説明

画像形成装置

【課題】着脱可能なユニットの小型化や着脱操作性の向上等を図れる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体の表面に付着した異物を除去するクリーニング手段と、当該クリーニング手段を収容する筐体30と、クリーニング手段で除去した異物を筐体30外に排出する排出口34を有する排出部33を有し、画像形成装置本体に対して上下方向に着脱可能に構成されたユニット1を備える。排出部33を筐体30内に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、感光体及びそれに作用するプロセス手段を一体的にユニット化して、そのユニットを画像形成装置本体に着脱可能に構成したプロセスユニット方式が採用されている。この方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずにユーザー自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることが可能である。そのため、この方式は画像形成装置に広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、感光体、帯電手段、現像手段、クリーニング手段等を、ユニットの筐体内に収容し、その筐体を画像形成装置本体に対して上下方向に着脱可能に構成した画像形成装置が開示されている。また、このユニットの筐体には、クリーニング手段によって感光体から除去された残留トナー等を筐体外に排出するための排出口が設けられており、排出口から排出されたトナーは、画像形成装置内に設けた廃トナー収容器内に回収されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の画像形成装置は、排出口を設けた部分がユニットの筐体の側面から突出しているため、ユニットの幅が大きくなり、昨今の画像形成装置の小型化に対応しにくいと言った欠点がある。
【0005】
また、図11に示すように、ユニットの筐体300に突出した部分(排出口を有する排出部)400がある構成では、筐体300を画像形成装置本体に装着した状態で、その突出した部分400や廃トナー収容器500を側壁200に配設することを強いられる場合がある。この場合、側壁200への部品の設置スペースが制限されるため、筐体300内に設けた現像ローラや帯電ローラにバイアスを印加するための高圧基板や、特定のユニットを識別するための識別子、メモリチップ等の部材を、側壁200の現像ローラや帯電ローラ等に近い位置に配設するのが困難となる。その結果、高圧基板等の部品を現像ローラや帯電ローラ等の電気接点から離れた位置に配設しなければならなくなり、それらを接続する通電部材の這い回しが必要になって、構造が複雑化してコストの増大となる問題がある。
【0006】
また、排出口がユニットから突出した部分に設けられていると、ユニットの着脱時などにユーザー等が誤って排出口に触れやすくなるため、排出口からトナーが飛散又は落下したり、トナーが手に付着したりするといった問題もある。さらに、ユニットから突出した部分があることで、ユニットの着脱時の操作性が低下したり、ユニット装着時にユニットから突出した部分を位置決めのための凸部と勘違いして、ユニットを誤装着したりする虞もある。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、着脱可能なユニットの小型化や着脱操作性の向上等を図れる画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体の表面に付着した異物を除去するクリーニング手段と、当該クリーニング手段を収容する筐体と、前記クリーニング手段で除去した異物を前記筐体外に排出する排出口を有する排出部を有し、画像形成装置本体に対して上下方向に着脱可能に構成されたユニットを備えた画像形成装置において、前記排出部を前記筐体内に配設したものである。
【0009】
排出部をユニットの筐体内に配設していることにより、ユニットの幅を小さくすることができ、装置の小型化を図ることができる。また、排出部が筐体から突出していないので、画像形成装置本体の側壁への設置スペースが排出部によって占有されることがない。これにより、ユニットに設けた各種装置の機能を発揮させるのに必要な部品等を、側壁のユニットに近い位置に配設することができるようになり、装置の小型化及び低コスト化に寄与できる。
【0010】
また、排出部が筐体から突出していないので、ユニットの着脱操作の操作性が向上すると共に、ユニット着脱時にユーザー等が排出口に触れにくくなるため、異物が手に付着したり、排出口から異物が飛散したりするのを抑制できる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記排出口を前記筐体の下面に設けたものである。
【0012】
ユニットを上下方向に着脱する構成では、ユニットの着脱作業において、ユーザー等は筐体の上面及び側面を把持しやすいため、筐体の下面には触れにくい。その触れにくい筐体の下面に排出口を設けることにより、ユーザー等が排出口に一層触れにくくなる。これにより、異物が手に付着したり、排出口から異物が飛散したりするのをより確実に抑制できるようになる。また、排出口を筐体の下面に設けていることにより、排出口から異物を重力によって落下させて排出することができるので、異物を排出するための機構を簡素化できる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記排出部の下方に、前記排出口から排出された異物を回収する回収部を配設したものである。
【0014】
回収部を排出部の下方に配設することにより、側壁への設置スペースが回収部によって占有されることがないので、その側壁の空いたスペースに、ユニット内の各種装置の機能を発揮させるのに必要な部品等を配設することが可能となる。これにより、部品等を側壁のユニットに近い位置に配設することができるようになり、装置の小型化及び低コスト化を図れる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記ユニットを着脱可能に支持する前記画像形成装置本体の支持フレームを、前記ユニットと前記回収部の間に介在するように配設し、当該支持フレームの前記ユニットと前記回収部の間に介在する部分に、前記排出口から前記回収部へ異物を誘導する孔部を形成したものである。
【0016】
ユニットを支持する支持フレームに、排出口から回収部へ異物を誘導する孔部を形成しているので、排出口と孔部の位置合わせを精度良く行うことができる。これにより、排出口から排出された異物を、孔部を介して回収部へ確実に案内することができるようになる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置おいて、前記排出口に開閉可能なシャッター部材を設けたものである。
【0018】
排出口に開閉可能なシャッター部材を設けることにより、異物が排出口から不測に漏出するのを防止できる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項5に記載の画像形成装置おいて、前記画像形成装置本体に、前記ユニットの装着動作に伴って前記シャッター部材に当接して前記排出口を開放する突起部を設けたものである。
【0020】
ユニットの装着動作に伴って排出口を開放することができるので、操作性に優れたものとなる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項6に記載の画像形成装置おいて、前記突起部と前記シャッター部材との当接が、前記ユニットの装着動作が完了する直前に行われるように構成したものである。
【0022】
突起部とシャッター部材との当接が、ユニットの装着動作が完了する直前に行われるようにすることで、ユニットが装着され位置決めされる直前にシャッター部材を開放することができる。これにより、シャッター部材が開放されたとき、排出口は異物を導入する入口部等に対向した所定の位置に配置されるので、開放された排出口から異物が落下しても、その異物が周辺部材に付着するのを防止できる。
【0023】
請求項8の発明は、請求項6又は7に記載の画像形成装置おいて、前記突起部を前記ユニットの着脱方向に突出させたものである。
【0024】
突起部をユニットの着脱方向に突出させることにより、ユニットの着脱時に突起部とシャッター部材との当接及びその解除を行いやすくなり、スムースにシャッター部材を開閉することができるようになる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記ユニットを複数有し、各ユニットから排出される異物を集約して回収部に搬送する集約搬送部を設けた構成において、各ユニットが有する前記排出口をユニットの同じ側の端部に配設したものである。
【0026】
各ユニットが有する排出口をユニットの同じ側の端部に配設することによって、集約搬送路の構成を簡素化することができる。
【0027】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記ユニットが、前記潜像担持体と、前記クリーニング手段とを有し、それらを画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したものである。
【0028】
潜像担持体と、クリーニング手段とを有するユニットに、本発明の構成を適用可能である。
【0029】
請求項11の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、前記ユニットが、前記潜像担持体と、前記クリーニング手段と、前記潜像担持体上の潜像を顕像化する現像手段と、前記潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段とを一体的に有し、それらを画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したものである。
【0030】
潜像担持体と、クリーニング手段と、現像手段と、帯電手段とを有するユニットに、本発明の構成を適用可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、排出部をユニットの筐体内に配設していることにより、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、排出部が筐体から突出していないので、ユニットの着脱操作の操作性が向上すると共に、ユーザー等が排出口に不用意に触れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】前記画像形成装置に搭載したプロセスユニットを、長手方向と平行な方向に切断した断面図である。
【図3】前記画像形成装置の外観斜視図である。
【図4】前記画像形成装置の内部構造を示す斜視図である。
【図5】前記プロセスユニットを画像形成装置本体に装着した状態を示す断面図である。
【図6】前記プロセスユニットの側面カバーを取り外して内部を露出させた状態の側面図である。
【図7】前記プロセスユニットの側面カバーを取り外して内部を露出させた状態の側面図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置のさらに別の実施形態を示す図である。
【図10】前記プロセスユニットの幅と、画像形成装置本体の両側壁間の幅の寸法を説明するための図である。
【図11】従来のプロセスユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0034】
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置100は、作像に用いる各種プロセス手段を一体的にユニット化した4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。なお、以下の説明及び添付の図面において、各色のプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの色の識別を示す符号Y,C,M,Bkを、便宜的に省略している箇所がある。
【0035】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、それぞれ、筐体30を有し、各筐体30内に、潜像を担持する潜像担持体としての感光体ドラム2と、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体ドラム2上の潜像を顕像化する現像手段としての現像ローラ4と、感光体ドラム2の表面に付着したトナー等の異物を除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード5と、クリーニングブレード5で除去した異物を図1の紙面に直交する方向へ搬送する搬送手段としての搬送コイル23等が収容されている。また、搬送コイル23以外に、搬送スクリューやその他の搬送手段を用いてもよい。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像ローラ4、クリーニングブレード5及び搬送コイル23のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkについては符号を省略している。
【0036】
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体ドラム2の表面を露光する露光手段としての露光装置6が配設されている。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、駆動ローラ9と、従動ローラ10と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11と、これらのローラ9,10,11に掛け渡された無端状の中間転写ベルト8を有する。駆動ローラ9が図示しない駆動源からの駆動力を受けて図の反時計回りに回転することにより、中間転写ベルト8は図の矢印の方向に回転(周回走行)するようになっている。
【0037】
4つの一次転写ローラ11は、それぞれ感光体ドラム2に対向した位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8が押圧された部分と各感光体ドラム2とが接触する箇所において一次転写ニップが形成されている。また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
【0038】
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入口部に接続されている。
【0039】
画像形成装置本体の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙トレイ15や、給紙トレイ15から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ16等が設けてある。一方、画像形成装置本体の上部には、記録用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0040】
また、画像形成装置本体内には、下部の給紙トレイ15から上部の排紙トレイ18へ記録用紙を案内するための搬送路Rが形成されている。この搬送路Rにおいて、給紙ローラ16から二次転写ローラ12に至る途中には、一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12から排紙ローラ17に至る途中に、記録用紙上の画像を定着させるための定着装置20を配設している。この定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21を加圧する加圧部材としての加圧ローラ22等を有する。定着ローラ21と加圧ローラ22とが互いに圧接した箇所には定着ニップが形成されている。
【0041】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体ドラム2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体ドラム2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体ドラム2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体ドラム2の表面に潜像(静電潜像)が形成される。このとき、各感光体ドラム2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体ドラム2上に形成された潜像に、各現像ローラ4によってトナーが供給されることにより、潜像はトナー画像(顕像)として可視像化される。
【0042】
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、図示しないバイアス電源から各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体ドラム2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体ドラム2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0043】
トナー画像が転写された後の各感光体ドラム2の表面に付着する残留トナー等の異物は、クリーニングブレード5によって除去された後、除去された異物は搬送コイル23によって搬送され、図示しない回収部へ回収される。次いで、異物が除去された感光体ドラム2の表面は、図示しない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0044】
また、画像形成装置の下部では、給紙ローラ16が回転駆動することによって、給紙トレイ15に収容された記録用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12とそれに対向する駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、図示しないバイアス電源から中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。トナー画像が転写された記録用紙Pは定着手段20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって記録用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。そして、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排出ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0045】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0046】
図2は、各色のプロセスユニット1を、長手方向と平行な方向に切断した断面図である。
図2に示すように、上記搬送コイル23は筐体30の下部に配設されている。この搬送コイル23が回転することにより、トナー等の異物は図の矢印Xの方向に搬送されるようになっている。言い換えれば、この場合、異物は感光体ドラムへの画像書込方向である主走査方向と同一方向へ搬送されるようになっている。搬送コイル23によって異物を搬送する搬送方向Xの下流端には、当該異物を筐体30外に排出するための排出部33が設けてある。排出部33は、筐体30の下面に形成された排出口34を有し、異物はその排出口34から図の矢印Yの方向へ排出されるようになっている。
【0047】
また、図2に示すように、本発明に係るプロセスユニット1においては、排出部33が筐体30内に配設されている。すなわち、排出部33は、筐体30の外表面から、幅方向(図2の横方向)、前後方向(図2の紙面と直交する方向)、及び上下方向に突出しないように配設されている。
【0048】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置100の外観斜視図である。
図3に示すように、画像形成装置100は、上面部24が開放可能に構成されており、各色のプロセスユニット1は、上面部24を開放した箇所から画像形成装置本体99に対し上下方向に着脱可能に構成されている。各プロセスユニット1の筐体30の両側面には、それぞれ位置決め用の2つのボス(凸部)31,32が上下に並設してある。一方、画像形成装置本体99の両側壁44に設けた支持フレーム40には、上下方向に伸びたガイド溝41が形成されている。プロセスユニット1を画像形成装置本体99内に装着する場合は、ボス31,32がガイド溝41に沿って上方から下方へ案内されることにより、プロセスユニット1が所定の位置へ配置されるようになっている。そして、下側のボス32がガイド溝41の下端に当接することにより、プロセスユニット1が支持フレーム40によって支持される。
【0049】
図4は、画像形成装置100の内部構造を示す斜視図である。
図4に示すように、画像形成装置本体99に装着した各色のプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、上記排出口34から排出された異物を回収する回収部42が配設されている。また、回収部42の上部には異物を導入するための入口部46が形成されており、排出口34から落下して排出された異物は入口部46を通って回収部42内に回収されるようになっている。
【0050】
図5は、プロセスユニット1を画像形成装置本体99に装着した状態を示す断面図である。
図5に示すように、画像形成装置本体99の側壁44には、プロセスユニット1内に設けた現像ローラや帯電ローラにバイアスを印加するための高圧基板43が配設されている。また、この高圧基板43と現像ローラ及び帯電ローラは、プロセスユニット1を装着した状態で、図示しない電気的接点や通電部材等を介して電気的に接続可能となっている。
【0051】
図6は、プロセスユニット1の側面カバーを取り外して内部を露出させた状態の側面図である。
図6に示すように、排出部33の外周には、排出口34を開閉するためのシャッター部材35が設けられている。シャッター部材35は、排出部33に回転可能に外嵌された円筒状の本体部35aを有する。本体部35aには、開口部35bと凸部35cが設けられている。一方、画像形成装置本体99には、シャッター部材35の凸部35cに当接可能な突起部47が設けられている。また、図6に示すように、プロセスユニット1の装着を完了する前の状態、すなわち、画像形成装置本体99側の突起部47がシャッター部材35の凸部35cに当接しない状態では、凸部35cが所定の位置に保持されるようになっている。具体的には、シャッター部材35を図の反時計回りに付勢するバネ等の図示しない付勢手段と、その反時計回りの回転を規制して凸部35cを図6に示す位置で保持するストッパーが設けられている。
【0052】
図6及び図7を参照して、上記シャッター部材35の開閉動作について説明する。
図6に示すプロセスユニット1の装着を完了する前の状態では、シャッター部材35の開口部35bは排出口34と異なる位置に配置されており、排出口34はシャッター部材35によって閉塞された状態となっている。そして、図7に示すように、プロセスユニット1を上方から挿入し、シャッター部材35の凸部35cが突起部47に当接して押し上げられると、シャッター部材35が図示しない付勢手段の付勢力に抗して図の時計回りに回転する。この回転に伴い、シャッター部材35の開口部35bも図の時計回りに移動する。そして、プロセスユニット1の装着が完了した状態で、開口部35bは排出口34の位置に配置され、排出口34が開放された状態となる。
【0053】
また、プロセスユニット1を画像形成装置本体99から取り外す場合は、プロセスユニット1を上方に持ち上げることにより、シャッター部材35の凸部35cに対する突起部47の当接が解除され、シャッター部材35が図示しない付勢手段の付勢力によって図7の反時計回りに回転する。これにより、シャッター部材35の開口部35bが排出口34と異なる位置(図6に示す位置)に移動し、排出口34がシャッター部材35によって閉塞される。
【0054】
図8は、本発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す図である。
図8に示す実施形態では、画像形成装置本体99の側壁44に設けた支持フレーム40を屈曲して形成することで、プロセスユニット1と回収部42との間に支持フレーム40の一部を介在させるようにしている。本実施形態に係る支持フレーム40は、プロセスユニット1の側面に対向して配設された上部縦フレーム40aと、プロセスユニット1と回収部42との間に介在する中部横フレーム40bと、回収部42の側面に対向して配設された下部縦フレーム40cとを一体的に有する。上部縦フレーム40aには、装着時にプロセスユニット1を案内するための上記ガイド溝41(図示省略)が設けられている。中部横フレーム40bには、プロセスユニット1に設けた排出口34と、回収部42に設けた上記入口部46(図示省略)に対向した孔部45が形成されており、この孔部45を通過させて排出口34から回収部42へ異物を誘導するようになっている。下部縦フレーム40cは、回収部42や中間転写ベルトを張架するローラ等を支持している。また、本実施形態においても、側壁44内に現像ローラや帯電ローラにバイアスを印加するための高圧基板43が配設されている。また、その他の構成は、上記図1〜図7に示す実施形態と同様となっている。
【0055】
また、図8に示す実施形態において、側壁44を開閉可能に構成し、回収部42をフレーム40に対して着脱可能に構成してもよい。特に、本実施形態では、回収部42がフレーム40の外側(図8において左側)に配設されているので、側壁44を開放することにより回収部42を側方に取り出しやすい構成となっている。
【0056】
また、図9は、本発明に係る画像形成装置のさらに別の実施形態を示す図である。
図9に示す実施形態では、上記実施形態と異なり、各色のプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方に、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkから排出される異物を集約して搬送する集約搬送部50が配設されている。集約搬送部50は、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの排出口(図示省略)に対向する位置に入口部51を有しており、各入口部51から導入された異物は集約搬送部50内に配設した搬送手段としての搬送コイル52によって集約されて搬送されるようになっている。また、集約搬送部50の搬送方向下流端には、異物を回収するための回収部53を配設している。このように、集約搬送部50を設けた構成においては、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkが有する排出口を、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの同じ側の端部に配設することによって、集約搬送路50の構成を簡素化することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。上記本発明の実施形態に係るプロセスユニット1は、感光体ドラム2と、帯電ローラ3と、現像ローラ4と、クリーニングブレード5等を筐体30内に一体的に収容しているが、プロセスユニット1は、少なくともクリーニングブレード5等のクリーニング手段を有しているものであってもよい。また、本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【0058】
以上のように、本発明では、排出部33をプロセスユニット1の筐体30内に配設しているので、従来(図11に示すプロセスユニット)に比べ、図10に示すプロセスユニット1の幅(最大幅)W1を小さくすることができる。これにより、図10に示す画像形成装置本体99の両側壁44間の幅W2も小さくすることができ、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0059】
また、排出部33が筐体30から突出していないので、画像形成装置本体99の側壁44への設置スペースが排出部33によって占有されることがない。さらに、図5又は図8に示すように、突出しない排出部33の下方に回収部42を配設することで、側壁44内のスペースが回収部42によって占有されることもない。このように、本発明によれば、側壁44への設置スペースを確保することができるので、現像ローラや帯電ローラにバイアスを印加するための高圧基板43を、側壁44のプロセスユニット1に近い位置に配設することができるようになる。これにより、高圧基板43と現像ローラや帯電ローラを電気的に接続するための配線構造等を簡素化することができ、装置の小型化及び低コスト化に寄与できる。また、同様に、特定のプロセスユニットを識別するための識別子やメモリチップ、その他のプロセスユニット1に設けた各種装置の機能を発揮させるのに必要な部品等を、側壁44に配設することも可能である。
【0060】
また、排出部33が突出していないので、プロセスユニット1の誤装着が生じにくく着脱操作の操作性が向上すると共に、ユニット着脱時にユーザー等が排出口34に触れにくくなるため、異物が手に付着したり、排出口34から異物が飛散したりするのを抑制できる。
【0061】
また、プロセスユニット1を上下方向に着脱する構成では、プロセスユニット1の着脱作業において、ユーザー等は筐体30の上面及び側面を把持しやすいため、筐体30の下面には触れにくい。その触れにくい筐体30の下面に排出口34を設けることにより、ユーザー等が排出口に一層触れにくくなる。これにより、異物が手に付着したり、排出口34から異物が飛散したりするのをより確実に抑制できるようになる。また、排出口34を筐体30の下面に設けていることにより、排出口34から異物を重力によって落下させて排出することができるので、異物を排出するための機構を簡素化できる。
【0062】
また、上記図6と図7に示すように、排出口34に開閉可能なシャッター部材35を設けることにより、トナー等が排出口34から不測に漏出するのを防止できる。また、画像形成装置本体側にシャッター部材35の開閉操作するための突起部47を設けることで、プロセスユニット1の着脱動作に伴ってシャッター部材35を開閉することができるようになり、操作性に優れたものとなる。また、突起部47を、プロセスユニット1の着脱方向(図6の矢印の方向)に突出させることにより、プロセスユニット1の着脱時に突起部47とシャッター部材35との当接及びその解除を行いやすくなり、スムースにシャッター部材35を開閉することができる。
【0063】
また、突起部47とシャッター部材35との当接が、プロセスユニット1の装着動作が完了する直前に行われるようになっているので、プロセスユニット1が装着され位置決めされる直前にシャッター部材35を開放することができる。これにより、シャッター部材35が開放されたとき、排出口34は回収部42の入口部46の上方に対向した状態で配置されるので、開放された排出口34からトナー等が落下しても、そのトナー等が入口部46から外れて周辺部材に付着するのを防止できる。
【0064】
また、上記図8に示す実施形態においては、プロセスユニット1を支持する支持フレーム40に、排出口34から回収部42へ異物を誘導する孔部45を形成しているので、排出口34と孔部45の位置合わせを精度良く行うことができる。これにより、排出口34から排出されたトナー等を、孔部45を介して回収部42へ確実に案内することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 プロセスユニット
2 感光体ドラム(潜像担持体)
3 帯電ローラ(帯電手段)
4 現像ローラ(現像手段)
30 筐体
33 排出部
34 排出口
35 シャッター部材
40 支持フレーム
42 回収部
45 孔部
47 突起部
50 集約搬送部
99 画像形成装置本体
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開2006−139110号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体の表面に付着した異物を除去するクリーニング手段と、当該クリーニング手段を収容する筐体と、前記クリーニング手段で除去した異物を前記筐体外に排出する排出口を有する排出部を有し、画像形成装置本体に対して上下方向に着脱可能に構成されたユニットを備えた画像形成装置において、
前記排出部を前記筐体内に配設したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排出口を前記筐体の下面に設けた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排出部の下方に、前記排出口から排出された異物を回収する回収部を配設した請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ユニットを着脱可能に支持する前記画像形成装置本体の支持フレームを、前記ユニットと前記回収部の間に介在するように配設し、当該支持フレームの前記ユニットと前記回収部の間に介在する部分に、前記排出口から前記回収部へ異物を誘導する孔部を形成した請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排出口に開閉可能なシャッター部材を設けた請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置本体に、前記ユニットの装着動作に伴って前記シャッター部材に当接して前記排出口を開放する突起部を設けた請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記突起部と前記シャッター部材との当接が、前記ユニットの装着動作が完了する直前に行われるように構成した請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記突起部を前記ユニットの着脱方向に突出させた請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ユニットを複数有し、各ユニットから排出される異物を集約して回収部に搬送する集約搬送部を設けた構成において、各ユニットが有する前記排出口をユニットの同じ側の端部に配設した請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ユニットが、前記潜像担持体と、前記クリーニング手段とを有し、それらを画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成した請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ユニットが、前記潜像担持体と、前記クリーニング手段と、前記潜像担持体上の潜像を顕像化する現像手段と、前記潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段とを一体的に有し、それらを画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成した請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−180508(P2011−180508A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46593(P2010−46593)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】