説明

画像形成装置

【課題】湾曲を形成させるための搬送ローラ対による被転写材の送り出し量のばらつきを抑制することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、停止したレジストローラ対80に用紙Tの先端を当接させると共に、所定量だけ用紙Tを送り出して用紙Tに所定の湾曲を形成させるようレジストローラクラッチ部804と搬送ローラクラッチ部824とを制御する湾曲形成制御部842であって、レジストローラクラッチ部804が非連結状態であると共に搬送ローラクラッチ部824が連結状態である場合、搬送ローラクラッチ部824を連結状態に維持すると共に、センサ79により用紙Tが検出されてから所定時間後にレジストローラクラッチ部804を連結状態に切り替え、先端がレジストローラ対80に当接してから用紙Tを送り出す量を所定量にする第1制御モードを有する湾曲形成制御部842を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、コピー機、ファクシミリ又はこれらの複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被転写材としての用紙に画像を印刷(形成)するための装置として、プリンタ、コピー機又はこれらの複合機などの画像形成装置が知られている。一般的に、画像形成装置においては、用紙に画像を形成する画像形成部における用紙の搬送方向の上流側には、用紙を検出するための用紙検出センサ(レジスト前センサ)、レジストローラ対、用紙をレジストローラ対に送り出す搬送ローラ対などが配置される。
【0003】
レジストローラ対は、画像形成部に用紙を送り出す前に、用紙のスキュー(斜め給紙)補正や、トナー画像とのタイミング調整を行うためのローラ対である。レジストローラ対は、用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして、転写ニップへ向けて用紙を搬送する。
【0004】
レジストローラ対は、停止状態で用紙の先端を一旦当接させて用紙に所定の湾曲を形成させた後、回転駆動して用紙を画像形成部に送り出す。
具体的には、停止状態のレジストローラ対に当接される用紙は、用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて、搬送ローラ対により、レジストローラ対側に所定量送り出される。これにより、用紙は、先端が、レジストローラ対に形成されるレジストニップに向けて押し付けられた状態で湾曲する。用紙に形成される湾曲の大きさや形状は、搬送ローラ対による用紙の送り出し量により調整される。
【0005】
用紙に湾曲を形成させる制御として、停止状態のレジストローラ対に用紙の先端を当接させた状態で、用紙を搬送ローラ対によりレジストローラ対に送り出し、その後、搬送ローラ対の駆動を停止して用紙に所定の湾曲を形成する制御がある。
【0006】
ところで、レジストローラ対は、レジスト駆動ローラと、レジスト従動ローラとからなる。搬送ローラ対は、搬送駆動ローラと、搬送従動ローラとからなる。また、レジスト駆動ローラ及び搬送駆動ローラは、クラッチを介して駆動源により回転駆動させる構成とする場合がある。
【0007】
用紙に湾曲を形成させる制御において、搬送ローラ対は、搬送ローラクラッチ部が連結状態から非連結状態に切り替えられた後、その慣性力により惰性で回転する。そのため、用紙は、搬送ローラ対の惰性回転により所定長さ送り出される。特に、近年の画像形成プロセスの高速化に伴い、搬送ローラ対による用紙の搬送速度が高速化されている。そのため、搬送ローラ対82が停止されるまでの時間がばらつきやすい。従って、搬送ローラ対を停止させて用紙Tを湾曲させる制御においては、用紙Tの送り出し量がばらつきやすい。
【0008】
これに対し、搬送ローラクラッチ部を有する画像形成装置において、搬送ローラクラッチ部の切り替え時間のばらつきや搬送ローラの惰性による回転等を吸収するように搬送ローラ対の回転速度を制御することにより、搬送ローラ対による用紙を送り出す量を所定量にするように調整することができる画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−271151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載された画像形成装置は、搬送ローラ対の回転速度を制御することによりレジストローラ対への到達時間を制御している。そのため、複雑な制御が必要となる。これにより、コストが増大する可能性があった。
【0011】
本発明は、被転写材を画像形成部に送り出すレジストローラ対を備える画像形成装置において、湾曲を形成させるための搬送ローラ対による被転写材の送り出し量のばらつきを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、シート状の被転写材を収容する収容部と、前記被転写材に画像を形成する画像形成部と、前記収容部に収容された前記被転写材を前記画像形成部に搬送する搬送路と、前記搬送路に配置され、第1駆動ローラと前記第1駆動ローラに近接又は当接して対向配置される第1対向ローラとを有すると共に、前記被転写材を前記画像形成部に送り出すレジストローラ対と、前記搬送路における前記レジストローラ対の前記収容部側に配置され、第2駆動ローラと前記第2駆動ローラに近接又は当接して対向配置される第2対向ローラとを有すると共に、前記被転写材を前記レジストローラ対に送り出す搬送ローラ対と、レジストローラ駆動部と、前記レジストローラ駆動部からの回転駆動力を前記レジストローラ対の前記第1駆動ローラに伝達可能な連結状態、又は前記回転駆動力を前記第1駆動ローラに伝達しない非連結状態に状態を切り替え可能なレジストローラクラッチ部と、を有するレジストローラ駆動機構と、搬送ローラ駆動部と、前記搬送ローラ駆動部からの回転駆動力を前記搬送ローラ対の前記第2駆動ローラに伝達可能な連結状態、又は前記回転駆動力を前記第2駆動ローラに伝達しない非連結状態に状態を切り替え可能な搬送ローラクラッチ部と、を有する搬送ローラ駆動機構と、前記レジストローラ対に搬入される前記被転写材を検出するセンサと、停止した前記レジストローラ対に前記被転写材の先端を当接させると共に、所定量だけ前記被転写材を送り出して該被転写材に所定の湾曲を形成させるよう前記レジストローラクラッチ部と前記搬送ローラクラッチ部とを制御する湾曲形成制御部であって、前記レジストローラクラッチ部が非連結状態であると共に前記搬送ローラクラッチ部が連結状態である場合において、前記搬送ローラクラッチ部を連結状態に維持すると共に、前記センサにより前記被転写材が検出されてから所定時間後に前記レジストローラクラッチ部を連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を所定量にする第1制御モードを有する湾曲形成制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0013】
また、前記画像形成部により画像が形成される前記被転写材の枚数に関する枚数情報を含む画像形成指示情報を受け付け可能な受け付け部を更に備え、前記湾曲形成制御部は、前記レジストローラクラッチ部が非連結状態であると共に前記搬送ローラクラッチ部が連結状態である場合において、前記センサにより前記被転写材が検出されてから所定時間後に前記搬送ローラクラッチ部を非連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を前記所定量にする第2制御モードを更に有し、前記被転写材の枚数が複数枚数であるとする枚数情報を含む画像形成指示情報を前記受け付け部が受け付けた場合、前記湾曲形成制御部は、1枚目に搬送される前記被転写材に前記所定の湾曲を形成させるよう前記第2制御モードにより前記レジストローラクラッチ部及び前記搬送ローラクラッチ部を制御し、2枚目以降に搬送される前記被転写材に前記所定の湾曲を形成させるよう第1制御モードにより前記レジストローラクラッチ部及び前記搬送ローラクラッチ部を制御することが好ましい。
【0014】
また、前記第1制御モードは、前記センサにより前記被転写材が検出されてから第1時間後に前記レジストローラクラッチ部を連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を前記所定量にし、前記第2制御モードは、前記センサにより前記被転写材が検出されてから前記第1時間とは異なる第2時間後に前記搬送ローラクラッチ部を非連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を前記所定量にすることが好ましい。
【0015】
また、前記搬送ローラクラッチ部を連結状態から非連結状態に切り替える時間である搬送クラッチ非連結時間が前記レジストローラクラッチ部を非連結状態から連結状態に切り替える時間であるレジストクラッチ連結時間よりも長い場合には、前記第2時間は、前記第1時間よりも短いことが好ましい。
【0016】
また、前記受け付け部は、厚さ及び/又は剛性の異なる複数の前記被転写材の種類に関する種類情報を含む画像形成情報を受け付け可能であり、前記湾曲形成制御部は、前記受け付け部により受け付けられた画像形成指示情報に含まれる前記種類情報に基づいて、前記レジストローラクラッチ部及び前記搬送ローラクラッチ部を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被転写材を画像形成部に送り出すレジストローラ対を備える画像形成装置において、湾曲を形成させるための搬送ローラ対による被転写材の送り出し量のばらつきを抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態のプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】本実施形態のプリンタ1における給紙カセット52とレジストローラ対80との間の第1搬送路L1に関する構成及び機能ブロックを示す模式図である。
【図3A】本実施形態のプリンタ1において給紙カセット52からレジストローラ対80を経て1枚目の用紙Tが搬送される際の制御を示すフローチャートである。
【図3B】本実施形態のプリンタ1において給紙カセット52からレジストローラ対80を経て2枚目以降の用紙Tが搬送される際の制御を示すフローチャートである。
【図4】図3A及び図3Bに示すフローチャートに対応するタイミングチャートである。
【図5】図4に示す範囲Vを拡大した詳細なタイミングチャートである。
【図6】図4に示す範囲VIを拡大した詳細なタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
【0020】
図1により、本実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本実施形態のプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
【0022】
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0023】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0024】
図1に示すように、給排紙部KHは、収容部としての給紙カセット52と、収容部としての手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0025】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
【0026】
まず、画像形成部GKについて説明する。
【0027】
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
【0028】
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0029】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0030】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0031】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0032】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0033】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成される。
【0034】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0035】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0036】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラからなる対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡される。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0037】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0038】
中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0039】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0040】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0041】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0042】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0043】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0044】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間で2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写される。
【0045】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0046】
次に、給排紙部KHについて説明する。
【0047】
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において左側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0048】
装置本体Mの左側面(図1において左側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの左側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0049】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0050】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
【0051】
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
【0052】
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0053】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサであるレジスト前センサ79(図2参照。詳細は後述)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。レジスト前センサ79は、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、レジスト前センサ79からの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0054】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、搬送ローラ対82が配置される。搬送ローラ対82は、給紙ローラ対81の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送される用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。給紙ローラ対81及び搬送ローラ対82は、レジスト前センサ79からの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0055】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0056】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0057】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側面側(図1において右側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によれば、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0058】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
【0059】
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0060】
以下、図面を参照して、本実施形態のプリンタ1における特徴部分に係る構成について説明する。図2は、本実施形態のプリンタ1における給紙カセット52とレジストローラ対80との間の第1搬送路L1に関する構成及び機能ブロックを示す模式図である。
【0061】
図2に示すように、給紙カセット52とレジストローラ対80との間における搬送路としての第1搬送路L1には、給紙カセット52からレジストローラ対80に向かって(上流側から下流側に向かって)、前送りコロ61と、給紙ローラ対81と、搬送ローラ対82と、レジストローラ対80とが配置されている。
【0062】
前述したように、用紙Tを検出するためのセンサとしてのレジスト前センサ79は、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジスト前センサ79は、反射光を利用して、レジストローラ対80の直前を搬送される用紙Tの有無を検出することができる。
【0063】
前述したように、給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61、給紙ローラ対81及び搬送ローラ対82により順次送り出され、レジストローラ対80に向けて第1搬送路L1を搬送される。第1搬送路L1は、全体視で装置本体Mにおける上方に向けて延びている。
【0064】
前送りコロ61は、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において左側の端部)に配置され、給紙ローラ対81と共に、カセット給紙部51を構成する。前送りコロ61によれば、持ち上げられた状態の載置板60に載置された用紙Tを、給紙カセット52から取り出し、搬送路L(第1搬送路L1)へ送り出す。
【0065】
給紙ローラ対81は、前送りコロ61の下流側に配置されている。給紙ローラ対81は、給紙駆動ローラ811と、従動ローラとしての分離ローラ812とからなる。給紙駆動ローラ811は、分離ローラ812の上方に配置されている。
【0066】
給紙駆動ローラ811が所定速度で回転駆動されると共に、給紙駆動ローラ811の回転に従動して、分離ローラ812が回転される。これにより、給紙ローラ対81は、前送りコロ61により送り出された用紙Tを挟持して搬送することができる。
【0067】
分離ローラ812は、給紙駆動ローラ811により送り出される用紙Tを1枚ずつに分離するために設けられる。つまり、分離ローラ812は、用紙Tの重送(複数枚の用紙Tが重なった状態で送り出されること)を防止するために設けられる。分離ローラ812の表面(周面)は、ゴム等のような摩擦係数が高い材料から形成されている。分離ローラ812によれば、この摩擦係数の高さを利用して、給紙駆動ローラ811とは反対側から用紙Tに接触し、用紙Tの重送が発生しそうになったときに、分離ローラ812に接触する用紙Tが送り出されることを防止することができる。
【0068】
搬送ローラ対82は、給紙ローラ対81の下流側に配置されている。搬送ローラ対82は、第2駆動ローラとしての搬送駆動ローラ821と、搬送駆動ローラ821に近接又は当接して対向配置される第2対向ローラとしての搬送従動ローラ822とからなる。搬送ローラ対82は、給紙ローラ対81により搬送される用紙Tを挟持して搬送する。
【0069】
搬送駆動ローラ821は、搬送ローラ駆動機構により回転駆動される。搬送ローラ駆動機構は、搬送ローラ駆動部823と、搬送ローラクラッチ部824とを有する。搬送ローラ駆動部823は、搬送ローラクラッチ部824を介して搬送駆動ローラ821のローラ軸821Aに連結される。
【0070】
搬送駆動ローラ821は、搬送ローラ駆動部823により所定速度で回転駆動される。搬送従動ローラ822は、搬送駆動ローラ821の回転に従動して回転される。これにより、搬送ローラ対82は、給紙ローラ対81により送り出される用紙Tを挟持して搬送することができる。
【0071】
搬送ローラクラッチ部824は、搬送ローラ駆動部823からの回転駆動力を搬送駆動ローラ821に伝達可能な連結状態、又は回転駆動力を搬送駆動ローラ821に伝達しない非連結状態に状態を切り替える。そのため、搬送ローラクラッチ部824は、搬送ローラ駆動部823の回転状態を維持したまま、搬送駆動ローラ821を回転させ、又は停止させることができる。
【0072】
レジストローラ対80は、搬送ローラ対82の下流側に配置されている。レジストローラ対80は、第1駆動ローラとしてのレジスト駆動ローラ801と、レジスト駆動ローラ801に近接又は当接して対向配置される第1対向ローラとしてのレジスト従動ローラ802とからなる。レジストローラ対80は、搬送ローラ対82により搬送される用紙Tのスキュー補正を行った後、用紙Tを挟持して搬送する。
【0073】
レジスト駆動ローラ801は、レジストローラ駆動機構により回転駆動される。レジストローラ駆動機構は、レジストローラ駆動部803と、レジストローラクラッチ部804とを有する。レジストローラ駆動部803は、レジストローラクラッチ部804を介してレジスト駆動ローラ801のローラ軸801Aに連結される。
【0074】
レジスト駆動ローラ801は、レジストローラ駆動部803により所定速度で回転駆動される。レジスト従動ローラ802は、レジスト駆動ローラ801の回転に従動して回転される。これにより、レジストローラ対80は、搬送ローラ対82により送り出される用紙Tのスキュー補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせることができる。
【0075】
レジストローラクラッチ部804は、レジストローラ駆動部803からの回転駆動力をレジスト駆動ローラ801に伝達可能な連結状態、又は回転駆動力をレジスト駆動ローラ801に伝達しない非連結状態に状態を切り替える。そのため、レジストローラクラッチ部804は、レジストローラ駆動部803の回転状態を維持したまま、レジスト駆動ローラ801を回転させ、又は停止させることができる。
【0076】
プリンタ1は、前述した各構成の他に、受け付け部830と、制御部840と、メモリ850とを備える。
【0077】
受け付け部830は、プリンタ1で印刷する用紙Tの枚数に関する枚数情報、印刷に使用する厚さ及び/又は剛性の異なる用紙Tの種類に関する種類情報を含む画像形成情報を受け付ける。受け付け部830は、プリンタ1の装置本体Mに配設されたキーボード、タッチパネルなどにより枚数情報や種類情報を含む画像形成情報を受け付けることができる。なお、受け付け部830は、プリンタ1に接続された外部機器からネットワークを介して枚数情報や種類情報を含む画像形成情報を受信することにより受け付けてもよい。
【0078】
制御部840は、時間計測部841と、湾曲形成制御部842とを有する。時間計測部841は、レジスト前センサ79が用紙Tを検出してからの経過時間を計測する。湾曲形成制御部842は、停止したレジストローラ対80に用紙Tの先端を当接させると共に、搬送ローラ対82により用紙Tを所定量だけ送り出して所定の湾曲を形成させる制御を行う。具体的には、湾曲形成制御部842は、レジストローラクラッチ部804及び搬送ローラクラッチ部824を制御することにより用紙Tに所定の湾曲を形成させる。
【0079】
湾曲形成制御部842は、第1制御モードと、第2制御モードとを有する。第1制御モード及び第2制御モードは、レジスト前センサ79が用紙Tを検出してから所定時間(第1時間、第2時間)後に、レジストローラクラッチ部804又は搬送ローラクラッチ部824を制御することにより、用紙Tの先端がレジストローラ対80に当接してから用紙Tを送り出す量を所定量にするモードである。
【0080】
具体的には、第1制御モードは、レジストローラクラッチ部804を非連結状態としてレジストローラ対80を停止させると共に、搬送ローラクラッチ部824を連結状態に維持して搬送ローラ対82を回転駆動した状態において、レジスト前センサ79が用紙Tを検出し、時間計測部841が第1時間を計測した後、レジストローラクラッチ部804を非連結状態から連結状態に切り替えることにより、用紙Tに所定の湾曲を形成して送り出すモードである。第1時間T1は、用紙Tがレジスト前センサ79により検出されてから、レジストローラクラッチ部804を非連結状態から連結状態に切り替えるためのレジストクラッチ制御信号を、湾曲形成制御部842がレジストローラクラッチ部804に出力するまでの時間である(図6参照)。
【0081】
また、第2制御モードは、レジストローラクラッチ部804を非連結状態としてレジストローラ対80を停止させると共に、搬送ローラクラッチ部824を連結状態として搬送ローラ対82を回転駆動した状態において、レジスト前センサ79が用紙Tを検出し、時間計測部841が第1時間とは異なる第2時間を計測した後、搬送ローラクラッチ部824を連結状態から非連結状態に切り替えることにより、用紙Tに所定の湾曲を形成するモードである。第2時間T2は、用紙Tがレジスト前センサ79により検出されてから、搬送ローラクラッチ部824を連結状態から非連結状態に切り替えるための搬送クラッチ制御信号を、湾曲形成制御部842が搬送ローラクラッチ部824に出力するまでの時間である(図5参照)。
【0082】
また、湾曲形成制御部842は、受け付け部830により受け付けられた用紙Tの枚数情報である印刷枚数が複数枚数であるとき、1枚目に搬送される用紙Tに所定の湾曲を形成させるように、第2制御モードによりレジストローラクラッチ部804及び搬送ローラクラッチ部824を制御することができる。また、湾曲形成制御部842は、2枚目以降に搬送される用紙Tに所定の湾曲を形成させるように、第1制御モードによりレジストローラクラッチ部804及び搬送ローラクラッチ部824を制御することができる。
【0083】
メモリ850は、パターン記憶テーブル851を有する。
パターン記憶テーブル851は、所定の湾曲を形成するのに要する時間(第1時間及び第2時間)に関する時間情報を記憶する。また、パターン記憶テーブル851は、厚さ及び/又は剛性の異なる用紙Tの種類に関する種類情報と、湾曲形成制御部842により所定の湾曲を形成するのに要する時間(第1時間及び第2時間)との組み合わせパターンをテーブルとして記憶する。
【0084】
具体的には、パターン記憶テーブル851には、レジストローラクラッチ部804を非連結状態から連結状態に切り替える時間(レジストクラッチ連結時間)及び搬送ローラクラッチ部824を連結状態から非連結状態に切り替える時間(搬送クラッチ非連結時間)に基づいて算出された所定の湾曲を形成するのに要する時間(第1時間及び第2時間)に関する時間情報が記憶される。
【0085】
例えば、搬送ローラクラッチ部824を連結状態から非連結状態に切り替える時間(搬送クラッチ非連結時間)が、レジストローラクラッチ部804を非連結状態から連結状態に切り替える時間(レジストクラッチ連結時間)よりも長い場合には、パターン記憶テーブル851には、第1時間よりも短い第2時間が記憶される。これにより、第1制御モード及び第2制御モードのいずれの場合においても、用紙Tを同じ量だけ湾曲させることができる。
パターン記憶テーブル851に記憶された組み合わせパターンは、受け付け部830により受け付けられた用紙Tの種類情報に従って選択される。
【0086】
次に、図1を参照して、本実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
【0087】
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
【0088】
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、搬送ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
【0089】
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。
【0090】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
【0091】
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0092】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
【0093】
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0094】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0095】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
【0096】
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
【0097】
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0098】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0099】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0100】
更に、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、感光体ドラム2と2次転写ローラ8との間に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が転写ローラ8に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0101】
次に、本実施形態のプリンタ1における特徴部分である制御部840の動作について説明する。
【0102】
図3Aは、本実施形態のプリンタ1において給紙カセット52からレジストローラ対80を経て1枚目の用紙Tが搬送される際の制御を示すフローチャートである。図3Bは、本実施形態のプリンタ1において給紙カセット52からレジストローラ対80を経て2枚目以降の用紙Tが搬送される際の制御を示すフローチャートである。また、図4は、制御部840による各動作のタイミングチャート、図5は、1枚目の用紙Tを搬送する際の詳細なタイミングチャート、図6は、2枚目以降の用紙Tを搬送する際の詳細なタイミングチャートである。
【0103】
プリンタ1の電源がONにされた後、ステップST1において、受け付け部830は、複数枚数の印刷の指示、印刷に使用する用紙Tの種類を含む画像形成情報を受け付ける。
湾曲形成制御部842は、受け付け部830が複数枚数の印刷の指示を受け付けているため、1枚目に搬送される用紙Tについては第2制御モードによる制御を行い、2枚目以降に搬送される用紙Tについては第1制御モードによる制御を行う。
また、制御部840は、受け付け部830が受け付けた前記画像形成情報に従い、メモリ850のパターン記憶テーブル851から、レジストクラッチ連結時間、搬送クラッチ非連結時間及び用紙Tの種類に応じたパラメータである第1時間T1及び第2時間T2を読み出し、湾曲形成制御部842に設定する。
【0104】
ここで、第2時間T2は、1枚目の用紙Tがレジスト前センサ79により検出されてから、搬送ローラクラッチ部824を連結状態から非連結状態に切り替えるための搬送クラッチ制御信号を搬送ローラクラッチ部824に出力するまでの時間である(図5参照)。また、第1時間T1は、2枚目以降の用紙Tがレジスト前センサ79により検出されてから、レジストローラクラッチ部804を非連結状態から連結状態に切り替えるためのレジストクラッチ制御信号をレジストローラクラッチ部804に出力するまでの時間である(図6参照)。第1時間T1と第2時間T2との関係の詳細については、後述する。
【0105】
次いで、転写工程に先立ち、1次給紙が開始される。1次給紙は、給紙カセット52又は手差し給紙部64に収容されている用紙Tがレジストローラ対80まで搬送される給紙をいう。この場合、制御部840は、図4及び図5に示すように、レジストローラ駆動部803を駆動させた状態で、レジストローラクラッチ部804をOFFとし、レジストローラ駆動部803とレジストローラ対80とを非連結状態に設定する。従って、レジストローラ対80は、停止状態となっている。一方、制御部840は、搬送ローラ駆動部823を駆動させた状態で、搬送ローラクラッチ部824をONとし、搬送ローラ駆動部823と搬送ローラクラッチ部824とを連結状態に設定する。従って、搬送ローラ対82は、駆動状態となっている。
【0106】
上記の状態において、例えば、給紙カセット52に収容されている1枚目の用紙Tが前送りコロ61により給紙ローラ対81に向けて送り出され、次いで、給紙ローラ対81が送り出された用紙Tを挟持し、第1搬送路L1を介して搬送ローラ対82に搬送する。
【0107】
ステップST2において、搬送ローラ対82は、給紙ローラ対81により送り出された1枚目の用紙Tを挟持し、レジストローラ対80に向けて搬送する。湾曲形成制御部842は、1枚目の用紙Tが搬送されるため、第2制御モードによる制御を行う。
【0108】
ステップST3において、搬送ローラ対82により搬送された用紙Tの先端がレジスト前センサ79により検出されると、時間計測部841が時間の計測を開始する。
ステップST4において、搬送ローラ対82による用紙Tの搬送速度を一定とした場合、時間計測部841による時間の計測が開始されてから一定の時間b(図5参照)が経過した後、用紙Tの先端は、レジストローラ対80に当接する。このとき、レジストローラ対80は、停止状態になっているため、時間bが経過した後、用紙Tが徐々に湾曲を開始し、スキュー補正が行われる。
【0109】
ステップST5において、用紙Tがレジスト前センサ79に検出されてから第2時間T2が経過した後、湾曲形成制御部842は、搬送ローラクラッチ部824にOFFの制御信号を出力する。
【0110】
ステップST6において、搬送ローラクラッチ部824は、OFFの制御信号を受信した後、搬送クラッチ非連結時間a2(図5参照)が経過した後にOFFとなり、搬送ローラ駆動部823と搬送ローラ対82とが非連結状態になる。次いで、時間c2(図5参照)が経過した後、搬送ローラ対82が停止し、用紙Tのレジストローラ対80への搬送が停止される。この結果、用紙Tは所定量だけ送り出され、搬送ローラ対82とレジストローラ対80との間において、用紙Tに所定の撓み量が付与される。
【0111】
ここで、OFFの制御信号を受信してから搬送ローラクラッチ部824が実際にOFFとなるまでの搬送クラッチ非連結時間a2は、使用する搬送ローラクラッチ部824の特性に依存した時間である。また、搬送ローラクラッチ部824がOFFになってから搬送ローラ対82が停止するまでの時間c2は、使用する搬送ローラ対82の慣性特性に依存した時間である。用紙Tの撓み量は、用紙Tの先端がレジストローラ対80に当接してから搬送ローラ対82が停止されるまでの撓み形成時間t2(図5参照)と、搬送ローラ対82による用紙Tの搬送速度とによって決定される。
【0112】
撓み形成時間t2は、第2時間T2及び時間a2、c2、bを用いて、次式で表される。
t2=T2+a2+c2−b
従って、用紙Tの種類に応じて調整された第2時間T2を設定することにより、用紙Tに一定の撓み量を付与することができる。
【0113】
搬送ローラ対82が停止され、1枚目の用紙Tが搬送ローラ対82とレジストローラ対80との間に待機する間、画像形成部GKを構成する感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面が帯電されたり定着部9が所定温度まで加熱される等の印刷の準備が行われる。
【0114】
印刷の準備が完了した後、ステップST7において、レジストローラクラッチ部804及び搬送ローラクラッチ部824がそれぞれONとなり、レジストローラ対80及び搬送ローラ対82が回転駆動される。1枚目の用紙Tを第2制御モードで制御することにより、湾曲が形成された用紙Tを搬送ローラ対82とレジストローラ対80との間に待機させることができるので、印刷準備が整った後すぐに用紙Tを画像形成部GKに搬送できる。この結果、1枚目の用紙Tが画像形成部GKへ向けて搬送され、トナー画像が用紙Tに転写される。
このように、1枚目の用紙Tを高速に画像形成部GKに搬送することができる。
【0115】
次に、ステップST8において、給紙カセット52に収容されている2枚目以降の用紙Tがレジストローラ対80に向けて搬送される。湾曲形成制御部842は、2枚目以降の用紙Tが搬送されるため、第1制御モードによる制御を行う。この場合、制御部840は、図4及び図6に示すように、1枚目の用紙Tがレジストローラ対80を通過した後、レジストローラクラッチ部804をOFFとし、レジストローラ対80を停止状態として2枚目以降の用紙Tを待機する状態となる。一方、搬送ローラクラッチ部824は、ONの状態のままであり、搬送ローラ対82が駆動状態を維持する。
【0116】
ステップST9において、搬送ローラ対82により搬送された2枚目以降の用紙Tの先端がレジスト前センサ79により検出されると、時間計測部841が時間の計測を開始する。
ステップST10において、時間計測部841による時間の計測が開始されてから、一定の時間b(図6参照)が経過した後、用紙Tの先端がレジストローラ対80に当接する。このとき、レジストローラ対80は、停止状態になっているため、時間bが経過した後、用紙Tが徐々に湾曲を開始し、スキュー補正が行われる。
【0117】
ステップST11において、用紙Tがレジスト前センサ79に検出されてから第1時間T1が経過した後、湾曲形成制御部842は、レジストローラクラッチ部804にONの制御信号を出力する。
【0118】
ステップST12において、レジストローラクラッチ部804は、ONの制御信号を受信した後、レジストクラッチ連結時間a1(図6参照)が経過した後にONとなり、レジストローラ駆動部803とレジストローラ対80とが連結状態になる。次いで、時間c1(図6参照)が経過してレジストローラ対80が所定の搬送速度に到達する。
この結果、2枚目以降の用紙Tは、1枚目の用紙Tが搬送される場合における用紙Tが送り出された同じ所定量だけ送り出される。
【0119】
ここで、ONの制御信号を受信してからレジストローラクラッチ部804が実際にONとなるまでのレジストクラッチ連結時間a1は、使用するレジストローラクラッチ部804の特性に依存した時間である。また、レジストローラクラッチ部804がONになってからレジストローラ対80が所定の搬送速度に到達するまでの時間c1は、使用するレジストローラ対80の慣性特性に依存した時間である。用紙Tの撓み量は、用紙Tの先端がレジストローラ対80に当接してからレジストローラ対80が所定の搬送速度に到達するまでの撓み形成時間t1(図6参照)と、搬送ローラ対82による用紙Tの搬送速度とによって決定される。
【0120】
ここで、第1制御モードにおけるレジストローラクラッチ部804がONになってからレジストローラ対80が所定の搬送速度に到達するまでの時間c1(図6参照)は、第2制御モードにおける搬送ローラクラッチ部824がOFFになってから搬送ローラ対82が停止するまでの時間c2(図5参照)よりも、ばらつきが大きい。
【0121】
特に、近年の画像形成プロセスの高速化に伴い、搬送ローラ対82による用紙の搬送速度が高速化されている。そのため、第2制御モードにおける搬送ローラ対82が停止されるまでの時間c2は、ばらつきやすい。これにより、搬送ローラ対82を停止させて用紙Tを湾曲させる第2制御モードにおいては、用紙Tの送り出し量がばらつきやすい。一方、第1制御モードにおけるレジストローラ対80が所定の搬送速度に到達するまでの時間c1は、ばらつきが少ない。
従って、第1制御モードは、レジストローラ対80を駆動させることにより用紙Tに湾曲を形成するため、第2制御モードよりも用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができる。また、第1制御モードは、用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができるため、用紙Tに湾曲が形成される際に生じる衝撃音のばらつきを抑制でき、周囲のユーザに与える不快感を抑制することができる。
【0122】
撓み形成時間t1は、第1時間T1及び時間a1、c1、bを用いて、次式で表される。
t1=T1+a1+c1−b
【0123】
ここで、慣性力により搬送ローラ対82が停止するのに要する時間c2(図5参照)と、慣性力に抗してレジストローラ対80が所定の搬送速度に到達するのに要する時間c1(図6参照)とが等しい場合には、1枚目の用紙Tの撓み形成時間t2と2枚目以降の用紙Tの撓み形成時間t1とが等しくなる。
つまり、c2=c1及びt2=t1とすることにより、次式の関係が得られる。
T1+a1=T2+a2
この式を考察すると、第1時間T1と第2時間T2との関係は、レジストクラッチ連結時間a1と搬送クラッチ非連結時間a2とに関係している。
本実施形態においては、搬送ローラクラッチ部824を連結状態から非連結状態に切り替える搬送クラッチ非連結時間a2が、レジストローラクラッチ部804を非連結状態から連結状態に切り替えるレジストクラッチ連結時間a1よりも長い(a2>a1)ため、第2時間T2を第1時間T1よりも短く設定する(T2<T1)。これにより、第1制御モードにおける第1時間T1及び第2制御モードにおける第2時間T2を設定することにより、各制御モードでの用紙Tの撓み量を同じにするように制御でき、用紙Tのスキュー補正を適正に行うことができる。
【0124】
ステップST13において、2枚目以降の用紙Tが画像形成部GKに向けて搬送され、1枚目の用紙Tと同様に、トナー画像が用紙Tに転写される。
【0125】
ステップST14において、画像形成部GKに向けて搬送された用紙Tの枚数が、受け付け部830により受け付けられた印刷指示された用紙Tの枚数に達した場合(YES)には、制御を終了する。画像形成部GKに向けて搬送された用紙Tの枚数が、受け付け部830により受け付けられた印刷指示された用紙Tの枚数に達していない場合(NO)には、ステップST8に戻る。
ステップST8からの2枚目以降の用紙Tに対する処理は、受け付け部830により印刷指示された用紙Tの枚数の処理が終了するまで継続される。
【0126】
本実施形態のプリンタ1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態のプリンタ1においては、レジストローラクラッチ部804が非連結状態であると共に搬送ローラクラッチ部824が連結状態である場合において、搬送ローラクラッチ部824を連結状態に維持すると共に、レジスト前センサ79により用紙Tが検出されてから所定時間後にレジストローラクラッチ部804を連結状態に切り替えることで、先端がレジストローラ対80に当接してから用紙Tを送り出す量を所定量にする第1制御モードを有する。
【0127】
そのため、第1制御モードは、レジストローラ対80を停止状態から駆動させることにより用紙Tに湾曲を形成する。第1制御モードにおけるレジストローラ対80が所定の搬送速度に到達するまでの時間c1は、ばらつきが少ない。
これにより、第1制御モードは、湾曲を形成させるための搬送ローラ対82による用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができる。また、第1制御モードは、用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができるため、用紙Tに湾曲が形成される際に生じる衝撃音のばらつきを抑制でき、周囲のユーザに与える不快感を抑制することができる。
【0128】
本実施形態のプリンタ1においては、画像形成部GKにより画像が形成される用紙Tの枚数に関する枚数情報を含む画像形成指示情報を受け付け可能な受け付け部830を更に備え、湾曲形成制御部842は、レジストローラクラッチ部804が非連結状態であると共に搬送ローラクラッチ部824が連結状態である場合において、レジスト前センサ79により用紙Tが検出されてから所定時間後に搬送ローラクラッチ部824を非連結状態に切り替えることで、先端がレジストローラ対80に当接してから用紙Tを送り出す量を所定量にする第2制御モードを更に有し、用紙Tの枚数が複数枚数であるとする枚数情報を含む画像形成指示情報を受け付け部が受け付けた場合、湾曲形成制御部842は、1枚目に搬送される用紙Tに所定の湾曲を形成させるよう第2制御モードによりレジストローラクラッチ部804及び搬送ローラクラッチ部824を制御し、2枚目以降に搬送される用紙Tに所定の湾曲を形成させるよう第1制御モードによりレジストローラクラッチ部804及び搬送ローラクラッチ部824を制御する。
【0129】
そのため、湾曲形成制御部842は、複数の用紙Tに画像を形成する場合、1枚目の用紙Tを画像形成部GKに送り出す際には第1制御モードにより湾曲形成制御を行い、2枚目以降の用紙Tを画像形成部GKに送り出す際には第2制御モードにより湾曲形成制御を行うことができる。これにより、1枚目の用紙Tについては、画像形成部GKに高速に搬送することができる。また、2枚目以降の用紙Tについては、湾曲を形成させるための搬送ローラ対82による用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができる。
【0130】
本実施形態のプリンタ1においては、第1制御モードは、レジスト前センサ79により用紙Tが検出されてから第1時間後にレジストローラクラッチ部804を連結状態に切り替えることで、先端がレジストローラ対80に当接してから用紙Tを送り出す量を所定量にし、第2制御モードは、レジスト前センサ79により用紙Tが検出されてから第1時間とは異なる第2時間後に搬送ローラクラッチ部824を非連結状態に切り替えることで、先端がレジストローラ対80に当接してから用紙Tを送り出す量を所定量にする。
【0131】
そのため、第1時間T1及び第2時間T2を調整して設定することにより、湾曲を形成させるための搬送ローラ対82による用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができる。これにより、各制御モードでの用紙Tの撓み量が同じになるように制御でき、用紙Tのスキュー補正を適正に行うことができる。
特に、画像形成プロセスの高速化に対応して、例えば、複数枚数の用紙Tに画像を形成する場合に、1枚目の用紙と2枚目以降の用紙とにおいて異なる制御により用紙Tに湾曲を形成させる場合においても、湾曲を形成させるための搬送ローラ対82による用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができる。
【0132】
本実施形態のプリンタ1においては、搬送ローラクラッチ部824を連結状態から非連結状態に切り替える搬送クラッチ非連結時間a2がレジストローラクラッチ部804を非連結状態から連結状態に切り替えるレジストクラッチ連結時間a1よりも長い場合、第2時間T2を第1時間T1よりも短く設定する。
【0133】
そのため、搬送ローラクラッチ部824及びレジストローラクラッチ部804の特性の差に影響されることなく、湾曲を形成させるための搬送ローラ対82による用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができる。従って、適正なスキュー補正を行うことができる。
【0134】
本実施形態のプリンタ1においては、受け付け部830は、厚さ及び/又は剛性の異なる複数の用紙Tの種類に関する種類情報を含む画像形成情報を受け付け可能であり、湾曲形成制御部842は、受け付け部830により受け付けられた画像形成指示情報に含まれる種類情報に基づいて、レジストローラクラッチ部804及び搬送ローラクラッチ部824を制御する。
そのため、用紙Tの種類によらず、湾曲を形成させるための搬送ローラ対82による用紙Tの送り出し量のばらつきを抑制することができる。従って、適正なスキュー補正を行うことができる。
【0135】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0136】
例えば、給紙カセット52からレジストローラ対80に供給される用紙Tの湾曲形成制御を行う場合だけではなく、手差し給紙部64からレジストローラ対80に供給される用紙Tの湾曲形成制御を行う場合にも適用することができる。
【0137】
また、前述の実施形態においては、湾曲形成制御部842は、複数枚数の用紙Tが印刷される場合における1枚目に搬送される用紙Tに所定の湾曲を形成する際に、第1制御モードによる制御を行うとしているが、これに制限されない。湾曲形成制御部842は、例えば、レジスト前センサ79が用紙Tを検知した時点で、画像形成部GK(感光体ドラム2a、2b、2c、2d、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4d、定着部9等)が画像形成のための準備の段階である場合に、第1制御モードによる制御を行うようにしてもよい。
【0138】
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
【0139】
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0140】
1……プリンタ(画像形成装置)、52……給紙カセット(収容部)、64……手差し給紙部(収容部)、79……用紙検出センサ、80……レジストローラ対、82……搬送ローラ対、801……レジスト駆動ローラ(第1駆動ローラ)、802……レジスト従動ローラ(第1対向ローラ)、803……レジストローラ駆動部、804……レジストローラクラッチ部、821……搬送駆動ローラ(第2駆動ローラ)、822……搬送従動ローラ(第2対向ローラ)、823……搬送ローラ駆動部、824……搬送ローラクラッチ部、842……湾曲形成制御部、GK……画像形成部、L……搬送路、T……用紙(被転写材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被転写材を収容する収容部と、
前記被転写材に画像を形成する画像形成部と、
前記収容部に収容された前記被転写材を前記画像形成部に搬送する搬送路と、
前記搬送路に配置され、第1駆動ローラと前記第1駆動ローラに近接又は当接して対向配置される第1対向ローラとを有すると共に、前記被転写材を前記画像形成部に送り出すレジストローラ対と、
前記搬送路における前記レジストローラ対の前記収容部側に配置され、第2駆動ローラと前記第2駆動ローラに近接又は当接して対向配置される第2対向ローラとを有すると共に、前記被転写材を前記レジストローラ対に送り出す搬送ローラ対と、
レジストローラ駆動部と、前記レジストローラ駆動部からの回転駆動力を前記レジストローラ対の前記第1駆動ローラに伝達可能な連結状態、又は前記回転駆動力を前記第1駆動ローラに伝達しない非連結状態に状態を切り替え可能なレジストローラクラッチ部と、を有するレジストローラ駆動機構と、
搬送ローラ駆動部と、前記搬送ローラ駆動部からの回転駆動力を前記搬送ローラ対の前記第2駆動ローラに伝達可能な連結状態、又は前記回転駆動力を前記第2駆動ローラに伝達しない非連結状態に状態を切り替え可能な搬送ローラクラッチ部と、を有する搬送ローラ駆動機構と、
前記レジストローラ対に搬入される前記被転写材を検出するセンサと、
停止した前記レジストローラ対に前記被転写材の先端を当接させると共に、所定量だけ前記被転写材を送り出して該被転写材に所定の湾曲を形成させるよう前記レジストローラクラッチ部と前記搬送ローラクラッチ部とを制御する湾曲形成制御部であって、
前記レジストローラクラッチ部が非連結状態であると共に前記搬送ローラクラッチ部が連結状態である場合において、前記搬送ローラクラッチ部を連結状態に維持すると共に、前記センサにより前記被転写材が検出されてから所定時間後に前記レジストローラクラッチ部を連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を所定量にする第1制御モードを有する湾曲形成制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部により画像が形成される前記被転写材の枚数に関する枚数情報を含む画像形成指示情報を受け付け可能な受け付け部を更に備え、
前記湾曲形成制御部は、前記レジストローラクラッチ部が非連結状態であると共に前記搬送ローラクラッチ部が連結状態である場合において、前記センサにより前記被転写材が検出されてから所定時間後に前記搬送ローラクラッチ部を非連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を前記所定量にする第2制御モードを更に有し、
前記被転写材の枚数が複数枚数であるとする枚数情報を含む画像形成指示情報を前記受け付け部が受け付けた場合、前記湾曲形成制御部は、1枚目に搬送される前記被転写材に前記所定の湾曲を形成させるよう前記第2制御モードにより前記レジストローラクラッチ部及び前記搬送ローラクラッチ部を制御し、2枚目以降に搬送される前記被転写材に前記所定の湾曲を形成させるよう第1制御モードにより前記レジストローラクラッチ部及び前記搬送ローラクラッチ部を制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1制御モードは、前記センサにより前記被転写材が検出されてから第1時間後に前記レジストローラクラッチ部を連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を前記所定量にし、
前記第2制御モードは、前記センサにより前記被転写材が検出されてから前記第1時間とは異なる第2時間後に前記搬送ローラクラッチ部を非連結状態に切り替えることで、前記先端が前記レジストローラ対に当接してから前記被転写材を送り出す量を前記所定量にする
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送ローラクラッチ部を連結状態から非連結状態に切り替える時間である搬送クラッチ非連結時間が前記レジストローラクラッチ部を非連結状態から連結状態に切り替える時間であるレジストクラッチ連結時間よりも長い場合には、前記第2時間は、前記第1時間よりも短い
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記受け付け部は、厚さ及び/又は剛性の異なる複数の前記被転写材の種類に関する種類情報を含む画像形成情報を受け付け可能であり、
前記湾曲形成制御部は、前記受け付け部により受け付けられた画像形成指示情報に含まれる前記種類情報に基づいて、前記レジストローラクラッチ部及び前記搬送ローラクラッチ部を制御する
請求項2から4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−152976(P2011−152976A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15028(P2010−15028)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】