説明

画像形成装置

【課題】過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目を簡易に選択操作することができる。
【解決手段】表示制御部77は、ルートガイドキー81が操作された後、初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたとき、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、タッチパネル部53の表示画面上に表示させる制御を行う。これによって、ユーザが、所要の機能項目に関係すると見当をつけた類似機能項目を操作すると、この類似機能項目に係る選択操作経路の案内画面が、タッチパネル部53の表示画面上に表示されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機を含む画像形成装置に係り、特に、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目を簡易に選択操作可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、ファクシミリ、スキャナ、並びにプリンタ等の諸機能を併せ持つ、いわゆるMFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる画像形成装置が提供されている。かかるMFPでは、ユーザの多種多様なニーズに応えるために、多機能化が進展している。また、かかる多機能化に伴って、多彩な機能を実現するための項目の数も増加の一途をたどっている。しかし、操作パネルの表示画面に係るスペースの拡充は、多機能化の進展に追従できていないのが実情である。
【0003】
そこで、限られたスペースを効率的に活用するために、過去の操作履歴に基づき頻用されると目される機能項目を選択的に操作パネルの表示画面上に表示するようにした簡易表示モードが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る従来技術では、初めて利用する機能項目など、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合に、その選択操作の煩雑さを軽減することは出来ない。
【特許文献1】特開2007−196387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、従来技術では、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合に、その選択操作の煩雑さを軽減することは出来なかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目を簡易に選択操作可能な画像形成装置を得ることを目的として、各種の機能項目を含む初期画面を表示画面上に表示するための表示部と、所要の機能項目に係る選択操作経路の案内を望む際に操作されるルートガイドキーと、前記ルートガイドキーが操作された後、前記初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたとき、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、前記表示部の表示画面上に表示させる制御を行う表示制御部と、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る画像形成装置では、表示制御部は、前記ルートガイドキーが操作された後、前記初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたとき、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、前記表示部の表示画面上に表示させる制御を行う。これによって、ユーザが、所要の機能項目に関係すると見当をつけた類似機能項目を操作すると、この類似機能項目に係る選択操作経路の案内画面が、表示部の表示画面上に表示されることになる。従って、ユーザは、前記類似機能項目に係る選択操作経路の案内画面を視ることを通じて、所要の機能項目に係る選択操作経路を認識することが可能となる結果として、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目を簡易に選択操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目を簡易に選択操作可能にするといった目的を、前記ルートガイドキーが操作された後、前記初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたとき、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、前記表示部の表示画面上に表示させる制御を行う表示制御部により実現した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
[画像形成装置周辺の概略構成]
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図、図2は、同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【0011】
本装置は、例えば、コピージョブ、Fax送信ジョブ、印刷ジョブ、又はネットワーク送信(メール送信やデータ送信)ジョブを含む諸機能が利用可能であり、マイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等から構成される主制御部11によって制御される。この主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、本装置は、スキャナ部21、画像処理部31、エンジン部41、操作パネル部51、ファクシミリ通信部61、HDD(ハードディスクドライブ)63、ネットワークI/F(インタフェース)部65、並びに、ICカード通信部67を備える。
【0012】
主制御部11は、スキャナ機能を実現するための動作制御を行うスキャナコントローラ13と、ファクシミリ機能を実現するための動作制御を行うファクシミリコントローラ15、プリンタ機能を実現するための動作制御を行うプリンタコントローラ17、並びに、コピー機能を実現するための動作制御を行うコピーコントローラ19を内蔵し、本装置全体の動作を統括制御する。
【0013】
スキャナ部21は、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ23及びCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサー25を含む。スキャナ部21は、画像照射ランプ23により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサー25で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31へ出力する。
【0014】
画像処理部31は、補正部33、画像加工部35及び画像メモリ37を含む。画像処理部31は、スキャナ部21で読み取られた画像データを必要に応じて補正部33及び画像加工部35により処理し、処理された画像データを画像メモリ37に記憶したり、エンジン部41、ファクシミリ通信部61等へ出力する。補正部33は、スキャナ部21で読み取られた画像データに対してレベル補正、Y補正等の所定の補正処理を行う。画像加工部35は、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。
【0015】
エンジン部41は、図示しない給紙カセットや給紙ローラ等から構成される用紙搬送部43、図示しない感光体ドラム、露光装置、現像装置等から構成される画像形成部45、図示しない転写ローラ等から構成される転写部47、及び図示しない定着ローラ等から構成される定着部49を含む。エンジン部41は、スキャナ部21で読み取られた画像データ、ネットワークI/F部65を介してLAN(Local Area Network)によりクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等から送信された画像データ、ファクシミリ通信部61を用いて外部のファクシミリ装置等から受信したファクスデータ等の画像データを用いて画像を用紙に印刷する。具体的には、用紙搬送部43は用紙を画像形成部45へ搬送し、画像形成部45は上記の画像データに対応するトナー像を形成し、転写部47はトナー像を用紙に転写し、定着部49はトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
【0016】
操作パネル部51は、図1及び図2に示すように、タッチパネル部53及び操作キー部55を含む。操作パネル部51は、ユーザがスキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作情報を主制御部11に与える。
【0017】
本発明において表示部として機能するタッチパネル部53は、タッチパネルとカラーLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成され、種々の操作画面、例えば、コピー機能実行時には、原稿サイズ、コピーサイズ、複写部数等に関する情報を表示するとともに、ユーザが該当部分をタッチすることにより種々の操作情報を入力するための操作ボタン類を表示する。ここで、操作ボタン類としては、所要の機能項目に係る選択操作経路の案内を望む際に操作されるルートガイドキー81(図4(1)参照)と、グループ毎にカスタマイズされた機能項目の表示を望む際に操作される帰属グループ移行キー83(図4(1)参照)と、選択された機能項目に係る詳細内容の表示を望む際に操作される詳細表示移行キー85(図4(1)参照)と、などを例示することができる。また、タッチパネル部53は、複数の各ユーザ毎の前回のログイン時における機能利用履歴を考慮することで、ユーザ毎に適切にカスタマイズされた初期画面を表示する際に用いられる。さらに、タッチパネル部53は、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を表示する際に用いられる。
【0018】
操作キー部55は、ユーザの操作入力を受付けるための複数の操作キーを備えており、例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能など諸機能のなかから、所要機能のキー入力操作をユーザが選択的に実行する際に、又は、ユーザが複写部数やコピー実行指令などを操作入力する際に用いられる。
【0019】
ファクシミリ通信部61は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit)(図示省略)を含む。ファクシミリ通信部61は、スキャナ部21によって読み取られた原稿の画像データを電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0020】
HDD(ハードディスクドライブ)63は、スキャナ部21によって読み取られた画像データ及び同画像データに設定されている出力形式等の種々のデータ等を記憶する。HDDに記憶されている画像データは、画像形成装置、プログラム及び記録媒体内部で使用されるだけでなく、必要に応じて、ネットワークI/F部65を介してクライアントPC等から確認したり、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送される。
【0021】
ネットワークI/F部65は、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等を用い、LANを介して接続されたクライアントPC等のユーザ端末67に対する種々のデータの送受信を制御する。
【0022】
ICカード通信部67は、ユーザが所持しているICタグ等のカードキー69のアクセスを検知し、カードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み出して、主制御部11に転送する機能を備えている。
【0023】
ところで、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目を簡易に選択操作可能とするために、主制御部11は、ユーザがアクセスしてくる毎に、当該ユーザが正規ユーザか否かに係るユーザ認証を行うユーザ認証部70と、ユーザ認証部70におけるユーザ認証の結果、当該ユーザが正規ユーザである旨の判定が下されたとき、当該ログインユーザに係る識別情報を取得するユーザ識別情報取得部71と、複数の各ユーザ毎の前回のログイン期間中における機能利用履歴(カスタマイズ情報)を、複数の各ユーザ毎の識別情報にそれぞれ関連付けて記憶するカスタマイズ情報記憶部73と、画像形成に係る操作情報を取得する操作情報取得部75と、ルートガイドキー81が操作された後、初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたとき、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、タッチパネル部53の表示画面上に表示させる制御を行う表示制御部77と、を備えて構成されている。なお、表示制御部77は、当該ユーザが正規ユーザである旨の判定が下されたとき、該当ユーザのカスタマイズ情報をカスタマイズ情報記憶部73から読み出して、該読み出したカスタマイズ情報に基づく初期画面をタッチパネル部53の表示画面上に表示させる機能、並びに、帰属グループ移行キー83が操作されたとき、当該グループ毎にカスタマイズされた機能項目をタッチパネル部53の表示画面上に表示させる機能を有している。
【0024】
[本発明に係る画像形成装置の動作]
次に、本発明に係る画像形成装置の動作について、図3〜図8を参照して説明する。
【0025】
図3は、本画像形成装置の第1実施例に係る動作フローチャート図、図4(1)〜(3)は、第1実施例に係る表示画面の推移に係る説明図、図5(1)〜(2)は、図4に続く第1実施例に係る表示画面の推移に係る説明図、図6は、本画像形成装置の第2実施例に係る動作フローチャート図、図7は、第2実施例に係る表示画面の推移に係る説明図、図8は、第1,第2実施例に係る機能項目の選択補助によって所要の機能項目を選択後の初期画面例を示す説明図である。
【0026】
本発明第1実施例に係る動作説明に先立って、前提となる画像形成装置の構成に言及する。画像形成装置は、ユーザが所持するカードキー69との間で認証情報に係るデータ交換を通じて装置の使用を許可するカードキー認証モードと、ユーザ識別情報及び暗証番号(認証情報)のキー入力操作をユーザに要求することを通じて装置の使用を許可するパネル認証モードとを二通り備えており、原則として、カードキー認証モードで動作している。以下の実施例では、原則通りの処理であるカードキー認証モードでの、画像形成装置の動作について説明してゆく。
【0027】
まず、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを常時監視している。このとき、ユーザが、ICカードキー69を画像形成装置における所定位置にセットすると、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを検知する(ステップS11)とともに、ICカードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み取り、読み取ったICカードキー69のユーザ識別情報を、主制御部11宛に転送する。
【0028】
主制御部11は、ICカード通信部67から転送されてきたユーザ識別情報と、カスタマイズ情報記憶部73に予め登録されているユーザ識別情報等を照合することで、カードキー認証を介してアクセスしてきたユーザが正規ユーザか否かに係るユーザ認証を行う(ステップS12)。なお、ユーザ認証に際して、暗証番号によるログイン管理機能を追加してもよい。ステップS12のユーザ認証の結果、アクセスユーザが正規ユーザである旨の判定が下されたとき、主制御部11は、当該ログインユーザに係る識別情報を取得するとともに、このユーザ識別情報に基づいて、該当ユーザのカスタマイズ情報を、カスタマイズ情報記憶部73から読み出して(ステップS13)、該読み出したカスタマイズ情報に基づき表示すべき初期画面を決定する(ステップS14)。そして、主制御部11は、ステップS14で決定された初期画面を、タッチパネル部53の表示画面上に表示させる(ステップS15)。
【0029】
複数の各ユーザ毎の過去の機能利用履歴を考慮することで、ユーザ毎に適切にカスタマイズされた初期画面を一覧表示態様をもって提供するために、カスタマイズ情報記憶部73には、複数の各ユーザ毎の前回のログイン時に利用した機能項目に係るカスタマイズ情報が、各ユーザ毎の識別情報に関連付けて記憶されている。主制御部11は、該当ユーザのカスタマイズ情報に基づく機能項目を含む初期画面をカスタマイズ情報記憶部73から読み出し、該読み出した初期画面を表示すべきものとして決定し、該決定された初期画面を、タッチパネル部53の表示画面上に一覧表示させる。
【0030】
ところで、装置の操作に不慣れなユーザに対して、所要の機能項目に係る選択操作を補助するために、ステップS16〜S18では、ユーザによってルートガイドキー81に係る所定の操作が順次なされたか否かを監視するようにしている。すなわち、主制御部11は、操作情報取得部75から取得した操作情報に基づき、ルートガイドキーが操作された後、初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたか否かに係る判定を行う(ステップS16〜S18)。ステップS16〜S18に係る判定は、ルートガイドキーが操作された後、初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されるに至るまで、繰り返し実行される。ただし、ユーザによって所要の機能項目に係る選択操作が円滑になされたときはこの限りでない。
【0031】
ステップS16〜S18に係る判定の結果、ルートガイドキーが操作された後、初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作された旨の判定が下されたとき、表示制御部77は、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、タッチパネル部53の表示画面上に表示させる制御を行う(ステップS19)。
【0032】
ここで、本発明第1実施例に係る動作の理解を容易にするために、ユーザ毎にカスタマイズされた初期画面に含まれている機能項目をもとに、あるユーザAに対してルートガイドを順次遂行してゆく場合のタッチパネル部53の表示態様について、図4〜図5を参照して説明する。
【0033】
正規ユーザであるユーザAが本装置に正当にアクセスすると、ユーザAに係るカスタマイズされた初期画面として、「用紙設定」、「倍率設定」、「濃度設定」、及び「印刷設定」に係る各種の機能項目が、タッチパネル部53の表示画面上に表示される(図4(1)参照)。
【0034】
このとき、装置の操作に不慣れな、「4 in 1」機能を利用したいと望むユーザAが、ルートガイドキー81を選択操作後に、「4 in 1」機能に類似する機能として「2 in 1」機能があるとの考慮に基づいて、「2 in 1」機能を含む「印刷設定」に係る機能項目を選択操作すると、タッチパネル部53の表示画面上には、詳細表示移行キー85を指示しながら、「ルートガイド1」として「このボタンを押します」といったガイダンスメッセージが表示される(図4(2)参照)。
【0035】
かかるガイダンスメッセージに従って、ユーザAが、詳細表示移行キー85を選択操作すると、タッチパネル部53の表示画面上には、「統合印刷」キーを指示しながら、「ルートガイド2」として「このボタンを押します」といったガイダンスメッセージが表示される(図4(3)参照)。
【0036】
かかるガイダンスメッセージに従って、ユーザAが、「統合印刷」キーを選択操作すると、タッチパネル部53の表示画面上には、「統合印刷」キーに関連する情報として「2 in 1」、「4 in 1」、及び「6 in 1」の各機能が含まれている旨、並びに、「2 in 1」キーを指示しながら、「ルートガイド3」として「このボタンを押します」といったガイダンスメッセージが表示される(図5(1)参照)。以上の手順をもって、ユーザAは、自身が利用を望む「4 in 1」機能が「2 in 1」機能に隣接していることを知って、「4 in 1」機能に係る選択操作経路を認識することが可能となる結果として、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目(「4 in 1」機能)を簡易に選択操作することができる。
【0037】
ルートガイド3の表示後において、タッチパネル部53の表示画面上には、「もう一度実行しますか?」などといった終了確認メッセージが表示される(図5(2)参照)。これにより、例えば、途中の選択操作経路をうっかり見逃してしまった、といったような場合であっても、納得ゆくまで何度でも繰り返し選択操作経路を確認することができるので、不慣れなユーザであっても装置を思う存分活用することが期待される。
【0038】
次に、第2実施例に係る装置の動作について、図6〜図8を参照して説明する。なお、第1実施例に係る装置の動作と、第2実施例に係る装置の動作とでは、ステップS11〜S15と、ステップS21〜S25と、の各動作内容が重複しているので、両者の差分であるステップS26〜S29の説明をもって、第2実施例に係る装置の動作説明に代えるものとする。
【0039】
すなわち、装置の操作に不慣れなユーザに対して、所要の機能項目に係る選択操作を補助するために、ステップS26〜S27では、ユーザによって帰属グループ移行キー83に係る操作がなされたか否かを監視するようにしている。すなわち、主制御部11は、操作情報取得部75から取得した操作情報に基づき、ユーザによって帰属グループ移行キー83が操作されたか否かに係る判定を行う(ステップS26〜S27)。ステップS26〜S27に係る判定は、帰属グループ移行キー83が操作されるに至るまで、繰り返し実行される。ただし、ユーザによって所要の機能項目に係る選択操作が円滑になされたときはこの限りでない。
【0040】
ステップS26〜S27に係る判定の結果、ユーザによって帰属グループ移行キー83が操作された旨の判定が下されたとき、主制御部11は、当該ユーザの帰属グループに係る識別情報を取得するとともに、このグループ識別情報に基づいて、該当グループのカスタマイズ情報を、カスタマイズ情報記憶部73から読み出す(ステップS28)。これを受けて表示制御部77は、ステップS28で読み出したカスタマイズ情報に基づいて、当該ユーザの帰属グループに係るカスタマイズ画面を、タッチパネル部53の表示画面上に表示させる(ステップS29)。
【0041】
ここで、本発明第2実施例に係る動作の理解を容易にするために、あるユーザAが帰属するグループX用にカスタマイズされた初期画面に含まれている機能項目を参照することで、ユーザAが所要の機能にたどり着く際におけるタッチパネル部53の表示態様について、図7を参照して説明する。
【0042】
正規ユーザであるユーザAが本装置に正当にアクセスすると、ユーザAに係るカスタマイズされた初期画面として、「用紙設定」、「倍率設定」、「濃度設定」、及び「印刷設定」に係る各種の機能項目が、タッチパネル部53の表示画面上に表示される(図4(1)参照)。
【0043】
このとき、装置の操作に不慣れな、「4 in 1」機能を利用したいと望むユーザAが、自身の帰属している他のユーザのなかに、「4 in 1」機能を利用した者がいるに違いないとの確信に基づいて、帰属グループ移行キー83を選択操作すると、ユーザAが帰属するグループXに係るカスタマイズされた初期画面として、「用紙設定」、「倍率設定」、「濃度設定」、及び「印刷設定」(「2 in 1」、及び「4 in 1」を含む)に係る各種の機能項目が、タッチパネル部53の表示画面上に表示される(図5(2)参照)。以上の手順をもって、ユーザAは、自身が利用を望む「4 in 1」機能がグループXに係る初期画面中に存在することを知って、「4 in 1」機能に係る選択操作経路を認識することが可能となる結果として、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目(「4 in 1」機能)を簡易に選択操作することができる。
【0044】
なお、ユーザAが「4 in 1」機能を選択操作することで所要の機能を遂行した後には、図8に示すように、「印刷設定」(「2 in 1」の他に、「4 in 1」機能が追加されている。)に係る各種の機能項目が、タッチパネル部53の表示画面上に表示される。これにより、「4 in 1」機能を遂行直後のログイン時において、ユーザAは、初期画面中に存在する機能項目として「4 in 1」機能を容易に選択操作することができる。
【0045】
なお、該当ユーザの前回のログイン期間中における機能利用履歴(カスタマイズ情報)を、該当ユーザの識別情報に関連付けて記憶させる際に、該当ユーザの機能利用履歴に含まれている機能の数が、例えば三つなどの予め設定される所定数(この所定数は、ユーザの好みに応じて適宜変更可能である。)を越えている旨の判定が下されたとき、主制御部11は、当該ユーザにおける機能利用履歴を参照して、利用頻度の高いものを優先して選択する構成を採用してもよい。なお、ここで参照される「機能利用履歴」とは、カスタマイズ情報記憶部73に記憶されているものとは異なり、例えば過去1年間等の所定期間内における複数の各ユーザ毎の機能利用履歴を別途記憶してあるものを意味する。
【0046】
[実施例の効果]
以上述べたように、本発明実施例に係る画像形成装置によれば、表示制御部77は、ルートガイドキー81が操作された後、初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたとき、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、タッチパネル部53の表示画面上に表示させる制御を行う。これによって、ユーザが、所要の機能項目に関係すると見当をつけた類似機能項目を操作すると、この類似機能項目に係る選択操作経路の案内画面が、タッチパネル部53の表示画面上に表示されることになる。従って、ユーザは、前記類似機能項目に係る選択操作経路の案内画面を視ることを通じて、所要の機能項目に係る選択操作経路を認識することが可能となる結果として、過去の操作経験に乏しい機能項目を選択しようと試みる場合であっても、所要の機能項目を簡易に選択操作することができて、ユーザに対する利便性向上に資することができる。
【0047】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0048】
すなわち、本発明実施例において、カードキー認証モードで動作中の画像形成装置を例示して説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例えば、ユーザ識別情報及び暗証番号のキー入力操作をユーザに要求することを通じて装置の使用を許可するパネル認証モードで動作中の画像形成装置にも、本発明を適用可能である。
【0049】
また、本発明実施例中、「4 in 1」機能に係る経路案内を行わせる例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されることなく、画像形成に係るいかなる機能項目であっても、経路案内の対象とすることができる。
【0050】
最後に、本発明第2実施例中、ユーザが帰属グループ移行キー83を選択操作すると、同ユーザが帰属するグループに係るカスタマイズされた初期画面が表示される態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されることなく、例えば、ユーザが帰属する一階層上位のグループに所要の機能項目が存在しなかった場合、さらに上位の階層に移行させる構成を採用してもよい。この場合、例えば、ユーザが帰属する組織内に構築されているアドレス帳データベースを、グループ帰属に係る階層化情報としてリンクさせる構成を採用することができる。このようにすれば、複数の各ユーザ毎のグループ帰属に係る階層化情報を新たに構築する手間が省けるといった、実用上きわめて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明第1,第2実施例に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明第1,第2実施例に係る画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【図3】本発明第1実施例に係る画像形成装置の動作フローチャート図である。
【図4】図4(1)〜(3)は、第1実施例に係る表示画面の推移に係る説明図である。
【図5】図5(1)〜(2)は、図4に続く第1実施例に係る表示画面の推移に係る説明図である。
【図6】本画像形成装置の第2実施例に係る動作フローチャート図である。
【図7】第2実施例に係る表示画面の推移に係る説明図である。
【図8】第1,第2実施例に係る機能項目の選択補助によって所要の機能項目を選択後の初期画面例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
11 主制御部
53 タッチパネル部(表示部)
70 ユーザ認証部
71 ユーザ識別情報取得部
73 カスタマイズ情報記憶部
75 操作情報取得部
77 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の機能項目を含む初期画面を表示画面上に表示するための表示部と、
所要の機能項目に係る選択操作経路の案内を望む際に操作されるルートガイドキーと、
前記ルートガイドキーが操作された後、前記初期画面に係る各種の機能項目のなかから、ユーザの選択意図に基づく一の機能項目が操作されたとき、当該一の機能項目に係る選択操作経路の案内画面を、前記表示部の表示画面上に表示させる制御を行う表示制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
ユーザがアクセスしてくる毎に、当該ユーザが正規ユーザか否かに係る認証を行うユーザ認証部と、
当該ユーザ認証部における認証の結果、当該ユーザが正規ユーザである旨の判定が下されたとき、当該ログインユーザに係る識別情報を取得するユーザ識別情報取得部と、
前記ログインの際に前記表示画面上に表示すべき初期画面に係るカスタマイズ情報を、複数の各ユーザ毎の識別情報にそれぞれ関連付けて記憶するカスタマイズ情報記憶部と、
をさらに備え、
前記表示制御部は、
当該ユーザが正規ユーザである旨の判定が下されたとき、該当ユーザのカスタマイズ情報を前記カスタマイズ情報記憶部から読み出して、該読み出したカスタマイズ情報に基づく初期画面を前記表示画面上に表示させる制御を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記ユーザはあるグループに帰属するユーザであり、
前記初期画面に係る機能項目は、前記グループ毎にカスタマイズされたものである、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置であって、
前記グループ毎にカスタマイズされた機能項目の表示を望む際に操作される帰属グループ移行キーをさらに備え、
前記表示制御部は、
前記帰属グループ移行キーが操作されたとき、当該グループ毎にカスタマイズされた機能項目を、前記表示部の表示画面上に表示させる制御を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像形成装置であって、
ユーザが帰属する組織内に構築されているアドレス帳データベースを、グループ帰属に係る階層化情報としてリンクさせる、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−113535(P2010−113535A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285765(P2008−285765)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】