説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置においては、使用者が電源切断の指示を画像形成装置に入力した後に、オゾン排気ファンが継続して動作していると、オゾン排気ファンが騒音を発生させる。そこで、オゾンを早期に排出させ、騒音を発生するファンを速やかに停止させる排気手段を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】オゾン排気ファンを動作させるとともに、帯電装置と感光体の間にあるオゾンを含んだ空気を、押出部材を用いて除去することで、オゾンの除去を早め、オゾン排気ファンの動作時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体上に形成されたトナー像を、中間転写体を介して転写紙に転写することにより画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、オゾン除去手段を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、画像形成時に帯電装置の放電ワイヤでオゾンが発生し、発生したオゾンが感光体の表面部分を劣化させる。画像形成装置へ電力を供給している状態であれば、排出ファンが動作し、発生したオゾンを排出できる。しかし、画像形成装置への電源を切断し、排気ファンが停止した際に感光体の表面近傍にオゾンが残っていると、残ったオゾンが感光体の表面部分を劣化させてしまうという不具合が生じる。
【0003】
この不具合への対策として、使用者が電源切断の指示を画像形成装置に入力したタイミングから、排出ファンを駆動して所定時間、感光体表面近傍のオゾンを排出させるという技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−251520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、使用者が電源切断の指示を画像形成装置に入力した後は、排気ファンはできる限り早期に止めて、排気ファンでの騒音発生を停止させたいという要求がある。
【0005】
本発明は、使用者が電源切断の指示を画像形成装置に入力した時点から、オゾンを早期に排出させ、騒音を発生するファンを速やかに停止させる排気手段を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0007】
1.感光体と、
放電ワイヤを有し、該感光体を帯電する帯電装置と、
帯電された前記感光体を像露光して前記感光体上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体上の静電潜像をトナーにより現像する現像装置と、
前記感光体上に現像されたトナー像を用紙に転写する転写装置と、
前記帯電装置の作動時に前記帯電装置で発生するオゾンを含む空気を、ファンを動作させて帯電装置周辺の空気を排出するオゾン排気装置と、
前記放電ワイヤと前記感光体の間において押出部材を前記感光体の軸方向に走査して、前記オゾンを含む空気を除去するオゾン除去装置と、
省電力状態と通常電力状態とを切換え可能な電源と、
使用者が、前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示を入力する入力手段と、
前記オゾン排気装置及び前記オゾン除去装置を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、
帯電動作終了後に前記オゾン排気装置を所定時間、動作させ、
前記入力手段に、使用者による前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示が入力された際に、前記オゾン排気装置が前記所定時間の動作を継続している場合、
前記オゾン除去装置を動作させ、かつ、前記所定時間を短縮することを特徴とする画像形成装置。
【0008】
2.感光体と、
放電ワイヤを有し、該感光体を帯電する帯電装置と、
帯電された前記感光体を像露光して前記感光体上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体上の静電潜像をトナーにより現像する現像装置と、
前記感光体上に現像されたトナー像を用紙に転写する転写装置と、
前記帯電装置の作動時に前記帯電装置で発生するオゾンを含む空気を、ファンを動作させて帯電装置周辺の空気を排出するオゾン排気装置と、
前記放電ワイヤと前記感光体の間において押出部材を前記感光体の軸方向に走査して、前記オゾンを含む空気を除去するオゾン除去装置と、
省電力状態と通常電力状態とを切換え可能な電源と、
使用者が、前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示を入力する入力手段と、
前記オゾン排気装置及び前記オゾン除去装置を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、
帯電動作終了後に前記オゾン排気装置を所定時間、動作させ、
前記入力手段に、使用者による前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示が入力された際に、画像形成終了時点から前記切換え指示が入力された時点までの時間が予め定めた時間より短い場合、前記オゾン除去装置を動作させ、かつ、前記所定時間を短縮することを特徴とする画像形成装置。
【0009】
3.前記制御手段は、画像形成終了時点から使用者が前記切換え指示を入力した時点までの時間に応じて、前記所定時間を変更することを特徴とする前記1または2記載の画像形成装置。
【0010】
4.前記オゾン除去装置は、前記放電ワイヤに接触しながら移動して前記放電ワイヤを清掃する清掃手段を有することを特徴とする前記1乃至3記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
使用者が電源切断の指示を画像形成装置に入力した時点から、オゾンを早期に排出させることで、排気ファンを速やかに停止させ、騒音の発生を早期に停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を、本発明の実施の形態を用いて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、ベルト状の中間転写体6と給紙装置20及び定着装置30とを備えている。
【0014】
ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光装置3Y、3M、3C、3Kに入力される。
【0015】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、感光体1Yの周囲に配置された帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y及びクリーニング装置5Yを有する。帯電装置2Y、2M、2C、2Kは、感光体1Y、1M、1C、1Kの表面を一様に帯電する。
【0016】
図1におけるマゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、感光体1M、帯電装置2M、露光装置3M、現像装置4M及びクリーニング装置5Mを有する。
【0017】
シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、感光体1C、帯電装置2C、露光装置3C、現像装置4C及びクリーニング装置5Cを有する。
【0018】
黒(K)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、感光体1K、帯電装置2K、露光装置3K、現像装置4K及びクリーニング装置5Kを有する。
【0019】
図2は、帯電装置2の基本型の一例を示す要部斜視部である。帯電装置2は、タングステンワイヤー等から成る放電ワイヤ120、ケース電極200、スクリーングリッド電極320から成り、ケース電極200とスクリーングリッド電極320が別体に構成されている。ワイヤ状の放電ワイヤ120には膜厚50〜2000nmの被覆膜が形成されている。
【0020】
帯電装置に電力が供給されると、放電ワイヤ120、ケース電極200、スクリーングリッド電極320の間に強電界が発生し、空気中の酸素の一部がオゾンに変化する。帯電装置で発生したオゾンは、周辺の空気に混じり、オゾンを含んだ空気は後述のオゾン排気装置によって画像形成装置の外に排出される。図3は感光体1、帯電装置2、そして帯電装置2において発生したオゾンを排気するオゾン排気装置106の位置関係を示す概略図である。図4はオゾン排気装置106の概略を表す図である。同図(a)は正面図、同図(b)は上面図、同図(c)は側面図である。オゾン排気装置106は、オゾン300の流路であるダクト301、オゾンを吸収するオゾンフィルタ303、排気ファン304、及び吸気口305を備える。排気ファン304は画像形成装置の装置外に面して設置されている。排気ファン304が動作すると、排気ファン304によってオゾンを含む空気が吸気口305から吸引され、オゾンのダクト301に入ってオゾン通路302を通過してオゾンフィルタ303に入る。オゾンフィルタ303においてオゾンが吸収され、残った空気が画像形成装置の外へ排気される。
【0021】
次に、図1において、4Y、4M、4C、4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径トナーとキャリアからなる二成分現像剤を収容する現像装置である。
【0022】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。
【0023】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kにより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に一次転写装置7Y、7M、7C、7Kにより逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【0024】
給紙装置20の給紙カセット21内に収容された用紙Pは、給紙手段(第1給紙部)22により給紙され、給紙ローラ23、24、25、26、第2給紙部であるレジストローラ27等を経て、二次転写装置9に搬送され、用紙P上にカラー画像が転写される。
【0025】
なお、画像形成装置Aの下部に鉛直方向に縦列配置された3段の給紙カセット21は、ほぼ同一の構成をなす。また、3段の給紙手段22も、ほぼ同一の構成をなす。給紙カセット21、給紙手段22を含めて給紙装置20と称す。
【0026】
カラー画像が転写された用紙Pは、定着装置30において、熱と圧力とにより定着処理され、定着処理された用紙P上は排紙ローラ28に挟持されて機外の排紙トレイ29上に載置される。
【0027】
一方、二次転写装置9により用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング装置8によりクリーニングされ、残留トナーが除去される。
【0028】
なお、画像形成装置Aは、カラー画像形成装置であるが、モノクロ画像を形成する画像形成装置に本発明は適用される。
【0029】
次に、オゾンを感光体の表面近傍から除去する手段について詳しく説明する。従来、使用者が画像形成装置の電源を切断する指示を画像形成装置に入力すると、画像形成装置を構成する全ての装置へ電源を供給する通常電力状態から、一部の装置へ電源を供給する省電力状態に変更された状態で、オゾン排気装置106を動作させて感光体の表面近傍のオゾンを除去していた。本実施の形態ではさらに放電ワイヤと感光体の間に存在するオゾンを、押出部材を走査することで除去する。オゾン排気装置106の動作と押出部材の走査の両方を実施することで、より早くオゾンを除去できるので、電源切断の指示を入力した後に、排気ファン304が動作することにより発生する騒音の継続時間を短くすることができる。
【0030】
図5に放電ワイヤと感光体の間に押出部材401を配置し、押出部材401を感光体の軸方向402に走査することでオゾンを押し出して除去する概念図を示す。放電ワイヤと感光体側に配置した図示しないグリッドの間に生じた電界によってオゾンが発生するので、放電ワイヤと感光体の間にオゾンが発生することから、放電ワイヤと感光体の間を押出部材401で走査することで有効にオゾンを感光体表面の近傍から除去できる。
【0031】
ところで、放電ワイヤと感光体の間を走査される装置として、放電ワイヤの表面を清掃する放電ワイヤ清掃装置がある。放電ワイヤには高電圧が印加されるので、機内は飛散しているトナーや塵埃に分極を発生させ、分極したトナーや塵埃は静電気力によって放電ワイヤに付着する。トナーや塵埃が放電ワイヤ表面に付着すると放電ワイヤ表面に空気とは異なる電気容量に物質が存在することとなるので、電極間に発生する電界の強度が変化し、感光体表面に適切な電界を発生させることができない。そのため放電ワイヤの表面の定期的な清掃が従来から行われている。
【0032】
放電ワイヤと感光体の間の空間を、放電ワイヤ清掃装置を構成する部材が走査することから、放電ワイヤ清掃装置は放電ワイヤの表面を清掃するとともに、オゾンを除去する機能を兼ね備えていると言える。そこで、オゾン除去装置として放電ワイヤ清掃装置を用いる。
【0033】
図6は放電ワイヤ清掃装置の概念を表す図である。清掃は放電ワイヤ表面をフェルトで擦って行う。フェルト501は同図に示すように、保持部材502に設けられており、保持部材502の一部にネジ状溝が形成され、保持部材502は螺旋軸503と噛み合っている。螺旋軸503は軸の両端を図示しないエンドブロックで支持され、螺旋軸503を図示しないモータなどの回転手段を用いて図中矢印Wの方向への回転動作を、保持部材502の感光体の軸方向への直進動作に変換する。
【0034】
保持部材502は螺旋軸503に沿って移動し、保持部材502に設けられたフェルトが放電ワイヤの表面を擦って清掃する。保持部材502は移動範囲の右端部の待機位置(ホームポジション)に位置し停止している。後述する制御手段は回転手段を回転させて保持部材502を移動させて放電ワイヤを、片道で一回、もしくは往復動作を行って放電ワイヤを清掃する。
【0035】
なお、図6では、感光体の長手方向に渡る吸入口を有するダクト301の場合を示したが、感光体の長手方向全体ではなく、例えば感光体の方端方向に吸入口がある場合には、その吸入口がある方向にオゾン除去装置の保持部材502を押し進めることで、効率よくオゾンを除去することができる。そのためには、感光体の軸方向から見て吸入口のある位置と異なる方向の位置に保持部材502を配置するように制御しておき、オゾンを除去する際に吸入口方向に保持部材502を移動させるようにする。
【0036】
放電ワイヤの清掃は、清掃装置の自動制御回路及び制御手段を備えることにより、定期的に自動で実施することができる。このような自動清掃制御方法としては既に公知の技術、例えば、清掃装置が放電ワイヤの端部に設けたストッパーに当って停止した時にモータに流れる過電流を検出する過電流検出手段を設け、電流を検出した時、他端部(リターンポジション)ではモータを逆転させ、ホームポジションではモータを停止することにより、清掃装置の往復移動ができるよう駆動手段を制御した技術を用いて自動的に清掃することができる。
【0037】
このように放電ワイヤを清掃すると、同時に放電ワイヤと感光体表面の間に存在するオゾンを含んだ空気を取り除くことができる。この様子を図7に示す。図7において、放電ワイヤを直接擦るフェルトを保持する保持部材502は、ケース電極における感光体の軸方向に垂直な面内の多くの部分を占める形状となっている。従って放電ワイヤの清掃のために保持部材502がケース電極内を感光体の軸方向に走査されれば、放電ワイヤと感光体表面の間に存在するオゾンをケース電極内部の空間から効果的に押し出し、掻き出すことができる。例えば図7に示す進行方向Vの方向に保持部材502が移動すると、進行方向にある空間からは矢印Aや矢印Cのようにオゾンを含んだ空気が掻き出される。また、進行方向の後側の部分にはケース電極外から矢印Bや矢印Dのように空気が流れ込むのでオゾンの密度を薄くすることができる。なお、保持部材502が進行方向Vとは逆方向に移動した場合には、オゾンを含んだ空気の流れは逆方向になり、オゾンを除去する効果には変わりない。
【0038】
ところで、放電ワイヤの清掃を行うタイミングについて説明する。従来、放電ワイヤの清掃を行うタイミングは次のように決定していた。放電ワイヤの清掃が終わると、その直後から放電ワイヤへの塵埃等の付着が想定されるため、画像形成の際にはなるべく放電ワイヤに塵埃等が付着していない状態であることが望ましい。また、放電ワイヤの清掃は、放電ワイヤに負荷をかけるので、頻繁には実施することができない。そのため、放電ワイヤの清掃は、画像形成動作を開始する前に行われていた。例えば、朝に使用者が画像形成装置の電源を入れた時や、所定時間、画像形成動作が行われなかった時に清掃を実施していた。
【0039】
しかし、放電ワイヤが汚染されるのは、放電ワイヤに電圧が印加され、静電気力が発生している場合が殆どであるので放電ワイヤに電圧を印加しない場合に行ってもよい。
【0040】
また、従来、オゾンの除去は使用者の行う電源切断の指示の後に、所定時間排気ファン304を回転させて行っていた。そこで、放電ワイヤの清掃は電源切断の指示を使用者が入力した際に行うことで、排気ファン304によるオゾンの排気と、放電ワイヤの清掃に伴うオゾンの除去を並行して実施する。
【0041】
なお、帯電装置の動作終了ごとにオゾン除去を行うことは、放電ワイヤに頻繁に負荷をかけ、放電ワイヤの欠損等につながるため好ましくない。
【0042】
ここで電源切断の指示とは、画像形成装置を構成する全ての装置へ電源を供給する通常電力状態から、画像形成装置を構成する全ての装置への電源供給を停止するのではなく、定着装置に供給する駆動電力を待機電力まで削減したり、画像表示部の表示を切り替える等、待機時間中の電力消費を抑制する省電力状態におく指示を言う。
【0043】
次にオゾン除去のフローを図8のフロー図と図9の制御ブロック図を用いて説明する。なお、以下の説明では、放電ワイヤ清掃装置を用いてオゾンの除去を行うので、放電ワイヤ清掃装置をオゾン除去装置と称する。また、図9では本実施形態の動作説明に必要な部分の周囲を中心に記載してあり、その他の画像形成システムとして既知の部分については省略してある。
【0044】
図9の制御ブロック図においては、100はCPUでありプログラムに従って画像形成装置の各種制御を実行する。以下のフローは画像形成装置の制御手段として機能するCPU100にて行われる処理である。101はROMであり画像形成装置を制御するためのプログラムやデータを含む各種プログラムやデータを記憶している。またROM101においては、制御条件等も記憶しておく。102はRAMでありCPU100によってワークエリアとして利用され、CPU100が画像形成装置の制御を実行する際に必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。
【0045】
111はバスであり、CPU100、ROM101、RAM102、オゾン除去装置103、帯電部104、電源供給部105、オゾン排気装置106、現像装置107、操作入力部108、転写装置109、露光装置110が相互に接続されている。
【0046】
次に図8について、最初にステップS10にて画像形成装置を用いて画像形成処理を実施する。画像形成処理を実施することで帯電装置がオゾンを発生させる。
【0047】
次に、ステップS11において、使用者が電源切断の指示を、操作入力部108を用いて行う。図10は操作入力部の一例である。副電源釦S1を押すことで電源切断の指示を入力することができる。なお操作入力部は、図10のように予め設けられた釦が揃ったタイプだけでなく、液晶表示画面上に透明の入力ボタンを備え、液晶表示画面の表示が使用者の操作によって変更されていくタイプでもよい。また、電源切断指示は操作入力部から行う場合のほかに、例えば画像形成装置本体のいずれかの部分にハードスイッチを設けて、使用者がそのスイッチを用いて行っても良い。
【0048】
次に、ステップS12において、制御装置であるCPU100は、CPU100自体が制御しているオゾン排気装置106が継続して動作しているかを確認する。画像形成終了後、電源切断指示までの時間が所定時間を越えていると、オゾンの排気が十分実施されているので、オゾン排気装置106の動作が停止されている。その場合にはオゾン除去動作は実施せずに、本フローは終了する。
【0049】
オゾン排気装置106が継続して動作している場合には、ステップS13に移ってオゾン除去を実施する。さらに、オゾン除去の動作の実施により、オゾンの排出が進むので、オゾン排気装置106の動作時間を一定の時間短縮させ、このフローは終了する。
【0050】
次に、オゾン除去動作を実施することで、オゾン排気装置106の動作時間を短縮できることを図11のタイミングチャートを用いて説明する。図11では、オゾン除去動作を行わない場合の電源供給時間とオゾン排気装置106の動作時間を示すとともに、オゾン除去動作を行う場合の電源供給時間、オゾン排気装置106の動作時間及びオゾン除去装置103の動作時間を示した。まずオゾン除去動作を行わない場合にt1のタイミングで電源切断の指示を使用者が入力すると、その時点からt4の時点までオゾン排気装置106が動作して動作を終了し、同時に電源が切断される。次にオゾン除去動作を行う場合にt1のタイミングで電源切断の指示を使用者が入力すると、オゾン排気装置106とオゾン除去装置103が動作を開始する。オゾン除去装置103の動作がt2まで継続して動作を終了する。オゾン除去装置103の動作によりオゾンの除去が進むので、オゾン排気装置106の動作時間はt3に短縮されて動作を終了し、同時に電源が切断される。従ってオゾン除去装置103の動作によって電源切断のタイミングをt4からt3へ早くすることができる。
【0051】
次に画像形成終了後から電源切断指示を行う時点までにオゾンの排気がオゾン排気装置106によって十分行われている場合を想定する。
【0052】
このような場合に、電源切断指示が入力されてからオゾン排気装置106を継続して動作させる時間を、画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間に凡そ反比例させて設定すると、一定の時間を要するオゾン除去装置103の動作は、オゾン排気装置106が継続して動作する時間より長くなる場合もある。従って、画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間が予め定めた時間より短い場合にオゾン除去装置103を動作させてやる。
【0053】
この場合のオゾン除去のフローを、図12を用いて説明する。画像形成処理を実施してから、使用者が電源切断指示を入力し、画像形成処理終了後から電源切断指示までの時間を算出するまでのステップは上記と同様である。次にステップS20において、ROM101のデータテーブルから予め定めた時間を参照する。ここで言う予め定めた時間とは、オゾン除去装置103を動作させないでオゾン排気装置106のみを動作させることで、オゾン除去装置103を動作させる時間よりも速くオゾンを除去することができる時間であり、予め決定して入力しておく。次にステップS21において、画像形成処理終了後から電源切断指示までの時間が予め定めた時間より長いかどうかを判断する。画像形成処理終了後から電源切断指示までの時間が予め定めた時間より長ければ、オゾン除去を実施せずにフローを終了する。画像形成処理終了後から電源切断指示までの時間が予め定めた時間より短ければ、ステップS22においてオゾン除去を実施してフローを終了する。
【0054】
以上のようにすることで、オゾン除去装置103が、オゾン排気装置106の動作が終了した後まで動作することを防ぐことができる。これにより、最終的に画像形成装置全体の電源を切断する時期を早めることができる。
【0055】
ところで、オゾン排気装置106が排気するべきオゾンを含んだ空気の量は、画像形成動作が終了してオゾン排気装置106がオゾンを排気している時間と、ほぼ反比例関係になると考えられる。従って、画像形成動作が終了して電源切断の指示が入力されるまでの時間が長いほど、電源切断の指示を入力してからオゾン排気装置106を継続して動作させる時間を短く設定できる。
【0056】
具体的には、画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間に凡そ比例してオゾンの量は減少していくので、電源切断指示が入力されてから排気ファン304を継続して動作させる時間は、画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間に凡そ反比例させて設定することが望ましい。この場合のオゾン除去のフローについて図13を用いて説明する。
【0057】
最初にステップS30にて画像形成装置を用いて画像形成を実施する。画像形成を実施することで帯電装置がオゾンを発生させる。CPU100は画像形成が終了した時刻をCPU100内の図示しないクロック読み取り、RAM102に記憶させる。
【0058】
次に、ステップS31において、使用者が電源切断の指示を、操作入力部108を用いて行う。使用者の電源切断の指示を受け、CPU100は指示のあった時刻をCPU100内のクロック読み取り、RAM102に記憶させる。
【0059】
次に、ステップS32において、CPU100は、RAM102に記憶させた画像形成処理終了の時刻と電源切断指示までの時刻から、画像形成処理終了後から電源切断指示までの時間を算出する。
【0060】
次に、ステップS33において、ROM101のデータテーブルから動作時間を参照する。ここでのデータテーブルとは、画像形成処理終了後から電源切断指示までの時間と、オゾン排出ファンを動作させる動作時間を予め記憶させているものである。画像形成処理終了後から電源切断指示までの時間が長いほど、電源切断指示を入力してからオゾン排出ファンの動作を継続させる時間を短く設定する。
【0061】
次にステップS34において、オゾン排気装置106を、動作時間を短縮して動作させる。以上のようにオゾン排気装置106の排気ファンが動作する時間を短縮することで、排気ファンの騒音が継続する時間を短縮することができる。
【0062】
次に、画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間と、オゾン排気装置106とオゾン除去装置103の動作時間の関係を図14に示す。横軸は画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間t、縦軸はオゾン排気装置106とオゾン除去装置103の動作時間Tを表す。
【0063】
同図中のtt1はオゾン除去装置103が自動清掃を開始する時間を表している。画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間が予め定めた時間t5の場合にオゾン除去装置103を動作開始させることを示している。
【0064】
tt2は、自動清掃を実施しない場合のオゾン排気装置の動作時間を表している。画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間に関わりなく、オゾン排気装置106が一定の時間動作する。
【0065】
tt3は、自動清掃を実施する場合のオゾン排気装置の動作時間を表している。画像形成が終了してから電源切断指示がなされるまでの時間に凡そ反比例してオゾン排気装置106の動作時間を設定することを示している。オゾン除去装置103を動作させることで、オゾン排気装置106の動作時間は短く設定できることを示している。
【0066】
次に、具体的な時間を挙げて比較する。オゾン除去装置103の動作時間によりオゾンの排気時間が半分で済むことが実験により確認できている。また、例えば、通常、電源切断後、排気ファン304を動作させる時間は5分程度であり、画像形成動作を行ってから排気ファン304を動作させる時間も5分であり、オゾン除去動作は約40秒を要すると想定する。
【0067】
すると、画像形成を行って直ぐに電源切断の指示が入力された場合には、オゾン除去装置103の動作時間40秒が経過した後のオゾン排気装置106の継続時間が半分になると考えられるので、残りの4分20秒の時間が半分以上短縮されることとなる。従って、オゾン除去装置103の動作時間終了後、オゾン排気装置106の動作時間は2分10秒で済み、電源切断の指示後2分50秒で排気ファン304が停止するので、通常のオゾン排気装置106の動作時間5分に比べて2分10秒の時間短縮が可能となる。
【0068】
以上のように、オゾン排気装置106を動作させるとともに、帯電装置と感光体の間にあるオゾンを含んだ空気を、押出部材を用いて除去することで、オゾンの除去を早め、オゾン排気ファンの動作時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置Aの全体構成図である。
【図2】帯電装置の概略図である。
【図3】感光体、帯電装置及びオゾン排気装置の位置関係を示す概略図である。
【図4】オゾン排気装置の概略図である。
【図5】放電ワイヤと感光体の間を押出部材が走査することで、オゾンを押し出して除去する概念図である。
【図6】放電ワイヤ清掃装置の概念図である。
【図7】本実施形態における放電ワイヤ清掃装置を用いて放電ワイヤと感光体表面の間に存在するオゾンを含んだ空気を除去する概念図である。
【図8】本実施形態におけるオゾン除去のフローを表す図である。
【図9】本実施形態における画像形成装置の制御ブロック図である。
【図10】本実施形態における操作入力部の一例を示す図である。
【図11】本実施形態におけるオゾン排出ファンの動作時間等のタイミングチャートである。
【図12】本実施形態におけるオゾン除去のフローを表す図である。
【図13】本実施形態におけるオゾン除去のフローを表す図である。
【図14】本実施形態におけるオゾン排気装置106とオゾン除去装置103の動作時間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 クリーニング装置
6 中間転写体
7 一次転写装置
8 クリーニング装置
9 二次転写装置
10 画像形成ユニット
20 給紙装置
21 給紙カセット
22 給紙手段
23 給紙ローラ
27 レジストローラ
28 排紙ローラ
29 排紙トレイ
30 定着装置
100 CPU
101 ROM
102 RAM
103 オゾン除去装置
104 帯電部
105 電源供給部
106 オゾン排気装置
107 現像装置
108 操作入力部
109 転写装置
110 露光装置
120 放電ワイヤ
200 ケース電極
300 オゾン
301 ダクト
302 オゾン通路
303 オゾンフィルタ
304 時間排気ファン
304 排気ファン
305 吸気口
320 スクリーングリッド電極
401 押出部材
402 軸方向
501 フェルト
502 保持部材
503 螺旋軸
504 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
放電ワイヤを有し、該感光体を帯電する帯電装置と、
帯電された前記感光体を像露光して前記感光体上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体上の静電潜像をトナーにより現像する現像装置と、
前記感光体上に現像されたトナー像を用紙に転写する転写装置と、
前記帯電装置の作動時に前記帯電装置で発生するオゾンを含む空気を、ファンを動作させて帯電装置周辺の空気を排出するオゾン排気装置と、
前記放電ワイヤと前記感光体の間において押出部材を前記感光体の軸方向に走査して、前記オゾンを含む空気を除去するオゾン除去装置と、
省電力状態と通常電力状態とを切換え可能な電源と、
使用者が、前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示を入力する入力手段と、
前記オゾン排気装置及び前記オゾン除去装置を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、
帯電動作終了後に前記オゾン排気装置を所定時間、動作させ、
前記入力手段に、使用者による前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示が入力された際に、前記オゾン排気装置が前記所定時間の動作を継続している場合、
前記オゾン除去装置を動作させ、かつ、前記所定時間を短縮することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
感光体と、
放電ワイヤを有し、該感光体を帯電する帯電装置と、
帯電された前記感光体を像露光して前記感光体上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体上の静電潜像をトナーにより現像する現像装置と、
前記感光体上に現像されたトナー像を用紙に転写する転写装置と、
前記帯電装置の作動時に前記帯電装置で発生するオゾンを含む空気を、ファンを動作させて帯電装置周辺の空気を排出するオゾン排気装置と、
前記放電ワイヤと前記感光体の間において押出部材を前記感光体の軸方向に走査して、前記オゾンを含む空気を除去するオゾン除去装置と、
省電力状態と通常電力状態とを切換え可能な電源と、
使用者が、前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示を入力する入力手段と、
前記オゾン排気装置及び前記オゾン除去装置を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、
帯電動作終了後に前記オゾン排気装置を所定時間、動作させ、
前記入力手段に、使用者による前記電源の省電力状態と通常電力状態との切換え指示が入力された際に、画像形成終了時点から前記切換え指示が入力された時点までの時間が予め定めた時間より短い場合、前記オゾン除去装置を動作させ、かつ、前記所定時間を短縮することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、画像形成終了時点から使用者が前記切換え指示を入力した時点までの時間に応じて、前記所定時間を変更することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記オゾン除去装置は、前記放電ワイヤに接触しながら移動して前記放電ワイヤを清掃する清掃手段を有することを特徴とする請求項1乃至3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−8657(P2010−8657A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167101(P2008−167101)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】