説明

画像形成装置

【課題】低コストな構成で現像器の傾きつまり本体装置の傾きを判別して正確なトナー濃度制御が出来る画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー濃度センサ62に対する制御電圧の補正テーブル88はトナー濃度6%の現像剤83を充填されている現像器14が水平の状態のときトナー濃度センサ62が2.5Vの検知信号を出力するよう制御電圧が5.75Vに初期設定されている現像器14を水平状態から角度プラス0.5度ずつ最大8.0度まで順次傾きを大きくしてトナー濃度センサ62の出力を測定すると水平時の2.50Vから0.05Vずつ1.70Vまで順次低下する。この出力を2.50Vに維持するための補正用制御電圧値を実地に試験して、制御電圧値(V)欄92の下1/2に記述されている数値が得られる。角度マイナス方向に傾けたときは制御電圧値(V)欄92の上1/2の数値が得られる。これを用いてトナー濃度センサ62の駆動電圧を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コストな構成で現像器の傾きつまり本体装置の傾きを判別して正確なトナー濃度制御が出来る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置には、トナーのみから成る一成分現像剤を用いるものと、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いるものとがある。近年、要望が強い印字(以下、印刷ともいう)処理の高速化に対処するには二成分現像剤を用いる方式の方がよく対応できる。
【0004】
上記の二成分現像剤のキャリアは、現像器内でトナーと混合撹拌されてトナーに所定の電荷を与える。電荷を与えられたトナーはキャリアの表面に一時的に付着してキャリアの表面を被覆する。
【0005】
磁性体の現像ローラに付着したキャリアは電荷を帯びたトナーを感光体上に運び、感光体上の静電潜像にトナーを転移させて静電潜像上にトナー像を現像させる。
【0006】
表面のトナーを放出したキャリアは現像ローラ上に残り、再び現像器内に戻って現像器に補給される新たなトナーと再び混合撹拌され、トナーに電荷を与え、そのトナーを感光体上に運ぶ、というように繰り返し使用される。
【0007】
現像器へのトナーの補給はトナー供給装置から行われる。トナー供給装置から現像器へのトナーの補給路には、コイルスクリューを内蔵したパイプやトナーの重力による自然落下経路が用いられる。
【0008】
そして現像器にはトナー混合撹拌機構が内蔵されている。トナー混合撹拌機構は2つあり、1つはトナー供給装置から供給(補給)されたトナーを、トナー濃度の低下した二成分現像剤(以下、単に現像剤という)と混合撹拌しながら搬送する循環搬送スクリューである。
【0009】
2つ目は、循環搬送スクリューで送り込まれた現像剤を攪拌搬送しながら磁性体現像ローラに供給して、残余の現像剤を循環搬送スクリューに送り戻す供給搬送スクリューである。
【0010】
ここで、現像器の現像剤中のトナー濃度が高すぎると地汚れ等が発生する。逆にトナー濃度が低すぎると高濃度な画像が得られない。したがって高画質な画像を得るためには、現像器内の現像剤のトナー濃度を一定範囲内に制御することが必要である。
【0011】
そこで、このような現像剤を使って画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置の現像器では、印字して消費したトナー量を測定するためのトナー濃度センサが設けられている。そしてトナー濃度が所定以下に低いことが検知されると現像器にトナーを補給するようにしている。
【0012】
一般に、トナー濃度センサには透磁率を検知するセンサが使用される。この透磁率の検知には、コイルのインダクタンス成分を利用するものや、周波数型、磁気ブリッジ型など、いくつかの方式がある。
【0013】
いずれにしても、トナー濃度センサとしては、現像器の内壁面の一部に検知面を露出させ、この検知面周辺の現像剤中のキャリアからの透磁率の変化を検知する。すなわち、トナー濃度が高いと透磁率が下りセンサ出力は弱くなる。トナー濃度が低いと透磁率が上がりセンサ出力は強くなる。
【0014】
このようなトナー濃度センサでは、その検知面に現像剤が滞留すると正確なトナー濃度を検知することができなくなる。正確なトナー濃度を検知できないと、トナー補給量の制御に誤作動を招くことになる。
【0015】
そこで、現像器内の現像剤を撹拌しながら循環搬送する循環搬送スクリューの軸部のトナー濃度センサの検知面と対向する位置に、弾性体シート材を軸部に対して平行になるように固定してトナー濃度センサの検知面をクリーニングするようにしたものが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0016】
このようなトナー濃度センサは、現像器が常に水平に保たれていれば検知面の現像剤量は一定であるので、トナー濃度を正確に検知でき、トナー補給量制御装置の誤作動を招くことはない。
【0017】
しかし、実際には画像形成装置本体が設置される場所は必ずしも水平のところとは限らない。装置本体が傾いていると、トナー濃度センサの検知面の現像剤量が基準量より大きく変化する。
【0018】
このように、トナー濃度センサの検知面の現像剤量が基準量より大きく変化すると、正確なトナー濃度を検知することができなくなり、トナー補給量制御装置の誤作動を招くことになる。
【0019】
そこで、2つのトナー濃度センサで傾きを検出する装置や、2つの現像器にそれぞれ異なった場所にトナー濃度センサを設置し装置本体の傾きを検出するものが提案されている。このように、装置本体の傾きを検出し警告を発することによってトナー濃度の誤検知を防止することができる。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平05−150650号公報
【特許文献2】特開2008−040227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上記特許文献2の技術のように、装置本体の傾きを検知するために2つのセンサを用いるのは不経済である。また複数の現像器の傾き検知データから装置本体の傾きを検出するには検出精度に問題があった。
【0022】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、低コストな構成で現像器の傾きつまり本体装置の傾きを判別して正確なトナー濃度制御が出来る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、適正なトナー濃度の現像剤を収容している新品の現像器のメモリに格納されているトナー濃度センサ制御電圧基準値と、上記新品の現像器が画像形成装置本体に装着されたとき上記メモリから上記トナー濃度センサ制御電圧基準値を読み出す制御電圧読出手段と、該制御電圧読出手段により読み出された上記トナー濃度センサ制御電圧基準値にて上記新品の現像器のトナー濃度センサを駆動するセンサ駆動手段と、該センサ駆動手段により駆動された上記トナー濃度センサの出力値を読み取るセンサ出力読取手段と、該センサ出力読取手段が読み取った上記トナー濃度センサの出力値と、上記適正なトナー濃度の現像剤を収納している新品の上記現像器が水平に設置されているとき上記トナー濃度センサが出力すべき適正出力値との差分を算出する差分算出手段と、該差分算出手段により算出された上記差分と該差分に対応する上記現像器の傾き度との関係と、該傾き度と該傾き度における上記トナー濃度センサの出力値が上記適正出力値となるように補正するトナー濃度センサ制御電圧値との関係を示すテーブルと、を備え、上記センサ駆動手段は、上記差分算出手段により算出された上記差分と上記テーブルとに基づいて上記新品の現像器の傾き度を取得し、該取得した上記傾き度と上記テーブルとに基づいて上記トナー濃度センサの上記適正出力値に補正すべき上記トナー濃度センサ制御電圧値を取得し、該取得した上記トナー濃度センサ制御電圧値により上記トナー濃度センサを駆動するように構成される。
【0024】
この画像形成装置において、例えば、上記センサ駆動手段は、上記差分の絶対値が300mV(ミリボルト)を超えたとき上記差分と上記テーブルとに基づいて上記新品の現像器の傾き度を取得し、該取得した上記傾き度と上記テーブルとに基づいて上記トナー濃度センサの上記適正出力値に補正すべき上記トナー濃度センサ制御電圧値を取得し、該取得した上記トナー濃度センサ制御電圧値により上記トナー濃度センサを駆動し、上記センサ出力読取手段は、上記センサ駆動手段により駆動された上記トナー濃度センサの出力値を読み取り、上記差分算出手段は、上記センサ出力読取手段が読み取った上記トナー濃度センサの出力値と、上記トナー濃度センサが出力すべき適正出力値との差分を算出し、上記センサ駆動手段は、上記差分と上記テーブルとに基づいて上記新品の現像器の傾き度を取得し、該取得した上記傾き度と上記テーブルとに基づいて上記トナー濃度センサの上記適正出力値に補正すべき上記トナー濃度センサ制御電圧値を取得し、該取得した上記トナー濃度センサ制御電圧値により上記トナー濃度センサを駆動するということを繰り返すように構成される。
【0025】
また、この画像形成装置において、例えば、上記センサ駆動手段は、上記差分の絶対値が300mV(ミリボルト)以下であるとき上記トナー濃度センサを駆動した上記トナー濃度センサ制御電圧値を上記トナー濃度センサ制御電圧基準値に設定するように構成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低コストな構成で現像器の傾きつまり本体装置の傾きを判別して正確なトナー濃度制御が出来る画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施例1に係るプリンタの制御装置を含む回路ブロック図である。
【図3】(a),(b)は実施例1に係るプリンタの現像器を感光体ドラムと共に示す拡大断面図である。
【図4】(a)は実施例1に係るプリンタの現像器の現像槽内の第2の攪拌搬送部材とクリーニングブレードとトナー濃度センサ各部の配置関係を分かりやすく示すため現像槽各部の構成を図3(b)の矢印gで示す横方向から見た図、(b)は(a)の破線hで囲んで示す部分の拡大図である。
【図5】実施例1に係るプリンタの現像器のトナー濃度センサの出力の例を示す図である。
【図6】実施例1に係るプリンタのトナー濃度センサの本来の出力値であるべき出力信号に重畳して現れる小幅周期のパルス信号を示す図である。
【図7】実施例1に係るプリンタの現像器を図3(b)の矢印gで示す方向に切断して内部構成と現像剤の還流経路とを示す断面図である。
【図8】(a)は現像器が水平な状態のときのトナー濃度センサと現像剤の関係を示す図、(b)は現像器が水平面から角度プラス方向に傾いたときのトナー濃度センサと現像剤の関係を示す図、(c)は現像器が水平面から角度マイナス方向に傾いたときのトナー濃度センサと現像剤の関係を示す図である。
【図9】トナー濃度6%に対するトナー濃度センサの出力値が2.5Vとなるように初期設定された現像器に傾きが生じたときのトナー濃度センサの出力値の変化を示すグラフである。
【図10】トナー濃度6%に対するトナー濃度センサの出力値が2.5Vとなるように制御電圧が初期設定されている新品の現像器が傾いて設置されたときのトナー濃度センサに対する制御電圧の補正テーブルである。
【図11】補正テーブルに基づく補正後においてトナー濃度が6%で現像器が水平であるときの設定出力値2.5Vの出力値グラフに対し現像器がマイナス5度傾いたときのセンサ出力もプラス5度傾いたときのセンサ出力も共にトナー濃度6%に対し2.5Vの出力値を示す図である。
【図12】(a)は補正テーブルを用い現像器の傾きを判別して正確なトナー濃度制御が出来るようにする処理のフローチャート、(b)は(a)の処理で補正されたトナー濃度センサの出力に基づいて現像剤にトナーを適正に補給する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の実施例では、トナーとキャリアから成る二成分現像剤が使用されるが、以下の説明では二成分現像剤を単に現像剤という。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0030】
図1に示す画像形成装置1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、で構成されている。
【0031】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9y、9m、9c、9k)を多段式に並設した構成からなる。この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能に画像形成装置1本体のフレームに保持されている。
【0032】
上記4個の現像装置9のうち下流側(図の右側)の3個の現像装置9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0033】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)のトナー用の現像装置9kを例にしてその構成を説明する。
【0034】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0035】
現像器14は、現像ローラ15の下方に位置する2つの現像槽内に、第1の攪拌搬送部材16、及び第2の攪拌搬送部材17を備えている。第1及び第2の攪拌搬送部材16及び17については詳しくは後述する。
【0036】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印a及びbで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ18と従動ローラ19を備えている。
【0037】
上記の転写ベルト8は、下方を循環移動するベルト表面に、ユニットと一体に組み込まれて転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接する一次転写ローラ21によりトナー像を直接転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0038】
この転写ベルトユニット3には、駆動ローラ18に掛け渡されている表面に、ベルトクリーナ24のクリーニングブレード25が当接して配置されている。ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器26が着脱自在に配置されている。
【0039】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレード25が転写ベルト8の表面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送部材により下方の廃トナー回収容器26に送り込んでいる。
【0040】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のトナーホッパー27(27y、27m、27c、27k)で構成される。4個のトナーホッパー27y、27m、27c、27kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収容している。
【0041】
トナー供給部4は、同図にY、M、C、K(以下、関連する記載を「YMCK」として表わす)で示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーを、不図示のトナー供給路を介して現像装置9の現像器14に供給する。
【0042】
給紙部5は、1個の給紙カセット29を備えている。給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0043】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ19に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙への二次転写部23を形成している。
【0044】
この二次転写部23と最下流の現像装置9mとの略中間位置で、転写ベルト8の下部走行部表面8aに近接して、拡散反射型濃度センサ36が配設されている。また、二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0045】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する不図示の搬出ローラ対及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する不図示の排紙ローラ対が配設されている。排紙トレー37より右方に位置する本体上面端部はやや傾斜して操作パネル部38が配置されている。
【0046】
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。図2に示すように回路ブロックは、プリンタコントローラ部40が中心となっている。このプリンタコントローラ部40には、複数のバス41を介してネットワークコントローラ部42のI/F(インターフェイス)43、ヘッドコントローラ部44が接続されている。
【0047】
上記のネットワークコントローラ部42のI/F43には他のバス41を介して前述した操作パネル部38が接続されている。また、I/F43には、例えばパーソナルコンピュータ等の図外のホスト機器から印字データ等の信号が入力される。
【0048】
ネットワークコントローラ部42は、I/F43を介して外部から入力される印字データをヘッドコントローラ部44に送信し、印字データに含まれるコマンドデータや操作パネル部38から入力される指示データをプリンタコントローラ部40に送信する。
【0049】
プリンタコントローラ部40には、バス41を介して、更に、EEPROM(electrically erasable programmable ROM) 45、ROM(read only memory)46、給紙モータ47が接続されている。
【0050】
プリンタコントローラ部40は、ROM46に格納されている制御プログラムを読出し、その読み出した制御プログラムにしたがって、拡散反射型センサ36、レジストセンサ49、YMCKごとのDDS(developer drum set、本例では現像装置9を指す)新旧検知センサ51等から受信するセンサ出力に応じて各部を制御する。
【0051】
また、プリンタコントローラ部40は、YMCKごとのトナー濃度センサ62(62y、62m、62c、62k)から受信するセンサ出力信号が、トナー補給閾値を超えるか否かを監視し、トナー補給閾値を超えたときは、YMCKごと対応するトナー補給装置57、58、59、61を駆動してトナーを現像装置9に補給する。
【0052】
また、プリンタコントローラ部40は、ネットワークコントローラ部42から受信した印字データに基づいて、一方ではヘッドコントローラ部44を介しYMCKごとのヘッド(光書込ヘッド13)の光書き込みを制御する。
【0053】
また、プリンタコントローラ部40は、上記の印字データに基づいて、他方では給紙モータ47を制御して用紙を二次転写部23まで搬送させ、高圧ユニット52を制御してYMCKごとの駆動装置53、54、55、56の帯電ローラ12、現像ローラ15、一次転写ローラ21、二次転写ローラ35等へバイアス電圧を印加する。
【0054】
また、プリンタコントローラ部40は、YMCKごとのトナー濃度センサ62がトナー補給閾値を検知するために出力する出力信号に基づいて、詳しくは後述する現像装置9の傾きと、その傾きに応じた新たなトナー濃度センサ制御電圧値を取得して、その取得した新たなトナー濃度センサ制御電圧値によりトナー濃度センサを駆動する。
【0055】
図3(a),(b)は、上記現像器14を感光体ドラム10と共に示す拡大断面図である。図3に示すように、現像器14は、外壁63と内部隔壁64とで仕切られる2つの現像槽65(65a、65b)を備えている。
【0056】
上方の現像槽65aには、前述した現像ローラ15と第1の攪拌搬送部材16が配置されている。現像ローラ15には、ドクターブレード66が当接している。下方の現像槽65aには前述した第2の攪拌搬送部材17が配置されている。この現像槽65aにはトナー濃度センサ62がその検知面67を槽内に露出して配置されている。
【0057】
第1の攪拌搬送部材16は、回転軸68とこの回転軸68に螺旋状に固設された螺旋状フィン69とで構成されている。第2の攪拌搬送部材17は、回転軸71とこの回転軸71に螺旋状に固設された螺旋状フィン72とで構成されている。
【0058】
第1の攪拌搬送部材16は、矢印cで示すように図の反時計回り方向に回転し、現像槽65a内の現像剤を螺旋状フィン69で攪拌しながら矢印eで示すように図の紙面奥行き方向手前から向こう側へ搬送し、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0059】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽65a内の現像剤に混合され、図の紙面奥行き方向向こう側の不図示の出口で現像槽65bに送り戻す。
【0060】
現像槽65b内の第2の攪拌搬送部材17は、矢印dで示すように図の反時計回り方向に回転し、現像槽65b内の現像剤を螺旋状フィン72で攪拌しながら矢印fで示すように図の紙面奥行き方向向こう側から手前へ搬送する。
【0061】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ62がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーホッパー27から補給口を介してトナーが補給される。
【0062】
第2の攪拌搬送部材17は、現像剤を攪拌搬送しながら、図の紙面奥行き方向手前側の不図示の供給口で、現像剤を現像槽65aに送り出す。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0063】
上記のトナー濃度センサ62の検知面67は槽内に露出して配置されているので、現像剤が検知面67に滞留しやすい。現像剤が検知面67に滞留するとトナー濃度センサ62の検知精度が低下する。
【0064】
このトナー濃度センサ62の検知精度の低下を防止するために、現像槽65b内の第2の攪拌搬送部材17の回転軸71には、トナー濃度センサ62の検知面67に対向して回転する位置に、ブレード保持部73とこのブレード保持部73に保持された弾性体シート(ブレード)74から成るクリーニングブレード75が固設されている。
【0065】
クリーニングブレード75は、攪拌搬送部材17の回転軸71と共に回転し、図3(b)に示すように、トナー濃度センサ62の検知面67を弾性体シート74により摺擦して、検知面67に滞留しようとする現像剤を払い飛ばして、直後に搬送されてくる現像剤と入替える。
【0066】
これにより、トナー濃度センサ62の検知面67に現像剤が滞留することによって生じる虞のあるトナー濃度の誤検知を防止している。
【0067】
図4(a)は、上記の現像槽65b内の第2の攪拌搬送部材17とクリーニングブレード75とトナー濃度センサ62の各部の配置関係を分かりやすく示すため、現像槽65b内の各部の構成を、図3(b)の矢印gで示す横方向から見た図である。
【0068】
図4(b)は、図4(a)の破線hで囲んで示す部分の拡大図である。なお、図4(a)と図4(b)では第2の攪拌搬送部材17の螺旋状フィン72の傾きが逆になっているが、これは図4(b)には図4(a)を紙面の反対側から見た場合を示しているためである。
【0069】
尚、図4(a),(b)には、図3(a),(b)に示す構成と同一の構成部分には図3(a),(b)と同一の番号を付与して示している。図4(a)に示すように、トナー濃度センサ62は、検出精度を上げるために、その検知面67を現像槽65bの槽内にやや突き出るように露出して配置されている。
【0070】
ただし、現像剤の流れを円滑にするように、槽内の内壁は、トナー濃度センサ62の検知面67の突出した角部から前後左右に傾斜をもってなだらかに形成されている。
【0071】
図5は、上述したトナー濃度センサ62の出力の例を示す図である。尚、図5は横軸に時間(秒(s))を示し、縦軸にトナー濃度センサ62の出力平均(電圧(V))を示している。実線のグラフ76(76a、76b、76c)は、トナー濃度センサ62の出力値の変化を示している。
【0072】
ここで、トナー濃度センサ62の出力を説明するために、再び二成分現像剤をキャリアとトナーに分けて考える。トナーが多いと二成分現像剤の透磁率が下がり透磁センサつまりトナー濃度センサ62の出力値が下がる。
【0073】
逆にトナーが少ないと二成分現像剤の透磁率が上昇し透磁センサつまりトナー濃度センサ62の出力値が上昇する。このことからトナーを補給すべき現像剤濃度に対応するトナー濃度センサ62の出力値を補給閾値77(図5の破線で示す値)として例えばEEPROM45等に予め設定しておく。
【0074】
そして、図5の時間t1で印字を開始してから、時間t2で減少したトナーの量をトナー濃度センサ62の出力値の上昇によって検知し、トナー濃度センサ62の出力値の上昇に対応するYMCKいずれかの現像装置9のトナー補給装置を駆動して現像装置9にトナーを補給する。
【0075】
そして、時間t3で、トナー濃度センサ62の出力値が補給閾値77を満たせば、トナー補給装置の駆動を停止させ、トナーの補給を止める。
【0076】
尚、図には示していないが、トナー濃度が所定値より低下し(時間t2参照)、トナー補給の動作を行っても所定時間内(時間t3参照)にトナー濃度が上昇しないときは、トナーホッパー27にトナーが無いと判断して印字処理を停止する。
【0077】
ところで、図5に実線のグラフ76(76a、76b、76c)で示すトナー濃度センサ62の出力値は、出力値の平均を示している。ここでいう平均とは、トナー濃度センサ62の本来の出力値であるべき実線のグラフ76(76a、76b、76c)に重畳して現れる小幅周期のパルス信号の値を平均することである。
【0078】
図6は、トナー濃度センサ62の本来の出力値であるべき出力信号に重畳して現れる小幅周期のパルス信号を示す図である。ここで、トナー濃度センサ62の本来の出力値に重畳されて上記のような小幅周期のパルス信号が発生する理由を説明する。
【0079】
図3(b)に示したように、クリーニングブレード75の弾性体シート74は、第2の攪拌搬送部材17の回転軸71の回転に伴われて一定周期でトナー濃度センサ62の検知面67を摺擦する。
【0080】
弾性体シート74が検知面67を摺擦中は、弾性体シート74が検知面67に対して現像剤を押し付ける状態となって検知面67における現像剤の密度が上昇し、トナー濃度センサ62の出力値がやや上昇する。
【0081】
そして、弾性体シート74による検知面67の摺擦が終了した直後は、弾性体シート74が検知面67近傍の現像剤を跳ね飛ばすため、検知面67近傍に空隙が生じて検知面67における現像剤の密度が低下し、トナー濃度センサ62の出力値がやや下降する。
【0082】
このように、第2の攪拌搬送部材17による撹拌動作時に弾性体シート74が検知面67を摺擦する周期に合わせて、トナー濃度センサ62の検知出力値が周期的に変化する。これが図6(a),(b)に示す小幅周期のパルス信号78である。
【0083】
すなわち、パルス信号78のMax値78aは、クリーニングブレード75の弾性体シート74がトナー濃度センサ62の検知面67を摺擦したタイミングを示している。そして、パルス信号78のMin値78bは、弾性体シート74が検知面67から離れたタイミングを示している。
【0084】
図5に実線のグラフ76(76a、76b、76c)で示すトナー濃度センサ62の出力値は、上記のようなパルス信号78の出力値の平均値を算出して得たものである。
【0085】
図7は、現像器14を図3(b)の矢印gで示す向に切断して内部構成と現像剤の還流経路を示す断面図である。なお、図7には図3(a),(b)の構成と同一の構成部分には図3(a),(b)と同一の番号を付与して示している。また、図7ではクリーニングブレード75の図示を省略し、トナー濃度センサ62も極く簡略に示している。
【0086】
また、図7には、第2の攪拌搬送部材17が現像槽65bから現像槽65aに現像剤を送り出す供給口81と、第1の攪拌搬送部材16が現像槽65aから現像槽65bに現像剤を送り戻す出口82を示している。なお、現像槽65a及び65b内に示す矢印は現像剤の還流方向を示している。
【0087】
図8(a)は、図7に示した現像器14が水平な状態であるときのトナー濃度センサ62に対する現像剤63の状態を示す図、図8(b)は現像器14が水平面84から矢印jで示す角度プラス方向に傾いているときのトナー濃度センサ62に対する現像剤83の状態を示す図、図8(c)は現像器14が水平面84から矢印kで示す角度マイナス方向に傾いているときのトナー濃度センサ62に対する現像剤83の状態を示す図である。
【0088】
現像器14が図8(b)に示す角度プラス方向に傾いているときは、現像剤83が左側つまりトナー濃度センサ62から遠のく方向に片寄って、トナー濃度センサ62部分の現像剤83は水平時のときよりも少なくなる。したがって、トナー濃度センサ62の出力は低下する。
【0089】
逆に、現像器14が図8(c)に示す角度マイナス方向に傾いているときは、現像剤83が右側つまりトナー濃度センサ62に近づく方向に片寄って、トナー濃度センサ62部分の現像剤83は水平時のときよりも多くなる。したがって、トナー濃度センサ62の出力は上昇する。
【0090】
このように、現像剤83のトナー濃度が同一であっても、現像器14が角度プラス又は角度マイナスのいずれかの方向に傾いていると、トナー濃度センサ62の部分の現像剤83の量に差が生じ、トナー濃度センサ62の出力が、基準よりも低下又は上昇するように変化する。
【0091】
図9は、トナー濃度を6%にしたとき、このトナー濃度を検知したトナー濃度センサ62の出力値が2.5Vとなるように初期設定された現像器14に傾きが生じたときのトナー濃度センサ62の出力値の変化を示す図グラフである。
【0092】
図9に示すように、6%のトナー濃度に対して出力値が2.5Vとなるように初期設定されたトナー濃度センサ62のトナー濃度5%、6%、7%に対する現像器14が水平であるときの出力値グラフ85に対して、現像器14が角度マイナス方向に5度傾いたときはセンサ出力86は高くなっており、現像器14が角度プラス方向に5度傾いたときはセンサ出力87は低くなっている。
【0093】
ところで、図3(a),(b)に示した感光体ドラム10を含む現像器14は、プリンタ1に対する消耗品である。この現像器14は、図示を省略した不揮発メモリを実装している。新品の現像器14の不揮発メモリには、組立生産して工場から出荷する際に、現像器14が新品であることのデータと、トナー濃度センサを駆動する制御電圧の初期値が格納される。
【0094】
その制御電圧の初期値は、トナー濃度6%の現像剤83を充填されている現像器14を水平の状態にしたときにトナー濃度センサ62が2.5Vの検知信号を出力できる制御電圧値である。本例では5.75Vである。
【0095】
図10は、上記のようにトナー濃度センサ62の制御電圧の初期値が設定されている現像器14が傾いた状態でプリンタ本体が設置されたときの、トナー濃度センサ62に対する制御電圧の補正テーブルである。
【0096】
この補正テーブル88は、トナー濃度6%の現像剤83を充填されている現像器14が水平の状態のときトナー濃度センサ62が2.5Vの検知信号を出力するよう制御電圧が5.75Vに初期設定されている現像器14を角度プラス方向とマイナス方向に傾ける実地試験を行って経験的に得られたデータからなるテーブルである。
【0097】
この実地試験では、補正テーブル88の傾き(度)欄90の下1/2に示すように、先ず、現像器14を水平の状態から角度プラス方向に0.5度ずつ最大8.0度まで順次傾きを大きくしてゆき、そのときのトナー濃度センサ62の出力を測定する。
【0098】
測定してみると、補正テーブル88のセンサ出力値(V)欄91の下1/2に示すように、センサ出力は水平時の2.50Vから0.05Vずつ1.70Vまで順次低下していく。トナー濃度6%は不変であるから本来トナー濃度センサ62の出力は2.5Vでなければならない。
【0099】
そこで、2.50Vから0.05Vずつ1.70Vまで順次低下していくトナー濃度センサ62の出力を2.50Vに維持するための補正用制御電圧値がどれくらい必要であるかを実験してみる。
【0100】
この実験で経験的に得られた角度プラス方向の各傾きに対する補正用制御電圧値が、補正テーブル88の制御電圧値(V)欄92の下1/2に記述されている数値である。
【0101】
次に、この実地試験では、補正テーブル88の傾き(度)欄90の上1/2に示すように、現像器14を水平の状態から角度マイナス方向に0.5度ずつ最小「−8.0度」まで順次傾きを大きくしてゆき、そのときのトナー濃度センサ62の出力を測定する。
【0102】
測定してみると、補正テーブル88のセンサ出力値(V)欄91の上1/2に示すように、センサ出力は水平時の2.50Vから0.05Vずつ3.30Vまで順次上昇していく。この場合もトナー濃度6%は不変であるから本来トナー濃度センサ62の出力は2.5Vでなければならない。
【0103】
この場合も、2.50Vから0.05Vずつ3.30Vまで順次上昇していくトナー濃度センサ62の出力を2.50Vに維持するための補正用制御電圧値がどれくらい必要であるかを実験してみる。
【0104】
この実験で経験的に得られた角度マイナス方向の各傾きに対する補正用制御電圧値が、補正テーブル88の制御電圧値(V)欄92の上1/2に記述されている数値である。また、補正テーブル88の「△V値」欄89には、トナー濃度センサ62の補正前の出力値と2.50Vとの差分が記述されている。
【0105】
したがって、新品の現像器14が傾いてトナー濃度センサ62の出力と2.50Vとの間に差分が生じていれば、その差分「△V値」と補正テーブル88とから、現像器14の傾きの方向と程度、及びトナー濃度センサ62の出力を補正するための補正用制御電圧値を知ることができる。
【0106】
この補正テーブル88は、現像器14を組立生産して工場から出荷する際に、現像器14に内蔵されている不揮発メモリに書き込まれる。不揮発メモリには、現像器14に充填されている現像剤83のトナー濃度が6%であること、そのときにトナー濃度センサ62が2.5Vの検知信号を出力すべきこと、そのための制御電圧が5.75Vであること、が初期設定データとして記録されている。
【0107】
図11は、上記の補正テーブル88によって、図9に示した「−5度」の傾きを持った新品の現像器14のトナー濃度センサ62の出力を補正した後の出力値、及び「+5度」の傾きを持った新品の現像器14のトナー濃度センサ62の出力を補正した後の出力値を示すグラフである。
【0108】
図11に示すように、トナー濃度が6%のときにおいて、現像器14が水平であるとき出力値2.5Vに設定されているトナー濃度センサ62の水平時の出力値グラフ85に対して、現像器14がマイナス5度傾いたときのセンサ出力86も、現像器14がプラス5度傾いたときのセンサ出力87も共にトナー濃度6%に対し2.5Vの出力値を示している。
【0109】
図12(a)は、プリンタコントローラ部40によって行われる上記の補正テーブル88を用い現像器の傾き(つまりプリンタ本体の傾き)を判別して正確なトナー濃度制御が出来るようにする処理のフローチャートである。
【0110】
図12(b)はプリンタコントローラ部40によって行われる同図(a)の処理で補正されたトナー濃度センサ62の出力に基づいて濃度の低下した現像剤にトナーを適正に補給する処理のフローチャートである。
【0111】
図12(a)において、感光体ドラム10を含む新品の現像器14がプリンタ1の装置本体に装着されると、プリンタコントローラ部40(以下、単に制御部40という)は、現像器14のメモリのデータ内容からトナー濃度センサ62の制御電圧値(Vcont:本例では図10に示した5.75V)を読み込む。そして、その読み込んだ制御電圧値(Vcont)をCMYKごとのトナー濃度センサ62に設定する
【0112】
次に、制御部40は、新品の現像器14の空駆動(感光体ドラム10に対する現像は行わず、単に各部を駆動して現像剤83を2つの現像槽65(65a、65b)に循環させる駆動)を行い、トナー濃度センサ62の出力値(Vnew)を読み出す(ステップS2)。
【0113】
そして、その読み出したトナー濃度センサ62の出力値(Vnew)と新品の現像器14のメモリに格納されているデータ内容(図10の補正テーブル88)の設定値2.5Vとの差分△Vを算出し、|△V|≦300mVであるか否か判別する(ステップS3)。
【0114】
この差分閾値300mVは、上述した実地試験中において、|△V|≦300mVであれば、トナー濃度センサ62のその後の出力値に、トナー補給時期を検出する点において大きな誤差は発生しないことが判明したことに拠っている。
【0115】
上記ステップS3の判別において、|△V|≦300mVであれば(S3の判別がYes)、制御部40は、上記メモリから読み出したトナー濃度センサ62の制御電圧値(Vcont)を、以後トナー濃度センサ62を駆動するための制御電圧値として設定し(ステップS4)、処理を終了する。
【0116】
一方、上記ステップS3の判別で、|△V|>300mVであれば(S3の判別がNo)、その差分△Vと補正テーブル88とから現像器14の傾きを決定し、その傾きに対応する制御電圧値の設定値(Vcont)を補正テーブル88の制御電圧値(V)欄92から取得し、その取得した制御電圧値の設定値(Vcont)を新たな制御電圧値(Vcont)としてトナー濃度センサ62に再設定する(ステップS)。
【0117】
そして、制御部40は、ステップS2の処理に戻り、ステップS2、S3を繰り返す。そこでステップS3の判別がNoであれば、ステップS3の判別がYesとなるまでステップS5、S2、S3を繰り返す。
【0118】
これにより、新品の現像器14が傾きを持って設置された場合でも、トナー濃度センサ62を駆動するための適正に補正された制御電圧値が設定される。
【0119】
上記に続いて図12(b)において、制御部40は、印字を開始する(ステップS10)。続いて、制御部40は、先ず、CMYKごとのトナー濃度センサ62の出力値T/D(V)を個々に読み出す(ステップS11)。
【0120】
次に、制御部40は、ステップS11の処理で個々に読み出したCMYKごとのトナー濃度センサ62の出力値T/D(V)がトナー補給閾値以下であるか否か判別する(ステップS12)。
【0121】
そして、トナー濃度センサ62の出力値T/D(V)がトナー補給閾値以下なら(S12の判別がYes)、制御部40は、印字が終了(外部のホスト機器からの印字データが無い、又は操作パネル部からの停止指示)か否かを判別する(ステップS13)。
【0122】
そして、印字終了でなければ(S13の判別がNo)、ステップS11に戻って、ステップS11〜S13の処理を繰り返す。
【0123】
また、上記ステップS12の判別で、トナー濃度センサ62の出力値T/D(V)がトナー補給閾値を超えていたときは(S12の判別がNo)、制御部40は、そのトナー濃度の低いトナーの色に対応するYMCKいずれかのトナーホッパー27(27y、27m、27c、27k)からトナー補給を実行して(ステップS14)、ステップS11に戻り、ステップS11、S12、S14を繰り返す。
【0124】
そして、トナーの濃度が適正値に回復したときは(S12の判別がYes)、制御部40は、再びステップS13に進み、S13の判別がNoなら、更にステップS11、S12、S13、又はS11、S12、S14、S11の処理を繰り返す。
【0125】
やがて、ステップS13の処理で印字終了が判別されたときは(S13の判別がYes)、制御部40は、図2に示した各部の駆動を停止して印字処理を終了する。
【0126】
これにより、新品の現像器14が傾きを持って設置された場合でも、補正された制御電圧値によって駆動されるトナー濃度センサ62の出力によって、トナーを補給する適正なタイミングが認識され、トナーの補給が行われて、常に高品質の画像を印字することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、電子写真方式の複写機、ワードプロセッサ、ファクシミリ、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 フルカラー画像形成装置
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 現像装置
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 第1の攪拌搬送部材
17 第2の攪拌搬送部材
18 駆動ローラ
19 従動ローラ
21 一次転写ローラ
23 二次転写部
24 ベルトクリーナ
25 クリーニングブレード
26 廃トナー回収容器
27(27m、27c、27y、27k) トナーホッパー
29 給紙カセット
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
35 二次転写ローラ
36 拡散反射型濃度センサ
37 排紙トレー
38 操作パネル部
40 プリンタコントローラ
41 バス
42 ネットワークコントローラ部
43 I/F(インターフェイス)
44 ヘッドコントローラ部
45 EEPROM(electrically erasable programmable ROM)
46 ROM(read only memory)
47 給紙モータ
49 レジストセンサ
51 DDS(developer drum set:現像装置)新旧検知センサ
52 高圧ユニット
53 Y−駆動装置
54 M−駆動装置
55 C−駆動装置
56 K−駆動装置
57 Yトナー補給装置
58 Mトナー補給装置
59 Cトナー補給装置
61 Kトナー補給装置
62 トナー濃度センサ
62y Yトナー濃度センサ
62m Mトナー濃度センサ
62c Cトナー濃度センサ
62k Kトナー濃度センサ
63 外壁
64 内部隔壁
65(65a、65b) 現像槽
66 ドクターブレード
67 検知面
68、71 回転軸
69、72 螺旋状フィン
73 ブレード保持部
74 弾性体シート(ブレード)
75 クリーニングブレード
76(76a、76b、76c) トナー濃度センサの出力平均(V)
77 補給閾値
78 パルス信号
78a パルス信号Max値
78b パルス信号Min値
81 供給口
82 出口
83 現像剤
84 水平面
85、86、87 トナー濃度センサ出力値
88 補正テーブル
89 △V値欄
90 傾き(度)欄
91 センサ出力値(V)欄
92 制御電圧値(V)欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適正なトナー濃度の現像剤を収容している新品の現像器のメモリに格納されているトナー濃度センサ制御電圧基準値と、
前記新品の現像器が画像形成装置本体に装着されたとき前記メモリから前記トナー濃度センサ制御電圧基準値を読み出す制御電圧読出手段と、
該制御電圧読出手段により読み出された前記トナー濃度センサ制御電圧基準値にて前記新品の現像器のトナー濃度センサを駆動するセンサ駆動手段と、
該センサ駆動手段により駆動された前記トナー濃度センサの出力値を読み取るセンサ出力読取手段と、
該センサ出力読取手段が読み取った前記トナー濃度センサの出力値と、前記適正なトナー濃度の現像剤を収納している新品の前記現像器が水平に設置されているとき前記トナー濃度センサが出力すべき適正出力値との差分を算出する差分算出手段と、
該差分算出手段により算出された前記差分と該差分に対応する前記現像器の傾き度との関係と、該傾き度と該傾き度における前記トナー濃度センサの出力値が前記適正出力値となるように補正するトナー濃度センサ制御電圧値との関係を示すテーブルと、
を備え、
前記センサ駆動手段は、前記差分算出手段により算出された前記差分と前記テーブルとに基づいて前記新品の現像器の傾き度を取得し、該取得した前記傾き度と前記テーブルとに基づいて前記トナー濃度センサの前記適正出力値に補正すべき前記トナー濃度センサ制御電圧値を取得し、該取得した前記トナー濃度センサ制御電圧値により前記トナー濃度センサを駆動する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記センサ駆動手段は、前記差分の絶対値が300mV(ミリボルト)を超えたとき前記差分と前記テーブルとに基づいて前記新品の現像器の傾き度を取得し、該取得した前記傾き度と前記テーブルとに基づいて前記トナー濃度センサの前記適正出力値に補正すべき前記トナー濃度センサ制御電圧値を取得し、該取得した前記トナー濃度センサ制御電圧値により前記トナー濃度センサを駆動し、
前記センサ出力読取手段は、前記センサ駆動手段により駆動された前記トナー濃度センサの出力値を読み取り、
前記差分算出手段は、前記センサ出力読取手段が読み取った前記トナー濃度センサの出力値と、前記トナー濃度センサが出力すべき適正出力値との差分を算出し、
前記センサ駆動手段は、前記差分と前記テーブルとに基づいて前記新品の現像器の傾き度を取得し、該取得した前記傾き度と前記テーブルとに基づいて前記トナー濃度センサの前記適正出力値に補正すべき前記トナー濃度センサ制御電圧値を取得し、該取得した前記トナー濃度センサ制御電圧値により前記トナー濃度センサを駆動するということを繰り返す、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記センサ駆動手段は、前記差分の絶対値が300mV(ミリボルト)以下であるとき前記トナー濃度センサを駆動した前記トナー濃度センサ制御電圧値を前記トナー濃度センサ制御電圧基準値に設定する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図12】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−103560(P2012−103560A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253049(P2010−253049)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】