説明

画像形成装置

【課題】濃度センサの検出出力に基づき濃度を検出する回路と色ずれを検出する回路とを共通化し、簡単な及び制御により濃度及び色ずれ補正を可能にする。
【解決手段】濃度/色ずれ補正制御部162は、画像形成部14により転写ベルト上に各色の補正パッチPを形成させ、該各色の補正パッチPの通過に合わせて濃度センサ80により当該各色の補正パッチPの濃度を検出させる。濃度センサ80の各色の補正パッチPの濃度検出出力の、例えば、立下り時に該濃度検出出力が閾値V1に達した後、閾値V2(閾値V1>閾値V2)に達するまでの時間幅に基づいて補正パッチPの濃度を検出し、濃度検出出力の立下り時から立ち上がり時までを通して第1の閾値に達している時間の時間幅を計数し、該時間幅の中心を補正パッチPの位置として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複合機等の画像形成装置において、各色成分にそれぞれ対応した複数の画像形成ユニットを有するタンデム型のカラー画像形成装置が知られている。
【0003】
この種のカラー画像形成装置では、各色のトナー像の重ね合わせでカラー画像を形成する性質上、画像品質を維持するために、各色のトナー濃度を補正する濃度補正制御(いわゆる、プロセス・コントロール)機能、及び、各色のトナー像の色ずれを補正する色ずれ補正制御(同、レジスト・コントロール)機能が備わっている。
【0004】
この種の濃度補正制御について、下記特許文献1には、モニター潜像を現像して得られたモニター画像の濃度を測定し、該測定値に基づいて濃度(トナー補給量の)の制御を行う画像濃度安定化制御装置が開示されている。
【0005】
また、色ずれ補正制御について、下記特許文献2には、タンデム型のカラー画像形成装置において、転写ベルト上に各色の色ずれ測定用のパターンを形成し、該色ずれ測定用のパターンを読取った(サンプリングした)結果に基づいて色ずれ補正を行う技術が開示されている。
【0006】
特許文献2記載のような従来のカラー画像形成装置においては、濃度補正、色ずれ補正に際し、濃度補正のためのパターンと、色ずれ補正ためのパターンをそれぞれ別々に形成するのが一般的であった。
【0007】
また、濃度補正用と色ずれ補正用の各パターンから濃度と位置を検出するのに濃度センサを共有する構成は知られていたが、濃度センサの検出出力は濃度検出用の回路と色ずれ検出用の回路とにそれぞれ取込まれ、濃度の検出と色ずれの検出が別々の回路で実施されるのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭59−214055号公報
【特許文献2】特開平06−253151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、濃度センサの検出出力に基づき濃度検出する回路と色ずれを検出する回路とを共通化し、簡単な及び制御により濃度及び色ずれ補正が行える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置の発明は、それぞれ異なる色の画像を形成する複数の画像形成手段と、前記各画像形成手段に濃度及び色ずれ補正用の補正画像をそれぞれ描画させ、像担持体上に転写して各色の補正画像を形成する補正画像形成制御手段と、前記像担持体上の前記各色の補正画像の通過に合わせて該各色の補正画像の濃度を検出する濃度センサと、前記濃度センサによる前記各色の補正画像の濃度検出出力を2値化した信号に基づいて前記各色の補正画像の濃度及び位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記各色の補正画像の濃度に基づき、濃度が異常である色の画像濃度を補正制御する濃度補正制御手段と、前記検出手段により検出された前記各色の補正画像の位置に基づき、色ずれが発生している色の画像の色ずれを補正制御する色ずれ補正制御手段とを具備する。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記検出手段は、前記補正画像の先端部通過時に立ち下がり、後端部通過時に立ち上がる特性を有する前記濃度センサの濃度検出出力を第1の閾値と第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)と比較し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時に前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間、または前記立下り時に前記第2の閾値から前記第1の閾値に達するまでの時間の時間幅に基づいて前記補正画像の濃度を検出し、前記立下り時から前記立ち上がり時までを通して前記第1の閾値に達している時間の時間幅に基づいて前記補正画像の位置を検出する。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記検出手段は、前記補正画像の先端部通過時に立ち下がり、後端部通過時に立ち上がる特性を有する前記濃度センサの濃度検出出力を第1の閾値と第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)と比較し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時に前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間、または前記立下り時に前記第2の閾値から前記第1の閾値に達するまでの時間の時間幅に基づいて前記補正画像の濃度を検出し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時に前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間の先端と、前記立下り時に前記第2の閾値から前記第1の閾値に達するまでの時間の後端との間の時間幅に基づいて前記補正画像の位置を検出する。
【0013】
請求項4記載の発明は、上記請求項2または3記載の発明において、前記濃度センサの濃度検出出力が前記第1の閾値または前記第2の閾値に達しない場合、前記第1の閾値または第2の閾値、若しくは第1の閾値及び第2の閾値を変更設定する変更設定手段と、前記変更設定手段に前記第1の閾値または第2の閾値、若しくは第1の閾値及び第2の閾値の変更設定後、前記検出手段による前記補正画像の濃度及び位置を再度検出させる再検出制御手段とを具備する。
【0014】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、前記変更設定手段による前記第1の閾値または第2の閾値、若しくは第1の閾値及び第2の閾値の変更設定回数を計数する計数手段を具備し、前記濃度補正制御手段は、前記変更設定回数が規定の回数未満の場合、前記濃度センサの濃度検出出力が前記第1の閾値または前記第2の閾値に達しなかった色の濃度を補正する。
【0015】
請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、前記変更設定回数が前記規定の回数に達した場合、前記濃度センサの濃度検出出力が前記第1の閾値または前記第2の閾値に達しなかった色の濃度異常を報知する報知手段を具備する。
【0016】
請求項7記載の発明は、上記請求項2または3記載の発明において、発光素子と受光素子から成る前記濃度センサの濃度検出位置を前記補正画像が形成されていない前記像担持体の粗面が通過するタイミングに、前記第1及び第2の閾値に代えて光量調整制御用の第3の閾値と第4の閾値(第3の閾値<第4の閾値)を設定する光量調整制御用閾値設定手段と、前記像担持体の粗面の通過に合わせて前記発光素子を発光駆動し、前記像担持体の粗面からの反射光の前記受光素子による受光出力を前記濃度センサの濃度検出出力として取込んで前記第3の閾値及び第4の閾値とそれぞれ比較し、該比較結果に基づき、前記受光素子の受光出力が前記第3の閾値と前記第4の閾値の範囲となるように前記発光素子の発光量を調整制御する光量調整制御手段とを具備する。
【0017】
請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記検出手段は、前記補正画像の先端部通過時に立ち下がり、後端部通過時に立ち上がる特性を有する前記濃度センサの濃度検出出力を所定の閾値と比較し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時から前記立ち上がり時までを通して前記閾値に達している時間の時間幅に基づいて前記補正画像の濃度を検出し、前記立下り時から前記立ち上がり時までを通して前記閾値に達している時間の時間幅の中心から前記補正画像の位置を検出する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の画像形成装置の発明によれば、濃度補正用と色ずれ補正用の画像のみならず、濃度センサの検出出力に基づき濃度及び色ずれを検出する回路も共通化し、簡単な及び制御により濃度及び色ずれ補正が行える。
【0019】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、閾値V1とV2(V1>V2)を設定し、濃度センサの濃度検出出力が、例えば、その立下り時に閾値V1から閾値V2に達するまでの時間幅から補正パッチの濃度を検出し、立下り時から立ち上がり時までを通して閾値V1に達している時間幅の中心から補正パッチの位置を検出することができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、閾値V1とV2(V1>V2)を設定し、濃度センサの濃度検出出力が、例えば、その立下り時に閾値V1から閾値V2に達するまでの時間幅から補正パッチの濃度を検出し、濃度検出出力がその立下り時に閾値V1から閾値V2に達するまでの時間の先端と、立下り時に閾値V2から閾値V1に達するまでの時間の後端との間の時間幅の中心から補正パッチの位置を検出することができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、上記請求項2または3記載の発明において、濃度センサの濃度検出出力が閾値に達しない場合、閾値を設定し直して補正パッチの濃度を再検出することができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、閾値の再設定を規定回数以内で行なっても濃度センサの濃度検出出力が閾値に達しない場合、補正パッチの濃度補正後に当該補正パッチの濃度再検出に対応できる。
【0023】
請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、閾値の再設定を規定回数行なっても濃度センサの濃度検出出力が閾値に達しない場合、濃度異常の可能性があることを利用者に報知できる。
【0024】
請求項7記載の発明は、上記請求項2または3記載の発明において、濃度センサによる補正パッチの濃度検出出力が確実に閾値に達するように発光素子を駆動して補正パッチの濃度検出及び位置検出を安定的に行なえる。
【0025】
請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、濃度センサの濃度検出出力がその立下り時から立ち上がり時までを通して所定の閾値に達している時間幅に基づいて補正パッチの濃度を検出し、立下り時から立ち上がり時までを通して上記閾値に達している時間幅の中心から補正パッチの位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】画像形成部の構成を示す図。
【図3】画像形成装置の制御系の概略構成を示す図。
【図4】実施例1に係る画像濃度/位置検出部の回路構成を示す図。
【図5】実施例1に係る濃度/色ずれ補正処理を示すフローチャート。
【図6】補正パッチの形成形態を示す図。
【図7】濃度センサの配置と補正パッチの読取りの様子を示す側面概念構成図。
【図8】濃度センサの立下りと立ち上がりを含む濃度検出出力特性を示す図。
【図9】実施例1に係わる検出回路部の各信号のタイミングチャート。
【図10】実施例1に係る補正パッチの濃度及び位置測定処理の流れを示す概念図。
【図11】濃度検出出力が閾値に達しない時の濃度及び位置測定処理の流れを示す概念図。
【図12】図5のステップS103での濃度測定処理の詳細フローチャート。
【図13】図5のステップS103でのパッチ位置測定処理の詳細フローチャート。
【図14】実施例2に係る画像濃度/位置検出部の回路構成を示す図。
【図15】実施例2に係る補正パッチの濃度及び位置測定処理の流れを示す概念図。
【図16】実施例2に係るパッチ位置測定処理の詳細フローチャート。
【図17】実施例3に係る画像形成装置の制御系の概略構成を示す図。
【図18】濃度が濃い場合と薄い場合の濃度センサの光路軌跡の比較を示す概念図。
【図19】光量調整制御用の閾値設定範囲を含む発光出力対受光出力特性を示す図。
【図20】実施例3の光量調整制御部での光量調整制御動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に係わる画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0028】
この画像形成装置10は、複合機を前提としたものであり、読取位置(プラテン上)に載置される原稿の画像を読取り、電気的な画像信号(画像データ)に変換する読取部(スキャナ部)11、読取部11により原稿を読取走査して得られた画像データや、PC(パーソナル・コンピュータ)等の外部装置(この例では、PCで実現されるクライアント端末30)から入力された画像データに対して画像処理を施す画像処理部12、画像データや動作プログラム等の各種情報を記憶する記憶部13、画像処理部12により画像処理された画像信号(印刷データ)に基づき電子写真プロセスを実行して記録媒体(記録用紙:以下、用紙)に該印刷データに対応する画像を形成(印刷)する画像形成部14、タッチパネル機能を有する大型ビットマップディスプレイ等から成る表示/操作部15、原稿読取(スキャン)、複写(コピー)、印刷(プリント)、ファクシミリ(FAX)通信等の各機能に係わる該当各部の動作制御等、装置全体の制御を行なう制御部16、外部装置との間の通信インタフェースを司る外部インタフェース(I/F)部17を備えて構成される。
【0029】
画像形成装置10において、制御部16には、読取部11による原稿の読取画像データや、外部I/F部17を通じて外部装置から入力される画像データを画像処理部12により画像処理して印刷データ(画像信号)を生成させ、該印刷データを基に画像形成部14で用紙に画像を印刷して出力する制御機能(印刷制御部161)が備わる。
【0030】
画像形成部14は、例えば、図2に示すように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(ブラック:K)の各色のトナー(Y),(M),(C),(K)を用いて、それぞれ、Y色,M色,C色,K(黒)色の画像(トナー像)を形成する画像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kを備えている。
【0031】
各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kは、それぞれ、画像処理部12から入力される当該各ユニットに対応する色成分(Y成分,M成分,C成分,K成分)の画像信号(印刷データ)に基づきレーザ光による画像露光を行う露光部51Y,51M,51C,51K、上記画像露光により各色成分の画信号に応じた静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム52Y,52M,52C,52K、静電潜像の形成前に感光体ドラム52Y,52M,52C,52Kの周面を帯電する帯電部53Y,53M,53C,53K、それぞれ異なる色(C,M,Y,K)のトナーが充填されており、感光体ドラム52Y,52M,52C,52K上に形成された上記静電潜像に該当する色のトナーを供給して当該各色のトナー像を形成する現像部54Y,54M,54C,54K、各色のトナー像を後述の転写ベルト61に転写した後の感光体ドラム52Y,52M,52C,52K上の残存トナーを掻き落として各感光体ドラム52Y,52M,52C,52K周面を清掃するドラムクリーナ部55Y,55M,55C,55Kを備える。
【0032】
また、画像形成部14には、現像部54Y,54M,54C,54Kで現像された各色のトナー像を順次多重転写(一次転写)する中間転写ベルト(以下、転写ベルト:特許請求の範囲における像担持体に相当)61、上記各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kの各感光体ドラム52Y,52M,52C,52Kに対応して設けられ、転写ベルト61を矢印方向に周回搬送するベルト搬送ローラ62Y,62M,62C,62K、ベルト搬送ローラ62Y,62M,62C,62Kにより搬送される転写ベルト61に多重転写されたトナー像を後述の如く給紙カセット71から給紙ローラ72により1枚ずつ繰出され、複数の搬送ローラ73により用紙搬送路を通って搬送されてくる用紙に転写(二次転写)する転写部63、転写部63によって上記トナー像が転写された用紙を加熱ローラ641と加圧ローラ642とで挟むように通過させて該用紙上に上記トナー像を定着する定着部64、定着部64でトナー像が定着された用紙を排出する排紙トレイ65、転写部63での転写(二次転写)後に転写ベルト61上に残ったトナーを掻き落とすクリーニングブレード66、後述する濃度補正モードにおいて転写ベルト61に形成される各色の濃度補正制御用のトナー像(濃度補正画像)の濃度を検出する濃度センサ80、画像形成ユニット50Y,50M,50C,50K近傍の適宜な位置に設置され、装置内部の温度を検出する温度センサ81、印刷枚数と印刷サイズを考慮した印刷ボリューム(A4サイズ以下を1PVとカウントする。例えば、A3なら2PV)を計数する印刷ボリューム計数部82が設けられる。
【0033】
画像形成部14において、転写ベルト61は、感光体ドラム52Yとベルト搬送ローラ62Y間、感光体ドラム52Mとベルト搬送ローラ62M間、感光体ドラム52Cとベルト搬送ローラ62C間、感光体ドラム52Kとベルト搬送ローラ62K間、並びに、転写部63を構成するベルト搬送ローラ631と従動ローラ632間を通るように掛け渡される。
【0034】
そして、画像処理部12から入力する画像信号(印刷データ)に基づく通常の印刷動作時には、転写部63のベルト搬送ローラ631を従動ローラ632に圧接した状態で、ベルト搬送ローラ62Y,62M,62C,62K及び631を回動して転写ベルト61を矢印で示す方向に回転させながら電子写真プロセスを実施する。
【0035】
この画像形成装置10において、制御部16には、上述した如く、各色のトナー像の多重転写によってカラー画像を形成(印刷)する制御を実行する印刷制御部161の他、カラー画像の印字品質を維持するための制御機能として、各色のトナーの濃度と色ずれの補正制御を行う濃度/色ずれ補正制御部162が設けられる(図1参照)。
【0036】
図3には、画像形成装置10の濃度と色ずれの補正制御を実現する制御系の概略構成を示している。
【0037】
図3に示す制御系の構成によれば、画像形成部14に設けられる濃度センサ80の検出出力は、濃度/色ずれ補正制御部162の画像濃度/位置検出部165に入力される。
【0038】
画像形成部14内の温度センサ81の検出出力と、印刷ボリューム計数部82の出力は濃度補正制御部162のモード判定部163に入力される。
【0039】
制御部16において、濃度/色ずれ補正制御部162は、温度センサ81により検出された温度と印刷ボリューム計数部82により計数された印刷ボリュームが濃度/色ずれ補正制御の起動条件を満たすことがモード判定部163で認識されることにより濃度/色ずれ補正モードを起動し、画像形成処理部164が、各色の画像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kの画像形成プロセスをそれぞれ制御して各色の濃度/色ずれ補正制御用に共用する画像(濃度/色ずれ補正画像:以下、補正パッチP)をそれぞれ形成(描画)させ、これを転写ベルト61上に転写させることにより当該転写ベルト61上にその搬送方向に所定間隔で配列される各色の補正パッチPを形成する。
【0040】
この補正パッチPとしては、例えば、既存のカラー画像形成装置が色ずれ補正制御に際して転写ベルト61上に形成する色ずれ補正パッチを適用できる。
【0041】
画像濃度/位置検出部165は、転写ベルト61上に形成された各色の補正パッチPが濃度センサ80の読取位置を通過する際に該濃度センサ80によって得られる濃度検出出力を取り込み、該濃度検出出力から上記各色の補正パッチPの濃度と当該補正パッチPの位置を検出する。
【0042】
濃度補正制御部166は、画像濃度/位置検出部165により検出される各色の補正パッチPの濃度が異常〔規定範囲外である(濃度が薄い)〕であるかどうかを判定し、異常であると判定された場合に当該色の画像形成ユニット50の現像部54のトナー収容部に対して該当する色のトナーを補給し、当該色のトナー像の濃度が規定範囲内の値となるように濃度補正制御を行う。
【0043】
色ずれ補正制御部167は、画像濃度/位置検出部165により検出される各色の補正パッチPの間隔(距離)が予め設定された距離(規定範囲)から逸脱しているか否かを判定し、規定範囲から逸脱していると判定された場合、該当する色の画像形成ユニット50内の露光部51での露光系の走査開始タイミングを調整する等、当該各色のトナー像の位置ずれ量が規定範囲に納まるように色ずれ補正制御を行う。
【0044】
以下、本発明の画像形成装置10の濃度/色ずれ補正制御について各実施例を挙げて順に説明する。
【実施例1】
【0045】
図4は、実施例1に係る画像形成装置10の画像濃度/位置検出部165の回路構成を示す図である。
【0046】
画像濃度/位置検出部165は、電圧V1に対応するディジタル信号を電圧V1の値を有するアナログ信号(閾値V1)に変換して出力するディジタル(D)/アナログ(A)変換器31、電圧V2に対応するディジタル信号を電圧V2の値を有するアナログ信号(閾値V2)に変換して出力するD/A変換器32、D/A変換器31から出力される閾値電圧V1(以下、閾値V1)と濃度センサ80の濃度検出出力を比較入力として取り込み〔それぞれ、“+(プラス)”側と“−(マイナス)”側に〕、両入力の比較結果に対応する2値信号を出力するコンパレータ33、D/A変換器32から出力される閾値電圧V2(以下、閾値V2)と濃度センサ80の濃度検出出力を比較入力として取り込み〔それぞれ、“+(プラス)”側と“−(マイナス)”側に〕、両入力の比較結果に対応する2値信号を出力するコンパレータ34、コンパレータ34から出力される2値信号の論理レベルを反転して出力する反転回路35、コンパレータ33から出力される2値信号と、コンパレータ34から出力される2値信号の論理反転信号(反転回路35の出力)との論理和に相当する2値信号を出力するAND(論理和)回路36を有する検出回路部30と、コンパレータ33の出力2値信号(OUT1)の時間長を計数するタイマ41(タイマ1)、AND回路36の出力2値信号(OUT2)の時間長を計数するタイマ42(タイマ2)を有する検出処理部40とにより構成される。
【0047】
なお、検出回路部30内の符号“R”で示す構成要素は、コンパレータ33、34それぞれにヒシテリシスを持たせ、当該各コンパレータ33、34を安定動作させる(不安定領域をなくす)ために設けられる抵抗素子を示している。
【0048】
図5は、本実施例に係る画像形成装置10における濃度/色ずれ補正処理動作を示すフローチャートである。
【0049】
本実施例の画像形成装置10では、制御部16において、モード判定部163が、温度センサ81により検出される温度と、印刷ボリューム計数部82により検出される印刷ボリュームが濃度/色ずれ補正処理の起動条件(例えば、印刷ボリュームが100PV、温度が3度上昇)を満たした場合に図5に示す濃度/色ずれ補正処理を開始する。
【0050】
図5に示すように、濃度/色ずれ補正処理が開始されると、画像濃度/位置検出部165は、図4に示す検出回路部30内のコンパレータ33、34に対して、それぞれ、閾値V1,V2の設定を行う(ステップS101)。
【0051】
この閾値V1,V2の設定処理においては、D/A変換器31に対する入力ディジタル信号を調整して閾値V1に相当するアナログ信号を出力させ、コンパレータ33に入力させる一方、D/A変換器32に対する入力ディジタル信号を調整して閾値V2に相当するアナログ信号を出力させ、コンパレータ34に入力させる。
【0052】
ステップS101での閾値V1,V2の設定完了後、画像形成処理部164は、補正パッチPを形成する処理を行う(ステップS102:補正パッチ形成処理)。
【0053】
この補正パッチ形成処理において、画像形成処理部164は、各色の画像形成ユニット50(50Y,50M,50C,50K)に対して、当該各画像形成ユニット50に対応するそれぞれのタイミングで、順次、補正パッチPの描画指示信号を送出する。
【0054】
各色の画像形成ユニット50では、補正パッチPの描画指示信号に基づき、それぞれ、露光部51が該当する色の補正パッチデータに基づき感光体ドラム52上を露光走査して静電潜像を形成し、現像部54が上記静電潜像を該当する色のトナー像(補正パッチP)として現像し、該補正パッチPを転写ベルト61にそれぞれ転写させる制御を実行する。
【0055】
この転写プロセスにより、転写ベルト61上には、例えば、図6に示すように、転写ベルト61の搬送方向に沿ってそれぞれ所定の距離を離間して配列されたK色の補正パッチPk1,C色の補正パッチPc,K色の補正パッチPk2,M色の補正パッチPm,K色の補正パッチPk3,Y色の補正パッチPyが形成される。
【0056】
一方、濃度センサ80は、例えば、図7に示す如く、転写ベルト61に対して光を照射する発光素子801と該照射光の転写ベルト61(転写ベルト61上に補正パッチPが形成されている時は当該補正パッチP)による反射光を受光する受光素子802とにより構成される。
【0057】
上記ステップS102の補正パッチ形成処理で転写ベルト61上に形成された各色の補正パッチPk1,Pc,Pk2,Pm,Pk3,Pyは、その後、当該転写ベルト61の搬送に合わせて図7に示す濃度センサ80の読取り位置(発光素子801からの出力光の照射位置)を順次通過する。
【0058】
その際、濃度センサ80(受光素子802)からは、転写ベルト61上に形成された各補正パッチPk1,Pc,Pk2,Pm,Pk3,Pyが通過する毎に、順次、例えば、図8に示す如くの濃度検出出力(アナログ信号)Voutが得られる。
【0059】
ここで、濃度センサ80の検出出力Voutは、各色の補正パッチP(Pk1,Pc,Pk2,Pm,Pk3,Py)の先端部が読取位置を通過する際の濃度検出レベルが転写ベルト61の濃度検出レベルから該補正パッチPの濃度検出レベルまで順次低下し(立下り)、各色の補正パッチPの後端部が読取位置を通過する際の濃度検出レベルが該補正パッチPの濃度検出レベルから転写ベルト61の濃度検出レベルまで順次上昇する(立ち上がる)出力特性を有する。
【0060】
また、濃度センサ80の検出出力Voutは、検出対象の補正パッチPの濃度が濃い場合は、図8に実線で示すように、転写ベルト61からの反射光を受光している時よりも大幅に低い値となり、逆に、濃度が薄い場合には、図8に点線で示すように、転写ベルト61からの反射光を受光している時に近い値となる。
【0061】
すなわち、濃度センサ80の検出出力Voutは、補正パッチPの濃度検出に際し、立下り時、及び立ち上がり時の変化の度合い(信号の時間当たりの傾斜)は、濃度が濃い場合と薄い場合とでは異なっている。
【0062】
具体的に、図8において、濃度センサ80の検出出力Voutを閾値V1とV2と比較して2値化することを想定すると、例えば、検出出力Voutの立下りに際し、該検出出力Voutが閾値V1より低くなってから更にV2より低くなるまでの時間(あるいは、検出出力Voutの立ち上がりに際し、該検出出力Voutが閾値V2より大きくなってから更にV1より大きくなるまでの時間)は、濃度が濃い場合は該時間(t11,t12)が短く、濃度が薄い場合は該時間(t21,t22)が長いことが分かる。
【0063】
つまり、濃度センサ80による補正パッチPの濃度検出出力Voutの立ち下がり、立下り時における閾値V1とV2間の変化に要する時間は検出対象の補正パッチPの濃度に対応している。
【0064】
また、濃度センサ80の検出出力Voutが、例えば、閾値V1より低くなってから、その後、当該閾値V1より大きくなるまでの時間の中心は、検出対象の補正パッチPの濃度にかかわらず、常に、当該補正パッチPの位置(中心位置)を指すことになる。
【0065】
本実施例では、上述した点に着目し、以下に述べる図5のステップS103での濃度測定処理において、濃度センサ80による補正パッチPの濃度検出出力Voutの立ち下がり、立下り時における閾値V1とV2間の変化に要する時間に基づいて検出対象の補正パッチPの濃度を検出する。
【0066】
同じく、ステップS103でのパッチ位置測定処理において、濃度センサ80による補正パッチPの濃度検出出力Voutが、例えば、閾値V1より低くなってから、その後、当該閾値V1より大きくなるまでの時間に基づき、当該時間の中心を割り出して検出対象の補正パッチPの位置を検出する。
【0067】
この濃度測定処理、及びパッチ位置測定処理は、図5のステップS102で補正パッチPを形成した後、画像濃度/位置検出部165において、濃度センサ80による該補正パッチPの濃度検出出力の入力を待って実施される(ステップS103)。
【0068】
すなわち、ステップS103での濃度測定処理、及びパッチ位置測定処理に際し、濃度センサ80の検出出力Voutは、画像濃度/位置検出部165の検出回路部30(図4参照)中のコンパレータ33に対して、D/A変化器31からの入力電圧(閾値V1)に対する比較入力として入力される一方、コンパレータ34に対して、D/A変化器32からの入力電圧(閾値V2)に対する比較入力として入力される。
【0069】
図9は、濃度センサ80の検出出力Vout入力時における検出回路部30の各部信号のタイミングチャートを示す図である。
【0070】
なお、図9においては、転写ベルト61上に図6に示す態様で形成された各色の補正パッチP中、先頭のK色の補正パッチPk1を対象とした濃度センサ80の検出出力Voutが入力され、該検出出力Voutと、D/A変化器31により設定される閾値V1、及びD/A変化器32により設定される閾値V2との関係が、同図に示すように、Vout(最小値)が閾値V1,V2よりも小さく、かつ、閾値V1>閾値V2の関係にある例を挙げている。
【0071】
図9の例において、検出回路部30のコンパレータ33では、図9(a)に示すように、検出出力Voutが閾値V1より低くなる(閾値V1に達する)タイミングで“L(Lowレベル)”から“H(Highレベル)”にレベル変化し、その後、検出出力Voutが閾値V1より高くなるタイミングで“H”から“L)”にレベル変化する出力(OUT1)を発生する。
【0072】
また、コンパレータ34では、図9(b)に示すように、検出出力Voutが閾値V2より低くなるタイミングで“L”から“H”にレベル変化し、その後、検出出力Voutが閾値V2より高くなるタイミングで“H”から“L”にレベル変化する出力を発生する。
【0073】
また、反転回路35の出力は、図9(c)に示すように、コンパレータ34の出力を反転した値となる。
【0074】
また、AND回路36では、図9(a)に示すコンパレータ33の出力と、図9(c)に示す反転回路35の出力とを論理和(AND)演算することにより、図9(d)に示すような出力(OUT2)を発生する。
【0075】
コンパレータ33の出力(OUT1)はタイマ41に入力され、AND回路36の出力(OUT2)はタイマ42に入力される。
【0076】
タイマ41は、コンパレータ33の出力(OUT1)の“H”の区間の時間を計測し、パッチ位置測定用のデータとして出力する。
【0077】
タイマ42は、AND回路36の出力(OUT2)の“H”の区間の時間を計数し、濃度検出用のデータとして出力する。
【0078】
検出処理部40は、タイマ41により計数されたコンパレータ33の出力(OUT1)の“H”の区間の時間長(時間幅)に基づいてK色の補正パッチPk1の位置を計測する。
【0079】
また、タイマ42により計数されたAND回路36の出力(OUT2)の“H”の区間の時間長(時間幅)に基づいてK色の補正パッチPk1の濃度を検出する。
【0080】
図5のステップS103において、上述した方法でのK色の補正パッチPk1の濃度検出、及び位置測定の処理が終了すると、画像濃度/位置検出部165は、全ての補正パッチPについての濃度、及び位置測定が終了したか否かをチェックし(ステップS104)、全ての補正パッチPについての濃度、及び位置測定が終了していないと判定された場合(ステップS104NO)、補正パッチPk1を対象とした場合と同様の方法で、残りの全ての補正パッチ(Pc,Pk2,Pm,Pk3,Py:図6参照)についての濃度、及び位置測定処理を、それぞれ実施する(ステップS103)。
【0081】
図10は、ステップS103におけるPk1〜Pyまでの全補正パッチPの濃度、及び位置測定処理の流れを示す概念図である。
【0082】
図10に示す如く、画像濃度/位置検出部165では、各補正パッチPk1,Pc,Pk2,Pm,Pk3,Pyを対象とする濃度センサ80の検出出力Voutの検出回路部30での処理信号(図9参照)に基づき、これら各補正パッチPk1,Pc,Pm,Pyの濃度に関しては、これら各補正パッチP毎に、検出処理部40のタイマ42で上記検出出力Voutの立下り時と立ち上がり時に1回ずつ(都合、2回)計測されるOUT2のうちの立下り時のOUT2の時間長(時間幅)に基づいてそれぞれ図10に点線丸印で示すタイミングに該当する補正パッチPの濃度を検出する。
【0083】
但し、K色の補正パッチPk1,Pk2,Pk3については、先頭の補正パッチPk1のみについて濃度検出を行うようにしても良い。
【0084】
また、位置計測については、各補正パッチPk1,Pc,Pk2,Pm,Pk3,Pyのうち、例えば、K色の補正パッチPk1については、検出処理部40のタイマ41により計数される検出回路部30のコンパレータ33から出力されるOUT1の時間長(時間幅)からその中心時間を割り出し、当該中心時間に基づいて当該K色の各補正パッチPkの位置を計測する。
【0085】
以後同様に、C色の補正パッチPc、K色の補正パッチPk2、M色の補正パッチPm、K色の補正パッチPk3、Y色の補正パッチPyに関しても、それぞれ、検出処理部40のタイマ41により計数される検出回路部30のコンパレータ33から出力されるOUT1の時間長からその中心時間を割り出し、当該中心時間に基づいて当該各補正パッチPc、Pk2、Pm、Pk3、Pyの位置を計測する。
【0086】
なお、濃度/色ずれ補正制御部162において、色ずれ補正制御部166は、上述した方法で画像濃度/位置検出部165により検出された各補正パッチPk1、Pc、Pk2、Pm、Pk3、Pyの位置からこれら各補正パッチPk1、Pc、Pk2、Pm、Pk3、Py間の間隔(T1,T2,T3,T4,T5,T6:但し、T1はPk1の描画開始タイミングからPk1までの間隔)を算出したうえで、事前に基準値として設定されている各パッチP間の間隔と比較することにより、例えば、K色とC色との位置ずれ(K−C位置ずれ)、K色とM色との位置ずれ(K−M位置ずれ)、K色とY色との位置ずれ(K−Y位置ずれ)を測定し、基準値の範囲から位置がずれていると判定された色については位置ずれ補正制御を実施する(後述する、図5のステップS122〜S124参照)。
【0087】
図10においては、濃度センサ80の濃度検出出力Voutが閾値V1,V2に達している場合の例を挙げているが、補正パッチPの濃度によっては、濃度センサ80の濃度検出出力Voutが閾値V1、またはV2に達しない場合も考えられる。
【0088】
図11は、濃度センサ80の濃度検出出力Voutが閾値V1、またはV2に達しない場合を想定した補正パッチPの濃度及び位置測定処理の流れを示す概念図である。
【0089】
図11(a)は、補正パッチPの濃度が適正な場合の例を示しており、この場合は、濃度センサ80での各補正パッチPの濃度検出出力Voutが閾値V1,V2に達し、立下り時と立ち上がり時にそれぞれ“H”レベルとなるOUT2の時間長をタイマ42で計数して正常に濃度の検出が行なえる。
【0090】
これに対し、図11(b)は、K色の補正パッチPk(PK1,Pk2,Pk3)の濃度が少し薄い場合の例であり、この場合は、濃度センサ80でのK色の補正パッチPkの濃度検出出力Voutが閾値V2まで達せず、K色の補正パッチPkについてはOUT2が立下り時から立ち上がり時にかけて連続して“H”レベルとなるため濃度測定が行えない(濃度が正常なC,M,Y各色の補正パッチPの濃度は測定可能)。
【0091】
また、図11(c)は、K色の補正パッチPkの濃度が非常に薄い場合の例である。この場合は、濃度センサ80でのK色の補正パッチPkの濃度検出出力Voutが閾値V1までも達せず、K色の補正パッチPkについてはOUT2が立下り時から立ち上がり時にかけて連続して“L”レベルとなるため濃度測定が行えない(濃度が正常なC,M,Y各色の補正パッチPの濃度は測定可能)。
【0092】
本実施例の画像形成装置10において、画像濃度/位置検出部165は、濃度センサ80の濃度検出出力Voutが設定中の閾値V1、またはV2に達しない(立下り時から立ち上がり時にかけて連続して“H”、あるいは“L”レベルとなるようなOUT2の出力異常)程度に濃度の薄い補正パッチPが存在する場合でも、該濃度の薄い補正パッチPについて濃度の検出が行えるように、閾値V1または閾値V2、若しくは閾値V1及びV2を変更設定する制御機能を有している。
【0093】
この点を踏まえ、図5のステップS103における濃度測定処理について、図12に示す詳細フローチャートを参照してより詳しく説明する。
【0094】
図12に示すように、図5のステップS103における濃度測定処理に際しては、濃度センサ80の濃度検出出力Voutを検出回路部30に取込んで補正パッチ検出処理を開始する(ステップS131)。
【0095】
まず、検出回路部30のOUT2が“L”レベルから“H”レベルに変化したか否かを監視し(ステップS132)、該レベル(信号)変化があった場合は(ステップ132YES)、検出処理部40のタイマ42により信号レベル期間の計測を開始する(ステップS133)。
【0096】
引き続き、該信号レベル期間の計測期間が規定値以上となったか否かを監視しながら(ステップS134)、検出回路部30のOUT2信号が“H”レベルから“L”レベルに変化したか否かを監視する(ステップS135)。
【0097】
ここで、信号レベル期間の計測期間が規定値以上となる前(ステップS134NO)に検出回路のOUT2信号が“H”レベルから“L”レベルに変化した場合(ステップS135YES)、信号レベル期間の計測を終了し(ステップS136)、当該計測した信号レベル期間から当該OUT2を出力せした検出対象の補正パッチPの濃度を算出する(ステップ137)。
【0098】
これに対し、上記ステップ132において検出回路部30のOUT2が“L”レベルから“H”レベルへのレベル(信号)変化を生じない場合(ステップS132NO)は、変化しない期間が規定時間以上続いているか否かをチェックする(ステップS141)。
【0099】
ここで、変化しない期間が規定時間以上続いていると判定された場合(ステップS141YES)、濃度再測定フラグをセットし、処理を終了する。
【0100】
また、上記ステップS135で検出回路部30のOUT2が“H”レベルから“L”レベルに変化しないまま(ステップS135NO)に上記ステップS134で信号レベル期間の計測期間が規定値以上となったと判定された場合(ステップS134YES)にも、濃度再測定フラグをセットし、処理を終了する。
【0101】
また、画像濃度/位置検出部165は、図5のステップS103において、図12を参照して詳しく説明した濃度測定処理と同時に位置測定処理を実施するが、この位置測定処理の詳しい動作について図13に示す詳細フローチャートを参照して説明する。
【0102】
図13に示すように、図5のステップS103における位置測定処理に際し、濃度センサ80の濃度検出出力Voutを検出回路部30に取込んでパッチ位置検出処理を開始する(ステップS151)。
【0103】
まず、検出回路部30のOUT1が“L”レベルから“H”レベルに変化したか否かを監視し(ステップS152)、該レベル(信号)変化があった場合は(ステップ152YES)、検出処理部40のタイマ41により信号レベル期間の計測を開始する(ステップS153)。
【0104】
引き続き、検出回路部30のOUT1が“H”レベルから“L”レベルに変化したか否かを監視し(ステップS154)、該レベル(信号)変化があった場合は(ステップ154YES)、タイマ41による信号レベル期間の計測を終了する(ステップS155)。
【0105】
そして、タイマ41で計測した上記信号レベル期間からその中心時間を求め、該中心時間を、該OUT1を出力せしめた検出対象の補正パッチPの位置として算出する(ステップ156)。
【0106】
図5のステップS103において、全ての補正パッチPを対象とした濃度測定処理(詳細は図12参照)、及び位置測定処理(詳細は図13参照)が完了した後、画像濃度/位置検出部165は、上記濃度測定処理において濃度再測定フラグがセットされたか否かをチェックする(ステップS105)。
【0107】
ここで、濃度再測定フラグがセットされていると判定された場合(ステップS105YES)、画像濃度/位置検出部165は、閾値V1,V2を変更する毎に“+1”インクリメントされる閾値変更回数(N)をチェックする(ステップS111)。
【0108】
ここで、閾値変更回数(N)が、例えば、3回未満の場合(ステップS111で“N<3”)、画像濃度/位置検出部165は、検出回路部30(図4参照)のD/A変換器31に入力するディジタル信号、あるいは、D/A変換器32に入力するディジタル信号を調整することにより、閾値V1またはV2、若しくは閾値V1及びV2を変更設定し(ステップS112)、以後、ステップS103に移行して、濃度測定処理、及び画像位置測定処理を再度実施する。
【0109】
ステップS105において、濃度再測定フラグがセットされていると判定されている間(ステップS105YES)、閾値V1またはV2、若しくは閾値V1及びV2の変更設定(ステップS112)と、濃度測定処理、及び画像位置測定処理(ステップS103)を繰り返し実施する中で、閾値変更回数(N)が、例えば、3回以上、5回未満の値に達すると(ステップS111で“N<5”)、濃度補正制御部166に濃度補正の実行を指示し、該指示に基づき、濃度補正制御部166が該当する色(濃度センサ80の濃度検出出力Voutが閾値V1またはV2に達しなかった色)の画像形成ユニット50の現像部54に対して当該色のトナーを補給する制御を行い(ステップS113)、以後、ステップS103に移行して、濃度測定処理、及び画像位置測定処理を再度実施する。
【0110】
ステップS113でのトナー濃度補正を繰り返し実施しても、濃度再測定フラグがセットされていると判定され(ステップS105YES)、かつ、閾値変更回数(N)が、例えば、5回に達すると(ステップS111で“N=5”)、例えば、表示/操作部15の表示パネル上に該当する色(濃度センサ80の濃度検出出力Voutが閾値V1またはV2に達しなかった色)のトナー交換を促すメッセージを表示する等、ユーザに対して該色の濃度が異常でトナー交換が必要である旨を報知し(ステップS114)、処理を終了する。
【0111】
これに対し、上記ステップS105において、濃度再測定フラグがセットされていない(ステップS112での閾値V1,V2の変更設定後、ステップS113での濃度補正制御後のタイミングでの判定時も含む)と判定された場合(ステップS105)、濃度補正制御部166は、上記ステップS103での濃度測定結果を基に、各色のトナー濃度が正常であるか異常である(規定の範囲内にない:薄い)を判定する(ステップS121:濃度判定処理)。
【0112】
ここで、各色のトナー濃度が正常であり、補正の必要がないと判定された場合(ステップS122)、処理を終了する。
【0113】
これに対し、いずれかの色のトナー濃度が異常であり、補正が必要であると判定された場合(ステップS122YES)、トナー濃度が異常(薄い)と判定された色のトナー濃度を正常濃度に補正するための補正値を算出し(ステップS123)、該算出した補正値に基づき当該色の画像形成ユニット50の現像部54に対して該当する色のトナーを補給するトナー濃度補正処理を実施し(ステップS124)、その後、処理を終了する。
【0114】
また、濃度再測定フラグがセットされていないと判定された(ステップS105NO)後、色ずれ補正制御部167は、上記ステップS103でのパッチ位置測定結果を基に、各補正パッチP間の間隔T2,T3,T4,T5,T6を算出し(図10参照)、予め設定している各補正パッチP間の間隔(基準値)と比較し、基準値から所定の距離だけずれている補正パッチPがあるか否かを判定する(ステップS121:色ずれ判定処理)。
【0115】
ここで、上記各補正パッチP間の間隔が基準値の範囲内にあり、補正の必要がないと判定された場合(ステップS122)、処理を終了する。
【0116】
これに対し、いずれかの補正パッチP間の間隔が基準値の範囲から逸脱しており、補正が必要であると判定された場合(ステップS122YES)、当該基準値の範囲内に維持するための補正値を算出し(ステップS123)、該算出した補正値に基づき当該色の画像形成ユニット50の露光部51での露光系の走査開始タイミングを調整し、各色の補正パッチP間の間隔が規定範囲になるように色ずれ補正制御を行う。
【0117】
このように、本実施例では、濃度センサ80の濃度検出出力Voutの特性(図8参照)に着目し、濃度センサ80の濃度検出出力Voutが立下り時に閾値V1から閾値V2に達するまでの時間、または立下り時に閾値V2から閾値V1に達するまでの時間の時間長(時間幅)に基づいて補正パッチPの濃度を検出する一方、濃度センサ80の濃度検出出力Voutが立下り時から立ち上がり時までを通して閾値V1に達している時間の時間長(時間幅)の中心を補正パッチPの位置として検出する。
【0118】
これにより、本実施例では、濃度センサ80の濃度検出出力Voutから補正パッチPの濃度を検出する回路と位置を測定する回路を共通化でき(図4の検出回路部30参照)、検出回路のコスト低減と制御の簡略化が図れる。
【0119】
また、濃度を検出する回路と位置を測定する回路を共通化した検出回路によれば、ウォームアップ時間、ファーストプリント時間の短縮にも貢献する。
【実施例2】
【0120】
図14は、実施例2に係る画像形成装置(便宜的に10Bと呼称)の画像濃度/位置検出部165bの回路構成を示す図である。
【0121】
画像濃度/位置検出部165bにおいて、検出回路部30は、実施例1(図4参照)と同様、D/A変換器31,32、コンパレータ33,34、反転回路35、AND回路36を具備して構成されるが、検出処理部40bは、AND回路36の出力2値信号(OUT2)の時間長を計数するタイマ43のみ具備して構成される。
【0122】
画像形成装置10Bは、図14に示す構成から成る画像濃度/位置検出部165bを用い、AND回路36の出力2値信号(OUT2)のみ〔実施例1のようにコンパレータ33の出力2値信号を(OUT1)として利用しない〕に基づき補正パッチPの濃度、及び位置の検出を行う。
【0123】
図15は、本実施例に係る画像形成装置10Bにおける各補正パッチPk1,Pc,Pk2,Pm,Pk3,Pyの濃度、及び位置測定処理の流れを示す概念図である。
【0124】
図15に示す如く、画像濃度/位置検出部165bでは、補正パッチPk1,Pc,Pm,Pyの濃度に関しては、実施例1と同様(図10参照)、これら各補正パッチP毎に、検出処理部40bのタイマ43で上記検出出力Voutの立下り時と立ち上がり時に1回ずつ(都合、2回)計測されるOUT2のうちの、例えば、立下り時のOUT2の時間長に基づいてそれぞれ図15に点線丸印で示すタイミングに該当する補正パッチPの濃度を検出する。
【0125】
他方、位置計測については、各補正パッチPk1,Pc,Pk2,Pm,Pk3,Pyについて、検出処理部40bのタイマ43で各補正パッチP毎にそれぞれ2回計数される立下り時と立ち上がり時のOUT2のうち、1回目(立下り時)のOUT2の先端部のエッジから2回目(立ち上がり時)のOUT2の後端部のエッジまでの時間長(濃度センサ80の濃度検出出力Voutが立下り時に閾値V1から閾値V2に達するまでの時間の先端と、立下り時に閾値V2から閾値V1に達するまでの時間の後端との間の時間長)をタイマ43で計数し、該計数時間の中心時間を当該K色の各補正パッチPkの位置として計測する。
【0126】
また、色ずれ補正制御部166は、画像濃度/位置検出部165bにより検出された各補正パッチPk1、Pc、Pk2、Pm、Pk3、Pyの位置からこれら各補正パッチPk1、Pc、Pk2、Pm、Pk3、Py間の間隔(T1,T2,T3,T4,T5,T6:但し、T1はPk1の描画開始タイミングからPk1までの間隔)を算出したうえで、事前に基準値として設定されている各パッチP間の間隔と比較することにより、例えば、K色とC色との位置ずれ(K−C位置ずれ)、K色とM色との位置ずれ(K−M位置ずれ)、K色とY色との位置ずれ(K−Y位置ずれ)を測定し、基準値の範囲から位置がずれていると判定された色については位置ずれ補正制御を実施する。
【0127】
本実施例に係る画像形成装置10Bにおける色ずれ/濃度補正制御は、実施例1と同様、図5に示すフローチャートに沿って実施され、図5中のステップS103での濃度測定処理についても実施例1と同様(図12参照)に実施される。
【0128】
これに対して、図5中のステップS103での位置測定処理は、図16に示すフローチャートに従がって実施される。図16において、図13に示す実施例1に係る位置測定処理と同様の処理ステップには同一の符号を付している。
【0129】
画像形成装置10Bでは、図16に示すように、図5のステップS103における位置測定処理に際し、濃度センサ80の濃度検出出力Voutを画像濃度/位置検出部165b(図14参照)の検出回路部30に取込んで検出処理部40bが補正パッチ検出処理を開始する(ステップS151)。
【0130】
まず、検出処理部40bは、検出回路部30のOUT2が“L”レベルから“H”レベルに変化したか否かを監視し(ステップS152)、該レベル(信号)変化があった場合は(ステップ152YES)、タイマ43により信号レベル期間の計測を開始する(ステップS153)。
【0131】
引き続き、検出回路部30のOUT2が“H”レベルから“L”レベルに変化したか否かを監視し(ステップS154)、該レベル(信号)変化があった場合は(ステップ154YES)、検出回路部30のOUT2が“L”レベルから“H”レベルに変化したか否かの監視を続ける(ステップS161)。
【0132】
ここで、該レベル(信号)変化があった場合は(ステップ161YES)、更に、OUT2が“H”レベルから“L”レベルに変化したか否かを監視し(ステップS162)、該レベル(信号)変化があった場合は(ステップ162YES)、タイマ43により信号レベル期間の計測を開始する(ステップS163)。
【0133】
そして、タイマ43で計測した上記信号レベル期間からその中心時間を求め、該中心時間を、該OUT2を出力せしめた検出対象の補正パッチPの位置として算出する(ステップ164)。
【0134】
このように、本実施例では、濃度センサ80の濃度検出出力Voutの特性(図8参照)に着目し、濃度センサ80の濃度検出出力Voutが立下り時に閾値V1から閾値V2に達するまでの時間、または立下り時に閾値V2から閾値V1に達するまでの時間の時間長(時間幅)に基づいて補正パッチPの濃度を検出する一方、濃度センサ80の濃度検出出力が立下り時に閾値V1から閾値V2に達するまでの時間の先端エッジと、立下り時に閾値V2から閾値V1に達するまでの時間の後端エッジとの間の時間長(時間幅)に基づいて補正パッチPの位置を検出する。
【実施例3】
【0135】
図17は、実施例3に係る画像形成装置(便宜的に10Cと呼称)における補正パッチPの濃度及び色ずれの補正制御を含む制御系の概略構成を示す図である。
【0136】
図17に示すように、本実施例の制御系は、実施例1に係る画像形成装置10の制御系(図3参照)に備わる濃度/色ずれ補正制御部162に加え、補正パッチPの濃度検出に際し、濃度センサ80の受光素子803で確実に閾値V2に達する適正な受光出力が得られるように、濃度センサ80の発光素子801の発光量(発光駆動電流)を調整(可変制御)する光量調整制御部168を備えて構成される。
【0137】
光量調整制御部168での光量調整制御は、濃度センサ80の濃度検出位置(発光素子801からの照射光の照射位置)を転写ベルト61上の補正パッチPが形成されていない領域(転写ベルト61の粗面)が通過するタイミングに、濃度センサ80の発光素子801から転写ベルト61の粗面に対して光を照射し、転写ベルト61の粗面から反射された光の受光素子802での受光出力を検知しながら実施される。
【0138】
具体的には、濃度センサ80の発光素子801を消灯した状態から発光駆動開始して次第に発光光量を上げていきながら、該発光素子801からの照射光の転写ベルト61の粗面による反射光を受光素子802で受光した際の該受光素子802の受光出力を画像濃度/位置検出部165の検出回路部30(図4参照)内の2つのコンパレータ33,34に取り込み、該コンパレータ33,34に対してそれぞれ設定されている調整値(光量調整制御用の閾値V11,V21:図19参照)との比較結果に基づくOUT1、OUT2の出力値を観察することで実現する。
【0139】
ところで、濃度センサ80の濃度検出出力特性に関しては、図18に示す濃度が濃い(高い)場合と薄い(低い)場合の光路軌跡の比較概念図からも分かるように、濃度が高いと、発光素子801からの照射光がトナーによって乱反射し〔図18(a)参照〕、受光素子802の受光量が少なくなり、濃度が低いと、上記照射光が平滑な転写ベルト61に反射し〔図18(b)参照〕、受光素子802の受光量が多くなる特性を有する。
【0140】
本実施例の画像形成装置10Cにおいて、光量調整制御部168は、濃度センサ80の上述した出力特性を考慮して、検出回路部30(図4参照)内の2つのコンパレータ33,34に対して、例えば、図19に示す如くの光量調整制御用の閾値V11,V21を設定し、濃度センサ80の受光素子802の受光出力が当該閾値V11とV21の範囲内の値(調整値)となるように発光素子801の発光駆動制御を行う。
【0141】
コンパレータ33、34に対して、それぞれ、閾値V11(調整値の下限値)、閾値V21(調整値の上限値)を濃度センサ80の濃度検出出力との比較入力(閾値)として設定した場合、濃度センサ80の受光出力が下限値V11未満の時、検出回路部30では、回路の論理構成上(図4参照)、コンパレータ33,34の出力が共に“L”レベルとなって、OUT1、OUT2共に“L”レベルとなる。
【0142】
従がって、OUT1、OUT2が共に“L”レベルの場合は、発光素子801の発光駆動電流を上昇させる必要がある。
【0143】
また、濃度センサ80の受光出力が上限値V21以上の時、検出回路部30では、コンパレータ33,34の出力が共に“H”レベルとなって、OUT1が“H”レベル、OUT2が“L”レベルとなる。
【0144】
従がって、OUT1が“H”レベル、OUT2が“L”レベルの場合は、発光素子801の発光駆動電流を降下させる必要がある。
【0145】
また、濃度センサ80の受光出力が下限値V11を超え、上限値V21未満の時、検出回路部30では、コンパレータ33の出力が“H”レベル、コンパレータ34の出力が“L”レベルとなって、OUT1、OUT2が共に“H”レベルとなる。
【0146】
従がって、OUT1、OUT2が共に“H”レベルの場合は、発光素子801の発光駆動電流をこの時の値に維持させれば良い。
【0147】
この点を踏まえて、図20に示すフローチャートに基づいて、本実施例の画像形成装置10Cの光量調整制御部168による光量調整制御動作について説明する。
【0148】
図20に示すように、上述した光量補正モードが起動されると、光量調整制御部168は、濃度センサ80の発光素子801を消灯状態(発光駆動電流が“0”の状態)に制御したうえで(ステップS201)、画像濃度/位置検出部165の検出回路部30(図4参照)内の2つのコンパレータ33,34に対して、光量調整値として用いる閾値V11,V21の設定を行う(ステップS202)。
【0149】
この設定処理においては、コンパレータ33に対する入力ディジタル信号を調整して閾値V11に相当するアナログ信号を出力させる一方、コンパレータ34に対する入力ディジタル信号を調整して閾値V21に相当するアナログ信号を出力させる。
【0150】
ステップS202での閾値V11,V21の設定完了後、光量調整制御部168は、濃度センサ80の発光素子801の発光量(発光駆動電流)を次第に増加するように制御して発光量を上げていきながら、この時の受光素子802の受光出力が取込まれる上記コンパレータ33と34での、該受光出力と、それぞれに設定された閾値V11とV21との比較結果に応じて検出回路部30から出力されるOUT1、OUT2の出力レベルをチェックし、OUT1、OUT2が共に“L”レベルであるか否かを判定する(ステップS203)。
【0151】
ここで、OUT1、OUT2が共に“L”レベルである場合(ステップS203YES)、発光駆動電流が上限値に達しているか否かをチェックし(ステップS211)、上限値に達していない場合(ステップS211NO)には、発光素子801の発光量(発光駆動電流)を増加させるように制御する(ステップS213)。
【0152】
その後、ステップS203でOUT1、OUT2が共に“L”レベルであると判定され(ステップS203YES)、発光駆動電流が上限値に達していない場合(ステップS211NO)は、発光量(発光駆動電流)の増加制御を続行する(ステップS213)。
【0153】
この間、OUT1、OUT2が共に“L”レベルであると判定され(ステップS203YES)、次いで、発光駆動電流が上限値に達していると判定された場合(ステップS211YES)は、濃度センサ80の汚れ等で発光量、受光量とも低下している可能性があるため、表示/操作部15の表示部にその旨のメッセージを表示する等の方法でユーザに対してセンサ清掃を促す報知を行い(ステップS212)、光量補正制御を終了する。
【0154】
これに対し、上記ステップS213での発光量の増加制御を続ける中で、OUT1、OUT2が共に“L”レベルでないと判定された場合(ステップS203NO)、光量調整制御部168は、OUT1が“H”レベルでOUT2が“L”レベルであるか否かを判定する(ステップS204)。
【0155】
ここで、OUT1が“H”レベルでOUT2が“L”レベルであると判定された場合(ステップS204YES)、発光駆動電流が下限値に達しているか否かをチェックし(ステップS221)、下限値に達していない場合(ステップS221NO)には、発光素子801の発光量(発光駆動電流)を低減させるように制御する(ステップS223)。
【0156】
その後、ステップS203でOUT1、OUT2が共に“L”レベルではないと判定され(ステップS203YES)、ステップS204でOUT1が“H”レベルでOUT2が“L”レベルであると判定され(ステップS204YES)、発光駆動電流が下限値に達していない場合(ステップS221NO)は、発光量(発光駆動電流)の低減制御を続行する(ステップS213)。
【0157】
この間、ステップS203でOUT1、OUT2が共に“L”レベルではないと判定され(ステップS203YES)、ステップS204でOUT1が“H”レベルでOUT2が“L”レベルであると判定され(ステップS204YES)、発光駆動電流が下限値に達していると判定された場合(ステップS221YES)は、濃度センサ80の異常の可能性があるため、表示/操作部15の表示部にその旨のメッセージを表示する等の方法でユーザに対してセンサの異常を報知し(ステップS222)、光量補正制御を終了する。
【0158】
また、上記ステップS204でOUT1が“H”レベルでOUT2が“L”レベルでないと判定された場合(ステップS204NO)、光量調整制御部168は、OUT1が“L”レベルでOUT2が“H”レベルであるか否かを判定する(ステップS205)。
【0159】
ここで、OUT1が“L”レベルでOUT2が“H”レベルであると判定された場合(ステップS205YES)、この状態は通常では存在しないため、検出回路部30の異常と判断し、表示/操作部15の表示部にその旨のメッセージを表示する等の方法でユーザに対して検出回路の異常を報知し(ステップS207)、光量補正制御を終了する。
【0160】
これに対して、OUT1が“L”レベルでOUT2が“H”レベルでないと判定された場合(ステップS205NO)、この状態は発光素子802の受光出力が閾値V11とV21との間の値である状態であるため、この時の発光駆動電流を適正な発光量と決定し(ステップS206)、光量補正制御を終了する。
【0161】
その後、図5に示す濃度/色ずれ補正制御中のステップS103での濃度測定処理に際して、光量調整制御部168は、上記ステップS206で決定した発光駆動電流で濃度センサ80の発光素子801を発光駆動し、画像濃度/位置検出部165では、その際の濃度センサ80の受光素子802の受光出力(濃度検出出力Vout)を画像濃度/位置検出部165の検出回路部30(図4参照)内の2つのコンパレータ33,34に取り込み、各補正パッチPの濃度及び検出処理を行う。
【0162】
本実施例の光量補正制御機能については、図4に示す検出回路部30を有する実施例1の画像形成装置10への適用例について述べたが、同様の検出回路部30(図14参照)を有する実施例2の画像形成装置10Bへの適用も可能である。
【0163】
この他、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0164】
例えば、上記実施例1,2において、濃度/色ずれ補正制御部162は、図4、図14に示すように、D/A変換器31,32、コンパレータ33,34、反転回路35、AND回路36を有する検出回路部30を用いて補正パッチPの濃度及び位置検出を行う画像濃度/位置検出部165,165bを有する構成について述べたが、これに限らず、濃度センサ80の濃度検出出力と所定の閾値(例えば、V1)を比較対象として入力するコンパレータ(便宜的に33dと呼称)と、該コンパレータ33dの出力の時間長を計数するタイマ(同、44と呼称)とから成る画像濃度/位置検出部(同、165dと呼称)を備えた構成としても良い。
【0165】
かかる構成において、画像濃度/位置検出部165dのコンパレータ33dは、濃度センサ80の濃度検出出力Voutがその立下り時に閾値V1に達した場合に出力“H”レベルとなり、立ち上がり時に閾値V1に戻った場合に“L”レベルに転じる、図5(a)に示す如くの出力〔実施例1,2に係るコンパレータ33と同等の出力〕を発生する。
【0166】
ここで、図8に基づいて説明した濃度センサ80の濃度検出出力Voutの出力特性によれば、上述したコンパレータ33dの出力の“H”レベル区間長は、検出対象の補正パッチPの濃度に対応し、濃度が濃いほど長くなり、濃度が薄いほど短くなる。
【0167】
これにより、当該画像濃度/位置検出部165dでは、上記コンパレータ33dからの出力の“H”レベルの時間長をタイマ44により計数し、該タイマ44により計数された時間長(濃度センサ80の検出出力の立下り時にコンパレータ33dの出力が“H”レベルに変化してから立ち上がり時にコンパレータ33dの出力が“L”レベルに変化するまでの時間長:立下り時から立ち上がり時を通して閾値V1に達している時間幅)に基づいて補正パッチPの濃度を検出することができる。
【0168】
また、画像濃度/位置検出部165dでは、上記タイマ44により計数された、コンパレータ33dからの出力の“H”レベルの時間長に基づき、実施例1,2と同様、該時間長の中心時間を割り出して、検出対象の補正パッチPの位置を検出することができる。
【0169】
また、上記実施例では、各画像形成ユニット50で形成された各色のトナー像を像担持体に転写し、該像担持体が担持する各色のトナー像を更に用紙に転写してカラー画像を形成する構成例を挙げているが、本発明は、各画像形成ユニット50で形成された各色のトナー像を搬送ベルトにより搬送される用紙に直接転写して画像形成装置に適用し、上記搬送ベルト上に濃度補正パッチ、補正パッチを形成して、濃度補正、色ずれ補正を行う場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、画像の濃度と色ずれの補正を必要とするプリンタや複合機等のタンデム型のカラー画像形成装置に適用できる。
【符号の説明】
【0171】
10,10B,10C…画像形成装置、11…読取部、12…画像処理部、13…記憶部、14…画像形成部、50Y,50M,50C,50K…画像形成ユニット、15…表示/操作部、16,16c…制御部、161…印刷制御部、162…濃度/色ずれ補正制御部、163…モード判定部、164…画像形成処理部、165,165b…画像濃度/位置検出部、30…検出回路部、31,32…D(ディジタル)/A(アナログ)変換器、33,34…コンパレータ、35…反転回路、36…AND(論理和)回路、40,40b…検出処理部、41,42,43…タイマ、166…濃度補正制御部、167…色ずれ補正制御部、168…光量調整制御部、80…濃度センサ、801…発光素子、802…受光素子、81…温度センサ、82…印刷ボリューム計数部、Pk1,Pk2,Pk3,Pc,Pm,Py…濃度/色ずれ補正画像(補正パッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる色の画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記各画像形成手段に濃度及び色ずれ補正用の補正画像をそれぞれ描画させ、像担持体上に転写して各色の補正画像を形成する補正画像形成制御手段と、
前記像担持体上の前記各色の補正画像の通過に合わせて該各色の補正画像の濃度を検出する濃度センサと、
前記濃度センサによる前記各色の補正画像の濃度検出出力を2値化した信号に基づいて前記各色の補正画像の濃度及び位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記各色の補正画像の濃度に基づき、濃度が異常である色の画像濃度を補正制御する濃度補正制御手段と、
前記検出手段により検出された前記各色の補正画像の位置に基づき、色ずれが発生している色の画像の色ずれを補正制御する色ずれ補正制御手段と
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記補正画像の先端部通過時に立ち下がり、後端部通過時に立ち上がる特性を有する前記濃度センサの濃度検出出力を第1の閾値と第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)と比較し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時に前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間、または前記立下り時に前記第2の閾値から前記第1の閾値に達するまでの時間の時間幅に基づいて前記補正画像の濃度を検出し、前記立下り時から前記立ち上がり時までを通して前記第1の閾値に達している時間の時間幅に基づいて前記補正画像の位置を検出する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記補正画像の先端部通過時に立ち下がり、後端部通過時に立ち上がる特性を有する前記濃度センサの濃度検出出力を第1の閾値と第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)と比較し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時に前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間、または前記立下り時に前記第2の閾値から前記第1の閾値に達するまでの時間の時間幅に基づいて前記補正画像の濃度を検出し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時に前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間の先端と、前記立下り時に前記第2の閾値から前記第1の閾値に達するまでの時間の後端との間の時間幅に基づいて前記補正画像の位置を検出する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記濃度センサの濃度検出出力が前記第1の閾値または前記第2の閾値に達しない場合、前記第1の閾値または第2の閾値、若しくは第1の閾値及び第2の閾値を変更設定する変更設定手段と、
前記変更設定手段に前記第1の閾値または第2の閾値、若しくは第1の閾値及び第2の閾値の変更設定後、前記検出手段による前記補正画像の濃度及び位置を再度検出させる再検出制御手段と
を具備する請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記変更設定手段による前記第1の閾値または第2の閾値、若しくは第1の閾値及び第2の閾値の変更設定回数を計数する計数手段
を具備し、前記濃度補正制御手段は、前記変更設定回数が規定の回数未満の場合、前記濃度センサの濃度検出出力が前記第1の閾値または前記第2の閾値に達しなかった色の濃度を補正する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記変更設定回数が前記規定の回数に達した場合、前記濃度センサの濃度検出出力が前記第1の閾値または前記第2の閾値に達しなかった色の濃度異常を報知する報知手段
を具備する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
発光素子と受光素子から成る前記濃度センサの濃度検出位置を前記補正画像が形成されていない前記像担持体の粗面が通過するタイミングに、前記第1及び第2の閾値に代えて光量調整制御用の第3の閾値と第4の閾値(第3の閾値<第4の閾値)を設定する光量調整制御用閾値設定手段と、
前記像担持体の粗面の通過に合わせて前記発光素子を発光駆動し、前記像担持体の粗面からの反射光の前記受光素子による受光出力を前記濃度センサの濃度検出出力として取込んで前記第3の閾値及び第4の閾値とそれぞれ比較し、該比較結果に基づき、前記受光素子の受光出力が前記第3の閾値と前記第4の閾値の範囲となるように前記発光素子の発光量を調整制御する光量調整制御手段と
を具備する請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記補正画像の先端部通過時に立ち下がり、後端部通過時に立ち上がる特性を有する前記濃度センサの濃度検出出力を所定の閾値と比較し、前記濃度センサの濃度検出出力が前記立下り時から前記立ち上がり時までを通して前記閾値に達している時間の時間幅に基づいて前記補正画像の濃度を検出し、前記立下り時から前記立ち上がり時までを通して前記閾値に達している時間の時間幅の中心から前記補正画像の位置を検出する請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−224009(P2010−224009A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68348(P2009−68348)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】