説明

画像形成装置

【課題】画像形成におけるプロセスコントロールの複数の関連する調整作業を部分的に選択実行が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画質調整を複数の動作ブロックによって実行するプロセスコントロールを実行可能な画像形成装置において、前記複数の動作ブロックそれぞれに動作ブロックの名前と実行キーを対応させて表示し、所望の動作ブロックの名前に対応する実行キーが押されたことを検出して、該実行キーに対応する動作ブロックが指定されたものとして、前記指定された動作ブロックを実行させ、該実行結果を表示する制御部を備えている。さらに、前記制御部は、前記実行する動作ブロックの指定を取得したときに、該動作ブロックのプロセス条件の初期値も取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の画質調整に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラー複写機等の画像形成装置において、色ズレがなく画質が良好なカラー画像を形成するために、作像条件の調整(プロセスコントロール)を行う技術が広く知られている。
【0003】
この作像条件の調整は、画像形成装置の操作部からの操作により、例えば、関連する複数の一連の画質調整を実行することができる。これらの画質調整は、一旦操作部から実行されると、関連する複数の画質調整が完了するまで一連の動作を中断することなく全て実行されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された画像形成装置におけるシミュレーション実行方法では、シミュレーションモードで行われる各種調整項目毎に、その調整のために行われる複数種類の調整作業の順番に関する情報を予め記憶しておき、作業者により入力された調整項目に応じて記憶していた調整作業の順番に関する情報に示された順番で、複数種類の調整作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−12757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術のように、関連する複数の調整作業を連続して行っているときに、トラブルが発生した場合、その原因特定を容易に解明することができない。
例えば、プロセスコントロールが(1)センサーキャリブレーション、(2)ベルト素地の測定、(3)高濃度プロセスコントロール、(4)中間調プロセスコントロールという4つの動作を行っている場合、センサーキャリブレーションと、ベルト素地の測定の2箇所でエラー発生したときには、必ずセンサーキャリブレーションのエラーで中断されてしまい、センサーキャリブレーションのエラーが解決されるまで、ベルト素地の測定を実行することができず、ベルト素地の測定のエラーの解明が遅れてしまう。
【0007】
本発明は、上述のような実情を考慮してなされたものであって、画像形成におけるプロセスコントロールの複数の関連する調整作業を部分的に選択実行が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、画質調整を複数の動作ブロックによって実行するプロセスコントロールを実行可能な画像形成装置において、前記複数の動作ブロックのうち実行する動作ブロックの指定を取得し、前記指定された動作ブロックを実行させ、該実行結果を表示する制御部を備えている。
【0009】
前記制御部は、前記複数の動作ブロックそれぞれに動作ブロックの名前と実行キーを対応させて表示し、所望の動作ブロックの名前に対応する実行キーが押されたことを検出して、該実行キーに対応する動作ブロックが指定されたものとして実行する。
また、前記制御部は、前記複数の動作ブロックのすべてを実行するための名前と実行キーを対応させて表示し、該実行キーが押されたことを検出して、前記複数の動作ブロックを動作順にすべて実行させる。
さらに、前記制御部が、前記実行する動作ブロックの指定を取得したときに、該動作ブロックのプロセス条件の初期値も取得するとしてもよい。
【0010】
また、前記プロセスコントロールを複数有し、前記制御部は、前記複数のプロセスコントロールそれぞれにプロセスコントロールの名前と実行キーを対応させて表示し、該所望のプロセスコントロールの名前に対応する実行キーが押されたことを検出して、該実行キーに対応する名前のプロセスコントロールが指定されたものとして実行する。例えば、前記プロセスコントロールは、画像形成だけでなく、画像読取の品質調整についても適用可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実行条件を変更して調整作業を部分的に選択実行できるので、トラブルが発生した部分を集中して確認することによって、その原因特定を容易に解明することができ、トラブルシューティングの時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の全体の構成を示す図である。
【図2】本発明が適用される画像形成装置の制御系統の構成を示す図である。
【図3】複数の中から所望のプロコンモードを選択する画面例である。
【図4】所望のプロコンモード(濃度画質調整)の中から実施したい動作ブロックを選択する画面例である。
【図5】動作ブロック「ベルト素地測定」の設定値を取得する画面例である。
【図6】動作ブロックの処理結果を表示する画面例である。
【図7】制御部におけるプロコンモードの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置に係る好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の全体の構成を示す図である。同図において、画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色および単色の画像を形成するもので、装置本体110と、自動原稿処理装置120とにより構成されている。
【0014】
自動原稿処理装置120は、装置本体110の上部に設けられた、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92の上側に取り付けられ、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。
また、自動原稿処理装置120は、矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0015】
装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有して構成されている。
【0016】
本画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4つの画像ステーションが構成されている。
【0017】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、チャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器を用いてもよい。
【0018】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。
尚、露光ユニット1としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0019】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化するものである。
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0020】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0021】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また、各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0022】
中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成され、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。
【0023】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。
尚、本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0024】
上述の様に各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト61の回転によって、後述のシートと中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によってシート上に転写される。
【0025】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は、所定幅で圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。
さらに、転写ローラ10は、上記所定幅を定常的に得るために、転写ローラ10もしくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が用いられる。
【0026】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。
中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0027】
給紙カセット81は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110の露光ユニット1の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを置くことができる。また、装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0028】
また、装置本体110には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81乃至手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0029】
搬送ローラ12a〜12dは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。同様にまた、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0030】
また、レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ10に搬送する機能を有している。
【0031】
定着ユニット7は、ヒートローラ71および加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0032】
次に、シート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置100には予めシートを収納する給紙カセット81および手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82からシートを給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、シートを1枚ずつ搬送路Sに導くようになっている。
【0033】
各給紙カセット81,82から搬送されるシートは、搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、シート上に画像情報が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0034】
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c,12dに導く。そしてその後レジストローラ13を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
【0035】
次に、本発明が適用される画像形成装置の制御系統の構成を説明する。図2において、画像形成装置100には、制御部101、記憶部103、プロコンセンサ102、操作部104、電源部105等を備えている。
プロコンセンサ102は、発光素子(LED等)および受光素子(フォトダイオード等)を備え、画像転写位置以後の中間転写ベルトからの反射光量を検知するように設置され、プロコン実施時にテストパターン像が形成された中間転写ベルトの表面に発光素子で光を照射し、その反射光を受光素子によって受光し、受光量に応じた電気信号を制御部に出力する。
【0036】
記憶部103は、不揮発性のメモリからなり、制御プログラムや制御のための情報や取得した情報を記憶する。
操作部104は、当該装置の機能を選択実行する画面や実行した結果を表示する表示部と、実行したい機能の選択や設定値等を入力する入力部とを備えている。表示部には、本発明の実行画面や実行結果も表示され、入力部からは本発明の選択、実行、数値等が入力される。
電源部105は、制御部101の制御のもとに、現像ローラに現像バイアス電圧や帯電部に帯電電圧を供給したり、駆動系(現像モータ、感光体ドラムモータ、中間転写ベルトモータ等の各負荷動作モータ)や装置内の各部に電圧を供給する。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、記憶部103に記憶された制御プログラムを実行することにより、プロコンセンサの検知結果の読み取りや、電源部105から供給する電圧の制御や、操作部104の入力に応じて当該装置100の動作を制御する。
【0037】
上述のような画像形成装置100において、高画質のフルカラー画像を得るためには、各色の画像濃度がそれぞれ適正で安定していることが要求される。このため、画像形成装置100には、通常の画像読取や画像形成モードの他に、スキャナで読み取った画像データの品質調整(ガンマ調整、色調整等)や、各色の画像濃度を適正に画像調整するためのモード(以下、プロコンモードという。)が設けられている。
【0038】
また、プロコンモードは、複数の動作ブロックに分けることができる。例えば、画像形成におけるプロコンモードでは、次のような4つの動作ブロックに分けられ、それらは(1)から(4)の順番に実施される。これらの動作ブロックは、公知のものであるから概要のみ記載する。
【0039】
(1)プロコンセンサのキャリブレーション:
プロコンセンサ102のキャリブレーションは、発光素子を発光させて、中間転写ベルトからの受光量が規定値(例えば2v)になるように発光素子の発光電流を、例えば、5mA〜50mAの間で変化させて調整する。このキャリブレーションでは、受光量が規定値となる発光素子の発光電流が決定される。
【0040】
(2)転写ベルト素地の測定:
転写ベルト素地の測定は、中間転写ベルト上に作成されるトナーパッチの作成位置を想定し、上記(1)プロコンセンサのキャリブレーションで決定した発光電流で発光素子を発光させたときのトナーパッチの作成位置の反射量(ベルト素地電圧)を測定する。
例えば、キャリブレーションで受光量が2vになるように調整されていれば、反射光量のバラツキやベルト表面のキズ等で1.5v〜2.5vのベルト素地電圧が測定される。
【0041】
(3)高濃度プロコン:
高濃度プロコンは、中間転写ベルト上に基準となるトナーパッチ(濃度イメージ)を作成し、プロコンセンサで検知した反射光量から濃度値を算出して、この濃度値を記憶しておく。
印字出力する際、記憶した濃度値が予め設定された濃度に対して濃い場合、高圧制御で濃度を淡くし、また、濃度が淡い場合は、高圧制御で濃度を濃くする。
【0042】
(4)中間調プロコン:
中間調プロコンは、中間転写ベルト上にパッチ濃度を変化させた基準となる複数のトナーパッチ(濃度イメージ)を作成し、プロコンセンサ102で読み取った複数の反射光量から濃度値を算出して、この濃度値を記憶しておく。
画像処理するときに、記憶していた濃度値が予め設定された濃度に対して濃い場合、濃度を淡く処理し、また、濃度が淡い場合は、濃度を濃く処理する。
【0043】
本実施形態では、従来技術のように、複数のプロセスコントロールモードの中から所定のモードが選択されると、そのモードに含まれる複数の動作ブロックを連続して実施するのではなく、そのモードに含まれる複数の動作ブロックを部分的に実施できるようにしている。
【0044】
次に、本実施形態におけるプロコンモードの実施の操作例について説明する。
ユーザが操作部104の表示部に表示されたモード選択画面からプロコンモードを選択すると、図3に示すようなプロコンモード選択画面が表示される。
このプロコンモード選択画面には、実施できるプロコンモード201の名前が列記されており、それらのプロコンモード201を実施するための実行キー202が表示されている。また、終了キー203は、プロコンモードを終了して、通常の画像読取や画像形成を行うモードに戻る。
【0045】
次に、複数のプロコンモード201のうち、例えば、濃度画質調整を行うプロコンモードが選択されると、図4に示すような濃度画質調整の動作ブロックを選択する画面が表示される。
この濃度画質調整の動作ブロック選択画面は、個々の動作ブロックの名前204が実施する順番に列挙されており、これらの動作ブロックを実施するための実行キー205が各ブロックに対応して表示されている。全体実行キー205は、列挙されている動作ブロックを列挙順に実施し、実施が終わると図4の動作ブロック選択画面に戻る。
また、終了キー207は、濃度画質調整のプロコンモードを終了して、図3のプロコンモード選択画面の表示に戻る。
【0046】
ユーザは、図4の動作ブロック選択画面から実施したいいずれかの動作ブロックを選択して、この動作ブロックに対応する実行キー206を押す。例えば、動作ブロック「ベルト素地測定」を選択したときには、図5に示すような動作ブロック「ベルト素地測定」の設定値取得画面が表示される。
【0047】
この設定値取得画面には、設定値を入力するための初期値設定領域208と、この動作ブロックを実施させる実行キー209と、この動作ブロックの実施をキャンセルするための終了キー210が表示されている。この初期値設定領域208の周辺には、初期値設定領域208に設定する値の名前と設定値の範囲が表示されている。また、設定値が複数あるときには、複数分の初期値設定領域208が列挙されることになる。終了キー210が押されると、図4の動作ブロック選択画面に戻る。
【0048】
設定値取得画面が表示されたときには、この初期値設定領域208に初期値が設定され、修正がなければ、実行キー209を押すだけで、先に選択された動作ブロックが実施される。この初期値は、使用中の値、または、この動作ブロックの実施に先立って実施された動作ブロックの出力値である。
【0049】
次に、選択されている動作ブロックの実施が終了すると、図6に示したような処理結果画面が表示される。この処理結果画面には、正常に終了した場合の画面(図6(A))とエラーが発生した場合の画面(図6(B))とがある。
正常終了のときには、「正常終了」のメッセージ211だけであるが、エラーが発生したときには、「エラー発生」のメッセージ214だけではなく、発生したエラーの状況も併せて表示される。
今回の実施で使用した値と異なる設定値で再度動作ブロックを実施するときには、継続キー212を押すと、図5の設定値取得画面に戻る。このときの初期値は、この動作ブロックの実施で使用した値である。
また、この動作ブロックの実施を終了したいときには終了キー213を押すと、図4の動作ブロック選択画面に戻る。
【0050】
次に、図7のフローチャートを用いて、制御部101におけるプロコンモードの処理手順を説明する。以下、図3のプロコンモード選択画面で濃度画質調整が選択されたものとして説明する。
【0051】
まず、濃度画質調整の動作ブロック選択画面(図4)が表示されており、ユーザは実施したい動作ブロックを選択して実行キー206または全体実行キー205を押すか、あるいは、終了キー207のいずれかを押す(ステップS1)。
【0052】
次に、押されたキーが実行キー206と判定したとき(ステップS2でYES)、ステップS3に進む。
また、押されたキーが全体実行キー205と判定したとき(ステップS2でNO、ステップS7でYES)、ステップS8に進む。
また、押されたキーが終了キー207と判定したとき(ステップS2でNO、ステップS7でNO)、動作ブロックの処理を終了して図3のプロコンモード選択画面に戻る。
【0053】
ステップS3では、押した実行キー206に対応する動作ブロックの設定値取得画面(図5)が表示される。この設定値取得画面の初期値は、動作ブロックの種類に応じて、以下のような使用中の値が表示される。
例えば、動作ブロックが「キャリブレーション」であった場合、発光素子を発光させたときのプロコンセンサ102の受光量(例えば、2v)が設定値の初期値となる。
また、動作ブロックが「ベルト素地の測定」であった場合、発光素子の発光電流量が設定値の初期値となる。
また、動作ブロックが「高濃度プロコン」であった場合、発光素子の発光電流量および高濃度であると判定するための予め設定された濃度(例えば、80%)が設定値の初期値となる。
また、動作ブロックが「中間調プロコン」であった場合、発光素子の発光電流量および中間調の濃度が高濃度であると判定するための予め設定された濃度が設定値の初期値となる。
【0054】
ユーザにより設定値取得画面に設定値が入力され、実行キー209が押されたと判定すると(ステップS4でYES)、入力した設定値によって選択されている動作ブロックが実施される(ステップS5)。
この動作ブロックの実施では、それぞれの動作の実施と共に、実施が正常に終了したかあるいはエラーが生じたかが以下のように判定され、それぞれ図6に示した処理結果画面を表示する。
【0055】
例えば、動作ブロックが「キャリブレーション」であった場合、プロコンセンサ102のキャリブレーションを実施した結果、設定した受光量を得られたか否かによって判定する。例えば、設定値に2vを指定したときに、発光電流量が5mA〜50mAの間の場合には正常と判定し、このときの発光電流量を記憶する。しかし、発光電流量が5mA以下の場合、または、50mA以上の場合にエラーと判定する。
【0056】
また、動作ブロックが「ベルト素地の測定」であった場合、ベルト素地の測定を実施した結果、ベルト素地からの反射光量の値が異常であったか否かによって判定する。例えば、上述のプロコンセンサ102のキャリブレーションで反射光量(受光量)が2vになるように調整されていれば、ベルト素地からの反射光量の値が1.5v以下、あるいは、2.5v以上の場合にエラーと判定する。
【0057】
また、動作ブロックが「高濃度プロコン」であった場合、高濃度プロセスコントロールを実施した結果、所定の目標(例えば、80%)のトナーパッチ濃度が得られない場合にエラーと判定する。
【0058】
また、動作ブロックが「中間調プロコン」であった場合、中間調プロセスコントロールを実施した結果、所定の目標のトナーパッチ濃度が得られない場合にエラーと判定する。
【0059】
次に、ユーザにより処理結果画面で継続キー212が押されたと判定すると(ステップS6でYES)、この動作ブロックを実施するときに設定された値を初期値として、ステップS3に戻り、図5の設定値取得画面を表示する。
一方、ユーザにより処理結果画面で終了キー213が押されたと判定すると(ステップS6でNO)、ステップS1に戻り、図4の濃度画質調整の動作ブロック選択画面を表示する。
【0060】
また、ユーザにより図4の動作ブロック選択画面で全体実行キー205が押されたと判定したときには(ステップS7でYES)、図3で選択されたプロコンモードの動作ブロックを予め設定された順番に実施し(ステップS8)、ステップS1に戻り、図4の濃度画質調整の動作ブロック選択画面を表示する。このときの各動作ブロックの初期値は、使用中の値がそのまま使用される。
【0061】
本実施形態によれば、プロコンの複数の関連する調整作業を部分的に選択実行が可能となるので、トラブルが発生したとき、エラーメッセージの表示やエラー時の設定値の指定により再現させて、その原因特定を容易に解明することができ、トラブルシューティングの時間が短縮される。
また、プロコンの複数の関連する調整作業を一度に実施できるので、調整にかかる時間が少なくなり、効率が向上する。
【0062】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
100…画像形成装置、101…制御部、102…プロコンセンサ、103…記憶部、104…操作部、105…電源部、201…プロコンモード、202,205,206,209…実行キー、203,207,210,213…終了キー、204…動作ブロックの名前、205…全体実行キー、208…初期値設定領域、211,214…メッセージ、212…継続キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画質調整を複数の動作ブロックによって実行するプロセスコントロールを実行可能な画像形成装置において、前記複数の動作ブロックのうち実行する動作ブロックの指定を取得し、前記指定された動作ブロックを実行させ、該実行結果を表示する制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の動作ブロックそれぞれに動作ブロックの名前と実行キーを対応させて表示し、所望の動作ブロックの名前に対応する実行キーが押されたことを検出して、該実行キーに対応する動作ブロックが指定されたものとして実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記実行する動作ブロックの指定を取得したときに、該動作ブロックのプロセス条件の初期値も取得することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の動作ブロックのすべてを実行するための名前と実行キーを対応させて表示し、該実行キーが押されたことを検出して、前記複数の動作ブロックを動作順にすべて実行させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセスコントロールを複数有し、前記制御部は、前記複数のプロセスコントロールそれぞれにプロセスコントロールの名前と実行キーを対応させて表示し、該所望のプロセスコントロールの名前に対応する実行キーが押されたことを検出して、該実行キーに対応する名前のプロセスコントロールが指定されたものとして実行させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−217324(P2010−217324A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61638(P2009−61638)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】