に実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。当該処理では、実施の形態1に係る検出処理のステップS64〜S70に代えてステップS210〜S215が実行される点が異なるので、その異なる部分を抜き出して示している。
すなわち、両センサの出力信号がHレベルに変化せず(ステップS62で「NO」)、開閉センサ201の出力だけが「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS210で「YES」)、ジャム/ロック情報を「5」に書き換えて(ステップS211)、ステップS212に移る。一方、開閉センサの出力が「H」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS210で「NO」)、そのままステップS212に移る。
【0085】
ステップS212では、ジョブ実行中であるか否かを判断する。ジョブ実行中ではないことを判断すると(ステップS212で「NO」)、そのままステップS61に戻る。
ジョブ実行中であることを判断すると(ステップS212で「YES」)、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したか否かを判断する(ステップS213)。排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化していないことを判断すると(ステップS213で「NO」)、ステップS61に戻る。
【0086】
ルーチンが一巡して、排紙センサ55の出力信号が「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS213で「YES」)、上記のジャム検出条件を満たすか否かを判断する(ステップS214)。ジャム検出条件を満たさない場合には(ステップS214で「NO」)、ジャムが発生していないのでステップS61に戻る。ジャム検出条件を満たす場合には(ステップS214で「YES」)、ジャム検出としてジャム/ロック情報を「2」に書き換えて(ステップS215)、ステップS71に移る。ステップS71の警告/解除処理では、例えばジャム/ロック情報が「5」の場合には、外装カバーを閉じることをユーザに促す旨のメッセージが表示される。
【0087】
なお、ユーザによりロック状態への切換と外装カバーの開放の各動作が同時に実行されることは想定できないため、本実施の形態でも実施の形態1と同様に、両センサの出力が略同時に「H」レベルに変化したことを判断すると(ステップS62で「YES」)、ロック状態を検出(ステップS63)することとしている。
このように本実施の形態では、元々、装置に配されているジャム検出用の排紙センサ55と、外装カバーの開閉検出用の開閉センサ201をスキャナ部80のロック検出に兼用する構成としたので、実施の形態1と同様に、ロック検出のための新たなセンサを設けなくても、スキャナ部80のロックと、検出位置S2のジャムと、外装カバー開閉の3つを検出することができ、コスト低減を図れる。なお、通紙センサ54については、本実施の形態ではロック検出と兼用されず、通常のジャム検出用のセンサとして用いられ、検出位置S1のジャムは、公知の検出処理により通紙センサ54の出力信号に基づいて検出されることになる。
【0088】
<実施の形態3>
上記実施の形態では、2つの光学センサをロック検出に兼用するとしたが、本実施の形態では、1つの光学センサをジャムとロック検出に兼用するとしており、この点が異なっている。
図16は、本実施の形態に係る検出機構300の要部を示す斜視図である。
【0089】
同図に示すように検出機構300は、光学センサとしての排紙センサ301と、アクチュエータ302と、プレート303などを備える。
排紙センサ301は、実施の形態1の排紙センサ55に相当するものである。
プレート303は、実施の形態1のプレート102に相当するものであり、本実施の形態3では、長手方向の一方端側に長孔320が穿設されていると共に、他方端側の下面に2つの突起321、322が設けられている。プレート303は、X方向に平行な方向に移動自在に支持されており、非ロック状態とロック状態の切り換えにより、ロック部材100が回転され、その回転駆動力がロック部材のピン114を介して伝わると、その回転に応じた距離だけ移動する。
【0090】
アクチュエータ302は、支軸311と、アーム312と、遮光片313、314と、アーム315を備える。アーム312、315、遮光片313、314は、支軸311に固定されている。支軸311は、図示しない支持部材によりE方向とその逆方向に回転自在に支持されており、アクチュエータ302をE方向に回動付勢するためのコイルバネ316が挿入されている。
【0091】
アクチュエータ302は、非ロック状態とロック状態の切り換わりに連動して回転し、その姿勢が変化する。この姿勢変化の様子を具体的に図17を用いて説明する。
図17(a)、(b)は、非ロック状態におけるアクチュエータ302の姿勢を示す正面図であり、図17(c)は平面図である。図17(d)はロック状態におけるアクチュエータ302の姿勢を示す正面図であり、図17(e)は平面図である。なお、両平面図においては、アクチュエータ302とプレート303の突起321、322との位置関係を判り易くするために、プレート303を透視して示すと共に突起321、322が位置する部分を破線で示している。
【0092】
図17(a)に示すように、シートSが搬送路39上の検出位置S2に存在しないときには、遮光片314が突起321に当接して静止し、このときアーム312が垂下する状態になると共に、遮光片313が排紙センサ301の発光部と受光部の間に介在する遮光状態になる。排紙センサ301は、透光状態で「L」、遮光状態で「H」レベルの信号を出力するので、図17(a)の状態では、「H」レベルの信号が出力される。
【0093】
シートSが搬送路39を搬送され、検出位置S2に至ると、図17(b)に示すようにアーム312がシートSに押され、その押された分だけコイルバネ316の付勢力に抗して矢印H方向に回転する。このとき、遮光片314が突起321から離間すると共に遮光片313が排紙センサ301の発光部と受光部の間から外れて透光状態になり、排紙センサ301の出力信号は、「H」から「L」レベルに変化する。なお、シートSが検出位置S2を通過すると、図17(a)の状態に戻る。
【0094】
従って、シートSが詰まらずに検出位置S2を通過すれば、排紙センサ301の出力信号は、「H」→「L」→「H」レベルの順に、搬送速度とシートSの搬送方向長さの関係で決まるタイミングで変化する。一方、ジャムによりシートSが検出位置S2で詰まると、「H」→「L」レベルに変化した後、「L」レベルの状態が継続することになる。
図17(a)の非ロック状態(シートなし)からロック状態に切り換えられると、図17(d)に示すようにプレート303がX方向に移動して、この移動に伴って突起321によるアクチュエータ302の回転規制が解除されて、アクチュエータ302がコイルバネ316の付勢力によりE方向に回り、アーム315が突起322に当接する位置で静止する。この切り換え際に、遮光片313と314が順に排紙センサ301の発光部と受光部の間を通過するので、排紙センサ301において遮光、透光、遮光、透光の順に状態が変わり、排紙センサ301の出力信号は、「H」→「L」→「H」→「L」レベルの順に、ユーザによるロック部材100の回転操作の速度に応じたタイミングで変化することになる。
【0095】
このように本実施の形態では、排紙センサ304の出力レベル変化の回数がジャムの場合には1回、ロックの場合には3回と異なるようになっており、この回数の相違からジャムとロック状態を区別して検出するようにしている。
以下、本実施の形態に係る検出処理の内容を説明するが、本実施の形態では電源オン時点での検出処理は実行されず、待機中とジョブ実行中の検出処理が実行される。
【0096】
図18は、本実施の形態に係る待機中とジョブ実行中における検出処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、排紙センサ301の出力信号を監視して(ステップS301)、待機中でありジョブ実行中でなければ(ステップS302で「NO」)、センサ出力がH→L→H→Lレベルの順に3回変化したか否かを判断する(ステップS303)。この変化回数のカウントは、例えばHとLのレベル変化が検出される毎にフラグを内部メモリ(不図示)に記憶しておき、そのフラグの数をカウントすることなどにより行われる。
【0097】
レベル変化がないことを判断すると(ステップS303で「NO」)、ステップS301に戻る。一方、レベル変化が3回あったことを判断すると(ステップS303で「YES」)、ユーザによりロック状態に切り換えられたことを検出して(ステップS304)、警告/復帰処理を実行する(ステップS309)。
この警告/復帰処理は、実施の形態1の警告/復帰処理(ステップS17)と同様であるが、本実施の形態3では、排紙センサ301が1つの構成なので、ロック解除を促す警告メッセージの表示後(ステップS52)、排紙センサ301の出力信号が「H」レベルに戻ると(ステップS54で「YES」)、ユーザによる解除操作が行われたとして、警告メッセージの消去(ステップS55)以下の処理が実行される。
【0098】
ジョブ実行中の場合には(ステップS302で「YES」)、通紙予定時期であるか否かを判断する(ステップS305)。通紙予定時期とは、搬送中のシートSの先端が検出位置S2に到着するであろう時期のことであり、予め搬送速度などから求められる。
通紙予定時期ではないことを判断すると(ステップS305で「NO」)、ステップS303に移る。ジョブ実行中であるが、仮にユーザの誤操作によりロック状態に切り換えられたような場合には、ステップS303、S304においてロック状態が検出される。ロック状態が検出されると、当該ジョブは警告/解除処理(ステップS309)において中断されることになる。
【0099】
通紙予定時期に至っていることを判断すると(ステップS305で「YES」)、センサ出力がHからLレベルに変化したか否かを判断する(ステップS306)。通常は、この時点でレベル変化があるはずであるが、シートとローラのすべりなどによりシートSの検出位置S2への到達時期が予定よりも多少遅れる場合があり、この場合にはレベル変化の時期も遅れることになる。
【0100】
レベル変化したことを判断できない場合には(ステップS306で「NO」)、ステップS303に移る。センサ出力がH→L→H→Lレベルに変化せず(ステップS303で「NO」)、ステップS301に戻ってルーチンが一巡し、再度ステップS306に戻ったときにセンサ出力がHからLレベルに変化したことを判断すると(ステップS306で「YES」)、その出力変化時点から所定時間以内にHレベルに再度変化したか否かを判断する(ステップS307)。この所定時間とは、上記したようにシートSの搬送方向長さを搬送速度で除した値+固定値で表される時間であり、この判断とは、上記ジャム検出条件を満たすか否かの判断に相当する。
【0101】
所定時間以内にHレベルに変化したことを判断すると(ステップS307で「YES」)、ジャム検出条件を満たしていない、すなわちジャムが発生していないとしてステップS301に戻る。一方、所定時間以内にHレベルに変化せずLレベルのまま(レベル回数が1回)であることを判断すると(ステップS307で「NO」)、ジャム検出条件を満たした、すなわちジャム発生を検出して(ステップS308)、警告/復帰処理(ステップS309)に移る。
【0102】
警告/復帰処理では、ロック検出の場合と同様に、詰まったシートの除去を促す警告メッセージの表示後、排紙センサ301の出力信号が「H」レベルに戻ると、ユーザによる解除操作が行われたとして警告メッセージの消去以下の処理が実行される。
以上説明したように、本実施の形態では、排紙センサ301を1つだけ用いてジャムとロックの両方を検出できるようにしたので、別に新たにロック検出用のセンサを配置する必要がなく、コスト低減を図れる。なお、上記では、ロック状態の検出後、排紙センサ301の出力信号がHレベルに戻ると、ロックが解除されたと判断するようにしたが、ロック解除の判断方法は、これに限られない。例えば、センサ出力のレベル変化がロック検出のときの逆順、すなわちL→H→L→Hレベルの順に変化した場合にロックが解除されたと判断する方法をとることもできる。
【0103】
なお、上記では、センサ出力がH→Lの変化だけの場合にジャム検出、H→L→H→Lの順に変化した場合にロック検出を行うとしたが、これに限られない。HとLを全て反転させるとしても良い。レベルの変化回数の差分からジャムとロックを区別して検出できる構成であれば良く、アクチュエータ302の形状等が上記のものに限られることもない。また、レベルの変化の回数も上記に限られない。例えば、ロック検出の回数がジャム検出の回数よりもさらに多くなるようにアクチュエータの形状を工夫するとしても良い。
【0104】
例えば、待機状態において遮光片314が排紙センサ301の発光部と受光部の間の遮光位置に存し、シート検出時には図17のH方向に回転することにより遮光片313が遮光位置まで移動して遮光→透光→遮光の順に状態が変化すると共に、ロック状態への切換時にはE方向に回転することにより遮光位置にある遮光片314が遮光位置から脱し、遮光→透光の順に切り換わる構成をとれば、状態変化により信号レベルの変化回数がシート検出とロック切換とで異なることになり、その回数に応じてシートとロック状態の検出を行うとすることもできる。
【0105】
すなわち、検出手段としては例えば、光学センサと、前記光学センサの光路を開閉するための第1遮光片と第2遮光片と、搬送路上を通過するシートと当接する第1アームと、ロック状態に切り換えられる際のロック部材に係合する第2アームと、回転自在に支持され、前記第1遮光片、第2遮光片、第1アーム、第2アームをそれぞれが回転軸方向に直交する方向に放射状に伸びるようにした状態で保持する支持軸と、を備え、前記光学センサは、前記光路の開閉により第1と第2信号を交互に変化させて出力し、前記第1遮光片と第2遮光片は、前記支持軸の回転方向に互いに所定角をなすように当該支持軸に取着されており、前記光路は、前記第1と第2遮光片の少なくとも一方の遮光片により、前記第1アームが前記シートと当接することにより前記支持軸が第1方向に第1角度だけ回転するとその間にM(1以上の整数)回開閉され、前記第2アームが前記ロック部材に係合することにより前記支持軸が前記第1方向の逆の第2方向に第2角度だけ回転するとその間に前記Mとは異なるN(1以上の整数)回開閉されることを特徴とすることができる。ここで、開閉の回数とは、開から閉状態に変わるとき、閉から開状態に変わるときのそれぞれを1回とカウントすることができる。また、第2アームがロック部材に係合するとは、直接係合すること、他の部材を介して係合することを含む意味で用いられる。
【0106】
本発明は、画像形成装置に限られず、ジャム/ロックの検出方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0107】
〔変形例〕
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態1では、2つの光学センサを用いてロック、検出位置S1のジャム、検出位置S2のジャムの3つを検出するとしたが、いずれか一方のセンサだけを用いてジャムとロックの2つを検出する構成とすることもできる。例えば、通紙センサ54を用いる場合には、揺動レバー104が不要になり、検出処理(図9〜図12)においては、両センサを通紙センサ54と読み換えるようにすれば良い。
【0108】
具体的には、第1検出処理(図9)では、ステップS22で通紙センサ54の出力信号を受信し、ステップS23で通紙センサ54の出力がHレベルであるか否かを判断する。そして、通紙センサ54の出力がHレベルであれば、ステップS24においてジャム/ロック情報を「3」に書き換える(ロック検出)。新品のときに通紙センサ54の出力がHレベルということは、ロック状態になっていると判断できるからである。
【0109】
第2検出処理(図10)では、ステップS32で通紙センサ54の出力信号がHレベルであると判断し、ステップS33で電源オフ時点においてジャム状態でないと判断すると、ステップS34でジャム/ロック情報を「3」に書き換える。電源オフ時点でジャムが発生していないのに、次に電源オンするまでの間にシートSが詰まる状態になることが想定できないからである。なお、通紙センサ54の出力がLレベルであれば(ステップS32で「NO」)、そのままリターンする。
【0110】
待機中/ジョブ実行中の検出処理(図12)では、ステップS62において待機中(通紙予定時期ではない期間)に通紙センサ54の出力がHレベルに変化すると、ステップS63でジャム/ロック情報を「3」に書き換えるとすることができる。
(2)上記実施の形態1では、水平搬送部50の通紙センサ54と排紙センサ55を用いるとしたが、これらに限られず、搬送路39に配される別のジャム検出用のセンサを用いるとしても良い。また、実施の形態2では、ジャム検出用の排紙センサ55と、外装カバーの開閉検出用の開閉センサ201を用いるとしたが、これらに限られることもない。
【0111】
さらに、ロック部材100と検出機構101、200についても、スキャナ部80をロックと非ロック状態に切り換え可能であり、その切り換え動作に連動して光学センサの遮光/透光状態を切り換えることが可能な構成であれば良く、形状、大きさ、構成、部材等が上記のものに限られることはない。また、ロック部材100によるロック状態と非ロック状態の切換の際に両センサの出力レベル(H/L)が略同時に変わる構成としたが、例えば一定の時間差をもって変わる構成であっても構わない。この場合には、当該一定の時間差をもって予め決められた順に両センサの出力レベルが変わったときに、ロックと非ロックの状態の切換が行われたと判断することができる。
【0112】
また、検出器としては、透過型の光学センサに限られず、検出対象の状態(シート存在/不存在、スキャナロック/非ロックなどの状態)に応じて異なる第1信号と第2信号を出力するものであれば、反射型の光学センサ、光学センサ以外の検出器、例えばリードスイッチなどを用いるとしても良い。
(3)上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をタンデム型カラーデジタル複写機に適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、スキャナ部を移動させて原稿を読み取る構成の画像形成装置一般、例えばFAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。また、装置に元々備えられている記憶部に装置状態情報を記憶(格納)するとしたが、これに限られない。例えば、新たな検出手段を配置するよりもコストを抑制できるような場合などには、装置状態情報を記憶するための記憶部を設けるとすることも可能である。
【0113】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、スキャナ部を移動させて原稿を読み取る構成の画像形成装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】実施の形態1に係る複写機の概略構成を示す図である。
【図2】複写機のスキャナ部のロック等を検出する検出機構の概略拡大図である。
【図3】検出機構を図2の矢印A方向から見たときの分解斜視図である。
【図4】非ロック状態とロック状態でのロック部材の姿勢を図3のX方向から見たときの側面図である。
【図5】検出機構におけるアームとプレートを図3のP方向から見たときの平面図である。
【図6】揺動レバーを図3のY方向から見たときの拡大正面図である。
【図7】複写機の制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】電源オン時点で実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】第1検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図10】第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】警告/復帰処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図12】待機中/ジョブ実行中に実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る検出機構の構成例を示す斜視図である。
【図14】実施の形態2に係る第2検出処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態2に係る待機中/プリント中に実行される検出処理の一部の内容を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態3に係る検出機構の要部を示す斜視図である。
【図17】実施の形態3に係るアクチュエータの、ロック状態と非ロック状態における姿勢を示す正面図および平面図である。
【図18】実施の形態3に係る待機中とジョブ実行中における検出処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
1 複写機
2 イメージリーダ部
3 プリンタ部
54 通紙センサ
55、301 排紙センサ
60 制御部
64 記憶部
80 スキャナ部
100 ロック部材
101、200、300 検出機構
201 開閉センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、
前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、
前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが搬送路上の検出位置に存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記検出位置に存在していないときに第2信号を出力する検出手段と、
前記ロック状態の有無を判定するために前記検出手段の出力信号と共に参照されるべき参照情報を取得する取得手段と、
前記検出手段の出力信号と前記取得手段により取得された参照情報から前記スキャナ部がロック状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によりロック状態にあることが判定されると、その旨をユーザに警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
自装置の電源オフ時点における自装置の状態を示す装置状態情報を記憶している記憶部を備え、
前記参照情報は、前記装置状態情報のことであり、
前記取得手段は、
自装置の電源がオンされると前記記憶部から前記装置状態情報を取得し、
前記判定手段は、
自装置の電源オン時点における前記検出手段の出力信号と前記読み出された装置状態情報とから前記判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置状態情報は、自装置が新品であるか否かを示す情報であり、
前記判定手段は、
自装置の電源オン時点で自装置が新品かつ前記検出手段の出力信号が第1信号の場合にロック状態と判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成中に前記検出手段の第1信号と第2信号の切り換わりタイミングに応じて当該画像形成に際に搬送されるシートのジャムを検出するジャム検出手段を備え、
前記装置状態情報は、
前記電源オフ時点に前記ジャムの検出状態であったことを示すジャム情報であり、
前記判定手段は、
自装置の電源オン時点において、前記ジャム情報が取得されると共に前記検出手段の出力信号が第1信号である場合に、ロック状態である旨の判定に加えて当該ジャムが継続している可能性があると判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが前記搬送路上における前記検出位置とは別の検出位置にシートが存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記別の検出位置に存在していないときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、
前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、
前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、
前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、
前記判定手段は、
前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送路で詰まったシートの除去の際に開閉されるカバーと、
前記スキャナ部がロック状態のときと前記カバーが開放されているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記カバーが閉じているときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、
前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、
前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、
前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、
前記判定手段は、
前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、
前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、
搬送されるシートが搬送路上における検出位置に到達する前、通過中、通過後の各順に第1信号と第2信号を交互に変化させて出力し、前記スキャナ部が非ロック状態からロック状態に切り換えられる際に、その開始から終了までの間に第1信号と第2信号を前記シート検出時の変化回数と異なる回数で交互に変化させて出力する検出手段と、
前記検出手段の出力信号を監視し、その信号変化の回数から前記検出位置におけるシートのジャムとロック状態の有無を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、
前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、
前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが搬送路上の検出位置に存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記検出位置に存在していないときに第2信号を出力する検出手段と、
前記ロック状態の有無を判定するために前記検出手段の出力信号と共に参照されるべき参照情報を取得する取得手段と、
前記検出手段の出力信号と前記取得手段により取得された参照情報から前記スキャナ部がロック状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によりロック状態にあることが判定されると、その旨をユーザに警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
自装置の電源オフ時点における自装置の状態を示す装置状態情報を記憶している記憶部を備え、
前記参照情報は、前記装置状態情報のことであり、
前記取得手段は、
自装置の電源がオンされると前記記憶部から前記装置状態情報を取得し、
前記判定手段は、
自装置の電源オン時点における前記検出手段の出力信号と前記読み出された装置状態情報とから前記判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置状態情報は、自装置が新品であるか否かを示す情報であり、
前記判定手段は、
自装置の電源オン時点で自装置が新品かつ前記検出手段の出力信号が第1信号の場合にロック状態と判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成中に前記検出手段の第1信号と第2信号の切り換わりタイミングに応じて当該画像形成に際に搬送されるシートのジャムを検出するジャム検出手段を備え、
前記装置状態情報は、
前記電源オフ時点に前記ジャムの検出状態であったことを示すジャム情報であり、
前記判定手段は、
自装置の電源オン時点において、前記ジャム情報が取得されると共に前記検出手段の出力信号が第1信号である場合に、ロック状態である旨の判定に加えて当該ジャムが継続している可能性があると判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記スキャナ部がロック状態のときと前記シートが前記搬送路上における前記検出位置とは別の検出位置にシートが存在しているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記シートが前記別の検出位置に存在していないときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、
前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、
前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、
前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、
前記判定手段は、
前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送路で詰まったシートの除去の際に開閉されるカバーと、
前記スキャナ部がロック状態のときと前記カバーが開放されているときの少なくとも一方のときに第1信号を出力し、前記スキャナ部が非ロック状態かつ前記カバーが閉じているときに第2信号を出力する別の検出手段を備え、
前記スキャナ部がロック状態に切り換えられると、前記検出手段と前記別の検出手段から略同時に第1信号が出力されるように構成されており、
前記参照情報は、前記別の検出手段の出力信号であり、
前記取得手段は、前記別の検出手段からの出力信号を取得し、
前記判定手段は、
前記検出手段と前記別の検出手段双方から略同時に第1信号が出力された場合にロック状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
スキャナ部を移動させて原稿の画像を読み取るイメージリーダ部と、イメージリーダ部で読み取られた画像データに基づいて、搬送されるシート上に画像を形成するプリンタ部を有する画像形成装置であって、
前記スキャナ部を移動できないようにロックするロック状態と当該ロックを解除して移動自在にする非ロック状態のいずれかにユーザの操作により切り換えるロック部材と、
搬送されるシートが搬送路上における検出位置に到達する前、通過中、通過後の各順に第1信号と第2信号を交互に変化させて出力し、前記スキャナ部が非ロック状態からロック状態に切り換えられる際に、その開始から終了までの間に第1信号と第2信号を前記シート検出時の変化回数と異なる回数で交互に変化させて出力する検出手段と、
前記検出手段の出力信号を監視し、その信号変化の回数から前記検出位置におけるシートのジャムとロック状態の有無を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−251462(P2009−251462A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101801(P2008−101801)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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