説明

画像形成装置

【課題】 ベルト上の被検知物を検知する為の検出手段を有する画像形成装置において、装置を小型化する。
【解決手段】 回転可能なベルトと、検知位置で前記ベルト上の被検知物を検知する検知手段と、前記ベルトとは独立して装置本体に対して着脱可能なカートリッジと、前記カートリッジを装置本体から着脱する為に装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、を有し、前記ベルトを用いて記録材上に画像形成を行う画像形成装置において、前記検知位置にある前記検知手段は、少なくとも一部が前記カートリッジを着脱する為の空間に位置しており、前記検知手段は、前記検知手段が前記カートリッジを着脱する為の空間から退避した退避位置と、前記検知位置との間を移動可能であり、前記退避位置にある前記検知手段は、少なくとも一部が前記開閉部材を装置本体に対して開くことで形成された空間に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジを装着して、電子写真方式で記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムから中間転写ベルト上に順次各色のトナー像を転写し、中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体に転写することで画像形成を行う画像形成装置がある。このような装置では、感光ドラムから中間転写ベルトへのトナー像の転写位置が所定の位置からずれると、色ずれとなって画像品質を低下させることがある。また、中間転写ベルト上での各色のトナー濃度が異なると、色ずれと同様に色味の違いが生じ、画像品質を低下させることがある。そこで、中間転写ベルト上のトナー像の位置や濃度を検知するための検知手段を中間転写ベルトに対向して設けている。
【0003】
特許文献1には、中間転写ベルトのたるみや波打ちによる検知不良を防ぐため、検知手段を、中間転写ベルトを張架するローラに対向して配置し、ローラへ巻付きついている部分の中間転写ベルト上のトナー像を検知することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、感光ドラムを備えるカートリッジを複数引出トレイで支持し、この引出トレイを中間転写ベルトが張られた方向に沿って引き出すことにより、カートリッジを装置本体から着脱することが開示されている。
【0005】
図6は、このような中間転写ベルト131上のトナー像やトナー濃度を検知する検知手段261を備える従来の画像形成装置101を示したものである。中間転写ベルト131は、ローラ151及びローラ141により感光ドラム1の配列方向(L方向)に張られて張架されており、ローラ141に対向して2次転写ローラ221が設けられている。引出トレイ341に支持されたカートリッジCRGはL方向に引き出されて装置本体から着脱される。検知手段261は、中間転写ベルト131を介してローラ151に対向し、カートリッジCRGを着脱する為の空間Sの外に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−194853
【特許文献2】特開2007−121983
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来はカートリッジを着脱する為の空間、及び、検知手段を配置する空間を別々に装置内に設けている為、これらの空間が装置の更なる小型化を行う上での制約となってしまっていた。
【0008】
そこで本発明は、上記の課題に鑑みて、装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、回転可能なベルトと、検知位置で前記ベルト上の被検知物を検知する検知手段と、感光ドラムを備え、前記ベルトとは独立して装置本体に対して着脱可能なカートリッジと、前記カートリッジを装置本体から着脱する為に装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、を有し、前記ベルトを用いて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置において、前記検知位置にある前記検知手段は、少なくとも一部が前記カートリッジを着脱する為の空間に位置しており、前記検知手段は、前記検知手段が前記カートリッジを着脱する為の空間から退避した退避位置と、前記検知位置との間を移動可能であり、前記退避位置にある前記検知手段は、少なくとも一部が前記開閉部材を装置本体に対して開くことで形成された空間に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ベルト上のもの(被検知物)を検知する為の検出手段を有する画像形成装置において、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)画像形成装置の外観斜視図。 (b)画像形成装置の概略断面図。
【図2】(a)検知手段を支持するベルトユニットの斜視図。 (b)検知手段とドアとの連動機構の斜視図。
【図3】カートリッジ着脱時の画像形成装置の概略断面図。
【図4】(a)ドアを閉じた時の検知手段の位置を示す概略断面図。 (b)ドアを開放した時の検知手段の位置を示す概略断面図。
【図5】本実施形態の画像形成装置100と従来の画像形成装置101の概略断面図。
【図6】従来の画像形成装置の概略断面図。
【図7】(a)ドアを閉じた時の検知手段の位置を示す概略断面図。 (b)ドアを開放した時の検知手段の位置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
(画像形成装置の全体構成)
本実施形態の画像形成装置100の全体構成について説明する。ここで、画像形成装置とは、電子写真方式を用いて記録媒体に画像を形成するものであり、例えば複写機、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ、ファクシミリ及びワードプロセッサ等が含まれる。また、記録媒体とは、例えば、紙、OHPシート等が含まれる。
【0013】
図1(a)は、画像形成装置100の外観斜視図、(b)は、画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザプリンタである。即ち、パソコン・イメージリーダ・相手方ファクシミリ装置等の外部ホスト装置からコントローラ部(制御部)に入力する画像信号に基づいて記録媒体(被転写材)Pに画像を形成する。以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側(正面側)とはドア31を配設した側である。後側(奥側)とはそれとは反対側である。また、左右とは装置本体を前側から見て左または右である。
【0014】
図1の(b)に示すように、画像形成装置100の装置本体には、着脱部材としての第1から第4のカートリッジCRG(PY、PM、PC、PK)が装置本体に装着された状態で水平方向に並んで配設されている。各カートリッジは、収容するトナーの色が異なるだけで、互いに同様の構成のものである。各カートリッジCRGは、それぞれ、像担持体としての感光ドラム1と、この感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電器2、現像器3、クリーニング器4をカートリッジ枠体内に一体的に支持するものである。
【0015】
第1〜第4のカートリッジCRGは、夫々の現像器3にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収容している。第1〜第4のカートリッジCRGを装置本体への着脱は、後に詳述するが、開閉部材としてのドア31をドアヒンジ32によって回動させ、開口30を開いて装置内部を開放することによって行う。
【0016】
第1〜第4のカートリッジCRGの上方部には、露光手段としてのスキャナユニット11が配設されている。このスキャナユニット11は、外部ホスト装置から入力する画像情報に対応して変調したレーザ光を出力し、そのレーザ光で各カートリッジの感光ドラム1上を走査し露光する。
【0017】
第1〜第4のカートリッジCRGの下方部には、中間転写ベルトユニット12を配設されている。このベルトユニット12は、中間転写体としての、可撓性を有する無端形状のベルト13(エンドレスベルト)と、このベルト13を張架して回転させる為の駆動ローラ14、ターンローラ15、テンションローラ16とを有する。ターンローラ15は装置本体内の前側に配設してある。ここで、ベルトの張架方向とはベルトが主に張られた方向である。本実施形態では、主としてベルトを張架し、装置内に保持する駆動ローラ14とターンローラ15が並ぶ方向である。
【0018】
第1〜第4のカートリッジCRGはこのベルトの張架方向に配列されており、各カートリッジの感光ドラム1は、その下面が、張架されたベルト13の上側部分の上面に接している。ベルト13の上側部分と下側部分の間であるベルト13の内側には、ベルト13の上側部分を介して各カートリッジの感光ドラム1に対向する4つの一次転写ローラ17が配設されている。各感光ドラム1と各一次転写ローラ17でベルト13の上側部分を挟んで一次転写ニップ部N1を形成している。なお、一次転写ローラ17は、弾性体により構成される1次転写パッドであっても良い。
【0019】
駆動ローラ14には、ベルト13を介して二次転写ローラ22を当接させてあり、駆動ローラ14と二次転写ローラ22でベルト13を挟んで二次転写ニップ部N2を形成している。また、駆動ローラ14の上方で、駆動ローラに対向して、ベルト上のトナーを清掃する為の部材41が設けられている。本実施形態では、この清掃する為の部材41はベルト13上のトナーを帯電する帯電ローラである。
【0020】
ベルト13のターンローラ15に対向する位置には、後に詳述するベルト上のトナーを検知する為の検知手段26が支持部材27に支持されて設けられている。
【0021】
ベルトユニット12の下方には、給紙ユニット18が配設されている。この給紙ユニット18は、給紙トレイ19、給紙ローラ20、分離パッド21を有する。給紙トレイ19は装置本体前側から挿抜可能である。
【0022】
装置本体内の後側の上部には、定着装置23と、排紙ローラ対24を配設してある。装置本体の上面は排紙トレイ25にしてある。定着装置23は定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bを有するものを用いている。排紙ローラ対24は排紙ローラ24aと排紙コロ24bである。
【0023】
装置本体内の装着位置に装着されている状態にある各カートリッジは、そのカートリッジの駆動入力部に対して装置本体側の駆動出力部が連結している。また、そのカートリッジの電気接点に対して装置本体側の給電系統が導通化している。
【0024】
(画像形成動作)
次に記録媒体Pにカラー画像を形成するための動作について説明する。第1〜第4のカートリッジCRGの各感光ドラム1が矢印の方向に回転駆動される。ベルト13も矢印の時計方向(感光ドラム1の回転に順方向)に回転駆動される。各カートリッジCRGにおいてそれぞれ所定のタイミングで帯電ローラ2が感光ドラム1の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する。スキャナユニット11は各感光ドラム1の表面を各色の画像信号に応じて変調されたレーザ光で走査し露光する。これにより、各感光ドラム1の表面は、レーザ光で走査露光された領域が、画像信号に応じた静電潜像となる。各感光ドラム1の表面に形成された静電潜像が、各現像器3によりトナー像として現像される。
【0025】
上記のような電子写真画像形成プロセスにより、第1のカートリッジPYの感光ドラム1にはY色トナー像が形成され、そのトナー像がベルト13上に一次転写される。第2のカートリッジPMの感光ドラム1にはM色トナー像が形成され、そのトナー像が、ベルト13上にすでに転写されているY色トナー像に重畳されて一次転写される。同様に、第3、第4のカートリッジPC、PKの感光ドラム1に形成されたC色トナー像、K色トナー像が、ベルト13上にすでに転写されているY色+M色トナー像に順次重畳されて一次転写される。かくして、ベルト13上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0026】
一方、所定の制御タイミングで給紙ローラ20が駆動される。これにより、給紙ローラ20と分離パッド21との協働で、給紙トレイ19上に積載されている記録媒体である用紙Pが1枚分離給送されて、二次転写ニップ部N2に搬送される。これにより、記録媒体Pが二次転写ニップ部N2を挟持搬送されていく過程でベルト13上の4色重畳のトナー像が用紙Pの面に順次に一括転写される。
【0027】
記録媒体Pはベルト13の面から分離されて定着装置23へ搬送され、定着ニップ部で加熱し、加圧され、トナー像が記録媒体P上に定着される。そして、さらに搬送された記録媒体Pは、定着装置23を出て、排紙ローラ対24で排紙トレイ25上に排出される。
【0028】
二次転写ニップ部N2を通過したベルト13の表面に残留した二次転写残トナーは、ベルト上のトナーを清掃するための部材41である帯電ローラによって帯電される。そして、第1のプロセスカートリッジPYの一次転写部においてドラム1の表面に静電的に付着し、クリーニング器4にて除去される。なお、本実施形態では、ベルト上のトナーを清掃するための部材41は、ベルト13上のトナーを感光ドラム1で回収する為にトナーを帯電させる帯電ローラである。しかし、ベルト上のトナーを清掃するための部材41は、ベルト上のトナーを掻きとるブレード等、ベルト上のトナーを清掃する為の部材であれば良い。
【0029】
(検知手段26の機能)
次に、ベルト13上のもの(被検知物)を検知する検知手段26について説明する。本実施形態における、検知手段26は、ベルト13上のトナーを検知する為の検知手段であり、レジスト検知センサと濃度検知センサを内部に備える。
【0030】
レジスト検知センサは、光学式センサであり、発光部としてのLEDと受光部としてのフォトダイオードで構成されている。レジスト検知センサは、ベルト13上に形成されたトナー像のレジスト検知パターンA(図2(a)参照)にLEDで発光した光を照射し、反射した光をフォトダイオードで受光して受光した光量検知する。そして、その受光した光量に基づいて基準色に対してのずれ量が検出される。この検出結果に基づいて制御手段60は、ずれ量に応じて各感光ドラム1へのレーザ光の書出しタイミングを変更し、色ずれを補正する。即ち、例えば、レジスト検知センサによって、Y色のサンプル基準トナー像の位置を基準にして、他の色のサンプルトナー像の位置ずれを検出する。これにより、上記ずれ量に応じてスキャナユニット11内の折り返しミラーを位置調整したり、感光ドラム11に書き込むレーザ光の位置を調整したり、レーザ光の書出しタイミングを変更したりして各色のトナー像の位置ずれを補正する。
【0031】
濃度検知センサは、光学式センサであり、レジスト検知センサと同様に、発光部としてのLEDと受光部としてのフォトダイオード等で構成されている。濃度検知センサは、ベルト13上に作成した濃度検知パターンにLEDで発光した光を照射し、反射した光をフォトダイオードで受光して受光した光量を検知する。そして、その受光した光量に基づいてベルト13上のトナー濃度が検出される。この検出結果に基づいて制御手段60は最適な現像バイアスや転写バイアス等の画像形成条件を決定し、ドラム劣化、環境の変化、トナー劣化などによる画像濃度変動を防止するようになっている。即ち、例えば、濃度検知センサによって、Y色のサンプル基準トナー像の位置を基準にして、他の色のサンプルトナー像の濃度の差を読み取り、各色の現像バイアスを調整し、トナー濃度を調整する。
【0032】
上述した、レジスト検知センサを用いたトナー像の位置ずれ補正や、濃度検知センサを用いたトナー像の濃度調整は、主に装置の電源立ち上げ時や、ジャム処理後のリスタート時、電源立ち上げ後所定の時間経過した時等に行われる。なお、上述の制御手段60はCPU等の演算デバイスからなっている。
【0033】
(検知手段26の配置)
次に、検知手段26の配置について説明する。ここで、カートリッジCRGは、引出トレイ34上に支持(収容)されている。ドア31を開き、引出トレイ34をベルト13の張られた方向(X方向)に実質的に沿う方向に引き出して装置本体外に取り出すことで、カートリッジCRGを装置本体から着脱することができる。このため、装置本体内には、着脱部材を着脱する為の空間であるカートリッジCRG及び引出トレイ34が移動する為の空間がある。そこで、本実施形態では、この空間に検知手段26の少なくとも一部が入る(位置する)ように検知手段26を配置している。しかし、そのままではカートリッジCRGを着脱することができない。このため、本実施形態では、カートリッジCRG着脱時にはカートリッジCRGの着脱を邪魔しない位置に検知手段26を退避するよう構成している。
【0034】
また、図6に示す従来の画像形成装置のように検知手段261を配置すると、ベルト131が張られた方向(以下L方向と称す)の装置の長さに関して、少なくとも検知手段261の分だけ装置が長くなってしまう。特に鉛直方向の幅よりも水平方向の幅が長くベルトが張架されている(ベルトが張られた方向が水平方向又は水平方向に対して45°よりも小さい角度で傾斜している)場合は、装置は水平方向に長くなる。このため、装置の設置面積が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、ローラ15の軸方向から見てL方向においてベルト13と重なる位置に検知手段26を配置している。つまり、水平方向の面にベルト13及び検知手段26を配置した際に、ベルト13に検知手段26の少なくとも一部が重なるように配置している。
【0035】
また、検知手段26をベルト13の下側に配置すると、トナーの飛散によって検知手段が汚れ検知精度が落ちてしまう。このため、本実施形態では検知手段26をベルト13の上側に配置している。
【0036】
また、検知手段26が精度良くベルト13上のトナーを検知するには、検知手段26が検知するトナーは、ベルト上に一次転写された状態からなるべく変化していない状態のトナーであることが好ましい。そこで、本実施形態では、検知手段26は、ベルト13の回転方向において、最下流の一次転写ニップ部N1の下流、且つ、二次転写ニップN2及びベルト13上のトナーを清掃するための部材41の上流に配置している。
【0037】
また、ベルト13のたるみや波打ちにより検知手段26とベルト13との距離が変化しないよう、検知手段26はベルト13を張架するローラにベルトを介して対向して配置することが好ましい。このため、本実施形態では、検知手段26をターンローラ15にベルト13を介して対向して配置している。
【0038】
(検知手段26の移動構成)
次に、検知手段26を移動して退避させる構成について説明する。図2(a)は、検知手段26を支持するベルトユニット12の斜視図である。(b)は、検知手段26とドアとの連動機構の斜視図である。図3は、カートリッジCRG着脱時の画像形成装置100の概略断面図である。
【0039】
図2(a)に示すように、検知手段26はベルト13を張架しているベルトユニット12に、コの字の板形状の支持部材27を介して支持されている。つまり、検知手段26は支持部材27に固定されており、支持部材27の両端は、ターンローラ15を軸支する軸受部材29に支持されている。
【0040】
そして、支持部材27は軸受部材29の外側に軸支されており、ターンローラ15と略同軸で回転することができる。即ち、このような構成により、支持部材27の回転軸とターンローラ15の回転軸の同軸度の精度を高めることができる。
【0041】
本実施形態では、カートリッジCRGの着脱するために開閉するドア31の開閉動作と連動して検知手段26を移動させ退避する構成としている。次に、この検知手段26をドア31の開閉動作と連動して移動させる構成について説明する。
【0042】
カートリッジCRGは、引出トレイ34上に支持(収容)されており、引出トレイ34をベルト13の張られた方向(X方向)に実質的に沿う方向に引き出して装置本体外に取り出し、装置本体から着脱することができる。引出トレイ34は、装置本体に対してX方向に移動可能に、レール35に支持されており、画像形成位置からカートリッジCRGを支持した状態で画像形成位置からカートリッジCRGの着脱位置まで移動することができる。上述したように、画像形成装置100の前面側には、引出トレイ34をX方向に引き出す為の開口30が設けられている。そして、この開口30を閉じる閉位置と、開口30を開放した開放位置と、の間を移動可能なドア31を設けてある。つまり、このドア31は、装置本体に固定されたドアヒンジ32を回転中心として装置本体に対して閉じた閉位置と開いた開放位置との間を移動して開口30を開閉する。
【0043】
ドアヒンジ32には、ドアリンク33がドアリンク回転軸40を回転中心として回転自在に保持されている。このドアリンク33は、支持部材27に設けられたガイド穴28に嵌合する軸36、レール35と嵌合する軸37、ドアリンクガイド穴と嵌合する軸38の3つの軸を備えている。ドアリンク33の軸38は、ドア31の両端に設けられた長穴形状のドアリンクガイド穴39に嵌合しており、ドアリンク33は、ドア31の開閉動作と連動してドアリンク回転軸40を中心に回転する。
【0044】
ドアリンク33の軸36は、支持部材27の両端に設けられたガイド穴28内に摺動可能に嵌合しており、支持部材27は、ドアリンク33の回転に連動して軸受部材29を回転中心に回動する。また、軸37は、引出トレイ34の左右のレール35と嵌合しており、レール35は、ドアリンク33の回転に連動してベルト13から退避又は近づく方向に移動する。ドア31を開くと、ドアリンク33に連動してレール35がベルト13から退避する方向に移動し、レール35に支持された引出トレイ34もベルト13から退避する方向に移動する。このため、画像形成装置本体に設けられた不図示のカートリッジ位置決め部からカートリッジCRGが離隔し、画像形成装置へのカートリッジCRGの位置決めが解除される。
【0045】
上述した構成により、ドア31の開閉動作に連動して、検知手段26は軸受部材29を回転中心として回転し、引出トレイ34をベルト13から退避する又は近づく方向に移動し、装置本体に対するカートリッジCRGの位置決めが解除される。
【0046】
次に、カートリッジCRG着脱時における検知手段26の移動について説明する。図4(a)は、ドア31を閉じた時の検知手段26の位置を示す概略断面図、(b)は、ドア31を開放した時の検知手段26の位置を示す概略断面図である。なお、図4では、便宜上、装置のカートリッジCRG、ベルト13、引出トレイ34、検知手段26等の一部分のみを示し、その他の部分は省略している。
【0047】
図4(a)に示すように、ドア31が装置本体に対して閉じた閉位置にある時は、検知手段26はターンローラ15の上方で且つカートリッジCRGの配列方向(L方向)でカートリッジCRGに並んで検知位置に配置されている。つまり、カートリッジCRG及び引出トレイ34の移動軌跡S上に検知手段26が配置されている。また、検知手段26は、この検知位置に配置された状態ではL方向におけるベルト13の幅内に収まっている。
【0048】
そして、ドア31を閉位置から装置に対して開いた開放位置へ移動させると、上述したドアリンク33の回転に連動して、検知手段26は、軸受部材29を回転中心として回転し、図4(b)に示す位置へと移動する。この状態で検知手段26は、カートリッジCRGが引出トレイ34に支持され装置本体から引き出されるときに通過する経路外に配置されている為、引出トレイ34を引き出す動作を妨げない。つまり、検知手段26は、カートリッジCRG及び引出トレイ34の移動軌跡Sから退避した退避位置に配置されている。ここで、移動軌跡Sとは、着脱部材であるカートリッジCRGの着脱時に、着脱部材及び着脱部材を着脱する際に移動する部材である引出トレイ34が通過する空間であり、着脱部材を着脱する為の空間である。また、退避位置は、ドア31を開くことで形成された空間内に少なくとも検知手段26の一部が入る(位置する)位置である。
【0049】
よって、画像形成位置にある引出トレイ34を、検知手段26に妨げられることなく、装置本体100の外側に位置するカートリッジCRG着脱位置まで引き出し、カートリッジCRGを着脱することができる。
【0050】
このように、本実施形態では、検知位置にある検知手段は、カートリッジ着脱の為の空間に入って(位置して)おり、カートリッジの着脱時は、検知手段は該検知位置からカートリッジ着脱の為の空間から退避した退避位置へ移動するようにした。加えて、退避位置にある検知手段は、開閉部材を装置本体に対して開くことで形成された空間に入って(位置して)いる。つまり、カートリッジの着脱時に検知手段は検知を行わないことに着目し、カートリッジを着脱する為の空間に検知時に検知手段を配置している。このため、検知時に検知手段を配置する空間、及び、カートリッジを着脱する為の空間と別々に設けるよりも、画像形成装置を小型化することができる。つまり、本実施形態では、検知手段が退避する対象は、検知対象のベルトではなく、検知対象では無いカートリッジであり、検知対象ではない部材の着脱の為の空間に検知時の検知手段を配置することで装置を小型化するものである。
【0051】
なお、検知位置にある検知手段は、少なくとも一部がカートリッジ着脱の為の空間に入っていれば、従来に比べ装置を小型化することができる。同様に退避位置にある検知手段は、少なくとも一部が開閉部材を装置本体に対して開くことで形成された空間に入っていれば従来に比べ装置を小型化することができる。
【0052】
また、図5は、本実施形態の画像形成装置100と従来の画像形成装置101の概略断面図である。図5上側が本実施形態の画像形成装置100で下側が従来の画像形成装置である。本実施形態では、検知位置は、検知手段26をドア31に連動させて、ベルト13の張られた方向(L方向)においてベルト13の幅内に収まり、且つ、カートリッジCRGの着脱軌跡上の位置である。また、退避位置は、ドア31を開くことで形成された空間内で、且つ、カートリッジCRGの着脱軌跡から退避した位置である。このため、従来と比べて画像形成装置のベルト13の張架方向(L方向)における長さを抑え、設置面積を小さくすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、検知手段26がターンローラ15の軸受部材29に支持された支持部材27に支持されることで、検知位置における検知手段26とターンローラ15との相対位置関係が精度良く決まる。このため、検知手段26の良好な検知精度を保つことができる。また、検知手段26をターンローラ15の回転軸まわりに回転させて、検知位置と退避位置との間を移動する構成とすることで、新たに別の回転軸を設けることなく、検知手段26を移動可能な構成としも検知手段26を強固に支持することができる。また、検知位置において検知手段26の位置が多少回転方向にずれたとしても、検知手段26は支持部材27を介して軸受部材29に支持されているので、検知手段26とベルト13の被検知部分との距離は変化しにくく、良好な検知精度を保つことができる。
【0054】
なお、本実施形態では、カートリッジCRGを引出トレイ34に支持した状態で装置本体から取り出したが、引出トレイ34が無くユーザがカートリッジCRGを装置本体内から直接取り出す構成であっても良い。また、本実施形態では、ベルト13は水平方向に張られているが、その他の方向に張られていてもよい。
【0055】
また、本実施形態のカートリッジCRGは、感光ドラム1とそれに作用するプロセス手段を備えるプロセスカートリッジであったが、トナーカートリッジ等の画像形成の為のカートリッジや、廃トナー容器等の装置本体に着脱可能な着脱部材であれば良い。また、本実施形態では、検知手段26は、ドア31の開閉に連動して移動したが、引出トレイ34の移動に連動して移動するよう構成しても良い。以上のように構成しても、上述した本実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について説明する。ここで、第1実施形態では、ベルト13は感光ドラム1から転写されたトナー像を二次転写ニップN2で記録媒体P上に転写する中間転写体であった。第2実施形態では、ベルトが記録媒体を搬送する記録媒体搬送ベルトである場合について説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付しその説明は省略する。
【0057】
図7は画像形成装置の概略断面図であり、(a)はドア231を閉じた状態、(b)はドア231を開いた状態を示す。本実施形態の画像形成装置200は、記録媒体を搬送する記録媒体搬送ベルトとしてのベルト213を備えたベルトユニット212を用いている。ベルト213は給紙された記録媒体Pを静電的に吸着して搬送し、記録媒体Pを各カートリッジ(PY、PM、PC、PK)の各感光ドラム1とベルト213との間のニップを通過させる。この際、ベルト213に担持される記録媒体P上には、各感光ドラム1からトナー像が順次重ねて転写され、記録媒体P上に4色のトナー像を得ることができる。その後は第1実施形態同様の方法にてトナー像を記録媒体上Pに定着させる。
【0058】
第1実施形態同様に、ベルトユニット212には検知手段26が配置されており、ベルト213上のトナー像や記録媒体等の被検知物を検知する。そして、ドア231を閉位置から装置に対して開いた開放位置へ移動させると、不図示のドアリンクの回転に連動して、検知手段26は、ローラ15の軸を回転中心として回転し、図7(b)に示す位置へと移動する。
【0059】
この状態で検知手段26は、カートリッジが引出トレイに支持され装置本体から引き出されるときに通過する経路外に配置されている為、引出トレイを引き出す動作を妨げない。つまり、検知手段26は、カートリッジ及び引出トレイの移動軌跡から退避した退避位置に配置されている。
【0060】
なお、移動軌跡とは、カートリッジの着脱時に、カートリッジ及びカートリッジを着脱する際に移動する部材である引出トレイが通過する空間であり、カートリッジを着脱する為の空間である。また、退避位置は、ドア231を開くことで形成された空間内に少なくとも検知手段26の一部が入る位置である。
【0061】
以上説明したように、本発明は、記録材搬送ベルトとしてのベルト13にも適用することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0062】
100、200 画像形成装置
1 感光ドラム
12、212 ベルトユニット
13、213 ベルト
14 駆動ローラ
15 ターンローラ
26 検知手段
27 支持部材
28 ガイド穴
29 軸受部材
30 開口
31、213 ドア
32 ドアヒンジ
33 ドアリンク
34 引出トレイ
35 レール
36 軸
37 軸
38 軸
39 ドアリンクガイド穴
40 ドアリンク回転軸
P 記録媒体
L ベルトの張架方向
S カートリッジ及び引出トレイの移動軌跡
CRG(PY、PM、PC、PK) カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なベルトと、
検知位置で前記ベルト上の被検知物を検知する検知手段と、
感光ドラムを備え、前記ベルトとは独立して装置本体に対して着脱可能なカートリッジと、
前記カートリッジを装置本体から着脱する為に装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、
を有し、前記ベルトを用いて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置において、
前記検知位置にある前記検知手段は、少なくとも一部が前記カートリッジを着脱する為の空間に位置しており、
前記検知手段は、前記検知手段が前記カートリッジを着脱する為の空間から退避した退避位置と、前記検知位置との間を移動可能であり、
前記退避位置にある前記検知手段は、少なくとも一部が前記開閉部材を装置本体に対して開くことで形成された空間に位置していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記開閉部材を装置本体に対して開くこと連動して前記検知位置から前記退避位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ベルトはローラに張架されており、
前記検知手段は、前記検知位置では前記ベルトを介して前記ローラに対向して配置されており、
前記検知手段は、前記ローラの軸まわりに回動して前記検知位置と前記退避位置との間を移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ローラを軸支する軸受部材を有し、
前記検知手段は、前記軸受部材に回動可能に支持されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カートリッジは、各々が感光ドラムとそれに作用するプロセス手段を備えた複数のカートリッジであり、
前記複数のカートリッジが装置本体に装着された状態において、前記複数のカートリッジの配列方向は前記ベルトの張られた方向であり、前記ベルトは、前記感光ドラムと当接し、
前記複数のカートリッジは、前記ベルトの張られた方向に実質的に沿って着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルトは鉛直方向の幅よりも水平方向の幅が長い状態で張架され、
前記検知位置は、前記検知手段が、且つ、前記ベルトの上側にあり、且つ、前記ローラの軸方向から見て前記ベルトの張られた方向において前記ベルトと重なる位置であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記装置本体から引き出し可能で、前記複数のカートリッジを収容するトレイを有し、前記トレイを引き出すことによって、前記複数のカートリッジを、装置本体内で画像形成する為の画像形成位置から、前記複数のカートリッジを前記トレイに着脱可能な着脱位置に移動可能であること特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知手段は、前記ベルトへ光を照射し前記ベルトで反射した光を受光してベルト上に形成されたトナー像を検知することを特徴とする請求項1乃至7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知手段の出力に基づいて、前記ベルト上に形成されたトナー像に対する他のトナー像の位置のずれを検出することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記検知手段の出力に基づいて、前記ベルト上に形成されたトナー像の濃度を検知することを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128403(P2012−128403A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226027(P2011−226027)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】