説明

画像形成装置

【課題】画像読取部の底面の強度を高めることができ、かつ、画像読取部と画像形成部との間に設けられた用紙排紙トレイへの用紙排出における用紙詰まりの発生を抑制できるようにする。
【解決手段】画像形成装置10は、画像読取部20及び画像形成部30を備える。画像形成部30は、画像読取部20の下に配置される。画像形成部30は、用紙排紙トレイ50を設けるための空間51を画像読取部20との間に有するように構成される。画像読取部20の底面23は、用紙排出方向91に沿う方向に形成された複数の第1リブ24を有し、第1リブ24以外のリブを有しない。第1リブ24は、用紙排出方向91において画像形成部30から排出された用紙が最初に底面23に接し得る位置より上流側の位置から、底面23の下流側端部近傍まで設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所謂胴内排出形状を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取部の下に画像形成部が配置され、画像形成部が、画像形成処理後の用紙を収容する用紙排紙トレイを設けるための空間を画像読取部との間に有するように構成された、所謂胴内排出形状を有する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような胴内排出形状を有する画像形成装置の中には、画像形成装置の小型化を目的として用紙排紙トレイを設けるための空間の高さを低くし、用紙を画像読取部の底面に沿わせながら用紙排紙トレイへ排出するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、画像読取部のハウジングの底板は、コスト低下のために薄肉化されるが、画像読取部の内部機器を支持するために強度を高くする必要があるので、板金で形成されるとともにリブが設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−74625公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、用紙排紙トレイへの用紙排出方向に沿う方向以外の方向に設けられたリブがある場合、及び、用紙排出方向においてリブの上流側端部が、画像形成部から排出された用紙が最初に画像読取部の底面に接し得る位置より下流側にある場合、用紙の先端がリブに引っ掛かり、用紙詰まりが発生することがある。
【0007】
引用文献1に記載の画像形成装置では、画像読取部の底面に、用紙排出方向の下流側ほど用紙幅方向の間隔が広がる複数対のリブ、及び格子状のリブが設けられるが、格子状のリブのうち用紙排出方向に直交する方向のリブに用紙先端部が当たった場合、用紙詰まりが発生する虞がある。また、用紙のカールの仕方によっては、用紙排出方向の下流側ほど用紙幅方向の間隔が広がるリブにも、用紙先端部が引っ掛かって用紙詰まりが発生する虞がある。
【0008】
この発明の目的は、画像読取部の底面の強度を高めることができ、かつ、画像読取部と画像形成部との間に設けられた用紙排紙トレイへの用紙排出における用紙詰まりの発生を抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の画像形成装置は、画像読取部、画像形成部、及び給紙部を備える。画像読取部は、原稿の画像を読み取る画像読取処理を行う。画像形成部は、画像読取部の下に配置されて用紙に画像形成処理を行う。画像形成部は、画像形成部から排出される画像形成処理後の用紙を収容する用紙排紙トレイを設けるための空間を画像読取部との間に有するように構成される。給紙部は、画像形成部へ用紙を供給する。画像読取部の前記空間に対向する底面は、用紙排紙トレイへの用紙排出方向に沿う方向に形成された1又は複数の第1リブを有し、第1リブ以外のリブを有しない。第1リブは、用紙排出方向において画像形成部から排出された用紙が最初に画像読取部の底面に接し得る位置より上流側の位置から、画像読取部の底面の下流側端部近傍まで設けられる。
【0010】
この構成では、画像読取部の前記空間に対向する底面に第1リブが設けられ、第1リブは、用紙排出方向において画像形成部から排出された用紙が最初に画像読取部の底面に接し得る位置より上流側の位置から画像読取部の底面の下流側端部近傍まで設けられるので、画像読取部の底面の強度が高められる。第1リブは、用紙排紙トレイへの用紙排出方向に沿う方向に形成され、第1リブの用紙排出方向の上流側端部は、画像形成部から排出された用紙が最初に画像読取部の底面に接し得る位置より上流側に配置されるので、用紙排紙トレイへ排出される用紙が第1リブに引っ掛かることがない。画像読取部の底面には、第1リブ以外のリブは設けられないので、用紙排紙トレイへ排出される用紙が画像読取部の底面に接触することによる用紙詰まりが抑制される。
【0011】
上述の構成において、画像読取部の底面は、水平面に対して用紙排出方向の下流側ほど高くなる方向に傾斜することが好ましい。用紙を加熱する工程を画像形成処理が含む場合、加熱工程で熱せられた用紙が用紙排紙トレイへ排出され、加熱工程の周囲の熱せられた空気の一部が用紙搬送路を通じて前記空間へ導かれるが、画像読取部の前記空間に対向する底面は、水平面に対して用紙排出方向の下流側ほど高くなる方向に傾斜しているので、熱せられた空気は画像読取部の底面に沿って用紙排出方向の下流側へ導かれて前記空間の外へ排出されやすくなる。このため、前記空間内の温度上昇が抑制される。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、画像読取部の底面の強度を高めることができ、かつ、画像読取部と画像形成部との間に設けられた用紙排紙トレイへの用紙排出における用紙詰まりの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す正面断面図である。
【図2】(A)は、画像読取部の底面図であり、(B)は、(A)に示す画像読取部の一部の側面図であり、(C)は、(B)に示す第1リブの拡大図である。
【図3】他の実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、この発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像読取部20、画像形成部30、及び給紙部40を備えている。
【0016】
画像読取部20は画像形成装置10の上部に配置され、画像読取部20の下に画像形成部30が配置され、画像形成部30の下に給紙部40が配置されている。
【0017】
画像読取部20は、自動原稿搬送装置(ADF:Automatic DocumentFeeder)21及びスキャナ部22を備えている。
【0018】
スキャナ部22は、一例として、原稿台に沿って往復移動するCIS(ContactImage Sensor)221を有している。なお、スキャナ部22は、光源及びミラーを搭載した第1走査ユニット、他の同様のミラーを搭載した第2走査ユニット、並びにそれぞれの所定位置に配置された結像レンズ及びCCD(Charge Coupled Device)センサを有するように構成することもできる。
【0019】
スキャナ部22は、ADF21によって原稿台上を経由するように搬送される原稿、又は手動操作によって原稿台上に載置された原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取処理を実行する。
【0020】
給紙部40は、用紙を収容し、画像形成部30へ用紙を1枚ずつ供給する。用紙として、普通紙、印画紙、OHPフィルム等の記録媒体が挙げられる。
【0021】
画像形成部30は、電子写真プロセス部31及び定着装置32を備え、用紙に対して電子写真方式の画像形成処理を実行する。
【0022】
具体的には、電子写真プロセス部31は、感光体ドラム311、帯電器312、光走査装置313、現像装置314、及び転写器315を備えている。帯電器312は、感光体ドラム311の周面を所定電位に帯電させる。光走査装置313は、感光体ドラム311の周面を走査することで静電潜像を形成する。現像装置314は、感光体ドラム311の周面にトナー(現像剤)を供給することで静電潜像を現像してトナー像にする。転写器315は、トナー像を用紙に転写する。定着装置32は、トナー像を担持した用紙を、加熱及び加圧することで、トナー像を用紙に堅牢に固着させる。
【0023】
画像形成部30は、画像形成処理後の用紙を収容する用紙排紙トレイ50を設けるための空間51を画像読取部20との間に有するように、一部の水平方向の断面積が画像読取部20より小さく形成されている。このように、画像形成装置10は、所謂胴内排出形状を呈している。空間51は、画像読取部20のハウジングの底面23と用紙排紙トレイ50とによって上下に挟まれている。
【0024】
給紙部40から供給された用紙は、電子写真プロセス部31及び定着装置32を経由する用紙搬送路52を搬送されて、排紙部33から用紙排紙トレイ50へ、トナー像が定着した面を下側にして排出される。
【0025】
用紙搬送路52は、給紙部40から画像形成部30にかけての領域では略垂直方向に延び、排紙部33の上流側近傍で水平方向に近付くように湾曲している。但し、用紙搬送路52の急激な湾曲による用紙詰まりを防ぐために、排紙部33から排出される用紙は、若干上向きに排出される。この結果、用紙は、画像読取部20の空間51に対向する底面23に沿わされながら排出されて、用紙排紙トレイ50へ収容される。この実施形態では、底面23は、水平方向に配置されている。
【0026】
画像読取部20のハウジングの底板は、板金で形成されている。
【0027】
図2に示すように、画像読取部20の底面23は、複数の第1リブ24を有している。第1リブ24は、排紙部33から用紙排紙トレイ50への用紙排出方向91に沿う方向に形成されている。
【0028】
第1リブ24は、用紙排出方向91において画像形成部30から排出された用紙が最初に画像読取部20の底面23に接し得る位置より上流側の位置から、底面23の下流側端部近傍まで設けられている。この実施形態では、第1リブ24は、用紙排出方向91における底面23の全域に設けられている。
【0029】
一例として、第1リブ24は、底面視において長方形を呈している。第1リブ24は、底面23に対して平行な平面部241、及び平面部241の周囲と底面23とを連続させる斜面部242を有している。互いに隣接する第1リブ24同士の間に位置する平面部241と斜面部242とがなす角度A1は、135度以上180未満であることが好ましい。底面23に対する斜面部242の傾斜が緩やかであることで、平面部241と斜面部242とがなす角部による用紙の損傷が抑制される。
【0030】
底面23は、第1リブ24以外のリブを有しない。
【0031】
画像形成装置10によれば、画像読取部20の底面23に第1リブ24が設けられ、第1リブ24は、用紙排出方向91において画像形成部30から排出された用紙が最初に画像読取部20の底面23に接し得る位置より上流側の位置から底面23の下流側端部近傍まで設けられているので、画像読取部20の底面23の強度が高められる。
【0032】
また、第1リブ24は、用紙排紙トレイ50への用紙排出方向91に沿う方向に形成され、第1リブ24の用紙排出方向91の上流側端部は、画像形成部30から排出された用紙が最初に底面23に接し得る位置より上流側に配置されるので、用紙排紙トレイ50へ排出される用紙が第1リブ24に引っ掛かることがない。
【0033】
さらに、画像読取部20の底面23には、第1リブ24以外のリブは設けられないので、用紙排紙トレイ50へ排出される用紙が底面23に接触することによる用紙詰まりの発生が抑制される。
【0034】
また、排紙部33から空間51へ排出された用紙が画像読取部20の底面23に接触しても用紙詰まりが発生しにくいので、空間51の高さを小さくすることができる。したがって、画像形成装置10を小型化することができる。
【0035】
図3に示すように、他の実施形態に係る画像形成装置10Aは、画像読取部20の底面23Aが水平面に対して用紙排出方向91の下流側ほど高くなる方向に傾斜していることを除いて、画像形成装置10と同様に構成されている。一例として、用紙排出方向91における底面23Aの両端部の高低差は、10mm〜15mm程度である。
【0036】
第1リブ24の平面部241は、底面23Aに対して平行である。即ち、第1リブ24の平面部241も、水平面に対して用紙排出方向91の下流側ほど高くなる方向に傾斜している。
【0037】
一方、画像読取部20のハウジングの底板の内面は、水平方向に配置されている。これによって、スキャナ部22の内部機器は水平面に支持され、高精度に画像読取処理を実行する。
【0038】
画像形成装置10Aが実行する画像形成処理には、画像形成装置10と同様に、定着装置32によって用紙を加熱する定着工程が含まれている。定着工程で熱せられた用紙は用紙排紙トレイ50へ排出され、定着装置32の周囲の熱せられた空気の一部は用紙搬送路52を通じて空間51へ導かれる。また、画像読取部20の底面23Aは、水平面に対して用紙排出方向91の下流側ほど高くなる方向に傾斜しているので、熱せられた空気は底面23Aに沿って用紙排出方向91の下流側へ導かれて空間51の外へ排出されやすくなる。このため、空間51内の温度上昇が抑制される。
【0039】
したがって、画像形成装置10Aによれば、画像読取部20の底面23Aの強度を高めることができ、かつ、画像読取部20と画像形成部30との間に設けられた用紙排紙トレイ50への用紙排出における用紙詰まりの発生を抑制することができることに加えて、空間51内の温度上昇を抑制できるという効果をも奏することができる。
【0040】
なお、第1リブ24の平面部241は、用紙を損傷しない限りにおいて狭い方が好ましい。平面部241が狭い方が、用紙の静電気による平面部241への用紙の吸い付きが起こりにくいので、用紙が円滑に搬送されやすく、用紙排紙トレイ50への用紙のスタッキング不良が抑制されるからである。
【0041】
また、第1リブ24は、底面23,23Aに複数設けられることに限定されず、1個のみとすることもできる。
【0042】
さらに、画像読取部20がADF21を備えることは必須要件ではない。さらに、画像形成部30は、互いに異なる複数の色相のそれぞれに対応した複数の電子写真プロセス部31を備えるように構成することもできる。また、画像形成部30が実行する画像形成処理は、必ずしも電子写真方式である必要はない。
【0043】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
10,10A 画像形成装置
20 画像読取部
23,23A 底面
24 第1リブ
30 画像形成部
31 電子写真プロセス部
32 定着装置
50 用紙排紙トレイ
51 空間
91 用紙排出方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取処理を行う画像読取部と、
前記画像読取部の下に配置されて用紙に画像形成処理を行う画像形成部であって前記画像形成部から排出される画像形成処理後の用紙を収容する用紙排紙トレイを設けるための空間を前記画像読取部との間に有するように構成された画像形成部と、
前記画像形成部へ用紙を供給する給紙部と、を備え、
前記画像読取部の前記空間に対向する底面は、前記用紙排紙トレイへの用紙排出方向に沿う方向に形成された1又は複数の第1リブを有し、前記第1リブ以外のリブを有せず、
前記第1リブは、前記用紙排出方向において前記画像形成部から排出された用紙が最初に前記底面に接し得る位置より上流側の位置から前記底面の下流側端部近傍まで設けられる、画像形成装置。
【請求項2】
前記底面は、水平面に対して前記用紙排出方向の下流側ほど高くなる方向に傾斜する、請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−123022(P2012−123022A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271010(P2010−271010)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】