説明

画像形成装置

【課題】補正データに基づいて補正用画像を形成すると共に、上記補正用画像に基づき再度補正データを演算するので、第1及び第2読取手段に生じる読み取り精度の差を簡便な構成で確実に低減させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複写機は、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50により読み取られた画像データの差を算出する演算処理部67を備える。この演算処理部67は、上記画像データの差に基づき、画像データの差を減らす階調補正データ78を演算する。また、複写機は、読み取り精度の差を補正するための補正用画像を形成するように画像形成部103を制御する制御部を備える。そして、上記した演算処理部67は、画像形成部103により形成された補正用画像のデータに基づいて再度画像データの差を算出し、この画像データの差に基づき、再度階調補正データ78を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機等の画像形成装置に関し、特に原稿の表裏面を読み取り得るものに関する。
【背景技術】
【0002】
図7及び図8を参照し、従来の両面イメージスキャナ等における画像読取装置内の機構を説明する。なお、図7は従来の画像読取装置内の読み取り機構部300を例示する説明図、図8は従来の画像読取装置が有する画像信号処理回路を示す説明図である。
【0003】
図7に示すように、読み取り機構部300は、原稿Dの読み取りを行う原稿台301と、原稿Dの連続読み取り及び両面読み取りに際して、原稿台301に対して斜め上方から原稿Dを給紙する給紙ローラ303とを備えている。
【0004】
原稿台301の上方には、原稿の裏面読み取り用の光学読取ユニット309が配置されている。原稿台301の下方には、原稿の表面の画像を読み取るための移動可能な光学読取ユニット305が配置されている。給紙ローラ303から給紙される原稿Dは、上記した光学読取ユニット305,309によってその上下面が読み取られる。なお、本例では、原稿Dの下面側(図7における原稿Dの正面視下側の面)を表面とし、上面側(図7における原稿Dの正面視上側の面)を裏面とし、本原稿Dでは両面読み取りを行う。
【0005】
原稿台301の正面視下側には、上側に配置された光学読取ユニット309と対向するように、原稿Dの裏面用の白基準として用いられる白基準兼用のプラテン313が配置されている。また、原稿台301には、原稿Dを固定読みする際に用いられるフラットベッド部302が形成され、このフラットベッド部302には、原稿Dの表面用の白基準として用いられる白基準板312が設けられている。また、光学読取ユニット305は、内部にランプ307とCCD306とを有しており、光学読取ユニット309は、内部にランプ311とCCD310とを有している。
【0006】
上記した読み取り機構部300にて、原稿Dの両面読み取りを行う際には、光学読取ユニット305は、図中右方の白基準板312の白基準を読み取った後に、図示した位置に停止する。また、それと同様に、光学読取ユニット309は、プラテン313の白基準を読み取った後に、原稿Dが給紙されるまで待機状態となる。
【0007】
そして、原稿Dが給紙ローラ303によって連続的に光学読取ユニット305,309方向に給紙されると、一方の光学読取ユニット305では、ランプ307から光が照射された際の反射光がCCD306によって読み取られる。また、他方の光学読取ユニット309では、ランプ311から光が照射された際の反射光がCCD310によって読み取られる。これにより、原稿Dの上下面の読み取りが行われる。
【0008】
次いで、図8を参照して、上記図7に示した従来の画像読取装置が有する画像信号処理回路を説明する。なお、図8では、その上段に表面の画像を読み取る画像信号処理回路が示されており、下段には裏面の画像を読み取る画像信号処理回路が示されている。これら表面用と裏面用との画像信号処理回路は、その構成及び処理内容が同様のため、以下の処理内容については表面用のみを説明し、裏面用の画像信号処理回路の処理内容についての説明は省略する。
【0009】
図8において、符号306,310は図7に示したCCDであり、また、符号321,326は増幅器、符号322,327はA/D変換回路、符号323,329は白レベル補正回路、符号325,330はメモリである。ここで、例えば、CCD306が当初に読み取った白基準板312による白基準の白レベルデータは、白レベル補正回路323に記憶される。そして、CCD306にて原稿が読み取られ、出力されてくるビデオ信号は、増幅器321で増幅され、白レベル補正回路323とA/D変換回路322に入力される。白レベル補正回路323では、上記入力されたビデオ信号の地色レベルを検出して、白レベル補正回路323に記憶した白レベルデータによって白レベルを追従して補正し、A/D変換回路322に出力する。A/D変換回路322は、白レベル補正回路323から与えられる白レベルを濃度の飽和値として、増幅器321を介してCCD306から受け取るアナログ信号のビデオ信号を、対応する濃度レベルのデジタル信号の画像データに変換する。このように、従来の画像読取装置内の読み取り機構部300においては、上記したような変換処理(補正処理)を施しつつ原稿の表裏面を読み取ってメモリ325,330へと格納していた。
【0010】
また、上記したような原稿の両面を読み取り得る装置の中には、2つの読取ユニットの第1読取ユニットを原稿台に沿って走行するキャリアに搭載して移動自在に設け、第2読取ユニットに対する第2基準色面を上記キャリアに設けるように構成したものがある。そして、第1読取ユニットに対する固定の第1基準色面と第2読取ユニットの読取窓との位置関係が、第2基準色面と第1読取ユニットの読取窓との位置関係と対称になるように配置する。これにより、2個の読取ユニットを原稿通路を挟んで対向させた構造の両面読取装置において、第1及び第2読取ユニットに対する基準色レベルの設定を簡単な動作で行うことができる構造を提供するものとしている(特許文献1参照)。
【0011】
また、上記したような原稿の両面を読み取り得る装置の中には、原稿給送路において、光学読取ユニットの自動給紙読み取り時における読み取り位置と対向する側に白基準シートを設けたものがある。これは、自動給紙読み取り時において、原稿が上記読み取り位置に給送される直前に、光学読取ユニットが、上記した白基準シートを読み取るように構成することで、自動給紙読み取り時の白基準読み取りに要する時間を短縮するものとしている(特許文献2参照)。
【0012】
更に、上記したような原稿の両面を読み取り得る装置の中には、原稿表面を読み取る光学ユニットの読取位置近傍にて、原稿の裏面をラインイメージセンサで読み取る第2の光学ユニットを用意したものがある。この装置では、第1の原稿台ユニットが、第1の白シートと、これを一部で挟持する2枚の透明板とから構成され、第2の原稿台ユニットが、第2の白シートと、これを一部で挟持する2枚の透明板とから構成される。そして、第1の白シートが、第2の原稿台ユニットの透明部分と対向し、第2の白シートが、第1の原稿台ユニットの透明部分と対向する構成を採る原稿台ユニットを備えるようにして、コンパクトな構成としている(特許文献3参照)。
【0013】
【特許文献1】実開平05−74072号公報
【特許文献2】特開平05−83480号公報
【特許文献3】特開平07−193680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このように、上記した従来の両面イメージスキャナ等の原稿の両面を読み取り得る画像読取装置においては、表面読み取り用と裏面読み取り用の光学読取ユニットにて、夫々白基準板(白基準シートや白シート等)に基づいて白レベル生成を行っていた。
【0015】
しかし、このような白レベル生成をするものにおいては、以下の(1),(2)の問題があった。
【0016】
(1)表面読み取り用及び裏面読み取り用の光学読取ユニットの夫々は、随時白レベルの調整がなされた場合であっても、中間色の濃度補正がなされないため、両面原稿の表面と裏面との読み取り濃度の間には差(ずれ)が生じるものとなっていた。また、特にカラー読み取りの場合には、白基準板に対して白レベルが調整された場合であっても、各色成分(R,G,B)の反射率には差が生じることとなり、読み取った画像の色差になっていた。このため、個々の部品ごとの白基準部材に対し、RGBの色成分ごとの反射率を測定して、それに基づく白基準レベル設定を行うといったコストのかかる対応をする必要があった。
【0017】
(2)主に原稿を照明するランプの照明分光特性の変化(耐久性に起因する)により、表面読み取り用及び裏面読み取り用の光学読取ユニットにおける階調特性は夫々変化する。このため、工場出荷時に表面読み取り用及び裏面読み取り用の光学読取ユニットの中間色を含めた階調補正を行った場合であっても、経時的には両面原稿の表面と裏面との読み取り濃度の間には、ずれが発生するものとなっていた。
【0018】
ここで、従来においては、表裏の反射率が一定のテスト用の白基準シートを用意し、その表面及び裏面での読み込みを行って、表面と裏面の読み値が合うようにレベル調整する読み取り濃度補正方法が提案されていた(特開平04−371072参照)。この提案によっては、上述の(1)に示したような問題には対処し得るが、上述の(2)のようにして生じる表裏面の読み取り濃度のずれには対処できず、更に、特別に調整用のシートを用意する点でコスト高を招くと共に管理の手間をも生じるものとなっていた。
【0019】
そこで本発明は、補正データに基づいて補正用画像を形成し、上記補正用画像に基づいて再度補正データを演算することで、第1及び第2読取手段に生じる読み取り精度の差を簡便な構成で確実に低減させる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、シートに画像形成する画像形成手段と、原稿画像を読み取る第1及び第2読取手段と、を備え、前記第1及び前記第2読取手段により読み取った画像データに基づいて前記画像形成手段にて画像形成する画像形成装置において、前記第1及び前記第2読取手段により読み取られた画像データの差を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された画像データの差に基づき、第1及び第2読取手段の読み取り精度の差による前記画像データの差を減らす補正データを演算する補正手段と、前記補正データに基づき、読み取り精度の差を補正するための補正用画像を形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、を備え、前記算出手段は、前記画像形成手段により形成された前記補正用画像のデータに基づいて再度画像データの差を算出し、前記補正手段は、前記算出手段により算出された前記画像データの差に基づき、再度補正データを演算する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、補正データに基づいて補正用画像を形成すると共に、上記補正用画像に基づいて再度画像データの差を算出し、再度補正データを演算するので、第1及び第2読取手段に生じる読み取り精度の差を簡便な構成で確実に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるインライン型で中間転写体を用いたフルカラー複写機の概略構成を示す図である。なお、本実施形態の画像形成装置は、モノクロの複写機であってもよい。
【0024】
図1にあって、1は画像形成装置の一例であるフルカラー複写機(以下、複写機という)であり、102は複写機本体(以下、装置本体という)である。装置本体102には、シートに画像を形成する画像形成部(画像形成手段)103が配置され、装置本体102上面にはイメージリーダ101が配置されている。更に、装置本体102の下部には画像形成部103にシートを給送するカセット給送装置104が配置されている。
【0025】
画像形成部103は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)のトナー像を夫々ITBベルトである転写ベルト2に形成する4組のプロセスユニット3(Y,M,C,K)を有する。プロセスユニット3は、転写ベルト2の搬送方向上流側よりY,M,C,Kの順に直列に配置され、夫々の色のトナーを収める現像器4と、像担持体である感光体5とを夫々有し、いずれも同様の構造となっている。
【0026】
プロセスユニット3が有する感光体5の近傍には、感光体5に対して一様な電位を与えるローラ帯電器6が配置され、感光体5の移動方向に対して直交する方向に感光体5表面に対峙するように取り付けられている。
【0027】
プロセスユニット3の下方には、感光体5に像露光を行うレーザースキャナ7が配置されている。レーザースキャナ7は、レーザ発光したビームを偏向走査するポリゴンミラー7aや、レーザ光をドラム上でスポット結像させるための第一の結像レンズ7bを有する。また、レーザースキャナ7は、第一の結像レンズ7bを透過したレーザ光を所定の方向へ反射させる折り返しミラー7cを有し、各光学要素を支持・固定する光学ケースにより構成されている。
【0028】
また、感光体5と対向し且つ転写ベルト2を間に挟んだ位置には、一次転写ローラ8が配置されている。画像形成部103にて画像形成するに当たっては、前述したレーザースキャナ7により、Y,M,C,K、各色の画像データが感光体5にそれぞれ像露光されると共に、現像器4によって感光体5上にトナー像が現像される。感光体5上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8に電圧が印加されることによって転写ベルト2に転写される。なお、トナー像転写後に、感光体5上に残った転写残トナーは、ブレードにて回収を行うクリーニング装置9によって除去される。また、感光体5は、不図示の駆動源からの動力により、或いは転写ベルト2に従動することにより、図1の正面視で時計方向に回転される。
【0029】
転写ベルト2は、転写駆動ローラ11、テンションローラ12、及び従動ローラ13により張架されている。転写ベルト2は、転写駆動ローラ11によって矢印方向(反時計方向)に巡回され、各感光体5に形成されたトナー画像が順次重ねて転写される。
【0030】
また、複写機1は、図1に示すような複写機1全体の制御を司る制御部(制御手段)110を備えている。制御部110は、不図示のCPU、RAM、ROM等を有したCPU回路部からなる。CPUは複写機1全体の基本制御を行うものであり、ROMは複写機1を総括的に制御する制御プログラム、例えば、イメージリーダ101を制御する制御プログラムや、画像形成部103を制御する制御プログラム等が格納されている。RAMは、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。そして、本実施の形態にあって上記制御部110は、後述するように、主に、画像形成に係る画像形成部103と、図2に示すような読み取りに係る制御系に係るものである。
【0031】
一方、カセット給送装置104は、給紙カセット15を有し、給紙カセット15に保持されたシートSを搬送ローラ15Aによって搬送路Rに1枚ずつ搬送する。また、マルチ給紙トレイ16に保持されたシートSは、搬送ローラ16Aによって搬送路Rに1枚ずつ搬送される。カセット給送装置104又はマルチ給紙トレイ16から搬送路Rに搬送されたシートSは、搬送路Rの搬送方向下流側に配置されたレジストローラ17で一時停止される。レジストローラ17は、シートSを一時停止した後に転写ベルト2上に形成されたカラー画像の動作にタイミングを合わせて回転を始める。これにより、シートSが2次転写部Tへと達し、2次転写ローラ19に印加される正極性の転写バイアスによってカラー画像が2次転写される。
【0032】
シートSは、カラー画像が2次転写された後、2次転写部Tから定着器20へと搬送され、この定着器20で加熱及び加圧されることによってカラー画像が定着される。ここで、上記2次転写された際の画像形成動作が片面印刷の設定の場合には、上記定着器20で定着された後、排紙ローラ21によって排紙トレイ22へと排紙される。また、上記2次転写された際の画像形成動作が両面印刷の場合には、シートSは、定着器20で一方の面にカラー画像が定着された後に排紙ローラ21によって反転部23へと搬送される。反転部23へと搬送されたシートSは、両面パス25によって表裏逆向きにされ、再び2次転写ローラ19によって他方の面にカラー画像が転写される。その後、上記他方の面に転写されたカラー画像が定着器20で定着されると、排紙ローラ21によって排紙トレイ22へと排紙される。なお、上記したシートSへの2次転写後に転写ベルト2上に残った転写残トナーは、クリーニング装置10によって除去される。
【0033】
イメージリーダ101には、自動原稿搬送装置100(以下ADF100という)が上下方向に開閉回動可能な状態に設けられている。ADF100は、上方に原稿載置台としての給紙トレイ26を有し、給紙トレイ26近傍には、給紙ローラ27と、分離搬送ローラ28及び分離パッド29とが順に配置されている。また、載置された原稿を給紙トレイ26から搬送する搬送路上には、搬送ローラ対30及び上流リードローラ対31が同順に配置され、更に、その搬送方向下流には、プラテンガラス58を有した表面読取部32(以下プラテン32ともいう)が配置されている。
【0034】
プラテン32の正面視上方には、白色のローラからなる表面読み取りローラ33が配置され、下方には画像読取ユニット(第1読取手段)35が配置されている。画像読取ユニット35は、原稿の表面に対して光を照射するランプ36、反射笠37、及びミラー39を有している。なお、原稿からの反射光は、ミラー39と、ミラーユニット40が有するミラー41,42とを介してレンズユニット43に導かれ、レンズユニット43によってCCD18の受光部に結像されて光電変換されることによって原稿画像が読み取られる。
【0035】
給紙トレイ26からの搬送路におけるプラテン32の搬送方向下流には、白色のローラである裏面読み取りローラ45と、下流リードローラ対46及び排紙ローラ対47とが順に配置されている。また、裏面読み取りローラ45と下流リードローラ対46との間には、原稿の裏面の読み取り位置となる読取部49を有した裏面読取ユニット(第2読取手段)50が配置されている。
【0036】
裏面読取ユニット50は、原稿の裏面に対して光を照射するランプ51と、ミラー52,53,55、レンズユニット56、CCD60とを有している。なお、原稿からの反射光は、ミラー52,53,55を介してレンズユニット56に導かれ、レンズユニット56によってCCD60の受光部に結像されて光電変換されることによって原稿画像が読み取られる。
【0037】
前述したADF100は、ユーザにより装置本体102の原稿台ガラス57(以下プラテンガラス57ともいう)上にセットされた原稿を、画像読取ユニット35を移動させて読み取る第1の読取モード(固定読みモード)を有する。また、画像読取ユニット35を所定位置に停止させた状態(図1の状態)で、給紙トレイ26にセットされた原稿を装置本体102のプラテン32方向へ送り込んで搬送させながら読み取る第2の読取モード(流し読みモード)を有する。
【0038】
流し読みモードの際には、ADF100は、給紙トレイ26に積載された原稿をプラテン32及び読取部49に向かって搬送する。このとき、給紙トレイ26上の原稿は、給紙ローラ27によって順次その最上位側の原稿から給紙され、分離搬送ローラ28及び分離パッド29により一枚ずつに分離されて搬送される。分離搬送された原稿は、搬送ローラ対30及び上流リードローラ対31により、その表面の読み取り位置であるプラテン32へ搬送される。
【0039】
プラテン32へと搬送される原稿は、その先端が上流リードローラ対31のニップ部に突き当てられてループが作られることにより、斜行取り及び先端レジ取りがなされる。その後、原稿は、裏面の読み取り位置である読取部49へと搬送され、その後下流リードローラ対46及び排紙ローラ対47によって排紙トレイ59上に排紙される。
【0040】
なお、プラテンガラス57上に載置された原稿の画像を読み取る第1の読取モードの場合には、画像読取ユニット35を不図示の原稿セット基準から副走査方向に移動させて原稿を読み取るようにする。そして、本モードで読み取りを行う場合の原稿の突き当て部分には、イメージリーダ101での原稿読み取りの白基準となる白基準部材61がプラテンガラス57上に設けられている。
【0041】
次に、本実施の形態の複写機1の読み取りに係る制御系について図2を参照して説明する。なお、図2は、複写機1の読み取りに係る画像信号処理回路を含む制御系を示すブロック図である。
【0042】
図2において、画像読取ユニット35は自身の白基準となる白基準部材61と対をなすように、裏面読取ユニット50は自身の白基準となるローラ白部材45と対をなすように、夫々破線によって関係性が図示されている。また、画像読取ユニット35については、固定読みモードの際に位置が移動される態様が図中の太矢印にて示されている。
【0043】
図中の符号62,63はゲイン補正回路、符号65,66はA/D変換回路である。また、概略において、同図における画像読取ユニット35を含む下部側は表面読み取りに係る信号経路で、裏面読取ユニット50を含む上部側は裏面読み取りに係る信号経路となっている。また、図中の符号67は制御部110に含まれる演算処理部(算出手段、補正手段)であり、符号69は不図示のRAM等からなるメモリである。
【0044】
画像読取ユニット35にて得られる白基準部材61の読み取りビデオ信号(入力ビデオ信号73)は、ゲイン補正回路62を経由せずにA/D変換回路65にてデジタル信号に変換される。また、裏面読取ユニット50にて得られるローラ白部材45の読み取りビデオ信号(入力ビデオ信号75)は、ゲイン補正回路63を経由せずにA/D変換回路66にてデジタル信号に変換される。
【0045】
演算処理部67は、上記した各デジタル信号の信号値に応じたゲイン制御データ71,72を夫々決定する。ゲイン補正回路62、63は、上記ゲイン制御データ71,72を用い、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50から読み込まれてくる入力ビデオ信号73,75のゲイン補正(信号増幅)を行う。
【0046】
ゲイン制御データ71が決定された後、再度、画像読取ユニット35にて得られる白基準部材61の読み取りビデオ信号(入力ビデオ信号73)は、ゲイン補正回路62にて信号増幅された後、A/D変換回路65にてデジタル信号へと変換される。また、同様に、裏面読取ユニット50にて得られるローラ白部材45の読み取りビデオ信号(入力ビデオ信号75)は、ゲイン補正回路63にて信号増幅された後、A/D変換回路66にてデジタル信号へと変換される。そして、上記変換された各デジタル信号の値に基づき、演算処理部67にてシェーディング補正(以下SH補正と記載する)を行うためのSH補正データ76,77(符号76は表面用、符号77は裏面用)が決定される。
【0047】
このように、ゲイン制御データ71及びSH補正データ76は、画像読取ユニット35にて得られる白基準部材61の読み取りビデオ信号(入力ビデオ信号73)により決定され、画像読取ユニット35が原稿読み取り可能な状態となる。また、ゲイン制御データ72及びSH補正データ77は、裏面読取ユニット50にて得られるローラ白部材45の読み取りビデオ信号(入力ビデオ信号75)により決定され、裏面読取ユニット50が原稿読み取り可能な状態となる。
【0048】
画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50にて読み取られた原稿の入力ビデオ信号73,75は、ゲイン補正回路62,63にて信号増幅された後に、A/D変換回路65,66にてデジタル信号へと変換される。そして、上記変換されたデジタル信号は、SH補正データ76,77を用いて演算処理部67にてSH補正される。更に、裏面読取ユニット50によって読み取られた裏面の画像データのみは、演算処理部67によって演算された階調補正データ(補正データ)78に基づいて階調補正が行われた後に、メモリ69へと記憶される。
【0049】
上記したように、裏面読取ユニット50にて読み取った画像データに対しては、階調補正データ78を用いて階調補正(濃度補正)を行う。ここで、この階調補正データ78を演算するための処理の流れについて図3ないし図6を参照して説明する。なお、図3は階調補正データ78を演算する際に読み取らせる所定の出力紙Aのフォーマット図、図4は階調補正データ78を再演算する過程で読み取らせる出力紙Bのフォーマット図である。また、図5は階調補正データ78の演算処理に係るフローチャート、図6は図5に続く階調補正データの演算処理に係るフローチャートである。
【0050】
図5に示すように、複写機1は、例えばユーザによる不図示の操作部等からの印刷指示を受けると、出力紙Aを画像形成部103によって出力する(ステップS01)。この出力紙Aは、上記したような印刷指示があり、かつ演算処理部67により階調補正データ78が演算されていない場合に、制御部110の制御によって画像形成部103により所定の補正用画像として形成される。なお、この出力紙Aを形成する際の画像データは不図示のROMに予め記憶されている。また、上記で出力紙Aは演算処理部67により階調補正データ78が演算されていない場合に形成されるとして説明したが、既に階調補正データ78が演算された状態であっても、新たに演算し直すような際に再形成できるようにしてよいことは勿論である。
【0051】
この出力紙Aには、図3に示すように、上部から、赤(R)、緑(G)、青(B)、Bk(黒)の横長の矩形の色パターンが順に画像形成されている。この色パターンは夫々、同色で濃度の異なる略々正方形状の単色パッチが5個横並びとなるように配置され、夫々左方から右方に向って濃度が薄くなるように(濃度値1から濃度値5まで)形成されている(図中の水平方向の矢印参照)。例えば、図3内のパッチ(濃度の異なる複数の単色パッチ)Aaは、R中の濃度の最も濃い単色パッチで、図3内のパッチ(濃度の異なる複数の単色パッチ)Abは、R中の濃度の最も薄い単色パッチである。
【0052】
次いで、ステップS01にて出力された出力紙Aが、所定の補正用画像が形成された面を上にした状態で給紙トレイ26にセットされて給紙されると、画像読取ユニット35によって出力紙A上の色パターンが読み取られる。続いて、出力紙Aが、所定の補正用画像が形成された面を下にした状態でセットされて給紙されると、裏面読取ユニット50によって出力紙A上の色パターンが読み取られる。つまり、画像読取ユニット35によっては、給紙された出力紙Aの第1の面となる表面が読み取られることとなり、裏面読取ユニット50によっては、給紙された出力紙Aの第2の面となる裏面が読み取られることとなる。ステップS02では、このような2つの読み取り処理が行われる。
【0053】
続いて、ステップS02で画像読取ユニット35に読み取られた5階調のBkパッチは、夫々R,G,Bの要素からなる画像データに分解する。例えば、画像読取ユニット35が読み取ったBkパッチのうちの濃度値1(最も濃い)のBk1パッチは、Rの画像データが「表_Bk1_R」、Gの画像データが「表_Bk1_G」、Bの画像データが「表_Bk1_B」に分解される。これと同様に、他の濃度値2〜5のBkパッチについても夫々R,G,Bの要素に分解し、以下の行列データ(一方の画像データ)Xとして定義する。
【0054】
【数1】

【0055】
また、同様に、ステップS02で裏面読取ユニット50に読み取られた5階調のBkパッチは、夫々R,G,Bの要素からなる画像データに分解する。例えば、裏面読取ユニット50が読み取ったBkパッチのうちの濃度値1(最も濃い)のBk1パッチは、Rの画像データが「裏_Bk1_R」、Gの画像データが「裏_Bk1_G」、Bの画像データが「裏_Bk1_B」に分解される。これと同様に、他の濃度値2〜5のBkパッチについても夫々R,G,Bの要素に分解し、以下の行列データ(他方の画像データ)Yとして定義する。
【0056】
【数2】

【0057】
そして、裏面読取ユニット50により読み取られた画像データ(裏面画像データ)の階調補正データ78を、以下に示す関数fr、関数fg、関数fbに定義し得るように算出する。
裏面画像データの階調補正後のR信号の値=fr(裏面画像データの階調補正前のR信号の値)
裏面画像データの階調補正後のG信号の値=fg(裏面画像データの階調補正前のG信号の値)
裏面画像データの階調補正後のB信号の値=fb(裏面画像データの階調補正前のB信号の値)
詳細には、演算処理部67により、前述した行列データYから行列データXを減算した画像データの差が算出され、これに基づいて上記画像データの差を減らすように、階調補正データ78(fr、fg、fb)が演算される。言い換えると、階調補正データ78は、画像読取ユニット35に読み取られた一方の画像データを基準とし、裏面読取ユニット50により読み取られた他方の画像データをそれに合わせるような補正データとして演算される。上述したような、行列データX,Y及び階調補正データ78を導く動作処理をステップS03として行う。
【0058】
次いで、裏面読取ユニット50にて読み取った出力紙Aの画像データを、上記したステップS03にて算出した階調補正データ78(fr、fg、fb)に基づいてSH補正及び階調補正したものを以下の行列データZとして定義する。
【0059】
【数3】

【0060】
そして、制御部110は、上記したように得られた行列データXと行列データZとからなる画像データを、画像形成部103を制御することによって1枚のシート(出力紙B)の片面に補正用画像として形成する(ステップS04)。詳細には、前述した行列データXは、画像読取ユニット35のSH補正後の画像データであり、行列データZは、裏面読取ユニット50のSH補正及び階調補正後の画像データである。これにより、出力紙Bには、画像読取ユニット35にて読み取った所定の補正用画像と、裏面読取ユニット50にて読み取った所定の補正用画像を階調補正した画像とが形成される。このように形成された出力紙Bの画像が、以降で読み取り精度の差を補正するための補正用画像として用いられるので、画像読取ユニット35と裏面読取ユニット50との読み取り精度の差を一層逓減させることができるようになる。
【0061】
そして、出力紙Bの補正用画像は、より詳細には、図4に示すように上部から順に、赤(R)、緑(G)、青(B)、Bk(黒)の横長の矩形の色パターンとなって形成されている。これら各色パターンは、夫々同色で濃度の異なる正方形状の単色パッチが5個横並びとされており、夫々左方から右方に向って濃度が薄くなるように配置されている(図中の水平方向の矢印参照)。更に、これら各色パターンは夫々上下2段で組となっており、上段が画像読取ユニット35で読み取った表面の画像データで形成されたもので、下段が裏面読取ユニット50で読み取った裏面の画像データで形成されたものとなっている。この上下2段の組になった各色パターンは、夫々同じ色でかつ同じ濃度の単色パッチが近接して配置されている。例えば、同図中の、上下に隣り合って配置されたパッチBaとパッチBcとは、パッチBaがRにおける表面の色パターンの中で最も濃度の濃い単色パッチであり、パッチBcがRにおける裏面の色パターンの中で最も濃度の濃い単色パッチとなっている。また、例えば、パッチBbとパッチBdとは、パッチBbがRにおける表面の色パターンの中で最も濃度の薄い単色パッチであり、パッチBdがRにおける裏面の色パターンの中で最も濃度の薄い単色パッチとなっている。
【0062】
続いて、上記ステップS04にて出力紙Bを形成した後、出力紙Bの出力回数が所定回数以上か否かを判定し(図6のステップS05)、所定回数以上であった場合(ステップS05:Yes)には、階調補正データ78を決定して演算処理を終了する。
【0063】
また、上記ステップS05において、出力紙Bの出力回数が所定回数未満であった場合(ステップS05:No)には以下のような給紙及び読み取り処理が順次行われる。すなわち、出力紙Bが、補正用画像が形成された面を上にした状態で給紙トレイ26にセットされて給紙されると、画像読取ユニット35によって出力紙B上の色パターンが読み取られる。続いて、出力紙Bが、補正用画像が形成された面を下にした状態でセットされて給紙されると、裏面読取ユニット50によって出力紙B上の色パターンが読み取られる。つまり、画像読取ユニット35によっては、給紙された出力紙Bの第1の面となる表面が読み取られ、裏面読取ユニット50によっては、給紙された出力紙Bの第2の面となる裏面が読み取られることとなる。ステップS06では、このような2つの読み取り処理が行われる。
【0064】
続いて、ステップS06で画像読取ユニット35に読み取られた表面の画像データ(すなわち、出力紙Bにおける5階調の上段のBkパッチ)を、SH補正後に夫々R,G,Bの要素からなる画像データに分解する。例えば、画像読取ユニット35が読み取った上段のBkパッチのうちの濃度値1(最も濃い)のBk1パッチは、Rの画像データが「表上段_Bk1_R」、Gの画像データが「表上段_Bk1_G」、Bの画像データが「表上段_Bk1_B」に分解される。これと同様に、他の濃度値2〜5のBkパッチについても夫々R,G,Bの要素に分解し、以下の行列データ(一方の画像データ)αとして定義する。
【0065】
【数4】

【0066】
また、同様に、ステップS06で画像読取ユニット35に読み取られた裏面の画像データ(すなわち、出力紙Bにおける5階調の下段のBkパッチ)を、SH補正後に夫々R,G,Bの要素からなる画像データに分解する。例えば、画像読取ユニット35が読み取った下段のBkパッチのうち、濃度値1(最も濃い)のBk1パッチは、Rの画像データが「表下段_Bk1_R」、Gの画像データが「表下段_Bk1_G」、Bの画像データが「表下段_Bk1_B」に分解される。これと同様に、他の濃度値2〜5のBkパッチについても夫々R,G,Bの要素に分解し、以下の行列データβとして定義する。そして、上述したように行列データα,βを導き、行列データβから行列データαを減算した差の値を算出する動作処理をステップS07として行う。
【0067】
【数5】

【0068】
次いで、行列データβから行列データαを減算した差の値が、所定値以上か否かを判定し(ステップS08)、所定値未満であった場合(ステップS08:No)には、階調補正データ78を決定して演算処理を終了する。このように、ステップS08では、前述したステップS04で出力紙Bに形成した行列データX,Zに基づく補正用画像を、画像読取ユニット35でその両方を読み取り、その画像データの差を比較判定する。そして、これが予め定めた所定値未満であった場合には、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50の読み取り精度の差が極めて低減した状態になったと判定し、階調補正データ78をここで決定するものである。
【0069】
また、上記ステップS08において、行列データβから行列データαを減算した差の値が所定値以上であった場合(ステップS08:Yes)には、ステップS03で算出した階調補正データ78を再算出する。
【0070】
ステップS06で裏面読取ユニット50に読み取られた裏面の画像データ(すなわち、出力紙Bにおける5階調の下段のBkパッチ)を、階調補正せずにSH補正のみした後に、夫々R,G,Bの要素からなる画像データに分解する。例えば、裏面読取ユニット50が読み取った下段のBkパッチのうちの濃度値1(最も濃い)のBk1パッチは、Rの画像データが「裏下段_Bk1_R」、Gの画像データが「裏下段_Bk1_G」、Bの画像データが「裏下段_Bk1_B」に分解される。これと同様に、他の濃度値2〜5のBkパッチについても夫々R,G,Bの要素に分解し、以下の行列データ(他方の画像データ)γとして定義する。
【0071】
【数6】

【0072】
詳細には、演算処理部67により、前述した行列データγから行列データαを減算した画像データの差が算出され、これに基づいて上記画像データの差を減らすように、階調補正データ78(fr、fg、fb)が再度演算される。このような、行列データα,γ及び階調補正データ78を導く動作処理をステップS09として行う。
【0073】
次いで、裏面読取ユニット50にて読み取った出力紙Bの画像データを、上記したステップS09にて算出した階調補正データ78(fr、fg、fb)に基づいてSH補正及び階調補正したものを以下の行列データΣとして定義する。
【0074】
【数7】

【0075】
そして、制御部110は、上記したように得られた行列データαと行列データΣとからなる画像データを、画像形成部103を制御することによって1枚のシート(出力紙B)の片面に補正用画像として再度形成する(ステップS10)。ここで、詳細には、行列データαは、画像読取ユニット35のSH補正後の画像データであり、行列データΣは、裏面読取ユニット50のSH補正及び階調補正後の画像データである。この出力紙Bに画像形成された補正用画像は、前述したステップS04で説明した画像と同様で、図4の上部から、赤(R)、緑(G)、青(B)、Bk(黒)の順で配置された複数のパッチから構成されている。
【0076】
続いて、上記ステップS10にて出力紙Bを形成した後には、ステップS05に戻って出力紙Bの出力回数が所定回数以上か否かを判定し、所定回数以上であった場合(ステップS05:Yes)には、階調補正データ78を決定して演算処理を終了する。また、上記ステップS05において、出力紙Bの出力回数が所定回数未満であった場合(ステップS05:No)には、前述したステップS06〜S10までの処理を繰り返し行い、最適な階調補正データ78を演算して決定する。
【0077】
このように、本実施の形態の複写機1では、出力紙Bを所定回数の範囲内で出力することによって、画像読取ユニット35と裏面読取ユニット50との読み取り精度を補正する階調補正データ78を演算して決定することができる。但し、所定回数を超えて出力紙Bを出力しても階調補正データ78を決定できない場合もあり、このような場合には、出力紙Bを所定回数だけ出力した時点で演算された階調補正データ78を適用するものとする。
【0078】
なお、以上説明した本実施の形態では、出力紙A,Bのパッチの色は、赤、緑、青を用いるとして説明したが、複写機1のトナー色である、イエロー、マゼンタ、シアンを用いても同様の効果を得ることができることは勿論である。また、本実施の形態の複写機1で形成される出力紙A,Bは、複写機1のシート搬送方向に対して紙面横方向や縦方向に送られるものであってもよく、そのいずれであっても同様な効果を得ることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、裏面読取ユニット50で読み取った画像データを、画像読取ユニット35で読み取った画像データに合わせるように階調補正データ78で補正するとして説明したが、これとは逆に補正するような構成としてよいことは勿論である。
【0080】
以上説明した本実施の形態の複写機1は、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50により読み取られた画像データの差を算出する演算処理部67を備える。そして、この演算処理部67は、算出された画像データの差に基づき、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50の読み取り精度の差による画像データの差を減らす階調補正データ78を演算する。また、複写機1は、階調補正データ78に基づき、読み取り精度の差を補正するための補正用画像を形成するように画像形成部103を制御する制御部110を備える。そして、上記した演算処理部67は、画像形成部103により形成された補正用画像のデータに基づいて再度画像データの差を算出し、この画像データの差に基づいて再度補正データである階調補正データ78を演算する。このような構成とすることにより、複写機1では、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50に生じる読み取り精度の差を簡便な構成で確実に低減させることができるようになる。
【0081】
また、複写機1では、濃度の管理された高価で特別な補正用のチャート等を用いなくとも、画像形成部103で形成する出力紙A,Bにより、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50の読み取り画像の階調補正をすることができるようになる。また、本実施の形態の複写機1は、上記したような補正用のチャート等の部材を予め用意しておく必要が無いことから、そのような付属部材の紛失や劣化等に対して配慮する必要がない、つまり付属する部材の保持・管理を行う必要がないものとすることができる。
【0082】
また、演算処理部67は、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50により夫々読み取られる画像データのうち、基準とする一方の画像データに他方の画像データを合わせるように補正する階調補正データ78を演算する。これにより、補正データの算出用のチャート等に対して行う濃度管理のような処理を必要としない構成にすることができる。
【0083】
また、画像形成部103により形成される補正用画像は、濃度の異なる複数の単色パッチが配置されてなる。かつ、上記補正用画像は、演算処理部67により階調補正データ78が演算される際に画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50にて読み取られたそれぞれの補正用画像のデータ中での同じ濃度の単色パッチ(例えばパッチBa,Bc)が近接して配置される。これにより、読み取った補正用画像の濃度の面内ムラ、頁間ムラの影響を受けること無く、表裏面の原稿読み取りを行う画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50の読み取り画像の差(濃度差)を低減する階調補正データ78を演算することができる。
【0084】
また、制御部110は、演算処理部67により階調補正データ78が演算されていない場合には、所定の補正用画像を形成するように画像形成部103を制御するので、特別の補正用のチャート等を予め用意せずとも階調補正データ78の演算をすることができる。
【0085】
また、画像形成部103により形成される所定の補正用画像は、濃度の異なる複数の単色パッチが配置されてなるので、画像読取ユニット35及び裏面読取ユニット50にて読み取る画像データの中間濃度を補正し得る階調補正データ78を演算することができる。
【0086】
また、画像読取ユニット35は原稿の第1の面を読み取り、裏面読取ユニット50は原稿の第2の面を読み取るので、原稿の第1の面と第2の面である表裏面の読み取り画像の差を低減する階調補正データ78を演算することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるインライン型で中間転写体を用いたフルカラー複写機の概略構成を示す図である。
【図2】複写機の読み取りに係る画像信号処理回路を含む制御系を示すブロック図である。
【図3】階調補正データを演算する際に読み取らせる所定の出力紙のフォーマット図である。
【図4】階調補正データを再演算する過程で読み取らせる出力紙のフォーマット図である。
【図5】階調補正データの演算処理に係るフローチャートである。
【図6】図5に続く階調補正データの演算処理に係るフローチャートである。
【図7】従来の画像読取装置内の読み取り機構部を例示する説明図である。
【図8】従来の画像読取装置が有する画像信号処理回路を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1 画像形成装置(フルカラー複写機、複写機)
35 第1読取手段(画像読取ユニット)
50 第2読取手段(裏面読取ユニット)
67 算出手段(演算処理部)、補正手段(演算処理部)
78 補正データ(階調補正データ)
103 画像形成手段(画像形成部)
110 制御手段(制御部)
Aa,Ab 濃度の異なる複数の単色パッチ(パッチ)
Ba,Bc 同じ濃度の単色パッチ(パッチ)
Bb,Bd 同じ濃度の単色パッチ(パッチ)
S シート
X 一方の画像データ(行列データ)
Y 他方の画像データ(行列データ)
α 一方の画像データ(行列データ)
γ 他方の画像データ(行列データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像形成する画像形成手段と、原稿画像を読み取る第1及び第2読取手段と、を備え、前記第1及び前記第2読取手段により読み取った画像データに基づいて前記画像形成手段にて画像形成する画像形成装置において、
前記第1及び前記第2読取手段により読み取られた画像データの差を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された画像データの差に基づき、前記第1及び前記第2読取手段の読み取り精度の差による前記画像データの差を減らす補正データを演算する補正手段と、
前記補正データに基づき、読み取り精度の差を補正するための補正用画像を形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、を備え、
前記算出手段は、前記画像形成手段により形成された前記補正用画像のデータに基づいて再度画像データの差を算出し、
前記補正手段は、前記算出手段により算出された前記画像データの差に基づき、再度補正データを演算する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記算出手段により算出された画像データの差に基づき、前記第1及び前記第2読取手段により夫々読み取られる画像データのうち、基準とする一方の画像データに他方の画像データを合わせるように補正する補正データを演算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段により形成される補正用画像は、濃度の異なる複数の単色パッチが配置されてなり、かつ前記補正手段により補正データが演算される際に前記第1及び前記第2読取手段にて読み取られたそれぞれの補正用画像のデータ中で同じ濃度の単色パッチが近接して配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記補正手段により前記補正データが演算されていない場合には、所定の補正用画像を形成するように前記画像形成手段を制御し、
前記算出手段は、前記画像形成手段により形成された前記所定の補正用画像のデータに基づいて画像データの差を算出し、
前記補正手段は、前記算出手段により算出された前記画像データの差に基づき、補正データを演算する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段により形成される前記所定の補正用画像は、濃度の異なる複数の単色パッチが配置されてなる、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1読取手段は原稿の第1の面を読み取り、前記第2読取手段は原稿の第2の面を読み取る、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−154122(P2010−154122A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328726(P2008−328726)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】