説明

画像形成装置

【課題】一旦形成した手書き合成画像をスムーズに再利用する。
【解決手段】メモリーカード42に記憶され画像選択画面上でユーザーに選択された合成前の元画像72に合成シートに手書きされた手書き画像を合成する合成処理を実行し、合成処理された手書き合成画像76を合成前の元画像72と共に格納するファイル12を作成してメモリーカード42に記憶する。これにより、次に手書き合成画像76を印刷する際には、画像選択画面上で選択するだけでよく、合成シートを保管したり保管した合成シートを用いて再び手書き合成画像76を合成処理する必要がない。また、手書き合成画像76は、合成前の元画像72と共にファイル12に格納されるので、検索性を向上させることができる。この結果、一旦合成処理した手書き合成画像76を次回再び印刷するときに、スムーズに再利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーにより選択された画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、デジタルカメラなどで撮影された画像の中からユーザーにより選択された画像に文字やイラストなどが手書きされた手書き画像を合成処理した合成画像を印刷する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ユーザーにより選択された画像を紙媒体であるオーダーシートに薄く印刷し、文字やイラストなどが手書きされたオーダーシートをスキャナーで読み取って合成処理するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−287367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した画像形成装置では、オーダーシートを読み取ったときに合成処理することはできるものの合成画像の再利用については考慮されていない。このため、次に同じ合成画像を印刷する際には、一旦合成処理した画像であるにも拘わらず、再びオーダーシートを読み取って合成処理しなければならない。また、このためにオーダーシートを保管しておく必要が生じるが、紙媒体であるオーダーシートはその保管状態や保管期間によっては退色したり変色したりするため、再び合成処理した合成画像の色合いが当初の合成画像と異なったものとなることがある。
【0005】
本発明の画像形成装置は、一旦形成した手書き合成画像をスムーズに再利用することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像形成装置は、
ユーザーにより選択された画像を形成する画像形成装置であって、
記憶手段に記憶された複数の画像ファイルからユーザーによる画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
ユーザーにより手書きされた文字やイラストを含む手書き画像を読み取る読取手段と、
通常モード時には前記選択された画像を形成し、手書き合成モード時には前記読み取られた手書き画像を前記選択された画像に合成して手書き合成画像を形成する画像形成手段と、
前記手書き合成モード時には前記形成された手書き合成画像と前記選択された画像とを共に格納する単一の画像ファイルを前記選択受付手段と前記画像形成手段とにより処理が可能な形式で作成するファイル作成手段と、
前記作成された画像ファイルを前記記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の画像形成装置では、記憶手段に記憶された複数の画像ファイルからユーザーによる画像の選択を選択受付手段により受け付け、通常モード時には選択された画像を画像形成手段により形成し、手書き合成モード時には読取手段により読み取られた文字やイラストを含む手書き画像を選択された画像に画像形成手段により合成して手書き合成画像を形成し、形成された手書き合成画像と選択された画像とを共に格納する単一の画像ファイルを選択受付手段と画像形成手段とにより処理が可能な形式で作成して記憶手段に記憶する。これにより、一旦形成した手書き合成画像を次回再び利用する際には、記憶手段に記憶された画像ファイルから選択すればよく、手書き画像を保管したり保管した手書き画像を再び読み取って合成画像を形成する必要がない。また、手書き合成画像は、選択された画像と共に単一の画像ファイルに格納されるので、選択された画像と異なる画像ファイルに別々に格納するものに比して、検索性を向上させることができる。この結果、一旦形成した手書き合成画像を次回再び形成するときにスムーズに再利用することができる。
【0009】
こうした本発明の画像形成装置において、前記ファイル作成手段は、前記選択された画像を主画像とすると共に前記手書き合成画像を該主画像のヘッダーを起点とするアクセス用のアドレス情報を設定して該主画像に従属する従属画像とし、複数の画像が格納されていることを示す拡張子を付与して前記単一の画像ファイルを作成する手段であり、前記選択受付手段と前記画像形成手段とは、前記拡張子が付与された画像ファイルが前記記憶手段に記憶されているときには、前記アドレス情報に基づいて前記従属画像とされた手書き合成画像にアクセスする手段であるものとすることもできる。こうすれば、単一の画像ファイルに複数の画像が格納されていても、手書き合成画像にスムーズにアクセスすることができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記ファイル作成手段は、前記読み取られた手書き画像を併せて格納して前記単一の画像ファイルを作成する手段であるものとすることもできる。こうすれば、手書き画像のみの再利用が可能となる。
【0011】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記選択受付手段は、前記複数の画像ファイル内の画像を縮小したサムネイル画像を用いてユーザーによる画像の選択を受け付ける手段であるものとすることもできる。こうすれば、手書き合成画像の画像サイズが比較的大きなものとなっていても、スムーズに画像の選択処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】マルチファンクションプリンター10の構成の概略を示す構成図。
【図2】メモリーカード42に記憶された画像ファイルの一例を示す説明図。
【図3】手書き合成画像印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】合成処理される前後の画像の一例を示す説明図。
【図5】手書き合成画像がメモリーカード42に記憶された様子を示す説明図。
【図6】手書き合成画像が記憶された後の画像選択画面80の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の画像形成装置の一実施形態であるマルチファンクションプリンター10の構成の概略を示す構成図である。マルチファンクションプリンター10は、図示するように、印刷ジョブに基づいて記録紙Sに印刷を実行するプリンターユニット20と、ガラス台36に載置された書類を読み取るスキャナーユニット30と、メモリーカードスロット40に挿入されたメモリーカード42との間でデータを格納したファイルの入出力を行なうメモリーカードコントローラー44と、各種情報を表示部52に表示したりユーザーの指示をボタン群54の操作を介して入力したりする操作パネル50と、装置全体の制御を司るメインコントローラー60とを備えている。このマルチファンクションプリンター10では、プリンターユニット20やスキャナーユニット30,メモリーカードコントローラー44,メインコントローラー60がバス12を介して互いに各種制御信号やデータのやり取りをすることができるよう構成されている。
【0014】
プリンターユニット20は、プリンターASIC22とプリンターエンジン24とを備えている。プリンターASIC22は、プリンターエンジン24を制御する集積回路であり、メインコントローラー60から印刷指令を受けると、その印刷指令の対象となる画像データに基づいて記録紙Sに印刷するようプリンターエンジン24を制御する。また、プリンターエンジン24は、印刷ヘッドから記録紙Sへインクを吐出することにより印刷を行なう周知のインクジェット方式のカラープリンター機構として構成されている。なお、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。
【0015】
スキャナーユニット30は、スキャナーASIC32とスキャナーエンジン34とを備えている。スキャナーASIC32は、スキャナーエンジン34を制御する集積回路であり、メインコントローラー60からのスキャン指令を受けると、ガラス台36に載置された書類を画像データとして読み取るようスキャナーエンジン34を制御する。また、スキャナーエンジン34は、周知のイメージスキャナーとして構成され、書類に向かって発光した後の反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解してスキャンデータとする周知のカラーイメージセンサーを備えている。
【0016】
メモリーカードコントローラー44は、メモリーカードスロット40に挿入されたメモリーカード42との間でデータを格納したファイルの入出力を行なうものである。このメモリーカードコントローラー44は、メモリーカードスロット40にメモリーカード42が接続されているとき、メモリーカード42に記憶されているファイルを読み出してメインコントローラー60に送信したりメインコントローラー60からの命令を入力しその命令に基づいてメモリーカード42にファイルを記憶したりする。
【0017】
メインコントローラー60は、CPU62を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶したROM64と、一時的にスキャンデータや印刷データなどを記憶するRAM66と、電源を切ってもデータを保持可能なフラッシュメモリー68と、操作パネル50との通信を可能とする内部通信インターフェース(I/F)69とを備えている。このメインコントローラー60は、プリンターユニット20やスキャナーユニット30,メモリーカードコントローラー44からの各種動作信号や各種検出信号を入力したり、操作パネル50のボタン群54の操作に応じて発生する操作信号を入力したりする。また、メモリーカード42からファイルを読み出してメインコントローラー60へ出力する読出指令をメモリーカードコントローラー44に出力したり、画像データの印刷を実行するようプリンターユニット20に印刷指令を出力したり、操作パネル50のボタン群54のスキャン指令に基づいてガラス台36に載置された書類を画像データとして読み取るようスキャナーユニット30に読取指令を出力したり、操作パネル50に表示部52の制御指令を出力したりする。
【0018】
ここで、本実施形態のマルチファンクションプリンター10は、1つの画像を通常のデータ構造でまとめた通常のファイルや複数の関連性のある画像を集合形式のデータ構造でまとめた集合ファイルを扱うことができる。図2は、メモリーカード42に記憶されたファイルのデータ構造の一例を示す説明図である。ファイル1〜5は、いずれも画像がJPEG方式で符号化されたファイルであり、拡張子として「jpg」が付与されている。ファイル2の拡大図にその一例を示すように、これらは、データの先頭を示すマーカであるSOI(Start Of Image),撮影日時や絞り値などの撮影データや画像データサイズなどの画像に関する情報であるExif付属情報と画像データ本体を所定サイズにリサイズしたサムネイル画像とを記録するマーカーセグメントAPP1,JPEG方式で符号化された画像データ本体,データの終了を示すマーカであるEOI(End Of Image)とから構成されている。一方、ファイル6は、複数の画像を1つの主画像とその主画像に従属する従属画像として集合形式のデータ構造でまとめて格納した集合ファイルであり、本実施形態では、このようなファイル規格をサンプルフォーマットと称し拡張子として「sp」を付与するものとした。なお、これらの名称や拡張子は一例であり、これに限られるものではない。このファイル6には、拡大図に示すように、画像1〜画像nまでのn個の画像データが格納されており、各画像データは、データの先頭を示すマーカであるSOI,上述と同様のデータを記録するマーカーセグメントAPP1,サンプルフォーマットで規定されたサンプルフォーマット付属情報を記録するマーカーセグメントAPP2,JPEG方式で符号化された画像データ本体,データの終了を示すマーカであるEOIとから構成されている。本実施形態では、画像1を主画像とし、画像2以降を従属画像とするものとした。主画像である画像1のマーカーセグメントAPP2には、集合ファイルに格納されている画像の数を示す格納画像数Gnや画像種別、各画像のサイズ、マーカーセグメントAPP2の先頭位置を起点とした各画像のSOIへのアクセス用のアドレス情報であるオフセット値などが記録され、従属画像である画像2以降のマーカーセグメントAPP2には、画像番号などが記録される。画像種別には、格納されている複数の画像の関連が示され、例えば、複数の画像として手書き合成前の画像と手書き合成後の画像とが格納されているときには手書き合成と記録され、複数の画像としてパノラマ撮影されたパノラマ合成用の画像が格納されているときにはパノラマ合成と記録される。なお、各画像のオフセット値は、マーカーセグメントAPP2の先頭位置を起点としたが、これに限られず、マーカーセグメントAPP2内の所定位置などとしてもよい。ここで、主画像へはファイル1〜5のような通常のファイルに格納される画像と同様にアクセスすることができ、各従属画像へは主画像のマーカーセグメントAPP2に記録されたオフセット値を用いてアクセスすることができる。このため、従属画像についても通常のファイルに格納される画像と同様に処理することができる。なお、マーカーセグメントAPP1やAPP2が画像データ内のヘッダーに該当する。
【0019】
こうして構成されたマルチファンクションプリンター10は、ボタン群54の操作によりスキャンモードが選択されたときにはガラス台36に載置された原稿を画像データとして読み取って記録紙Sに印刷したり、通常印刷モードが選択されたときにはメモリーカードスロット40に接続されたメモリーカード42に記憶されている画像ファイルからユーザーにより選択された画像を記録紙Sに印刷したりする。
【0020】
次に、こうして構成された本実施形態のマルチファンクションプリンター10の動作、特に、メモリーカード42に記憶されている画像にユーザーが手書きした文字やイラストを含む手書きの画像を合成処理した手書き合成画像を記録紙Sに印刷する際の動作について説明する。図3は、メインコントローラー60のCPU62により実行される手書き合成画像印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、メモリーカードスロット44に画像ファイルが記憶されたメモリーカード42が挿入されると共に記録紙SとしてA4サイズの普通紙がセットされ、ボタン群54の操作により手書き印刷モードが選択されたときに実行される。なお、説明の便宜上、メモリーカード42に記憶されている画像に対して初めてこのルーチンが実行される場合について説明し、ルーチンの実行当初にメモリーカード42に集合ファイルは記憶されていないものとする。
【0021】
このルーチンが実行されると、メインコントローラー60のCPU62は、まず、メモリーカード42に記憶されたファイルの中からユーザーによる手書き合成対象の画像の選択を受け付ける画像選択画面を表示部52に表示する(ステップS100)。この画像選択画面は、図示は省略するが、メモリーカード42に記憶された各画像のサムネイル画像が選択可能に表示され、ユーザーのボタン群54の操作により画像を選択することができる。なお、ユーザーにより選択される合成対象の画像を、以下の説明では、合成前の元画像ということがある。画像が選択されると、既に合成処理のなされた手書き合成画像が選択されたか否かを判定する(ステップS110)。いま、メモリーカード42に記憶されている画像に対して初めてこのルーチンが実行される場合を考えているから、メモリーカード42内に合成処理された画像はなく、ステップS110で手書き合成画像は選択されていないと判定する。次に、手書き合成を行なうための合成シートを印刷して(ステップS140)、ユーザーによるボタン群54の操作によりスキャン指令がなされるのを待つ(ステップS150)。ここで、図示は省略するが、合成シートには、ユーザーが文字やイラストなどを手書きするための手書き領域が印刷され、その手書き領域には手書きする際の位置の目安となるよう選択された画像が通常の印刷時よりも薄く印刷されている。そして、ユーザーにより文字やイラストなどが手書きされた合成シートがガラス台36にセットされると共に手書き合成画像の印刷用の記録紙Sがセットされてから、スキャン指令がなされると、CPU62は、合成シートをスキャンする(ステップS160)。続いて、スキャンした手書き画像と選択された画像とを重ね合わせる合成処理を行なって(ステップS170)、合成した手書き合成画像をメモリーカード42に記憶するか否かをユーザーに選択させる図示しない選択画面を表示部52に表示して(ステップS180)、手書き合成画像の記憶が選択されるか否かを判定する(ステップS190)。手書き合成画像の記憶が選択されないと判定したときには、手書き合成画像を記録紙Sに印刷して(ステップS270)、本ルーチンを終了する。本ルーチンにより合成処理される前後の画像の一例を図4に示す。図4(a)がユーザーにより選択された合成前の元画像72を示し、図4(b)が合成シートの手書き領域に「Hello!」の文字が手書きされた手書き画像74を示し、図4(c)がスキャンした手書き画像74と合成前の元画像72とを合成処理した手書き合成画像76を示す。
【0022】
一方、ステップS190で手書き合成画像の記憶が選択されたと判定したときには、合成前の元画像が集合ファイルであるか否かを判定する(ステップS200)。この判定は、ファイルの拡張子が「sp」であるか否かを判定する処理となる。ここで、上述したように、メモリーカード42に集合ファイルは記憶されていないものとしたから、ステップS200で合成前の元画像は集合ファイルではないと判定して、合成前の元画像と手書き合成画像とを共に格納して集合ファイルを作成する。具体的には、合成前の元画像を合成ファイルにおける主画像とすると共に手書き合成画像を従属画像として格納し(ステップS210)、マーカーセグメントAPP2を作成しマーカーセグメントAPP1の後に挿入して(ステップS220)、集合ファイルの拡張子「sp」を付与して(ステップS230)、集合ファイルを作成する。なお、マーカーセグメントAPP2の作成は、主画像の場合は、格納画像数Gnに値2を設定したり画像種別を手書き合成としたり従属画像とした手書き合成画像のSOIへのオフセット値を設定したりすることなどにより行なわれ、従属画像の場合は、画像番号に値2を設定することにより行なわれる。こうして集合ファイルを作成すると、作成した集合ファイルをメモリーカード42に記憶して(ステップS240)、ステップS270で手書き合成画像を印刷して、本ルーチンを終了する。手書き合成画像がメモリーカード42に記憶された様子を図5に示す。図示するように、合成前の元画像72が主画像として格納されると共に手書き合成画像76が従属画像として格納された単一の集合ファイルであるファイル12がメモリーカード42に記憶されている。
【0023】
次に、手書き合成画像が集合ファイルに格納されてメモリーカード42に記憶された以降の図3の手書き合成画像印刷処理ルーチンについて説明する。上述したように、従属画像のSOIへのオフセット値を用いて手書き合成画像にアクセスすることにより手書き合成画像を通常の画像と同様に処理することができるから、ステップS100の画像選択画面において、手書き合成画像のサムネイル画像を表示することができる。図6は、手書き合成画像が記憶された後の画像選択画面80の一例を示す説明図である。図示するように、カーソル80aの移動により選択可能な画像として、手書き合成画像76のサムネイル画像76aが合成前の元画像72のサムネイル画像72aと並んで表示されている。このため、ユーザーは、手書き合成画像がメモリーカード42に記憶されていることを一目で把握でき、また、手書き合成画像を容易に選択することができる。こうして、手書き合成画像が選択されると、続くステップS110で手書き合成画像が選択されたと判定する。なお、この判定は、例えば、選択された画像がマーカーセグメントAPP2を有する画像である場合に、その画像番号から主画像であるか従属画像であるかを判定し、従属画像であるときにその主画像の画像種別から手書き画像であるか否かを判定することにより行なうことができる。そして、選択された手書き合成画像をそのまま印刷するか否かをユーザーに選択させる図示しない選択画面を表示部52に表示して(ステップS120)、手書き合成画像の印刷が選択されるか否かを判定する(ステップS130)。手書き合成画像をそのまま印刷することが選択されたと判定したときには、ステップS270で印刷処理を実行して、本ルーチンを終了する。このように、一旦合成処理した手書き合成画像をメモリーカード42に記憶した以降は、合成シートを用いて再び合成処理することなく、画像選択画面上で選択するだけで手書き合成画像を迅速に印刷することができる。このため、合成シートを保管しておく必要がない。また、手書き合成画像を合成前の元画像と同一の集合ファイルに格納し画像選択画面に両者のサムネイル画像を並べて表示するので、別々のファイルに格納するものや画像選択画面に並べて表示しないものに比して検索性を向上させることができる。なお、メモリーカード42に記憶された手書き合成画像は、通常印刷モードにおいて通常の画像ファイルに格納されている画像と同様に選択して記録紙Sに印刷することもできる。
【0024】
一方、ステップS130で手書き合成画像をそのまま印刷することが選択されないと判定したときには、ステップS140以降の処理を実行することにより、手書き合成画像にさらに手書きの画像を合成処理して新たな手書き合成画像を生成することができる。そして、ステップS190で新たな手書き合成画像の記憶が選択されたと判定したときには、続くステップS200で合成前の元画像は集合ファイルと判定するから、新たな手書き合成画像を従属画像として集合ファイルに追加で格納すると共に(ステップS250)、主画像のマーカーセグメントAPP2の内容を更新し(ステップS260)、ステップS270で新たな手書き合成画像を印刷して、本ルーチンを終了する。なお、主画像のマーカーセグメントAPP2の更新は、格納画像数Gnに値1を加えたり、新たに格納した手書き合成画像のSOIへのオフセット値を設定したりすることなどにより行なわれる。また、新たに格納する手書き合成画像は、既に格納した手書き合成画像に続いて格納するものとした。このように、記憶した手書き合成画像を単に印刷するだけでなく、記憶した手書き合成画像にさらに合成処理を実行することができる。即ち、合成シートを保管しない場合であっても、保管しておいた合成シートに手書き内容を追加して再び合成処理を実行するのと同じ処理を実行することができる。
【0025】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のメモリーカード42が本発明の「記憶手段」に相当し、操作パネル50と図3の手書き合成画像印刷処理ルーチンのステップS100の処理を実行するメインコントローラー60とが「選択受付手段」に相当し、スキャナーユニット30と手書き合成画像印刷処理ルーチンのステップS160の処理を実行するメインコントローラー60とが「読取手段」に相当し、プリンターユニット20と手書き合成画像印刷処理ルーチンのステップS170,270の処理を実行するメインコントローラー60とが「画像形成手段」に相当し、手書き合成画像印刷処理ルーチンのステップS210〜230の処理を実行するメインコントローラー60が「ファイル作成手段」に相当し、手書き合成画像印刷処理ルーチンのステップS240の処理を実行するメインコントローラー60とメモリーカードコントローラー44とが「記憶制御手段」に相当する。
【0026】
以上詳述した本実施形態のマルチファンクションプリンター10によれば、手書き印刷モードにおいては、メモリーカード42に記憶され画像選択画面上でユーザーに選択された合成前の元画像に合成シートに手書きされた手書き画像を合成する合成処理を実行し、合成処理された手書き合成画像を合成前の元画像と共に格納する集合ファイルを作成してメモリーカード42に記憶する。これにより、次に同じ手書き合成画像を印刷する際には、画像選択画面上で選択するだけでよく、合成シートを保管したり保管した合成シートを用いて再び同じ手書き合成画像を合成処理する必要がない。また、手書き合成画像は、合成前の元画像と共に集合ファイルに格納されるので、合成前の元画像と異なるファイルに別々に格納するものに比して、検索性を向上させることができる。この結果、一旦生成した手書き合成画像を次回再び印刷するときに、スムーズに再利用することができる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施態様に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0028】
上述した実施形態では、合成シートの手書き領域に合成前の元画像を薄く印刷するものとしたが、これに限られず、手書き領域とは別の領域に印刷し白紙の状態の手書き領域内にユーザーが手書きするものとしてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、集合ファイルに合成前の元画像と手書き合成画像とを格納するものとしたが、これらに加えて、スキャナーで読み取った手書き画像を格納するものとしてもよい。この場合、例えば、図3に示す手書き合成画像印刷処理ルーチンにおいて、ステップS140〜S160の処理に代えて、記憶された手書き画像のユーザーによる選択を受け付ける処理を実行することにより、ユーザーにより選択された画像にユーザーにより選択された手書き画像を合成するなど手書き画像のみの再利用が可能となる。
【0030】
上述した実施形態では、集合ファイルに格納された合成前の元画像と手書き合成画像とが画像選択画面上に並んで表示されるものとしたが、これに限られず、画像選択画面上には合成前の元画像のみを表示しておくものとしてもよい。この場合、元画像が選択されたときに、マーカーセグメントAPP2に記憶されている画像種別が手書き合成であることを判定したときに、格納されている手書き合成画像を選択可能にするものとしてもよい。
【0031】
上述した実施形態では、記憶された手書き合成画像にさらに手書き画像を合成した新たな手書き画像を合成処理することができるものとしたが、そのような処理を行なわないものとしてもよく、記憶した手書き合成画像を単に印刷できるものとしてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、画像データがJPEG方式で符号化されるものとしたが、これに限られず、BMPやGIF,TIFFなど他の方式で符号化されるものとしてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、マーカーセグメントAPP2に各画像へのオフセット値などを記録するものを例示したが、これに限られず、任意のマーカーセグメントAPPn(nは任意の整数)に記録するものとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、本発明の画像形成装置の一例としてマルチファンクションプリンター10を示したが、本発明は画像を形成できるものであればこれに限定されるものではなく、例えば、ファクシミリ装置や複合機などのOA機器に適用してもよい。また、記録紙Sに印刷を実行するプリンターユニット20を備えずに、表示部52など表示画面に単に画像を表示するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 マルチファンクションプリンター、12 バス、20 プリンターユニット、22 プリンターASIC、24 プリンターエンジン、30 スキャナーユニット、32 スキャナーASIC、34 スキャナーエンジン、36 ガラス台、40 メモリーカードスロット、42 メモリーカード、44 メモリーカードコントローラー、50 操作パネル、52 表示部、54 ボタン群、60 メインコントローラー、62 CPU、64 ROM、66 RAM、68 フラッシュメモリー、69 内部通信I/F、72 合成前の元画像、72a,74a サムネイル画像、74 手書き画像、76 手書き合成画像、80 画像選択画面、80a カーソル、S 記録紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより選択された画像を形成する画像形成装置であって、
記憶手段に記憶された複数の画像ファイルからユーザーによる画像の選択を受け付ける選択受付手段と、
ユーザーにより手書きされた文字やイラストを含む手書き画像を読み取る読取手段と、
通常モード時には前記選択された画像を形成し、手書き合成モード時には前記読み取られた手書き画像を前記選択された画像に合成して手書き合成画像を形成する画像形成手段と、
前記手書き合成モード時には前記形成された手書き合成画像と前記選択された画像とを共に格納する単一の画像ファイルを前記選択受付手段と前記画像形成手段とにより処理が可能な形式で作成するファイル作成手段と、
前記作成された単一の画像ファイルを前記記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記ファイル作成手段は、前記選択された画像を主画像とすると共に前記手書き合成画像を該主画像のヘッダーを起点とするアクセス用のアドレス情報を設定して該主画像に従属する従属画像とし、複数の画像が格納されていることを示す拡張子を付与して前記単一の画像ファイルを作成する手段であり、
前記選択受付手段と前記画像形成手段とは、前記拡張子が付与された画像ファイルが前記記憶手段に記憶されているときには、前記アドレス情報に基づいて前記従属画像とされた手書き合成画像にアクセスする手段である
画像形成装置。
【請求項3】
前記ファイル作成手段は、前記読み取られた手書き画像を併せて格納して前記単一の画像ファイルを作成する手段である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択受付手段は、前記複数の画像ファイル内の画像を縮小したサムネイル画像を用いてユーザーによる画像の選択を受け付ける手段である請求項1ないし3いずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−206586(P2010−206586A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50333(P2009−50333)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】