説明

画像形成装置

【課題】装置本体に現像装置を残した状態にして感光体を着脱自在に装着する構成を採用する場合であっても、感光体を装置本体に装着する作業を行うことで感光体と現像装置の現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体又は現像ロールの両端部に設けられる間隔保持部と、装置本体に設けられ感光体の軸をそれぞれ着脱自在に支持するV字形状の軸支持部と、装置本体に設けられ現像装置を軸支持部に支持されているときの感光体に対して接近及び離間する方向に移動させるよう保持して案内する案内部と、装置本体に設けられ現像装置を軸支持部に支持されるときの感光体に対して接近する方向に押す押し部材とを有し、感光体と現像装置は、感光体の軸を軸支持部に支持させたときに、感光体の回転中心が現像ロールの回転中心よりも重力方向の上側に存在し、感光体が間隔保持部材を介して現像ロールと接触した状態になるよう配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、感光体ドラムを含む着脱構造物(プロセスカートリッジ)を装置本体の装着部に着脱自在に装着して使用する画像形成装置があり、例えば、以下のものが知られている。
【0003】
プロセスカートリッジを着脱可能で記録媒体に画像を形成するための電子写真画像形成装置において、a.電子写真感光体ドラムと、前記電子写真感光体ドラムに形成された潜像を現像するための現像ローラと、プロセスカートリッジが前記装置本体に装着された際に、前記装置本体に設けられた装置本体カップリング部材と嵌合した状態で前記装置本体カップリング部材が回転すると前記装置本体カップリング部材の方向へ引き込まれた状態で前記電子写真感光体ドラムを回転させるための駆動力を前記装置本体から受けるためのカートリッジカップリング部材と、前記電子写真感光体ドラムの回転力を前記現像ローラに伝達するための、前記電子写真感光体ドラムの一端に設けられたドラムはす歯ギアであって、前記カートリッジカップリング部材の設けられた方向へスラスト力を生じる捻じれ方向を有するドラムはす歯ギアと、前記現像ローラを回転させるための回転力を前記ドラムはす歯ギアから受けるための、前記現像ローラの一端に設けられた現像ローラはす歯ギアであって、前記カートリッジカップリング部材とは反対の方向へスラスト力を生じる捻じれ方向を有する現像ローラはす歯ギアと、前記現像ローラの長手方向において、前記現像ローラはす歯ギアの回転によって前記現像ローラが受けるスラスト力の生じる方向側に設けられた、プロセスカートリッジが前記装置本体に装着された際に、前記現像手段に印加するための現像バイアスを前記装置本体から受けるための、前記現像ローラと電気的に接続している現像バイアス接点と、を有するプロセスカートリッジを取り外し可能に装着するための装着手段と、b.前記装着手段に装着されたプロセスカートリッジの有する前記現像バイアス接点と電気的に接続するための本体現像バイアス接点と、c.前記記録媒体を搬送するための搬送手段と、を有する画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、プロセスカートリッジを着脱可能で記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、(a)周面に感光体が設けられたシリンダーと、前記シリンダーの一端側に前記シリンダーの軸方向にねじれた凸部を有するフランジと、前記凸部を有する端部側に設けられ、凸部のねじれ方向と逆の方向にねじれた第一のハスバギアと、前記シリンダーの前記フランジを設けた側とは反対側の端部に設けられ前記凸部のねじれ方向とねじれ方向が同じ第二のハスバギアと、を有する電子写真感光体ドラムと、電子写真感光体ドラムに形成された静電潜像を現像するための現像ローラと、を有するプロセスカートリッジを取り外し可能に装着する装着手段と、(b)プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体に装着された際に、前記凸部と係合する軸方向にねじれた凹部を有する駆動軸と、(c)前記第一のギアと係合する現像ローラギアと、(d)前記第二のギアと係合する転写ローラギアと、(e)前記凹部が凸部と係合して回転する際に、凹部が凸部を軸方向に引き込む方向に前記駆動軸を回転するためのモータと、(f)前記記録媒体を搬送するための搬送手段と、を有する画像形成装置が知られている(特許文献2)。
【0005】
さらに、プロセスカートリッジを着脱可能で記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、a.電子写真感光体と、前記電子写真感光体に作用するプロセス手段と、前記電子写真感光体に結合し画像形成装置本体の駆動ギアから駆動力を受ける被駆動ギアと、前記電子写真感光体に結合し画像形成装置本体の転写手段に駆動を伝達する転写手段駆動ギアと、を有し、前記画像形成装置本体の駆動ギアから駆動力を受ける被駆動ギアと、前記転写手段駆動ギアが、各々はすばギアで且つ、各ギアの歯筋のねじれ方向が同方向であるプロセスカートリッジを取り外し可能に装着する装着手段と、b.前記被駆動ギアを駆動する駆動ギアと、c.前記転写手段駆動ギアと噛み合う転写ギアを有する転写手段と、d.前記記録媒体を搬送するための搬送手段と、を有する画像形成装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−20743号公報
【特許文献2】特開2002−328563号公報
【特許文献3】特開2000−98809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、装置本体に対して現像装置を残した状態にして感光体を着脱自在に装着する構成を採用する場合であっても、感光体を装置本体に装着する作業を行うことで感光体と現像装置の現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明(A1)の画像形成装置は、
両端部に突出する軸を中心に回転する感光体と、
前記感光体の表面に所望の間隔をあけて対向した状態で回転する現像ロールを備えた現像装置と、
前記感光体又は現像ロールの両端部に設けられ、互いに対向する当該現像ロール又は感光体の両端部に接触して両者を前記間隔をあけた状態に保持する間隔保持部と、
前記感光体が着脱自在に装着されるとともに、前記現像装置が取り付けられる装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記感光体の軸をそれぞれ着脱自在に支持するV字形状の軸支持部と、
前記装置本体に設けられ、前記現像装置を前記軸支持部に支持されているときの前記感光体に対して接近及び離間する方向に移動させるよう保持して案内する案内部と、
前記装置本体に設けられ、前記現像装置を前記軸支持部に支持されるときの前記感光体に対して接近する方向に押す押し部材と、
を有し、
前記感光体と前記現像装置は、前記感光体の軸を前記軸支持部に支持させたときに、当該感光体の回転中心が前記現像ロールの回転中心よりも重力方向の上側に存在し、当該感光体が前記間隔保持部材を介して前記現像ロールと接触した状態になるよう配置されているものである。
【0009】
この発明(A2)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記現像装置に前記案内部に保持されて案内される被案内軸を設け、 前記押し部材は、その押す力の方向の延長線が前記現像ロールの回転中心と前記被案内軸の軸中心との間を通過するように構成されているものである。
【0010】
この発明(A3)の画像形成装置は、上記発明A2又はA3の画像形成装置において、前記軸支持部は、前記押し部材の押す力の方向となす角度が鋭角となって前記現像ロールから離れるにつれて下方に傾斜する傾斜部と、前記傾斜部と共に前記感光体の軸に接触して当該軸を所要の位置で静止させる対向部とを有する形状で形成されているものである。
【0011】
この発明(A4)の画像形成装置は、上記発明A1からA3のいずれかの画像形成装置において、前記現像ロールに回転動力を伝達する駆動装置を有し、
前記現像装置に前記案内部に保持されて案内される被案内軸を設けるとともに前記駆動装置から伝達される回転動力を最初に受ける被伝達歯車を設け、
前記被伝達歯車をその回転中心が前記被案内軸の軸中心とその軸方向から見て重なる状態に配置しているものである。
【0012】
この発明(A5)の画像形成装置は、上記発明A4の画像形成装置において、前記被伝達歯車と噛み合う前記駆動装置の最終伝達歯車における圧力角の方向が、前記案内部の案内する方向に沿うよう構成されているものである。
【0013】
この発明(A6)の画像形成装置は、上記発明A1からA5のいずれかの画像形成装置において、前記装置本体に、前記感光体に回転動力を伝達する第一駆動装置と前記現像ロールに回転動力を伝達する第二駆動装置とを設け、前記第一駆動装置が前記感光体の軸方向の一端側に配置され、前記第二駆動装置が当該軸方向の他端側に配置されているものである。
【0014】
この発明(A7)の画像形成装置は、上記発明A1からA5のいずれかの画像形成装置において、前記感光体が複数存在し、前記現像装置が当該感光体と同数存在しているものである。
【発明の効果】
【0015】
上記発明A1の画像形成装置によれば、装置本体に対して現像装置を残した状態にして感光体を着脱自在に装着する構成を採用する場合であっても、感光体を装置本体に装着する作業を行うことで感光体と現像装置の現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる。
【0016】
上記発明A2の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、感光体を装置本体に装着したときに現像装置の現像ロールが接触する感光体から力を受けることがあっても、現像装置に生じるモーメント(回転させようとする力の働き)が小さくなり、感光体と現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる。
【0017】
上記発明A3の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、軸支持部に支持された感光体の軸が現像装置を介して受ける押し部材の押す力を受けても軸支持部においてずれが規制され、感光体と現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる。
【0018】
上記発明A4の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、被伝達歯車が駆動装置から回転動力を伝達されたときにも、現像装置に生じるモーメントが小さく抑えられ、感光体と現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる。
【0019】
上記発明A5の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、被伝達歯車が駆動装置から回転動力を伝達されたときにも、現像装置に生じるモーメントが小さく抑えられ、感光体と現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる。
【0020】
上記発明A6の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合すなわち第一駆動装置と第二駆動装置の双方を感光体の軸方向の一端に併せて配置した場合に比べて、装置本体における軸等の支持位置に相当する部分の寸法や形状の精度が劣っている場合でも感光体と現像装置の現像ロールとの間隔を正常な状態に保つことができる。
【0021】
上記発明A7の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、感光体と現像装置が同じ複数だけ存在する場合であっても、その複数の感光体を装置本体に装着する作業を行うことで複数の感光体と複数の現像装置の現像ロールとの各間隔を正常な状態に容易に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の要部を示す概略断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の一状態(開閉部を開けた状態)を示す概略断面図である。
【図3】図1の感光体ドラムユニットの装着構造と現像装置の取り付け構造を示す説明図である。
【図4】図3の現像装置を示す概略斜視図である。
【図5】現像装置の取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】感光体ドラムユニットの装着構造と現像装置の取り付け構造と現像装置用の駆動装置の構成を示す斜視説明図である。
【図7】感光体ドラム用の駆動装置の構成を示す説明図である。
【図8】感光体ドラム用の駆動装置と現像装置用の駆動装置との配置状態等を示す説明図である。
【図9】現像装置の取り付け状態(感光体ドラムユニットの未装着時の状態)を示す説明図である。
【図10】感光体ドラムユニットの装着状態とそれに伴う現像装置の取り付け状態を示す説明図である。
【図11】感光体ドラムユニットの装着状態とそれに伴う現像装置の取り付け状態を示す他の説明図である。
【図12】現像装置の取り付け状態とその駆動装置との構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1及び図2は、実施の形態1に係る画像形成装置1を示す。図1はその画像形成装置1の要部を示す断面図、図2はその画像形成装置1の一状態(開閉カバーをあけて感光体ユニットを着脱するときの状態)を示す断面説明図である。
【0025】
画像形成装置1は、支持材、外装材等で構成される装置本体10を有している。装置本体10の下部には、画像を形成する対象の記録媒体としての記録用紙9を収容して供給する用紙供給装置40が配置されている。装置本体10の上部には、画像が形成された後の記録用紙9が排出されて収容される排出収容部11が形成されている。排出収容部11を構成する装置本体の一部は、第一ヒンジ(軸)12を支点にして外側にむけて揺動し、装置本体10の上部の一部を開閉することができる上部開閉部13として構成されている。
【0026】
用紙供給装置40は、複数枚の記録用紙9を積層した状態で収容する用紙収容体41を有している。用紙収容体41は、装置本体10の正面側(図1において装置本体10の左側)に引き出す構造になっており、その引き出した状態において記録用紙9の補充がなされる。用紙収容体41の一端部の上方には、積層された記録用紙9の最上位の用紙に接触する供給ロール42が配置されているとともに、供給ロール42に対向して捌きロール43が配置されている。
【0027】
用紙供給装置40では、供給ロール42により用紙収容体41の最上位にある用紙が繰出された後、供給ロール42と捌きロール43との協働により用紙9が捌かれて1枚ずつ送り出される。この送り出された用紙9は、搬送調整ロール44により一時停止させられた後、所要のタイミング(後述する二次転写工程に合わせるタイミング)で後述する中間転写ユニット30と二次転写装置36の間(二次転写位置)に搬送される。
【0028】
装置本体10で構成される筐体の内部には、作像手段としての作像装置20、中間転写ユニット30、二次転写装置37、定着装置50等が配置されている。作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kを用いて構成されている。実施の形態1における作像装置20(Y,M,C,K)は、後述する光書き込み装置(24)を除いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順番で次第に位置が高くなる状態(傾斜した状態)で配置されている。
【0029】
作像装置20(Y,M,C,K)は、装置本体10に着脱自在に装着して使用される感光体ユニット21(Y,M,C,K)と、潜像形成手段としての光書込み装置24と、複数の現像装置25(Y,M,C,K)とで構成されている。感光体ユニット21(Y,M,C,K)はいずれも、図3に示すように、感光体ドラム22と、感光体ドラム22の表面(感光層)を所要の電位に帯電する帯電装置23と、感光体ドラム22の表面に残留するトナー等の不要物を除去する清掃装置29とを一体にして着脱部品としてユニット化したものである。図1等では、ブラック色の感光体ドラムユニット21Kのみに帯電装置23と清掃装置29を代表して示している。感光体ユニット21及び現像装置25の詳細については後述する。
【0030】
光書込み装置24は、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の下方の位置に配置されている。光書込み装置24は、遮光性の筐体の内部に、図示しない半導体レーザ等の光源や、光源から発せられる光を感光体ドラム22に導いて走査するレンズ、ミラー等の光学部品などを備えている。光書込み装置24では、各感光体ユニット21における帯電後の感光体ドラム22に対して画像情報に基いて構成される各色成分の光(矢付き一点鎖線)をそれぞれ照射し、これにより各色成分の静電潜像を形成する。光書込み装置24の筐体の上面には、潜像を形成する光を各感光体ドラム22の照射位置に合わせて射出させるための図示しない出光部が形成されている。
【0031】
現像装置25(Y,M,C,K)は、感光体ユニット21(Y,M,C,K)と光書込み装置24との間に存在する状態で配置されている。現像装置25はいずれも、各感光体ドラム22と所要の間隔をあけて対向した状態で回転する現像ロール26をそれぞれ有している。現像装置25は、その現像ロール26に所要の色成分の現像剤を保持して各感光ドラム22と対向する現像領域に供給し、その現像剤により感光体ドラム22上に形成された静電潜像を現像(顕像化)する。すなわち、現像剤(トナー)で構成される前記4色のトナー像として形成される。各現像装置25には、現像剤の消費に応じて図示しない現像剤補給装置から新たな現像剤が補給される。
【0032】
中間転写ユニット30は、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光体ドラム22上にそれぞれ形成されるトナー像が外周面に転写される無端状の中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31を各感光体ドラム22に接する状態となるよう掛け渡して矢印で示す方向に回転させる複数の支持ロール32a,32b,32c,32d,32eと、各感光体ドラム22上のトナー像を中間転写ベルト31の外周面に一次転写させる一次転写装置33とを有している。
【0033】
複数の支持ロールのうち支持ロール32bは駆動ロールであり、図示しない回転駆動装置から回転動力が伝達されて中間転写ベルト31を矢印で示す方向に回転させる。一次転写装置33は、中間転写ベルト31の内周面から接触してベルト31の外周面を各感光体ドラム22の表面にそれぞれ押し付ける状態で配置されるとともに一次転写バイアス電圧が印加される一次転写ロール33を採用している。
【0034】
また、中間転写ユニット30には、中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等の不要物を除去するベルト清掃装置35が装備されている。ベルト清掃装置35は、支持ロール32cに支持されている中間転写ベルト31の外周面部分に接触するよう配置された弾性ブレード35aを有している。
【0035】
中間転写ユニット30は、排出収容部11の一部である上部開閉部13の裏面側に一体に取り付けられている。これにより、中間転写ユニット30は、図2に示すように、上部開閉部13の開閉動作時に第一ヒンジ12を支点として揺動することで装置本体10の外側に移動した状態に変位させられる。この中間転写ユニット30について装置本体10の外側に移動した状態にすることで、4つの感光体ドラムユニット21が外部に露出した状態になり、これにより感光体ドラムユニット21の着脱作業を行うことができるようになっている。
【0036】
二次転写装置37は、中間転写ベルト31の外周面に一次転写されたトナー像を記録用紙9に二次転写するものである。二次転写装置37は、駆動ロールとしての支持ロール32bに掛けられている部分の中間転写ベルト31の外周面に接触して従動回転するように配置されるとともに二次転写バイアス電圧が印加される二次転写ロール37を採用している。画像の形成時には、中間転写ベルト31の外周面に複数色のトナー像が重ね合わされた状態のトナー像か又は1色のトナー像が一次転写される。
【0037】
定着装置50は、二次転写された未定着のトナー像を記録用紙9に定着するものであり、二次転写装置37の上方の位置に配置されている。定着装置50は、加熱手段により所要の温度に加熱される定着面を有するロール形態、ベルト形態の加熱回転体51と、加熱回転体51の定着面に所要の圧力で接触して未定着のトナー像を保持する記録媒体9(定着対象物)を通過させる定着部を形成するロール形態、ベルト形態の加圧回転体52で構成されている。未定着のトナー像を保持する記録媒体9は、加熱回転体51と加圧回転体52の間の定着処理部を通過させられて加熱及び加圧されることで、その未定着トナー像が溶融して記録用紙9に定着される。
【0038】
装置本体10の内部には、記録用紙9を搬送する主搬送路PR1の他に、反転搬送路PR2などが形成されている。ちなみに、装置本体10は、反転搬送路PR2の外側に配置さる部分と外装材が反転搬送路PR2にそって分割され、第二ヒンジ14を介して外側に揺動して開閉する側部開閉部15として構成されている。また、排出収容部11の一部である上部開閉部13の開閉動作は、先にこの側部開閉部15を開けた状態にしてから行われる。
【0039】
主搬送路PR1は、用紙供給装置40から供給される記録用紙9をトナー像の転写位置と定着位置に搬送し、画像が形成された後の記録用紙9を排出収容部11に排出されるために使用される。主搬送路PR1の定着装置50と排出収容部11の直前位置に形成される排出口11aとの間には、排出ロール45が配置されている。
【0040】
反転搬送路PR2は、片方の面に画像を形成した記録用紙9をその表裏面を反転させた状態で再び作像部の一部である二次転写位置に搬送させるために使用する搬送路である。反転搬送路PR2は、排出ロール45から搬送調整ロール44の手前の位置で主搬送路PR1と合流する位置に至るまでの経路上に例えば2つの搬送ロール46,47を配置している。この反転搬送路PR2では、画像が形成された記録用紙9の後端部が排出ロール19に挟まれた時点で排出ロール45を逆回転させることにより、その記録用紙9を後端部から搬送ロール46,47に順次受け渡して搬送し、搬送調整ロール44の上流の位置にむけて搬送する。
【0041】
装置本体10の内部には、電源ユニット49が配置されている。電源ユニット49らは、例えば、帯電装置23、像書込み装置24、現像装置25の現像ロール26、一次転写ロール33、二次転写ロール37、定着装置50等に給電対象に所要の電圧(電流)が印加される。
【0042】
次に、感光体ドラムユニット21と現像装置25等について詳述する。
【0043】
感光体ドラムユニット21(Y,M,C,K)はいずれも、図3に示すように、一部が開口する筐体状のユニット本体210の内部に、感光体ドラム22が軸221を中心にした状態(軸自体は回転しない)で回転自在に取り付けられている。ユニット本体210の開口は、感光体ドラム22の潜像形成時の照射領域と現像時の現像領域となる部分と対向する側面部分に形成されている第一開口211と、感光体ドラム22の一次転写位置となる部分に対向する上面部分に形成される第二開口212がある。第二開口222には、中間転写ユニット30を閉じた状態(動作位置に戻した状態)にした際に、その閉じる動作に連動して開いた状態になる図示しない被覆部材が設けられている。感光体ドラム22の両端には、現像ロール26の接触円盤(261)が接触する接触面部223が形成されている。
【0044】
また、ユニット本体210の内部に、帯電装置23としての帯電ロールが感光体ドラム22の表面(周面)に接触した状態で従動回転し得る状態に取り付けられているとともに、清掃装置29としての弾性ブレードが感光体ドラム22の表面に接触した状態で取り付けられている。これにより、各感光体ドラムユニット21では、感光体ドラム22の表面が帯電装置23により所望の電位に帯電されるとともに、感光体ドラム22の一次転写後の表面が清掃装置29により清掃される。ユニット本体210の下部に存在する開きスペースは、清掃装置29により除去されたトナー等の不要物を回収する回収空間として利用される。図3等における符号229は、各現像装置25から排出される余剰の現像剤を回収する現像剤回収容器である。
【0045】
さらに、感光体ドラムユニット21(Y,M,C,K)はいずれも、感光体ドラム22の軸221がユニット本体210の長手方向(軸方向と同じ)の左右側面からそれぞれ外部に突き出した状態になっている(突出した一方の軸部221aとその他方の軸部221bとなる。図10参照)。このユニット本体210の両端から突出する感光体ドラム22の軸221a,221bは、後述する装置本体10に形成される軸支持溝(15)に対して着脱自在に支持される。これにより、感光体ドラムユニット21は、装置本体10に着脱自在に装着して使用する構造になっている。一方の軸221aには、後述する感光体ドラム用の駆動装置(70)から伝達される回転動力を受けて駆動する被駆動ギア225が支持されている(図6、図11)。
【0046】
感光体ドラム21の装置本体10に対して着脱自在に装着される支持構造は、以下のように構成されている。
【0047】
感光体ドラム21の支持構造は、図3、図6等に示すように、装置本体10の一部を構成する左右一対の側面支持材101,102における感光体ドラム22(Y,M,C,K)の装着位置となる部位に、感光体ドラム22の両端にある軸221a,221bを着脱自在にそれぞれ支持する軸支持溝15(Y,M,C,K)を設けた構造になっている。図6では、感光体ドラムユニット21Mにおける感光体ドラム22Mだけを抜き出し、感光体ドラム22Mがその軸216を軸支持溝15Mに装着して支持されている状態を示している。
【0048】
軸支持溝15は、重力方向Gにほぼ沿って下方に向け切り込んだ形状で形成されている。また、軸支持溝15は、その溝の内側部分に軸221を接触させた状態で支持するものであり、装着の完了時に軸221が接触して静止する位置で感光体ドラム22の位置決めがなされるようになっている。軸支持溝15の形状の詳細については後述する。実施の形態1では、側面支持材101,102とは別の支持板103、104に軸支持溝15を形成し、その支持板103,104を側面支持材101,102に固定した構成を採用している。しかし、この軸支持溝15は、側面支持材101,102に直接形成するように構成しても構わない。
【0049】
現像装置25(Y,M,C,K)は、図4等に示すように、所要の色の現像剤を収容するとともに現像ロール26をその一部が外部に露出した状態で回転自在に保持する装置本体(ハウジング)250を有している。現像ロール26は、その両端部に、感光体ドラム22の両端部(220a,200b)と接触して感光体ドラム22の表面と所要の間隔Sをあけた状態に保持する接触円盤(トラッキングロール)261が設けられている。また、現像ロール26の一端の軸26aには、後述する現像装置用の駆動装置(80)から伝達される回転動力を受けて駆動する被駆動ギア262が取り付けられている。
【0050】
また、現像装置25は、図4等に示すように、装置本体250の現像ロール26の軸方向における両端の側面部に、その軸方向に沿って外側に突出する円柱状の支持軸61、62を設けている。この2つの支持軸のうち被伝達ギア262が存在しない側に配置される第一支持軸61は、後述するガイド保持部(16)に嵌め入れることにより保持される。一方、被伝達ギア262が存在する側に配置される第二支持軸62は、現像装置用の駆動装置(80)から伝達される回転動力を最初に受ける被伝達ギア263を回転自在に支持する軸として使用される。
【0051】
この現像装置25(Y,M,C,K)は、次のような状態で装置本体10の左右一対の側面支持材101,102における現像装置の装着位置に取り付けられる。
【0052】
すなわち、現像装置25は、図3、図5、図9、図11等に示すように、その第一支持軸61が側面支持材101,102の一方(101)における現像装置の装着位置に設けられるガイド保持部15に移動自在に嵌め入れられ、その第二支持軸62が他方の側面支持材102に形成される図示しない位置決め孔(丸穴)に嵌め入れられる。また、現像装置25は、装置本体250のうち現像ロール26の設置位置とは反対側となる後端部250bの両端部が、側面支持材101,102に形成される押当て面部105との間に設置されるコイルばね16のばね力F1により弾性的に押される状態で設置されている。
【0053】
つまり、現像装置25は、図11等に示すように、第一支持軸61がガイド保持部15に保持されるとともに、第二支持軸62が位置決め孔に保持されたうえで、装置本体の後端部250bの両端部がコイルばね16によるばね力F1で押された状態で装置本体10(側面支持材101,102の間)に装着されている。図5は、4つの現像装置(Y,M,C,K)が装置本体10に取り付けられている状態を示している。そして、現像装置25は、この段階(感光体ドラムユニット21の未装着の段階)では正規の装着状態になっておらず(図9)、後述する通り感光体ドラムユニット21を軸支持溝15に装着することにより正規の装着状態になるよう構成されている(図10)。
【0054】
感光体ドラム用の駆動装置70と現像装置用の駆動装置80とは、図8等に示すように感光体ドラム22の軸方向Aにおける両端側に分かれて設置されている。
【0055】
感光体ドラム用の駆動装置70は、図7、図8等に示すように、感光体ドラム22の一方の軸221aの側に設置されている。また、感光体ドラム用の駆動装置70は、ブラック用の駆動装置70Aとカラー(イエロー、シアン、マゼンタ)用の駆動装置70Bとに分けられている。
【0056】
ブラック用の駆動装置70Aは、モータ71と、そのモータ71の回転動力をブラック用の感光体ドラム22Kにおける被駆動ギア225まで伝達するギア列72とで構成されている。具体的には、モータ71の駆動軸71aは、例えば第一伝達ギア72a、第二伝達ギア72b及び最終伝達ギア72cで構成されるギア列72を介して感光体ドラム22の被駆動ギア225と連結している。なお、ブラック用の駆動装置70Aにおける伝達ギア72eは、中間転写ユニット30の駆動ロール32bに回転動力を伝達させるものである。また、カラー用の駆動装置70Bは、モータ75と、そのモータ75の回転動力をイエロー、シアン及びマゼンタ用の感光体ドラム22Y,M,Cにおける各被駆動ギア225まで伝達するギア列76とで構成されている。具体的には、モータ75の駆動軸75aは、例えば第一伝達ギア76a、第二伝達ギア76b、第三伝達ギア76c及び最終伝達ギア76dで構成されるギア列76を介して感光体ドラム22の被駆動ギア225と連結している。
【0057】
感光体ドラム用の駆動装置70A、70Bは、側面支持材101に取り付けられている。また、その各最終伝達ギア72c、76dについては、側面支持材101の内側に突出した状態で設けられているとともに、軸支持溝15よりも少し下方において装着される各感光体ドラム22の被駆動ギア225との噛み合いが可能な位置に配置されている(図6)。図5、図6、図8等における符号107は、モータ71、75やギア列72、76等を覆う側面板である。
【0058】
現像装置用の駆動装置80は、4色の現像装置25(Y,M,C,K)毎に個別に設けられている。すなわち、現像装置用の駆動装置80(Y,M,C,K)は、4つのモータ81(Y,M,C,K)と、その各モータ81の回転動力を各現像装置25(Y,M,C,K)の現像ロール26における最初の被伝達ギア263までそれぞれ伝達するギア列82(Y,M,C,K)とで構成されている。具体的には、各モータ81の駆動軸81aは、例えば第一伝達ギア82a、第二伝達ギア82b、第三伝達ギア82c、第四伝達ギア82d及び最終伝達ギア82eで構成される各ギア列82を介して各現像装置25の現像ロール26における最初の被伝達ギア263とそれぞれ連結している。
【0059】
駆動装置80(Y,M,C,K)は、側面支持材102に取り付けられている。図6における符号108(Y,M,C)は、各ギア列82(Y,M,C)を覆う保護カバーである。
【0060】
現像装置25の取り付け構造に採用されているガイド保持部16は、図9等に示すように、現像装置25を軸支持溝15に支持されている感光体ドラム22に対して接近及び離間する方向C,Dに移動させるよう保持して案内する案内部材である。実施の形態1におけるガイド保持部16は、この保持部16に保持される現像装置25の第一支持軸61(の円柱部)を案内方向C,Dに沿って移動自在に保持するガイド下面15aと、ガイド下面15aから第一支持軸61の外径よりも少し広い間隔をあけてガイド下面15aとほぼ平行する状態のガイド上面15bと、ガイド下面15aの感光体ドラム22に接近する方向Cの下流側端部においてガイド上面12bと湾曲した状態で繋がるガイド停止面16cとを有した形状で形成されている。
【0061】
また、現像装置25の取り付け構造に採用されているコイルばね17は、図9等に示すように、現像装置25を軸支持溝15に支持されている感光体ドラム22に対して接近する方向Dに押すばね力(F)を発揮するばねである。実施の形態1では、コイルばね17は、現像装置25の現像ロール26の軸方向の左右両端部に1個ずつ設置して計2個使用している。コイルばね17の設置数については、1個としても、あるいは3個以上としても構わない。
【0062】
さらに、感光体ドラムユニット21と現像装置25については、以下の条件を満たすように配置している。
【0063】
第一に、感光体ドラム22の軸221を軸支持溝15に正式に支持させたときに、感光体ドラム22の回転中心(P1:軸221の軸心)が現像ロール26の回転中心(P2:軸26aの軸心)よりも重力方向の上側に存在するよう配置している。実際には、例えば、軸支持溝15における感光体ドラム22の軸221を最終的に支持する部分の形状や位置を、上記の条件を満たす内容に設定している。第二に、感光体ドラム22の軸221を軸支持溝15に正式に支持させたときに、感光体ドラム22が接触円盤261を介して現像ロール26と接触した状態になるよう配置している。実際には、現像装置25の現像ロール26(接触円盤261)が、軸支持溝15に沿って重力方向Gの下方に移動する感光体ドラム22(接触面部223)と突き当たって接触する位置に存在するように現像装置25の取り付け位置を設定している。このような条件を満たすように配置していることにより、感光体ドラム22の軸221を軸支持溝15に装着する作業を行うことにより、現像装置25を正規の装着状態(図10)に移行させる(調整する)ことができる。
【0064】
また、軸支持溝15は、図9等に示すように、感光体ドラム22の軸221の直径よりも広い間隔をあけて対向して重力方向Gにほぼ沿って下方に延びる対向部(第一対向部15a,第二対向部15b)と、その対向部15a,15bの底部において現像ロール22から離れるにつれて下方に傾斜する傾斜部15cとを有する形状で形成されている。
【0065】
傾斜部15cは、その傾斜する部位とコイルばね17の押す力(F)の方向Cとなす角度αが鋭角(好ましくは55〜65°の範囲)となる形状で形成されている。また、現像ロール26から相対的に離れた位置に存在する第二対向部15bは、傾斜部15cと共に感光体ドラム22の軸221に接触して軸221を所要の位置で静止させることができる形状で形成されている。つまり、第二対向部15bは、現像装置25(の現像ロール26)を介して感光体ドラム22の軸221がコイルばね17のばね力(F1)による押す力を受けても、その軸221が第二対向部15bに沿って上方に持ち上がることなく、第二対向部15bに接触して静止した状態で保持される機能を発揮する形状であればよい。
【0066】
この軸支持溝15は、図10に示すように、最終的に感光体ドラム22の軸221を、第二対向部15bと傾斜部15cで形成されるV字状の空間内で挟みこんだ状態(2箇所M1,M2で接触させた状態)で支えることにより、所要の位置で支持するように構成している。また、感光体ドラム22の軸221は、感光体ドラムユニット21の自重により上記した状態で最終的に支持される。ちなみに、実施の形態1では、稼動時に軸221が軸支持溝15から浮き上がることを予防するため、感光体ドラム22の軸221が軸支持溝15に最終的に支持された後に、その軸221を上方から軸支持溝15の底部にむけて押し付ける図示しない押付け部材を設けている。
【0067】
次に、感光体ドラムユニット21の装着動作とその動作に伴う現像装置25の装着状態の変化について説明する。
【0068】
まず、現像装置25は、図9に示すように、感光体ドラムユニット21を装着しない状態では、コイルばね17のばね力Fにより押されて矢印Cの方向に移動し得る状態におかれている。実際には、このときの現像装置25は、第一支持軸61がガイド保持部16のガイド停止面16cに突き当たって停止した状態になっている。一方、第二支持軸62は、装置本体10の側面支持材102の位置決め孔に嵌め入れられて位置がほぼ固定された状態になっている(図11参照)。これにより、現像装置25は、第一支持軸61が設けられている側の現像ロール26の端部(接触円盤261)が感光体ドラム22に接近した位置に変位した状態に保たれている。このときのコイルばね17は、自由長に近い所要の長さL1に保持されている。
【0069】
そして、感光体ドラムユニット21を装置本体10に装着すると、その感光体ドラム22の軸221が軸支持溝15に沿って重力方向Gの下方に移動し、その移動途中で感光体ドラム22の接触面部223が装置本体10に取り付けられている現像装置25の現像ロール26における接触円盤261に接触する(図9の二点鎖線で示す感光体ドラム22の状態を参照)。
【0070】
続いて、感光体ドラム22が自重により重力方向Gの下方に更に移動すると、図10に示すように、その軸221が軸支持溝15の傾斜面15cに接触した後に斜面にそって下り第二対向部15bに突き当たって停止する。
【0071】
このとき、感光体ドラム22の軸221は、前述したように軸支持溝15の第二対向部15bと傾斜面15cに挟まれるとともに2箇所M1,M2で接触した状態で最終的に支持され、これにより所要の位置に位置決めされる。この際、軸支持溝15に支持された感光体ドラム22の軸221が現像装置25を介して受けるコイルばね17のばね力(F)を受けても軸支持溝15内で変位してずれることがない。
【0072】
またこのとき、感光体ドラム22は、現像装置22の現像ロール26(接触円盤261)を下方にむく力(重量)Jで押す。これにより、現像装置25は、感光体ドラム22からの力Jを受けることで第一支持軸61がコイルばね17のばね力F1に抗してガイド保持部16において感光体ドラム22から離間する方向Dに変位した後に停止する。このときのコイルばね17は、感光体ドラムユニット21の未装着時のときよりも少し縮んだ長さL2(<L1)になり、その少し圧縮された状態に対応して増加したばね力F1を発揮して現像装置25を感光体ドラム22に接近する方向Cに押し続けることになる。
【0073】
以上により、現像装置25は、図11等に示すように、軸支持溝15によって位置決めされた状態の感光体ドラム22(の接触面部223)に対して現像ロール26の接触円盤261が接触した状態になるので、感光体ドラム22の表面と現像ロール22の表面が接触円盤261によって所要の間隔Sをあけた状態に保たれる。また、現像装置25は、この段階で正規の装着状態になる。
【0074】
また、画像形成装置1においては、図9、図10等に示すように、コイルばね17について、その押す力であるばね力Fの方向Cの延長線(図中の一点鎖線)ELが現像ロール22の回転中心P2と第一支持軸61の軸中心P3との間を通過するように設定している。実施の形態1では、延長線ELが現像ロール22の回転中心P2と第一支持軸61の軸中心P3のほぼ中間点を通過するように設定されている。
【0075】
このため、感光体ドラムユニット21を装置本体10に装着したときに現像装置25の現像ロール26が感光体ドラム22から接触時に力Jを受けることがあっても、現像装置25に生じるモーメント(第一支持軸61及び第二支持軸62を支点として回転させようとする力の働き)が小さくなる。この結果、現像装置25の装着姿勢が不要なモーメントを受けてずれた状態にならないので、感光体ドラム22と現像ロール26との間隔を正常な状態に保つことが可能になる。
【0076】
感光体ドラムユニット21(Y,M,C,K)はいずれも、その各感光体ドラム22の軸221を軸支持溝15にそれぞれ支持させて装着すると、図6、図7、図11等に示すように、各感光体ドラム22の一端側に設けた被駆動ギア225が感光体ドラム用の駆動装置70における最終伝達ギア72c、76dとそれぞれ噛み合って結合された状態になる。これにより、感光体ドラム22(Y,M,C,K)は、図7等に示すように、駆動装置70のモータ71,75が所要の方向に回転始動すると、その回転動力が各ギア列72,76を介して被駆動ギア225まで伝達されて所要の方向に回転する。
【0077】
また、現像装置25(Y,M,C,K)は、図6、図12等に示すように、現像ロール26の一方の軸26aにある被駆動ギア262が第二支持軸62に支持された被伝達ギア263と噛み合っており、また、その被伝達ギア263も現像装置用の駆動装置80における最終伝達ギア82eと噛み合って結合された状態になっている。これにより、現像装置25(Y,M,C,K)の各現像ロール26はいずれも、駆動装置80のモータ81が所要の方向に回転始動すると、その回転動力が各ギア列82を介して被伝達ギア263まで伝達されて所要の方向に回転する。
【0078】
さらに、画像形成装置1においては、図10から図12に示すように、被伝達ギア263をその回転中心P4(図12)がガイド保持部16に保持される第一支持軸61の軸中心P3(図10)とその軸方向から見て重なる状態に配置している。図11における一点鎖線Qは、第一支持軸61の軸中心P3を通過する軸方向を示す線であり、これが被伝達ギア263を回転可能に支持する第二支持軸62の軸中心(被伝達ギア263の回転中心P4と同じ)とほぼ一致している状態を示している。
【0079】
これにより、現像装置25における被伝達ギア263が駆動装置80から回転動力を伝達されたときにも、被伝達ギア263が最終伝達ギア82eから受ける力により現像装置25の第二支持軸62に対して後述する最終伝達ギア82eが有する圧力角の方向K(図12中における矢付き二点鎖線)に向く力がかかっても、第一支持軸61の軸中心と第二支持軸62の軸中心がほぼ一致しているので、その現像装置25に生じるモーメントが小さく抑えられるようになる。この結果、現像装置25の装着姿勢が不要なモーメントを受けてずれた状態にならないので、感光体ドラム22と現像ロール26との間隔Sを正常な状態に保つことができる。
【0080】
更にまた、画像形成装置1では、図12に示すように、現像装置25における被伝達ギア263と噛み合う駆動装置80の最終伝達ギア82eにおける圧力角の方向Kがガイド保持部16の案内する方向C,Dに沿うよう構成されている。具体的には、最終伝達ギア82eが有する圧力角の方向Kがガイド保持部16の案内方向C,Dとの交差角が0°以上かつ20°以下の範囲におさまるように設定している。
【0081】
これにより、現像装置25における被伝達ギア263が駆動装置80の最終伝達ギア82eから回転動力を伝達されたときにも、その最終伝達ギア82eとの噛み合いで受ける被伝達ギア263における外力の方向がガイド保持部16の案内方向C,Dに一致する状態又はほぼ沿った状態になるので、被伝達ギア263を支持する第二支持軸62がガイド保持部16にかじるような力の影響を受けることが抑えられる。この結果、感光体ドラム22に存在する偏心等により現像ロール26の回転中に第二支持軸62がガイド保持部16に対してスライド移動することがあっても、スムーズにスライド移動(トラッキング)することになるので、感光体ドラム22と現像ロール26との間隔Sを正常な状態に保つことができる。
【0082】
この他にも、画像形成装置1では、感光体ドラム用の駆動装置70と現像装置用の駆動装置80を感光体ドラム22の軸方向Aにおける両端側に分けて設置している。
【0083】
このため、図8に示すように、その駆動装置70,80を含む感光体ドラム22の軸方向Aにおける幅Wを、その駆動装置70,80を軸方向Aの同じ側(片側)にまとめて設置する場合に比べて相対的に狭くすることができ、画像形成装置1の小型化を図ることが可能になる。同じ側にまとめて配置する場合は、例えば、各駆動装置に対応するギア列等を感光体ドラム22の軸方向Aにおいてずらして配置する必要があり、その分、軸方向Aの幅が増加しやすくなる。
【0084】
また、両駆動装置70,80を軸方向Aの両側に分けて配置した場合には、次のメリットもある。すなわち、一般に、駆動装置からギアの噛み合いを介して回転動力を受ける側の端部となる軸等は装置本体10にほとんど余分な隙間(ガタ)のない状態で取り付けられ、その反対の端部となる軸等は装置本体10に対して余分な隙間(ガタ)を少し許容した状態で取り付けられる。
【0085】
このため、駆動装置を軸方向Aの同じ端部側に配置した場合は、感光体ドラム22の回転動力を受ける端部と現像装置25の回転動力を受ける端部が軸方向Aの同じ側に存在することになるので、感光体ドラム22の軸221と現像装置25の被伝達ギア263を設ける支持軸(61)を装置本体10に余分な隙間のない状態で取り付け、これにより軸間の距離を固定した状態にする。しかし、この場合、装置本体10の感光体ドラム22の軸や現像装置25の支持軸を取り付ける部分に寸法や形状の精度が劣っている場合には、その回転動力を受ける側における軸間の距離が異なってしまい、感光体ドラム22と現像ロール22との間隔Sも変動してしまうことがある。
【0086】
この点、駆動装置を軸方向Aの反対側の端部に配分して配置した場合は、図11に示すように、感光体ドラム22の回転動力を受ける端部と現像装置25の回転動力を受ける端部が軸方向Aにおいて反対側に存在することになるので、感光体ドラム22の軸の取り付け状態と現像装置25の端部の取り付け状態が、余分な隙間のない状態で取り付ける側と余分な隙間を許容する側とが交互に配置された状態になる。また、この場合、感光体ドラム22の両端の軸を固定した状態にすれば、現像装置25の回転動力を受けない側の端部(第一支持軸61)は余分な隙間を許容する状態で取り付けること(ガイド保持部16に保持すること)で、感光体ドラム22の軸221にずれが合っても現像装置25の回転動力を受けない側の端部が必要な量だけ変位することで追従(補正)することが可能になる。したがって、装置本体10の寸法や形状の精度が劣っている場合であっても、感光体ドラム22と現像ロール26の軸間距離が異なることが抑えられ、感光体ドラム22と現像ロール22との間隔Sが変動することも抑えることができる。
【0087】
[他の実施の形態]
実施の形態1では、第二支持軸62に被伝達ギア263を取り付けたが、その被伝達ギア263を取り付けないように構成しても構わない。間隔保持部材である接触円盤261は、感光体ドラム22の両端部に設けることも可能である。
【0088】
また、実施の形態1は、感光体ドラム22と現像装置25を複数(4つ)使用する場合について例示したが、この発明は感光体ドラム22と現像装置25を単数使用する画像形成装置にも適用することができる。さらに、4つ以外の複数の感光体ドラム22と現像装置25を使用する画像形成装置にも適用することが可能である。
【0089】
この他、本発明が適用される画像形成装置は、カラー画像を形成することが可能な画像形成装置とする場合、中間転写装置3を使用しない方式(いわゆる記録紙Pを各作像ユニット2における各一次転写位置を通過させるように搬送してトナー像を記録紙に直接に転写させる直接転写形式)を採用するものであってもよい。また、本発明が適用される画像形成装置としては、例えば、プリンタ、コピー機、ファクシミリ等の画像形成装置をはじめ、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能(画像入出力送受信機能)等に代表される各機能を複合させた画像形成装置が挙げられる。
【符号の説明】
【0090】
1 …画像形成装置
10…装置本体
15…軸支持溝(軸支持部)
15b…第二対向部(対向部)
15c…傾斜部
16…ガイド保持部(案内部)
17…コイルばね(押し部材)
22…感光体ドラム(感光体)
25…現像装置
26…現像ロール
61…第一支持軸(被案内軸)
62…第二支持軸(被案内軸)
70…感光体ドラム用の駆動装置(第二駆動装置)
80…現像装置用の駆動装置(第一駆動装置)
101,102…側面支持材(装置本体の一部)
103,104…支持板(装置本体の一部)
221…軸(感光体の軸)
263…被伝達ギア(回転動力を最初に受ける被伝達歯車)
A …軸方向
C …接近する方向
D …離間する方向
G …重力方向
S …間隔
F …ばね力(押す力)
EL…押す力の方向の延長線
P1…軸中心(感光体の回転中心)
P2…現像ロールの回転中心
P3…第一支持軸の回転中心
P4…被伝達ギアの回転中心
CD…案内する方向
K …圧力角の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に突出する軸を中心に回転する感光体と、
前記感光体の表面に所望の間隔をあけて対向した状態で回転する現像ロールを備えた現像装置と、
前記感光体又は現像ロールの両端部に設けられ、互いに対向する当該現像ロール又は感光体の両端部に接触して両者を前記間隔をあけた状態に保持する間隔保持部と、
前記感光体が着脱自在に装着されるとともに、前記現像装置が取り付けられる装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記感光体の軸をそれぞれ着脱自在に支持するV字形状の軸支持部と、
前記装置本体に設けられ、前記現像装置を前記軸支持部に支持されているときの前記感光体に対して接近及び離間する方向に移動させるよう保持して案内する案内部と、
前記装置本体に設けられ、前記現像装置を前記軸支持部に支持されるときの前記感光体に対して接近する方向に押す押し部材と、
を有し、
前記感光体と前記現像装置は、前記感光体の軸を前記軸支持部に支持させたときに、当該感光体の回転中心が前記現像ロールの回転中心よりも重力方向の上側に存在し、当該感光体が前記間隔保持部材を介して前記現像ロールと接触した状態になるよう配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置に前記案内部に保持されて案内される被案内軸を設け、
前記押し部材は、その押す力の方向の延長線が前記現像ロールの回転中心と前記被案内軸の軸中心との間を通過するように構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記軸支持部は、前記押し部材の押す力の方向となす角度が鋭角となって前記現像ロールから離れるにつれて下方に傾斜する傾斜部と、前記傾斜部と共に前記感光体の軸に接触して当該軸を所要の位置で静止させる対向部とを有する形状で形成されている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像ロールに回転動力を伝達する駆動装置を有し、
前記現像装置に前記案内部に保持されて案内される被案内軸を設けるとともに前記駆動装置から伝達される回転動力を最初に受ける被伝達歯車を設け、
前記被伝達歯車をその回転中心が前記被案内軸の軸中心とその軸方向から見て重なる状態に配置している請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記被伝達歯車と噛み合う前記駆動装置の最終伝達歯車における圧力角の方向が、前記案内部の案内する方向に沿うよう構成されている請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体に、前記感光体に回転動力を伝達する第一駆動装置と前記現像ロールに回転動力を伝達する第二駆動装置とを設け、
前記第一駆動装置が前記感光体の軸方向の一端側に配置され、前記第二駆動装置が当該軸方向の他端側に配置されている請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体が複数存在し、前記現像装置が当該感光体と同数存在している請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−191403(P2011−191403A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56099(P2010−56099)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】