説明

画像形成装置

【課題】光源の光学特性に影響を与えることなく、不要電波を抑制することが可能な光学走査装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】光学走査装置100は、半導体レーザ及びこれを駆動するドライバICが実装された光源駆動基板120と、光学系が配置された底壁104を有するプラスチック製の光学箱101と、光学箱101の側壁105aの底壁104と重なる位置に設けられた2つのボス108を有し、基板120から発生する電磁波を遮蔽するシールドボックス130を基板120と共締めにより2つのボス108にねじ止めしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像記録の高速化、高解像度化に伴い、光源の駆動周波数が増大しており、光源の駆動回路から発生する不要電波の漏洩防止が重要になってきている。画像形成装置の感光体の露光に用いられる従来の光学走査装置として、上記不要電波を抑制するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された光学走査装置は、半導体レーザを実装した回路基板と、回路基板をスペーサを介して支持する金属からなる保持部材と、金属板を折り曲げて形成され、回路基板を覆うように保持部材に取り付けられた光学箱とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−249957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光源の光学特性に影響を与えることなく、不要電波を抑制することが可能な光学走査装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の光学走査装置及び画像形成装置を提供する。
【0007】
[1]光ビームを出射する光源と前記光源を駆動する回路とが実装された基板と、前記基板が取り付けられる側壁と前記光源から出射された前記光ビームを予め定められた方向に走査する光学系が配置された底壁とを有する樹脂製の箱と、取り付け穴が形成され、前記基板から発生する電磁波を遮蔽する遮蔽部材と、前記箱の前記側壁の前記底壁と重なる位置に設けられ、前記遮蔽部材に形成された前記取り付け穴を介してねじ止めされる取付部と、を備えた光学走査装置。
【0008】
[2]前記基板は、取り付け穴が形成され、前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材に形成された前記取り付け穴、及び前記基板に形成された前記取り付け穴を介して前記基板と共締めによって前記取付部にねじ止めされた前記[1]に記載の光学走査装置。
【0009】
[3]前記基板に実装された前記光源は、前記基板の前記取り付け穴の配列方向に対して斜め方向に前記基板上に配列された複数の半導体レーザであり、前記基板は、前記箱の前記側壁に前記複数の半導体レーザの配列ラインと傾斜方向が同じでかつ近接したライン上に設けられた2つの取り付け穴がさらに形成され、前記箱の前記側壁に設けられ、前記基板に形成された前記2つの取り付け穴を介してねじ止めされる2つの他の取付部を、さらに備えた前記[2]に記載の光学走査装置。
【0010】
[4]前記遮蔽部材は、取り付け穴が形成された座部を備え、前記座部は、前記座部に形成された前記取り付け穴を介して、グランドに接地されたフレームにねじ止めされる前記[3]に記載の光学走査装置。
【0011】
[5]感光体に画像データに基づいて変調した光ビームを照射する前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の光学走査装置を備えた画像形成装置。
【0012】
[6]前記光学走査装置の前記遮蔽部材は、金属からなり、前記遮蔽部材に隣接して配置された高電圧供給用基板を備えた前記[5]に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、5に記載された発明によれば、光源の光学特性に影響を与えることなく、不要電波を抑制することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、取付部の数を減らすことができ、構成を簡素化することができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、基板の側壁への取り付けによって半導体レーザの位置が変位することを抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、遮蔽部材の遮蔽性能を高めることができる。
【0017】
請求項6に記載された発明によれば、金属製の遮蔽部材によって熱源となる高電圧供給用基板から光源を保護することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る光学走査装置の外観を示す斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施の形態に係る光学走査装置の光学系を主として示す正面図である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施の形態に係る光学走査装置の光学系を主として示す平面図である。
【図4】図4(a)は、図2に示す光学箱をシールドボックス側から見た図であり、光源駆動基板及びシールドボックスを取り外した状態を示す図、図4(b)は、半導体レーザとボスの位置関係を示す図である。
【図5】図5は、図2に示す光学箱をシールドボックス側から見た図であり、シールドボックスを取り外した状態を示す図である。
【図6】図6は、図2におけるA−A線断面図である。
【図7】図7は、比較例1に係る構成を示す断面図である。
【図8】図8は、比較例2に係る構成を示す断面図である。
【図9】図9は、変形例1に係るシールドボックスの座部を示す図である。
【図10】図10は、変形例2に係る構成を示す断面図である。
【図11】図11は、変形例3に係る構成を示し、図11(a)は、斜視図、図11(b)は、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。この画像形成装置10は、例えば、デジタルカラープリンタであり、パーソナルコンピュータ等の上位装置から送信された画像データに図示しない画像処理部で画像処理を施してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データに変換した後、各色の画像データに基づいてカラー画像を用紙に形成するように構成されている。なお、画像形成装置10は、複写機やファクシミリ、又は複写機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の複数の機能を有する複合機であってもよい。
【0020】
画像形成装置10は、略箱型状の筐体11を有し、この筐体11内の下部に、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙トレイ12を着脱可能に設け、筐体11の上部に、記録済みの用紙Pが排出される用紙排出部13を配設し、給紙トレイ12から用紙排出部13に至るように用紙搬送路14を形成している。用紙搬送路14上には、給紙トレイ12から用紙Pを用紙搬送路14に1枚ずつ取り込むピックアップロール14a、用紙Pを捌く、捌きロール14b、用紙Pを搬送する搬送ロール14c、用紙P上のトナー像を定着する定着器15、及び用紙Pを用紙排出部13に排出する排出ロール14dが配設されている。
【0021】
また、画像形成装置10は、筐体11内の中央部に画像形成部20を有する。画像形成部20は、駆動ロール30、バックアップロール31及び従動ロール32に張架され、図中の矢印方向に循環移動する中間転写ベルト33と、中間転写ベルト33の外側に一定の間隔を有して着脱可能に配置され、図中の矢印方向に回転しながら、YMCKの各色用のトナー画像が形成される感光体22Y,22M,22C,22Kを有する画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kと、中間転写ベルト33の内側に配置され、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト33に転写する一次転写ロール26Y,26M,26C,26Kとを備える。
【0022】
画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ上記感光体22Y,22M,22C,22Kと、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面を一様に帯電する帯電器23と、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面に後述する光学走査装置100によって形成された静電潜像をトナーで現像することにより感光体22Y,22M,22C,22Kの表面にトナー像を形成する現像器24と、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面に残留しているトナーを回収する感光体クリーニング部25とを備える。
【0023】
現像器24は、トナーを収容するハウジング24aを有し、このハウジング24a内に、感光体22Y,22M,22C,22Kにトナーを供給して感光体22Y,22M,22C,22K上の静電潜像をトナーで現像する現像ロール24bと、現像ロール24bにトナーを供給する供給オーガー24cと、トナーを攪拌するとともに供給オーガー24cにトナーを供給する攪拌オーガー24dとを配設している。現像器24は、トナーボックス35Y,35M,35C,35Kから各色のトナーが供給されるようになっている。
【0024】
画像形成部20は、中間転写ベルト33を挟んでバックアップロール31の反対側に、二次転写ロール34を設けており、バックアップロール31と形成するニップ領域において、中間転写ベルト33上のトナー画像を用紙Pに二次転写する。
【0025】
また、画像形成部20は、画像形成ユニット21Yの上流側であって、中間転写ベルト33を挟んで駆動ロール30の反対側にベルトクリーニング部40を配設している。ベルトクリーニング部40は、駆動ロール30側へ押圧され、中間転写ベルト33上に残留しているトナーを掻き取って回収する。
【0026】
光学走査装置100は、光学箱101と、YMCK各色の画像データに基づいて変調されたシングルレーザによる光ビーム111Y,111M,111C,111Kを出射する4つの半導体レーザからなる光源と、光学箱101内に収容され、各半導体レーザから出射された光ビーム111Y,111M,111C,111Kを感光体22Y,22M,22C,22Kの配列位置に応じた方向に光路を変換する光学系とを備える。
【0027】
図2は、光学走査装置100の外観を示す斜視図である。
【0028】
(光学箱)
光学走査装置100は、半導体レーザを支持し、光学系を収容した略箱型状の上記光学箱101を有し、光学箱101は、上方に開口部を有する箱本体102と、箱本体102の開口部を覆う蓋体103とを備える。箱本体102及び蓋体103は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)系やPC(ポリカーボネート)系のガラス繊維強化樹脂等から射出成形によって一体に形成される。
【0029】
箱本体102は、光学系を支持する底壁104と、底壁104の四方に形成された側壁105a〜105dと、四隅に設けられてフレーム11aに固定される4つの座部106とを備える。座部106には、フレーム11aに接触する部分に座板106aが設けられ、座板106aを貫通するように取り付け穴106bが形成されている。座部106は、ねじ(図3A,図3Bに示す。)Nにより取り付け穴106bを介してフレーム11aに取り付けられる。フレーム11aは、図1に示す筐体11の一部を構成するアルミニウム、ステンレス等の金属から形成され、グランドに接地されている。
【0030】
蓋体103には、4本の光ビーム111Y,111M,111C,111Kを透過させるための4つのガラス窓103aが設けられている。
【0031】
箱本体102の1つの側壁105aには、半導体レーザが搭載された光源駆動基板120と、光源駆動基板120から発生する電磁波を遮蔽する遮蔽部材の一例であるシールドボックス130とが取り付けられている。
【0032】
(シールドボックス)
シールドボックス130は、主壁131と、主壁131の上方に設けられた側壁132と、主壁131の左右両側に設けられた側壁133と、それぞれの側壁133の一部を折り曲げて形成された座部134と、主壁131から延在した部分を折り曲げて形成された座部135とを備える。
【0033】
座部134,135には、それぞれ取付け穴134a,135aが形成されている。座部134は、ねじNにより取付け穴134aを介して光源駆動基板120のアースエリアを介して光源駆動基板120と共締めにより箱本体102の側壁105aに取り付けられている。また、座部135は、ねじにより取付け穴135aを介してフレーム11aに取り付けられる。シールドボックス130とフレーム11aは金属同士であるので、ねじ止めされることで導通が確実となる。
【0034】
主壁131には、座部134の取付け穴134aにねじNを通すための穴131aと、光源駆動基板120上のコネクタ121a〜121cにコネクタを接続するための穴131b,131cが形成されている。
【0035】
シールドボックス130は、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属板を折り曲げて形成することができる。なお、シールドボックス130は、カーボンフィラー、金属フィラー等の導電性フィラーを含有するプラスチック、導電性塗料が塗布されたプラスチック等から形成することができる。図2では、図示していないが、シールドボックス130で光源駆動基板120を保護することにより、近くにHV(High Voltage)基板等の熱を発生する電気部品を配置することもでき、これにより画像形成装置10の小型化が可能になる。HVは熱を発生するが、金属シールドによって、光源を熱から遮断できるためである。
【0036】
(光学走査装置の光学系)
図3A及び図3Bは、光学走査装置100の光学系を主として示し、図3Aは、正面図、図3Bは、平面図である。図3Aでは、光源駆動基板120及びシールドボックス130を省略し、図3Bでは、シールドボックス130を省略している。
【0037】
光学走査装置100は、YMCK各色に対応した光ビーム111Y,111M,111C,111Kを出射する半導体レーザ110Y,110M,110C,110Kと、半導体レーザ110Y,110M,110C,110Kから出射された光ビーム111Y,111M,111C,111Kを走査する回転多面鏡141を有する第1光学系140と、第1光学系140からの光ビーム111Y,111M,111C,111Kを各感光体22Y,22M,22C,22Kの配列位置に応じた方向に分離する光分離多面鏡151を有する第2光学系150とを備える。第1光学系140及び第2光学系150は、光学箱101に収容されている。
【0038】
第1光学系140は、半導体レーザ110Y,110M,110C,110Kと回転多面鏡141との間に、コリメータレンズ142、スリット143、第1反射ミラー144A、第1レンズ系145A、第2反射ミラー144B、第3反射ミラー144C及び第2レンズ系145Bが配置され、回転多面鏡141の後段には、第1fθレンズ146A、第2fθレンズ146B及び折り返しミラー147が配置されている。
【0039】
第2光学系150は、上記光分離多面鏡151と、光分離多面鏡151によって分離された4本の光ビーム111Y,111M,111C,111Kを反射する反射ミラー152Y,152M,152C,152Kと、反射ミラー152Y,152M,152C,152Kで反射した4本の光ビーム111Y,111M,111C,111Kを感光体22Y,22M,22C,22Kに集光して反射する最終ミラー153Y,153M,153C,153Kとを備える。また、第2光学系150は、光分離多面鏡151を経た例えば光ビーム111Kの走査開始側のビームをSOSミラー154で反射させ、SOSレンズ155で集光させSOSセンサ156に入射させて各色の書き出しタイミングを整えている。
【0040】
図4及び図5は、図2に示す光学箱101をシールドボックス130側から見た図であり、図4(a)は、光源駆動基板120及びシールドボックス130を取り外した状態を示す図、図4(b)は、半導体レーザ110とボス108の位置関係を示す図である。図5は、シールドボックス130を取り外した状態を示す図である。図6は、図2におけるA−A線断面図である。
【0041】
図4(a)及び図6に示すように、側壁105aには、半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mを穴112aに圧入して個別に保持する4つのホルダ112がねじNにより側壁105aに形成された図6に示すボス107に固定されている。半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mは、底面から露出しているリード線110aに電流を供給し、実際に光ビーム111Y,111M,111C,111Kを出射させて光路調整を行った後、ホルダ112を側壁105aに固定している。
【0042】
また、側壁105aには、光源駆動基板120を取り付けるための雌ねじ108aが形成された4つのボス108A〜108Dが設けられている。取付部の一例である下側の2つのボス108A,108Bは、底壁104と重なる位置に設けられている。右上のボス108Dは、左上のボス108Cよりも下に下がった位置に設けられている。すなわち、取付部の一例である上側の2つのボス108C,108Dは、4つの半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mの配列ラインLと傾斜方向が同じであり、かつ近接したラインL上に設けられている。
【0043】
両側に位置する半導体レーザ110C,110Mに近接する2つのボス108C,108Dは、例えば、図4(b)に示すように、a=30mm、b=20mmとする楕円領域(ハッチングを施した領域)に存在するのが好ましい。なお、下側の2つのボス108A,108Bは、その外形が底壁104に一部でも重なる位置に設けられていればよい。
【0044】
上述したボス配置により、このボスは底壁104と連結されることになるので強固になる。シールドボックス130は、金属製の板金構造が望ましいのだが、取り付けの形状を設けるため曲げ形状をつける場合が多い。板金部品は曲げ形状をつけると、その部分の精度が悪くなる。その精度悪化分の説明としては図8の例のように、座部135の曲げ影響が、ハウジング(102)の側壁105aを倒すことになるのである。シールドボックス130は金属で強固であるが、ハウジング(102)はプラスチック製であり、強度の差があるため、従来はこのようなことが起こっていたが、この配置にすることで、シールドボックス130の寸法エラー分でハウジング(102)の側壁105aを倒そうとしても、このボスは底壁104と連結されているので倒れ難い。すなわち、側壁105aは倒れ難い。よって、金属製シールドボックス130、プラスチック製ハウジング(102)という異なる材料であってもハウジング(102)の壁を倒すことはないので、シールド性能を向上させながら、安価なプラスチックハウジングを用いた光学走査装置を提供できるので安価な電子写真装置を提供できるのである。また、光源駆動基板120とシールドボックス130とを共締めとせずに互いに別個のボスに固定してもよい。底壁104と重なる位置に設けるボスを1つとし、この1つのボスにシールドボックス130を単独で又は光源駆動基板120と共締めで取り付けてもよい。
【0045】
図5及び図6に示すように、光源駆動基板120は、エポキシ樹脂等の絶縁基材の表裏面に銅等の導電性材料からなる導電パターン等で回路が形成された回路基板であり、半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mを駆動するドライバICが実装されている。光源駆動基板120には、前述したコネクタ121が設けられ、4つの取り付け穴120a〜120dと、半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mのリード線110aが貫通する貫通穴120eとが形成されている。リード線110aは、貫通穴120eに挿入した後、半田付けによって光源駆動基板120の裏面に形成された導電パターンに結線される。光源駆動基板120には、下側の2つの穴120c,120dの周辺をアースエリアとしている。
【0046】
光源駆動基板120は、単体では、上側の2つの取り付け穴120a、120bを介して図4に示すボス108C,108Dにねじ止めされる。左上の穴120aは、ボス108Cの雌ねじ108aに対応した大きさの円形穴であり、右上の穴120bは、左右方向に長い長穴であり、下側の2つの穴120c,120dは、左上の穴120aよりも直径の大きい円形穴となっている。これにより、光源駆動基板120は、左上の穴120aを基準として位置決めされる。前述したように、光源駆動基板120の上側の2つの穴120a,120bの配列ラインLは、4つの半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mの配列ラインLと傾斜方向が同じであり、かつ近接している。これにより、半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mのリード線110aを光源駆動基板120の貫通穴120eから露出させる量が安定し、リード線110aの半田付け作業が確実となる。また、光源駆動基板120の側壁105aへの取り付けによって半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mの位置が変位することを抑制することができる。それは、光源駆動基板120は、ガラスエポキシ、金属性エッチングパターン等で回路形成された回路基板であり強度が高いので、この基板を光源が設置されている側壁105aに実装するには、プラスチック製ハウジング(102)側の取り付けボスの平行度を精度よくしなければならない。そうしないと、プラスチック製ハウジング(102)の壁が駆動基板の強度に負けて倒されてしまい、光路を狂わせてしまうことがあった。しかし、この例では、スクリュー固定の4点のうち2点(108Dと108B)が近接しており、すなわち、108A,108C、近接した108B,108Cで示す4点ではあるが、近似した3点固定となる。よって、離れた4点固定ではボス高さの平行度を厳しく管理する必要があったが、この例では3点固定に近似しているので、駆動基板は近似3点のボスにならって取り付くので、ハウジング(102)の壁を倒すことはない。よってボスの平行度を落とすことができるので、ハウジング(102)を安価に作ることができる。
【0047】
(画像形成装置の動作)
次に、画像形成装置10の動作の概要について説明する。光学走査装置100は、YMCK各色の画像データに基づいて変調された光ビーム111Y,111M,111C,111Kを感光体22Y,22M,22C,22Kに照射して感光体22Y,22M,22C,22Kの表面に静電潜像を形成する。すなわち、図3A及び図3Bに示すように、半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mは、光源駆動基板120上にドライバICによって駆動され、光ビーム111Y,111M,111C,111Kを出射する。このとき、光源駆動基板120から電磁波が発生するが、シールドボックス130によって遮蔽される。半導体レーザ110C,110Y,110K,110Mから出射された光ビーム111Y,111M,111C,111Kは、第1光学系140の回転多面鏡141によって走査され、折り返しミラー147で折り返された後、第2光学系150の光分離多面鏡151によって分離され、反射ミラー152Y,152M,152C,152K及び最終ミラー153Y,153M,153C,153Kを経て感光体22Y,22M,22C,22Kに照射される。
【0048】
光ビーム111Y,111M,111C,111Kが照射によって感光体22Y,22M,22C,22K上に形成された静電潜像は、現像器24によりトナーで現像されてトナー像が形成される。感光体22Y,22M,22C,22K上のトナー画像は、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって中間転写ベルト33に転写される。
【0049】
一方、給紙トレイ12からは、ピックアップロール14aによって用紙Pが用紙搬送路14に取り込まれ、捌きロール14bによって捌かれた後、搬送ロール14cによって二次転写ロール34に搬送され、中間転写ベルト33上のトナー像が用紙Pに転写される。
【0050】
その後、用紙P上のトナー像は、定着器15によって定着された後、排出ロール14dによって用紙排出部13に排出される。
【0051】
ここで、上記シールドボックス130の取り付け構造について比較例を参照しながら説明する。
【0052】
(比較例1)
図7は、比較例1に係る構成を示す断面図である。この比較例1は、シールドボックス130とフレーム11aとをねじ止めせずに、配線(ハーネス)136によってシールドボックス130とフレーム11aとを接続したものである。比較例1では、ハーネスによる接地を行っているが、ハーネスがふらついたりすることで接地性能にバラツキがあるため、安定したシールド性能を得られない。
【0053】
(比較例2)
図8は、比較例2に係る構成を示す断面図である。この比較例2は、シールドボックス130を箱本体102の側壁105aと底壁104と重なっていない位置でもねじ止めしたものである。比較例2では、シールドボックス130の加工精度によっては、側壁105aを倒して調整済みの光路がずれて画質に影響を与えるおそれがある。
【0054】
本実施の形態のシールドボックス130の取り付け構造によれば、シールドボックス130で光源駆動基板120の周囲を覆うことで、光源駆動基板120から発生する電磁波がシールドボックス130から外部に放射されるのが抑制される。また、シールドボックス130は、箱本体102の底壁104と重なる位置で固定され、シールドボックス130自体で直接接地するので安定したシールド性能を得られる。また、比較例2と比べてシールドボックス130の加工精度が問題になることもない。
【0055】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るシールドボックスの座部を示す図である。この変形例1は、シールドボックス130のフレーム11aに固定される座部135の根元に切欠135bを設けたものである。これにより、シールドボックス130の取り付け時にシールドボックス130の加工精度のエラー分を座部135の根元で吸収して箱本体102の側壁105aを倒すおそれが少なくなる。
【0056】
(変形例2)
図10は、変形例2に係る構成を示す断面図である。この変形例2は、光源駆動基板120とシールドボックス130とを共締めせずに、光源駆動基板120は、単独で箱本体120の側壁105aに形成したボスにねじ止めし、シールドボックス130は、箱本体120の底壁104と重なる位置に設けられたボス108にねじ止めしたものである。この構成によれば、シールドボックス130の加工精度によってシールドボックス130を取り付けた際にシールドボックス130に倒れが発生したも、側壁105aを押すことがないため、側壁105aの倒れを回避することができる。
【0057】
(変形例3)
図11は、変形例3に係る構成を示し、図11(a)は、斜視図、図11(b)は、断面図である。この変形例3は、座部134の曲げ方向を側壁132と同じ方向としたものである。これによれば、フレーム11aに固定される座部135の曲げ部aの誤差分を座部134の曲げ部b,cで吸収することができ、より一層側壁105aの倒れを回避することが可能となる。
【0058】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々に変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、光源として複数の半導体レーザを用いた場合について説明したが、1つの半導体レーザを用いた場合にも適用することができる。また、光源として発光ダイオードを用いた場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10…画像形成装置、11…筐体、11a…フレーム、12…給紙トレイ、13…用紙排出部、14…用紙搬送路、14a…ピックアップロール、14b…捌きロール、14c…搬送ロール、14d…排出ロール、15…定着器、20…画像形成部、21Y,21M,21C,21K…画像形成ユニット、22Y,22M,22C,22K…感光体、23…帯電器、24…現像器、24a…ハウジング、24b…現像ロール、24c…供給オーガー、24d…攪拌オーガー、25…感光体クリーニング部、26Y,26M,26C,26K…一次転写ロール、30…駆動ロール、31…バックアップロール、32…従動ロール、33…中間転写ベルト、34…二次転写ロール、35Y,35M,35C,35K…トナーボックス、40…ベルトクリーニング部、100…光学走査装置、101…光学箱、102…箱本体、103…蓋体、103a…ガラス窓、104…底壁、105a〜105d…側壁、106…座部、106a…座板、106b…取り付け穴、107…ボス、108A〜108D…ボス、110a…リード線、110Y,110M,110C,110K…半導体レーザ、111Y,111M,111C,111K…光ビーム、112…ホルダ、112a…穴、120…光源駆動基板、120a〜120c…取り付け穴、120e…貫通穴、121a〜121c…コネクタ、130…シールドボックス、131…主壁、131a,131b,131c…穴、132,133…側壁、134,135…座部、134a,135a…取り付け穴、135b…切欠、136…配線、140…第1光学系、141…回転多面鏡、142…コリメータレンズ、143…スリット、144A…第1反射ミラー、144B…第2反射ミラー、144C…第3反射ミラー、145A…第1レンズ系、145B…第2レンズ系、146A…第1fθレンズ、146B…第2fθレンズ、147…折り返しミラー、150…第2光学系、151…光分離多面鏡、152Y,152M,152C,152K…反射ミラー、153Y,153M,153C,153K…最終ミラー、154…SOSミラー、155…S0Sレンズ、156…SOSセンサ、P…用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と前記光源を駆動する回路とが実装された基板と、
前記基板が取り付けられる側壁と前記光源から出射された前記光ビームを予め定められた方向に走査する光学系が配置された底壁とを有する樹脂製の箱と、
取り付け穴が形成され、前記基板から発生する電磁波を遮蔽する遮蔽部材と、
前記箱の前記側壁の前記底壁と重なる位置に設けられ、前記遮蔽部材に形成された前記取り付け穴を介してねじ止めされる取付部と、
を備えた光学走査装置。
【請求項2】
前記基板は、取り付け穴が形成され、
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材に形成された前記取り付け穴、及び前記基板に形成された前記取り付け穴を介して前記基板と共締めによって前記取付部にねじ止めされた請求項1に記載の光学走査装置。
【請求項3】
前記基板に実装された前記光源は、前記基板の前記取り付け穴の配列方向に対して斜め方向に前記基板上に配列された複数の半導体レーザであり、
前記基板は、前記箱の前記側壁に前記複数の半導体レーザの配列ラインと傾斜方向が同じでかつ近接したライン上に設けられた2つの取り付け穴がさらに形成され、
前記箱の前記側壁に設けられ、前記基板に形成された前記2つの取り付け穴を介してねじ止めされる2つの他の取付部を、さらに備えた請求項2に記載の光学走査装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、取り付け穴が形成された座部を備え、前記座部は、前記座部に形成された前記取り付け穴を介して、グランドに接地されたフレームにねじ止めされる請求項3に記載の光学走査装置。
【請求項5】
感光体に画像データに基づいて変調した光ビームを照射する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学走査装置を備えた画像形成装置。
【請求項6】
前記光学走査装置の前記遮蔽部材は、金属からなり、
前記遮蔽部材に隣接して配置された高電圧供給用基板を備えた請求項5に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−230805(P2010−230805A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75955(P2009−75955)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】