説明

画像形成装置

【課題】設置時に、別途に用意した設置板を設置場所に敷いておいてその上に装置本体を移動させ、アジャスタによる設置を行うとの手順を簡略化できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】キャスタ3と、アジャスタ機能とを有する画像形成装置1の装置本体2において、設置板5は複数の調整ボルト4とネジ止めや溶接により一体的に締結されている。これにより設置板5及び調整ボルト4の回転が抑止されている。装置本体2の底部を構成するベース7は箱型の構造となっている。ベース7の内部にはナット状の部材6が設けてある。調整ボルト4はナット状の部材6を介してベース7と連結されている。ナット状の部材6を回転させることで設置板5と調整ボルト4は一体で上下に可動し、装置本体2が設置板5を持つことで、設置時に別途に設置板を用意する必要がなく容易に設置板を設け得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの機能を複合した複合機等の画像形成装置に関し、詳細には床置式のタイプのものでキャスタ及びアジャスタについて改良した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
床置式の画像形成装置であって比較的大型のものにおいては、これを所定位置に設置するために移動用のキャスタを設けることは多くの場合に必須であり、また設置後に移動してしまうことを防止するため及び装置本体の水平設置状態を確保するために、固定用のアジャスタを併設することが一般的に行われている。
【0003】
したがって、新規に画像形成装置の装置本体を所定位置に設置する場合、移動用のキャスタにより希望する設置場所まで装置本体を移動させた後、装置本体下部に設けられたアジャスタの高さを調整し、設置場所の床面に対してアジャスタを当接させて装置本体の設置固定を行うようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この装置本体の設置作業において、アジャスタ単体での設置固定を行った場合、装置本体の自重による床の沈みによって装置本体の平衡性が失われ、装置本体の変形や結果として安定した画像の供給に不具合が生じることがある。また、アジャスタにより設置場所の床面が傷付くといった事例が確認されている。
【0005】
そのため、装置本体とは別体の設置板をあらかじめ用意して設置場所の設置予定位置に敷いておき、設置板の上でアジャスタによる装置本体の設置固定をすることで、アジャスタの床面に対する圧を分散させてやるといったことが広く行われている。このような設置手順を必要とすることは、装置本体の設置に多くの作業手順を要することである、という問題があった。
【0006】
そこで本発明は、画像形成装置の設置時に、別途に用意した設置板を設置場所に敷いておき、設置板の上に装置本体を移動し、アジャスタによる設置を行うといった手順を簡略化できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、装置本体を移動させるためのキャスタと、前記装置本体の設置時に、高さ調整、固定等の作業を行うためのアジャスタを有する画像形成装置において、
前記装置本体の底面に該装置本体と2ヵ所以上で保持されている設置板を1つ以上備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置は、前記設置板が、前記キャスタの稼動域に該キャスタが動き得るようにするための開口部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記設置板が、該設置板を移動操作するための調整機構を一体に備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置は、前記調整機構がボルト形状を有することを特徴とする
【0011】
本発明の画像形成装置は、前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の内部に備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の上部に備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の下部に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置の設置時に、アジャスタの床面に対する圧を分散させてやるために、別途に用意した設置板を設置場所に敷いておき、設置板の上に装置本体を移動し、アジャスタによる設置を行うといった手順を簡略化することができる。
【0015】
また本発明は、装置本体が設置板を持つことで、設置時に別途に設置板を用意し、あらかじめ設置場所の所定位置に敷いておく必要がなく、容易に設置板を設けることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施対象とする画像形成装置の一例の模式的側面図
【図2】図1に示した画像形成装置の設置状態の模式的側面図
【図3】図1に示した画像形成装置の底面図
【図4】設置板の取り付け構造を一部破断して示す図
【図5】本発明の実施例2である画像形成装置の設置板の取り付け構造を示す図
【図6】本発明の実施例3である画像形成装置の設置板の取り付け構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、装置本体を移動させるためのキャスタと、装置本体の、高さ調整、固定等の作業を行うためのアジャスタを有する画像形成装置において、装置本体が設置板を備え、設置時に別途に設置板を用意し、あらかじめ設置場所の所定位置に敷いておく必要がなく、容易に設置板を設け得るようにする。
【0018】
前記設置板が、前記キャスタの稼動域に該キャスタが動き得るようにするための開口部を備え、設置板がキャスタの動きを阻害することなく装置本体を移動させることを可能とし、また、キャスタの位置にかかわらず調整機構により設置板を調整することを可能とする。
【0019】
前記設置板が、該設置板を移動操作するための調整機構を一体に備え、設置板を複数備えるようにしても設置板それぞれに設けた調整機構を操作することにより複数の箇所で同時に設置板を、例えば上下方向に、動かせるようにする。
【0020】
前記調整機構がボルト形状を有し、このボルト形状の調整機構を回転させる操作を行うことにより設置板を容易に動かせるようにする。
【0021】
前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の内部に備え、別途に取り付け部材を必要とせずに調整機構を設け得るようにする。
【0022】
前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の上部に備え、調整機構の操作を上方から行えるようにして作業性が良好となるようにしてする。
【0023】
前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の下部に備え、装置本体を持ち上げる際に調整機構の強度をベースに持たせることを可能とする。
【実施例】
【0024】
<実施例1>
図1は、本発明の実施対象とする画像形成装置の一例の模式的側面図である。
図示の装置は、キャスタ3と、アジャスタ機能とを有する画像形成装置1の装置本体2において、設置板5は複数の調整ボルト4とネジ止めや溶接により一体的に締結されており、これにより設置板5及び、調整ボルト4の回転が抑止されている。
【0025】
また、装置本体2の底部を構成するベース7は箱型の構造となっており、ベース7の内部にはナット状の部材6が設けられている。調整ボルト4はナット状の部材6を介してベース7と連結されている。そのため、ナット状の部材6を回転させることにより設置板5と調整ボルト4は一体で上下に可動する。従って、装置本体が設置板を持つことにより、設置時に別途に設置板を用意する必要がなく容易に設置板を設けることができる。
【0026】
図2は、図1に示した画像形成装置の設置状態の模式的側面図である。
設置状態において、ナット状の部材6を回転させることにより調整ボルト4と一体となる設置板5はキャスタ3よりも低い位置にあり、キャスタ3は床面と接していない状態となっている。これにより、画像形成装置1の荷重による圧は設置板5を介して設置場所の床面に分散して伝えられる。そのため、床の沈みが起こらず、装置本体2は高い平衡性を得ることができる。また同時に、アジャスタ機能による床面への傷も防止することができる。
【0027】
図3は、図1に示した画像形成装置の底面図である。
設置板5にはキャスタ3の可動域を避けるための開口部5aが設けられている。これにより、設置板5がキャスタ3の動きを阻害することなく装置本体を移動させることができる。また、キャスタ3の位置にかかわらず調整ボルト4により設置板5を上下に可動させることができるため、設置時の作業性が良好となる。
【0028】
図4は、設置板の取り付け構造を一部破断して示す図である。設置板5は調整ボルト4とネジ止めや溶接により一体的に締結されている。装置本体2の底部を構成するベース7は箱型の構造となっており、ベース内部にはナット状の部材6が設けられている。調整ボルト4はナット状の部材6を介してベース7と連結されている。
【0029】
そのため、ナット状の部材6を回転させることにより設置板5と調整ボルト4は一体で上下に可動する。また、ナット状の部材6はベース7に対しフリーとなっており、図1の状態においてはナット状の部材6はベース7の下面と接触した状態で回転し、調整ボルト4及び設置板5を可動させる。また図2の状態においてはナット状の部材6はベース7の上面と接触した状態で回転し、ベース7を介して装置本体2を持ち上げる。このように、装置本体2を設置板5の面全体で接地させることができるため、設置場所の床面に対して、調整ボルト4の圧を分散させて設置することできる。
【0030】
<実施例2>
図5は、本発明の実施例2である画像形成装置の設置板の取り付け構造を示す図である。 ベース7の上部には取り付け部材8がネジ止めや溶接により一体的に連結されている。ナット状の部材6はベース7と取り付け部材8の内部に設けられているため、第一実施形態の構成と同様に設置板5の高さ調整を行うことが出来る。第一実施形態においては、調整作業をベース部材の位置で行ったが、本実施形態においては、これを装置底面のベース部材の上方から行うことが可能となり、とりわけ作業性が良好となる。
【0031】
<実施例3>
図6は、本発明の実施例3である画像形成装置の設置板の取り付け構造を示す図である。 ベース7の下部には取り付け部材8がネジ止めや溶接により一体的に連結されている。ナット状の部材6はベース7と取り付け部材8の内部に設けられているため、実施例1の構成と同様に設置板5の高さ調整を行うことが出来る。なお実施例1においては、調整作業をベース部材の位置で行ったが、本実施形態においては、これを装置底面のベース部材の下方から行うことで、調整機構の強度をベースに持たせることが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1:画像形成装置
2:装置本体
3:キャスタ
4:調整ボルト
5:設置板
5a:設置板の開口部
6:ナット状の部材
7:ベース
8:取り付け部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2002−190675号公報
【特許文献2】特開平07−231079号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体を移動させるためのキャスタと、前記装置本体の設置時に、高さ調整、固定等の作業を行うためのアジャスタを有する画像形成装置において、
前記装置本体の底面に該装置本体と2ヵ所以上で保持されている設置板を1つ以上備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記設置板が、前記キャスタの稼動域に該キャスタが動き得るようにするための開口部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記設置板が、該設置板を移動操作するための調整機構を一体に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記調整機構がボルト形状を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の内部に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の上部に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記調整機構を前記装置本体下面のベース部材の下部に備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−170268(P2011−170268A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36303(P2010−36303)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】