説明

画像形成装置

【課題】省電力効果が得られない状況下でのスリープ状態への移行を防止する。
【解決手段】スリープ状態解除イベントの発生を監視し、解除イベントが発生した場合に(S1201:YES)、当該解除イベントの識別子とその解除開始時期とを記憶し、自装置が待機状態の場合に、スリープ状態への移行時期が到来したときに、当該移行時期よりも解除開始時期が後の解除イベントが記憶されている場合に、移行イベントの移行開始時期から、最初に到来する後の解除開始時期までの期間において待機状態維持に要する電力量を、当該期間において節電可能な節電量として算出し、スリープ状態に移行後、解除開始時期において当該スリープ状態を解除することとした場合に、スリープ状態から待機状態への復帰に要する復帰電力量を算出し(S1203,1204)、節電量が、復帰電力量より多い場合に限り、スリープ状態に移行させる画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置に関し、特に画像形成装置の省電力化を図るため、画像形成装置の電力消費量が多い部分への電源供給を低レベルに制限又は停止するスリープ状態への移行が可能な画像形成装置における、当該移行を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機等の画像形成装置は、常時連続的に使用されるものではなく、時間帯によって使用頻度が異なる。このため、使用されていない期間の電力消費を抑えるため、当該期間においては、画像形成装置は、電力消費量が多い部分(例えば、定着装置や感光体や現像器等が含まれる画像形成部)への電源供給を停止し、画像形成動作が不可能な省電力状態(スリープ状態)に移行が可能なように構成されているのが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷ジョブの終了後にスリープ状態に移行するための予約操作を行うことが可能な画像形成装置が開示されている。これにより、印刷ジョブの終了後に簡単にスリープ状態に移行させることができ、画像形成装置が使用されていない間の電力消費を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006―184541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スリープ状態に移行しても、その後、短時間の内に当該スリープ状態の解除を要求するようなイベント(例えば、印刷ジョブ開始時刻を指定した予約印刷ジョブが入力されているような場合)が入力されているような場合には、スリープ状態移行による省電力効果が充分得られない内に、スリープ状態が解除され、自装置を待機状態(速やかに画像形成動作を開始できる状態)へ復帰させるために、所定量の電力消費を要するウォームアップ動作が行われることになるので、かえって電力消費量を増やしてしまう結果になる場合が生じる。
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、省電力効果が得られない状況下でのスリープ状態への移行を防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る画像形成装置は、 画像形成動作が実行不可能なスリープ状態を解除し、画像形成動作が可能な待機状態への復帰を、その解除時期を指定して要求する解除イベントの発生を監視する監視手段と、前記解除イベントが発生した場合に、当該解除イベントの識別子とその解除開始時期とを記憶する記憶手段と、自装置が待機状態にある場合において、スリープ状態への移行を要求する移行イベントが発生したときに、前記記憶手段に当該移行イベントの移行開始時期より解除開始時期が後の前記解除イベントが記憶されている場合に、前記移行イベントの移行開始時期から、前記後の解除開始時期の内、最初に到来する前記解除開始時期までの期間において待機状態を維持するのに要する電力量を算出することにより、当該期間において節電可能な節電量を算出するとともに、スリープ状態に移行後、前記解除開始時期において当該スリープ状態を解除することとした場合に、スリープ状態から待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出する算出手段と、前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合にスリープ状態に移行させ、多くない場合には、待機状態を維持する状態制御手段と、を備える。
【0008】
前記算出手段は、自装置内の環境温度を測定する温度測定手段と、前記環境温度と待機状態の維持に必要な単位時間当たりの消費電力との対応関係を記憶している消費電力記憶手段と、前記消費電力記憶手段に記憶されている対応関係に基づいて、前記移行開始時期における環境温度に対応する前記消費電力を決定し、決定した前記消費電力に基づいて前記移行開始時期から前記解除開始時期までの期間に節電可能な電力量を算出する節電量算出手段と、前記移行開始時期からの経過時間と定着装置の温度との対応関係を記憶している温度記憶手段と、前記温度記憶手段に記憶されている対応関係に基づいて前記移行開始時期から前記解除開始時期まで時間が経過した後の温度を予測する予測手段と、予測温度と予測温度から待機状態時の定着装置の温度まで昇温させるのに必要な消費電力との対応関係を記憶している昇温消費電力記憶手段と、前記昇温消費電力記憶手段に記憶されている対応関係に基づいて、前記予測手段によって予測された予測温度に対応する前記消費電力を決定し、決定した前記消費電力に基づいて前記復帰電力量を算出する復帰電力量算出手段と、を有することとすることができる。
【0009】
前記解除イベントには、印刷開始時期を前記解除開始時期として指定した時刻指定印刷の指定の受け取り、スリープ状態の解除時刻の指定の受け取り、スリープ状態への移行禁止時間帯の指定の受け取りの内の少なくとも1つの指定の受け取りが含まれることとすることができる。
又、本発明の別の一形態に係る印刷システムは、端末装置と、端末装置とネットワークで接続された画像形成装置とからなる印刷システムであって、画像形成動作が可能な待機状態から、画像形成動作が実行不可能なスリープ状態への移行を要求するスリープ移行要求を前記端末装置から受付ける受付手段と、スリープ状態を解除し、待機状態への復帰を要求する解除イベントの発生を監視する監視手段と、前記解除イベントが発生した場合に、当該解除イベントの識別子とその解除開始時期とを記憶する記憶手段と、自装置が待機状態にある場合において、前記スリープ移行要求を受付けたときに、前記記憶手段に当該移行イベントの移行開始時期より解除開始時期が後の前記解除イベントが記憶されている場合に、
前記移行イベントの移行開始時期から、前記後の解除開始時期の内、最初に到来する前記解除開始時期までの期間において待機状態を維持するのに要する電力量を算出することにより、当該期間において節電可能な節電量を算出するとともに、スリープ状態に移行後、前記解除開始時期において当該スリープ状態を解除することとした場合に、スリープ状態から待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出する算出手段と、前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合にスリープ状態に移行させ、多くない場合には、待機状態を維持する状態制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を備えることにより、スリープ状態に移行した場合の移行開始時期からスリープ状態の解除開始時期までの節電量と、スリープ状態に移行した場合に、スリープ状態から待機状態に復帰するのに要する復帰電力量とがそれぞれ算出され、節電量の方が復帰電力量より多い場合に限り、スリープ状態に移行されるように制御されるので、省電力効果が得られないことが予測される状況下でのスリープ状態への移行を有効に防止することができる。
【0011】
ここで、前記画像形成装置は、自装置がスリープ状態にある場合に、スリープ状態の解除要求を受け取る受取手段を備え、前記算出手段は、現在進行中のスリープ状態の移行開始時期から前記解除要求受取時までの間において節電可能な節電量を算出するとともに、前記解除要求受取時において、前記スリープ状態を解除することとした場合に、待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出し、
前記制御手段は、前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合に前記スリープ状態を解除し、待機状態に移行させることとしてもよい。
【0012】
これにより、自装置がスリープ状態にある場合に、その解除要求が有った場合に、進行中のスリープ状態の移行開始時期から解除要求受取時までの間において節電可能な節電量と、解除要求受取時にスリープ状態を解除することとした場合において待機状態に復帰するのに要する復帰電力量とがそれぞれ算出され、節電量の方が復帰電力量より多い場合に、スリープ状態が解除されるように制御されるので、省電力効果が得られる場合に、効果的にスリープ解除を行わせることができる。
【0013】
ここで、前記印刷システムにおいて、前記受付手段はさらに、前記端末装置から移行開始時期指定のスリープ状態への移行の可否についての問い合わせを受付け、前記算出手段は、さらに、前記問い合わせがあったときに、前記問い合わせに係るスリープ状態の移行開始時期より開始時期が後の前記解除イベントが記憶されている場合に、前記スリープ状態への移行開始時期から、前記後の解除開始時期の内、最初に到来する前記解除開始時期までの期間において待機状態を維持するのに要する電力量を算出することにより、当該期間において節電可能な節電量を算出するとともに、スリープ状態に移行後、前記解除開始時期において当該スリープ状態を解除することとした場合に、スリープ状態から待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出し、前記画像形成装置は、前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合に前記スリープ状態への移行が可能と判定し、多くない場合には、前記スリープ状態への移行が不可能と判定する判定手段と、判定結果を前記端末装置に通知する通知手段と、を有し、前記端末装置は、前記スリープ状態への移行が可能な場合に限り、前記スリープ状態への移行指示を受け付けることとしてもよい。
【0014】
これにより、スリープ状態への移行指示をユーザから受付ける前に、スリープ状態への移行可否が画像形成装置に対して問い合わせられ、当該移行が可能な場合に限り、ユーザからスリープ状態への移行指示を受付けるように制御されるので、ユーザから無駄なスリープ移行指示を受付けるのを回避することができる。又、ユーザ側から見れば、無駄なスリープ移行指示をしなくてすみ、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0015】
ここで、前記印刷システムにおいて、前記端末装置は、前記画像形成装置がスリープ状態にあるか否かを問い合わせる問合せ手段と、スリープ状態にある場合に、そのスリープ状態を継続するか否かについての指示を受付けるための画面を表示させる表示制御手段と、を有することとしてもよい。
これにより、画像形成装置がスリープ状態にある場合に、スリープ状態を継続するか否かについての指示を受付けるための画面が端末装置に表示されるので、ユーザは、表示画面を介してスリープ状態を継続するか否かを適切なタイミングで判断し、指示することができる。
【0016】
ここで、前記印刷システムにおいて、前記受付手段は、さらに、前記端末装置からスリープ状態の解除要求を受取り、前記算出手段は、現在進行中のスリープ状態の移行開始時期から前記解除要求受取時までの間において節電可能な節電量を算出するとともに、前記解除要求受取時において、前記スリープ状態を解除することとした場合に、待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出し、前記判定手段は、前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合に節電可能と判定し、多くない場合に節電不可能と判定し、前記通知手段は、節電可否の判定結果を前記端末装置に通知し、前記状態制御手段は、節電可能な場合に、前記スリープ状態を解除して、待機状態に移行させ、前記端末装置は、節電不可能な場合に、スリープ状態を強制解除するか否かについての指示を受け取るための画面を表示させることとしてもよい。
【0017】
これにより、端末装置からスリープ状態の解除要求があった場合に、当該解除要求受取時にスリープ状態を解除することによって、節電効果が得られない場合には、端末装置の表示画面を介して当該解除を実行するか否かについてユーザの指示を受付けることができるので、ユーザの意向を反映した形で、スリープの解除の実行可否を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る印刷システム1の構成を示す図である。
【図2】画像形成装置100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】電源部700の構成と電源部700からの電源供給の対象となる主要構成要素との関係を示す図である。
【図4】平均消費電力テーブルの具体例を示す。
【図5】スリープ開始後温度予測テーブルの具体例を示す。
【図6】昇温消費電力テーブルの具体例を示す。
【図7】時間帯別使用履歴テーブルの具体例を示す。
【図8】スリープ解除イベント予約テーブルの具体例を示す。
【図9】制御部60が行うスリープ解除イベント登録処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】制御部60が行うスリープ状態移行制御処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】制御部60が行うスリープ移行イベント監視処理の動作を示すフローチャートである。
【図12】制御部60が行うスリープ移行可否判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図13】PCが行うスリープ移行問合せ処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】PCが行うスリープ解除制御処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態)
[1]印刷システムの構成
以下、本発明の一形態の印刷システムの実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る印刷システム1の構成を示す図である。同図に示すように、印刷システム1は、画像形成装置100(ここでは、画像形成装置100は、タンデム型カラーデジタルプリンタとする。)とパーソナルコンピュータからなる端末装置(以下、「PC」という。)101、102から構成される。
【0020】
画像形成装置100とPC101、102とは、ネットワーク(例えば、LAN(Local Area Network))103で接続されている。
[2]画像形成装置の構成
図2は、画像形成装置100の主要部の機能構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、プリント部10、画像読取部20、操作パネル30、温度センサ40、制御部60等から構成される。
【0021】
プリント部10は、電子写真プロセスによって制御部60から出力される画像データに基づくトナー像を記録シート上に形成して出力する。プリント部10は、画像プロセス部11、給紙部12、定着装置13等を備える。画像プロセス部11は、制御部60から出力される画像データに基づくトナー像を形成し、形成したトナー像を、給紙部12から供給される記録シート上に転写する。定着装置13は、定着ローラと加圧ローラなどから構成され、記録シート上に転写されたトナー像を熱定着させる。定着ローラの近傍には図示しない定着ローラ用温度センサが配置され、定着ローラの外周面の周方向の表面温度を所定の時間間隔で検出し、検出結果を制御部60に出力する。
【0022】
画像読取部20は、画像を読取り、画像データを生成して、制御部60に出力する。操作パネル30は、液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイに積層されたタッチパネルや各種指示を入力するための操作ボタン等から構成され、タッチパネルや操作ボタン等の操作を介してユーザから各種指示の入力を受け付ける。液晶ディスプレイには、印刷設定画面等の操作画面や印刷結果等の各種表示情報が表示される。
【0023】
温度センサ40は、画像形成装置100の内部に設けられ、画像形成装置100の内部の環境温度を測定し、測定結果を制御部60に出力する。
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)601、通信インターフェース(I/F)部602、ROM(Read Only Memory)603、RAM(Random Access Memory)604、画像データ記憶部605、電源制御部606、テーブル記憶部607、スリープ解除イベント記憶部608などを備える。
【0024】
通信I/F部602は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。ROM603には、プリント部10、画像読取部20、操作パネル30、温度センサ40を制御するためのプログラム、後述するスリープ解除イベント登録処理やスリープ状態移行制御処理を実行するためのプログラムなどが格納されている。
【0025】
RAM604は、CPU601のプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
画像データ記憶部605は、通信I/F部602や画像読取部20を介して入力された、印刷用の画像データを記憶している。CPU601は、ROM603に格納されている各種プログラムを実行することにより、プリント部10、画像読取部20、操作パネル30、温度センサ40等を制御し、さらに、後述するスリープ解除イベント登録処理やスリープ状態移行制御処理を実行する。
【0026】
電源制御部606は、後述する電源部700への通電のオン・オフを切替えることにより、プリント部10への電源供給のオン・オフを切替える制御を行う。図3は、電源部700の構成と電源部700からの電源供給の対象となる主要構成要素との関係を示す図である。同図に示すように電源部700は、電源供給容量が大きい主電源701と電源供給容量が小さい副電源702から構成され、主電源701は、プリント部10と、副電源702は、操作パネル30、制御部60と接続されている。
【0027】
電源制御部606は、主電源701への通電のオン・オフを切替えることにより、プリント部10への電源供給のオン・オフを切替える。そして、制御部60及び操作パネル30に対しては、副電源702から電源供給される。
図2の説明に戻って、テーブル記憶部607は、平均消費電力テーブル、スリープ開始後温度予測テーブル、昇温消費電力テーブルなどを記憶している。
【0028】
ここで、「平均消費電力テーブル」とは、画像形成装置100の内部の環境温度と、当該環境温度下で定着ローラの表面温度を待機温度に維持するために必要な、単位時間当たりの平均消費電力(ワット)との対応関係を示すテーブルのことをいい、各環境温度における平均消費電力の値は、画像形成装置100の製造者側で予め測定されて決定される。又、「待機温度」とは、すぐにトナー像の熱定着を行うことが可能な所定の温度(例えば、定着温度(約160〜180℃)又は、定着温度より10〜20℃程度低い温度)のことをいう。
【0029】
図4は、平均消費電力テーブルの具体例を示す。同図のA1〜A8は、決定された各平均消費電力の値を示し、当該値は、環境温度が高くなるに従って、小さくなる(A1>A2>A3>A4>A5>A6>A7>A8)。環境温度が高くなるに従って、定着ローラからの放熱量が少なくなるからである。
又、「スリープ開始後温度予測テーブル」とは、自装置を、待機状態(定着ローラの表面温度を待機温度に維持した状態)からスリープ状態(プリント部10に電源供給しない状態)に移行してから(スリープ状態移行開始後)の経過時間と、当該経過時間後の定着ローラの予測表面温度との対応関係を示すテーブルのことをいい、予測表面温度は、予め所定の環境温度下(例えば、25℃)で画像形成装置100の製造者側で予め実測されて決定される。なお、当該テーブルは、環境温度に応じて複数のテーブルを作成しておくこととしてもよい。
【0030】
図5は、スリープ開始後温度予測テーブルの具体例を示す。同図の具体例は、待機温度を170℃とした場合における、スリープ開始後の経過時間と定着ローラの予測表面温度との関係を示している。
又、「昇温消費電力テーブル」とは、スリープ状態を解除した時の定着ローラの予測表面温度と当該予測表面温度から待機温度まで昇温させるのに必要な消費電力量との対応関係を示すテーブルのことをいい、各予測表面温度における上記消費電力量は、画像形成装置100の製造者側で予め実測(例えば、所定の温度範囲(例えば、0〜170℃)で表面温度を変えて各表面温度について、上記消費電力量を実測)されて決定される。
【0031】
図6は、昇温消費電力テーブルの具体例を示す。同図のB1〜B8は、決定された上記各消費電力量の値を示し、当該値は、上記の予測表面温度が高くなるに従って小さくなる(B1>B2>B3>B4>B5>B6>B7>B8)。予測表面温度が高くなるに従って、待機温度との温度差が小さくなり、その分、待機温度まで昇温させるのに必要な消費電力量が少なくてすむからである。
【0032】
図2の説明に戻って、スリープ解除イベント記憶部608は、時間帯別使用履歴テーブルとスリープ解除イベント予約テーブルと、スリープ予約テーブルとを記憶している。
ここで、「時間帯別使用履歴テーブル」とは、画像形成装置100の過去数日(例えば、2日)分の、各所定の時間帯における総印刷枚数を示すテーブルのことをいう。各所定の時間帯における総印刷枚数は、制御部60によってカウントされ、日単位でテーブルにまとめられて、スリープ解除イベント記憶部608に記憶される。スリープ解除イベント記憶部608には、このようにまとめられたテーブルが所定日数(例えば、7日)分記憶され、所定日数分を超えるテーブルが新たに作成されると、最も古い日に作成されたテーブルが制御部60によって削除される。
【0033】
そして、記憶されているテーブルの内、予め定められた日数(例えば、2日)分のテーブルを、日付が新しい順に選択し、選択したテーブルに基づいて時間帯別使用履歴テーブルが制御部60によって作成される。時間帯別使用履歴テーブルの作成動作は、電源部700の電源がオンされたときに実行される。
図7は、時間帯別使用履歴テーブルの具体例を示す。同図の具体例では、画像形成装置100は、朝8時から夜9時までの間使用され、使用開始時刻から約1時間(同図では、59分59秒)毎に当該時間帯における総印刷枚数がカウントされ、そのカウント値の予め定められた日数(例えば、2日)分の総数が示されている。
【0034】
又、「スリープ解除イベント予約テーブル」とは、スリープ状態の解除を要求するイベントであるスリープ解除イベントの識別子と、当該解除が要求される解除時刻との対応関係を示すテーブルのことをいう。スリープ解除イベントには、例えば、印刷開始時刻(すなわち、スリープ状態の解除時刻)を指定した印刷ジョブである「時刻指定印刷ジョブ」やスリープ状態への移行開始時刻とスリープ状態の解除時刻とを指定したスリープ状態への移行要求である「時刻指定スリープ要求」や高使用履歴時間帯の指定などがある。後述するスリープ解除イベント登録処理において、時刻指定印刷ジョブや時刻指定スリープ要求が、PCから入力されると、制御部60は、スリープ解除イベント予約テーブルに、対応する解除時刻を、そのスリープ解除イベント名と対応付けて記録する。
【0035】
「高使用履歴時間帯」とは、時間帯別使用履歴テーブルの総印刷枚数が、閾値(例えば100枚)を超える時間帯のことをいう。後述するスリープ解除イベント登録処理において、制御部60は、電源部700の電源がオンされた際に、作成した時間帯別使用履歴テーブルを参照して、閾値を超える時間帯があるか否かを判定し、ある場合には、当該時間帯の開始時刻をスリープ状態の解除時刻としてスリープ解除イベント予約テーブルに記録する。図8は、スリープ解除イベント予約テーブルの具体例を示す。
【0036】
又、「スリープ予約テーブル」とは、時刻指定スリープ要求の各移行開始時刻を示すテーブルのことをいい、当該要求がPC又は操作パネル30を介して入力されると、制御部60は、対応する移行開始時刻をスリープ予約テーブルに記録し、当該時刻が経過すると、スリープ予約テーブルから削除する。
[3]スリープ解除イベント登録処理
図9は、制御部60が行うスリープ解除イベント登録処理の動作を示すフローチャートである。スリープ解除イベント登録処理は、後述するスリープ状態移行制御処理と並行して実行される。
【0037】
電源部700の電源がオンされると(ステップS901)、制御部60は、時間帯別使用履歴テーブルを作成し、作成した時間帯別使用履歴テーブルを参照して、総印刷枚数が、閾値を超える時間帯があるか否かを判定し(ステップS902)、当該時間帯がある場合には(ステップS902:YES)、当該時間帯の開始時刻をスリープ状態の解除時刻としてスリープ解除イベント予約テーブルに登録する(ステップS905)。
【0038】
又、制御部60は、PCから時刻指定印刷ジョブの入力が有った場合(ステップS903:YES)、時刻指定印刷ジョブにおいて指定されている印刷開始時刻を、スリープ状態の解除時刻としてスリープ解除イベント予約テーブルに登録する(ステップS905)。
さらに、制御部60は、PC又は操作パネル30から時刻指定スリープ要求が入力されると(ステップS904:YES)、当該要求において指定されるスリープ状態の解除時刻をスリープ状態の解除時刻としてスリープ解除イベント予約テーブルに登録する(ステップS905)。
【0039】
ステップS902、ステップS903、ステップS904の判定結果が全て否定的である場合には(ステップS902:NO、ステップS903:NO、ステップS904:NO)、制御部60は、スリープ解除イベント予約テーブルを参照して、解除時刻が経過した(解除時刻が現在時刻よりも前の)スリープ解除イベントがあるか否かを判定し(ステップS906)、ある場合には(ステップS906:YES)、当該スリープ解除イベントをスリープ解除イベント予約テーブルから削除する(ステップS907)
制御部60は、上記のステップS903〜ステップS907の処理を電源部700の電源(副電源702)のオフ指示があるまで(ステップS908:YES)繰り返す。
【0040】
[4]スリープ状態移行制御処理
図10は、制御部60が行うスリープ状態移行制御処理の動作を示すフローチャートである。電源部700の電源がオンされると、制御部60は、電源制御部606を介してプリント部10に電源を供給し、定着装置13のウォームアップを開始し、定着ローラの表面温度を待機温度まで昇温させ、自装置を待機状態に移行させた後、後述するスリープ移行イベント監視処理を行う(ステップS1001)。
【0041】
スリープ状態への移行を要求するスリープ移行イベントが発生した場合には(ステップS1002:YES)、制御部60は、後述するスリープ移行可否判定処理を行う(ステップS1003)。そして、ステップS1003の処理において、スリープ状態への移行が可能と判定された場合には(ステップS1004:YES)、制御部60は、電源制御部606を介して、プリント部10への電源供給を停止させ、自装置をスリープ状態に移行させ(ステップS1005)、電源部700の電源(副電源702)のオフ指示がされたか否かを判定する(ステップS1007)。
【0042】
一方、ステップS1003の処理において、スリープ状態への移行が不可能と判定された場合には(ステップS1004:NO)、制御部60は、スリープ状態への移行を抑止し(ステップS1006)、ステップS1007処理に移行する。
又、ステップS1002において、スリープ移行イベントが発生していない場合には(ステップS1002:NO)、制御部60は、ステップS1007の処理に移行する。さらに、制御部60は、ステップS1007の判定結果が肯定的になるまで(ステップS1007:YES)、ステップS1001〜ステップS1006の処理を繰り返す。
【0043】
次に、制御部60が行うスリープ移行イベント監視処理の動作について説明する。図11は、上記動作を示すフローチャートである。制御部60は、自装置が待機状態に移行後、所定時間(例えば、30分)、印刷ジョブの入力がないか否か、スリープ予約テーブルに記録されている時刻指定スリープ要求の移行開始時刻が到来しているか否か、PC又は操作パネル30からスリープ状態への移行を要求するスリープ移行指示の入力があるか否かをそれぞれ判定し(ステップS1101〜ステップS1103)、何れの判定結果も否定的である場合には(ステップS1101:NO。ステップS1102:NO、ステップS1103:NO)、スリープ移行イベントが未発生と判定する(ステップS1104)。
【0044】
一方、ステップS1101〜ステップS1103の何れかの判定結果が肯定的であり(ステップS1101:YES又はステップS1102:YES又はステップS1103:YES)、判定時点において、自装置がスリープ状態に移行しておらず(ステップS1105:NO)、判定時点が、高使用履歴時間帯に該当していない場合には(ステップS1106:NO)、スリープ移行イベントが発生したと判定する(ステップS1107)。ステップS1105又はステップS1106の何れかの判定結果が肯定的である場合には(ステップS1105:YES又はステップS1106:YES)、スリープ移行イベントが未発生と判定する(ステップS1104)。
【0045】
次に、制御部60が行うスリープ移行可否判定処理の動作について説明する。図12は、上記動作を示すフローチャートである。
制御部60は、スリープ移行イベントが発生した場合に(ステップS1002:YES)、スリープ解除イベント予約テーブルを参照して、解除時刻が現在時刻より後のスリープ解除イベントが記録されているか否かを判定する(ステップS1201)。
【0046】
スリープ解除イベントが記録されている場合には(ステップS1201:YES)、解除時刻が最初に到来するものを、発生したスリープ移行イベントに係るスリープのスリープ解除時刻として特定し(ステップS1202)、現在時刻から特定したスリープ解除時刻までの節電量(S)を算出する(ステップS1203)。
節電量(S)の算出は、以下のようにして行われる。制御部60は、温度センサ40より、現在の環境温度を取得し、テーブル記憶部607に記憶されている平均消費電力テーブルを参照して、取得した環境温度に対応する平均消費電力を特定し、特定した消費電力に、現在時刻から特定したスリープ解除時刻までの経過時間を乗算して節電量(S)を算出する。
【0047】
さらに、制御部60は、発生したスリープ移行イベントに応じて自装置をスリープ状態に移行させ、特定したスリープ解除時刻に当該スリープ状態を解除すると仮定した場合において、当該スリープ状態の解除後、自装置を待機状態に復帰させるのに要する復帰電力量(R)を算出する(ステップS1204)。
復帰電力量(R)の算出は、以下のようにして行われる。制御部60は、テーブル記憶部607に記憶されているスリープ開始後温度予測テーブルを参照して、現在時刻から特定したスリープ解除時刻までの経過時間に対応する定着ローラの予測表面温度を特定し、さらに、昇温消費電力テーブルを参照して、特定した予測表面温度に対応する消費電力量を、特定した予測表面温度を待機温度まで昇温させるのに必要な消費電力量として特定する。
【0048】
特定した消費電力量に、自装置を待機状態に移行させる際のプリント部10の初期動作やクリーニング動作等に必要な消費電力量(この消費電力量は、ほぼ一定しているため、予め画像形成装置100の製造者により定められ、テーブル記憶部607に記憶されているものとする。)を加算することにより、制御部60は、復帰電力量(R)を算出する。
そして、制御部60は、算出した節電量(S)の方が、算出した復帰電力量(R)より多くなる場合に(ステップS1205:YES)、スリープ状態への移行が可能と判定し(ステップS1206)、多くならない場合に(ステップS1205:NO)、スリープ状態への移行が不可能と判定する(ステップS1207)。
【0049】
このように、スリープ移行イベントが発生した場合に、節電量が復帰電力量より多く
、節電効果が得られる場合に限り、スリープ状態への移行がなされるので、省電力効果が得られない場合にスリープ状態に移行され、当該スリープ状態からの復帰のために余分な電力が消費されるのを有効に防止することができる。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0050】
(1)本実施の形態では、スリープ移行イベントが発生したときに、スリープ移行可否決定処理を行うこととしたが、スリープ移行イベントが発生する前に、PCからスリープ実行可否の問合せを、画像形成装置100に対して行い、当該実行可否の結果に基づいて、スリープ移行要求を受付けるか否かを、PC側が制御することとしてもよい。
具体的には、図13に示すようなスリープ移行問合せ処理を行うこととしてもよい。PCは、ユーザからの指示に応じてプリンタドライバを起動させ、ユーザから印刷ジョブの実行指示を受付けた際に(ステップS1301)、当該印刷ジョブの予測終了時刻を算出(例えば、実行指示受付時刻より所定時間(例えば、1分)後の時刻を予測終了時刻として算出)して、画像形成装置100と通信し、印刷処理の予測終了時刻をスリープ移行開始時刻として指定して、画像形成装置100に対して印刷ジョブ終了後にスリープ状態への移行が可能か否かについての問合せを行う(ステップS1302)。
【0051】
そして、問合せを受けた画像形成装置100側では、指定されたスリープ移行開始時刻に基づいて、図12に示すスリープ移行可否判定処理の動作と同様の処理を行い、スリープ状態への移行の可否判定を行い、判定結果をPCに送信する。
PCは、画像形成装置100から送信された判定結果を受信し(ステップS1303)、判定結果が、スリープ状態への移行可能である場合には(ステップS1304:YES)、表示部にスリープ移行指示の入力を受付けるためのGUI(Graphic User Interface)の表示画面を表示させ(ステップS1305)、移行可能でない場合には、上記のGUIの表示画面の表示を抑止する(ステップS1306)。なお、GUIの表示画面の表示を抑止する代わりに、スリープ移行指示の入力を無効にするように制御することとしてもよい。
【0052】
これにより、節電効果が得られない場合には、スリープ移行指示の入力が受付けられないように制御されるので、ユーザから無駄なスリープ移行指示を受付けるのを回避することができる。又、ユーザ側から見れば、無駄なスリープ移行指示をしなくてすみ、節電効果がある場合に限ってスリープ移行指示をすることができ、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0053】
(2)本実施の形態では、スリープ移行イベントが発生したときに、スリープ移行可否決定処理を行うこととしたが、スリープ解除イベントが発生したときにも、スリープ移行可否決定処理と同様の処理を行って、スリープ解除可否を判定し、節電効果が得られる場合にスリープ状態の解除を行い、節電効果が得られない場合には、ユーザからの指示に応じて解除するか否かをPC側が決定することとしてもよい。
【0054】
具体的には、図14に示すようなスリープ解除制御処理を行うこととしてもよい。PCは、ユーザからの指示に応じてプリンタドライバを起動させ、ユーザから印刷ジョブ実行指示を受取ると(ステップS1401)、画像形成装置100と通信し、画像形成装置100の状態を問い合わせる(ステップS1402)。
問合せに応じて画像形成装置100から、画像形成装置100がスリープ状態であるか否かを示す状態情報を受信すると(ステップS1403)、受信した状態情報に基づいて、画像形成装置100がスリープ状態であるか否かを判定し(ステップS1404)、スリープ状態である場合には(ステップS1404:YES)、画像形成装置100にスリープ状態を解除しても節電可能か否かを問い合わせる(ステップS1405)。
【0055】
問合せを受けた画像形成装置100側では、当該問合せの受信時刻をスリープ解除時刻として特定し、継続中のスリープ状態の移行開始時刻(当該時刻は、スリープ状態移行開始時に画像形成装置100側で記憶されるものとする。)を現在時刻として、図12のステップS1203〜S1205と同様の処理を行う。
そして、画像形成装置100は、算出した節電量(S)の方が、算出した復帰電力量(R)よりも多くなる場合に(ステップS1205:YES)節電可能と判定し、多くならない場合に(ステップS1205:NO)、節電不可能と判定し、判定結果をPCに送信するとともに、判定結果が節電可能である場合には、継続中のスリープ状態を解除する。
【0056】
PCは、画像形成装置100から送信された判定結果を受信し(ステップS1406)、
判定結果が、節電可能でない場合には(ステップS1407:NO)、印刷ジョブを強制実行するか否かの指示を受付けるためのGUIの表示画面を表示させ(ステップS1408)、節電可能な場合には(ステップS1407:YES)、当該表示画面の表示を抑止する(ステップS1409)。
【0057】
なお、ステップS1409において、GUIの表示画面の表示を抑止する代わりに、印刷ジョブを強制実行するか否かの指示の入力を無効にするように制御することとしてもよい。又、ステップS1408の表示とともに、その理由を示すメッセージ(例えば、「今、印刷を実行すると、節電効果が得られない」旨のメッセージ)を表示させることとしてもよい。
【0058】
これにより、スリープ状態を解除すると、節電効果が得られない場合には、当該解除を実行するか否かについてユーザの指示を受付けることができるので、ユーザの意向を反映した形で、スリープの解除の実行可否を決定することができる。
(3)(2)の変形例において、PCは、プリンタドライバを起動させたときに、画像形成装置100と通信し、画像形成装置100の状態を問い合わせることとし、画像形成装置100がスリープ状態である場合に限り、スリープ状態を継続するか否かについての指示を受付けるためのGUIの表示画面を表示させることとしてもよい。又、上記表示とともに、時刻指定印刷ジョブを実行するか否かについての指示を受付けるためのGUIの表示画面を表示させることとしてもよい。
【0059】
これにより、ユーザは、プリンタドライバが表示させる印刷指示を受付ける画面を介して印刷指示を出す前に、画像形成装置がスリープ状態である場合には、そのことを知ることができ、スリープ状態を継続するか否かを適切なタイミングで判断し、指示することができる。
又、上記の問合せ時に、(2)の場合と同様に、節電可否についても、画像形成装置100に判定を依頼し、画像形成装置100がスリープ状態で、節電可能な場合に限り、スリープ状態を継続するか否かについての指示を受付けるためのGUIの表示画面を表示させることとしてもよい。これにより、節電効果が得られないタイミングで、ユーザからスリープ状態の解除指示がされないようにすることができ、節電効果が得られる適切なタイミングでユーザからスリープ状態の解除指示を受付けることができる。
【0060】
(4)本実施の形態においては、スリープ状態では、プリント部10への電源供給を停止することとしたが、電源供給を停止せず、低レベルの電力(例えば、待機状態時に供給される電力よりも低い電力)を供給することとしてもよい。この場合においても、スリープ状態に移行することにより、印刷ジョブの入力がなく、画像形成装置が使用されていない期間における、電力消費を抑えることができる。
【0061】
(5)本実施の形態では、画像形成装置100がPCとネットワーク(LAN)で接続された場合を例として、画像形成装置が行うスリープ状態移行制御処理について説明したが、ネットワークに非接続の画像形成装置100が、本実施の形態に係るスリープ状態移行制御処理の動作と同様の動作を行うこととしてもよい。
(6)本実施の形態においては、平均消費電力テーブル、スリープ開始後温度予測テーブル、昇温消費電力テーブルをそれぞれ、テーブル記憶部607に記憶させ、各テーブルを用いて、節電量(S)の算出に用いる平均消費電力、復帰電力量(R)の算出に用いる予測表面温度と予測表面温度に対応する消費電力量とを特定することとしたが、各テーブルを記憶させる代わりに、各テーブルの示す対応関係を反映した関係式(数式)をテーブル記憶部607に記憶させておき、各関係式を用いて節電量(S)の算出に用いる平均消費電力、復帰電力量(R)の算出に用いる予測表面温度と予測表面温度に対応する消費電力量とを算出することとしてもよい。関係式は、例えば、各テーブルの示す値に基づいて当該テーブルに対応する関係式を算出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置に関し、特に画像形成装置の省電力化を図るため、画像形成装置の電力消費量が多い部分への電源供給を低レベルに制限又は停止するスリープ状態への移行が可能な画像形成装置における、当該移行を制御する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 印刷システム
10 プリント部
11 画像プロセス部
12 給紙部
13 定着装置
20 画像読取部
30 操作パネル
40 温度センサ
60 制御部
100 画像形成装置
101、102 PC
700 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成動作が実行不可能なスリープ状態を解除し、画像形成動作が可能な待機状態への復帰を、その解除時期を指定して要求する解除イベントの発生を監視する監視手段と、
前記解除イベントが発生した場合に、当該解除イベントの識別子とその解除開始時期とを記憶する記憶手段と、
自装置が待機状態にある場合において、スリープ状態への移行を要求する移行イベントが発生したときに、前記記憶手段に当該移行イベントの移行開始時期より解除開始時期が後の前記解除イベントが記憶されている場合に、
前記移行イベントの移行開始時期から、前記後の解除開始時期の内、最初に到来する前記解除開始時期までの期間において待機状態を維持するのに要する電力量を算出することにより、当該期間において節電可能な節電量を算出するとともに、スリープ状態に移行後、前記解除開始時期において当該スリープ状態を解除することとした場合に、スリープ状態から待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出する算出手段と、
前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合にスリープ状態に移行させ、多くない場合には、待機状態を維持する状態制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記算出手段は、
自装置内の環境温度を測定する温度測定手段と、
前記環境温度と待機状態の維持に必要な単位時間当たりの消費電力との対応関係を記憶している消費電力記憶手段と、
前記消費電力記憶手段に記憶されている対応関係に基づいて、前記移行開始時期における環境温度に対応する前記消費電力を決定し、決定した前記消費電力に基づいて前記移行開始時期から前記解除開始時期までの期間に節電可能な電力量を算出する節電量算出手段と、
前記移行開始時期からの経過時間と定着装置の温度との対応関係を記憶している温度記憶手段と、
前記温度記憶手段に記憶されている対応関係に基づいて前記移行開始時期から前記解除開始時期まで時間が経過した後の温度を予測する予測手段と、
予測温度と予測温度から待機状態時の定着装置の温度まで昇温させるのに必要な消費電力との対応関係を記憶している昇温消費電力記憶手段と、
前記昇温消費電力記憶手段に記憶されている対応関係に基づいて、前記予測手段によって予測された予測温度に対応する前記消費電力を決定し、決定した前記消費電力に基づいて前記復帰電力量を算出する復帰電力量算出手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
自装置がスリープ状態にある場合に、スリープ状態の解除要求を受け取る受取手段を備え、
前記算出手段は、現在進行中のスリープ状態の移行開始時期から前記解除要求受取時までの間において節電可能な節電量を算出するとともに、前記解除要求受取時において、前記スリープ状態を解除することとした場合に、待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出し、
前記制御手段は、前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合に前記スリープ状態を解除し、待機状態に移行させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記解除イベントには、印刷開始時期を前記解除開始時期として指定した時刻指定印刷の指定の受け取り、スリープ状態の解除時刻の指定の受け取り、スリープ状態への移行禁止時間帯の指定の受け取りの内の少なくとも1つの指定の受け取りが含まれる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
端末装置と、端末装置とネットワークで接続された画像形成装置とからなる印刷システムであって、
画像形成動作が可能な待機状態から、画像形成動作が実行不可能なスリープ状態への移行を要求するスリープ移行要求を前記端末装置から受付ける受付手段と、
スリープ状態を解除し、待機状態への復帰を要求する解除イベントの発生を監視する監視手段と、
前記解除イベントが発生した場合に、当該解除イベントの識別子とその解除開始時期とを記憶する記憶手段と、
自装置が待機状態にある場合において、前記スリープ移行要求を受付けたときに、前記記憶手段に当該移行イベントの移行開始時期より解除開始時期が後の前記解除イベントが記憶されている場合に、
前記移行イベントの移行開始時期から、前記後の解除開始時期の内、最初に到来する前記解除開始時期までの期間において待機状態を維持するのに要する電力量を算出することにより、当該期間において節電可能な節電量を算出するとともに、スリープ状態に移行後、前記解除開始時期において当該スリープ状態を解除することとした場合に、スリープ状態から待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出する算出手段と、
前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合にスリープ状態に移行させ、多くない場合には、待機状態を維持する状態制御手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
前記受付手段はさらに、前記端末装置から移行開始時期指定のスリープ状態への移行の可否についての問い合わせを受付け、
前記算出手段は、さらに、前記問い合わせがあったときに、前記問い合わせに係るスリープ状態の移行開始時期より開始時期が後の前記解除イベントが記憶されている場合に、
前記スリープ状態への移行開始時期から、前記後の解除開始時期の内、最初に到来する前記解除開始時期までの期間において待機状態を維持するのに要する電力量を算出することにより、当該期間において節電可能な節電量を算出するとともに、スリープ状態に移行後、前記解除開始時期において当該スリープ状態を解除することとした場合に、スリープ状態から待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出し、
前記画像形成装置は、
前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合に前記スリープ状態への移行が可能と判定し、多くない場合には、前記スリープ状態への移行が不可能と判定する判定手段と、
判定結果を前記端末装置に通知する通知手段と、
を有し、
前記端末装置は、前記スリープ状態への移行が可能な場合に限り、前記スリープ状態への移行指示を受け付ける
ことを特徴とする請求項5記載の印刷システム。
【請求項7】
前記端末装置は、
前記画像形成装置がスリープ状態にあるか否かを問い合わせる問合せ手段と、
スリープ状態にある場合に、そのスリープ状態を継続するか否かについての指示を受付けるための画面を表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記受付手段は、さらに、前記端末装置からスリープ状態の解除要求を受取り、
前記算出手段は、現在進行中のスリープ状態の移行開始時期から前記解除要求受取時までの間において節電可能な節電量を算出するとともに、前記解除要求受取時において、前記スリープ状態を解除することとした場合に、待機状態に復帰するのに要する復帰電力量を算出し、
前記判定手段は、前記節電量の方が、前記復帰電力量より多い場合に節電可能と判定し、多くない場合に節電不可能と判定し、
前記通知手段は、節電可否の判定結果を前記端末装置に通知し、
前記状態制御手段は、節電可能な場合に、前記スリープ状態を解除して、待機状態に移行させ、
前記端末装置は、節電不可能な場合に、スリープ状態を強制解除するか否かについての指示を受け取るための画面を表示させる
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−132961(P2012−132961A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282623(P2010−282623)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】