説明

画像形成装置

【課題】安価、正確、高速に、複数のポリゴンミラー(ポリゴンモータ)における回転角度の位相差を調整する。
【解決手段】画像形成装置は、第1ポリゴンミラーを回転させる第1ポリゴンモータと、第1発光部からの走査ビームが入射され、第1ビーム検知信号を出力する第1受光部と、第1ビーム検知信号の変化にあわせて変化する第1補正信号を生成する第1補正信号生成部と、第2ポリゴンミラーを回転させる第2ポリゴンモータと、第2発光部からの走査ビームが入射され、第2ビーム検知信号を出力する第2受光部と、第2ビーム検知信号の変化にあわせて変化する第2補正信号を生成する第2補正信号生成部と、第1補正信号と第2補正信号の位相差を検知する位相差検知部と、を備え、第1信号生成部は、第1補正信号と第2補正信号の位相差が、予め定められた位相差となるように第1駆動信号の周波数を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビームや、ポリゴンミラー、ポリゴンモータを用いて走査対象を露光して、色ごとに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリゴンモータで回転されるポリゴンミラーにビームを反射させて、静電潜像を形成する画像形成装置がある。そして、カラーの画像形成装置では、色ごとにトナー像を形成するため、感光体ドラムの露光を行う光源やポリゴンモータやポリゴンミラーが複数個設けられることがある。ここで、それぞれのポリゴンミラー(ポリゴンモータ)の回転角度での位相関係の調整が不十分であると、各色のトナー像を重畳させたとき、色ずれが生ずる。例えば、基準となるポリゴンミラーに対し、他のポリゴンミラーで、位相遅れがあると、位相が遅れたポリゴンミラーでは感光体ドラムの露光が遅れる。そのため、位相が遅れたポリゴンミラーで形成される画像は、副走査方向で遅れる方向にずれる。その結果、色ずれが生ずる。
【0003】
このような、ポリゴンモータ(ポリゴンミラー)の位相のずれに起因する色ずれを防ごうとする発明が特許文献1に記載されている。具体的に、特許文献1には、回転駆動される像担持体(感光ドラム5)上を走査する回転多面体(ポリゴンミラー3)と、像担持体の所定位置(フラグ10の固定位置)を検知して第1のパルス信号(ITOP信号)を発生する第1のパルス発生手段(センサ9)と、回転多面体を駆動する駆動手段(ポリゴンモータ117,217,317)と、駆動手段の回転に伴って所定数の第2のパルス信号(FG信号)を発生する第2のパルス発生手段(FGセンサ,ロータ31,波形整形回路33,ロータ231)と、第2のパルス発生手段が発生する第2のパルス信号に同期する所定数の仮想主走査同期信号(BD′信号)を発生する第3のパルス発生手段(アップカウンタ81,NOR回路82,コンパレータ84,NAND回路85,アップカウンタ281, コンパレータ284)と、第3のパルス発生手段が発生する仮想主走査同期信号に基づく基準信号(基準クロックSP)を発生する第4のパルス発生手段(カウンタ83,カウンタ283)と、第3のパルス発生手段が順次発生する仮想主走査同期信号と第1のパルス信号との出力タイミングを比較し、前記基準信号の出力タイミングを決定する決定手段(アップカウンタ81,NOR回路82,コンパレータ84,NAND回路85,アップカウンタ281,コンパレータ284)と、決定手段により決定された出力タイミングに基づいて出力される基準信号と第2のパルス信号との位相差が一定となるように駆動手段の回転速度を制御する制御手段(PLL回路116,316)とを有する画像形成装置が記載されている(特許文献1:請求項1、段落[0026]、図1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−319332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の発明では、基準信号と第2のパルス信号との位相差が一定となるようにポリゴンモータの回転速度を制御し、主走査制御系の基準信号と副走査制御系の基準信号とを所定の位相となるように位相調整し、色ずれを防ごうとする。具体的には、像担持体が一回転するごとに出力される第1のパルス信号を検知し、第1のパルス信号を用いてポリゴンミラー(ポリゴンモータ)の位相を調整しようとする。
【0006】
しかし、特許文献1記載の発明では、位相合わせのために、像担持体の所定位置を検知する第1のパルス発生手段(センサ9)が各像担持体に対して必要になる。例えば、Bk、C、M、Yのタンデム式の画像形成装置では、4つ必要になる。又、ポリゴンモータの回転数を把握するための第2のパルス発生手段等が、各ポリゴンモータに対して必要になる。又、特許文献1の各図に示されるように、各パルス発生手段や各種信号を処理する回路は、基本的に感光体ドラムに対し1つ必要となり、全体として多様な部品が用いられ複雑なものとなる。従って、特許文献1記載の発明では、複雑な回路や処理が必要となり、画像形成装置の製造コスト削減や小型化を図れない場合があるという問題がある。
【0007】
又、特許文献1記載の発明は、像担持体の回転に応じて信号を発する第1のパルス発生手段(センサ9)を用いて位相の調整を行う。しかし、第1のパルス発生手段は、像担持体1周につき1パルスのみ発する。しかも、第1のパルス発生手段(センサ9)を用いて正確に位相調整を行うには、像担持体が、規定の回転速度に安定した状態となる必要がある。像担持体の回転速度を安定させるには、例えば、数回転程度は必要である。従って、短時間内に、位相調整を完了できるものとはいえない。
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑み、安価、正確、高速に、複数のポリゴンミラー(ポリゴンモータ)における回転角度の位相差を調整することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に係る画像形成装置は、第1信号生成部が生成する第1駆動信号が入力され、前記第1駆動信号の周波数で回転速度が変化し、第1ポリゴンミラーを回転させる第1ポリゴンモータと、前記第1ポリゴンミラーにビームを照射する第1発光部と、前記第1発光部からのビームを前記第1ポリゴンミラーで反射させて行われる走査の走査経路に配され、走査ビームが入射されると立ち上がる又は立ち下がる第1ビーム検知信号を出力する第1受光部と、前記第1駆動信号を処理し、前記第1ビーム検知信号と同じ周期で、前記第1ビーム検知信号の立ち上がり又は立ち下がりにあわせて変化する第1補正信号を生成する第1補正信号生成部と、第2信号生成部が生成する第2駆動信号に基づき、第2ポリゴンミラーを回転させる第2ポリゴンモータと、前記第2ポリゴンミラーにビームを照射する第2発光部と、前記第2発光部からのビームを前記第2ポリゴンミラーで反射させて行われる走査の走査経路に配され、走査ビームが入射されると立ち上がる又は立ち下がる第2ビーム検知信号を出力する第2受光部と、前記第2駆動信号を処理し、前記第2ビーム検知信号と同じ周期で、前記第2ビーム検知信号の立ち上がり又は立ち下がりにあわせて変化する第2補正信号を生成する第2補正信号生成部と、前記第1補正信号と前記第2補正信号の位相差を検知する位相差検知部と、を備え、前記第1信号生成部は、前記位相差検知部が検出した位相差に基づき、前記第1補正信号と前記第2補正信号の位相差が、予め定められた位相差となるように前記第1駆動信号の周波数を変化させることとした。
【0010】
この構成によれば、第1信号生成部は、位相差検知部が検出した位相差に基づき、第1補正信号と第2補正信号の位相差が、予め定められた位相差となるように第1駆動信号の周波数を変化させる。そして、第1補正信号は第1ビーム検知信号の変化に反応して(同期して)変化し、第2補正信号は、第2ビーム検知信号の変化に反応して(同期して)変化する。これにより、第1補正信号と第2補正信号の位相差は、第1ポリゴンモータ(第1ポリゴンミラー)と第2ポリゴンモータ(第2ポリゴンミラー)の(回転角の)位相差を示すことなる。そのため、位相を調整するうえで、像担持体やポリゴンモータ回転速度検知用のセンサは不要である。又、第1補正信号及び第2補正信号は、第1駆動信号と第2駆動信号を処理して(加工して)生成されるので、第1補正信号及び第2補正信号の信号源は、ポリゴンモータ回転用の信号源と共用される。従って、位相調整のための構成を安価にすますことができる。又、像担持体の回転速度に基づかず、像担持体よりも高速回転するポリゴンモータ(ポリゴンミラー)によって生成される第1ビーム検知信号と第2ビーム検知信号に同期する第1補正信号と第2補正信号に基づき、位相差が調整されるから、予め定められた位相差となるように、素早く調整することができる。
【0011】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記第1信号生成部は前記位相差検知部が検出した位相差と予め定められた位相差との差が、所定回数、又は、所定時間、予め定められた範囲内に収まった場合、第1駆動信号の周波数を固定することとした。
【0012】
この構成によれば、第1信号生成部は、位相差検知部が検出した位相差と予め定められた位相差との差が、所定回数、又は、所定時間、予め定められた範囲内に収まった場合、第1駆動信号の周波数を固定する。これにより、第1ポリゴンモータ(第1ポリゴンミラー)と第2ポリゴンモータ(第2ポリゴンミラー)の位相差の調整が終わると、第1駆動信号が安定する。従って、色ずれが解消された状態で、第1ポリゴンモータ(第1ポリゴンミラー)の回転速度が安定し、色ずれの発生をより防ぐことができる。
【0013】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記第1信号生成部は、画像データに基づく前記走査対象の走査、露光が行われない時間帯でのみ、第1駆動信号の周波数を変化させることとした。
【0014】
この構成によれば、第1信号生成部は、画像データに基づく走査対象の走査、露光が行われない時間帯でのみ、第1駆動信号の周波数を変化させる。これにより、静電潜像の形成や現像が行われている状態で、第1ポリゴンモータ(第1ポリゴンミラー)の回転速度が変動することがなくなる。従って、第1ポリゴンモータ(第1ポリゴンミラー)の回転速度変動に起因する画像での色ずれの発生はない。
【0015】
又、請求項4に係る発明は、請求項3の発明において、前記第1信号生成部は、前記走査対象に対する画像データに基づく走査、露光が開始される前に第1駆動信号の周波数を変化させることとした。
【0016】
この構成によれば、第1信号生成部は、走査対象に対する画像データに基づく走査、露光が開始される前でのみ第1駆動信号の周波数を変化させる。これにより、各ポリゴンモータ(各ポリゴンミラー)を停止状態から回転させるときに、位相差の調整が行われる。従って、実際に静電潜像の形成や現像が行われる時には、各ポリゴンモータの位相差が調整された状態となっており、色ずれを確実に防止することができる。しかも、画像データに基づく走査、露光中は、各ポリゴンモータ(各ポリゴンミラー)の回転速度は変動せず、位相差が調整された状態が維持される。
【0017】
又、請求項5に係る発明は、請求項3又は4の発明において、前記第1信号生成部は連続的な印刷において、前記走査対象に対する1ページ分の画像データに基づく走査、露光が停止し、その後、再開される前でのみ第1駆動信号の周波数を変化させることとした。
【0018】
この構成によれば、第1信号生成部は、連続的な印刷において、走査対象に対する画像データに基づく走査、露光が停止し、その後、再開される前でのみ第1駆動信号の周波数を変化させる。これにより、連続的な印刷で、印刷に用いる用紙と用紙の紙間で、第1ポリゴンモータ(第1ポリゴンミラー)と第2ポリゴンモータ(ポリゴンミラー)の位相差の調整を行うこともできる。
【0019】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、前記第1信号生成部は、第1駆動信号としてクロック信号を生成し、前記第2信号生成部は、第2駆動信号としてクロック信号を生成することとした。
【0020】
この構成によれば、第1信号生成部は、第1駆動信号としてクロック信号を生成し、第2信号生成部は、第2駆動信号としてクロック信号を生成する。尚、本発明の好適な一例である。
【0021】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、主電源投入時に、色ずれ補正のためのパターン画像を形成した際の、第1ビーム検知信号と第2ビーム検知信号の位相差を、予め定められた位相差として記憶するメモリを有する。
【0022】
この構成によれば、パターン画像を形成し、色ずれ補正が行われたときの位相差が、主電源が投入されている間、予め定められた位相差として保持される。そして、印刷が行われるごとに、第1ポリゴンモータ(第1ポリゴンミラー)と第2ポリゴンモータ(第2ポリゴンミラー)の(回転角の)位相差がメモリに記憶された位相差に対応するように調整される。これにより、主電源投入時の色ずれ補正の効果が保たれ、各回の印刷において、色ずれの発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像形成装置によれば、安価、正確、高速に、複数のポリゴンミラー(ポリゴンモータ)における回転角度の位相差を調整することができる。又、製造コストを抑えつつ、色ずれが防止される高画質の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係る複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図2】実施形態に係る画像形成ユニットの拡大模型的断面図である。
【図3】(a)、(b)は本発明の実施形態に係る露光装置の一例を示す模式図である。
【図4】実施形態に係る複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る色ずれ補正用のパターン画像の一例を示す説明図である。
【図6】実施形態に係る2つの受光部が発するビーム検知信号の位相差の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】実施形態に係る複合機での第1ビーム検知信号と第2ビーム検知信号の位相のずれの一例を示すタイミングチャートである。
【図8】各ポリゴンモータの回転と位相調整のための構成を備えた露光装置の一例を示すブロック図である。
【図9】実施形態に係る複合機での各ポリゴンモータ(各ポリゴンミラー)の位相調整の一例を示すタイミングチャートである。
【図10】実施形態に係る複合機での位相調整制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1〜図10を用い、本発明の実施形態に係る画像形成装置を説明する。なお、本実施形態では、複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0026】
(画像形成装置の概略)
まず、図1及び図2に基づき、本発明の実施形態の複合機100の概略を説明する。図1は本発明の実施形態に係る複合機100の一例を示す模型的正面断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る画像形成ユニット15の拡大模型的断面図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、最上部に原稿カバー101を有し、複合機100本体には、操作パネル102、画像読取部103、給紙部1A、搬送路1B、画像形成部1C、露光装置2、中間転写部3A、定着部3B等が設けられる。
【0028】
まず、図1に破線で示すように、操作パネル102は、複合機100の正面上方に設けられる。そして、操作パネル102は、複合機100の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部104を備える。液晶表示部104は、機能選択、設定等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部104の上面に透明なタッチパネル部105(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部105は、液晶表示部104で押下された部分の位置、座標を検出する。又、操作パネル102には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー106等、各種のハードキーも設けられる。
【0029】
原稿カバー101は、図1の紙面奥行き方向に支点を有し、紙面上下方向に開閉可能である。原稿カバー101は、原稿の複写時、載置読取用コンタクトガラス107に載置された原稿を押さえる。画像読取部103は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部103内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。尚、原稿カバー101に変えて、原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部103の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス108)に向けて搬送する原稿搬送装置を設けてもよい。
【0030】
そして、これらの光学系部材を用い、載置読取用コンタクトガラス107に載置される原稿にビームを照射し、その原稿の反射ビームを受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データが生成される。複合機100は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。
【0031】
給紙部1Aは、例えば、コピー用紙、OHPシート、ラベル用紙等の各種シート(用紙)を収容し、モータ等の駆動機構(不図示)により回転する給紙ローラ11で搬送路1Bに送り出す。そして、搬送路1Bは、複合機100内でシートを搬送し、給紙部1Aから供給されたシートを、中間転写部3A、定着部3Bを経て排出トレイ12まで導く。搬送路1Bには搬送ローラ対13や及び搬送されてくる用紙を中間転写部3Aの手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラ対14等が設けられる。
【0032】
図1及び図2に示すように、複合機100は、形成すべき画像の画像データに基づき、トナー像を形成する部分として画像形成部1Cを有する。画像形成部1Cは、4色分の画像形成ユニット15を含む。具体的に、複合機100は、ブラックの画像を形成する画像形成ユニット15Bkと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット15Yと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット15Cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット15Mと、を備える。
【0033】
ここで、図2を用いて各画像形成ユニット15Bk〜15Mを詳述する。尚、各画像形成ユニット15Bk〜15Mは、形成するトナー像の色が異なるだけで、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、下の説明では、各画像形成ユニット15内のBk、Y、C、Mの符号は、特に説明する場合を除き省略する。
【0034】
各感光体ドラム16(露光対象に相当)は、周面にトナー像を担持し、外周面上に感光層を有し、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで回転駆動される。各帯電装置17は、感光体ドラム16を一定の電位で帯電させる。画像形成部1Cの下方の露光装置2は、入力されるカラー色分解された画像信号をビーム信号にそれぞれ変換し、変換されたビーム信号であるレーザビーム(破線で図示)を出力し、帯電後の感光体ドラム16の走査露光を行って、静電潜像を形成する。各現像装置18は、対応する色の現像剤を収納する。そして、各現像装置18は、感光体ドラム16の静電潜像にトナーを供給し現像する。各清掃装置19は、感光体ドラム16の清掃を行う。
【0035】
図1に戻り説明する。中間転写部3Aは、感光体ドラム16からトナー像の1次転写を受けて、シートに2次転写を行う。中間転写部3Aは、各1次転写ローラ31Bk〜31M、中間転写ベルト32、駆動ローラ33、従動ローラ34A〜34C、2次転写ローラ35、ベルト清掃装置36等で構成される。各1次転写ローラ31Bk〜31Mは、対応する感光体ドラム16と無端状の中間転写ベルト32を挟み込む。各1次転写ローラ31Bk〜31Mには転写用電圧が印加され、トナー像は中間転写ベルト32に転写される。
【0036】
中間転写ベルト32は、駆動ローラ33等に張架され、モータ等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラ33の回転駆動により周回する。中間転写ベルト32は、又、駆動ローラ33は、2次転写ローラ35とで中間転写ベルト32を挟み込む。各画像形成ユニット15で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト32に1次転写された後、所定の電圧を印加された2次転写ローラ35により、シートに転写される。
【0037】
定着部3Bは、2次転写部の転写材搬送方向の下流側に配され、シートに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。そして、定着部3Bは主として、発熱源を内蔵する定着ローラ37と、これに圧接される加圧ローラ38とで構成され、ニップが形成される。そして、トナー像の転写されたシートは、ニップを通過すると加熱・加圧され、その結果、トナー像がシートに定着する。尚、定着後のシートは、排出トレイ12に排出され画像形成処理が完了する。
【0038】
(露光装置2の構成)
次に、図3を用いて、本発明の実施形態に係る露光装置2の一例を説明する。図3(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る露光装置2の一例を示す模式図である。
【0039】
まず、図3(a)を用いて、露光装置2を用いた感光体ドラム16の走査・露光の概要を説明する。図3(a)に示すように、露光装置2には、半導体レーザ装置4(例えば、レーザダイオード)、半導体レーザ装置4とポリゴンミラー5間に設けられるレンズ21、レーザビームを反射させる平面反射面を複数持ち高速回転するポリゴンミラー5(ポリゴンモータ6により回転)と、レーザビームの感光体ドラム16での走査速度を一定とするfθレンズ22、レーザビームを適宜、各感光体ドラム16に向けて反射させるミラー23等が設けられる。
【0040】
そして、露光装置2には、ポリゴンモータ6によるレーザビームの照射範囲内(走査範囲内)、かつ、感光体ドラム16への照射範囲外に受光部7が設けられる。この受光部7は、レーザビームが照射されると、出力電流(出力電圧)が変化する。例えば、受光部7は、フォトダイオード等を含む回路として構成される。そして、受光部7の出力に基づき、感光体ドラム16への露光(書込)のタイミングが取られる。
【0041】
次に、図3(b)を用いて、本発明の実施形態に係る露光装置2のより詳細な構成を説明する。本実施形態では、4本の感光体ドラム16に対し、2つのポリゴンモータ6とポリゴンミラー5が設けられる。例えば、一方のポリゴンモータ6(第1ポリゴンモータ6A)により回転されるポリゴンミラー5(第1ポリゴンミラー5A)に対しては、ブラックの感光体ドラム16を走査露光するためのレーザを発するブラック用の半導体レーザ装置4Bk(第1発光部に相当)と、イエローの感光体ドラム16を走査露光するためのレーザを発するイエロー用の半導体レーザ装置4Yがレーザを照射する。
【0042】
例えば、もう一方のポリゴンモータ6(第2ポリゴンモータ6B)により回転されるポリゴンミラー5(第2ポリゴンミラー5B)に対しては、シアンの感光体ドラム16を走査露光するためのレーザを発するシアン用の半導体レーザ装置4C(第2発光部に相当)と、マゼンタの感光体ドラム16を走査露光するためのレーザを発するマゼンタ用の半導体レーザ装置4Mがビームを照射する。尚、各色の半導体レーザ装置4をどのようにくみあわせて、それぞれのポリゴンミラー5にレーザビームを照射するかは、任意に定めることができる。
【0043】
そして、fθレンズ22、ミラー23等は、図示しないが、各色分(4色分)備えられる。この構成で、レーザビームが露光装置2から各感光体ドラム16に照射され画像データに併せた静電潜像が各感光体ドラム16上に形成される。又、図3(b)に示すように4色(4本の感光体ドラム16の露光)の場合、受光部7は、1色ごとに、1つ設けられる(受光部7Bk、受光部7Y、受光部7C、受光部7M)。
【0044】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
図4に示すように、本実施形態に係る複合機100は、内部に本体制御部10を有する。本体制御部10は、複合機100の各部を制御する。例えば、本体制御部10は、CPU10A、記憶部10B、画像処理部10C等で構成される。尚、本体制御部10は、通信制御や全体制御を行う主制御部分や、画像処理を行う部分や、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を行うエンジン制御部分等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよいが、図4では、これらの制御部をまとめた形態を示している。
【0046】
CPU10Aは、中央演算処理装置であり、記憶部10Bに格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機100の各部の制御や演算を行う。記憶部10Bは、ROM、RAM、フラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせで構成される。例えば、記憶部10Bは、複合機100の制御プログラム、制御データ等を記憶する。
【0047】
本体制御部10は、コンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ等)とネットワークやケーブルを介して接続される。本体制御部10には、印刷を行う画像データや印刷における設定データを含む印刷データがコンピュータ200から入力される。又、本体制御部10には、画像読取部103で読み取られた原稿の画像データが入力される。画像処理部10Cは、コンピュータ200や画像読取部103からの画像データに対し、設定に合わせ、拡大、縮小、濃度変換、データ形式変換等、各種画像処理を施す。そして、画像処理部10Cは、露光装置2に画像処理後の画像データを送る。露光装置2は、この画像データを受けて走査、露光を行う(画像データの流れの一例を白抜矢印で図示)。
【0048】
そして、本体制御部10は、給紙部1A、搬送路1B、画像形成部1C、露光装置2、中間転写部3A、定着部3B、操作パネル102等と接続され、記憶部10Bの制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。
【0049】
又、画像処理部10Cは、受信した画像データを画像処理し、露光装置2に送信し、露光装置2はその画像データに基づき、感光体ドラム16に静電潜像を形成する。操作パネル102は、例えば、複合機100の正面上方に設けられ、液晶画面を有し、種々の設定情報、警告等を表示する。
【0050】
そして、図4に示すように、露光装置2には、露光制御部20が設けられる。露光制御部20は、画像データに基づき各色の半導体レーザ装置4(ブラック用の半導体レーザ装置4Bk、イエロー用の半導体レーザ装置4Y、シアン用の半導体レーザ装置4C、マゼンタ用の半導体レーザ装置4M)の点消灯を制御する。尚、露光制御部20と各半導体レーザ装置4の間に、実際に各半導体レーザ装置4の点消灯を制御する発光制御回路24を設けるようにしてもよい。
【0051】
又、露光制御部20には、各受光部7の出力が入力される(図4での受光部7Bkはブラック用(第1受光部に相当)、受光部7Yはイエロー用、受光部7Cはシアン用(第2受光部に相当)、受光部7Mはマゼンタ用)。例えば、露光制御部20は、各受光部7の出力に基づき各半導体レーザ装置4でのラインでの書き出しタイミングを定める。このように、各受光部7での出力変化を同期用の信号として用いることで、各ラインの書き出し位置を一致させることができる。
【0052】
又、各受光部7の出力は、本体制御部10に入力してもよい。例えば、本体制御部10は、各受光部7の出力変化後、一定時間経過してからレジストローラ対14からの用紙搬送を開始させる。これにより、各受光部7での出力変化を基準とし、各ページでの1ライン目の位置を一定の基準の下、定めることができる。
【0053】
又、露光制御部20は、例えば、各ポリゴンモータ6のON/OFFや回転速度の切替等の制御を行える。具体的には、露光装置2は、第1ポリゴンモータ6Aを回転させるための信号を生成する第1信号生成部8Aと、例えば、第2ポリゴンモータ6Bを回転させるための信号を生成する第2信号生成部8Bを備える。そして、露光制御部20は、第1信号生成部8Aと第2信号生成部8Bに指示を与え、各ポリゴンモータ6のON/OFFや、走査、露光中、各ポリゴンミラー5(ポリゴンモータ6)の回転速度を制御する。
【0054】
尚、本実施形態では、露光制御部20を設ける例を説明するが、露光制御部20ではなく、本体制御部10が、走査、露光の制御を行うようにしてもよい(この場合、露光制御部20は設けなくてよい)。このように、露光制御部20や本体制御部10を露光装置2の制御部として機能させることができる。
【0055】
(色ずれ補正)
次に、図5、図6を用い、本発明の実施形態に係る複合機100での色ずれ補正を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る色ずれ補正用のパターン画像Pの一例を示す説明図である。図6は、本発明の実施形態に係る2つの受光部7が発するビーム検知信号の位相差の一例を示すタイミングチャートである。
【0056】
本説明における色ずれ補正は、主電源投入時に自動的に行われる。複合機100の右側面下方に主電源投入用のメインスイッチMSが設けられる(図1参照)。尚、メインスイッチMSは、複合機100の上方など、任意の位置に設けることができる。そして、使用者の操作により、メインスイッチMSがON状態とされると、複合機100は、コンセントを介し、商用電源等と接続された状態となり、電力が供給される状態となる。一方、メインスイッチMSがOFF状態とされると、複合機100は、電力が供給されない状態となる。このように、使用者は、メインスイッチMS等のスイッチにより、複合機100の主電源のON/OFFを行える。
【0057】
上述したように、本実施形態の複合機100は、ポリゴンミラーとポリゴンモータの組み合わせを2つ含む。ここで、各ポリゴンモータ6は印刷で必要ときに回転させられる。そして、露光制御部20は、印刷が完了すると、各ポリゴンモータ6を停止させる(ある程度は慣性でまわり続ける)。
【0058】
しかし、各ポリゴンモータ6を停止させたとき、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の位相の関係を常に一定として停止させることはできない。言い換えると、露光制御部20は、各ポリゴンモータ6の停止時に位相の関係を常に一定とする制御までは行えない。このように、位相の関係は、主電源が投入されている間、変化する。
【0059】
例えば、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の回転角における位相差は、ポリゴンモータ6の極数と、ポリゴンミラー5の面数によって離散的に定まる。言い換えると、第1ポリゴンモータ6Aと第2ポリゴンモータ6Bの回転角における位相差は、予め定まったパターン(例えば、7通り)のうち、いずれかとなる。
【0060】
位相の関係の変化(位相差の変化)に対応し、印刷を行うごとに色ずれ補正を行い、トナー像の書出位置の調整を行うことは印刷開始までの待ち時間が長くなり、現実的ではない。そこで、本実施形態の複合機100では、まず、主電源投入時での第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の位相の関係(位相差)で色ずれ補正を行う。
【0061】
そして、複合機100の主電源が投入されている間、印刷を行う際の第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の位相差を調整し(位相差の調整の詳細は後述)、主電源投入時の位相差で保つ。これにより、印刷のとき、色ずれが解消された状態を維持することができる。
【0062】
そこで、まず、図5及び図6を用いて、主電源投入時の自動色ずれ補正の一例を説明する。尚、本説明では、第1ポリゴンミラー5Aを用いて形成されるブラックの画像を基準とし、第2ポリゴンミラー5Bを用いて形成されるシアンの画像の副走査方向の色ずれ(位置ずれ)を補正する例を説明する。又、本体制御部10が色ずれ補正での処理や演算を行う例を説明するが、露光制御部20が色ずれ補正での処理や演算を行ってもよい。
【0063】
まず、本実施形態の複合機100では、内部に濃度センサ39が設けられる。濃度センサ39は、例えば、反射型光センサである。濃度センサ39の設置位置は、適宜定められるが、例えば、ブラックの画像形成ユニット15Bkと2次転写ローラ35の間に設けることができる。そして、濃度センサ39は、中間転写ベルト32表面を読み取る。そして、濃度センサ39の出力は本体制御部10や露光制御部20等に出力される。
【0064】
主電源投入時の自動色ずれ補正では、パターン画像Pが形成される。例えば、パターン画像Pは、ブラックのラインLBkと、シアンのラインLCを含む。尚、パターン画像Pには、実際には、イエローやマゼンタのラインが含まれ、シアンと同様に、ブラックを基準としてイエローやマゼンタについても色ずれ補正がなされる。実際に、色ずれ補正を行う際、露光制御部20は、第1ポリゴンモータ6Aと第2ポリゴンモータ6Bを回転させ画像形成用の速度で安定させる。そして、本体制御部10や露光制御部20は、第1ポリゴンミラー5Aと第2ポリゴンミラー5Bを用いて、ブラックのラインLBkと、シアンのラインLCが予め定められた間隔となるように各ラインを形成させる。尚、パターン画像Pは、複数個形成されてもよい。
【0065】
形成されたパターン画像Pは、中間転写ベルト32の周回により、濃度センサ39の読み取り領域を通過する。言い換えると、パターン画像Pは、濃度センサ39の読み取り領域を通過する位置に形成される。そして、濃度センサ39は、ラインの通過を検知する。言い換えると、ラインの通過に伴って濃度センサ39の出力は変化するところ、本体制御部10は、濃度センサ39の出力変化によりラインの通過を認識する。
【0066】
ここで、中間転写ベルト32の周回速度は、予め定められる。一方で、本体制御部10は、濃度センサ39の出力に基づき、ブラックのラインLBkを検知してからシアンのラインLCを検知するまでの時間的間隔を把握できる。そこで、本体制御部10は、例えば、時間的間隔に中間転写ベルト32の周回速度を乗じ、ブラックのラインLBkとシアンのラインLCの間隔を求める。
【0067】
そして、本体制御部10は、ブラックのラインLBkとシアンのラインLCの間隔が、形成しようとした理想的な間隔とのずれ量を求める。このずれは、第1ポリゴンミラー5Aを用いて形成した画像と、第2ポリゴンミラー5Bを用いて形成したトナー像を重ね合わせたときのずれといえる。例えば、ブラックのラインLBkとシアンのラインLCの間隔が、理想的な間隔よりも狭ければ、露光制御部20は、シアンの1ページの先頭ラインの書き出しタイミングを遅らせて、シアンの書出位置(書出開始位置)を補正する。例えば、ブラックのラインLBkとシアンのラインLCの間隔が、理想的な間隔よりも広ければ露光制御部20は、例えば、シアンの1ページの先頭ラインの書き出しタイミングを早め、シアンの書出位置(書出開始位置)を補正する。尚、イエローやマゼンタに関しても同様に補正される。
【0068】
例えば、各画像形成ユニット15の位置により、ブラックの画像形成ユニット15Bkでの露光(書き出し)開始から、どれくらい経過すれば、他色の画像形成ユニット15で露光(書き出し)開始を行うかの待ち時間を決めておく。そこで、露光制御部20は、パターン画像の読み取り結果に基づき、待ち時間を調整し(増減し)、調整された待ち時間だけ待った後、画像信号に基づき、1ページの先頭ラインからの各半導体レーザ装置4の点灯を開始させる。これにより、副走査方向での色ずれの補正を行える。
【0069】
尚、画像データに基づく各半導体レーザ装置4の各ラインの書き出しタイミングは、対応する受光部7の出力変化を基準に定められる。例えば、レーザ光の入射による各受光部7の出力変化があった後、露光制御部20や本体制御部10が予め定められた時間をカウントダウンする。その後、露光制御部20は、各ラインの先頭ドットからの走査、露光を開始させる。
【0070】
ここで、上述したように、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の位相差は、パターン画像Pを形成した時(主電源投入後、最初に各ポリゴンモータが回転された際)の位相差で、複合機100の主電源が投入されている間、維持される。
【0071】
説明のため、図6の上段に、基準となるブラックの画像を形成する半導体レーザ装置4Bkの受光部7Bkの出力信号である第1ビーム検知信号BD1の波形の一例を示す。又、シアンの画像を形成する半導体レーザ装置4Cの受光部7Bkの出力信号である第2ビーム検知信号BD2の波形の一例を図6の下段に示す。
【0072】
図6に示すように、本実施形態の各受光部7は、ビームが入射されると、Lowを出力し、ビームが入射されない状態では、Highを出力する。そして、例えば、図6に示すように、パターン画像P形成時の第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2とは、位相差θ0だけずれているとする。この位相差θ0は、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の位相差を示す。又、この位相差θ0は、複合機100が主電源投入されている間維持される。言い換えると、位相差θ0を維持しておけば、色ずれ補正が効いた状態が維持される。
【0073】
そこで、露光装置2内に設けられるカウンタ24や、露光制御部20や、本体制御部10を用いて、位相差θ0が把握される。そして、把握された位相差θ0は、予め定められた位相差θ0として露光装置2のメモリ25や記憶部10Bに設定用の値(設定データ)として記憶される。即ち、複合機100は、主電源投入時に、色ずれ補正のためのパターン画像Pを形成した際の、第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差を、予め定められた位相差θ0として記憶するメモリ25(若しくは、記憶部10B)を有する。
【0074】
そして、主電源投入後、いったん各ポリゴンモータ6が停止された後、再び各ポリゴンモータ6を回転させて印刷する際(2回目以降の各ポリゴンモータの回転の際)、第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差が位相差θ0となるように、第1ポリゴンモータ6Aと第2ポリゴンモータ6Bの回転は調整される(詳細は後述)。
【0075】
(位相のずれ)
次に、図7を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相のずれの一例を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る複合機100での第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相のずれの一例を示すタイミングチャートである。
【0076】
まず、図7における最上段のタイミングチャートは第1ビーム検知信号BD1を示し、中段のタイミングチャートは、色ずれ補正処理でメモリ25等に記憶された最適な位相差θ0(予め定められた位相差θ0)である状態の際の第2ビーム検知信号BD2を示す。
【0077】
尚、画像形成の際の各ポリゴンモータ6は、第1ビーム検知信号BD1の周期T1と第2ビーム検知信号BD2の周期T2が同じとなるように定常回転される。言い換えると、感光体ドラム16の走査、露光を行う状態では、第1信号生成部8Aと第2信号生成部8Bは、第1ポリゴンモータ6Aと第2ポリゴンモータ6Bを同じ速度で回転させる。
【0078】
ここで、感光体ドラム16の露光のため、各ポリゴンモータ6の回転速度を感光体ドラム16を走査、露光する定常回転速度まで上げた際、図7の最下段のタイミングチャートに示すように、第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の一例であるBD2’位相差は、予め定められた位相差θ0となっていないことがある。図7の最下段のタイミングチャートでの第2ビーム検知信号BD2'は、予め定められた位相差θ0よりも遅れた位相となっている。
【0079】
例えば、白黒画像の形成では、第1ポリゴンモータ6Aのみ回転される。又、カラー画像の形成でも、必ずしも、位相差を維持したまま各ポリゴンモータ6が停止するわけではない。このように、停止した際、第1ポリゴンミラー5Aと第2ポリゴンミラー5Bの位相差が、予め定められた位相差θ0で保たれる保証はない。例えば、位相差は、ポリゴンモータ6の極数と、ポリゴンミラー5の面数によって離散的に定まるところ、位相差θ0の状態とは、異なるパターンの状態で各ポリゴンモータ6が停止してしまうことがある。
【0080】
そのため、画像形成の際には、第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差があらかじめ定められた位相差θ0となるように、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の回転角度を調整する必要がある。
【0081】
(各ポリゴンモータ6の回転と位相調整のための構成)
次に、図8を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での各ポリゴンモータ6の回転と位相調整のための構成の一例を説明する。図8は、各ポリゴンモータ6の回転と位相調整のための構成を備えた露光装置2の一例を示すブロック図である。
【0082】
本実施形態の複合機100の露光装置2は、第1ポリゴンモータ6Aを回転させる第1信号生成部8Aと第2ポリゴンモータ6Bを回転させる第2信号生成部8Bを含む。
【0083】
第1信号生成部8Aは、第1クロック信号CLK1(第1駆動信号に相当)を発するVCO81(voltage controlled oscillator)と、VCO81が発する信号の周波数を制御するための電圧(制御電圧)をVCO81に入力するDAC83(digital to analog converter)を含む。
【0084】
VCO81は第1クロック信号CLK1(第1駆動信号に相当)を発し、第1ポリゴンモータ6Aに与える。例えば、第1ポリゴンモータ6Aはパルスモータであり、第1クロック信号CLK1の周波数に応じて回転する。例えば、第1クロック信号CLK1の周波数が高くなれば、第1ポリゴンモータ6Aの回転速度は速くなる。そして、画像形成の際、第1ポリゴンモータ6Aは、VCO81からのクロック信号供給により、回転を開始し、その後、VCO81は、第1ポリゴンモータ6Aを仕様上、予め定められた速度で回転させる(定常回転速度)。
【0085】
又、第2信号生成部8Bは、第2クロック信号CLK2を発するクロック発生器82を有する。クロック発生器82には、例えば、PLLなどを用いることができる。クロック発生器82は、第2ポリゴンモータ6Bに第2クロック信号CLK2を与える。そのため、例えば、第2ポリゴンモータ6Bもパルスモータで構成でき、第2クロック信号CLK2の周波数に応じて回転する。そして、画像形成の際、第2ポリゴンモータ6Bは、クロック発生器82からのクロック信号供給により、回転を開始し、その後、クロック発生器82は、第2ポリゴンモータ6Bを仕様上、予め定められた速度で回転させる(定常回転速度)。例えば、第1ポリゴンモータ6Aと第2ポリゴンモータ6Bは同じ速度で回転する。このように、第1信号生成部8Aは、第1駆動信号としてクロック信号を生成し、第2信号生成部8Bは、第2駆動信号としてクロック信号を生成する
【0086】
そして、第1信号生成部8Aや第1ポリゴンモータ6Aに対し、第1補正信号生成部9Aが設けられる。第1補正信号生成部9Aは、コントローラ91や分周器92を有する。そして、第1補正信号生成部9Aは、第1ポリゴンミラー5Aを用いるブラックの半導体レーザ装置4Bkからのビームを受ける受光部7Bkが生ずる第1ビーム検知信号BD1の入力を受ける。そして、第1補正信号生成部9Aは、VCO81が発生させる第1クロック信号CLK1を利用して、第1ビーム検知信号BD1に同期する第1補正信号S1を生成する。
【0087】
例えば、第1補正信号生成部9Aは、第1クロック信号CLK1を分周して周波数を落とす分周器92を含む。例えば、分周器92はプログラマブルカウンタや分周回路で構成できる。そして、本実施形態の分周器92は、第1ビーム検知信号BD1の立ち下がりと(ほぼ)同じ時点に立ち下がる第1補正信号S1を生成する(図9参照)。尚、分周器92は、第1ビーム検知信号BD1の立ちあがりと(ほぼ)同じ時点に立ち下がるように第1補正信号S1を生成してもよい。又、分周器92は、第1ビーム検知信号BD1の立ち上がり又は立ち下がりと(ほぼ)同じ時点にあわせ、立ちあがる第1補正信号S1を生成してもよい。このように、分周器92は、第1ビーム検知信号BD1と同じ周期で第1ビーム検知信号BD1の変化にあわせて変化する波形を含むような、言い換えると、第1ビーム検知信号BD1の位相を把握できる第1補正信号S1を生成する。尚、本実施形態では、第1補正信号S1の立ち上がりは、第1ビーム検知信号BD1の立ち上がりと同期しない。そして、第1補正信号S1はカウンタ24(位相差検知部に相当)に入力される。
【0088】
一方、第2信号生成部8Bや第2ポリゴンモータ6Bに対し、第2補正信号生成部9Bが設けられる。第2補正信号生成部9Bも、コントローラ93や分周器94を有する。そして、第2補正信号生成部9Bは、例えば、第2ポリゴンミラー5Bを用いるシアンの半導体レーザ装置4Cからのビームを受ける受光部7Cが生ずる第2ビーム検知信号BD2の入力を受ける。そして、第2補正信号生成部9Bは、クロック発生器82が生じさせる第2クロック信号CLK2を利用して、第2ビーム検知信号BD2に同期する第2補正信号S2を生成する。
【0089】
例えば、第2補正信号生成部9Bは、第2クロック信号CLK2を分周して周波数を落とす分周器94を含む。例えば、分周器94は、プログラマブルカウンタや分周回路で構成できる。そして、本実施形態の分周器94は、第2ビーム検知信号BD2の立ち下がりと(ほぼ)同じ時点に立ち下がる第2補正信号S2を生成する(図9参照)。尚、分周器94は、第2ビーム検知信号BD2の立ちあがりと(ほぼ)同じ時点に立ち下がるように第2補正信号S2を生成してもよい。又、分周器94は、第2ビーム検知信号BD2の立ち上がり又は立ち下がりと(ほぼ)同じ時点にあわせ、立ちあがる第2補正信号S2を生成してもよい。このように、分周器94は、第2ビーム検知信号BD2と同じ周期で第2ビーム検知信号BD2の変化にあわせて変化する波形を含むような、言い換えると、第2ビーム検知信号BD2の位相を把握できる第2補正信号S2を生成する。尚、本実施形態では、第2補正信号S2の立ち上がりは、第2ビーム検知信号BD2の立ち上がりと同期しない。そして、第2補正信号S2もカウンタ24に入力される。
【0090】
このように、第1補正信号S1は、第1ビーム検知信号BD1と周期T1が等しく、信号の立ち下がり(立ち上がりでもよい)で同期する。又、第2補正信号S2は、第2ビーム検知信号BD2と周期T2が等しく、信号の立ち下がり(立ち上がりでもよい)で同期する。従って、第1補正信号S1と第2補正信号S2を比較することで、第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差を測定することができる。
【0091】
尚、第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2に関し、受光部7Bkや受光部7Cについては、同じ時間、同じように、ビームを照射しても、High又はLowを出力する時間が変動する場合がある。これは、各受光部7の受ビーム素子の個体差などが要因と考えられる。そこで、よりよく、第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差を予め定められた位相差θ0とし、色ずれを解消するため、安定した第1補正信号S1と第2補正信号S2を生成し、第1補正信号S1と第2補正信号S2で位相差を比較する。そのため、例えば、第1補正信号生成部9Aは、第1ビーム検知信号BD1よりもデューティ比を50%に近づけた第1補正信号S1を生成する。又、第2補正信号生成部9Bは、第2ビーム検知信号BD2よりもデューティ比を50%に近づけた第2補正信号S2を生成する。
【0092】
そして、露光装置2には、例えば、カウンタ24(位相差検知部に相当)が設けられる。カウンタ24は、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相を比較するためのものである。そのため、カウンタ24ではなく、位相差を検知可能な他種の回路を位相差検知部として設けてもよい。そして、カウンタ24には、露光制御部20やメモリ25から予め定められた位相差θ0が与えられる。そして、カウンタ24は、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差をカウントする。又、カウンタ24は、例えば、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差と予め定められた位相差θ0との差を求める。
【0093】
例えば、第1補正信号S1が、第2補正信号S2に対し、予め定められた位相差θ0よりも進んでいれば、カウンタ24は、第1信号生成部8AのVCO81(DAC83)に対し、第1クロック信号CLK1の周波数を落とすべき旨の指示を与える。一方、第1補正信号S1が、第2補正信号S2に対し、予め定められた位相差θ0よりも遅れていれば、カウンタ24は、第1信号生成部8AのVCO81(DAC83)に対し、クロック信号の周波数を高めるべき旨の指示を与える。又、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差と予め定められた位相差θ0の差の絶対値が大きいほど、VCO81による周波数の変化が大きくなるように、カウンタ24は、指示を与える。例えば、カウンタ24からは、ディジタルデータとして指示が出力され、DAC83はディジタルデータをアナログ電圧に変換し、制御電圧としてVCO81に与える。
【0094】
これにより、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差(第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差)は、予め定められた位相差θ0に近づく。そして、予め定められた位相差θ0に近づけてから、感光体ドラム16の走査・露光が行われれば、副走査方向で色ずれのないトナー像が形成されることになる。
【0095】
(位相調整)
次に、図9を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での各ポリゴンモータ6(各ポリゴンミラー5)の位相調整を説明する。図9は、本発明の実施形態に係る複合機100での各ポリゴンモータ6(各ポリゴンミラー5)の位相調整の一例を示すタイミングチャートである。
【0096】
まず、図9のうち、上段の4本のタイミングチャートは、位相調整前のタイミングチャートである。上段の4本のタイミングチャートのうち、1段目は、第1ビーム検知信号BD1、2段目は第1補正信号S1、3段目は第2ビーム検知信号BD2、4段目は第2補正信号S2の一例を示す。
【0097】
ここで、上述した構成により、第1補正信号S1は、第1ビーム検知信号BD1と同期して立ち下がり(同じタイミングで立ち下がり)、第2補正信号S2は第2ビーム検知信号BD2と同期して立ち下がる(同じタイミングで立ち下がる)。そして、図9の上段では、第1補正信号S1と第2補正信号S2との位相差(第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差)は、予め定められた位相差θ0+位相差θαであり、予め定められた位相差θ0よりも、第2補正信号S2が遅れている例を示している。
【0098】
そして、第1補正信号S1と第2補正信号S2との位相差が、予め定められた位相差θ0となるように、カウンタ24が位相差を比較し、第1信号生成部8Aが第1クロック信号CLK1の周波数を変える。その結果、図9の下段の4本のタイミングチャートに示すように、第1補正信号S1(第1ビーム検知信号BD1)と、第2補正信号S2(第2ビーム検知信号BD2)との位相差が、予め定められた位相差θ0となる。
【0099】
尚、図9での下段の4本のタイミングチャートは、位相調整後のタイミングチャートである。下段の4本のタイミングチャートのうち、1段目は、第1ビーム検知信号BD1、2段目は第1補正信号S1、3段目は第2ビーム検知信号BD2、4段目は第2補正信号S2の一例を示す。このように、半導体レーザ装置4の1ライン分の走査時間という短い時間毎に、フィードバックが行われるので、迅速に位相差の調整が行われる。
【0100】
(位相調整制御)
次に、図10を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での位相調整制御の流れの一例を説明する。図10は、本発明の実施形態に係る複合機100での位相調整制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0101】
まず、図10のスタートは、複合機100がコピーとして用いられる場合や、プリンタとして用いられる場合など、印刷を開始する時点である。
【0102】
次に、露光制御部20は、本体制御部10の指示を受け、第1信号生成部8Aと第2信号生成部8Bにクロック信号を生成させ、各ポリゴンモータ6を回転させる(ステップ♯1)。そして、露光制御部20は、例えば、第1ポリゴンミラー5Aを用いる半導体レーザ装置4Bkを発光させ、第2ポリゴンミラー5Bを用いる半導体レーザ装置4Cを発光させ、半導体レーザ装置4Bkのビームを受ける受光部7Bkや、第2ポリゴンミラー5Bを用いる半導体レーザ装置4Cのビームを受ける受光部7Cの出力を確認し、第1ポリゴンモータ6Aと第2ポリゴンモータ6Bが定常回転速度まで回転速度が高まったことを確認する(ステップ♯2)。
【0103】
尚、半導体レーザ装置4Bkに変えてイエロー用の半導体レーザ装置4Yと受光部7Yが用いられてもよい。又、半導体レーザ装置4Cに変えてマゼンタ用の半導体レーザ装置4Mと受光部7Mが用いられてもよい。
【0104】
次に、露光制御部20は、第1信号生成部8A、第2信号生成部8B、第1補正信号生成部9Aや第2補正信号生成部9Bによる位相調整を開始させ、第1補正信号生成部9Aや第2補正信号生成部9Bによって、補正信号が生成される(ステップ♯3)。そして、カウンタ24は、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差と予め定められた位相差θ0との差が予め定められた範囲内に収まっているかを確認する(ステップ♯4)。
【0105】
尚、予め定められた範囲とは、予め定められた位相差θ0との差の許容範囲である。第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差と、予め定められた位相差θ0とのずれは、微少な範囲で揺れ動く場合がある。そこで、許容範囲を定め、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差と、予め定められた位相差θ0とのずれはないと見なしてよい範囲が定められる。
【0106】
もし、予め定められた範囲内に収まらなければ(ステップ♯4のNo)、カウンタ24は、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差と予め定められた位相差θ0との差がなくなるように、第1信号生成部8AのVCO81に指示を与える。言い換えると、カウンタ24は、位相調整のための指示をディジタルデータで出す(ステップ♯5)。そして、DAC83は、カウンタ24からの位相調整指示をアナログ電圧に変換し、VCO81に入力する(ステップ♯6)。その結果、第1信号生成部8Aで生成されるクロック信号の周波数が変更され、第1補正信号S1(第1ビーム検知信号BD1)と、第2補正信号S2(第2ビーム検知信号BD2)の位相差が近づくことになる(ステップ♯7)。その後、ステップ♯4に戻る。
【0107】
即ち、本発明の画像形成装置(例えば、複合機100)は、第1信号生成部8Aが生成する第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)が入力され、第1駆動信号の周波数で回転速度が変化し、第1ポリゴンミラー5Aを回転させる第1ポリゴンモータ6Aと、第1ポリゴンミラー5Aにビームを照射する第1発光部(例えば、半導体レーザ装置4Bk)と、第1発光部(例えば、半導体レーザ装置4Bk)からのビームを第1ポリゴンミラー5Aで反射させて行われる走査の走査経路に配され、走査ビームが入射されると立ち上がる又は立ち下がる第1ビーム検知信号BD1を出力する第1受光部(例えば、受光部7Bk)と、第1駆動信号を処理し、第1ビーム検知信号BD1と同じ周期で、第1ビーム検知信号BD1の立ち上がり又は立ち下がりにあわせて変化する第1補正信号S1を生成する第1補正信号生成部9Aと、第2信号生成部8Bが生成する第2駆動信号(第2クロック信号CLK2)に基づき、第2ポリゴンミラー5Bを回転させる第2ポリゴンモータ6Bと、第2ポリゴンミラー5Bにビームを照射する第2発光部(例えば、半導体レーザ装置4C)と、第2発光部(例えば、半導体レーザ装置4C)からのビームを第2ポリゴンミラー5Bで反射させて行われる走査の走査経路に配され、走査ビームが入射されると立ち上がる又は立ち下がる第2ビーム検知信号BD2を出力する第2受光部(例えば、受光部7C)と、第2駆動信号を処理し、第2ビーム検知信号BD2と同じ周期で、第2ビーム検知信号BD2の立ち上がり又は立ち下がりにあわせて変化する第2補正信号S2を生成する第2補正信号生成部9Bと、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差を検知する位相差検知部(カウンタ24)と、を備え、第1信号生成部8Aは、位相差検知部が検出した位相差に基づき、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差が、予め定められた位相差θ0となるように第1駆動信号の周波数を変化させる。
【0108】
もし、予め定められた範囲内に収まれば(ステップ♯4のYes)、カウンタ24は、範囲内に収まった回数が所定回数に達したかを確認する(ステップ♯8)。言い換えると、カウンタ24は、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差が予め定められた位相差θ0で安定したかを確認する。尚、回数ではなく、最初に予め定められた範囲内に収まったことが確認されてから所定時間経過したか否かを確認するようにしてもよい。この場合、位相差が範囲内に所定時間の間、連続して収まることが条件となる。
【0109】
即ち、第1信号生成部8Aは、位相差検知部(カウンタ24)が検出した位相差と予め定められた位相差θ0との差が、所定回数、又は、所定時間、予め定められた範囲内に収まった場合、第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を固定する。
【0110】
尚、予め定められた範囲内に収まったことを検知するごとに、カウンタ24から露光制御部20や第1信号生成部8Aに範囲内に収まったことを通知し、範囲内に収まった回数が所定回数に達したかを露光制御部20や第1信号生成部8Aがカウントしてもよい。又、所定回数は、任意に定めることができ、例えば、数十回〜数百回とすることができる。所定回数が多いほど、位相差の調整精度は、高くなる。
【0111】
もし、所定回数に達していなければ(ステップ♯8のNo)、例えば、ステップ♯5に移行すればよい。一方、所定回数に達していれば、第1信号生成部8Aは、第1クロック信号CLK1の周波数を固定する(ステップ♯9)。周波数固定の指示をカウンタ24や露光制御部20が第1信号生成部8Aに与えてもよいし、第1信号生成部8Aが周波数を固定すべきと自ら判断してもよい。
【0112】
このとき、第1クロック信号CLK1のフィードバック制御により、第1クロック信号CLK1と第2クロック信号CLK2の周波数は(ほぼ)等しく成っている。一方で、第2クロック信号CLK2の周波数は、決まっている場合がある。そこで、第2クロック信号CLK2の周波数が決まっている場合、第1信号生成部8Aは、第1クロック信号CLK1の周波数を第2クロック信号CLK2の周波数と同じ周波数でロックしてもよい。
【0113】
これにより、トナー像形成において、色ずれを防止するうえで、第1ポリゴンミラー5A(第1ポリゴンモータ6A)と第2ポリゴンミラー5B(第2ポリゴンモータ6B)の位相差が、最適な位相差(予め定められた位相差θ0)で維持される。これにより、確実に色ずれの発生が抑えられる。
【0114】
その後、本体制御部10は、給紙部1A、搬送路1B、画像形成部1C、中間転写部3A、定着部3B等を動作させ、露光装置2は1ページ分の画像データの走査、露光を行う(ステップ♯10)。これにより印刷が行われる。即ち、第1信号生成部8Aは、画像データに基づく走査対象の走査、露光が行われない時間帯でのみ、第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を変化させる。具体的には、第1信号生成部8Aは、走査対象に対する画像データに基づく走査、露光が開始される前に第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を変化させる。そして、露光装置2は、本体制御部10に対し、まだ、画像データに基づく感光体ドラム16の走査、露光をすべきか、言い換えると、印刷ジョブがまだあるかを確認する(ステップ♯11)。
【0115】
もし、印刷ジョブがあれば(ステップ♯11のYes)、ステップ♯3に戻る。即ち、第1信号生成部8Aは、連続的な印刷において、走査対象に対する1ページ分の画像データに基づく走査、露光が停止し、その後、再開される前でのみ第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を変化させる。これにより、画像データに基づく走査、露光中に、予め定められた位相差θ0からのずれが生じても、用紙と用紙の印刷の紙間で再調整を行うことができる。尚、紙間での位相調整では、予め定められた位相差θ0から大きくずれていることは考えにくいので、ステップ♯8での所定回数を、1枚目の印刷のため各を回転させ始めた場合に比べ少なくしてもよい。
【0116】
一方、印刷ジョブがなければ(ステップ♯11のNo)、例えば、露光制御部20は、第1信号生成部8Aと第2信号生成部8Bにクロック信号生成を停止させ、第1ポリゴンモータ6A、第2ポリゴンモータ6Bを停止させるといった印刷終了のための処理が行われ、本制御は終了する(エンド)。
【0117】
このようにして、第1信号生成部8Aは、位相差検知部(カウンタ24)が検出した位相差に基づき、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差が、予め定められた位相差θ0となるように第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を変化させる。そして、第1補正信号S1は第1ビーム検知信号BD1の立ち下がりなどの変化に同期して変化し、第2補正信号S2は、第2ビーム検知信号BD2の立ち下がりなどの変化に同期する。これにより、第1補正信号S1と第2補正信号S2の位相差は、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の位相差を示すことなる。従って、位相を調整するうえで、像担持体やポリゴンモータ6回転速度検知用のセンサは不要であり、又、第1補正信号S1及び第2補正信号S2は、第1駆動信号と第2駆動信号(第2クロック信号CLK2)を処理して(加工して)生成されるので、第1補正信号S1及び第2補正信号S2の信号源は、ポリゴンモータ6回転用の信号源と共用される。従って、位相調整のための構成を安価にすますことができる。又、像担持体の回転速度に基づかず、像担持体よりも高速回転するポリゴンモータ6(ポリゴンミラー5)によって生成される第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2に同期する第1補正信号S1と第2補正信号S2に基づき、位相差が調整されるから、予め定められた位相差θ0となるように、素早く調整することができる。
【0118】
又、第1信号生成部8Aは、位相差検知部(カウンタ24)が検出した位相差と予め定められた位相差θ0との差が、所定回数、又は、所定時間、予め定められた範囲内に収まった場合、第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を固定する。これにより、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の位相差の調整が終わると、第1駆動信号が安定する。従って、色ずれが解消された状態で、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)の回転速度が安定し、色ずれの発生をより防ぐことができる。
【0119】
又、第1信号生成部8Aは、画像データに基づく走査対象の走査、露光が行われない時間帯でのみ、第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を変化させる。これにより、静電潜像の形成や現像が行われている状態で、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)の回転速度が変動することがなくなる。従って、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)の回転速度変動に起因する画像での色ずれの発生はない。又、第1信号生成部8Aは、走査対象に対する画像データに基づく走査、露光が開始される前でのみ第1駆動信号の周波数を変化させる。これにより、各ポリゴンモータ6(各ポリゴンミラー5)が停止状態から回転させる時に、位相差の調整が行われる。従って、実際に静電潜像の形成や現像が行われる時には、各ポリゴンモータ6の位相差が調整された状態となっており、色ずれを確実に防止することができる。しかも、画像データに基づく走査、露光中は、各ポリゴンモータ6(各ポリゴンミラー5)の回転速度は変動せず、位相差が調整された状態が維持される。
【0120】
又、第1信号生成部8Aは、連続的な印刷において、走査対象に対する画像データに基づく走査、露光が停止し、その後、再開される前でのみ第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)の周波数を変化させる。これにより、連続的な印刷で、印刷に用いる用紙と用紙の紙間で、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(ポリゴンミラー5)の位相差の調整を行うこともできる。又、第1信号生成部8Aは、第1駆動信号(第1クロック信号CLK1)としてクロック信号を生成し、第2信号生成部8Bは、第2駆動信号(第2クロック信号CLK2)としてクロック信号を生成する。尚、本発明の好適な一例である。
【0121】
又、パターン画像Pを形成し、色ずれ補正が行われたときの位相差が、予め定められた位相差θ0として、主電源が投入されている間、保持される。そして、印刷が行われるごとに、第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)と第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)の(回転角の)位相差がメモリに記憶された位相差に対応するように調整される。これにより、主電源投入時の色ずれ補正の効果が保たれ、各回の印刷において、色ずれの発生を防ぐことができる。
【0122】
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、露光装置2に2つのポリゴンモータ6が設けられ、2つの半導体レーザ装置4が1つのポリゴンミラー5を共有する例を説明した。しかし、本発明は、1つの半導体レーザ装置4に対し、それぞれ1つのポリゴンモータ6が設けられる場合にも適用できる。この場合、基準となる(例えば、ブラック用)ポリゴンモータ6(ポリゴンミラー5)を第2ポリゴンモータ6B(第2ポリゴンミラー5B)とし、その他のポリゴンモータ6(ポリゴンミラー5)を第1ポリゴンモータ6A(第1ポリゴンミラー5A)とする。これにより、基準となるポリゴンモータ6に対し、その他のポリゴンモータ6を予め定められた位相差θ0で回転させることができる。
【0123】
又、上記の説明では、予め定められた位相差θ0を主電源投入時の色ずれ補正における第1ビーム検知信号BD1と第2ビーム検知信号BD2の位相差とした。この場合、予め定められた位相差θ0は、主電源投入ごとに変化するものとなるが、予め定められた位相差θ0を固定値としてもよい。この場合、固定値としての予め定められた位相差θ0に調整したうえで、主電源投入の色ずれ補正が行われてもよい。
【0124】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、露光を行って画像を形成する画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0126】
2 露光装置 24 カウンタ(位相差検知部)
4 半導体レーザ装置
4Bk 半導体レーザ装置(ブラック用、第1発光部)
4C 半導体レーザ装置(シアン用、第2発光部)
4Y 半導体レーザ装置(イエロー用) 4M 半導体レーザ装置(マゼンタ用)
5 ポリゴンミラー 5A 第1ポリゴンミラー
5B 第2ポリゴンミラー 6 ポリゴンモータ
6A 第1ポリゴンモータ 6B 第2ポリゴンモータ
7 受光部 7Bk 受光部(ブラック用、第1受光部)
7Y 受光部(イエロー用) 7C 受光部(シアン用、第2受光部)
7M 受光部(マゼンタ用) 8A 第1信号生成部
8B 第2信号生成部 9B 第2補正信号生成部
9A 第1補正信号生成部 100 複合機(画像形成装置)
BD1 第1ビーム検知信号 BD2 第2ビーム検知信号
S1 第1補正信号 S2 第2補正信号
CLK1 第1クロック信号(第1駆動信号)
CLK2 第2クロック信号(第2駆動信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号生成部が生成する第1駆動信号が入力され、前記第1駆動信号の周波数で回転速度が変化し、第1ポリゴンミラーを回転させる第1ポリゴンモータと、
前記第1ポリゴンミラーにビームを照射する第1発光部と、
前記第1発光部からのビームを前記第1ポリゴンミラーで反射させて行われる走査の走査経路に配され、走査ビームが入射されると立ち上がる又は立ち下がる第1ビーム検知信号を出力する第1受光部と、
前記第1駆動信号を処理し、前記第1ビーム検知信号と同じ周期で、前記第1ビーム検知信号の立ち上がり又は立ち下がりにあわせて変化する第1補正信号を生成する第1補正信号生成部と、
第2信号生成部が生成する第2駆動信号に基づき、第2ポリゴンミラーを回転させる第2ポリゴンモータと、
前記第2ポリゴンミラーにビームを照射する第2発光部と、
前記第2発光部からのビームを前記第2ポリゴンミラーで反射させて行われる走査の走査経路に配され、走査ビームが入射されると立ち上がる又は立ち下がる第2ビーム検知信号を出力する第2受光部と、
前記第2駆動信号を処理し、前記第2ビーム検知信号と同じ周期で、前記第2ビーム検知信号の立ち上がり又は立ち下がりにあわせて変化する第2補正信号を生成する第2補正信号生成部と、
前記第1補正信号と前記第2補正信号の位相差を検知する位相差検知部と、を備え、
前記第1信号生成部は、前記位相差検知部が検出した位相差に基づき、前記第1補正信号と前記第2補正信号の位相差が、予め定められた位相差となるように前記第1駆動信号の周波数を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1信号生成部は、前記位相差検知部が検出した位相差と予め定められた位相差との差が、所定回数、又は、所定時間、予め定められた範囲内に収まった場合、第1駆動信号の周波数を固定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1信号生成部は、画像データに基づく前記走査対象の走査、露光が行われない時間帯でのみ、第1駆動信号の周波数を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1信号生成部は、前記走査対象に対する画像データに基づく走査、露光が開始される前に第1駆動信号の周波数を変化させることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1信号生成部は、連続的な印刷において、前記走査対象に対する1ページ分の画像データに基づく走査、露光が停止し、その後、再開される前でのみ第1駆動信号の周波数を変化させることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1信号生成部は、第1駆動信号としてクロック信号を生成し、
前記第2信号生成部は、第2駆動信号としてクロック信号を生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
主電源投入時に、色ずれ補正のためのパターン画像を形成した際の、第1ビーム検知信号と第2ビーム検知信号の位相差を、予め定められた位相差として記憶するメモリを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−53398(P2012−53398A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197756(P2010−197756)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】