説明

画像形成装置

【課題】カートリッジの初期容量に応じて適切な劣化状態まで現像剤を使用できるようにする画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、トナーTの初期容量が異なる複数種類の現像カートリッジ5Bが着脱可能であり、現像カートリッジ5B内のトナーTの量を光学的に検出するように構成されている。画像形成装置は、発光素子81と、受光素子82と、受光素子82の出力値が受光基準値を超えた時間の割合が判定閾値を超えた場合に現像カートリッジ5Bの交換時期であると判定する判定手段110と、装着された現像カートリッジ5Bの初期容量を検出する検出手段200とを備えている。判定手段110は、検出手段200で検出した現像カートリッジ5Bの初期容量に応じて判定閾値を変更し、判定閾値は、初期容量が少ない現像カートリッジ5Bの交換時期の判定に使用するものの方が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式の現像剤残量検知手段を用いて、装着されるカートリッジの交換時期を判定可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置には、トナーを収容したカートッジを着脱可能に備え、カートリッジ内のトナーを感光体に供給して画像形成を行うものがある。このような画像形成装置では、カートリッジの側壁に対向する一対の光透過窓を設け、一方の光透過窓から入射した光を他方の光透過窓から検知することで得られる受光信号に基づいてカートリッジ内のトナーの量を推定する構成が用いられることがある(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、カートリッジ内のトナーは、繰り返し撹拌されることで徐々に劣化(帯電性能が低下)し、所定の印字枚数を超えると初期の帯電性能が得られなくなって、形成される画像の質が低下する。したがって、良好な画像を形成するためには、カートリッジ内のトナーをすべて使い切らずに、所定量残す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−005276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、カートリッジは、トナーの初期容量が異なる複数種類、例えば、大容量タイプと小容量タイプの2種類が設定され、販売されることが多い。しかし、従来の画像形成装置では、トナーの初期容量に拘わらず、トナーの量が一定量以下になったときにカートリッジの交換時期であると判定していた。
【0006】
トナーの劣化の状態はおよそカートリッジの使用時間に応じるため、同じトナー残量であっても、大容量タイプに比較すると、小容量タイプの残トナーは画像の質を低下させるほど劣化が進行していない。そのため、トナーの初期容量に拘わらず、トナーの量が一定量以下になったときに交換時期であると判定すると、小容量タイプでは、残トナーが未だ使用に耐え得るにも拘わらず交換時期と判定してしまい、トナーを有効に使用できないという問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、カートリッジの初期容量に応じて適切な劣化状態まで現像剤を使用できるようにする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、現像剤の初期容量が異なる複数種類のカートリッジが着脱可能であり、カートリッジ内の現像剤の量を光学的に検出するように構成された画像形成装置であって、カートリッジ内に光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射されてカートリッジ内を通った光を受光する受光素子と、前記受光素子の出力値が受光基準値を超えた時間の割合が判定閾値を超えた場合にカートリッジの交換時期であると判定する判定手段と、装着されたカートリッジの初期容量を検出する検出手段とを備え、前記判定手段は、前記検出手段で検出したカートリッジの初期容量に応じて前記判定閾値を変更し、前記判定閾値は、初期容量が少ないカートリッジの交換時期の判定に使用するものの方が大きいことを特徴とする。
【0009】
ここで、初期容量に応じて判定閾値を変更するとは、初期容量に応じて個別に判定閾値を変更する場合のほか、初期容量の範囲に応じて判定閾値を変更する場合を含む。具体的には、例えば、装着可能なカートリッジが3種類ある場合において、初期容量が一の範囲に含まれる2つの交換時期の判定に同じ判定閾値を使用し、初期容量が別の範囲に含まれる残り1つの交換時期の判定に異なる判定閾値を使用するような形態を含む。
【0010】
また、受光素子の出力値が受光基準値を超えるとは、受光基準値よりも小さい値から大きい値になることで受光基準値を超える場合のほか、受光基準値よりも大きい値から小さい値になることで受光基準値を下回る場合を含む。すなわち、受光基準値を超えるとは、受光基準値を跨ぐことを意味する。
【0011】
このように構成された画像形成装置によれば、初期容量が少ないカートリッジの使用時には判定閾値を大きいものに変更することで、受光素子の出力値が受光基準値を超えた時間の割合が判定閾値を超えるまでに要する時間を長くすることができる。これにより、トナーの初期容量に拘わらずトナーの量が一定量以下になったときに交換時期であると判定する従来の構成と比較して、初期容量が少ないカートリッジが交換時期であると判定されるまでに要する時間を長くすることができるので、その使用期間を長くすることができる。その結果、従来は有効に使用できなかった初期容量が少ないカートリッジ内の現像剤を適切な劣化状態まで使用できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置によれば、カートリッジの初期容量に応じて判定閾値を変更するので、適切な劣化状態まで現像剤を使用できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの断面図である。
【図2】現像カートリッジの拡大断面図である。
【図3】現像カートリッジ周辺の構成を示す図2のIII−III断面図である。
【図4】受光素子の出力電圧値を示すタイムチャートである。
【図5】(a)〜(d)はアジテータの動作とトナーの動きを説明するための断面図である。
【図6】判定手段による交換時期判定のフローチャートである。
【図7】受光基準値の変更を説明するための受光素子の出力電圧値のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<レーザプリンタの概略構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向はレーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0015】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像を転写するプロセスユニット5と、用紙P上に転写されたトナー像を熱定着させる定着装置6とを主に備えている。
【0016】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32およびリフトレバー33と、ピックアップローラ34と、給紙ローラ35と、給紙パッド36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、リフトレバー33と用紙押圧板32によってピックアップローラ34に寄せられ、ピックアップローラ34によって送り出される。送り出された用紙Pは、給紙ローラ35と給紙パッド36によって1枚ずつ分離され、レジストローラ37を通り、感光体ドラム51と転写ローラ53との間に向けて搬送される。
【0017】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45とを主に備えている。レーザ発光部から出射された画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)は、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44、レンズ43、反射鏡45の順に反射または通過して、感光体ドラム51の表面上に高速走査にて照射される。
【0018】
プロセスユニット5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスユニット5は、感光体ユニット5Aと、カートリッジの一例としての現像カートリッジ5Bとから構成されている。
【0019】
感光体ユニット5Aは、感光体フレーム50A内に、感光体ドラム51と、帯電器52と、転写ローラ53とを主に備えている。また、現像カートリッジ5Bは、感光体ユニット5Aに対して着脱可能に装着される構成となっており、現像フレーム50B内に、現像ローラ54と、供給ローラ55と、層厚規制ブレード56とを主に備え、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容室58を有する。
【0020】
プロセスユニット5では、感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容室58内のトナーは、供給ローラ55を介して現像ローラ54に供給され、現像ローラ54と層厚規制ブレード56との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ54上に担持される。
【0021】
現像ローラ54上に担持されたトナーは、現像ローラ54から感光体ドラム51上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム51と転写ローラ53との間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム51上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0022】
定着装置6は、プロセスユニット5の後方に設けられ、加熱ローラ61と、加熱ローラ61との間で用紙Pを挟持する加圧ローラ62とを主に備えている。用紙Pに転写されたトナー像は、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を用紙Pが搬送されることで熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、定着装置6から排出経路23に搬送され、排出経路23から排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0023】
<現像カートリッジの交換時期の判定>
次に、現像カートリッジ5Bの交換時期の判定について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず交換時期の判定に拘わる現像カートリッジ5Bおよび本体筐体2の構成について説明した後、本実施形態の交換時期の判定について説明する。
【0024】
(現像カートリッジの構成)
レーザプリンタ1に装着可能な現像カートリッジ5Bには、トナーの初期容量が異なる2種類のタイプがある。具体的には、例えば、印字可能枚数が6000枚に設定された大容量タイプと、印字可能枚数が3000枚に設定され、大容量タイプよりもトナーの初期容量が少ない小容量タイプである。なお、各タイプの現像カートリッジ5Bは、トナー収容室58内に収容されるトナーTの初期容量が異なるだけであり、構成は略同一である。
【0025】
図2に示すように、現像カートリッジ5Bは、現像フレーム50Bによって、供給ローラ55などが配置される現像室57と、トナーTが収容されるトナー収容室58とに区画されている。現像室57とトナー収容室58とは、連通部59によって連通している。この連通部59は、供給ローラ55のローラ部分の軸方向における略全幅にわたって形成されており、トナーTは、連通部59を介して現像室57とトナー収容室58との間を相互に行き来できるようになっている。
【0026】
トナー収容室58には、回転することでトナーTを撹拌するアジテータ70が配置されている。また、図3に示すように、トナー収容室58(現像フレーム50B)の側壁50L,50Rには、左右方向において対向する透明な光透過窓60(光透過部)が設けられている。
【0027】
図2に示すように、アジテータ70は、回転支軸71と、シート取付部72と、シート部材73と、ワイパー取付部74と、ワイパー75とから主に構成されている。
回転支軸71は、現像ローラ54および供給ローラ55の軸方向(左右方向)に沿って延びる軸であり、その両端が現像フレーム50Bの側壁50L,50R(図2では一方のみ図示)に回転可能に支持されている。
【0028】
シート取付部72は、回転支軸71から径方向外側に延びるように形成されており、その先端にシート部材73が貼着などによって固定されている。
シート部材73は、アジテータ70の回転によって、先端がトナー収容室58の底壁などに摺接しながらトナーTを撹拌し、さらに現像室57に向けて搬送する可撓性のシート状部材である。
【0029】
ワイパー取付部74は、回転支軸71の軸方向両端付近にそれぞれ1箇所ずつ設けられている(図3参照)。このワイパー取付部74は、側面から見て、シート取付部72の回転方向後方において、シート取付部72に対して略直角となる位置に、回転支軸71から径方向外側に延びるように形成されている。ワイパー取付部74には、回転支軸71の軸方向外側の面にワイパー75が貼着などによって固定されている。
【0030】
ワイパー75は、図3に示すように、光透過窓60に摺接して光透過窓60に付着したトナーTを拭き取る部材であり、ウレタンゴムなどの可撓性を有する材料から形成されている。なお、図3はワイパー75が光透過窓60と摺接するときの位置を示している。
【0031】
このように構成されるアジテータ70は、回転支軸71に対して、本体筐体2内に設けられたモータMから回転駆動力が付与されることで、トナー収容室58内を図2の反時計回り方向に回転し、シート部材73によってトナーTを撹拌・搬送する。
【0032】
(本体筐体の構成)
図3に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、発光素子81と、受光素子82と、現像カートリッジ5Bの交換時期を判定する判定手段110と、装着された現像カートリッジ5Bの初期容量を検出する検出手段200と、ユーザにメッセージを報知する報知手段300とを備えている。
【0033】
発光素子81と受光素子82とは、本体筐体2に装着された現像カートリッジ5Bの一対の光透過窓60を挟むようにして対向して配置されている。このような発光素子81および受光素子82としては、公知の光センサを採用することができる。
【0034】
図3に破線で示すように、発光素子81から出射された光は、一方の光透過窓60を通って現像カートリッジ5B(トナー収容室58)内に入り、他方の光透過窓60を通って受光素子82で受光される。受光素子82は、受光した光の強度に応じて出力電圧値が変化する素子であり、光を受光することで図4に示すような受光信号を判定手段110に出力する。
【0035】
ここで、受光信号について図4および図5を参照しながら説明する。本実施形態では、受光した光の強度が最小のときに出力電圧値が最大となり、受光した光の強度が最大のときに出力電圧値が最小となる受光素子82を採用しているため、図4において、出力電圧値が大きいほど受光した光の強度が小さく、出力電圧値が小さいほど受光した光の強度が大きくなる。なお、「V0」は、受光素子82が光を受光していない状態における出力電圧値(受光した光の強度が最小のときの出力電圧値)である。
【0036】
図5(a)に示すように、アジテータ70の回転によってシート部材73がトナー収容室58の底壁に摺接しながらトナーTを掻き集め現像室57側に搬送する過程において、掻き集められたトナーTが光透過窓60を完全に覆うと、受光素子82はほぼ光を受光していない状態となるので、出力電圧値は最大となる(図4ではV0付近で推移する)(領域SA)。
【0037】
図5(b)に示すように、アジテータ70の回転によってシート部材73が一対の光透過窓60の間を通過すると、シート部材73に搬送されることで一対の光透過窓60の間のトナーTの量が急激に減るので、受光素子82が受光する光の強度が急激に強くなる。これにより、出力電圧値は急激に小さくなる(領域SB)。
【0038】
領域SBの時点では、光透過窓60にトナーTが付着しているが、図5(c)に示すように、ワイパー75によって光透過窓60に付着したトナーTが拭き取られることで、受光素子82が受光する光の強度が最大となるので、出力電圧値は最小となる(領域SC)。
【0039】
図5(a)〜(c)の過程で、トナーTは現像室57内に溜まるが、図5(d)に示すように、その一部が崩れることで、トナーTは連通部59を通ってトナー収容室58内に流れ込んでくる。この流れ込んだトナーTが、光透過窓60の少なくとも一部を覆うことにより、受光素子82が受光する光の強度が小さくなるので、出力電圧値は大きくなる(領域SD)。
【0040】
その後、図2に示すように、シート部材73がトナー収容室58の上壁や前壁に摺接している間は、光透過窓60付近のトナーTの移動量が小さいので出力電圧値は略一定のレベルで推移する(領域SE)。そして、シート部材73がトナー収容室58の底壁に溜まったトナーTに入り込んで、トナー収容室58の底壁に摺接しながらトナーTを徐々に掻き集め現像室57側に搬送することで、トナーTによって光透過窓60が徐々に覆われるので出力電圧値は大きくなっていき(領域SF)、光透過窓60が完全に覆われることで出力電圧値は最大となる(領域SA)。
【0041】
なお、受光信号における各領域の時間的な割合は現像カートリッジ5B内のトナーTの残量に応じて変化する。すなわち、トナーTの残量が多いと、ワイパー75によって光透過窓60に付着したトナーTが拭き取られても、直後に大量のトナーTが流れ込んで光透過窓60を覆うので領域SCの時間が短くなる。また、現像カートリッジ5B内を光が通りにくいので、領域SEの出力電圧値が全体的に大きくなる。
【0042】
ちなみに、現像カートリッジ5Bを交換した直後など、トナーTの量が十分に多い場合には、シート部材73が現像室57にトナーTを搬送した直後からトナーTがトナー収容室58に流れ込んで光透過窓60を覆うので、領域SBの出力電圧値が全体的に大きくなるとともに、領域SCがほぼなくなる。
【0043】
一方、トナーTの残量が少なくなってくると、領域SCの時間が徐々に長くなるとともに、領域SD,SEの時間が短くなる。また、現像カートリッジ5B内を光が通りやすくなるので、領域SA,SEの出力電圧値が全体的に小さくなる。
【0044】
図3に示すように、判定手段110は、図示しないCPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えて構成されている。この判定手段110は、ROMに記憶されたプログラムやデータ、受光素子82や検出手段200からの出力などに基づいて、主に現像カートリッジ5Bの交換時期を判定する。
【0045】
交換時期の判定の基本的な流れを簡単に説明すると、図4に示すように、まず、1個または複数個の周期(1周期はアジテータ70が1回転する時間であり、図4では4周期)が含まれる一定時間TA内において、出力電圧値が予め設定された受光基準値V1を超えた時間(図4では出力電圧値がV1を下回る時間)を算出する。次に、一定時間TAに占める、出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合を算出する。そして、予め設定された判定閾値と比較して、算出した割合が判定閾値を超えた場合に現像カートリッジ5Bが交換時期であると判定する。
【0046】
例えば、一定時間TAに占める、出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合が13%であり、判定閾値が12%に設定されていた場合には、出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合が判定閾値を超えるので、判定手段110は、現在装着されている現像カートリッジ5Bの交換時期であると判定する。
【0047】
なお、出力電圧値が受光基準値V1を超えたか否かの判定方法は特に限定されない。例えば、一定時間内の受光信号を微小な時間に区切って単位時間ごとに出力電圧値が受光基準値V1を超えたか否か判定してもよいし、一定時間内の受光信号を連続的にモニタリングして出力電圧値が受光基準値V1を超えたか否か判定してもよい。また、一定時間TA内の受光信号から、所定時間ごとに出力電圧値をいわば点として取得(サンプリング)し、所定時間ごとの出力電圧値(各サンプリング点)が受光基準値を超えたか否かを判定してもよい。この場合は、全サンプリング点の数に占める、判定基準値を超えたサンプリング点の数の割合を算出し、この割合が判定閾値を超えたか否かで交換時期を判定することができる。
【0048】
本実施形態の判定手段110は、交換時期を判定するときに、後述する検出手段200で検出した現像カートリッジ5Bの初期容量(大容量タイプであるか、小容量タイプであるか)に応じて判定閾値を変更する。詳細には、小容量タイプの交換時期の判定に使用するものの方が大きくなるように判定閾値を変更する。
【0049】
具体的に、判定手段110は、大容量タイプの交換時期の判定に判定閾値Th1(12%)を使用し、小容量タイプの交換時期の判定に判定閾値Th1(12%)よりも大きい判定閾値Th2(24%)を使用する。判定閾値を大きくした場合の作用については後述する。
【0050】
検出手段200は、本体筐体2に装着されている現像カートリッジ5Bが、大容量タイプであるか小容量タイプであるかを検出し、その結果を判定手段110に出力するものである。このような検出手段200は、本体筐体2に装着されている現像カートリッジ5Bの仕様を検知する公知の構成を広く採用することができる。例えば、現像カートリッジ5Bに設けられたICチップなどから初期容量の情報を読み取る装置や、検知状態の変化により装着された現像カートリッジ5Bの初期容量を検出するセンサなどを採用することができる。
【0051】
報知手段300は、レーザプリンタ1を使用するユーザに対してメッセージを報知するものである。本実施形態では、報知手段300は、判定手段110が「現像カートリッジ5Bの交換時期である」と判定した場合に、その旨のメッセージをユーザに対して報知する。このような報知手段300としては、例えば、文字や絵などでメッセージを報知する液晶ディスプレイや、音でメッセージを報知するスピーカ、光の点滅でメッセージを報知するランプなどを採用することができる。また、液晶ディスプレイ、スピーカ、ランプなどを2つ以上組み合わせた報知手段を採用してもよい。
【0052】
(現像カートリッジの交換時期の判定)
次に、本実施形態における現像カートリッジ5Bの交換時期の判定および判定閾値を大きくした場合の作用について、適宜図面を参照しながら説明する。
図6に示すように、判定手段110は、まず、検出手段200で検出された現像カートリッジ5Bのタイプ(初期容量)の情報に基づいて、本体筐体2に装着されている現像カートリッジ5Bが小容量タイプであるか、大容量タイプであるかを判定する(ステップS110)。
【0053】
大容量タイプである場合(ステップS110,No)、判定手段110は、判定閾値Th1(12%)を選択する(ステップS121)。一方、小容量タイプである場合(ステップS110,Yes)には、判定手段110は、判定閾値Th2(24%)を選択する(ステップS122)。
【0054】
その後、判定手段110は、出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合が判定閾値Th1またはTh2を超えたか否かを判定する(ステップS130)。出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合が判定閾値Th1またはTh2を超えた場合(ステップS130,Yes)には、現像カートリッジ5Bの交換時期であると判定し、報知手段300にその旨のメッセージを報知させる(ステップS140)。出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合が判定閾値Th1またはTh2を超えない場合(ステップS130,No)には、交換時期の判定を終了する。
【0055】
このように、小容量タイプの使用時には判定閾値Th2(24%)を、判定閾値Th1(12%)と比較して大きくすることで、出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合が判定閾値Th2を超えるまでに要する時間を長くすることができる。これにより、小容量タイプの現像カートリッジ5Bが交換時期であると判定されるまでに要する時間を長くすることができる。
【0056】
具体的には、出力電圧値が受光基準値V1を超えた時間の割合が、大容量タイプおよび小容量タイプのいずれも、例えば13%であった場合において、大容量タイプでは判定閾値Th1(12%)を超えるので交換時期であると判定され、小容量タイプでは判定閾値Th2(24%)を超えないので交換時期であるとは判定されないこととなる。その結果、小容量タイプの現像カートリッジ5Bの使用期間を長くすることができる。
【0057】
前記したように、大容量タイプにおいて交換時期と判定されるトナーTの残量と同じ残量であっても、小容量タイプの残トナーTは画像の質を低下させるほど劣化が進行していない。したがって、判定閾値Th2を大きくして小容量タイプの使用期間を長くすることで、小容量タイプの現像カートリッジ5B内のトナーTを適切な劣化状態まで使用できるようにすることができる。
【0058】
これによれば、小容量タイプのトナーTを有効に利用することができるようになるので、小容量タイプの印字可能枚数を増やすことが可能となる。また、印字可能枚数を例えば3000枚のままにして、小容量タイプに収容するトナーTの量(トナーTの初期容量)を減らすことが可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0060】
前記実施形態では、現像カートリッジ5Bの初期容量によらずに同じ受光基準値V1を使用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検出手段200で検出した現像カートリッジ5Bの初期容量に応じて受光基準値を変更してもよい。具体的に、図7に示すように、大容量タイプの交換時期の判定に受光基準値V1を使用し、小容量タイプの交換時期の判定に受光基準値V2を使用してもよい。
【0061】
小容量タイプの交換時期の判定に使用する受光基準値V2は、受光素子82が光を受光していない状態における出力値V0からの差D2が、出力値V0から大容量タイプの交換時期の判定に使用する受光基準値V1までの差D1よりも大きくなっている。図7においては、受光基準値V2は、受光基準値V1より小さな値となっている。
【0062】
これによれば、出力電圧値が受光基準値V2を超えた時間の割合が小さく算出されるので、この割合が判定閾値Th2を超えるまでに要する時間をさらに長くすることができる。その結果、小容量タイプが交換時期であると判定されるまでに要する時間(小容量タイプの使用期間)をさらに長くすることができ、小容量タイプのトナーTをより適切な劣化状態まで使用できるようにすることが可能となる。
【0063】
なお、図7において、受光基準値V2を受光基準値V1より大きな値としてもよい。これによれば、判定閾値Th2との組み合わせにより、トナーTの劣化状態(現像カートリッジ5Bの交換時期)をより厳密に調整(コントロール)することが可能となりうる。
【0064】
前記実施形態では、レーザプリンタ1に装着可能な現像カートリッジ5Bの種類を2種類とした例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、3種類以上に設定してもよい。なお、3種類以上にする場合、判定閾値は、カートリッジの種類ごとに個別に設定してもよいし、カートリッジの初期容量の範囲ごとに設定してもよい。後者の具体例としては、印字可能枚数が6000枚以上のカートリッジの交換時期の判定に判定閾値Th1を使用し、3000枚以下のカートリッジの交換時期の判定に判定閾値Th2を使用し、6000枚から3000枚の間のカートリッジの交換時期の判定に判定閾値Th3を使用する(Th1<Th3<Th2)。
【0065】
前記実施形態では、予め設定された判定閾値を使用する例を示したが、本発明はこれ限定されず、例えば、検出手段200で検出した現像カートリッジ5Bの初期容量から、予め設定された計算式に基づいて判定閾値を算出し、算出した判定閾値を使用する構成としてもよい。なお、前記実施形態の判定閾値Th1,Th2の具体的な数値(12%,24%)は一例である。
【0066】
前記実施形態では、受光した光の強度が最小のときに出力電圧値が最大となり、受光した光の強度が最大のときに出力電圧値が最小となる受光素子82を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、受光した光の強度が最小のときに出力電圧値が最小となり、受光した光の強度が最大のときに出力電圧値が最大となる受光素子を採用してもよい。
【0067】
前記実施形態では、現像カートリッジ5B(カートリッジ)を、感光体ユニット5Aに装着された状態(プロセスユニット5の状態)で本体筐体2に着脱可能な構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像カートリッジ5Bを、本体筐体2に対して直接着脱可能な構成(詳細には、本体筐体2に固定された感光体ユニット5Aに着脱可能な構成)としてもよい。
【0068】
前記実施形態では、カートリッジの一例として、現像ローラ54、供給ローラ55およびトナー収容室58を有する現像カートリッジ5Bを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、主にトナー収容室を有するトナーカートリッジを採用してもよいし、前記実施形態の感光体ユニット5Aと現像カートリッジ5Bとが一体(着脱不能)に構成されたプロセスユニット(プロセスカートリッジ)を採用してもよい。
【0069】
前記実施形態では、画像形成装置の一例としてレーザプリンタ1を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複写機や複合機などを採用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 レーザプリンタ
5B 現像カートリッジ
81 発光素子
82 受光素子
110 判定手段
200 検出手段
D1 差
D2 差
T トナー
Th1 判定閾値
Th2 判定閾値
V0 出力値
V1 受光基準値
V2 受光基準値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤の初期容量が異なる複数種類のカートリッジが着脱可能であり、カートリッジ内の現像剤の量を光学的に検出するように構成された画像形成装置であって、
カートリッジ内に光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射されてカートリッジ内を通った光を受光する受光素子と、
前記受光素子の出力値が受光基準値を超えた時間の割合が判定閾値を超えた場合にカートリッジの交換時期であると判定する判定手段と、
装着されたカートリッジの初期容量を検出する検出手段とを備え、
前記判定手段は、前記検出手段で検出したカートリッジの初期容量に応じて前記判定閾値を変更し、
前記判定閾値は、初期容量が少ないカートリッジの交換時期の判定に使用するものの方が大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記検出手段で検出したカートリッジの初期容量に応じて前記受光基準値を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受光基準値は、初期容量が少ないカートリッジの交換時期の判定に使用するものの方が、前記受光素子が光を受光していない状態における出力値からの差が大きいことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−186070(P2010−186070A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30396(P2009−30396)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】