画像形成装置
【課題】非画像部直後の画像部先端での画像濃度が高まることによる濃度偏差を完全に解消することができる構成を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有する現像装置本体と、当該装置本体に連結し、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備える画像形成装置において、画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することを特徴とする。
【解決手段】トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有する現像装置本体と、当該装置本体に連結し、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備える画像形成装置において、画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、潜像担持体に形成されるトナー像の濃度偏差を解消する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子写真方式による画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像がトナーにより可視像処理され、トナー像が記録紙などの記録媒体に転写されたうえで定着されることにより複写出力を得るようになっている。
【0003】
画像形成装置においては、単一色だけでなく、フルカラーなどの複数色の画像を形成する構成を備えたものもあり、この場合には、複数の作像部において形成された、異なる色の画像をベルトなどの中間転写体に対して順次転写(1次転写)したうえで、重畳画像を記録シートなどの記録媒体に対して一括転写(2次転写)する方式を用いることがある。
【0004】
可視像処理に用いられる現像装置には、トナーとキャリアとしての磁性粒子とを含む二成分系現像剤を用いる構成あるいはキャリアを含まない一成分系現像剤のいずれかを使用することが知られている。
一成分系現像剤を用いる場合には、層厚規定ブレードを通過する際にトナーを帯電させるようになっているが、供給ローラから現像ローラへの一回の供給によって,現像ローラ上のトナーの付着量を飽和させることは困難であるため,大面積のベタ画像を連続印字した場合の画像濃度と,広い非画像部領域の直後にベタ画像の濃度が異なるという、所謂、現像履歴(ゴースト)が生じるという不具合がある。
【0005】
この場合の現像履歴(ゴースト)は、例えば、ハーフトーン画像内に文字などの残像が現れるようないわゆる、不要な残像、換言すれば、濃度の異なる像が現出することに相当している。この発生原因としては、現像ローラ上のトナーのうちで画像(現像部)に対面したトナーと非画像部(非現像部)に対面したトナーと現像ローラに担持されているトナーとにトリボと称される単位面積当たりの電荷量が異なることにあることが判明している(例えば、特許文献1)。つまり、非現像部に対面したトナーは現像のために静電潜像に向けて転移することがないので、静電潜像に向け転移した部分のトナーに比べて層厚規制ブレードとの摩擦回数が多くなり、この結果として、非現像部でのトナーのトリボが現像部のトナーよりも高くなり、濃度ムラの原因となる。
【0006】
そこで、一成分現像剤を用いる場合に、供給ローラから現像ローラへのトナーの供給速度を上げるために供給ローラの速度を上げることが考えられる。しかし、このような方法では、現像ローラと供給ローラとの接触部で熱が発生し、現像ローラへ規制ブレードへのトナー固着やトナーの劣化が促進されてしまうという新たな問題が生じる。
【0007】
また、トナーの供給量を上げるために供給ローラと現像スリーブとの当接圧を上げたり、低付着量で飽和させるために規制ブレードと現像ローラとの当接圧を上げても、同様に固着やトナー劣化が加速される問題があった。
【0008】
一方、供給量を増やすために供給ローラの数を増やす手段は現像器の容積(小型化)に対しデメリットであった。特に、近年の一成分現像器では,印字速度に対する要求から現像ローラの線速が益々上がっており、供給ローラから現像ローラへのトナーの供給を一回で飽和させるのは発熱の点でより厳しくなっていた。これらの問題があることが理由として、高画質が要求される印字装置に一成分現像方式を採用する例はほとんど採用されないのが現状である。
【0009】
これに対し、二成分系現像剤を用いる場合には、キャリアとトナーとの攪拌混合が十分に行えることで上述した一成分系現像剤において生じる不具合が少ないものの、上述した現像履歴に関する問題がある。
【0010】
特に、非現像部直後に現像部が現像位置に達した際には、図19に示すように、画像部先端の濃度が高くなる。この現象は、現像工程にて現像スリーブ1周前の現像履歴が現像スリーブ上に残り、2周目の現像時に1周目の現像履歴が残像として発生することが原因していると考えられる。
【0011】
濃度偏差を解決するための方法として、現像剤担持体に対向する電極板を設け、電極板に振動電界を与えて担持体上のトナーを再配置して残像を破壊した状態とすることで濃度偏差の低減を図る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
またこれとは別の方法として、現像剤の担持方法としてはキャリアを介した二成分系現像剤を担持する同様な方法を用い、画像部に対向する部分では潜像に対してトナーを飛翔される一成分系現像剤を用いた場合の可視像処理と同様な方法を用いるといキャリアの粒径分布と円経度とを規定して濃度ムラの低減を図る方法(例えば、特許文献2)、現像後の現像剤担持体から残留するトナーを剥離することにより、現像履歴が生じる条件をなくす方法(例えば、特許文献3)、累積印字枚数に応じて現像前に現像ユニットでの空攪拌時間を調整して非画像部と画像部とを対象とした現像剤担持体上での帯電量差をなくすことにより濃度偏差をなくす方法(例えば、特許文献4)などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献に開示されている方法は、いずれも一成分系現像剤に関する方法であり、二成分系現像剤を対象とするものではない。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤を用いる場合と違って摩擦帯電方式がことなるため、上記各方法をそのまま適用することができない。
【0013】
一方、二成分系現像剤用いる場合においても、一成分系現像剤と同様に、非画像部直後の画像部先端部において画像の濃度偏差が見受けられることは前述したとおりである。
特に、二成分系現像剤を用いる場合に、現像剤担持体上での現像剤を磁力により剥離しても濃度偏差を発生することが発明者によって確認されており、上述した各方法を適用した場合でも二成分系現像剤を用いた場合の現像履歴を完全に解消することは困難であるのが現状である。
【0014】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置における問題、特に現像履歴に関する問題に鑑み、非画像部直後の画像部先端での画像濃度が高まることによる濃度偏差を完全に解消することができる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するため、本発明は、次の構成よりなる。
(1)トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有する現像装置本体と、当該装置本体に連結し、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備える画像形成装置において、
画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することを特徴とする画像形成装置。
【0016】
(2)前記画像形成条件は、前記潜像担持体の移動方向に沿った現像剤担持体の周長ピッチに対する画像パターンが非画像部から画像部に切り替わる直後の画像先端に発生する濃度偏差発生領域を対象とした現像ポテンシャルを、画像形成時での現像ポテンシャルに対して低く設定することを特徴とする(1)記載の画像形成装置。
【0017】
(3)前記画像形成条件を設定する際に用いられる、画像先端部分に発生する濃度上昇発生領域L〔mm〕は、感光体の回転周速Vp〔mm/s〕、現像スリーブ回転周速Vs〔mm/s〕、現像スリーブ直径Ds〔mm〕に基づき、L=πDs/(Vs/Vp)で求められることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0018】
(4)前記プレミックス剤のプレミックス率(補給トナーに含まれるキャリアの重量比(%))が、8〜12%であり、最適値としては10%であることを特徴とする(1)記載の画像形成装置。
【0019】
(5)前記画像形成条件を温度に応じて変化させることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0020】
(6)前記画像形成条件を湿度に応じて変化させることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0021】
(7)前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光パワーを制御することを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0022】
(8)前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光時間を制御することを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0023】
(9)前記画像形成条件として、現像剤担持体に印加する電圧を制御することを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0024】
(10)前記画像濃度条件を変更手段は、所定の非画像形成タイミングで、上記現像剤担持体の表面移動一周期に対応する距離以上の間隔をあけた複数箇所の画像濃度を把握するための基準濃度パターンを形成するための露光処理を行い、これにより得られる潜像に対して上記現像処理を行ってトナーを付着させて該基準濃度パターンを形成し、該基準濃度パターンにおける該複数箇所の画像濃度を画像濃度検知手段により検知した結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とする(1)乃至(9)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0025】
(11)潜像担持体上のトナー像を被転写体へ転写した後に該潜像担持体上に残存する転写残トナーを上記現像剤担持体に再度担持させて再び現像処理に寄与させるトナーリサイクル手段を有することを特徴とする(1)乃至(10)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、プレミックストナーを使用し、かつ、出力する画像領域内で画像形成条件(現像ポテンシャル)を多段階に変化させることにより、キャリア劣化による影響を受けることなく、環境変化などに拘わらず濃度上昇発生領域を対象とした濃度偏差を抑えて均一な濃度の画像を得ることが可能となる。
【0027】
特に、画像パターンが切り替わる箇所が対象となりやすい濃度上昇発生領域に対して、画像形成条件として用いられる露光パワー、露光時間、現像バイアスをそれぞれ制御することで現像ポテンシャルを作像時よりも小さくすることでトナーの付着量を調整できる。これにより、画像形成領域全般での現像履歴による濃度偏差の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による画像形成装置の全体構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの構成を説明するための模式図である。
【図3】画像濃度偏差が発生している一態様を説明するための図である。
【図4】図3に示した態様での用紙先端からの画像濃度を示す線図である。
【図5】現像剤の新品時と経時劣化時での濃度変化を説明するための図である。
【図6】補給現像剤にプレミックス現像剤を用いた場合の印刷枚数と画像濃度変化とを説明するための線図である。
【図7】請求項1乃至3記載の発明に係る実施例に用いる現像ポテンシャルと経時時間との関係を説明するための説明するための線図である。
【図8】請求項1乃至3記載の発明に係る実施例による濃度上昇領域での画像濃度の変化を説明するための線図である。
【図9】スリーブの回転周期に対する現像形成条件を多段階で制御した場合の濃度変化の状態を説明するための線図である。
【図10】請求項4記載の発明に係る実施例に用いられるプレミックス率と画像濃度との関係を説明するための線図である。
【図11】低温低湿の場合での画像濃度偏差の発生状態を説明するための図である。
【図12】高温高湿の場合での画像濃度偏差の発生状態を説明するための図である。
【図13】請求項5記載の発明に係る実施例に用いる温度と画像濃度との関係を説明するための線図である。
【図14】請求項6記載の発明に係る実施例に用いられる湿度と画像濃度との関係を説明するための線図である。
【図15】請求項7記載の発明に係る実施例に用いられる露光パワーと現像ポテンシャルとの関係を説明するための線図である。
【図16】請求項8記載の発明に係る実施例に用いられる露光時間と現像ポテンシャルとの関係を説明するための線図である。
【図17】請求項9記載の発明に係る実施例に用いられる現像バイアスと現像ポテンシャルとの関係を説明するための線図である。
【図18】請求項1記載の発明に係る実施例における濃度上昇判別のための検知タイミングを説明するための図である。
【図19】濃度上昇発生領域を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面により本発明の実施形態を実施例により説明する。
まず、本発明に係る画像形成装置の詳細について説明すると次の通りである。
図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。
図1において複写機1000は、筐体本体内にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,C,M,Kからなる画像形成ユニットを備えている。各符号の数字の後に付されたY,C,M,Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ18Y,C,M,Kの他には、露光手段としての光書込ユニット21、中間転写ユニット17、2次転写装置22、レジストローラ対49、給紙カセット20、熱ローラ加熱定着方式を用いる定着ユニット25などが配設されている。
【0030】
以下、画像形成ユニットの構成について説明する。
[プロセスカートリッジ]
図2は、上記プロセスカートリッジ18Y,C,M,Kのうち、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yを対象として示す図である。なお、図中の符号にはイエローを意味する符号Yが省略されている。
同図において、トナー像を生成する像生成部として用いられるプロセスカートリッジ18は、ドラム状の感光体40、帯電器60、現像器61、ドラムクリーニング装置63、潤滑剤供給装置64を主要部として備えている。
【0031】
帯電手段として用いられる上記帯電器60は、感光体40Yに対して、DC電圧にAC電圧を重畳した帯電バイアスが印加されながら回転駆動される回転帯電部材である帯電ローラを所定の微小ギャップを介して対向させている。
この微小ギャプにて、帯電ローラから感光体40に放電を生じさせて、感光体40を一様帯電される。帯電ローラを回転されるのは、放電直後のローラ表面を微小ギャップから退避させるとともに、放電していないローラ表面を微小ギャップに進入させることで、安定した放電を生じさせるためである。帯電回転部材としては、帯電ローラの他、帯電ドラムやローラ状の帯電ブラシなどを用いることができる。なお、符号60Aは、帯電ローラのクリーニング部材である。
【0032】
帯電処理が施された感光体40の表面には、上記光書込ユニット(21)によって変調及び偏向されたレーザー光Lが照射され、照射を受けた部分(露光部)の電位が減衰して静電潜像が形成される。
潜像の可視像処理に用いられる現像手段としての現像器61は、ケーシング70内に現像部67と、第1,第2の搬送スクリュー66A、66Bを配置した複数の現像剤収容部からなる攪拌部66とを有している。現像部67には、ケーシング70の開口から周面の一部を露出させる現像スリーブ65、ドクターブレード73が設けられている。
【0033】
現像剤担持体である筒状の現像スリーブ65は、非磁性材料からなり、その表面がサンドブラスト処理等によって粗面化された部材である。この粗面化により、現像剤搬送能力が高められている。粗面化の代わりに、表面に微小の溝を設けてもよい。現像スリーブ65は、図示しない駆動手段によって回転されるようになっている。
このように回転駆動される現像スリーブ65の内部には、図示されないマグネットローラがスリーブに連れ回らないように固定されている。このマグネットローラは、その周方向に分かれる複数の磁極を有している。これら磁極の影響により、現像スリーブ65の周囲上には磁界が形成されて現像剤の一部が汲み上げられる。
【0034】
第1の搬送スクリュー66Aは,図示しない駆動手段によって回転駆動され,第1の搬送スクリュー66Aが配置されている第1の現像剤収容部内の現像剤を図面に直交する方向における奥側から手前側に搬送され,第1の搬送スクリュー66Aが配置されている現像剤収容部と第2の搬送スクリュー66Bが配置されている第2の現像剤収容部との間の仕切り壁に設けられた図示しない連通口を経て,第2の現像剤収容部内に進入する。
【0035】
第2の現像剤収容部内の第2の搬送スクリュー66Bは,図示しない駆動手段によって回転駆動されることで,現像剤を図中手前側から奥側に搬送される。第2の搬送スクリュー66Bの上方には,現像スリーブ65が第2の搬送スクリュー66Bと平行な姿勢で配設され,現像剤担持体たる現像スリーブ65は、図中反時計回り方向に回転駆動される。
【0036】
現像スリーブ65には、所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレードが対向して配置されており、その層厚が規制されるようになっている。
層厚を規制された現像剤は、感光体40と対向する現像領域まで搬送され,図示しない現像バイアス印加手段から現像スリーブに印加される現像バイアスによって,感光体40上に形成された静電潜像にトナーを付着させ,トナー像を形成する。
【0037】
現像によってトナーを消費した現像剤は,現像スリーブの回転に伴って第2の搬送スクリュー66B上に戻される。そして,図中奥端まで搬送されると,図示しない連通口を経て第1の現像剤収容部内に戻る。
現像器61の攪拌部66には、符号71で示す、透磁率センサで構成されたトナー濃度センサ(以下、便宜上、Tセンサーという)が設けられている。
【0038】
Tセンサ71は、図中右側の搬送スクリュウ68の下方に設けられ、その上を搬送されるY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ71はYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
【0039】
この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。制御部は、RAM等を備えており、この中にTセンサ71からの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納している。また、他の現像器に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納している。Y用Vtrefは、図示しないYトナー供給装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、Y用のTセンサ71からの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないYトナー供給装置を駆動制御して現像器61の攪拌部66内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器61内の現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスカートリッジの現像器についても、同様のトナー補給制御が実施される。
【0040】
[ドラムクリーニング装置]
Y用の感光体40上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト10に中間転写される。中間転写後の感光体40の表面は、ドラムクリーニング装置63によって転写残トナーがクリーニングされる。
ドラムクリーニング装置63は、感光体40に当接して残留トナーを掻き取るクリーニングブレード63Aと、感光体40から回収されたトナーを回収する回収スクリュウ63Bを備えている。
【0041】
クリーニング後の感光体40に対しては、その表面での摩擦係数低減によりブレードとの摩擦抵抗軽減を可能にする潤滑剤供給装置64から潤滑剤が供給される。
潤滑剤供給装置64は、固形潤滑剤64Aに接触する塗布ブラシローラ64Bと感光体40に接触して感光体40に塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレード64Cを備えている。
【0042】
[光書込ユニット]
光書込ユニット21は、プロセスカートリッジ18の下方に位配置されており、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて感光体の表面にレーザー光(符号Lで示す)を照射することにより感光体40上に静電潜像を形成する。なお、光書込ユニットは,光源たるレーザーダイオードから発したレーザー光をモータによって回転駆動されるポリゴンミラーによって走査され、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成に代えて、LEDアレイによる露光手段を採用することもできる。
【0043】
[給紙カセット]
図1において光書込ユニット21の下方には、複数サイズを収容可能な第1,第2の給紙カセット20A、20Bを備えた給紙カセット20が設けられている。
給紙カセット20には、それぞれ、記録媒体たる記録紙が収容されており、一番上の記録紙には、第1,第2の給紙ローラ20A1、20B1がそれぞれ当接している。
【0044】
第1,第2の給紙ローラ20A1,20B1は、図示しない駆動手段によって所定のタイミングで反時計回りに回転駆動されると、記録紙がカセットの図中右側方において鉛直方向に延在されて排紙トレイに至るように配設された給紙路PEに向けて排出される。
給紙路PEには複数の搬送ローラ対20Cが配設されており、給紙路PEに送られた記録紙は、これらの搬送ローラ対によって上方に向けて搬送される。
【0045】
給紙路PEには、レジストローラ対49が配設されている。
レジストローラ対49の直前に記録紙が搬送ローラから送られてくると、記録紙は一旦停止される。そして、中間転写ベルト上に形成されたトナー画像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対49を所定のタイミングで駆動し、記録紙を二次転写ニップに向けて送り出すようになっている。
【0046】
[中間転写ユニット]
図1において中間転写ユニット17には、プロセスカートリッジ18の上方に配置されており、複数のローラに掛け回された中間転写ベルト10を備えている。
中間転写ベルト10は、張架ローラ14、15を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。4つの中間転写バイアスローラ62Y、C、M、Kは、それぞれ中間転写ベルト10のベース層側(内周面側)に接触するように配設され、図示しない電源から中間転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト10をそのベース層側から感光体40Y、C、M、Kに向けて押圧してそれぞれ中間転写ニップを形成する。
【0047】
各中間転写ニップには、上記中間転写バイアスの影響により、感光体と中間転写バイアスローラとの間に中間転写電界が形成される。Y用の感光体40Y上に形成された上述のYトナー像は、この中間転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト10上に中間転写される。このYトナー像の上には、C、M、K用の感光体40C、M、K上に形成されたC、M、Kトナー像が順次重ね合わせて中間転写される。この重ね合わせの中間転写により、中間転写ベルト10上には多重トナー像としての4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0048】
中間転写ベルト10上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の2次転写ニップで図示しない転写紙に2次転写される。
2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト10の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の従動ローラ14との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。ベルトクリーニング装置90により回収された転写残トナーは、廃トナーボトル91に導入されて廃棄される。
【0049】
[2次転写装置]
中間転写ベルト10の展張方向一方側が掛け回されている駆動ローラ15と対向する位置には、ローラが用いられている2次転写装置22が設けられている。
2次転写装置22は、これに用いられるローラがバネ荷重によって中間転写ベルト10が掛け回されているローラの一つに当接して形成される2次転写ニップを構成している。中間転写ベルト上に形成されたカラー画像は,中間転写ベルトの回転駆動によって二次転写ニップに移動され,同時に,レジストローラからトナー画像の二次転写ニップ進入と同期して記録紙を二次転写ニップに進入される.
【0050】
トナー像は、2次転写装置22とこれに対向するローラとの間に形成される二次転写電界とニップ圧によって、記録紙に二次転写される。二次転写の電界は,二次転写対向ローラにトナーと同極性の転写バイアスを印加し、二次転写ローラを接地することで形成している。
【0051】
[定着ユニット]
図1において2次転写ニップの上方には、定着ユニット25が配置されている。
記定着ユニット25は、外周面に有する電磁誘導発熱層を発熱させるための電磁誘導手段であるIHコイル25Aを近接させて、図1において反時計方向に回転可能な定着ローラ25Bと給紙路PEを挟んで定着ローラ25Aと対向する加圧ローラ25Cとで構成されている。
定着ローラ25Bと加圧ローラ25Cとは互いに当接して定着ニップを形成しており、2次転写ニップを通過した転写紙をここに挟み込む。
【0052】
先に示した図1において、定着ユニット25を通過した記録紙は、排紙トレイに向け排出される場合とは別に、紙反転ユニット26に向け搬送されることがある。
紙反転ユニット26には紙反転路PRが設けられており、紙反転路PRは、定着ユニット25を通過した記録紙が図示しない切換爪により搬送方向を切り換えられて導入されると、レジストローラ対49に向け搬送される。
【0053】
図1に示す構成は、一般の複写機のような原稿走査部を備えておらず、例えば、コンピュータからの画像情報に応じて印字が行われるプリンタや、通信線からの画像情報を用いて印字が行われるファクシミリ装置として用いられる構成に対応しており、この構成では、現像装置に対するトナー補給タンク(図1中、符号K、Y、C、Mで示す)の設置スペースを排紙台の下方に確保できるようになっている。トナー補給タンクは、装置本体に対して着脱可能となっており、タンク内のトナーがなくなると交換できるようになっている。
【0054】
以上のような構成を備えた画像形成装置を対象として本発明の特徴について以下に説明する。
ここで、画像領域の濃度上昇が生じる現象について以下に説明する。
全ベタ印刷画像の濃度を詳しく観察すると、図3、図4のように画像先端部分の濃度が段階的に(図3では簡略化のため3段階とした)濃くなっていることが分かる。
この現象は、現像ポテンシャルが画像全面を作像中に一定であるにもかかわらず、紙間(用紙の後端から次の用紙の前端)において現像スリーブにトナーが多数付着することから、実効的な現像ポテンシャルが高くなることが主な原因であると考えられている。
【0055】
また、この現象は、前に印刷した画像パターンによらずに起こることが確認されている。以下に、画像形成装置の実機を対象として濃度上昇発生領域に関し説明する。
画像形成装置には、以下の通りの画像形成に係る条件を設定した実験機を用いた。なお、以下に説明する実施例において使用される画像形成装置の特性は次の通りであるが、作像条件の制御タイミングや制御方法を限定するものでないこと勿論である。
・感光体帯電電位 Vd:−700〔V〕
・感光体回転周速 Vp:205〔mm/s〕
・現像スリーブ回転周速 Vs:369〔mm/s〕
・現像スリーブ直径 Ds:18〔mm〕
画像先端部分に発生する濃度上昇発生領域L〔mm〕は、感光体の回転周速Vp〔mm/s〕、現像スリーブ回転周速Vs〔mm/s〕、現像スリーブ直径Ds〔mm〕に基づき、L=πDs/(Vs/Vp)で求められる。
【0056】
一例として、本実施例の固定条件において濃度上昇が発生し得る箇所は以下のように計算できる。
濃度上昇発生領域 L=π×18mm÷(369mm/s÷205mm/s)≒31mm
従来の技術において説明したように、非現像部(非画像部)直後に現像部(画像部)が現像位置に達した際には、図19に示したように、画像部先端の濃度が高くなる。
【0057】
さらに、この現象は、剤履歴(剤劣化)の影響を大きく受けることが確認されている。
図5に示すように、初期剤では先端部分のΔID(= ID1−ID0;一番濃い部分と通常の部分(図3の場合、AB間とCD間)の濃度差)は小さく、スリーブ2周分のみが濃くなっているのに対して、500k枚(k枚=1000枚)印刷後の劣化剤では、初期剤と比較して大きく、また、スリーブ5周分までも濃くなっている。
【0058】
一般的に、剤履歴が大きい(印刷枚数の多い)剤中のキャリアは、他のキャリアやトナーとの摩擦を長時間受けており、キャリア表面にトナーの外添剤が付着したり、表層膜が削られたりすることが原因で、帯電能力が変動したり、帯電量分布に広がりが発生することが知られている。
このような剤中のトナーには、キャリアの帯電能力の変動や帯電分布の広がりによる影響を受けて、現像に関与しない、強帯電成分または、弱帯電成分がスリーブ上に多数発生する。このことから、スリーブ汚れが悪化する傾向となることが確認されている。
【0059】
この問題に対して、剤排出機構を備えた現像装置と、補給中のトナーに新品キャリアを混合したプレミックストナーを組み合わせることで、経時的にキャリアの帯電能力及び帯電量分布を一定に保つことができ、スリーブ汚れの悪化を防ぐことができることが分かった。
図6は、プレミックストナーを用いない場合と用いた場合のΔIDの推移を示している。プレミックスなしの場合は経時でΔID1が大きく上昇しているのに対して、プレミックスありの場合はあまり上昇していないことがわかる(ΔIDプレミなし−ΔID初期 >ΔIDプレミあり−ΔID初期)。
【0060】
本発明では、上記の点に着眼し、剤劣化による剤履歴の影響が出るのをプレミックストナーの添加を用いることにより経時での剤履歴に影響されないようにして現像ポテンシャル制御を行い、経時に亘る濃度偏差の発生を防止する点に特徴を見いだした。
【0061】
以下、各請求項記載の発明に係る実施例について説明する。
図7は、請求項1乃至3記載の発明に係る実施例を説明するための図であり、同図には、濃度上昇発生領域を作像中(時刻tS〜t1間及び時刻t1〜t2間)の現像ポテンシャル(VP1 及びVP2)を、それ以降(時刻t2〜tE)に作像される画像部の現像ポテンシャル(VP0)に対して、それぞれΔV1(=VP0−VP1)、ΔV2(=VP0−VP2)だけ小さくなるように制御していることが示されている。
これにより、濃度上昇発生領域とそれ以降に作像される画像部の画像濃度を図8のようにほぼ等しくすることができる(ID1’≒ID2’≒ID0’)。
なお、ここでは簡略化のため、現像ポテンシャルを2段階で制御しているが、画像によってはn段階に制御しても良い。一例として、本実施例の固定条件において、画像濃度を均一にする為に現像ポテンシャルを下げるべき時間周期は以下のように計算できる。
t1−ts= t2−t1=π×18mm÷369mm/s≒150ms
【0062】
また、プレミックストナーを用いない場合は、経時的にΔID1が大きくなり現像ポテンシャルの調整量ΔVが大きくなってしまうため、初期剤の時に決定したのと同じ変動量で制御を続けていった場合、経時では均一な画像濃度を得ることができない。
仮に剤履歴(剤劣化)の効果を考慮に入れて制御を行った場合でも、制御すべき現像ポテンシャル量が大きくなるため、使用環境・条件によっては、地肌ポテンシャル量(現像バイアスと帯電バイアスの差)が小さくなることで地肌汚れ(非画像部にトナーが現像される現象)が発生したり、ハーフトーン濃度や線幅が変動したりして画像品質が悪化する場合があった。
【0063】
さらに、図9に示すようにスリーブ周期で多数回の現像ポテンシャルの調整が必要になり、濃度段差が複数残ってしまう問題も発生した(現像ポテンシャルを調整しても完全には画像濃度を一定にすることができないため)。
【0064】
次に、請求項4に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、プレミックス率に特徴がある。
一般的に、低画像面積率の画像を印刷中の時にキャリアの入れ代わりが少ないため、プレミックス率を決定するときには、画像面積率0%で評価を行った(画像形成装置はトナーボソツキのために少量のトナー吐き出しを行っているため非常にゆっくりとではあるが、現像剤の入れ替わりが起きている)。
【0065】
図10は、プレミックス率と、印刷枚数500k枚時のΔID(一番濃い部分と通常の部分の濃度差)の関係を示している。
プレミックス率10%の時に、初期のΔIDと等しくなり、それ以上プレミックス率を増加しても変化しないことが分かった。
逆にこれ以上プレミックス率を多くするとベタ画像の補給追従性の悪化や、キャリア増によるトナー容量の減少及びコスト増につながるため、8〜12%程度で使用するのが良いと推察される。なお、このTC範囲では、実際に0〜100%の画像面積率で印刷を行っても、キャリアの帯電能力の変動はほとんどなく、経時で濃度偏差が上昇することの無いことを確認した。
【0066】
次に請求項5記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例は、現像ポテンシャルの減少幅設定を温度特性と関係づけた点に特徴がある。
温度にかかわらず現像ポテンシャルの減少幅を一定に変化させた場合は、低温環境では図11のように、特に一番先端の濃度が濃いのに対して、高温環境では図12のように、全体的に濃度が薄くなりすぎてしまう。
【0067】
現像ポテンシャルVP1と VP2を固定した時に、湿度を一定にして温度を変化させたときにΔID1(= ID1−ID2;先端部分(図3のAB間)とその直後の部分(図3のBC間)の濃度差)及びΔID2(=ID2−ID0;先端直後の部分(図3のBC間)とそれ以降の部分(図3のCD間)の濃度差)がどのように変化するかを実験すると図13のように、温度とΔIDは反比例の関係が確認された。
この結果を受けて、本実施例では、現像ポテンシャルの減少幅を表1のように変化させたところ、温度によらず、図8のような画像濃度のほぼ均一な画像を出力できた。
【0068】
【表1】
【0069】
なお、上述した温度に関しては、感光体40の温度を一定に維持することで温度変化による画像濃度偏差の発生を抑制することも可能であり、このための構成としては、感光体内に装備されているハロゲンヒータH1の温度管理を感光体近傍に配置した温度センサSHにより監視するようにしても良い。
【0070】
次に請求項6記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルの減少幅設定を湿度変化に関係づけた点に特徴がある。
湿度にかかわらず現像ポテンシャルの減少幅を一定に変化させた場合は、低湿環境では図11のように、特に一番先端の濃度が濃いのに対して、高湿環境では図12のように、全体的に濃度が薄くなりすぎてしまう。現像ポテンシャルVP1と VP2を固定した時に、温度を一定にして湿度を変化させたときにΔID1((図3のAB間とBC間の濃度差)及びΔID2(図3のBC間とCD間の濃度差)がどのように変化するかを実験すると図14のように、湿度とΔIDは反比例の関係が確認された。
【0071】
この結果を受けて、現像ポテンシャルの減少幅を表2のように変化させたところ、湿度によらず、図8のような画像濃度のほぼ均一な画像を出力できた。
【0072】
【表2】
【0073】
次に請求項7記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルを制御する手段として、露光手段の潜像担持体への露光パワーを制御している。
LDの露光パワーと現像ポテンシャルの関係は、図15のように比例関係である。従って、この関係より、スリーブ1周目の露光パワーはP1、スリーブ2周目の露光パワーはP2を用いれば、それぞれ画像濃度が均一になる現像ポテンシャルVP1、VP2(図7参照)が得られる。
【0074】
次に請求項8記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルを制御する手段として、露光手段の潜像担持体への露光時間を制御している。
LDの露光時間と現像ポテンシャルの関係は、図16のように比例関係である。
従って、この関係より、スリーブ1周目の露光時間はP1、スリーブ2周目の露光時間はP2を用いれば、それぞれ画像濃度が均一になる現像ポテンシャルVP1、VP2(図7参照)が得られる。
【0075】
次に請求項9記載の発明に係る実施例を第7実施例として説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルを制御する手段として、現像剤担持体に印加する電圧(現像バイアス)を制御している。
現像バイアスと現像ポテンシャルの関係は、図17のように反比例の関係である。
従って、この関係より、スリーブ1周目の現像バイアスはVB1、スリーブ2周目の現像バイアスはVB2を用いれば、それぞれ画像濃度が均一になる現像ポテンシャルVP1、VP2(図7参照)が得られる。
【0076】
次に請求項10記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例は、上記のような濃度上昇を、図18に示すような基準濃度パターンを感光体上(または中間転写ベルト上)に作成し、これを光学センサにより複数回検出し、この検出結果に応じて、画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することで均一な画像を得るというものである。
【0077】
濃度上昇の検出方法は、図18のように作像方向(副走査方向)に現像スリーブの円周ピッチで光学センサの読み取り面積よりも大きい基準濃度パターンが存在しており、かつそのパターンを現像スリーブの円周ピッチで読み取ることができれば良い。基準濃度パターンの作成方法は、上記の条件を満たしていれば自由である(基準濃度パターン(1)でも(2)でもどちらでも良い)。また、基準パターンの作成と検知のタイミングは、本発明ではジョブエンドを想定しているが、ジョブ前、紙間、プロセスコントロール実行時等でも構わない。
【0078】
次に請求項11記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、リサイクルトナーを用いる場合を対象としている。
一般的にトナーには粒径分布が存在し、現像されやすいのは付着力の小さな大粒径トナーであるため、トナーリサイクルを行うほど現像ユニット内の小粒径トナーの割合が増加する。
【0079】
本実施例では、このような、付着力の大きな小粒径トナーがスリーブに付き易く濃度偏差が大きくなる場合を対象として、前述した画像形成条件制御を適用して付着量の調整を行えることで、トナーリサイクル機構付きの画像形成装置を対象とした場合に、濃度偏差を抑える効果が高くなり有効である。
【符号の説明】
【0080】
1000 画像形成装置
10 中間転写ベルト
21 書込装置
40 感光体
61 現像装置
62 帯電装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開平9−106175号公報
【特許文献2】特開2007−264336号公報
【特許文献3】特開2007−86448号公報
【特許文献4】特開2006−220749号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、潜像担持体に形成されるトナー像の濃度偏差を解消する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子写真方式による画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像がトナーにより可視像処理され、トナー像が記録紙などの記録媒体に転写されたうえで定着されることにより複写出力を得るようになっている。
【0003】
画像形成装置においては、単一色だけでなく、フルカラーなどの複数色の画像を形成する構成を備えたものもあり、この場合には、複数の作像部において形成された、異なる色の画像をベルトなどの中間転写体に対して順次転写(1次転写)したうえで、重畳画像を記録シートなどの記録媒体に対して一括転写(2次転写)する方式を用いることがある。
【0004】
可視像処理に用いられる現像装置には、トナーとキャリアとしての磁性粒子とを含む二成分系現像剤を用いる構成あるいはキャリアを含まない一成分系現像剤のいずれかを使用することが知られている。
一成分系現像剤を用いる場合には、層厚規定ブレードを通過する際にトナーを帯電させるようになっているが、供給ローラから現像ローラへの一回の供給によって,現像ローラ上のトナーの付着量を飽和させることは困難であるため,大面積のベタ画像を連続印字した場合の画像濃度と,広い非画像部領域の直後にベタ画像の濃度が異なるという、所謂、現像履歴(ゴースト)が生じるという不具合がある。
【0005】
この場合の現像履歴(ゴースト)は、例えば、ハーフトーン画像内に文字などの残像が現れるようないわゆる、不要な残像、換言すれば、濃度の異なる像が現出することに相当している。この発生原因としては、現像ローラ上のトナーのうちで画像(現像部)に対面したトナーと非画像部(非現像部)に対面したトナーと現像ローラに担持されているトナーとにトリボと称される単位面積当たりの電荷量が異なることにあることが判明している(例えば、特許文献1)。つまり、非現像部に対面したトナーは現像のために静電潜像に向けて転移することがないので、静電潜像に向け転移した部分のトナーに比べて層厚規制ブレードとの摩擦回数が多くなり、この結果として、非現像部でのトナーのトリボが現像部のトナーよりも高くなり、濃度ムラの原因となる。
【0006】
そこで、一成分現像剤を用いる場合に、供給ローラから現像ローラへのトナーの供給速度を上げるために供給ローラの速度を上げることが考えられる。しかし、このような方法では、現像ローラと供給ローラとの接触部で熱が発生し、現像ローラへ規制ブレードへのトナー固着やトナーの劣化が促進されてしまうという新たな問題が生じる。
【0007】
また、トナーの供給量を上げるために供給ローラと現像スリーブとの当接圧を上げたり、低付着量で飽和させるために規制ブレードと現像ローラとの当接圧を上げても、同様に固着やトナー劣化が加速される問題があった。
【0008】
一方、供給量を増やすために供給ローラの数を増やす手段は現像器の容積(小型化)に対しデメリットであった。特に、近年の一成分現像器では,印字速度に対する要求から現像ローラの線速が益々上がっており、供給ローラから現像ローラへのトナーの供給を一回で飽和させるのは発熱の点でより厳しくなっていた。これらの問題があることが理由として、高画質が要求される印字装置に一成分現像方式を採用する例はほとんど採用されないのが現状である。
【0009】
これに対し、二成分系現像剤を用いる場合には、キャリアとトナーとの攪拌混合が十分に行えることで上述した一成分系現像剤において生じる不具合が少ないものの、上述した現像履歴に関する問題がある。
【0010】
特に、非現像部直後に現像部が現像位置に達した際には、図19に示すように、画像部先端の濃度が高くなる。この現象は、現像工程にて現像スリーブ1周前の現像履歴が現像スリーブ上に残り、2周目の現像時に1周目の現像履歴が残像として発生することが原因していると考えられる。
【0011】
濃度偏差を解決するための方法として、現像剤担持体に対向する電極板を設け、電極板に振動電界を与えて担持体上のトナーを再配置して残像を破壊した状態とすることで濃度偏差の低減を図る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
またこれとは別の方法として、現像剤の担持方法としてはキャリアを介した二成分系現像剤を担持する同様な方法を用い、画像部に対向する部分では潜像に対してトナーを飛翔される一成分系現像剤を用いた場合の可視像処理と同様な方法を用いるといキャリアの粒径分布と円経度とを規定して濃度ムラの低減を図る方法(例えば、特許文献2)、現像後の現像剤担持体から残留するトナーを剥離することにより、現像履歴が生じる条件をなくす方法(例えば、特許文献3)、累積印字枚数に応じて現像前に現像ユニットでの空攪拌時間を調整して非画像部と画像部とを対象とした現像剤担持体上での帯電量差をなくすことにより濃度偏差をなくす方法(例えば、特許文献4)などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献に開示されている方法は、いずれも一成分系現像剤に関する方法であり、二成分系現像剤を対象とするものではない。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤を用いる場合と違って摩擦帯電方式がことなるため、上記各方法をそのまま適用することができない。
【0013】
一方、二成分系現像剤用いる場合においても、一成分系現像剤と同様に、非画像部直後の画像部先端部において画像の濃度偏差が見受けられることは前述したとおりである。
特に、二成分系現像剤を用いる場合に、現像剤担持体上での現像剤を磁力により剥離しても濃度偏差を発生することが発明者によって確認されており、上述した各方法を適用した場合でも二成分系現像剤を用いた場合の現像履歴を完全に解消することは困難であるのが現状である。
【0014】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置における問題、特に現像履歴に関する問題に鑑み、非画像部直後の画像部先端での画像濃度が高まることによる濃度偏差を完全に解消することができる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するため、本発明は、次の構成よりなる。
(1)トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有する現像装置本体と、当該装置本体に連結し、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備える画像形成装置において、
画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することを特徴とする画像形成装置。
【0016】
(2)前記画像形成条件は、前記潜像担持体の移動方向に沿った現像剤担持体の周長ピッチに対する画像パターンが非画像部から画像部に切り替わる直後の画像先端に発生する濃度偏差発生領域を対象とした現像ポテンシャルを、画像形成時での現像ポテンシャルに対して低く設定することを特徴とする(1)記載の画像形成装置。
【0017】
(3)前記画像形成条件を設定する際に用いられる、画像先端部分に発生する濃度上昇発生領域L〔mm〕は、感光体の回転周速Vp〔mm/s〕、現像スリーブ回転周速Vs〔mm/s〕、現像スリーブ直径Ds〔mm〕に基づき、L=πDs/(Vs/Vp)で求められることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0018】
(4)前記プレミックス剤のプレミックス率(補給トナーに含まれるキャリアの重量比(%))が、8〜12%であり、最適値としては10%であることを特徴とする(1)記載の画像形成装置。
【0019】
(5)前記画像形成条件を温度に応じて変化させることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0020】
(6)前記画像形成条件を湿度に応じて変化させることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0021】
(7)前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光パワーを制御することを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0022】
(8)前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光時間を制御することを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0023】
(9)前記画像形成条件として、現像剤担持体に印加する電圧を制御することを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0024】
(10)前記画像濃度条件を変更手段は、所定の非画像形成タイミングで、上記現像剤担持体の表面移動一周期に対応する距離以上の間隔をあけた複数箇所の画像濃度を把握するための基準濃度パターンを形成するための露光処理を行い、これにより得られる潜像に対して上記現像処理を行ってトナーを付着させて該基準濃度パターンを形成し、該基準濃度パターンにおける該複数箇所の画像濃度を画像濃度検知手段により検知した結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とする(1)乃至(9)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【0025】
(11)潜像担持体上のトナー像を被転写体へ転写した後に該潜像担持体上に残存する転写残トナーを上記現像剤担持体に再度担持させて再び現像処理に寄与させるトナーリサイクル手段を有することを特徴とする(1)乃至(10)のうちの一つに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、プレミックストナーを使用し、かつ、出力する画像領域内で画像形成条件(現像ポテンシャル)を多段階に変化させることにより、キャリア劣化による影響を受けることなく、環境変化などに拘わらず濃度上昇発生領域を対象とした濃度偏差を抑えて均一な濃度の画像を得ることが可能となる。
【0027】
特に、画像パターンが切り替わる箇所が対象となりやすい濃度上昇発生領域に対して、画像形成条件として用いられる露光パワー、露光時間、現像バイアスをそれぞれ制御することで現像ポテンシャルを作像時よりも小さくすることでトナーの付着量を調整できる。これにより、画像形成領域全般での現像履歴による濃度偏差の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による画像形成装置の全体構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの構成を説明するための模式図である。
【図3】画像濃度偏差が発生している一態様を説明するための図である。
【図4】図3に示した態様での用紙先端からの画像濃度を示す線図である。
【図5】現像剤の新品時と経時劣化時での濃度変化を説明するための図である。
【図6】補給現像剤にプレミックス現像剤を用いた場合の印刷枚数と画像濃度変化とを説明するための線図である。
【図7】請求項1乃至3記載の発明に係る実施例に用いる現像ポテンシャルと経時時間との関係を説明するための説明するための線図である。
【図8】請求項1乃至3記載の発明に係る実施例による濃度上昇領域での画像濃度の変化を説明するための線図である。
【図9】スリーブの回転周期に対する現像形成条件を多段階で制御した場合の濃度変化の状態を説明するための線図である。
【図10】請求項4記載の発明に係る実施例に用いられるプレミックス率と画像濃度との関係を説明するための線図である。
【図11】低温低湿の場合での画像濃度偏差の発生状態を説明するための図である。
【図12】高温高湿の場合での画像濃度偏差の発生状態を説明するための図である。
【図13】請求項5記載の発明に係る実施例に用いる温度と画像濃度との関係を説明するための線図である。
【図14】請求項6記載の発明に係る実施例に用いられる湿度と画像濃度との関係を説明するための線図である。
【図15】請求項7記載の発明に係る実施例に用いられる露光パワーと現像ポテンシャルとの関係を説明するための線図である。
【図16】請求項8記載の発明に係る実施例に用いられる露光時間と現像ポテンシャルとの関係を説明するための線図である。
【図17】請求項9記載の発明に係る実施例に用いられる現像バイアスと現像ポテンシャルとの関係を説明するための線図である。
【図18】請求項1記載の発明に係る実施例における濃度上昇判別のための検知タイミングを説明するための図である。
【図19】濃度上昇発生領域を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面により本発明の実施形態を実施例により説明する。
まず、本発明に係る画像形成装置の詳細について説明すると次の通りである。
図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。
図1において複写機1000は、筐体本体内にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,C,M,Kからなる画像形成ユニットを備えている。各符号の数字の後に付されたY,C,M,Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ18Y,C,M,Kの他には、露光手段としての光書込ユニット21、中間転写ユニット17、2次転写装置22、レジストローラ対49、給紙カセット20、熱ローラ加熱定着方式を用いる定着ユニット25などが配設されている。
【0030】
以下、画像形成ユニットの構成について説明する。
[プロセスカートリッジ]
図2は、上記プロセスカートリッジ18Y,C,M,Kのうち、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yを対象として示す図である。なお、図中の符号にはイエローを意味する符号Yが省略されている。
同図において、トナー像を生成する像生成部として用いられるプロセスカートリッジ18は、ドラム状の感光体40、帯電器60、現像器61、ドラムクリーニング装置63、潤滑剤供給装置64を主要部として備えている。
【0031】
帯電手段として用いられる上記帯電器60は、感光体40Yに対して、DC電圧にAC電圧を重畳した帯電バイアスが印加されながら回転駆動される回転帯電部材である帯電ローラを所定の微小ギャップを介して対向させている。
この微小ギャプにて、帯電ローラから感光体40に放電を生じさせて、感光体40を一様帯電される。帯電ローラを回転されるのは、放電直後のローラ表面を微小ギャップから退避させるとともに、放電していないローラ表面を微小ギャップに進入させることで、安定した放電を生じさせるためである。帯電回転部材としては、帯電ローラの他、帯電ドラムやローラ状の帯電ブラシなどを用いることができる。なお、符号60Aは、帯電ローラのクリーニング部材である。
【0032】
帯電処理が施された感光体40の表面には、上記光書込ユニット(21)によって変調及び偏向されたレーザー光Lが照射され、照射を受けた部分(露光部)の電位が減衰して静電潜像が形成される。
潜像の可視像処理に用いられる現像手段としての現像器61は、ケーシング70内に現像部67と、第1,第2の搬送スクリュー66A、66Bを配置した複数の現像剤収容部からなる攪拌部66とを有している。現像部67には、ケーシング70の開口から周面の一部を露出させる現像スリーブ65、ドクターブレード73が設けられている。
【0033】
現像剤担持体である筒状の現像スリーブ65は、非磁性材料からなり、その表面がサンドブラスト処理等によって粗面化された部材である。この粗面化により、現像剤搬送能力が高められている。粗面化の代わりに、表面に微小の溝を設けてもよい。現像スリーブ65は、図示しない駆動手段によって回転されるようになっている。
このように回転駆動される現像スリーブ65の内部には、図示されないマグネットローラがスリーブに連れ回らないように固定されている。このマグネットローラは、その周方向に分かれる複数の磁極を有している。これら磁極の影響により、現像スリーブ65の周囲上には磁界が形成されて現像剤の一部が汲み上げられる。
【0034】
第1の搬送スクリュー66Aは,図示しない駆動手段によって回転駆動され,第1の搬送スクリュー66Aが配置されている第1の現像剤収容部内の現像剤を図面に直交する方向における奥側から手前側に搬送され,第1の搬送スクリュー66Aが配置されている現像剤収容部と第2の搬送スクリュー66Bが配置されている第2の現像剤収容部との間の仕切り壁に設けられた図示しない連通口を経て,第2の現像剤収容部内に進入する。
【0035】
第2の現像剤収容部内の第2の搬送スクリュー66Bは,図示しない駆動手段によって回転駆動されることで,現像剤を図中手前側から奥側に搬送される。第2の搬送スクリュー66Bの上方には,現像スリーブ65が第2の搬送スクリュー66Bと平行な姿勢で配設され,現像剤担持体たる現像スリーブ65は、図中反時計回り方向に回転駆動される。
【0036】
現像スリーブ65には、所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレードが対向して配置されており、その層厚が規制されるようになっている。
層厚を規制された現像剤は、感光体40と対向する現像領域まで搬送され,図示しない現像バイアス印加手段から現像スリーブに印加される現像バイアスによって,感光体40上に形成された静電潜像にトナーを付着させ,トナー像を形成する。
【0037】
現像によってトナーを消費した現像剤は,現像スリーブの回転に伴って第2の搬送スクリュー66B上に戻される。そして,図中奥端まで搬送されると,図示しない連通口を経て第1の現像剤収容部内に戻る。
現像器61の攪拌部66には、符号71で示す、透磁率センサで構成されたトナー濃度センサ(以下、便宜上、Tセンサーという)が設けられている。
【0038】
Tセンサ71は、図中右側の搬送スクリュウ68の下方に設けられ、その上を搬送されるY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ71はYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
【0039】
この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。制御部は、RAM等を備えており、この中にTセンサ71からの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納している。また、他の現像器に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納している。Y用Vtrefは、図示しないYトナー供給装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、Y用のTセンサ71からの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないYトナー供給装置を駆動制御して現像器61の攪拌部66内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器61内の現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスカートリッジの現像器についても、同様のトナー補給制御が実施される。
【0040】
[ドラムクリーニング装置]
Y用の感光体40上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト10に中間転写される。中間転写後の感光体40の表面は、ドラムクリーニング装置63によって転写残トナーがクリーニングされる。
ドラムクリーニング装置63は、感光体40に当接して残留トナーを掻き取るクリーニングブレード63Aと、感光体40から回収されたトナーを回収する回収スクリュウ63Bを備えている。
【0041】
クリーニング後の感光体40に対しては、その表面での摩擦係数低減によりブレードとの摩擦抵抗軽減を可能にする潤滑剤供給装置64から潤滑剤が供給される。
潤滑剤供給装置64は、固形潤滑剤64Aに接触する塗布ブラシローラ64Bと感光体40に接触して感光体40に塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレード64Cを備えている。
【0042】
[光書込ユニット]
光書込ユニット21は、プロセスカートリッジ18の下方に位配置されており、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて感光体の表面にレーザー光(符号Lで示す)を照射することにより感光体40上に静電潜像を形成する。なお、光書込ユニットは,光源たるレーザーダイオードから発したレーザー光をモータによって回転駆動されるポリゴンミラーによって走査され、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成に代えて、LEDアレイによる露光手段を採用することもできる。
【0043】
[給紙カセット]
図1において光書込ユニット21の下方には、複数サイズを収容可能な第1,第2の給紙カセット20A、20Bを備えた給紙カセット20が設けられている。
給紙カセット20には、それぞれ、記録媒体たる記録紙が収容されており、一番上の記録紙には、第1,第2の給紙ローラ20A1、20B1がそれぞれ当接している。
【0044】
第1,第2の給紙ローラ20A1,20B1は、図示しない駆動手段によって所定のタイミングで反時計回りに回転駆動されると、記録紙がカセットの図中右側方において鉛直方向に延在されて排紙トレイに至るように配設された給紙路PEに向けて排出される。
給紙路PEには複数の搬送ローラ対20Cが配設されており、給紙路PEに送られた記録紙は、これらの搬送ローラ対によって上方に向けて搬送される。
【0045】
給紙路PEには、レジストローラ対49が配設されている。
レジストローラ対49の直前に記録紙が搬送ローラから送られてくると、記録紙は一旦停止される。そして、中間転写ベルト上に形成されたトナー画像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対49を所定のタイミングで駆動し、記録紙を二次転写ニップに向けて送り出すようになっている。
【0046】
[中間転写ユニット]
図1において中間転写ユニット17には、プロセスカートリッジ18の上方に配置されており、複数のローラに掛け回された中間転写ベルト10を備えている。
中間転写ベルト10は、張架ローラ14、15を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。4つの中間転写バイアスローラ62Y、C、M、Kは、それぞれ中間転写ベルト10のベース層側(内周面側)に接触するように配設され、図示しない電源から中間転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト10をそのベース層側から感光体40Y、C、M、Kに向けて押圧してそれぞれ中間転写ニップを形成する。
【0047】
各中間転写ニップには、上記中間転写バイアスの影響により、感光体と中間転写バイアスローラとの間に中間転写電界が形成される。Y用の感光体40Y上に形成された上述のYトナー像は、この中間転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト10上に中間転写される。このYトナー像の上には、C、M、K用の感光体40C、M、K上に形成されたC、M、Kトナー像が順次重ね合わせて中間転写される。この重ね合わせの中間転写により、中間転写ベルト10上には多重トナー像としての4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0048】
中間転写ベルト10上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の2次転写ニップで図示しない転写紙に2次転写される。
2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト10の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の従動ローラ14との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。ベルトクリーニング装置90により回収された転写残トナーは、廃トナーボトル91に導入されて廃棄される。
【0049】
[2次転写装置]
中間転写ベルト10の展張方向一方側が掛け回されている駆動ローラ15と対向する位置には、ローラが用いられている2次転写装置22が設けられている。
2次転写装置22は、これに用いられるローラがバネ荷重によって中間転写ベルト10が掛け回されているローラの一つに当接して形成される2次転写ニップを構成している。中間転写ベルト上に形成されたカラー画像は,中間転写ベルトの回転駆動によって二次転写ニップに移動され,同時に,レジストローラからトナー画像の二次転写ニップ進入と同期して記録紙を二次転写ニップに進入される.
【0050】
トナー像は、2次転写装置22とこれに対向するローラとの間に形成される二次転写電界とニップ圧によって、記録紙に二次転写される。二次転写の電界は,二次転写対向ローラにトナーと同極性の転写バイアスを印加し、二次転写ローラを接地することで形成している。
【0051】
[定着ユニット]
図1において2次転写ニップの上方には、定着ユニット25が配置されている。
記定着ユニット25は、外周面に有する電磁誘導発熱層を発熱させるための電磁誘導手段であるIHコイル25Aを近接させて、図1において反時計方向に回転可能な定着ローラ25Bと給紙路PEを挟んで定着ローラ25Aと対向する加圧ローラ25Cとで構成されている。
定着ローラ25Bと加圧ローラ25Cとは互いに当接して定着ニップを形成しており、2次転写ニップを通過した転写紙をここに挟み込む。
【0052】
先に示した図1において、定着ユニット25を通過した記録紙は、排紙トレイに向け排出される場合とは別に、紙反転ユニット26に向け搬送されることがある。
紙反転ユニット26には紙反転路PRが設けられており、紙反転路PRは、定着ユニット25を通過した記録紙が図示しない切換爪により搬送方向を切り換えられて導入されると、レジストローラ対49に向け搬送される。
【0053】
図1に示す構成は、一般の複写機のような原稿走査部を備えておらず、例えば、コンピュータからの画像情報に応じて印字が行われるプリンタや、通信線からの画像情報を用いて印字が行われるファクシミリ装置として用いられる構成に対応しており、この構成では、現像装置に対するトナー補給タンク(図1中、符号K、Y、C、Mで示す)の設置スペースを排紙台の下方に確保できるようになっている。トナー補給タンクは、装置本体に対して着脱可能となっており、タンク内のトナーがなくなると交換できるようになっている。
【0054】
以上のような構成を備えた画像形成装置を対象として本発明の特徴について以下に説明する。
ここで、画像領域の濃度上昇が生じる現象について以下に説明する。
全ベタ印刷画像の濃度を詳しく観察すると、図3、図4のように画像先端部分の濃度が段階的に(図3では簡略化のため3段階とした)濃くなっていることが分かる。
この現象は、現像ポテンシャルが画像全面を作像中に一定であるにもかかわらず、紙間(用紙の後端から次の用紙の前端)において現像スリーブにトナーが多数付着することから、実効的な現像ポテンシャルが高くなることが主な原因であると考えられている。
【0055】
また、この現象は、前に印刷した画像パターンによらずに起こることが確認されている。以下に、画像形成装置の実機を対象として濃度上昇発生領域に関し説明する。
画像形成装置には、以下の通りの画像形成に係る条件を設定した実験機を用いた。なお、以下に説明する実施例において使用される画像形成装置の特性は次の通りであるが、作像条件の制御タイミングや制御方法を限定するものでないこと勿論である。
・感光体帯電電位 Vd:−700〔V〕
・感光体回転周速 Vp:205〔mm/s〕
・現像スリーブ回転周速 Vs:369〔mm/s〕
・現像スリーブ直径 Ds:18〔mm〕
画像先端部分に発生する濃度上昇発生領域L〔mm〕は、感光体の回転周速Vp〔mm/s〕、現像スリーブ回転周速Vs〔mm/s〕、現像スリーブ直径Ds〔mm〕に基づき、L=πDs/(Vs/Vp)で求められる。
【0056】
一例として、本実施例の固定条件において濃度上昇が発生し得る箇所は以下のように計算できる。
濃度上昇発生領域 L=π×18mm÷(369mm/s÷205mm/s)≒31mm
従来の技術において説明したように、非現像部(非画像部)直後に現像部(画像部)が現像位置に達した際には、図19に示したように、画像部先端の濃度が高くなる。
【0057】
さらに、この現象は、剤履歴(剤劣化)の影響を大きく受けることが確認されている。
図5に示すように、初期剤では先端部分のΔID(= ID1−ID0;一番濃い部分と通常の部分(図3の場合、AB間とCD間)の濃度差)は小さく、スリーブ2周分のみが濃くなっているのに対して、500k枚(k枚=1000枚)印刷後の劣化剤では、初期剤と比較して大きく、また、スリーブ5周分までも濃くなっている。
【0058】
一般的に、剤履歴が大きい(印刷枚数の多い)剤中のキャリアは、他のキャリアやトナーとの摩擦を長時間受けており、キャリア表面にトナーの外添剤が付着したり、表層膜が削られたりすることが原因で、帯電能力が変動したり、帯電量分布に広がりが発生することが知られている。
このような剤中のトナーには、キャリアの帯電能力の変動や帯電分布の広がりによる影響を受けて、現像に関与しない、強帯電成分または、弱帯電成分がスリーブ上に多数発生する。このことから、スリーブ汚れが悪化する傾向となることが確認されている。
【0059】
この問題に対して、剤排出機構を備えた現像装置と、補給中のトナーに新品キャリアを混合したプレミックストナーを組み合わせることで、経時的にキャリアの帯電能力及び帯電量分布を一定に保つことができ、スリーブ汚れの悪化を防ぐことができることが分かった。
図6は、プレミックストナーを用いない場合と用いた場合のΔIDの推移を示している。プレミックスなしの場合は経時でΔID1が大きく上昇しているのに対して、プレミックスありの場合はあまり上昇していないことがわかる(ΔIDプレミなし−ΔID初期 >ΔIDプレミあり−ΔID初期)。
【0060】
本発明では、上記の点に着眼し、剤劣化による剤履歴の影響が出るのをプレミックストナーの添加を用いることにより経時での剤履歴に影響されないようにして現像ポテンシャル制御を行い、経時に亘る濃度偏差の発生を防止する点に特徴を見いだした。
【0061】
以下、各請求項記載の発明に係る実施例について説明する。
図7は、請求項1乃至3記載の発明に係る実施例を説明するための図であり、同図には、濃度上昇発生領域を作像中(時刻tS〜t1間及び時刻t1〜t2間)の現像ポテンシャル(VP1 及びVP2)を、それ以降(時刻t2〜tE)に作像される画像部の現像ポテンシャル(VP0)に対して、それぞれΔV1(=VP0−VP1)、ΔV2(=VP0−VP2)だけ小さくなるように制御していることが示されている。
これにより、濃度上昇発生領域とそれ以降に作像される画像部の画像濃度を図8のようにほぼ等しくすることができる(ID1’≒ID2’≒ID0’)。
なお、ここでは簡略化のため、現像ポテンシャルを2段階で制御しているが、画像によってはn段階に制御しても良い。一例として、本実施例の固定条件において、画像濃度を均一にする為に現像ポテンシャルを下げるべき時間周期は以下のように計算できる。
t1−ts= t2−t1=π×18mm÷369mm/s≒150ms
【0062】
また、プレミックストナーを用いない場合は、経時的にΔID1が大きくなり現像ポテンシャルの調整量ΔVが大きくなってしまうため、初期剤の時に決定したのと同じ変動量で制御を続けていった場合、経時では均一な画像濃度を得ることができない。
仮に剤履歴(剤劣化)の効果を考慮に入れて制御を行った場合でも、制御すべき現像ポテンシャル量が大きくなるため、使用環境・条件によっては、地肌ポテンシャル量(現像バイアスと帯電バイアスの差)が小さくなることで地肌汚れ(非画像部にトナーが現像される現象)が発生したり、ハーフトーン濃度や線幅が変動したりして画像品質が悪化する場合があった。
【0063】
さらに、図9に示すようにスリーブ周期で多数回の現像ポテンシャルの調整が必要になり、濃度段差が複数残ってしまう問題も発生した(現像ポテンシャルを調整しても完全には画像濃度を一定にすることができないため)。
【0064】
次に、請求項4に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、プレミックス率に特徴がある。
一般的に、低画像面積率の画像を印刷中の時にキャリアの入れ代わりが少ないため、プレミックス率を決定するときには、画像面積率0%で評価を行った(画像形成装置はトナーボソツキのために少量のトナー吐き出しを行っているため非常にゆっくりとではあるが、現像剤の入れ替わりが起きている)。
【0065】
図10は、プレミックス率と、印刷枚数500k枚時のΔID(一番濃い部分と通常の部分の濃度差)の関係を示している。
プレミックス率10%の時に、初期のΔIDと等しくなり、それ以上プレミックス率を増加しても変化しないことが分かった。
逆にこれ以上プレミックス率を多くするとベタ画像の補給追従性の悪化や、キャリア増によるトナー容量の減少及びコスト増につながるため、8〜12%程度で使用するのが良いと推察される。なお、このTC範囲では、実際に0〜100%の画像面積率で印刷を行っても、キャリアの帯電能力の変動はほとんどなく、経時で濃度偏差が上昇することの無いことを確認した。
【0066】
次に請求項5記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例は、現像ポテンシャルの減少幅設定を温度特性と関係づけた点に特徴がある。
温度にかかわらず現像ポテンシャルの減少幅を一定に変化させた場合は、低温環境では図11のように、特に一番先端の濃度が濃いのに対して、高温環境では図12のように、全体的に濃度が薄くなりすぎてしまう。
【0067】
現像ポテンシャルVP1と VP2を固定した時に、湿度を一定にして温度を変化させたときにΔID1(= ID1−ID2;先端部分(図3のAB間)とその直後の部分(図3のBC間)の濃度差)及びΔID2(=ID2−ID0;先端直後の部分(図3のBC間)とそれ以降の部分(図3のCD間)の濃度差)がどのように変化するかを実験すると図13のように、温度とΔIDは反比例の関係が確認された。
この結果を受けて、本実施例では、現像ポテンシャルの減少幅を表1のように変化させたところ、温度によらず、図8のような画像濃度のほぼ均一な画像を出力できた。
【0068】
【表1】
【0069】
なお、上述した温度に関しては、感光体40の温度を一定に維持することで温度変化による画像濃度偏差の発生を抑制することも可能であり、このための構成としては、感光体内に装備されているハロゲンヒータH1の温度管理を感光体近傍に配置した温度センサSHにより監視するようにしても良い。
【0070】
次に請求項6記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルの減少幅設定を湿度変化に関係づけた点に特徴がある。
湿度にかかわらず現像ポテンシャルの減少幅を一定に変化させた場合は、低湿環境では図11のように、特に一番先端の濃度が濃いのに対して、高湿環境では図12のように、全体的に濃度が薄くなりすぎてしまう。現像ポテンシャルVP1と VP2を固定した時に、温度を一定にして湿度を変化させたときにΔID1((図3のAB間とBC間の濃度差)及びΔID2(図3のBC間とCD間の濃度差)がどのように変化するかを実験すると図14のように、湿度とΔIDは反比例の関係が確認された。
【0071】
この結果を受けて、現像ポテンシャルの減少幅を表2のように変化させたところ、湿度によらず、図8のような画像濃度のほぼ均一な画像を出力できた。
【0072】
【表2】
【0073】
次に請求項7記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルを制御する手段として、露光手段の潜像担持体への露光パワーを制御している。
LDの露光パワーと現像ポテンシャルの関係は、図15のように比例関係である。従って、この関係より、スリーブ1周目の露光パワーはP1、スリーブ2周目の露光パワーはP2を用いれば、それぞれ画像濃度が均一になる現像ポテンシャルVP1、VP2(図7参照)が得られる。
【0074】
次に請求項8記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルを制御する手段として、露光手段の潜像担持体への露光時間を制御している。
LDの露光時間と現像ポテンシャルの関係は、図16のように比例関係である。
従って、この関係より、スリーブ1周目の露光時間はP1、スリーブ2周目の露光時間はP2を用いれば、それぞれ画像濃度が均一になる現像ポテンシャルVP1、VP2(図7参照)が得られる。
【0075】
次に請求項9記載の発明に係る実施例を第7実施例として説明すると次の通りである。
本実施例では、現像ポテンシャルを制御する手段として、現像剤担持体に印加する電圧(現像バイアス)を制御している。
現像バイアスと現像ポテンシャルの関係は、図17のように反比例の関係である。
従って、この関係より、スリーブ1周目の現像バイアスはVB1、スリーブ2周目の現像バイアスはVB2を用いれば、それぞれ画像濃度が均一になる現像ポテンシャルVP1、VP2(図7参照)が得られる。
【0076】
次に請求項10記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例は、上記のような濃度上昇を、図18に示すような基準濃度パターンを感光体上(または中間転写ベルト上)に作成し、これを光学センサにより複数回検出し、この検出結果に応じて、画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することで均一な画像を得るというものである。
【0077】
濃度上昇の検出方法は、図18のように作像方向(副走査方向)に現像スリーブの円周ピッチで光学センサの読み取り面積よりも大きい基準濃度パターンが存在しており、かつそのパターンを現像スリーブの円周ピッチで読み取ることができれば良い。基準濃度パターンの作成方法は、上記の条件を満たしていれば自由である(基準濃度パターン(1)でも(2)でもどちらでも良い)。また、基準パターンの作成と検知のタイミングは、本発明ではジョブエンドを想定しているが、ジョブ前、紙間、プロセスコントロール実行時等でも構わない。
【0078】
次に請求項11記載の発明に係る実施例を説明すると次の通りである。
本実施例では、リサイクルトナーを用いる場合を対象としている。
一般的にトナーには粒径分布が存在し、現像されやすいのは付着力の小さな大粒径トナーであるため、トナーリサイクルを行うほど現像ユニット内の小粒径トナーの割合が増加する。
【0079】
本実施例では、このような、付着力の大きな小粒径トナーがスリーブに付き易く濃度偏差が大きくなる場合を対象として、前述した画像形成条件制御を適用して付着量の調整を行えることで、トナーリサイクル機構付きの画像形成装置を対象とした場合に、濃度偏差を抑える効果が高くなり有効である。
【符号の説明】
【0080】
1000 画像形成装置
10 中間転写ベルト
21 書込装置
40 感光体
61 現像装置
62 帯電装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開平9−106175号公報
【特許文献2】特開2007−264336号公報
【特許文献3】特開2007−86448号公報
【特許文献4】特開2006−220749号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有する現像装置本体と、当該装置本体に連結し、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備える画像形成装置において、
画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成条件は、前記潜像担持体の移動方向に沿った現像剤担持体の周長ピッチに対する画像パターンが非画像部から画像部に切り替わる直後の画像先端に発生する濃度偏差発生領域を対象とした現像ポテンシャルを、画像形成時での現像ポテンシャルに対して低く設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成条件を設定する際に用いられる、前記画像先端部分に発生する濃度上昇発生領域L〔mm〕は、感光体の回転周速Vp〔mm/s〕、現像スリーブ回転周速Vs〔mm/s〕、現像スリーブ直径Ds〔mm〕に基づき、L=πDs/(Vs/Vp)で求められることを特徴とする請求項1また2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プレミックス剤のプレミックス率(補給トナーに含まれるキャリアの重量比(%))が、8〜12%であり、最適値としては10%であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成条件を温度に応じて変化させることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成条件を湿度に応じて変化させることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光パワーを制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光時間を制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成条件として、現像剤担持体に印加する電圧を制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像濃度条件を変更手段は、所定の非画像形成タイミングで、上記現像剤担持体の表面移動一周期に対応する距離以上の間隔をあけた複数箇所の画像濃度を把握するための基準濃度パターンを形成するための露光処理を行い、これにより得られる潜像に対して上記現像処理を行ってトナーを付着させて該基準濃度パターンを形成し、該基準濃度パターンにおける該複数箇所の画像濃度を画像濃度検知手段により検知した結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とする請求項1乃至9のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
潜像担持体上のトナー像を被転写体へ転写した後に該潜像担持体上に残存する転写残トナーを上記現像剤担持体に再度担持させて再び現像処理に寄与させるトナーリサイクル手段を有することを特徴とする請求項1乃至10のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有する現像装置本体と、当該装置本体に連結し、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備える画像形成装置において、
画像領域内で現像剤担持体の円周ピッチで画像形成条件を多段階に可変することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成条件は、前記潜像担持体の移動方向に沿った現像剤担持体の周長ピッチに対する画像パターンが非画像部から画像部に切り替わる直後の画像先端に発生する濃度偏差発生領域を対象とした現像ポテンシャルを、画像形成時での現像ポテンシャルに対して低く設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成条件を設定する際に用いられる、前記画像先端部分に発生する濃度上昇発生領域L〔mm〕は、感光体の回転周速Vp〔mm/s〕、現像スリーブ回転周速Vs〔mm/s〕、現像スリーブ直径Ds〔mm〕に基づき、L=πDs/(Vs/Vp)で求められることを特徴とする請求項1また2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プレミックス剤のプレミックス率(補給トナーに含まれるキャリアの重量比(%))が、8〜12%であり、最適値としては10%であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成条件を温度に応じて変化させることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成条件を湿度に応じて変化させることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光パワーを制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成条件として、露光手段の潜像担持体への露光時間を制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成条件として、現像剤担持体に印加する電圧を制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像濃度条件を変更手段は、所定の非画像形成タイミングで、上記現像剤担持体の表面移動一周期に対応する距離以上の間隔をあけた複数箇所の画像濃度を把握するための基準濃度パターンを形成するための露光処理を行い、これにより得られる潜像に対して上記現像処理を行ってトナーを付着させて該基準濃度パターンを形成し、該基準濃度パターンにおける該複数箇所の画像濃度を画像濃度検知手段により検知した結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とする請求項1乃至9のうちの一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
潜像担持体上のトナー像を被転写体へ転写した後に該潜像担持体上に残存する転写残トナーを上記現像剤担持体に再度担持させて再び現像処理に寄与させるトナーリサイクル手段を有することを特徴とする請求項1乃至10のうちの一つに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−118394(P2012−118394A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269533(P2010−269533)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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