説明

画像形成装置

【課題】装置を大型化することなく、簡単な構成で感光体表面への放電生成物の付着を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタは、感光体ドラム1の表面を接触若しくは非接触の状態で感光帯電させる帯電ローラ2と、感光体ドラム1表面に所定の圧力で圧接されるクリーニングローラ8とを備えている。感光体ドラム1の軸方向における除電ランプ11から感光体ドラム1に照射される除電光の照射幅をA、クリーニングローラ8の接触幅をB、帯電ローラ2により帯電される有効帯電幅をCとしたとき、AとBとCとは、A≦B≦Cを満足するように規定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ等の、電子写真式の画像形成装置に関し、特に、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、感光体ドラムの表面に所定の圧力で接触するクリーニングローラと、感光体ドラムの表面に残留する電荷を除電する除電装置とを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いた画像形成装置において、感光体ドラムの表面を均一に帯電させる好適な手段としては、コロナ放電器を備えたコロナ帯電方式と、帯電ローラを備えた接触帯電方式とがある。コロナ放電器はオゾン等のコロナ生成物が多く発生するので、オゾンにより空気中の成分が分解され、NOxやSOx等のイオン生成物が生成される。そこで、コロナ帯電方式に代えて、接触帯電方式が採用される傾向が認められる。この接触帯電方式は、特にDC電圧を印加することによりオゾン、NOx、SOx等の発生を抑制可能である。
【0003】
しかし、感光体表面の帯電工程は表面近傍での放電により行われるため、放電生成物が感光体ドラムの表面に付着しやすい。その結果、OPC等の有機感光体ドラムにおいては絶縁破壊、ドラム表面の削れ量の増加、像流れ現象、表面摩擦係数の上昇、アモルファスシリコン(a−Si)等の無機感光体では像流れ現象、表面摩擦係数の上昇といった不具合が発生する。
【0004】
そこで、感光体表面に付着した放電生成物を除去する方法が提案されており、例えば、研磨粒子を混入させた研磨トナーと研磨手段(クリーニングローラ及びクリーニングブレード)の相互作用で感光体を研磨するシステムによりオゾン生成物を除去する方法が考案されている。
【0005】
このような研磨システムを備えた画像形成装置においては、微量の飛散トナーや浮遊トナーが感光体ドラムの表面における現像領域以外の領域に電気的に付着するのを防止するため、帯電ローラにより帯電される感光体ドラムの表面における軸方向の有効帯電幅を広く規定する。また、クリーニングローラにより感光体表面に擦り付けられた研磨トナーを確実に回収するために、クリーニングブレードの感光体ドラム表面における軸方向の接触幅はクリーニングローラの感光体ドラム表面における軸方向の接触幅よりも広く設定する。つまり、感光体ドラムの表面における軸方向の有効帯電幅と、クリーニングローラの感光体ドラムに接触する軸方向の接触幅(ローラ接触幅)と、クリーニングブレードの感光体ドラムに接触する軸方向の接触幅(ブレード接触幅)の寸法関係は、ローラ接触幅<ブレード接触幅<有効帯電幅となるように規定される。
【0006】
そのため、クリーニングローラにより研磨されない領域にクリーニングブレードの軸方向における両端部が当接させられる。接触帯電方式の場合、先に述べたように、感光体ドラムの表面(有効帯電領域)への放電生成物の付着量が多く、感光体ドラムの表面摩擦係数が高くなるため、クリーニングブレードの両端部がめくれ易くなる。このような不具合は、帯電ローラが感光体ドラムの表面に対し非接触で配置される、非接触帯電方式の場合においても共通して発生する。
【0007】
この問題を解決するため、特許文献1には、帯電ローラにより帯電される感光体ドラムの表面における軸方向の有効帯電幅と、クリーニングローラの感光体ドラムに接触する軸方向の接触幅と、クリーニングブレードの感光体ドラムに接触する軸方向の接触幅とが、有効帯電幅≦ローラ接触幅≦ブレード接触幅を満足する画像形成装置が開示されている。この方法によれば、帯電ローラによって帯電される有効帯電領域(有効帯電幅)は、クリーニングローラによって必ず研磨されるので、感光体ドラム表面における摩擦係数の上昇が抑止され、クリーニングブレード両端部のめくれを防止できる。
【特許文献1】特開2006−349915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の構成では、有効帯電幅に対してクリーニングローラの接触幅及びクリーニングブレードの接触幅を広げる必要があるが、有効帯電幅は現像領域により決定されるため、所定の現像領域を確保するには狭小化に限界がある。そのため、従来の構成よりもクリーニングローラ及びクリーニングブレードを長くしなければならず、近年要望の高い装置の小型化、コンパクト化の面で不利となっていた。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、装置を大型化することなく、簡単な構成で感光体表面への放電生成物の付着を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体と、該像担持体の表面を接触若しくは非接触の状態で帯電させる帯電装置と、該帯電装置に対し前記像担持体の回転方向上流側に配置され前記像担持体に除電光を照射して表面電荷を除電する除電装置と、前記像担持体にトナーを付着させて静電潜像に応じたトナー像を形成する現像装置と、前記像担持体表面に所定の圧力で圧接されるクリーニングローラと、を備えた画像形成装置において、前記像担持体の軸方向における除電光の照射幅をA、前記クリーニングローラの接触幅をB、前記帯電装置による有効帯電幅をCとするとき、A≦B≦Cを満たすことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記像担持体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを備え、前記像担持体の軸方向における前記クリーニングブレードの接触幅をDとするとき、B≦Dを満たすことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記像担持体の軸方向における最大通紙幅をEとするとき、E≦Aを満たすことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記トナーは前記像担持体の表面を研磨する研磨粒子を含んでおり、前記クリーニングローラは前記研磨粒子を用いて前記像担持体表面を研磨することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、クリーニングローラの接触幅Bが除電装置からの除電光の照射幅A以上であり、且つ有効帯電幅C以下であるため、帯電及び除電が行われる領域は全てクリーニングローラが接触することになる。従って、クリーニングローラを有効帯電幅よりも広げることなく、像担持体表面の全域に亘って放電生成物の付着を効果的に抑制することができる。
【0015】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、像担持体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードの接触幅Dをクリーニングローラの接触幅B以上とすることにより、クリーニングローラによって像担持体の表面に擦り付けられたトナーをクリーニングブレードで効率良く除去するとともに、クリーニングブレードのめくれも防止できる。
【0016】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、除電光の照射幅Aを像担持体の軸方向における最大通紙幅E以上とすることにより、像担持体表面への放電生成物の付着を抑制するとともに、通紙領域内の表面電位も均一化することができる。
【0017】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の画像形成装置において、像担持体の表面を研磨する研磨粒子を含むトナーを用い、クリーニングローラは研磨粒子を用いて像担持体表面を研磨することにより、クリーニングローラによる像担持体表面の研磨効果が高められ、放電生成物を一層効果的に除去可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置における画像形成部周辺の構成を示す概略側面図である。全体を図示しない画像形成装置(ここではモノクロプリンタ)本体内には、像担持体としての感光体ドラム1が配置されている。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の回転方向(図の時計回り)に沿って帯電ローラ2、露光装置3、現像ローラ5を備えた現像装置4、転写ローラ6、クリーニング装置7及び除電ランプ11が配設されている。
【0019】
感光体ドラム1は、アルミニウム素管などからなる円筒状の金属基体の表面を無機感光層(ここではa−Si層)で被覆したものである。感光体ドラム1は駆動軸に一体に支持され、駆動軸はギヤなどの動力伝達装置を介して駆動源である電動モータ(いずれも図示せず)に駆動連結されている。感光体ドラム1は、駆動軸を介してプリンタ本体に接地されている。
【0020】
帯電ローラ2は、芯金(軸)と、芯金の周囲に形成された弾性層とで構成されている。弾性層は、合成ゴムなどの半導電性弾性部材から形成され、実施形態においてはエピクロロヒドリンゴムから形成されている。帯電ローラ2の表面(弾性層の表面)は感光体ドラム1の表面に接触しており、帯電ローラ2の芯金は放電に必要な電圧を供給することができる電圧供給回路(図示せず)に接続されている。プリンタ本体内には、図示しない制御部が備えられており、帯電ローラ2に電圧を印加して感光体ドラム1の表面を一様に帯電させるよう電圧供給回路を制御する。
【0021】
現像装置4内に収容されたトナーは、感光体ドラム1の表面を研磨するための研磨粒子を含む研磨トナーである。研磨トナーとしては、トナー粒子表面に研磨粒子としてアルミナ、チタニア等が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨粒子がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。
【0022】
クリーニング装置7は、感光体ドラム1の表面に接触して研磨するクリーニングローラ(研磨ローラ)8と、感光体ドラム1の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレード9とを備えている。クリーニングローラ8は、芯金(軸)と、芯金の周囲に形成された弾性層とで構成されており、スプリング(図示せず)により感光体ドラムに一定の圧力で圧接されている。弾性層としては、発泡ウレタンゴムや合成ゴム等が用いられ、例えば硬度45度(アスカーC)のEPDMゴムが好適に用いられる。クリーニングブレード9としては、合成ゴム等が用いられ、例えば硬度70度(アスカーC)のポリウレタンゴムが好適に用いられる。
【0023】
ユーザによりプリント動作の開始が指示されると、感光体ドラム1が図1において時計回りに回転駆動される。帯電ローラ2は感光体ドラム1の回転に従動回転させられる。現像ローラ5は、図示しない電動モータにより、図1において反時計方向に回転駆動される。転写ローラ6は感光体ドラム1の回転に従動回転させられる。クリーニングローラ8は、図示しない電動モータにより、図1において反時計方向に回転駆動される。
【0024】
なお、クリーニングローラ8の周速は感光体ドラム1の周速よりも速く設定されており、例えば感光体ドラム1の周速が116mm/secであるとき、クリーニングローラ8の周速は140mm/secである。帯電ローラ2の芯金には、図示しない電圧供給回路によって、直流電圧が供給される。実施形態において、供給電圧は直流電圧900Vに設定されている。感光体ドラム1の表面は帯電ローラ2によって正極性に一様帯電される。
【0025】
帯電ローラ2によって正極性に一様帯電された感光体ドラム1の表面には、露光装置3によって、感光体ドラム1の表面に形成すべき画像に対応したレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。現像装置4の現像ローラ5には、図示しない現像バイアス印加回路によって所定のバイアス電圧(正極性)が印加される。この現像バイアスと感光体ドラム1の表面電位との電位差によって現像ローラ5から感光体ドラム1へトナー(正帯電トナー)が移動し、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像がトナー像に現像される。
【0026】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム1に向けて、用紙が給紙機構(図示せず)から送出される。送出された用紙はレジストローラ対12で一旦停止した後、トナー像の形成タイミングに合わせて用紙搬送路13に沿って感光体ドラム1と転写ローラ6とのニップ部に搬送される。感光体ドラム1上のトナー像は、トナーと逆極性(負極性)の転写バイアスが印加された転写ローラ6によって用紙に転写される。用紙に転写されたトナー像は、定着装置14により加熱、加圧されて用紙上に定着される。定着装置14を通過した用紙は排出部(図示せず)から装置外部へ排出される。
【0027】
転写後の感光体ドラム1の表面に残留するトナーは、クリーニング装置7のクリーニングローラ8及びクリーニングブレード9によってクリーニング装置7のハウジング内に掻き落とされる。このとき、クリーニングローラ8と感光体ドラム1の周速差によって感光体ドラム1とクリーニングローラ8との接面に摩擦力が生じ、感光体ドラム1に付着した研磨粒子を含む残留トナーを用いて感光体ドラム1表面の研磨が行われる。ハウジング内に掻き落とされたトナーは、回収スパイラル10によってトナー回収容器(図示せず)に搬送されて回収される。クリーニング後の感光体ドラム1の表面に残留する電位は除電ランプ11のON作動によって除電される。複数の用紙にプリントが行われる場合には、これら一連のプリント動作が、感光体ドラム1の回転に応じて連続して繰り返し行われる。
【0028】
本発明の画像形成装置においては、図2に示すように、感光体ドラム1の軸方向(図の左右方向)における、除電ランプ11から感光体ドラム1に照射される除電光の照射幅(除電幅)をA、クリーニングローラ8の接触幅をB、帯電ローラ2により帯電される有効帯電幅をCとしたとき、AとBとCとは、A≦B≦Cを満足するように規定されることが重要である。図示の実施形態においては、A<B<Cとなるよう規定されている。
【0029】
これにより、感光体ドラム1上には、帯電ローラ2により帯電され、且つ除電ランプ11により除電されるとともにクリーニングローラ8が接触する領域R1(図2のドット領域)と、帯電ローラ2により帯電されるがクリーニングローラ8は接触せず、除電ランプ11による除電も行われない領域R2(図2の斜線領域)と、帯電ローラ2により帯電され、クリーニングローラ8が接触するが除電ランプ11による除電は行われない領域R3(領域R1及びR2に挟まれた縦線領域)とが存在することになる。
【0030】
感光体ドラム1への放電生成物の付着は、ドラム表面に対し帯電及び除電を繰り返すことにより発生する。従って、放電生成物が最も付着し易い領域は領域R1であるが、本発明の構成では除電幅Aはクリーニングローラの接触幅B以下であるため、領域R1はクリーニングローラ8によって必ず研磨され、放電生成物が除去される。
【0031】
領域R2、R3は有効帯電幅Cの内側且つ除電幅Aの外側であるため、ドラム表面電位が飽和状態(帯電ローラ電位≒ドラム表面電位)となる。その結果、帯電ローラ2からの放電量が極端に減少するため、クリーニングローラ8の接触幅Bの外側である領域R2においても放電生成物の付着量が減少する。なお、領域R3はクリーニングローラ8の接触幅Bの内側であるため、ドラム表面電位の飽和による放電生成物の減少効果にクリーニングローラ8による研磨効果が加わり、領域R2よりも放電生成物の付着が抑制される。
【0032】
つまり、クリーニングローラ8の接触幅Bを広げることなく有効帯電幅Cの全域に亘って放電生成物の付着が抑制されるため、放電生成物の付着に起因する像流れ現象や表面摩擦係数の上昇等の不具合を効果的に抑制し、同時に装置の小型化、コンパクト化も実現することができる。
【0033】
また、感光体ドラム1の表面に残留するトナーを効率良く除去するには、図2のようにクリーニングブレード9の接触幅Dをクリーニングローラ8の接触幅B以上(B≦D)としておく必要がある。このとき、クリーニングブレード9の両端部はクリーニングローラ8の接触幅Bの外側に接触することになるが、上述したように有効帯電幅Cの全域に亘って放電生成物の付着、及びそれに伴う摩擦係数の上昇が抑制されるため、クリーニングブレード9のめくれが防止できる。
【0034】
ところで、除電幅Aを感光体ドラム1上の通紙領域よりも狭くすると、除電領域の外側且つ通紙領域の内側に帯電履歴が残ってしまい、その後にドラム表面を帯電させた時に通紙領域内で表面電位のバラツキが発生することがある。表面電位のバラツキは濃度ムラの原因となって画像品質に影響を及ぼすため、図3に示すように、除電幅Aを感光体ドラム1の軸方向における最大通紙幅E以上(E≦A)としておくことが好ましい。この構成により、ドラム表面への放電生成物の付着を防止するとともに、通紙領域内の表面電位も均一化することができる。
【0035】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対配置などは、特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、上記実施形態において、帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面に接触して感光体ドラム1の表面を帯電させるよう構成されているが、帯電ローラ2が、感光体ドラム1の表面を非接触の状態で帯電させるよう構成される他の実施形態もある。この実施形態においても、先に述べたと実質的に同じ作用により、実質的に同じ効果を奏することができる。また、上記実施形態の感光体ドラム1はa−Si系の無機感光層を有する構成であるが、他の無機材料(例えばSe系の無機材料)から成る無機感光層、あるいは、有機材料からなる有機感光層(OPC)を有する構成においても、本発明による効果を得ることは可能である。
【0036】
また、上記実施形態では芯金の周囲に弾性層を形成したクリーニングローラ8を用い、感光体ドラム1とクリーニングローラ8との間に研磨粒子を含む残留トナーを介在させて感光体ドラム1表面の研磨を行うこととしたが、これに限定されるものではなく、他の構成のクリーニングローラを用いても良い。例えば、弾性層表面に研磨粒子を含有させたクリーニングローラを感光体ドラム1表面に圧接させて摺擦する構成や、クリーニングローラをマグネットローラとし、ローラ表面に形成された磁性キャリアとトナーから成るクリーニング剤の磁気ブラシを用いて感光体ドラム1表面を摺擦する構成、或いはファーブラシ状のクリーニングローラを感光体ドラム1表面に圧接させて摺擦する構成等、従来公知のクリーニングローラが挙げられる。
【0037】
また、本発明は図1に示すモノクロレーザプリンタに限らず、アナログ方式のモノクロ複写機や、ロータリー式或いはタンデム式のカラー複写機、カラープリンタ、ファクシミリ等の、種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。
【実施例】
【0038】
本発明の画像形成装置を用いて画像形成を行った場合の、感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇抑制効果について調査した。試験方法としては、帯電ローラ2、クリーニングローラ8、クリーニングブレード9、及び除電ランプ11が図2に示したような位置関係にある本発明の画像形成装置において、テスト画像(5%文字チャート)を連続出力し、表1に示す条件にある領域1、2(図2の領域R1、R2に相当)の表面摩擦係数を所定枚数毎に測定した。一方、クリーニングローラ8の長手方向が除電ランプ11よりも短い従来の画像形成装置(比較例)においても同様のテスト画像を連続出力し、帯電及び除電が行われ、且つクリーニングローラによる研磨が行われない領域3の表面摩擦係数を所定枚数毎に測定した。なお、感光体ドラム1の帯電条件は、エピクロロヒドリンゴム製の帯電ローラ2を用い、帯電バイアスとして900Vの直流電圧(Vdc)を印加した。結果を図4に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
図4から明らかなように、本発明の画像形成装置においては、クリーニングローラ8によりドラム表面が研磨され放電生成物が除去される領域1(図4に実線で表示)では、20万枚印刷後においても表面摩擦係数は0.4までしか上昇しなかった。また、帯電領域であるが除電ランプ11による除電は行われない領域2(図4に破線で表示)は、表面電位が飽和状態となって帯電ローラ2からドラム表面への放電量が極端に減少するため、クリーニングローラ8による研磨が行われなくても20万枚印刷後における表面摩擦係数は0.45程度までしか上昇しなかった。
【0041】
一方、帯電及び除電は行われるがクリーニングローラ8による研磨が行われない領域3(図4に一点鎖線で表示)では、帯電及び除電の繰り返しによりドラム表面に付着する放線生成物をクリーニングローラ8で除去していないため、15万枚印刷後には表面摩擦係数がクリーニングブレード9のめくれが発生する0.55まで上昇した。この結果より、除電ランプ11から感光体ドラム1に照射される除電光の照射幅をA、クリーニングローラ8の接触幅をB、帯電ローラ2により帯電される有効帯電幅をCとしたとき、A≦B≦C≦を満足する本発明の画像形成装置では、20万枚印刷後においてもドラム表面の摩擦係数の上昇が抑制され、クリーニングブレード9のめくれを効果的に防止できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面を接触若しくは非接触の状態で帯電させる帯電装置と、該帯電装置に対し感光体ドラムの回転方向上流側に配置され感光体ドラムに除電光を照射して表面電荷を除電する除電装置と、感光体ドラム表面にトナーを付着させて静電潜像に応じたトナー像を形成する現像装置と、感光体ドラム表面に所定の圧力で圧接されるクリーニングローラとを備え、感光体ドラムの軸方向における除電光の照射幅をA、クリーニングローラの接触幅をB、帯電装置による有効帯電幅をCとするとき、A≦B≦Cを満たす画像形成装置である。
【0043】
これにより、クリーニングローラを有効帯電幅よりも長くすることなく、感光体ドラム表面の全域に亘って放電生成物の付着を効果的に抑制可能となるため、像流れ現象、表面摩擦係数の上昇等の不具合を長期間に亘って防止するコンパクトな構成の画像形成装置を提供することができる。
【0044】
また、クリーニングブレードの接触幅Dをクリーニングローラの接触幅B以上としたので、感光体ドラムの表面に残留するトナーを効率良く除去できる画像形成装置となる。このとき、放電生成物の付着及びそれに伴う摩擦係数の上昇も抑制されるため、クリーニングブレードのめくれも防止できる。また、除電光の照射幅Aを最大通紙幅E以上としたので、通紙領域内の表面電位も均一化することができる。
【0045】
また、研磨粒子を含むトナーを用いることで、クリーニングローラによるドラム表面の研磨効果が高められ、放電生成物を一層効果的に除去可能な画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】は、本発明の画像形成装置における画像形成部周辺の概略構成を示す側面断面図である。
【図2】は、本発明の画像形成装置における除電幅A、クリーニングローラの接触幅B、有効帯電幅C、及びクリーニングブレードの接触幅Dの関係を示す概略平面図である。
【図3】は、除電幅Aと感光体ドラム上の最大通紙幅Eとの関係を示す概略平面図である。
【図4】は、実施例におけるドラム表面摩擦係数の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電ローラ(帯電装置)
3 露光装置
4 現像装置
6 転写ローラ
7 クリーニング装置
8 クリーニングローラ
9 クリーニングブレード
11 除電ランプ(除電装置)
12 レジストローラ対
14 定着装置
A 除電幅
B クリーニングローラの接触幅
C 有効帯電幅
D クリーニングブレードの接触幅
E 最大通紙幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
該像担持体の表面を接触若しくは非接触の状態で帯電させる帯電装置と、
該帯電装置に対し前記像担持体の回転方向上流側に配置され前記像担持体に除電光を照射して表面電荷を除電する除電装置と、
前記像担持体表面にトナーを付着させて静電潜像に応じたトナー像を形成する現像装置と、
前記像担持体表面に所定の圧力で圧接されるクリーニングローラと、
を備えた画像形成装置において、
前記像担持体の軸方向における除電光の照射幅をA、前記クリーニングローラの接触幅をB、前記帯電装置による有効帯電幅をCとするとき、A≦B≦Cを満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを備え、前記像担持体の軸方向における前記クリーニングブレードの接触幅をDとするとき、B≦Dを満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体の軸方向における最大通紙幅をEとするとき、E≦Aを満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナーは前記像担持体の表面を研磨する研磨粒子を含んでおり、前記クリーニングローラは前記研磨粒子を用いて前記像担持体表面を研磨することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−8625(P2010−8625A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166771(P2008−166771)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】