説明

画像形成装置

【課題】新規の部品を感光体の周囲に配置することなく、光除電素子の不具合を検出して、速やかに警告等の必要な処置を実行できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電ローラ12aから感光ドラム11aへ流れる電流を直流電流測定回路106で検出して、光除電素子112aの寿命もしくは異常を検知してユーザーに警告を発する。光除電素子112aの異常が判断されると、それ以降の残りの画像形成ジョブについては、生産性を大幅に低下させてひとまず終了させ、画像形成装置100を待機モードに以降させ、操作パネル203を通じてユーザーに縮退モードを実行するか否かを選択させる。縮退モードは、前露光が無いことを前提とした画像形成条件にて、生産性を落として作像を行わせることで、前露光が無い状態でも、ひとまず画像形成装置100の使用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電前の感光体表面を一様露光して静電像を消去する光除電素子を備えた画像形成装置、詳しくは連続画像形成中、突然に光除電素子の機能が損なわれた場合の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー像の転写部と帯電部材の間で感光体に対向させて光除電素子を配置し、光除電素子が帯電前の感光体表面を一様に露光して前回の静電像を消去する画像形成装置が実用化されている(特許文献1)。
【0003】
光除電素子は、感光体の感光層に静電像書き込み時の露光密度よりも高い露光密度で光を照射して、感光層に大量の電荷キャリアを発生させて、帯電部材を用いた前回の帯電電位を放電させる。
【0004】
しかし、近年、感光体の回転速度(いわゆるプロセススピード)が高められた結果、光除電素子を用いた露光で発生した電荷キャリアが帯電位置まで運ばれて帯電電位を低下させる事例が出てきた。
【0005】
このため、光除電素子の露光量を、除電に必要な最小限の水準に調整して、除電露光で発生して帯電位置まで運ばれる電荷キャリアの数を減らしている(特許文献2)。
【0006】
同時に、感光体を帯電させるために帯電部材に印加する直流電圧を必要な帯電電位よりも数%〜10%割り増しして、帯電位置まで運ばれた電荷キャリアによって損なわれるであろう帯電電位を前もって補っている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11―133825号公報
【特許文献2】特開2003―307979号公報
【特許文献3】特開2001−142365号公報
【特許文献4】特開平06―006536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
連続画像形成を行っている最中に、光除電素子におけるトナー付着やランプ切れに起因して、光除電素子の露光量が突然低下する場合がある。
【0009】
このとき、上述したように、帯電部材に印加する直流電圧を必要な帯電電位よりも割り増ししていると、光除電素子の出力が低下した以降の部分で、帯電電位がそのまま高くなってしまう(図7)。その結果、感光体の露光量が低下した以降の部分に現像装置で不必要な現像剤(反転トナー、磁性キャリア)が付着し易くなることが判明した。光除電素子による除電が正常に機能しなくなるため、帯電された感光体の帯電電位分布に前回の静電像の影響が出て、ゴースト画像の画像不良が発生することもある。露光量が低下する以前と以後で出力画像の濃度差が発生することもある。
【0010】
そこで、特許文献3に示されるように、帯電部材の下流に電位センサを配置して、感光体の電位を測定し、電位が突然上昇した際に、光除電素子の不具合を警告することが提案された。
【0011】
しかし、もともと電位センサを配置していない感光体に、光除電素子の不調を警告するだけの目的で電位センサを配置することは経済的でない。感光体の小径化が進行して感光体の周囲には多数の部品が隙間無く実装されているため、比較的に大型になる電位センサを配置すること自体が困難である。
【0012】
本発明は、新規の部品を感光体の周囲に配置することなく、光除電素子の不具合を検出して、速やかに警告発令できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、感光体と、前記感光体の表面に形成された静電像をトナー像に現像する現像手段と、前記トナー像が転写媒体に転写された後の前記表面を露光して除電する光除電素子と、前記光除電素子によって除電された前記表面に接触する帯電部材と、前記静電像を形成するために前記帯電部材に帯電バイアスを印加して前記感光体を帯電させる電源とを備えたものである。そして、前記帯電バイアスによって前記感光体に流れる直流電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段によって検出された電流の減少に基づいて前記光除電素子の異常を判別したときに、前記光除電手段の異常を発令する警告発令手段とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置では、光除電素子の不具合に起因する感光体の表面の電位上昇を、帯電バイアスを印加した際に感光体を流れる電流の低下によって判別する。除電された感光体表面の帯電に必要な電流量は、除電が不十分な感光体表面の帯電に必要な電流量よりも多いからである(図8)。
【0015】
従って、電位センサのような新規の部品を感光体の周囲に配置することなく、光除電素子の不具合を検出して、速やかに警告発令できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】画像形成部の構成の説明図である。
【図3】感光ドラムの感光層の説明図である。
【図4】光除電素子の構成の説明図である。
【図5】光除電素子のライトガイドの組み立て構造の説明図である。
【図6】帯電ローラに印加する帯電電圧の制御の説明図である。
【図7】帯電ローラ位置の感光ドラム電位と前露光量との関係の説明図である。
【図8】帯電ローラを流れる直流電流値と前露光量との関係の説明図である。
【図9】前露光量とかぶり取りコントラストとの関係の説明図である。
【図10】実施例1の制御に関する各ユニットのブロック図である。
【図11】実施例1の制御のフローチャートである。
【図12】通常モードのタイムチャートである。
【図13】縮退モードのタイムチャートである。
【図14】実施例2の制御に関する各ユニットのブロック図である。
【図15】実施例2の制御のフローチャートである。
【図16】前露光量を調整する制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、転写部材を流れる電流の変化を検出して警告等を行う限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0018】
従って、転写媒体として記録材を用いる画像形成装置、すなわち感光体に形成したトナー像を記録材へ直接転写する画像形成装置でも実施できる。
【0019】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0020】
なお、特許文献1〜4に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0021】
<画像形成装置>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図2は画像形成部の構成の説明図である。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト31に沿って画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0023】
画像形成部Pdでは、感光ドラム11dにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト31に一次転写される。画像形成部Pcでは、感光ドラム11cにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト31のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部Pb、Paでは、それぞれ感光ドラム11b、11aにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて同様に中間転写ベルト31に順次重ねて一次転写される。
【0024】
中間転写ベルト31に一次転写された四色のトナー像は、二次転写部Teへ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置40で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、画像形成装置100の外部へ排出される。
【0025】
分離装置23a、23bは、記録材カセット21a、21bからピックアップローラ22a、22bによって引き出された記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ25へ送り出す。
【0026】
レジストローラ25は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト31のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部Teへ送り込む。
【0027】
ベルトクリーニング装置37は、クリーニングブレードを中間転写ベルト31に摺擦させて、二次転写部Teを通過して中間転写ベルト31に残留した転写残トナーを除去する。
【0028】
定着装置40は、ヒータ41cを設けた定着ローラ41aに加圧ローラ41bを圧接して加熱ニップを形成する。記録材Pは、加熱ニップで挟持搬送される過程で、加熱加圧を受けてトナー像を溶融させ、フルカラー画像を表面に定着される。
【0029】
転写媒体の一例である中間転写ベルト31は、テンションローラ33、駆動ローラ36、及び対向ローラ34に掛け渡して支持され、パルスモータ(不図示)に接続された駆動ローラ36に駆動されて300mm/secの周速度で矢印B方向に回転する。中間転写ベルト31は、厚さ100μmのポリイミドを用いており、二次転写部Teにおけるスラスト方向の幅330mm、周長700mmである。中間転写ベルト31の材料は、PET[ポリエチレンテレフタレート]やPVdF[ポリフッ化ビニリデン]等でもよい。
【0030】
制御部103は、画像形成装置の各ユニット内の機構の動作を制御するための制御基板やモータドライブ基板などから成る。環境センサ105は、装置内で熱源となる定着ユニット40などの影響を受けずに装置周囲の環境温度、湿度が正確に測定できるように配置されており、制御部103は、環境センサ105の出力に基づいて様々な制御を行う。
【0031】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置14a、14b、14c、14dで用いるトナーの色がブラック、シアン、マゼンタ、イエローと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、ブラックの画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
【0032】
図2に示すように、画像形成部Paは、感光ドラム11aの周囲に、帯電ローラ12a、露光装置13a、現像装置14a、一次転写ローラ35a、光除電素子112a、クリーニング装置15aを配置する。
【0033】
感光体の一例である感光ドラム11aは、帯電極性が負極性の感光層を有しており、不図示の駆動モータから駆動力を伝達されて、300mm/secのプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
【0034】
帯電部材の一例である帯電ローラ12aは、感光ドラム11aに当接して従動回転し、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を電源の一例である電源D3から印加される。これにより、感光ドラム11aの表面が一様な負極性の電位に帯電される。
【0035】
露光装置の一例である露光装置13aは、ブラックの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム11aの表面に画像の静電像を書き込む。
【0036】
現像手段の一例である現像装置14aは、二成分現像剤を攪拌して帯電させ、固定磁極14jの周囲で感光ドラム11aとカウンタ方向に回転する現像スリーブ14sに担持させ、感光ドラム11aを摺擦させる。負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が電源D4から印加されることにより、現像スリーブ14sよりも相対的に正極性となった感光ドラム11aの静電像へ負極性に帯電したトナーが移転して、静電像が反転現像される。
【0037】
二成分現像剤は、平均粒径50μmの磁性キャリアと平均粒径6μmの非磁性トナーと所定の外添剤とを混合して構成され、非磁性トナーの重量比率は5%である。磁性キャリアは、酸化鉄を主成分として固く粒子径が大きいため、感光ドラム11aへの転移を回避するように、振動電圧の直流電圧が設定されている。
【0038】
一次転写ローラ35aは、中間転写ベルト31を押圧して、感光ドラム11aと中間転写ベルト31との間に一次転写部Taを形成する。電源D1から正極性の直流電圧が一次転写ローラ35aに印加されることにより、感光ドラム11aに担持された負極性のトナー像が、一次転写部Taを通過する中間転写ベルト31へ一次転写される。
【0039】
一次転写ローラ35aは、硫黄快削鋼等の鋼材に亜鉛などのメッキを施した金属部材、あるいはアルミニウム、ステンレス鋼などの金属部材の一部又は全体を導電性ポリウレタンスポンジ層で被覆したものである。一次転写ローラ35aは、直径φ8mmの芯金の表面に厚さ4mmの弾性層を配置して直径φ16mmに形成され、1kVの電圧印加で5×107Ωの抵抗値を有するウレタンスポンジローラである。
【0040】
感光ドラム11a上のトナーの電荷保持量は30μC/gであり、温度/湿度が23℃/60%の標準環境での一次転写時には、一次転写ローラ35aの芯金に対して40μAの電流を印加している。
【0041】
クリーニング装置15aは、カウンターブレード方式を採用しており、クリーニングブレード110aを感光ドラム11aに摺擦して、一次転写部Taを通過して感光ドラム11aの表面に残留した転写残トナーを除去する。クリーニング装置15aは、クリーニング容器109aに保持されて感光ドラム11aの表面に当接しているクリーニングブレード110aとクリーニング容器109a内で長手方向に転写残トナーを搬送するスクリュー111aとを備える。
【0042】
クリーニングブレード110aは、厚み3mmのウレタンゴムで構成された自由長が8mmの弾性ブレードであって、約0.35N/cmの線圧で感光体ドラム11aに当接する。
【0043】
ところで、明暗のはっきりした画像を連続してコピーした後に、画像のハイライト部にみられるようなハーフトーン画像をコピーするとゴースト画像が形成される場合がある。ゴースト画像は、本来なら一様なハーフトーン画像とならなければならない画像の中に前回コピーした画像パターンが浮き出てしまうという問題である。
【0044】
静電像の書き込み時には、例えば−500Vに帯電した感光体表面に画像露光を行って露光部分の電位を略−100Vに低下させている。そして、現像時には、非露光部分との電位差によりトナーを露光部分に付着させて現像し、その後の転写ではプラスに帯電させた記録材が感光体に接する。このため、転写後には、感光体の表面電位が全体的にプラス方向に変化し、露光部分の電位は−100Vを越えて−50Vとなる。
【0045】
この現象が繰り返し行われると、露光前に行われる感光ドラムの一様なマイナス帯電によっても電位差が解消されず、従って、その部分だけ表面電位がプラス方向に遷移してしまい、濃いトナー像が形成されることがある。
【0046】
このようなゴーストを防止するために、光除電素子を用いた帯電前の露光(前露光)が有効である。前露光は、LEDを感光体の長手方向に整列させたアレイ状光源を使用するのが一般的で、電荷を完全に除去するために感光体の主感度波長領域と同じ波長域を使用している(特許文献1、2)。
【0047】
しかし、前露光を感光体に照射すると、帯電部材の通過後に感光体の表面電位が低下する暗減衰と呼ぶ現象が起こる。
【0048】
すなわち、感光体としては、非晶質のアモルファスシリコン感光体や有機感光体が存在するが、有機感光体は、導電性基材とその上に被覆された電荷発生層と更に、その上に被覆された電荷輸送層を備えて層構成されている。
【0049】
そして、光が照射された感光層では、電荷発生層で発生したフォトキャリア(ドラムの帯電極性とは逆の極性の電荷)が、電荷輸送層を移動して、ドラム表面の方へ移動する。これにより、帯電された暗部電位の部分と帯電電位がキャンセルされた明部電位の部分が発生して静電像が感光体に形成される。
【0050】
このとき、前露光を照射された感光体では、電荷発生層から発生したフォトキャリアが感光層表面に移動して、感光体の表面電位を均す。しかし、フォトキャリアの移動には時間がかかるため、感光体表面の電位が安定するまでに時間がかかる。
【0051】
暗減衰の現象は、感光体の表面電位が安定するまでのサイクルで、電位の安定していない状態の表面が帯電部材を通過することによって発生すると考えられる。暗減衰の現象は、帯電された後に感光層内を移動する残存フォトキャリアが存在し、そのフォトキャリアよって、帯電電位が減衰していく現象だと考えられる。
【0052】
従って、前露光や像露光を照射しない条件下においては、感光層内を移動するフォトキャリや残存フォトキャリアは発生することなく、暗減衰は起こらない。
【0053】
暗減衰の現象によって、前露光を照射する場合には、帯電部材を通過後に電位が低下するため、現像装置に達して現像スリーブとの対向面での感光体の表面電位が不確定なものとなる。暗減衰の現象によって、現像スリーブの電位と感光体の暗部電位との差であるかぶり取りコントラストVbackが不確定なものとなる。
【0054】
ここで、かぶり取りコントラストVbackが不足すると、画像の白地部に正規帯電のマイナストナーが付着してかぶり画像不良が発生する。一方、かぶり取りコントラストVbackが過剰な場合には感光体表面へ現像スリーブから磁性キャリアを吐き出してしまう現象(キャリ着と呼ぶ)や、画像の白地部に電荷が反転したトナーが吐き出される現象が発生することがある。
【0055】
従って、暗減衰によって発生した帯電電位の不確定さを補うために、特許文献3に示されるシステムでは、帯電部材と現像装置との間に感光体の表面電位を測定するための電位センサを配備している。しかし、電位センサは、感光体の直径が大きいシステムであれば配備可能であるが、感光体の外径がΦ30mm以下といった小型のシステムにおいては、配備するスペースが無い。
【0056】
このため、制御部103は、環境センサ105の出力に基づいて、暗減衰によって発生する感光ドラム11aの帯電電位の振れを予測して、帯電ローラ12aに印加する直流電圧の割り増し量を制御している。暗減衰の量を±10V程度に制御できれば、前述したキャリ着やカブリの問題は回避できるとされているからである。
【0057】
<感光ドラム>
図3は感光ドラムの感光層の説明図である。
【0058】
図3に示すように、感光体ドラム11aは、電子写真感光体の支持体Aの上に、下引き層B、電荷発生層C、電荷輸送層Dの順で積層構成された有機感光体である。
【0059】
支持体Aは、導電性を示すものであって硬度の測定に影響を与えない範囲内のものであれば、特に制限なく使用することができる。例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属や合金をドラム状に成形したものなどが使用できる。
【0060】
下引き層Bは、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、または感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。エチレン−アクリル酸共重合体を適当な溶剤に溶解し、支持体上に塗布する。下引き層Bの膜厚としては0.1〜2μmが好ましい。
【0061】
電荷発生層Cと電荷輸送層Dとを機能分離し積層させた積層型感光層を形成する場合には、下引き層B上に電荷発生層C、電荷輸送層Dの順で積層する。
【0062】
電荷発生層Cに用いる電荷発生物質は、高画質を実現するために感度を高くできるフタロシアニン化合物を用いた。
【0063】
電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライターおよびロールミルなどの方法を用いて分散させる。そして、分散液を下引き層上に塗布し乾燥させることにより電荷発生層Cを形成する。電荷発生層Cの膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
【0064】
電荷輸送層Dは、電荷輸送物質としてのポリ−N−ビニルカルバゾールを適当な結着樹脂とともに溶剤に分散/溶解し、該溶液を上述の方法を用いて電荷発生層C上に塗布し乾燥させることにより29μmの厚さに形成した。電荷輸送物質と結着樹脂の混合比率は、両者の全重量を100とした場合に、電荷輸送物質の重量は20〜90が好ましく、より好ましくは30〜80である。電荷輸送物質の量がそれ以下であると、電荷輸送能が低下し、感度低下および残留電位の上昇などの問題が生ずる。不図示の保護層が形成された積層型感光体における電荷輸送層Dの膜厚は1〜50μmが好ましく、より好ましくは3〜30μmである。保護層は、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合あるいは架橋させることにより形成することができる。
【0065】
結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、などのビニル化合物の重合体および共重合体がある。ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂もある。
【0066】
下引き層Bの材料は、他に、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ、ゼラチン等である。
【0067】
電荷発生層Cの材料は、他に、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料がある。また各種の中心金属および結晶系、より具体的には例えばα、β、γ、εおよびX型などの結晶型を有するフタロシアニン化合物がある。アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン、アモルファスシリコン等がある。電荷発生層Cは、電荷発生物質の単独組成からなる膜を蒸着法などを用いることにより下引き層B上に形成してもよい。
【0068】
電荷輸送層Dの材料は、他に、ポリスチリルアントラセンなどの複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、カルバゾールなどの複素環化合物がある。トリフェニルメタンなどのトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物がある。
【0069】
感光体ドラム11aは、長寿命を図ることが可能な非晶質シリコン系感光体か、熱により硬化させるのではなく、電子線によって硬化させる電子線硬化型感光体を用いてもよい。
【0070】
<光除電素子>
図4は光除電素子の構成の説明図、図5は光除電素子のライトガイドの組み立て構造の説明図である。
【0071】
図2に示すように、クリーニングブレード110aよりも感光ドラム11aの回転方向上流側に、光除電素子112aが配設されている。
【0072】
画像形成装置100の立ち上げ後、プリント動作を数サイクル連続して行うと、前回のサイクルで形成した静電像が次回のサイクルで薄く残り、いわゆる潜像ゴーストが出現することがある。潜像ゴーストは、1サイクル(1ページ)目で白地中にベタ黒画像を形成し、2サイクル(2ページ)目で一様なハーフトーン画像を形成する場合に顕著である。
【0073】
画像形成装置100の立ち上げ直後は感光ドラム11a表面の感度が非常に高く、1サイクル目においては感光ドラム11aの露光を受けたベタ黒部分だけ感度が低下して、ベタ黒以外の部分は感度が高いままになっている。この状態で2サイクル目の静電像を書き込むと、1サイクル目で発生した感光ドラム11a表面の感度が低下した部分が2サイクル目の一様なハーフトーン画像に浮き出してしまう。このように、1つ前のサイクルで書き込んだ静電像に相当する薄い像が次のサイクルで出てしまうことを潜像ゴーストと呼んでいる。1つ前のサイクルで書き込んだ静電像は、空気中に自然放置していれば、除々に解消されてくる。しかし、画像形成装置100のように感光ドラム11aの周速度が高速になると、1つ前のサイクルで書き込んだ静電像が自然に緩和される前に次のサイクルの静電像が上書きされるため、よりコントラスト高く潜像ゴーストが発生する。
【0074】
そこで、画像形成装置100では、潜像ゴーストを防ぐため、光除電素子112aを用いて感光ドラム11a表面を一様に露光して除電し、1つ前のサイクルで書き込んだ静電像を解消している。
【0075】
光除電素子112aは、感光ドラム11a上を前露光して画像形成前の感光ドラム表面を均一に除電し、感光ドラム1上の潜像ゴーストを除去する。
【0076】
図4に示すように、光除電素子112aは、ライトガイド501の端部に配置したLEDランプ503から光を照射し、ライトガイド501の側面から漏れさせて感光ドラム11aの表面を前露光する。ライトガイド501は、転写工程後の感光ドラム11a表面を除電すべく、感光ドラム11aに対して対向距離4mmで、感光ドラム11aの長手方向に沿って配置されている。図4では、感光ドラム11aとライトガイド501以外の部分は不図示としている。
【0077】
光除電素子112aは、LEDランプ503のスペクトルが400〜800nmにピークを有し、LEDランプ503に印加する電流を調整することで、感光ドラム11a表面における光量を5μW/inchから30μW/inchの範囲で制御可能である。
【0078】
光除電素子112aの光源であるLEDランプ503が画像形成装置本体に装備される一方、光除電素子112aの光照射部材であるライトガイド501は、感光ドラム11aを実装したプロセスカートリッジに装備されている。このため、プロセスカートリッジの交換に伴ってライトガイド501は一緒に交換されるが、LEDランプ503は交換されない。
【0079】
LEDランプ503は、画像形成装置側板(画像形成装置本体)の外側における感光ドラム1の除電幅(領域)よりも長手方向外側に装備されている。そして、LEDランプ503は、ライトガイド501の長手方向に平行な方向からライトガイド501の端面506に出力光を入射する。LEDランプ503からの光が、不必要に感光ドラム11aの端部を露光しないように、LEDランプ503を囲んで不図示の遮光措置が取られている。
【0080】
ライトガイド501には、透光率の優れた樹脂(アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン等)またはガラス等を用いる。ライトガイド501表面の感光体ドラム11aと対向する長手方向の範囲には、反射に係る凹凸部としてのV字形状の刻み502を複数設けている。
【0081】
刻み502により、ライトガイド501の端部から矢印Cのように入射された光が、ライトガイド501の長手方向に対して垂直方向(矢印D方向)に照射される。照射光は、所定の除電幅(露光幅)をもって、感光ドラム11a表面に「除電光」として照射される。
【0082】
除電光が長手方向に均一の光量で感光体ドラム11a表面に照射されるよう、刻み502の深さは、LEDランプ503から遠くなるにつれ深く、幅広くしている。刻み502は、ライトガイド501の長手方向の位置に応じて、すなわち、LEDランプ503が配置されたライトガイド501の端面506からの距離が遠くなれば遠くなるほど、その大きさが大きくなっている。
【0083】
なお、刻み502の数は任意で良く、1つとすることもできる。また、刻み502の断面形状はV字形状である必要は無く、U字形状やI字形状などその他の形状とすることもできる。刻み502の軸方向との傾きも任意である。
【0084】
また、ここでは、LEDランプ503は、ライトガイド501の片側端面に対向する位置に1個設けているが、光量が不足する場合などは、ライトガイドの両端面に対向する位置に1個づつ計2つ設けてもよい。その場合、感光ドラム1aの長手方向における露光量の分布が均一になるように、ライトガイドの刻みを中央部が最も深く(大きく)なるようにする。
【0085】
図5に示すように、実際には、ライトガイド501そのものは、LEDランプ503の出力光の利用効率を高めるために、反射カバーとしての白色の樹脂ケース504によって覆われている。樹脂ケース504は、感光ドラム1aに対向させて長手方向の開口を持ち、LEDランプ(503:図4)からの光が入射する端面506に対応させて開口507を持つ。なお、ライトガイド501の出射領域を除いた表面に反射率の高い色(白色、銀色など)の塗料を塗ってもよく、反射膜を設けてもよい。樹脂ケース504は、図2に示すように、感光ドラム11aの所定の回転位置に位置決められるように、感光ドラム11aを含むプロセスカートリッジに取り付けられている。
【0086】
光除電素子112aとして「ライトガイドタイプ」を用いた場合、LEDを複数個配列した「チップアレイタイプ」を用いる場合に比べて、感光ドラム11a表面における光量のリップル(振れ幅)も小さく、均一な前露光(除電)が可能である。また、低コストで小型軽量、省電力に光除電素子112aを配置できる。これにより、画像形成装置本体の設計自由度を損なうことなく、ハーフトーン画像などで発生する横スジ、ポジゴーストなどの画像弊害を防止し、良好な画像が得られる。
【0087】
なお、ここでは、ライトガイド501がプロセスカートリッジに具備される例を説明したが、プロセスカートリッジにライトガイドを搭載せず、画像形成装置本体側に具備される構成としてもよい。この態様によれば、ライトガイド501を搭載しない分、プロセスカートリッジのコストを低減することができる。
【0088】
<帯電ローラ>
図6は帯電ローラに印加する帯電電圧の制御の説明図である。
【0089】
図6に示すように、帯電ローラ12aは、帯電電圧を印加するための導電性支持体である軸部材(芯金12e)の外側を中抵抗の弾性層12fで覆って形成される。帯電ローラ12aは、弾性層12fの弾性を利用してギャップを作らずに感光ドラム11aと接触させる接触式帯電部材であって、比較的に低電圧で感光ドラム11aを帯電させている。
【0090】
軸部材(芯金12e)は、両端の軸受け部及び電圧印加用電極受け部と、外径がφ14mmの弾性層被覆部とが金属で一体に構成されている。
【0091】
弾性層12fは、カーボンブラック等の導電剤を分散混入させた1〜2mmの厚さを有する導電性ゴムで構成され、画像形成時の帯電ムラを防止するために、体積抵抗値10〜10Ωcmに調整してある。
【0092】
あるいは、ポリエーテルエステルアミド等のイオン導電性の高分子化合物を含有し、体積抵抗値10〜10Ωcmに制御したABS樹脂を射出成形して導電性支持体の弾性層被覆部の周面上に0.5〜1mm被覆してもよい。このように形成した抵抗調整層の表面には、酸化スズなどの導電性微粒子が分散した熱可塑性樹脂組成物からなる保護層を順次形成してもよい。
【0093】
電源D3は、直流電圧に周波数fの交流電圧を重畳した振動電圧(バイアス電圧Vdc+Vac)を帯電ローラ12aの芯金12eに印加する。これにより、回転する感光ドラム11aの周面がバイアス電圧Vdcの電位に帯電処理される。電源D3は、直流(DC)電源101と交流(AC)電源102を有している。
【0094】
制御部103は、電源D3のDC電源101とAC電源102をオン・オフ制御して帯電ローラ12aに直流電圧と交流電圧のどちらか、若しくはその両方の重畳電圧を印加するように制御する。また、制御部103は、DC電源101から帯電ローラ12aに印加する直流電圧値と、AC電源102から帯電ローラ12aに印加する交流電圧のピーク間電圧値とを制御する。
【0095】
交流電流測定回路104は、感光ドラム11aを介して帯電ローラ12aに流れる交流電流値を測定して形成した交流電流値情報を制御部103に入力する。
【0096】
環境センサ105は、画像形成装置(100)が設置されている環境の温後及び湿度を測定して形成した環境情報を制御部103に入力する。
【0097】
制御部103は、これらの交流電流値情報、環境情報等に基づいて、画像形成の帯電工程における帯電ローラ12aに対する印加交流電圧の適切なピーク間電圧値の演算・決定プログラムを実行する。
【0098】
<直流電流測定回路>
図7は帯電ローラ位置の感光ドラム電位と前露光量との関係の説明図、図8は帯電ローラを流れる直流電流値と前露光量との関係の説明図、図9は前露光量とかぶり取りコントラストとの関係の説明図である。
【0099】
図2に示すように、1つ前のサイクルで書き込んだ静電像の潜像ゴーストは、光除電素子112aの前露光量が大きいほど除電効果が高まって薄くなり、前露光量が小さいほど除電効果が低下して濃くなる。一方、光除電素子112aの前露光によって感光ドラム11aの感光層に発生した前露光キャリアをキャンセルするのに帯電電荷が消費されるため、前露光量が大きいほど帯電性能は悪くなり、前露光量が小さいほど帯電性能は良くなる。このような観点から、前露光量は許容レベルに潜像ゴーストを抑制できるぎりぎりの露光量に設定されることが望ましい。
【0100】
しかし、前露光量は画像形成の通算枚数が増えて耐久寿命に近付くに連れて前露光ランプの寿命により小さくなってしまい、またやがては、完全に消灯してしまう。その結果、耐久寿命に近付くに連れて潜像ゴーストが悪化してしまう。
【0101】
この問題を解決するために、光除電素子112aの前露光量減少を考慮して予め十分大きな前露光量に設定しておくことが考えられる。しかし、前露光量が大きいほど帯電性能は悪くなってしまうため、この方法では十分なドラム表面電位を得ることができないことがある。
【0102】
また、上述したように、制御部103は、光除電素子112aの正常な前露光量を前提として、環境センサ105の出力に基づいて感光ドラム11aの暗減衰量を予測した直流電圧を帯電ローラ12aに印加している。このため、光除電素子112aが過度に汚れてしまったり、寿命を迎えて点灯しなくなったりすると、予測が外れて帯電ローラ12aに印加される直流電圧が不適切になる。
【0103】
すなわち、暗減衰が喪失した分、帯電部材を通過した感光体の表面電位は高くなり、上述した感光体の白地部の表面電位と現像スリーブの電位との電位差であるかぶり取りコントラストVbackが過剰になる。この場合においては、磁性キャリアの感光ドラム11aへの移転(キャリ着)が発生し、異常画像、感光体表面の傷、クリーニングブレードの欠けなどの二次災害を引き起こす可能性が出てくる。
【0104】
そこで、画像形成装置本体内部に専用の前露光量測定センサを設け、前露光量測定センサからのセンサ情報に基づいて前露光量を制御する方法が考えられた。しかし、前露光量測定センサは、装備コストや感光ドラム11a周りのサイズの制約を考えると望ましくない。
【0105】
そこで、本実施形態では、図6に示すように、帯電ローラ12aから感光ドラム11aへ流れる電流を直流電流測定回路106で検出して、光除電素子112aの寿命もしくは異常を検知してユーザーに警告を発する。前露光量が減少すると感光ドラム11aの表面電位がマイナス方向に上昇するため、所定のマイナス電位に帯電させるために帯電ローラ12aから感光ドラム11aへ供給すべきマイナス電荷量が少なくて済む。このため、所定の帯電バイアスが印加された帯電ローラ12aを流れる直流電流が減少したことを検出すれば、光除電素子112aの前露光量が減少したことを判別できる。
【0106】
感光ドラム11aと帯電ローラ12aとの間に流れる直流電流を電流検出するため、感光体ドラム11aの回転軸を接地電位から切り離して、感光体ドラム11aの回転軸と接地電位との間に直流電流測定回路106を配置している。直流電流測定回路106は、直流電圧と交流電圧とを重畳した帯電バイアスが印加された帯電ローラ12aから感光ドラム11aを経由して接地電位へ流れる直流電流を取り出す固定抵抗を備える。また、帯電ローラ12aに印加された交流電圧による交流電流をバイパスするコンデンサと、固定抵抗の両端に発生する直流電圧を増幅して0〜5Vのアナログ電圧に変換して制御部103へ出力する出力回路とを含む。
【0107】
制御部103は、直流電流測定回路106の出力を検出して、光除電素子112aの通過後から帯電ローラ12a到達前までの感光ドラム11aの電位の状態、すなわち光除電素子112aの点灯状況を判断する。警告発令手段の一例である制御部103は、電流検出手段の一例である直流電流測定回路106によって検出された電流の減少に基づいて光除電素子の異常を判別したときに、光除電手段の異常を発令する。
【0108】
図2を参照して図7に示すように、光除電素子112aの前露光量が増えると、帯電ローラ12aに到達する感光ドラム11aの表面電位は低下する。逆に、光除電素子112aの前露光光量が12μW/inch以下になると、前露光量が減少するにつれて帯電ローラ12aに当接する感光ドラム11aの表面電位が次第に上昇する。
【0109】
図2を参照して図8に示すように、感光ドラム11aの表面電位の上昇に伴って、等しい帯電バイアスを印加された帯電ローラ12aに流れる直流電流が減少する。光除電素子112aの前露光光量が12μW/inch以下になると、前露光量が減少するにつれて帯電時に帯電ローラ12aと感光ドラム11aとの間に流れる直流電流は減少する。
【0110】
図9は、現像スリーブ14sに印加される現像バイアスの直流電圧Vdcを固定値にして、帯電された感光ドラム11aの表面が現像位置に達した際の現像スリーブ14sと感光ドラム11aの電位差を計算した線図である。
【0111】
図2を参照して図9に示すように、光除電素子112aの前露光量が減ると、現像装置14aにおけるかぶり取りコントラストVbackが上昇する。等しい帯電バイアスを印加された帯電ローラ12aで帯電された感光ドラム11aの表面電位が上昇するため、現像スリーブ14sに印加された直流電圧との差電圧(=かぶり取りコントラストVback)が50V近く上昇する。
【0112】
このため、光除電素子112aの前露光量が過度に低くなると、かぶり取りコントラストVbackが大きくなって、現像スリーブ14sから感光ドラム11aへ二成分現像剤の磁性キャリア(+)が移転し易くなる。粒子径の大きな磁性キャリアが画像に混在していると、キャリ付き画像という不良画像となる。また、現像スリーブ14sに担持された少数派の反転トナー(+)が画像の白地部に付着することで、かぶり画像不良が発生し易くなる。
【0113】
すなわち、光除電素子112aの前露光によって減衰していた感光ドラム11aの帯電電位が、光除電素子112aの異常によって減衰されなくなった分だけ上昇する。その結果、現像スリーブ14sと感光ドラム11aとの対向面において、帯電電位と直流電圧Vdcとの差分であるかぶり取りコントラストVbackが大きくなる。大きなかぶり取りコントラストVbackは、磁性キャリアを現像スリーブ14sから感光ドラム11aへ移転させて連れ回らせ、感光ドラム11aの損傷やクリーニングブレードの欠けを誘発する場合もある。
【0114】
また、光除電素子112aの重要な役割である一次転写後の感光ドラム11aの表面電位を均す効果、すなわち、前回の作像で形成された静電像の残りを解消する効果が無くなる。このため、前回の作像で形成された静電像に起因する電位ムラ差を残した状態で帯電が行われて、帯電面に微弱な帯電ムラが形成されて、ハーフトーン画像に濃度ムラ(ゴースト画像)が発生し易くなる。
【0115】
従って、以下の実施例では、キャリ着画像の発生を未然に防ぐために、直流電流測定回路106によって光除電素子112aの前露光量の変化を検出する。帯電ローラ12aから感光ドラム11aに流れる直流電流を常時検出し、検出した電流値から、光除電素子112aの点灯状況を推測して異常状態を速やかに検出している。
【0116】
<実施例1>
図10は実施例1の制御に関する各ユニットのブロック図、図11は実施例1の制御のフローチャート、図12は通常モードのタイムチャート、図13は縮退モードのタイムチャートである。
【0117】
図10を参照して図11に示すように、制御部103は、作像が開始されると(S11)、画像間のタイミングで、直流電流測定回路106の出力を読み込み、帯電に必要な直流電流を測定する(S12)。
【0118】
画像間のタイミングで直流電流を測定する理由は、白地部のため一次転写後の電位が安定しているという点と、生産性を落とさないという点である。
【0119】
すなわち、画像の位置では、前回の作像で様々な静電像が書き込まれているため、一次転写部を通過した際の電位は、例えば、白地部(未露光部分)が約−300Vで、黒画像(露光部分)の電位は約−50Vになっている。このため、画像の位置で直流電流を測定した場合、そこが前回の作像で白地部だったか黒画像だったかの違いで測定結果に差が出てしまい、光除電素子112aの異常を正確に判断できなくなる。
【0120】
また、実施例1では、画像間隔(紙間)を30mmとして、感光ドラム11aの回転速度が300mm/secとしているため、画像間隔の通過時間は100msecとなる。100msecあれば、8msec間隔のサンプリングを10回行って十分な測定精度を確保できるため、直流電流を測定するために画像間隔(紙間)を拡大して生産性を低下させる必要が無い。
【0121】
なお、直流電流を測定する位置の前回の作像条件が一定に固定できるのであれば、前回の画像の位置で直流電流を測定しても上記のような誤差を招かないで済む。
【0122】
制御部103は、測定した直流電流を、メモリ202に格納された前回測定した直流電流から差し引いて差分ΔIdcを算出する(S13)。
【0123】
制御部103は、差分ΔIdcがΔIdc<5μAであれば(S14のYES)、光除電素子112aの異常が無いとして、通常の作像動作を継続する(S17)。
【0124】
しかし、ΔIdc≧5μAであれば(S14のNO)、制御部103は、光除電素子112aのLEDランプが寿命に達した、又は光除電素子112aが急激なトナー飛散で汚れた旨を操作パネル203上に表示する。また、サービスマンへの通報を必要と判断し、サービスサポートを要求する警告をネットワークを介してサービスステーションへ発信する(S15)。
【0125】
このとき、光除電素子112aの異常を放置したままで、残りの画像形成ジョブを継続した場合、上述したように、かぶり取りコントラストVbackが大きくなることによって、不良画像が出力される可能性がある。しかし、1つの画像形成ジョブを途中で中断した状態で画像形成装置100の復帰を待つことは好ましくない。
【0126】
そこで、光除電素子112aの異常が判断されると、それ以降の残りの画像形成ジョブについては、画像間隔を大幅に拡大し、通常の作像における1枚おきのタイミングで作像を実行させる。このとき、かぶり取りコントラストVbackの増加を相殺すべく帯電ローラ12aに印加する直流電圧を暫定的に50V下げる。そして、その画像形成ジョブが終了した段階で、画像形成装置100を待機モードに以降させ、操作パネル203を通じてユーザーに縮退モード(S16)を実行するか否かを選択させる。
【0127】
縮退モード(S16)は、前露光が無いことを前提とした画像形成条件にて、生産性を落として作像を行わせることで、前露光が無い状態でも、ひとまず画像形成装置100の使用を可能にする。
【0128】
すなわち、感光ドラムのキャリ着や、ゴースト画像の発生を無視したまま画像形成を行った場合、深刻な画像不良へ発展してしまうため、本来であれば、作像を一時停止してサービスマンのメンテナンスを待つのが望ましい。しかし、通報して直ぐにサービスマンが対応できない場合、あるいはユーザーが出力を急いでいる場合、画像形成装置100の使用を禁止することは好ましくない。
【0129】
そこで、制御部103は、光除電素子112aの異常と判断した場合も、完全には作像動作を停止させず、縮退モード(S16)に移行させることを可能とし、縮退モードへ移行することをユーザーに通知している(S15)。
【0130】
ユーザーが出力を重視している場合は、操作パネル203を通じて縮退モードへの移行を許可するので、制御部103は、直ちに縮退モードへ移行する(S16)。
【0131】
操作パネル203においては、基本設定を縮退モードへの移行可と設定しており、特にユーザーから、縮退モードへの移行を禁止するように操作がされない限りは、縮退モードへ移行している(S16)。縮退モードは、生産性を落とす以外は、画像上の問題や感光ドラム寿命への影響が少ないからである。
【0132】
しかし、もちろん、縮退モードへの移行の弊害が多いと判断できる場合は、ユーザーの指示があって初めて縮退モードへ移行するように設定することも可能である。
【0133】
さて、縮退モードは、次のような画像形成条件の変更を伴う(S16)。
(1)画像形成開始時の前回転の回数を1回増して露光装置により1回転の全面露光を行う。これにより、感光層の感度が高いために1枚目の画像で特に発生し易いドラムゴーストを回避する。
(2)帯電バイアスの直流電圧を低下させる。これにより、かぶり取りコントラストVbackを正常な値に戻して感光ドラムへの磁性キャリア付着や画像不良を回避する。
【0134】
図12に示すように、光除電素子112aが正常であれば、画像形成ジョブを受信後、光除電素子112aを点灯して5回転の前回転が実行される。前回転の間に帯電バイアス、現像バイアスの印加が開始され、転写電圧の自動設定が行われて画像形成が開始される。そして、通常モードでは、帯電バイアスの直流電圧は、前露光による減衰を見越した−700Vである。
【0135】
図13に示すように、縮退モードでは、画像形成ジョブを受信後、光除電素子112aを点灯しないで、連続画像形成に先立たせて、通常よりも1回多い6回転の前回転が実行される。前回転の間に通常の動作に加えて、露光装置13a、13b、13c、13dによる感光ドラム11aの1回転の全面露光が行われる。そして、帯電バイアスの直流電圧は、前露光がある場合よりも−50V低い−650Vである。
【0136】
通常モードでは、帯電バイアスの直流電圧は、−700Vが印加されるのに対して、縮退モード時は、通常モードでの前露光による感光ドラムの暗減衰量を50Vと見込んで、帯電電位を−650Vに下げている。電源D3に制御部103から帯電高圧設定の変更が指示され、前露光による減衰の見込量だけ帯電高圧が低く設定される。
【0137】
すなわち、感光ドラム11aが連続画像形成に先立って回転を開始すると、通常モードでは、回転開始から約3〜7周くらいで帯電バイアスの直流電圧の印加が開始され、感光ドラム11aの電位が安定状態に保持されるのを待って、作像が開始される。
【0138】
これに対して、縮退モードでは、連続画像形成に先立たせて感光ドラム11aの1周分、前回転時間が延長される。そして、追加した前回転の1回転については、帯電バイアスの印加と露光装置13aによる全面露光とを行って、感光ドラム11aの全面にわたって残された電位ムラ、感度ムラの除去を行う。そして、露光装置13aによる全面露光を行って電位ムラ、感度ムラを除去することにより、前露光による残電除去効果がなくなっても、ゴースト画像の発生を抑制することが可能となる。
【0139】
ここで、露光装置13aによる露光量は、走査を伴わない光除電素子112aの露光量に比較して小さいため、必要な除電効果を確保するためには、露光装置13aの露光量を通常の黒画像の露光時よりも高めることが望ましい。
【0140】
その後の連続画像形成及び後回転動作については、縮退モード時も通常モード時と全く同じシーケンスで動作させる。このため、縮退モードへの移行した場合のデメリットは、前回転時間が感光ドラム11aの1回転分長くなり、その分の生産性が失われることに尽きる。縮退モードの効果を表1に示す。
【0141】
【表1】

【0142】
表1は、光除電素子112aを点灯しないで、帯電バイアスの直流電圧を複数段階に変化させて、帯電位置の感光ドラム電位、かぶり取りコントラストVback、画像不良の有無を比較した実験結果である。
【0143】
表1に示すように、実施例1の制御によって、帯電に伴って帯電ローラに流れる直流電流で前露光の異常状態を正確に検出して速やかに警告を行うことが可能になった。また、前露光の異常時にも画像形成装置を完全停止させるのではなく、縮退モードによって、画像不良を発生することなく画像形成動作を継続することが可能になった。
【0144】
<実施例2>
図14は実施例2の制御に関する各ユニットのブロック図、図15は実施例1の制御のフローチャート、図16は前露光量を調整する制御のフローチャートである。
【0145】
実施例1では、帯電に伴う直流電流の前回測定値と今回測定値との差分ΔIdcが5μA以上になったときに、直ちに光除電素子112aの異常と判断して縮退モードへの移行を促した。
【0146】
実施例2では、帯電に伴う直流電流の前回測定値と今回測定値との差分ΔIdcが5μA以上になったときに、ひとまず光除電素子112aの動作確認を行い、光除電素子112aが機能回復不可能な場合にのみ縮退モードへの移行を促す。そして、光除電素子112aが機能回復可能な場合には機能回復させて通常モードを継続させる。
【0147】
実施例2における帯電に伴う直流電流の測定と、測定値を比較して縮退モードへの移行を判断する制御は実施例1と同一であるため、図15中、図11と共通するステップには共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0148】
図14に示すように、素子電流測定回路209は、光除電素子112aに流れる電流を測定する。前露光量制御回路208は、光除電素子112aに流れる電流を制御して光除電素子112aの露光出力を変化させる。
【0149】
図14を参照して図15に示すように、制御部103は、作像が開始されると(S11)、前回の画像の間隔のタイミングで直流電流測定回路106によって帯電ローラ12aに流れる直流電流を測定する(S12)。
【0150】
制御部103は、メモリ202に格納された前回測定値と今回測定値との差分ΔIdcを算出して(S13)、差分ΔIdcが5μA未満であれば(S14のYES)、通常モード(図12)の作像を継続する(S17)。
【0151】
しかし、差分ΔIdcが5μA以上であれば(S14のNO)、制御部103は、素子電流測定回路209を作動させて、光除電素子112aに電流が流れているか否かを検出する(S21)。
【0152】
制御部103は、光除電素子112aに電流が流れていない場合(S22のNO)、画像間隔を拡大して画像形成ジョブの残りを終わらせて、縮退モードの許可待ち状態で画像形成装置を待機させる(S15)。その後、ユーザーの許可を得て縮退モードを実行する(S16)。
【0153】
一方、制御部103は、光除電素子112aに電流が流れている場合(S22のYES)、画像間隔を拡大して画像形成ジョブの残りを終わらせた後に、光除電素子112aの露光出力の調整を実行する(S23)。
【0154】
制御部103は、前露光量制御回路208に前露光量の適性化を行うコマンドを送信し、直流電流測定回路106による測定結果に基づいて前露光量制御回路208を制御して光除電素子112aの前露光量を調整する(S23)。
【0155】
制御部103は、露光出力の変更に伴って必要な前露光量までの補正が可能か否かの判断も実施する(S24)。
【0156】
制御部103は、前露光量の補正が可能だと判断された場合(S24のYES)は、前露光量補正を実行して(S25)、通常モード(図12)の作像を許可する(S17)。しかし、前露光量の補正が不可能だと判断された場合(S24のNO)は、縮退モードの許可待ち状態で画像形成装置を待機させる(S15)。縮退モードの変更内容は、実施例1と全く同様である。
【0157】
ここで、光除電素子112aの前露光量を調整する制御(S23)は、図16のフローチャートに従って実行される。
【0158】
図14を参照して図16に示すように、光除電素子112aに電流が流れて前露光光量の変更が必要だと判断されると(S22のYES)、制御部103は、前露光量の不足分を算出する(S23−1)。
【0159】
制御部103は、前露光量制御回路208によって前露光量を2段階に切り替え、それぞれの前露光量において、直流電流測定回路106を用いて直流電流Idcを再測定する。前露光量の切り替えに関しては、通常使用している前露光量に対して、それよりも充分大きい前露光量と充分小さい前露光量の2段階に振るのが好ましい。
【0160】
実施例2では、通常の前露光量の設定は、約15μW/inchを狙った前露光量に設定しており、2段階に切り替える再測定の前露光量は、それぞれ10μW/inchと30μW/inchに設定している。制御部103は、直流電流Idcの測定結果を用いて光量補正式1の各定数を演算する。
Y=αX+β・・・光量補正式1
【0161】
すなわち、2段階に切り替える前光量をL1、L2とし、それぞれの前露光量における直流電流の測定値を量をIdc1、Idc2とする。L1、L2、Idc1、Idc2を光量補正式1に代入することで、定数α、βをそれぞれ算出する。
【0162】
そして、メモリ202に格納されたイニシャライズ時の測定値Idc−intに対応する前光量L−detを光量補正式1によって算出する(S23−1)。続いて、前露光量制御回路208に前露光量L−detを設定して光除電素子112aに前露光を行わせる。そして、直流電流測定回路106によって、前露光した位置で帯電ローラ12aに流れる直流電流の測定値Idc−detを再度測定する。次に、イシャライズ時の測定値Idc−intと前露光量L−detでの測定値Idc−detとの差分ΔIdc−intを算出する(S23−2)。
【0163】
制御部103は、差分ΔIdc−intが5μA未満であれば(S24−1のYES)、前露光量を適正出力に制御可能だと判断して前露光量L−detを設定する(S25)。
【0164】
制御部103は、差分ΔIdc−intが5μA以上であれば(S24−1のNO)、前露光量の補正がハード的には不可能だと判断して(S24−2)、縮退モードへの移行を実行する(S15)。
【0165】
実施例2の制御によれば、前露光の異常状態を帯電ローラ12aから感光ドラム11aに流れる直流電流を測定することで、前露光の異常を検出することが可能になる。また、実施例2の制御では、前露光の異常が修復不可能であるか可能であるかの判断もできるので、縮退モードへの移行を極限まで抑えて、通常モードでの作像を極力可能な限り行うことができる。
【0166】
そして、前露光の異常時にも本体を停止させるのではなく、縮退モードによる作像動作が可能になり、異常画像の発生を未然に防ぎつつ上述した二次災害を防ぐことが可能となる。
【0167】
<実施例3>
縮退モードとしては、実施例1、2に記載した手順及び制御内容には限定されない。
【0168】
実施例3では、光除電素子112aの異常に対処する制御は、帯電ローラ12aに出力される直流電圧を低下させてかぶり取りコントラストVbackを通常レベルに復帰させる点では実施例1、2と同じである。しかし、ユーザーによる選択を待つことなく、それまでよりも画像間隔を拡大させて、生産性を低下させた状態で、連続画像形成をそのまま継続させる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
転写部と帯電部材との間で前露光を行って前回の静電像の残りを消去する画像形成装置。
【符号の説明】
【0170】
11a 感光ドラム
12a 帯電ローラ
13a 露光装置
14a 現像装置
15a クリーニング装置
35a 一次転写ローラ
100 画像形成装置
101 DC電源
102 AC電源
103 制御部
105 環境センサ
106 直流電流測定回路
112a 光除電素子
203 操作パネル
208 前露光量制御回路
209 素子電流測定回路
501 ライトガイド
503 LEDランプ
D1、D2、D3、D4 電源
Ta 一次転写部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体の表面に形成された静電像をトナー像に現像する現像手段と、前記トナー像が転写媒体に転写された後の前記表面を露光して除電する光除電素子と、前記光除電素子によって除電された前記表面に接触する帯電部材と、前記静電像を形成するために前記帯電部材に帯電バイアスを印加して前記感光体を帯電させる電源と、を備えた画像形成装置において、
前記帯電バイアスによって前記感光体に流れる直流電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段によって検出された電流の減少に基づいて前記光除電素子の異常を判別したときに、前記光除電手段の異常を発令する警告発令手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電流検出手段によって検出された電流の減少に基づいて前記光除電素子の異常を判別したときに、前記光除電素子の異常に対処するための縮退モードの制御を可能にする制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記警告発令手段は、連続画像形成の画像間隔に対応させた前記感光体の回転位置で前記電流検出手段によって検出された前回の電流値と今回の電流値とを比較することにより、電流の減少を判別することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記縮退モードの制御は、前記電源から前記帯電部材に出力される直流電圧を低下させる制御を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記縮退モードの制御は、前記光除電素子の露光量を増加させて前記電流検出手段によって電流を再測定して前記光除電素子の露光量を調整する制御を含むことを特徴とする請求項2乃至4いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材を用いて帯電された前記感光体の表面を露光して前記静電像を形成する露光装置を備え、
前記縮退モードの制御は、連続画像形成の開始に先立たせて前記露光装置を用いて前記表面を露光して除電する制御を含むことを特徴とする請求項2乃至5いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記縮退モードの制御は、警告を表示して連続画像形成を待機させた状態で、生産性を低下させて連続画像形成を行う選択をユーザーに行わせる制御を含むことを特徴とする請求項2乃至6いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記電流検出手段によって検出された電流の減少を判別すると、それまでよりも画像間隔を拡大させて連続画像形成の残りを終了させた後に、次の連続画像形成を待機させることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−190968(P2010−190968A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32773(P2009−32773)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】