説明

画像形成装置

【課題】 像担持体表面の付着物起因によるクリーニング不良や、黒ポチ画像のない高品位な印刷出力を提供する。
【解決手段】非画像形成時において、クリーニング手段より回転方向上流側の像担持体表面電位が、現像剤と逆極性になるように、転写バイアスを制御した状態で、像担持体を少なくとも1回転以上回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機あるいはプリンター等とされる電子写真方式或いは静電記録方式を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られている。一般的には光導電性物質を利用し、種々の手段により像担持体上に静電潜像を形成する。次いで静電潜像を現像装置によりトナー像とし、必要に応じて紙等の転写材にトナー像を転写した後、熱や圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。そして、像担持体上の転写残のトナー像は、クリーニング部材によって回収される構成を有する。
【0003】
このクリーニング部材については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング又はローラークリーニングが広く実用されている。しかしながら、いずれのクリーニング方法も力学的に転写残トナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと捕集されるものであった。
【0004】
このような力学的にクリーニングする方法では、像担持体の回転駆動時のトルク変動により、トナー表面から遊離した外添剤がクリーニング部材と像担持体の接触ニップ内部にまで侵入することがある。ニップ内部に侵入した外添剤に対するクリーニング部材の圧力によって、像担持体表面に付着する。一旦像担持体表面に付着物が発生してしまうと、それがクリーニング部材によって掻きとれず、クリーニング部材を押し上げて通過してしまう。クリーニング部材を押し上げられるとクリーニング能力が低下し、回収した転写残トナーを引き連れてすり抜けてしまう問題(クリーニング不良)が発生した。
【0005】
これら問題に対して、特許文献1では、クリーニング部材として、300%延び時の引張応力試験において、200kgf/cm2以上の値を示す、または破断するクリニングブレードを用いることを提案している。このようなクリーニングブレードを用いることで、クリーニング不良と、像担持体上へのトナー及び外添剤の付着を抑制した技術を提案している。
【0006】
さらに、特許文献2では、クリーニング装置の感光体回転方向上流側に、放電装置を備え、像担持体表面電位を0±200Vに変化させて、転写残トナーと外添剤であるシリカのクリーニング性を向上させた技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−147970号公報
【特許文献2】特開2004−069814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年のプリンター、複写機等の高速化、長寿命化、多様な使用環境により、クリーニング部材による像担持体への摩耗機会が増加する傾向にある。クリーニング部材による像担持体への摩擦によって像担持体表面に細かな凹凸が発生し、その凹凸によってクリーニング性能が低下してしまう問題が発生した。特に、トナー表面から遊離した外添剤は、トナーに比べて粒径が小さいためクリーニングされにくい。そのため、像担持体表面に凸凹があると外添剤がクリーニング部材をすり抜けてしまい、像担持体表面の付着物として存在してしまうことになる。
【0009】
付着物のある領域では、クリーニング部材と像担持体との間の接触性が悪くなるため、当該領域においてトナーがすり抜けてしまうというクリーニング不良の問題が発生する。クリーニング不良が起こると、次の画像形成の際にすり抜けたトナーが画像に出てしまう画像不良が発生する。また、接触現像方式を採用する場合、非画像領域でも、現像位置において付着物上に現像ローラ上のトナーが付着してしまい、黒ポチ状の画像不良として出力されてしまう可能性があった。そのため特許文献1の技術は、クリーニングブレードによるクリーニング性向上によって、平坦な像担持体に対して効果があるものの、像担持体表面の摩耗傷による凹凸に対しては完全にクリーニングできない可能性があった。
【0010】
特許文献2の技術では、像担持体表面電位を0±200Vに変化させて、クリーニング性を向上させるとある。しかし、特許文献2では、シリカのクリーニング効率をあげることを目的としており、シリカ以外の付着物のクリーニングについての考慮はなされていない。
【0011】
従って、本発明の課題は、像担持体表面の付着物起因によるクリーニング不良や、黒ポチ状画像のない高品位な印刷出力を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。
【0013】
すなわち、潜像を担持するための回転可能な像担持体と、前記潜像を、外添剤を含むトナーによりトナー像に現像するための現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写を行うための転写手段と、転写後の前記像担持体の上のトナーをクリーニングするためのクリーニング手段と、画像形成時における前記クリーニング手段に対して前記像担持体回転方向の上流側の位置の前記像担持体の帯電極性を所定の極性として、非画像形成時に、前記像担持体を所定の極性とは逆極性に帯電をし、前記逆極性に帯電された前記像担持体の面が前記クリーニング手段を通過するように前記像担持体を1周以上回転させるクリーニングモードを実行する制御手段と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
特別な追加機構なしに、像担持体表面の付着物起因によるクリーニング不良や、黒ポチ状画像のない高品位な印刷出力を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用可能な第1の実施形態に係る、概略断面図である。
【図2】本実施形態に係る、1次転写バイアスとクリーニング前電位との関係を示した図である。
【図3】本実施形態に係る、クリーニングモード時の概略断面図である。
【図4】本実施形態に係る、使用環境における1次転写バイアスとクリーニング前電位との関係を示した図である。
【図5】本発明を適用可能な第1の実施形態に係る、概略断面図である。
【図6】本発明を適用可能な第2の実施形態に係る、概略断面図である。
【図7】本発明を適用可能な第3、4の実施形態に係る、概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
<実施形態1>
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100について説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0018】
本実施例の画像形成装置の構成を図1に示す。図中1は像担持体たる感光ドラムである。感光ドラム1は回転可能に設けられており、矢印R1方向に回転する。2は帯電ローラである。露光装置3から発信されたレーザービームが、感光ドラム1上の露光位置Aに達するように配置されている。
【0019】
現像装置6は、負極性のトナーを内包し、現像剤担持体である現像ローラ10を有する。現像ローラ10が感光ドラム1に対向・接触する現像位置Cにて現像される。
【0020】
感光ドラム1の下部には、中間転写体(被転写体)たる転写ベルト16が複数のローラに架張されて、図1のR2方向に回動するように配置されている。感光ドラム1と転写ベルト16が押圧・接触する1次転写位置Bには、1次転写器9が転写ベルト16内に配置されている。転写ベルト16を架張しているローラの1つ16bには、転写ベルト16を挟むように2次転写ローラ18が配置されている。2次転写位置Dにて、搬送されて来た転写材13上に画像を転写する。転写後の転写材13は定着器17に送られる。
【0021】
1次転写位置Bに対して感光ドラム1の移動方向下流には感光体クリーニング装置11が設置され、付属のブレード5が感光ドラム1上のトナーを掻き落とせるように接触配置されている。クリーニングを終えた感光ドラム1は再び2の帯電ローラによって帯電さる。
【0022】
画像形成装置の画像形成時の動作について説明する。なお、ここで言う、画像形成時とは、記録紙に対して画像を形成するために、帯電、露光、現像、転写等の動作を行っている時を指す。矢印R1方向に100mm/secで回転している感光ドラム1の表面上を、帯電ローラ2でトナーとは同極性(負極性)の所定電位に均一帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3により画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像装置6で現像し、トナー像を形成する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写位置Bにて中間転写ベルト16上に転写される。
【0023】
具体的には、帯電ローラ2に−1100Vの電圧を印加して、感光ドラム1を−530Vに帯電する。露光装置3により、画像信号に応じて感光ドラム1を露光し感光ドラム1に静電潜像を形成する。現像装置6により、露光部に負極性のトナーを付着させて、静電潜像をトナー像に反転現像を行なう。転写器9には、+450Vの電圧が印加されトナー像を中間転写ベルト16に転写する。転写後の感光ドラム1の電位は、転写器9による電圧の影響をうけて−210V程度となっている。
【0024】
本実施形態で使っているトナーには、外添剤を添加している。外添剤は、トナーに流動性を持たせる目的として、具体的にはシリカを、トナーの帯電量を均一にする目的で、具体的には酸化チタンをトナーに添加している。
【0025】
本実施例におけるクリーニング装置11は、クリーニング部材としてウレタンゴム製チップブレードと板金とで構成された、弾性クリーニングブレード5を用いたブレード式の装置である。ブレード5は先端部をドラム1の回転方向(像担持体回転方向)に対してカウンターに対向させて感光ドラム1に当接させて配設されている。ドラム表面の転写残トナーはブレード5により掻き取られて廃トナー室14(廃トナー容器)に貯留される。
【0026】
本実施形態においても、前述したように長寿命、高速化、多様な使用環境に対応したことによって、ブレード5による感光ドラム1への摩耗によって像担持体表面に細かな凹凸状の傷が感光ドラム回転方向に成長してしまう。その凹凸によってクリーニング性能が低下し、付着物が発生してしまう可能性がある。この付着物は、画像形成を行っている時にブレード5で掻き取ろうとしても、うまく掻き取れないことがわかった。
【0027】
発明者等の検討により、この付着物のクリーニング性は、ブレード直前の感光ドラム1の電位と関係があることを見出した。以下にその説明をする。
【0028】
図2に、画像形成時と同等の帯電バイアス印加状態で、1次転写電源109からの転写バイアスを変動させたときの、ブレード5より感光ドラム1の回転方向上流側における感光ドラム1表面電位(クリーニング前電位)の関係を示す。これより、転写バイアスを0Vからトナーと逆極性(正極性)で絶対値を大きくしていくと、クリーニング前電位は、トナーと同極性から逆極性へと極性が反転する。
【0029】
次に、付着物の数がほぼ同等の状態の感光ドラム1を用意して、クリーニング前電位を変えて、付着物のクリーニング性が変化するかどうかを調べた。
【0030】
画像形成を所定枚数くり返し、感光ドラム1上に付着物を発生させる。感光ドラム1上に付着した付着物の数がほぼ同等の状態において、クリーニング前電位を図2と同等の条件で1次転写バイアスを変動させることで任意の値に設定する。その状態で感光ドラム1の回転数を10回転と30回転をさせた後の感光ドラム1の付着レベルを確認した結果を表1に示す。付着レベルに変化がないものを×、付着物が減少し付着レベルが改善したものを○と表記する。このとき、現像装置6と感光ドラム1は非接触状態である。この結果より、クリーニング前電位がトナーと同極性(負極性)の場合は、付着物の付着レベルに変化はなく、ブレード5によって回収されていないことがわかった。一方トナーと逆極性(正極性)の場合は、付着物がブレード5によって回収され、感光ドラム1上から減少している結果となった。
【0031】
【表1】

【0032】
この結果を考察する。
【0033】
トナーに添加している外添剤は、帯電の極性がトナーと同極性(負極性)のものと、帯電の極性がトナーと逆極性(正極性)のものとが存在すると考えられる。
【0034】
画像形成時には、クリーニング前電位はトナーと同極性(負極性)となっている。クリーニング前電位がトナーと同極性(負極性)の場合、トナーと同極性(負極性)に帯電したシリカなどの外添剤は、感光ドラム1との間に斥力が働く。そのため、感光ドラム1の表面に凹凸が発生してもクリーニング部材によりクリーニングされやすい。しかしながら、トナーと逆極性(正極性)に帯電した外添剤は、感光ドラム1との間に引力が働くため、クリーニングされにくい。また、このような外添剤は、クリーニング部材と感光ドラム1との接触ニップ内部に侵入しやすくなる。そして、ニップ内部に侵入した外添剤は、ニップ内部でクリーニング部材の圧力によって感光ドラム1に付着する。そのため、画像形成を繰り返すことにより感光ドラム1の表面には、トナーと逆極性に帯電した外添剤(付着物)が発生している。
【0035】
実験により、感光ドラム1のクリーニング前電位をトナーと同極性(負極性)とした時は、感光ドラム1の付着物は除去されなかった。一方、感光ドラム1のクリーニング前電位をトナーと逆極性(正極性)とした場合は、感光ドラム1の付着物は除去され、付着物の数は減少する傾向となった。
【0036】
これは、正極性に帯電した付着物が、感光ドラム1の表面電位の極性によって付着力が低下し、クリーニングしやすい状態となったからと思われる。付着物の減少は、クリーニング前電位と感光ドラム1を回転させる回転数によっても異なる。クリーニング前電位がトナーと逆極性で絶対値が大きい電位であれば、少ない回転数でも付着物の減少が起こる。クリーニング前電位がトナーと逆極性で絶対値が小さい電位であれば、回転数を多くしないと付着物の減少が起こらない。
【0037】
なお、本実施形態ではクリーニング前電位をトナーと逆極性に大きくしていき550Vより大きくなると、感光ドラム1上にプラスメモリーとして残電し、次の画像形成を行った時に画像に濃度ムラが発生した。よってクリーニング前電位は550V以下が好ましい。
【0038】
上記結果を利用して、本実施形態では、非画像形成時の所定のタイミングでクリーニングモードを実行することを特徴とする。クリーニングモードでは、画像形成時におけるクリーニング前電位の極性を所定の極性とした時、当該所定の極性とは逆極性に感光ドラム1を帯電する。そして、この逆極性に帯電した領域がブレード5を通過するように少なくとも感光ドラム1を1周以上回転させる。このようにすることで、感光ドラム1の全周にわたって、逆極性に帯電した状態でブレード5を通過することになる。したがって、感光ドラム1の全周にわたって、正極性に帯電した付着物がブレード5により掻き取られることになる。
【0039】
クリーニングモードの実行タイミングは、前回クリーニングモードを実行してからの感光ドラム1の回転時間が所定値に達した後の非画像形成時に行う。感光ドラム1の回転時間は画像形成装置が有する記憶手段に記憶しておき、クリーニングモードの実行の判断基準とする。
【0040】
クリーニングモードの制御は制御手段であるCPU60により実行される。CPU60は、記憶手段に記憶された感光ドラム1の回転時間とあらかじめ記憶されたクリーニングモード実行のための閾値とを比較して、回転時間が閾値を超えた場合にクリーニングモードを実行する。CPU60は、感光ドラム1の回転の制御、帯電ローラ2、一次転写器9へのバイアスの印加の制御を行い、クリーニングモードを実行する。
【0041】
本実施形態でのクリーニングモードは図3に示すように、現像装置6と感光ドラム1が非接触状態、露光装置3からのレーザービーム照射なし、1次転写器9は当接状態で、感光ドラム1を矢印R1方向に30回転させる。
【0042】
ここで、感光ドラム1の回転数を30回転としたが、回転数が多いほど付着物除去効果は高い。しかし、回転数が多いと、よりクリーニングモードの時間が必要となり、次のプリントジョブの妨げとなる可能性がある。そのため、クリーニングモードの感光ドラム1の回転数は、発明が適用される装置構成や各種条件により変動させてもよい。少なくとも感光ドラム1を1回転以上回転させればよく、付着物量に応じて必要な回転数を設定すればよい。
【0043】
表2に本実施形態における画像形成時とクリーニングモード時の印加バイアスとその時の感光ドラム1の表面電位を示す。表2に示すように、帯電バイアスは画像形成時と同等で、1次転写バイアスを変動させることで、クリーニング前電位を正極性になるように制御させている。
【0044】
ここで、クリーニング前電位をクリーニングモード時のみ、正極性になるように制御している。負極性に感光ドラム1を帯電する画像形成装置において、感光ドラム1の表面電位を正極性で長時間帯電させてしまうと、感光ドラム1にプラスメモリーとして残電し、次の画像形成の画像に濃度ムラとして出力される可能性がある。そのため、感光ドラム1の表面電位は負極性、もしくは0にしておくのが好ましく、画像形成時のクリーニング前電位は負極性で、クリーニングモード時のみ正極性になるように設定している。
【0045】
【表2】

【0046】
また、本実施形態では表2に具体的な印加バイアス値を示したが、図4に示すように、使用される温湿度環境によって、クリーニング前電位が正極性になる条件が異なる。なお、図4は、使用環境における1次転写バイアスとクリーニング前電位との関係を示した図である。これは、使用環境によって、中間転写ベルト16や1次転写シート部材9aの抵抗が変動することによる。これより、本実施形態では、予め使用される環境によって、クリーニング前電位が正極性になる条件を画像形成装置が有する記憶手段に記憶しておき、その条件によって制御させる。
【0047】
このように定期的にクリーニングモードを実施することで、感光ドラム1上の付着物を効果的に取り除くことができ、付着物起因によるクリーニング不良や、黒ポチ状画像のない高品位な印刷出力を提供することができる。
【0048】
本実施形態では、1次転写手段として転写シートと中間転写ベルトを採用する例を述べたが、図5に示すようにトナー像と転写ローラとの間に直接転写材13を移動させながら転写する構成を用いてもよい。
【0049】
なお、実施形態1では、画像形成時のクリーニング前電位が負極性になる例で説明をしたが、画像形成時のクリーニング前電位が正極性になる場合であっても、本願発明は適用可能である。その場合は、クリーニングモードでは、クリーニング前電位が負極性になるようにする。
【0050】
<実施形態2>
図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100について説明する。基本的な構成は実施形態1と同じであるため、本実施形態の特徴についてのみ説明する。
【0051】
実施形態1では、定期的にクリーニングモードを実施する形態を示したが、クリーニングモードの実施頻度が多いほど、付着物の発生を抑制する効果が高い。また、実施形態1にて述べたように、クリーニングモード実行時の感光ドラム1の回転数が多いほど、付着物の改善効果が高い。
【0052】
しかし、実施頻度や、感光ドラム1の回転数を多くした場合のいずれも、次のプリントジョブの妨げとなる可能性が増す。
【0053】
よって、付着物が発生しやすい状況が予測されるのであれば、その状況によってクリーニングモードの実施頻度や感光ドラム1の回転数を変動させてよい。
【0054】
前述したように、感光ドラム1の表面電位を画像形成時の帯電極性とは逆極性の正極性で長時間帯電させてしまうと、感光ドラム1にプラスメモリーとして残電し、次の画像形成の画像に濃度ムラとして出力される可能性がある。本実施形態のように、必要な時に必要な量だけクリーニングモードを実行する構成にすることで、感光ドラム1がプラスメモリーを発生させ画像不良を起こすリスクを低くすることができる。
【0055】
本実施形態では、使用される環境に応じて、クリーニングモードの実施頻度を変動させる。高温高湿環境の場合は、トナー表面からの外添剤の遊離が多くなる。そのため、高温高湿環境ほど、感光ドラム1上の付着物が発生しやすい傾向にある。したがって、高温高湿環境ほど実施頻度が高く、低温低湿環境ほど付着物発生リスクが低いため実施頻度を低くさせる。
【0056】
クリーニングモードの実行タイミングは、前回クリーニングモードを実行してからの感光ドラム1の回転時間が所定値に達した後の非画像形成時に行う。感光ドラム1の回転時間は画像形成装置が有する記憶手段に記憶しておき、クリーニングモードの実行の判断基準とする。
【0057】
本実施形態では図6に示すように、画像形成装置に温度検知手段70(環境検知手段)を有する。表3に示すように、温度検知手段70の検知結果に応じて、クリーニングモードを実行するかしないか、実行する場合はその実行閾値が記憶手段に記憶されている。
【0058】
クリーニングモードを実行する環境温度である場合、制御手段であるCPU60により実行される。CPU60は、記憶手段に記憶された感光ドラム1の回転時間とあらかじめ記憶された実行閾値とを比較して、回転時間が閾値を超えた場合にクリーニングモードを実行する。CPU60は、感光ドラム1の回転の制御、帯電ローラ2、一次転写器9へのバイアスの印加の制御を行い、クリーニングモードを実行する。
【0059】
【表3】

【0060】
また、本実施例では、温度に考慮しているが、温度、湿度ともに考慮する場合や、湿度のみを考慮するようにしても構わない。例えば、高湿環境ほど実施頻度が高く、低湿環境ほど実施頻度を低くさせるようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、環境温度に応じて実行閾値を変動させる例を示したが、ドラムの回転数を変動させてもよく、例えば表4に示すように制御させるようにしてもよい。
【0062】
【表4】

【0063】
以上のように、低温(低湿)環境(第一の環境)か、第一の環境よりも高温(高湿)環境(第二の環境)なのかを判断し、クリーニングモードの実行頻度を変更する、又はクリーニングモードで。
【0064】
即ち、低温(低湿)環境よりも高温(高湿)環境の方が、クリーニングモードを実行する頻度が高くなるように制御する。
即ち、低温(低湿)環境よりも高温(高湿)環境の方が、クリーニングモードで回転させる感光ドラムの回転数が多くなるように制御する。
また、このような実行頻度と感光ドラムの回転数の制御を組み合わせて実施してもよい。
【0065】
<実施形態3>
図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100について説明する。
実施形態2では、使用環境によって付着物発生頻度が変動することから、使用環境に応じてクリーニングモードの実施頻度を変動させる形態を示した。本実施形態では、画像形成装置本体から現像装置6が着脱可能にもうけられている構成を採用した画像形成装置に関するものである。なお、画像形成装置本体とは、画像形成装置100の中で、現像装置6以外の部分を指す。
【0066】
交換可能な現像装置6を採用した場合、感光ドラム1表面に摩耗傷による凹凸が発生した状態で、現像装置6が新品に交換されると、新品トナーほど遊離外添剤が多いため、現像装置の初期動作時(例えばトナー撹拌動作)に付着物が発生しやすい。よって、初期動作後で画像形成開始前のタイミングでクリーニングモードを実行させる。
【0067】
前述したように、感光ドラム1の表面電位を画像形成時の帯電極性とは逆極性の正極性で長時間帯電させてしまうと、感光ドラム1にプラスメモリーとして残電し、次の画像形成の画像に濃度ムラとして出力される可能性がある。本実施形態のように、必要な時だけクリーニングモードを実行する構成にすることで、感光ドラム1がプラスメモリーを発生させ画像不良を起こすリスクを低くすることができる。
【0068】
基本的には、感光ドラム1の回転時間毎の定期的タイミングでクリーニングモードを実施している。そこで、現像装置使用状況検知手段80によって、新品現像装置6が挿入されたことを検知した時、定期的タイミングに関わらず、即座にクリーニングモードを実施させる。即ち画像形成を開始する前にクリーニングモードを実行する。これにより新品の初期動作時における外添剤による付着物が発生しても、効果的に除去することができる。
【0069】
<実施形態4>
図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100について説明する。
本実施形態3では、新品現像装置6が交換されて、画像形成開始前にクリーニングモードを実行する例を示したが、新品現像装置ほど遊離外添剤が多いため、現像装置の使用量に応じてクリーニングモードの実施頻度やや感光ドラム1の回転数を変動させてよい。
【0070】
本実施形態では、現像装置6の新品状態からの使用量が少ない場合は、現像装置6内に遊離外添剤が存在する可能性が高いため、使用量が多い場合に比べて、クリーニングモードの実施頻度や感光ドラム1の回転数を多くさせる。
【0071】
前述したように、感光ドラム1の表面電位を画像形成時の帯電極性とは逆極性の正極性で長時間帯電させてしまうと、感光ドラム1にプラスメモリーとして残電し、次の画像形成の画像に濃度ムラとして出力される可能性がある。本実施形態のように、必要な時だけクリーニングモードを実行する構成にすることで、感光ドラム1がプラスメモリーを発生させ画像不良を起こすリスクを低くすることができる。
【0072】
本実施形態では、図7に示すように、画像形成装置100に現像装置使用状況検知手段80を有する。現像装置の使用量として、画像形成時間を用いる。例えば、現像装置が新品に交換されてからの画像形成時間を現像装置に設けられた記憶手段(メモリタグ)に記憶させておく。そして、メモリタグに記憶された画像形成時間に基づいてクリーニングモードを制御する。
【0073】
クリーニングモードの実行タイミングは、表5に示すように現像装置使用状況検知手段80が検知した画像形成時間によって、クリーニングモードの実行閾値が記憶手段に記憶されている。
【0074】
クリーニングモードは、制御手段であるCPU60により実行される。CPU60は、前回クリーニングモードを実行してからの感光ドラム1の回転時間とあらかじめ記憶された実行閾値とを比較して、回転時間が閾値を超えた場合にクリーニングモードを実行する。CPU60は、感光ドラム1の回転の制御、帯電ローラ2、一次転写器9へのバイアスの印加の制御を行い、クリーニングモードを実行する。
【0075】
【表5】

【0076】
また、本実施形態では、環境温度に応じて実行閾値を変動させる例を示したが、ドラムの回転数を変動させてもよく、例えば表4に示すように制御させる。
【0077】
【表6】

【0078】
以上のように、現像装置の使用量が少ないか(第一の使用量)か、現像装置の使用量が第一の使用量よりも多いか(第二の使用量)を判断し、クリーニングモードの実行頻度を変更する、又はクリーニングモードで回転させる感光ドラムの回転数を変更する。
【0079】
即ち、現像装置の使用量が少ないときよりも現像装置の使用量が多い時の方が、クリーニングモードを実行する頻度が低くなるように制御する。
即ち、現像装置の使用量が少ないときよりも現像装置の使用量が多い時の方が、クリーニングモードで回転させる感光ドラムの回転数が少なくなるように制御する。
また、このような実行頻度と感光ドラムの回転数の制御を組み合わせて実施してもよい。
【0080】
〔その他〕
なお、実施形態1〜4では、クリーニングモードにおけるクリーニング前電位を形成するための部材として一次転写器9を用いているがこれに限られるものではない。例えば、帯電ローラ2に印加するバイアスを変化させて、クリーニングモードにおけるクリーニング前電位を制御してもよい。その他、帯電ローラ2や転写器9以外の部材により、感光ドラム1の電位を制御してもよい。
【0081】
実施形態1〜4では、反転現像の画像形成装置において説明を行ったがこれに限られるものではない。例えば、画像形成時の感光ドラムの帯電極性とトナーの帯電極性とが逆になる正規現像の装置においても適用可能である。
【0082】
実施形態1〜4では、モノクロの画像形成装置で説明を行った。本願発明は、フルカラー画像形成装置にも適用可能である。
また、実施形態2〜4の、制御を組み合わせてクリーニングモードを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ(帯電手段)
3 露光手段
5 クリーニング部材
6 現像装置
9 1次転写部材
10 現像ローラ
11 クリーニング装置
14 廃トナー室
16 中間転写ベルト
17 定着部材
18 2次転写部材
60 CPU
70 環境検知手段
80 現像装置使用状況検知手段
100 画像形成装置
102 帯電バイアス電源装置
109 1次転写バイアス電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持するための回転可能な像担持体と、
前記潜像を、外添剤を含むトナーによりトナー像に現像するための現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写を行うための転写手段と、
転写後の前記像担持体の上のトナーをクリーニングするためのクリーニング手段と、
画像形成時における前記クリーニング手段に対して前記像担持体の回転方向の上流側の位置の前記像担持体の帯電極性を所定の極性として、
非画像形成時に、前記像担持体を所定の極性とは逆極性に帯電をし、前記逆極性に帯電された前記像担持体の面が前記クリーニング手段を通過するように前記像担持体を1周以上回転させるクリーニングモードを実行する制御手段と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニングモードにおいて、前記転写手段によって前記像担持体を所定の極性とは逆極性に帯電を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
温度又は湿度を検知するための環境検知手段を備え、
第一の環境と、前記第一の環境よりも高温又は高湿の環境を第二の環境として、
前記環境検知手段により検知される環境が前記第一の環境か、前記第二の環境かに応じて、
前記制御手段は、前記第一の環境よりも前記第二の環境の方が、前記クリーニングモードを実行する頻度が高くなるように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
温度又は湿度を検知するための環境検知手段を備え、
第一の環境と、前記第一の環境よりも高温又は高湿の環境を第二の環境として、
前記環境検知手段により検知される環境が前記第一の環境か、前記第二の環境かに応じて、
前記制御手段は、前記第一の環境よりも前記第二の環境の方が、前記クリーニングモードで前記像担持体を回転させる回転数が多くなるように制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像手段が画像形成装置本体から着脱可能に設けられており、
前記現像手段が新品であるか否かを判断する判断手段を備え、
前記判断手段により前記現像手段が新品であると判断された場合は、画像形成を開始する前に前記クリーニングモードを実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像手段の使用量を判断するための判断手段を備え、
現像手段の使用量として、第一の使用量と、前記第一の使用量よりも現像手段の使用量の多い第二の使用量とした時、
前記判断手段により判断される前記現像手段の使用量が前記第一の使用量か、前記第二の使用量かに応じて、
前記制御手段は、前記第一の使用量よりも前記第二の使用量の方が、前記クリーニングモードを実行する頻度が低くなるように制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像手段の使用量を判断するための判断手段を備え、
現像手段の使用量として、第一の使用量と、前記第一の使用量よりも現像手段の使用量の多い第二の使用量とした時、
前記判断手段により判断される前記現像手段の使用量が前記第一の使用量か、前記第二の使用量かに応じて、
前記制御手段は、前記第一の使用量よりも前記第二の使用量の方が、前記クリーニングモードで前記像担持体を回転させる回転数が少なくなるように制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−42803(P2012−42803A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185090(P2010−185090)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】