説明

画像形成装置

【課題】トナーカートリッジから漏洩したトナーの回収を確保した上で、部品点数の削減およびエネルギーコストの低減化を図る。
【解決手段】カートリッジ装着空間30の下方位置に配設され、上面にトナー補給口336の近傍と、トナーカートリッジ20の移動方向とに亘り複数のトナー吸引孔56が穿設された吸引ダクト50と、吸引ダクト50内に収納されてトナー吸引孔56を介してトナーを吸引するファン装置80と、ファン装置80のファン82をファン軸81回りに回転させるピニオン60と、ピニオン60と噛合し、かつ、トナーカートリッジ20の引き出し時に吸引ダクト50内へトナーを吸引するようピニオン60を介してファン82を回転させる、トナーカートリッジ20の挿脱方向に延びたラック41とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対し感光体ドラムの軸心方向と平行に挿脱可能なトナー補給用のトナーカートリッジが装着される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているような画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、感光体ドラムの周面に画像情報に基づく静電潜像に沿ったトナー像を形成させるべくトナーを供給する現像装置にトナーを補給するトナーカートリッジを備えている。
【0003】
現像装置のトナー貯留部には、トナーカートリッジからのトナーを受け入れるためのトナー受入口が設けられている。トナー受入口近傍には、トナーカートリッジから漏洩したトナーを吸引するマグネットが設けられているとともに、漏洩したトナーを吸引除去するファンが設けられている。
【0004】
従って、トナーが磁性のものである場合には、漏洩トナーはマグネットの磁力で吸引除去される。これに対しトナーが非磁性のものである場合には当該トナーがマグネットの磁力で吸引除去されることはないが、その代わりにファンによる気流で吸引除去される。因みにファンは、それが採用されるとトナーが磁性のものであるか否かに拘わらず吸引除去されるため、汎用性が大きいということができる。
【特許文献1】特開平4−308874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の画像形成装置において、ファンの気流でトナーカートリッジから漏洩したトナーを吸引除去する方式にあっては、ファンを駆動させるために駆動モータを採用しなければならないばかりか、当該駆動モータの駆動のために電力が必要になるなど、部品コストおよびエネルギーコストが嵩むという問題点を有している。
【0006】
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、トナーカートリッジから漏洩したトナーの回収を可能とした上で、部品点数の削減およびエネルギーコストの低減化を達成することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、所定の装置本体内における現像装置の上方位置に、トナーカートリッジを感光体ドラムの軸心方向と平行に挿脱し得るカートリッジ装着空間が形成され、前記カートリッジ装着空間にトナーカートリッジを押し入れた状態で当該トナーカートリッジの底部のトナー送出口が現像装置のトナー受入口に対向するように構成された画像形成装置において、前記カートリッジ装着空間の下方位置に配設され、上面に前記トナー受入口の近傍と、トナーカートリッジの移動方向とに亘り複数のトナー吸引孔が穿設された吸引ダクトと、前記吸引ダクト内に収納されて前記トナー吸引孔を介しトナーを吸引するファン装置と、前記ファン装置のファンをファン軸回りに回転させるピニオンと、前記ピニオンと噛合し、かつ、トナーカートリッジの引き出し時に吸引ダクト内へトナーを吸引するようピニオンを介して前記ファンを回転させる、トナーカートリッジの挿脱方向に延びたラックとが備えられていることを特徴とするものである。
【0008】
かかる構成によれば、現像装置へのトナーの補給で空になったトナーカートリッジを、新品と交換するために画像形成装置の装置本体から引き出すと、当該トナーカートリッジに設けられ、かつ、装置本体側のピニオンと噛合したラックがピニオンを軸回りに回転させるため、このピニオンの回転によってファン装置のファンがファン軸回りに回転し、これによって気流がトナーカートリッジの装着空間の下方に設けられた吸引ダクト上面の複数のトナー吸引孔を介して当該ダクト内に吸引される。
【0009】
従って、トナーカートリッジを引き出すに当たって、現像装置のトナー受入口の近傍に漏洩したトナーや、トナーカートリッジを引き出すときにトナー送出口から垂れ落ちたトナー等は、前記気流に誘引され、トナー吸引孔を通ってダクト内に回収されるため、トナーカートリッジが装置本体のカートリッジ装着空間から引き出された状態で、トナーカートリッジが通過した軌跡上にトナーが点々と落ち零れているような見苦しい状態が解消されて外観視が美麗になるとともに、落ち零れているトナーによってオペレーターの手が汚染されるような不都合の発生も防止される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ピニオンには、前記トナーカートリッジが引き出されるときにオンされ、前記トナーカートリッジが押し込まれるときにオフされるワンウエイクラッチが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
かかる構成によれば、トナーカートリッジを装置本体から引き出すときのみワンウエイクラッチがオンしてピニオンが回転し、このピニオンの回転がファンに伝達されることで吸引ダクト周りの空気が吸引されるのに対し、トナーカートリッジを装置本体内へ押し込むときにはワンウエイクラッチがオフになってピニオンの回転がファンに伝達されない。従って、トナーカートリッジを装置本体内へ押し込むときにトナー送出口から気流が逆流して零れているトナーを舞い上がらせるような不都合の発生が防止される。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記ピニオンと前記ファン装置との間には、ピニオンの回転速度を増速してファンに伝達する増速機構が介設されていることを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成によれば、増速機構の作用でピニオンの回転速度に比べてファンを高速回転させることができるため、強い気流を得ることが可能になり、これによって漏洩トナーは、より効果的に吸引される。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記吸引ダクトの上面には、前記トナー吸引孔に向けて先下がりに傾斜した傾斜面が形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成によれば、吸引ダクトの上面に漏洩したトナーは、吸引ダクト上面の傾斜に誘導されてトナー吸引孔へ向かうため、トナーは、より効果的に吸引ダクト内へ吸引される。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記吸引ダクト内には、吸引されたトナーを捕捉するフィルタが設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
かかる構成によれば、吸引ダクト内に吸引されたトナーは、フィルタによって捕捉されるため、一旦吸引されたトナーが再び飛散するような不都合の発生が防止される。なお、フィルタは、目詰まりするほどトナーを捕捉したとき新品と交換される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像形成装置によれば、トナーカートリッジを引き出すに当たって、現像装置のトナー受入口の近傍に漏洩したトナーや、トナー送出口から垂れ落ちたトナー等は、トナーカートリッジのラックに噛合したピニオンを介して回転するファンによる気流に誘引され、トナー吸引孔を通って吸引ダクト内に回収されるため、トナーカートリッジが装置本体のカートリッジ装着空間から引き出された状態で、トナーカートリッジが通過した軌跡上にトナーが点々と落ち零れているような見苦しい状態を解消することができるとともに、落ち零れているトナーによってオペレーターの手が汚染されるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す外観斜視図であり、図2は、その内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図である。図1および図2においてX方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
【0020】
本実施形態で例示した画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に画像形成部12と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とがそれぞれ設けられている。そして、排紙部15は、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没された状態で形成され、これにより当該画像形成装置10が胴内排紙型と称されている。
【0021】
前記装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部本体112と、この上部本体112と前記下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。前記連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、下部本体111の左部および後部から立設され、平面視でL字状を呈している。前記上部本体112は、その左部および後部がかかる連結部113の上端に支持されている。
【0022】
そして、前記下部本体111には、画像形成部12、定着部13および用紙貯留部14が内装されているとともに、前記上部本体112には画像読取部16が形成されている。前記操作部17は、本実施形態においては、図1に示すように、上部本体112の前縁部から前方に向かって突設されている。
【0023】
用紙貯留部14は、装置本体11に対して挿脱自在の用紙カセット141を有している。この用紙カセット141には用紙束P1(図2)が貯留されている。そして、画像形成処理が行われるに際し、この用紙束P1から用紙Pが1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれて当該用紙Pに画像形成処理(印刷処理)が施される。本実施形態では、用紙カセット141は2段で設けられている。
【0024】
前記排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成されている。かかる排紙部15は、下部本体111の上面に形成された胴内排紙トレイ151を有し、画像形成部12からのトナー画像が転写された用紙Pは、連結部113の下部からこの胴内排紙トレイ151へ向けて排出される。
【0025】
前記画像読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構163(図2)とを備えている。そして、走査機構163によって読み取られた原稿画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換された後に後述する露光装置123へ向けて出力され、画像形成処理に供される。
【0026】
前記操作部17は、画像形成処理に関する処理情報を入力操作するためのものであり、電源スイッチ170や、用紙Pの処理枚数等を入力するためのテンキー171(図1)やその他の各種の操作キー、タッチ入力を行ったりコメントを文字出力するためのLCD(Liquid crystal display)172、さらには画像形成処理の開始を告げるスタートキー173(図1)等が設けられている。そして、スタートキー173が押釦されることにより、原稿画像の読み取りから始まり、トナー像の転写された用紙Pの排出までの一連の具体的な画像形成処理が実行される。
【0027】
また、下部本体111の右面には、用紙貯留部14の直上位置に手差しトレイ18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支持軸181(図2)回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。かかる手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。
【0028】
このような手差しトレイ18と後述する用紙縦搬送路191(図2)との間には搬送ユニット184(図2)と、中継ユニット185とが設けられ、手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、これら搬送ユニット184および中継ユニット185を介して用紙縦搬送路191へ導入され、この用紙縦搬送路191を上昇して後述する感光体ドラム121と転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
【0029】
また、前記下部本体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドアー19が設けられているとともに、このメンテナンスドアー19の直上位置には、開閉可能な胴外排紙トレイ152が設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152および前記胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
【0030】
また、下部本体111の前面における上段の用紙カセット141の若干上方位置には、後述するカートリッジ装着空間30(図4)に対して開閉する開閉ドア114が設けられている。この開閉ドア114は、開放された状態でトナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30に対して挿脱されるとともに、トナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30に押し込まれた状態で閉止される。因みに、図1では、トナーカートリッジ20の前端がカートリッジ装着空間30から突出された状態を示している。
【0031】
以下、図2を基に画像形成装置10の内部構造について詳細に説明する。図2に示すように、前記画像形成部12には、その略中央部に感光体ドラム121が設けられている。この感光体ドラム121は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転しながらその直ぐ右方位置に設けられた帯電器122により周面が一様に帯電される。
【0032】
そして、前記画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づく露光装置123からのレーザビームにより感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて感光体ドラム121の下方に設けられた現像装置124から現像剤(以下、トナーという)が供給され、これによって感光体ドラム121の周面に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。
【0033】
なお、現像装置124の上部に形成されたカートリッジ装着空間30には、挿脱可能なトナーカートリッジ20が装着される。そして、このトナーカートリッジ20からのトナーが適時に現像装置124へ補給される。なお、トナーカートリッジ20については、後に図3を基に詳細に節米する。
【0034】
トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙貯留部14のいずれかの用紙カセット141から送り出され、上下方向に延びた用紙縦搬送路191を上昇した用紙Pが、タイミングを取るためのレジストローラ対142を介して送り込まれる。そして、この用紙Pには、感光体ドラム121の左方で当該感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
【0035】
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄化処理され、つぎの画像形成処理のために帯電器122へ向かうことになる。
【0036】
前記定着部13は、その筐体の内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた定着ローラ131と、左方でこの定着ローラ131と対向配置された加圧ローラ132とが設けられることにより構成されている。画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ローラ131と加圧ローラ132との間のニップ部を通過しながら熱を得てトナー像の定着処理が施される。
【0037】
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方に設けられた排紙搬送路192を介して選択的に排紙部15の胴内排紙トレイ151へ排出されたり、胴外排紙トレイ152へ排出されたりする。
【0038】
一方、定着処理後の用紙Pが片面の印刷処理が完了した両面印刷用のものである場合には、排紙搬送路192の上方に設けられた往復搬送路193を介して前半が胴内排紙トレイ151の上方に形成された一時退避空間153に排紙されたのち前記メンテナンスドアー19内に設けられた上下方向に延びる逆送搬送路194を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151または胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0039】
メンテナンスドアー19には、前記逆送搬送路194の直ぐ右側に、画像形成部12の左面に対向されるカバー部材19aが設けられている。このカバー部材19aは、メンテナンスドアー19の右面側に包持されている。そして、メンテナンスドアー19が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、カバー部材19aの右面と画像形成部12の左面との間に用紙カセット141や手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための前記用紙縦搬送路191の一部が形成されている。
【0040】
このようなメンテナンスドアー19が設けられるのは、画像形成部12の左面に対応した用紙縦搬送路191で紙詰りが生じたときに、メンテナンスドアー19を開放姿勢に姿勢変更させて詰まった用紙Pを外部に露出させ、これによって詰まった用紙Pを取り除くことができるようにするためである。
【0041】
そして、このように構成された画像形成装置10に、手動駆動機構40の一構成要素として機能する図3に示すようなトナーカートリッジ20が適用されている。図3は、トナーカートリッジ20の一実施形態を示す背面側(後面側)の下方から見た斜視図である。以下、図3を基にトナーカートリッジ20について説明する。なお、図3におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様である。但し、図3においては、カートリッジ装着空間30を背面(後面)側から見たことによりXによる方向表示の左右と、紙面の実際の左右とは逆になっている。
【0042】
トナーカートリッジ20は、内部にトナーを貯留するための扁平な箱状を呈した前後方向に長尺のケーシング21と、このケーシング21の上面開口を閉止する蓋体22と、ケーシング21内のトナーを現像装置に補給するべく底部に設けられたトナー送出口233を開閉するシャッタ部材23とを備えた基本構成を有している。
【0043】
前記ケーシング21は、貯留されているトナーが団塊化するのを防止するべく攪拌する図略の攪拌部材を備えた攪拌部211と、この攪拌部211で攪拌されたトナーをトナー送出口233へ向けて搬送するためのスパイラルフィーダなどの図略の搬送部材を備えた搬送部212とからなっている。
【0044】
前記攪拌部211は、平面視の面積が搬送部212の面積よりも相当大きく設定されている。前記搬送部212は、このような攪拌部211の左側面の全長に亘って隣設されている。攪拌部211の底板213には、左右方向の略中央部と、これより少し右寄りの位置と、右端部とにそれぞれ前後方向に延びた被ガイド条24が設けられている。これら3本の被ガイド条24は、トナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30内に設けられたガイド溝361に嵌め込まれる。これによってトナーカートリッジ20は、カートリッジ装着空間30内で安定した前後移動が可能になる。
【0045】
また、攪拌部211の底板213には、その左端位置に手動駆動機構40の構成要素である前後方向に延びたラック41が設けられている。また、底板213の前端には、下方に向かって所定の突出量で突出した左右方向に長尺のストッパ214が設けられている。このストッパ214がカートリッジ装着空間30の入口側の縁部に当止することでカートリッジ装着空間30内でのトナーカートリッジ20の位置決めが行われる。
【0046】
また、トナーカートリッジ20の後側板25には、互いに噛合した状態で左右方向に向けて複数(図3に示す例では5つ)のギヤ261が連設されることによって形成されたカートリッジ側ギヤ機構26が設けられている。このカートリッジ側ギヤ機構26におけるいずれか1つのギヤ261が図略の駆動モータからの駆動力が伝達される駆動ギヤであり、これ以外のギヤは、当該駆動ギヤからの駆動力が伝達される従動ギヤである。
【0047】
そして、図3に示す5つのギヤ261の内の右の4つは、攪拌部211内における前記図略の攪拌部材をそれぞれ軸心回りに回転させるためのものであり、最左端の1つは、搬送部212内における前記図略の搬送部材を軸心回りに回転させるためのものである。
【0048】
前記搬送部212は、前後方向から見た断面視で下に凸の円弧状を呈する全長に亘った円弧底板215を有している。前記シャッタ部材23は、この円弧底板215の後端側に設けられている。かかるシャッタ部材23は、円弧底板215から下方へ向かって突設された搬送部212内と連通するシャッタ枠体231と、このシャッタ枠体231の底板232の一部が切り欠かれることによって形成されたトナー送出口233と、このトナー送出口233を開閉するシャッタ板234と、このシャッタ板234を開閉操作するための操作突起235とを備えている。
【0049】
かかるシャッタ部材23は、トナーカートリッジ20をカートリッジ装着空間30に対して挿脱することによる操作突起235のカートリッジ装着空間30内の所定の部材との当接および当接解除でシャッタ板234がトナー送出口233を開閉するように構成されている。
【0050】
そして、本発明の画像形成装置10は、このように構成されたトナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30から手操作で引き出されるに際し、手動駆動機構40の作用によってファン装置80が駆動され、これにより生じた気流で漏洩したトナーが吸引回収されるように構成されている。以下、手動駆動機構40について図4〜図7を基に説明する。
【0051】
図4および図5は、手動駆動機構40の一実施形態を説明するためのカートリッジ装着空間30内を示す一部切り欠き斜視図であり、図4は、カートリッジ装着空間30内にトナーカートリッジ20が装着されていない状態、図5は、カートリッジ装着空間30内にトナーカートリッジ20が装着された状態をそれぞれ示している。また、図6は、手動駆動機構40の一実施形態を示す一部切り欠きスケルトン斜視図である。さらに、図7は、図5のVII線視の説明図であって、一部を断面視で示している。なお、図4〜図7におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0052】
まず、図4に示すように、トナーカートリッジ20を装着するためのカートリッジ装着空間30は、下部本体111の前方フレーム板31における開閉ドア114(図1)に対向した部分と、この前方フレーム板31と対向した後方フレーム板32と、所定の左右幅寸法で前方フレーム板31および後方フレーム板32の下方位置間に水平姿勢で架設された底板33と、この底板33の左縁部の位置で前方フレーム板31および後方フレーム板32間に垂直姿勢で架設された左側板34と、前記底板33の右縁部の位置で前方フレーム板31および後方フレーム板32間に垂直姿勢で架設された右側板35と、底板33からトナーカートリッジ20の略上下寸法分だけ離間した状態で左右の側板34,35間に架設された天板36とによって囲繞された空間によって形成されている。
【0053】
前記前方フレーム板31には、カートリッジ装着空間30に対してトナーカートリッジ20を出し入れするための出入口311が開口されている。トナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30に押し込まれた状態では、図5に示すように、トナーカートリッジ20の前端壁から下方へ突設されたストッパ214が出入口311の下縁部に当止され、これによってカートリッジ装着空間30へ押し込まれたトナーカートリッジ20の位置決めが行われる。
【0054】
前記底板33は、その左右方向の中央部が、前方フレーム板31から後方フレーム板32の手前位置まで下方への押し起こしで凹没されることにより形成された凹没部331を有している。この凹没部331は、底板33の左右の位置から中央部へ向かって先下がりで傾斜した左右一対の傾斜面332と、これら左右一対の傾斜面332の前後方向に延びる下縁部間に架設された水平面333と、各傾斜面332および水平面333が前方フレーム板31の後面側に当接することで形成された逆台形状を呈する前方垂直面334と、各傾斜面332および水平面333の後端に向かって底板33の後部から垂下された後方垂直面335とによって囲繞された状態で形成されている。
【0055】
このような凹没部331には、前方垂直面334の上縁部と後方垂直面335の上縁部との間に架設された前後方向に延びる3本のガイド桟材362が設けられている。これらのガイド桟材362は、トナーカートリッジ20の底板213に突設された前記3条の被ガイド条24に対応するものである。各ガイド桟材362には、左右幅方向の中央部に前後方向の全長に亘って凹設されたガイド溝361が設けられている。従って、各被ガイド条24を対応したガイド溝361に嵌め込むことによって、トナーカートリッジ20は、被ガイド条24がガイド溝361に案内されつつ安定した状態でカートリッジ装着空間30に対して挿脱される。
【0056】
また、前記底板33には、その後方左隅部であって現像装置124の図略のトナー受入口に対応した位置に、トナー補給口336が設けられているとともに、このトナー補給口336を開閉するシャッタプレート337が設けられている。シャッタプレート337は、カートリッジ装着空間30にトナーカートリッジ20が装着されていないときは閉止される一方、カートリッジ装着空間30にトナーカートリッジ20が押し込まれたときは、当該トナーカートリッジ20の適所との干渉によってシャッタプレート337が開放されるようになされている。
【0057】
そして、本実施形態においては、底板33における凹没部331より後方の後方部338および凹没部331の水平面333には、漏洩したトナーを吸引するための複数のトナー吸引孔37が穿設されている。そして、トナーカートリッジ20から現像装置124へのトナーの補給時にトナー補給口336の周りに漏洩したトナーや、トナーカートリッジ20の新旧交換時にカートリッジ装着空間30からトナーカートリッジ20を引き出すときに落ち零れたトナーは、後述の手動駆動機構40の駆動により発生した気流によってトナー吸引孔37を介し吸引除去されるようになっている。
【0058】
以下、図6を基に、必要に応じて他の図面も参照しながら手動駆動機構40について説明する。図6に示すように手動駆動機構40は、前記カートリッジ装着空間30の下方位置に密着状態で配設され、かつ、底板33の後方部338および凹没部331の水平面333(図4)にそれぞれ対応する、平面視でT字状を呈した吸引ダクト50と、前記トナーカートリッジ20の底板213における左方位置に前後方向に延びるように配設されたラック41(図3参照)と、このラック41に噛合するピニオン60と、ラック41が移動することによるピニオン60の軸心回りの回転を増速する装置本体側ギヤ機構(増速機構)70と、吸引ダクト50に内装され、かつ、装置本体側ギヤ機構70によって増速された状態で駆動するファン装置80と、吸引ダクト50におけるファン装置80の直上流位置に充填されたフィルタ90とを備えて構成されている。
【0059】
前記吸引ダクト50は、上面が前記カートリッジ装着空間30の底板33の後方部338の裏面側に密着した左右方向へ延びる第1吸引ダクト51と、カートリッジ装着空間30の凹没部331における水平面333の裏面側に密着し、かつ、前記第1吸引ダクト51の左右方向の中央部で連通した前後方向に延びる第2吸引ダクト52と、この第2吸引ダクト52の下流端(前端)の下面に連結されて右方へ向かった後に後方へ向かうように曲折された連絡ダクト53と、この連絡ダクト53の下流端(後端)の上面側に接続されたファン装置80を収納するためのファン収納ダクト54と、このファン収納ダクト54の排気側に接続された排気ダクト55とを備えている。
【0060】
前記第1吸引ダクト51の天板511には、カートリッジ装着空間30の底板33の後方部338に穿設された前記トナー吸引孔37(図4)に対応した位置に第1吸引ダクト51側のトナー吸引孔56が穿設されているとともに、前記第2吸引ダクト52の天板521にもカートリッジ装着空間30の凹没部331の水平面333に穿設された前記トナー吸引孔37に対応した位置に第2吸引ダクト52側のトナー吸引孔56が穿設されている。
【0061】
従って、ファン装置80の駆動により吸引ダクト50内が負圧になることでカートリッジ装着空間30内で生じた気流は、底板33の後方部338および凹没部331の水平面333の各トナー吸引孔37並びに第1吸引ダクト51の天板511および第2吸引ダクト52の天板521の各トナー吸引孔56を介して吸引ダクト50内に吸引されることになる。
【0062】
前記ピニオン60は、トナーカートリッジ20の底板213に設けられたラック41と噛合されるものである。かかるピニオン60は、カートリッジ装着空間30の左側板34、第2吸引ダクト52の前側部およびカートリッジ装着空間30の右側板35を貫通したピニオン軸61と、このピニオン軸61の左側部であって左側板34の右側位置に同心で一体回転可能に外嵌されたピニオン本体62と、このピニオン本体62と前記ピニオン軸61との間に介設されたワンウエイクラッチ63とを備えている。
【0063】
一方、カートリッジ装着空間30の底板33の左方部339には、ピニオン本体62に対応した位置にピニオン突出口39(図4)が開口されている。前記ピニオン60は、そのピニオン本体62の上部が当該ピニオン突出口39から上方へ突出するように設置位置が設定されている。そして、トナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30に装着された状態では、トナーカートリッジ20のラック41がピニオン突出口39から上方へ突出したピニオン本体62と噛合するように両者の相対位置関係が設定されている。
【0064】
そして、前記ワンウエイクラッチ63は、ラック41と噛合しているピニオン本体62がピニオン軸61回りに反時計方向へ回転したとき、すなわち一旦カートリッジ装着空間30へ押し込まれたトナーカートリッジ20が引き出されるときはオンになることで当該ピニオン本体62の回転がピニオン軸61に伝達されるようになされている一方、ピニオン本体62がピニオン軸61回りに時計方向へ回転したとき、すなわちトナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30へ押し込まれていくときはオフになることで当該ピニオン本体62の回転がピニオン軸61に伝達されることがないようになされている。
【0065】
従って、トナーカートリッジ20がカートリッジ装着空間30へ押し込まれていくときは、当該押し込み動作が装置本体側ギヤ機構70を介してファン装置80に伝達されることがないため、ファン装置80が駆動することがないのに対し、一旦カートリッジ装着空間30へ押し込まれたトナーカートリッジ20を引き出していくときは、当該引き出し動作がラック41、ピニオン60および装置本体側ギヤ機構70を介してファン装置80に伝達され、これによってファン装置80が駆動することになる。
【0066】
前記装置本体側ギヤ機構70は、ピニオン60の回転速度を高速に変速してファン装置80に伝達するものであり、カートリッジ装着空間30の右側板35の右方位置に配設されている。かかる装置本体側ギヤ機構70は、ピニオン軸61に同心で一体回転可能に外嵌された第1大径ギヤ71と、右側板35から右方に向かって突設された第1ギヤ軸723回りに同心で相対回転可能に軸支され、かつ、前記第1大径ギヤ71と噛合した第1小径ギヤ72と、この第1小径ギヤ72と同心で一体回転可能で、かつ、第1ギヤ軸723回りに相対回転可能に軸支された第2大径ギヤ73と、右側板35から右方に向かって突設された第2ギヤ軸745回りに同心で相対回転可能に軸支され、かつ、前記第2大径ギヤ73と噛合した第2小径ギヤ74と、この第2小径ギヤ74と同心で一体回転可能で、かつ、第2ギヤ軸745回りに相対回転可能に軸支された第3大径ギヤ75と、右側板35に貫通され、かつ、前記ファン収納ダクト54内を横断した後述するファン軸81回りに同心で一体回転可能に外嵌された第3小径ギヤ76とを備えて構成されている。
【0067】
装置本体側ギヤ機構70は、このように第1〜第3大径ギヤ71,73,75と第1〜第3小径ギヤ72,74,76とを組み合わせたことにより、ピニオン60の回転数は相当大きい倍率で増速されてファン軸81へ伝達される。
【0068】
前記ファン装置80は、その駆動によって第1吸引ダクト51内、第2吸引ダクト52内および連絡ダクト53内を負圧にし、これによる各トナー吸引孔37,56を介したカートリッジ装着空間30内の空気の吸引ダクト50内への吸引でカートリッジ装着空間30内にトナー吸引孔37,56へ向かう気流を形成させるためのものである。カートリッジ装着空間30内で漏洩したトナーは、かかる気流に同伴することで吸引ダクト50内へ回収されることになる。
【0069】
前記ファン装置80は、ファン収納ダクト54内を左右方向に向けて横断したファン軸81と、当該ファン収納ダクト54内でファン軸81に同心で一体回転可能に外嵌されたファン82とを備えている。前記ファン82は、ファン軸81回りに回転することで第1および第2吸引ダクト51,52および連絡ダクト53内の空気を排気ダクト55へ向けて送り出すように捻り角度が設定されている。
【0070】
前記フィルタ90は、トナー吸引孔37,56を介して吸引ダクト50内に吸引された気流中に含まれるトナーを気流中から取り除くためのものであり、連絡ダクト53の下流端に装着されている。かかるフィルタ90は、アングル材を直方体状に組み立てることによって形成された直方体状のフレーム枠体91と、このフレーム枠体91の6面に張設された網体92と、前記フレーム枠体91内に装填されるスポンジ状の発泡性合成樹脂や綿等の繊維材料等によって形成された濾材93を備えている。
【0071】
一方、連絡ダクト53には、その右面にフィルタ90を出し入れするための挿脱口531と、この挿脱口531を開閉するメンテナンス扉532と、連絡ダクト53内のフィルタ90の移動を規制するために連絡ダクト53の底板から上方に向けて突設された左右方向に延びる前後一対の仕切ロッド533とが設けられている。連絡ダクト53内に挿入されたフィルタ90は、その底部が一対の仕切ロッド533によって挟持されることで連絡ダクト53内での装着状態が安定する。
【0072】
このように構成された手動駆動機構40によれば、トナーカートリッジ20をカートリッジ装着空間30内へ押し込んでいくときは、ラック41が噛合したピニオン本体62をピニオン軸61回りに時計方向に向けて回転させるが、この回転はワンウエイクラッチ6がオフになっているためピニオン軸61に伝達されることがなく、ファン82が回転することはない。従って、カートリッジ装着空間30内へトナー吸引孔37,56を介して気流が吹き込まれるような不都合が生じることなくトナーカートリッジ20はカートリッジ装着空間30内へ押し込まれている。
【0073】
ついで、一旦カートリッジ装着空間30へ装着されたトナーカートリッジ20を、例えば新旧交換のために引き出すときは、ピニオン本体62に噛合しているラック41が当該ピニオン本体62をピニオン軸61回りに反時計方向に向けて回転させる。そして、この回転は、ワンウエイクラッチ63がオンになっているため、そのままピニオン軸61に伝達される。従って、ピニオン軸61は軸心回りに反時計方向へ向けて回転する。この回転は、装置本体側ギヤ機構70を介して増速されてファン軸81に伝達され、結果としてファン82がこのファン軸81の軸心回りの回転と一体回転することになる。
【0074】
そして、ファン82より上流側お吸引ダクト50内は、当該ファン82のファン軸81回りの回転によって負圧になる。これによってカートリッジ装着空間30内の空気が漏洩したトナーを同伴しながら各トナー吸引孔37,56を介して吸引ダクト50内へ吸引され、第1および第2吸引ダクト51,52、連絡ダクト53、連絡ダクト53内のフィルタ90、ファン収納ダクト54内のファン装置80および排気ダクト55を通って外部へ排出されることになる。
【0075】
従って、トナーカートリッジ20をカートリッジ装着空間30から引き出すときにトナーカートリッジ20のトナー送出口233から漏洩したトナーは、カートリッジ装着空間30内から取り除かれてフィルタ90によって捕捉される。これによりトナーカートリッジ20をカートリッジ装着空間30から引き出したときにカートリッジ装着空間30内が漏洩トナーで汚染された状態になっているような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0076】
以上詳述したように、本発明に係る画像形成装置10は、所定の装置本体11内における現像装置124の上方位置に、トナーカートリッジ20を感光体ドラム121の軸心方向と平行に挿脱可能なカートリッジ装着空間30が形成され、このカートリッジ装着空間30にトナーカートリッジ20を押し入れた状態で当該トナーカートリッジ20の底部のトナー送出口233が現像装置124のトナー受入口(上記の実施形態においてはカートリッジ装着空間30の底板33に設けられたトナー補給口336)に対向するように構成されてなるものである。現像装置124へは、トナーカートリッジ20からトナー補給口336およびトナー受入口を介してトナーが補給される。
【0077】
そして、かかる画像形成装置10において、カートリッジ装着空間30内で漏洩したトナーを取り除くべく手動駆動機構40が設けられている。この手動駆動機構40は、カートリッジ装着空間30の下方位置に配設され、上面にトナー補給口336の近傍と、トナーカートリッジ20の移動方向とに亘り複数のトナー吸引孔56(上記の実施形態においては、トナー吸引孔56は、カートリッジ装着空間30の底板33のトナー吸引孔37に対応した位置に設けられている)が穿設された吸引ダクト50と、吸引ダクト50内に収納されてトナー吸引孔56を介してトナーを吸引するファン装置80と、ファン装置80のファン82をファン軸81回りに回転させるピニオン60と、ピニオン60と噛合し、かつ、トナーカートリッジ20の引き出し時に吸引ダクト50内へトナーを吸引するようピニオン60を介してファン82を回転させる、トナーカートリッジ20の挿脱方向に延びたラック41とを備えて構成されている。
【0078】
かかる構成の手動駆動機構40によれば、現像装置124にトナーを補給することで空になったトナーカートリッジ20を、新品と交換するために画像形成装置10の装置本体11から引き出すと、当該トナーカートリッジ20に設けられ、かつ、装置本体11側のピニオン60と噛合したラック41がピニオン60を軸回りに回転させるため、このピニオン60の回転によってファン装置80のファン82がファン軸81回りに回転し、これによってカートリッジ装着空間30内の空気をトナーカートリッジ20の装着空間の下方に設けられた吸引ダクト50上面の複数のトナー吸引孔56を介して当該ダクト内に吸引することができる。
【0079】
従って、トナーカートリッジ20を引き出すに当たって、現像装置124のトナー補給口336の近傍に漏洩したトナーや、トナーカートリッジ20を引き出すときにトナー送出口233から垂れ落ちたトナー等は、カートリッジ装着空間30内でトナー吸引孔37,56へ向かう気流に誘引され、トナー吸引孔37,56を通ってダクト内に吸引される。従って、トナーカートリッジ20が装置本体11のカートリッジ装着空間30から引き出された状態で、トナーカートリッジ20が通過した軌跡上にトナーが点々と落ち零れているような見苦しい状態が解消されて外観視が美麗になるとともに、落ち零れているトナーによってオペレーターの手が汚染されるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0080】
また、ピニオン60のピニオン本体62には、トナーカートリッジ20が引き出されるときにオンされ、トナーカートリッジ20が押し込まれるときにオフされるワンウエイクラッチ63が設けられているため、トナーカートリッジ20を装置本体11から引き出すときのみワンウエイクラッチ63がオンになってピニオン60が回転し、このピニオン60の回転がファン82に伝達されることでダクト周りの空気が吸引されるのに対し、トナーカートリッジ20を装置本体11内へ押し込むときにはワンウエイクラッチ63がオフになってピニオン60の回転がファン82に伝達されない。従って、トナーカートリッジ20を装置本体11内へ押し込むときにトナー送出口233から気流が逆流して零れているトナーを舞い上がらせるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0081】
また、ピニオン60とファン装置80との間には、ピニオン60の回転速度を増速してファン82に伝達する装置本体側ギヤ機構70が介設されているため、この装置本体側ギヤ機構70の作用でピニオン60の回転速度に比べてファン82の回転を高速にすることができ、これによってトナーカートリッジ20をカートリッジ装着空間30から手で引き出すという手動操作で蟻ながら、強い気流を得ることが可能になり、漏洩トナーをより効果的に吸引することができる。
【0082】
また、吸引ダクト50の上面には、トナー吸引孔56に向けて先下がりに傾斜した傾斜面(上記の実施形態ではカートリッジ装着空間30の底板33の凹没部331に形成された傾斜面332)が形成されているため、吸引ダクト50の上面に漏洩したトナーは、吸引ダクト50の上側の傾斜面332に誘導されてトナー吸引孔56へ向かい易くなり、漏洩トナーをより効果的に吸引ダクト50内へ導くことができる。
【0083】
さらに、吸引ダクト50内には、吸引されたトナーを捕捉するフィルタ90が設けられているため、吸引ダクト50内に吸引されたトナーは、当該フィルタ90によって捕捉され、一旦吸引されたトナーが再び飛散するような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0084】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0085】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、プリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【0086】
(2)上記の実施形態において第1および第2吸引ダクト51,52の各天板511,521をカートリッジ装着空間30の底板33の一部として採用してもよい。こうすることで、カートリッジ装着空間30の底部を二重構造にしなくてもよくなり、その分材料コストの低減化に貢献することができる。
【0087】
(3)上記の実施形態において、吸引ダクト50を、トナーカートリッジ20のシャッタ部材23のカートリッジ装着空間30内における底板33上の移動軌跡に対応するように当該底板33の下面側に配設してもよい。こうすることで、トナーカートリッジ20の引き出し時にシャッタ部材23から漏洩したトナーは、短距離を移動するだけで吸引ダクト50のトナー吸引孔56に到達することができるため、より確実に漏洩トナーを吸引除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図である。
【図3】トナーカートリッジの一実施形態を示す背面側(後面側)の下方から見た斜視図である。
【図4】手動駆動機構の一実施形態を説明するためのカートリッジ装着空間内を示す一部切り欠き斜視図であり、カートリッジ装着空間内にトナーカートリッジが装着されていない状態を示している。
【図5】手動駆動機構の一実施形態を説明するためのカートリッジ装着空間内を示す一部切り欠き斜視図であり、カートリッジ装着空間内にトナーカートリッジが装着された状態を示している。
【図6】手動駆動機構の一実施形態を示す一部切り欠きスケルトン斜視図である。
【図7】図5のVII線視の説明図であって、一部を断面視で示している。
【符号の説明】
【0089】
10 画像形成装置 11 装置本体
111 下部本体 112 上部本体
113 連結部 114 開閉ドア
12 画像形成部 121 感光体ドラム
122 帯電器 123 露光装置
124 現像装置 125 転写ローラ
126 クリーニング装置 13 定着部
131 定着ローラ 132 加圧ローラ
14 用紙貯留部 141 用紙カセット
142 レジストローラ対 15 排紙部
151 胴内排紙トレイ 152 胴外排紙トレイ
153 一時退避空間 16 画像読取部
161 コンタクトガラス 162 原稿押さえカバー
163 走査機構 17 操作部
170 電源スイッチ 171 テンキー
173 スタートキー 18 手差しトレイ
181 支持軸 184 搬送ユニット
185 中継ユニット 19 メンテナンスドアー
19a カバー部材 191 用紙縦搬送路
192 排紙搬送路 193 往復搬送路
194 逆送搬送路 20 トナーカートリッジ
21 ケーシング 211 攪拌部
212 搬送部 213 底板
214 ストッパ 215 円弧底板
22 蓋体 23 シャッタ部材
231 シャッタ枠体 232 底板
233 トナー送出口 234 シャッタ板
235 操作突起 24 被ガイド条
25 後側板 26 カートリッジ側ギヤ機構
261 ギヤ 30 カートリッジ装着空間
31 前方フレーム板 311 出入口
32 後方フレーム板 331 凹没部
332 傾斜面 333 水平面
334 前方垂直面 335 後方垂直面
336 トナー補給口 337 シャッタプレート
338 後方部 339 左方部
33 底板 34 左側板
35 右側板 36 天板
361 ガイド溝 362 ガイド桟材
37 トナー吸引孔 39 ピニオン突出口
40 手動駆動機構 41 ラック
50 吸引ダクト 51 第1吸引ダクト
511 天板 52 第2吸引ダクト
521 天板 53 連絡ダクト
531 挿脱口 532 メンテナンス扉
533 仕切ロッド 54 ファン収納ダクト
55 排気ダクト 56 トナー吸引孔
60 ピニオン 61 ピニオン軸
62 ピニオン本体 63 ワンウエイクラッチ
70 装置本体側ギヤ機構(増速機構)
71 第1大径ギヤ 72 第1小径ギヤ
723 第1ギヤ軸 73 第2大径ギヤ
74 第2小径ギヤ 745 第2ギヤ軸
75 第3大径ギヤ 76 第3小径ギヤ
80 ファン装置 81 ファン軸
82 ファン 90 フィルタ
91 フレーム枠体 92 網体
93 濾材 P 用紙
P1 用紙束


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装置本体内における現像装置の上方位置に、トナーカートリッジを感光体ドラムの軸心方向と平行に挿脱し得るカートリッジ装着空間が形成され、前記カートリッジ装着空間にトナーカートリッジを押し入れた状態で当該トナーカートリッジの底部のトナー送出口が現像装置のトナー受入口に対向するように構成された画像形成装置において、
前記カートリッジ装着空間の下方位置に配設され、上面に前記トナー受入口の近傍と、トナーカートリッジの移動方向とに亘り複数のトナー吸引孔が穿設された吸引ダクトと、
前記吸引ダクト内に収納されて前記トナー吸引孔を介しトナーを吸引するファン装置と、
前記ファン装置のファンをファン軸回りに回転させるピニオンと、
前記ピニオンと噛合し、かつ、トナーカートリッジの引き出し時に吸引ダクト内へトナーを吸引するようピニオンを介して前記ファンを回転させる、トナーカートリッジの挿脱方向に延びたラックとが備えられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ピニオンには、前記トナーカートリッジが引き出されるときにオンされ、前記トナーカートリッジが押し込まれるときにオフされるワンウエイクラッチが設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ピニオンと前記ファン装置との間には、ピニオンの回転速度を増速してファンに伝達する増速機構が介設されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸引ダクトの上面には、前記トナー吸引孔に向けて先下がりに傾斜した傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吸引ダクト内には、吸引されたトナーを捕捉するフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−85728(P2010−85728A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254938(P2008−254938)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】