説明

画像形成装置

【課題】像担持体や移動体上の残留トナーを回収するための特別な手段を有さず、それら残留トナーをブラックのトナー供給容器に回収する画像形成装置において、ジャムやミスプリントなどが発生した際に発生した大量のトナーすべてをブラックの現像器内のトナー供給容器に回収させると、画像形成時のブラックの色味変動を引き起こす可能性が高い。
【解決手段】ジャムやミスプリント処理後、画像情報のビデオカウント結果から、移動体上のトナー量情報を読み取り、単色トナーのみが存在する領域に存在する残留トナーは、その単色トナーの現像器に回収させ、それ以外の領域に存在するトナーはブラックの現像器に回収させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザープリンター、複写機、ファクシミリなどの電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、複数の像担持体から移動体上または移動体に担持された転写材にトナー像を転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置では、一般に、像担持体上に残留したトナー(残留トナー)を回収するための回収容器を必要とする。また、複数の像担持体に形成したトナー像を移動体上または移動体に担持された転写材上に転写するインライン(タンデム)型の画像形成装置では、一般に、像担持体上や移動体上の残留トナーを回収するために回収容器を必要とする。
【0003】
ブラックのトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成装置では、像担持体上や移動体上の残留トナーを、現像器に回収し、画像形成動作において再利用させる方式が広く知られている。一方、複数色のトナーを用いて例えばフルカラー画像を形成するカラー画像形成装置では、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが用いられ、色毎に現像器が設けられている。このようなカラー画像形成装置では、像担持体上や移動体上の残留トナーは、複数色のトナーが混在した状態で存在することになる。このような複数色が混在した残留トナーを特定の現像器に回収すると、混色が発生し、画像形成を行った際に色味が変動してしまう問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、移動体上の複数色が混在した残留トナーをブラックの現像器に回収する方式が開示されている。これは、イエロー、マゼンタ、シアンが混色すると、ブラックを発色するという特徴を利用したものである。
【0005】
さらに、特許文献2には、移動体上に形成した単色のトナーからなる画像濃度検知用のトナー像(パッチ)を、それぞれの色の現像器に回収する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−279474号公報
【特許文献2】特開2001−324855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、ジャムやミスプリントなどが発生した際には、大量のトナーが像担持体上や移動体上に残留する。なお、ジャムとは、転写材の搬送不良によって画像形成装置の動作が停止し、転写材が画像形成装置内に滞留した状態のことを言う。また、ミスプリントとは、形成された画像のサイズと転写材のサイズの不適合や画像形成タイミングと転写材の搬送タイミングのズレなどの理由で画像形成動作が停止し、像担持体上や移動体上にトナーが残留してしまった状態のことを言う。
【0008】
このような状態で、すべてのトナーをブラックの現像器に回収すると、結果として、画像形成時のブラック色味変動を引き起こす可能性が高い。また、ジャムやミスプリントなどでは、画像濃度検知時に形成するパッチと異なり、単色のトナーのみで形成されている訳ではないため、それぞれの色の現像器に回収するとことは通常困難である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ジャムやミスプリントなどが発生した際にも、トナーの混色による色味変動を抑制しつつ、残留トナーを現像器に回収することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体および前記像担持体にトナーを供給してトナー像を形成する現像器をそれぞれが有する複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部の各前記像担持体に接触して移動する移動体と、を有し、前記複数の画像形成部のうち一つは前記現像器がブラック色のトナー像を形成するブラック画像形成部であり、前記複数の画像形成部の各前記像担持体から前記移動体上または前記移動体に担持された転写材上にそれぞれの転写部で順次に異なる色のトナー像を転写する画像形成装置において、前記複数の画像形成部のうちn番目に前記転写を行う前記ブラック画像形成部ではないn番画像形成部で形成するトナー像の移動方向の後端が、前記複数の画像形成部のうちn+1番目に前記転写を行うn+1番画像形成部の前記転写部に到達する前に、当該画像形成装置の動作が停止され、前記複数の画像形成部のうち前記n番画像形成部よりも先に前記転写を行う画像形成部において所定量より多いトナーにより形成したトナー像の前記転写が行われていなかった際に、前記n番画像形成部の前記転写部から、前記n+1番画像形成部の前記転写部までの前記移動体上に付着したトナーを、前記移動体から前記n番画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収し、前記移動体の移動方向において前記n+1番画像形成部の前記転写部よりも下流側の前記移動体上に付着したトナーを、前記移動体から前記ブラック画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
本発明の他の態様によると、トナー像を担持する像担持体および前記像担持体にトナーを供給してトナー像を形成する現像器をそれぞれが有する複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部の各前記像担持体に接触して移動する移動体と、を有し、前記複数の画像形成部のうち一つは前記現像器がブラック色のトナー像を形成するブラック画像形成部であり、前記複数の画像形成部の各前記像担持体から前記移動体上または前記移動体に担持された転写材上にそれぞれの転写部で順次に異なる色のトナー像を転写する画像形成装置において、前記移動体上にトナーが付着した状態で当該画像形成装置の動作が停止された際に、前記移動体上に付着したトナーの領域を前記移動体の移動方向において複数の領域に分けて、各領域に付着したトナーの色およびその量を、前記複数の画像形成部で形成するトナー像の画像情報から計算する手段を有し、前記複数の領域のうち、特定の色のトナーに混在する他の色のトナーの量が所定量以下となっており、該特定の色がブラックではない領域である単色領域のトナーを、前記移動体から該特定の色のトナー像を形成する画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収し、前記複数の領域のうち、前記単色領域以外の領域のトナーを、前記移動体から前記ブラック画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収する、ことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ジャムやミスプリントなどが発生した際にも、トナーの混色による色味変動を抑制しつつ、残留トナーを現像器に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像形成装置の要部の概略制御ブロック図である。
【図3】本発明に従う画像形成動作のフローチャート図である。
【図4】本発明に従うクリーニング動作の一例の推移を説明するための模式図である。
【図5】本発明に従うクリーニング動作の一例の推移を説明するための模式図である(図4の続き)。
【図6】本発明に従うクリーニング動作の一例のシーケンス図である。
【図7】本発明に従うビデオカウント集計方法の一例を説明するための説明図である。
【図8】本発明に従うクリーニング動作の他の例の推移を説明するための模式図である。
【図9】本発明に従うクリーニング動作の他の例の推移を説明するための模式図である(図8の続き)。
【図10】本発明に従うクリーニング動作の他の例のシーケンス図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
実施例1
1.画像形成装置の全体構成
まず、本発明の一実施例に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の全体構成を示す概略縦断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用したインライン(タンデム)型のレーザービームプリンタである。
【0016】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、後述する中間転写ベルト5のトナー像を担持する面の移動方向において上流側から下流側へと順に一列に配置された、第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するためのものである。本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkの構成は共通する部分が多い。従って、以下特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成部に関して設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字y、m、c、kは省略して総括的に説明する。
【0017】
画像形成部Pは、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)、すなわち、感光ドラム1を備えている。感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって、矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、次の各手段が設けられている。まず、感光ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電手段としての帯電部材である帯電ローラ2である。次に、感光ドラム1に形成された静電潜像(静電像)にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段としての現像器4である。次に、各感光ドラム1から後述する中間転写ベルト5にトナー像を転写させる一次転写手段としての一次転写部材である一次転写ローラ8である。現像器4は、現像ローラ41と、現像ローラ42に供給する現像剤としてのトナーを収容する現像容器42とを有する。
【0018】
また、帯電処理された各感光ドラム1に画像情報に基づいてレーザービームを照射して、各感光ドラム1上に静電潜像(静電像)を形成するように、露光手段としてのレーザースキャナ3が配置されている。また、各感光ドラム1に対向するように、移動体としての無端ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト5が配置されている。中間転写ベルト5は、中間転写ベルト5を回転させる駆動ローラ51、中間転写ベルト5に適度なテンションを加えるための従動ローラ52、53に張架されている。中間転写ベルト5は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって駆動ローラ51に駆動力が伝達されることで、矢印R2方向(反時計回り)に回転駆動され、各一次転写ローラ8により各感光ドラム1から転写されたトナー像を担持して搬送する。上記各一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5の内周面側において、各感光ドラム1に対向するように配置されている。そして、各一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を介して各感光ドラム1に押圧され、各感光ドラム1と中間転写ベルト5とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。また、中間転写ベルト5の外周面側には、駆動ローラ51に対向する位置に、二次転写手段としての二次転写部材である二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して駆動ローラ51に押圧され、二次転写ローラ9と中間転写ベルト5とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5上のトナー像を転写材Sに転写させる。
【0019】
また、画像形成装置100には、転写材Sを収容するカセット11、カセット11から転写材Sを送り出す給送ローラ12、所定のタイミングに転写材Sを二次転写部N2へと搬送する搬送ローラ対13、定着手段としての定着装置10などが設けられている。
【0020】
なお、本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2および現像器4とは、一体的にカートリッジ化され、画像形成装置100の本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジ30を構成する。
【0021】
また、画像形成装置100は、各画像形成部Pの各プロセスカートリッジ30を中間転写ベルト5に対して近接または退避させることで、各感光ドラム1と中間転写ベルト5に対し当接または離間させる当接離間機構(当接離間手段)が設けられている。本実施例では、当接離間機構は、画像形成装置100の本体内に装着された各プロセスカートリッジを、中間転写ベルト5に対して近接または退避させる方向にスライド移動させることを可能とするガイド部(図示せず)を有する。また、該当接離間機構は、画像形成装置100の本体内に装着された各プロセスカートリッジ30を中間転写ベルト5から離れる方向に付勢する付勢手段としての、各画像形成部Pに設けられたバネなどの付勢部材15を有する。また、該当接離間機構は、各プロセスカートリッジ30の中間転写ベルト5に対する位置を切り替えて、各感光ドラム1の中間転写ベルト5に対して当接または離間させる、各画像形成部Pに設けられた切替部材としてのカム部材14を有する。各カム部材14は、各付勢部材15の付勢力に抗して各プロセスカートリッジ30を中間転写ベルト5に近づける方向に押圧して、各感光ドラム1を中間転写ベルト5に当接させることができる。また、各カム部材14は、その押圧力を解除して、各プロセスカートリッジ30が各付勢部材15の付勢力によって中間転写ベルト5から離れる方向に移動することを許し、各感光ドラム1を中間転写ベルト5から離間させることができる。
【0022】
2.画像形成装置の各部の構成
次に、本実施例の画像形成装置100の各部の構成についてより詳しく説明する。
【0023】
感光ドラム1は、本実施例では直径30mmのアルミニウムシリンダの外周面に、有機光導電体層(OPC感光体)を塗布して構成されている。本実施例では、感光ドラム1の帯電極性は負極性である。感光ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(図示せず)からの駆動力が伝達されることにより、矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。
【0024】
帯電ローラ2は、導電性ローラで構成される。帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に当接させられている。また、帯電ローラ2には帯電電圧印加手段としての帯電電源21(図2)が接続されている。帯電電源21によって、帯電ローラ2に負極性でかつ放電開始電圧以上の所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加されることにより、感光ドラム1の表面は一様に負極性に帯電させられる。
【0025】
レーザースキャナ3は、レーザー光学ユニットであり、駆動回路(図示せず)によって、画像信号に応じてレーザー光Lを点灯するよう制御される。このレーザー光Lによって、帯電済みの感光ドラム1の表面は選択的に露光され、感光ドラム1上に静電潜像が形成される。
【0026】
現像器4は、トナーを収納した現像容器42と、現像容器42に回転可能に支持された現像ローラ41とを有する。現像容器42に収容されたトナーが現像ローラ41に供給される。現像ローラ41に付着したトナーは、摺擦により正規の帯電極性(本実施例では負極性)に略一様に帯電させられる。また、現像ローラ41には、現像電圧印加手段としての現像電源22(図2)が接続されている。現像ローラ41にトナーが付着した状態で、現像電源22によって、現像ローラ41に感光ドラム1の表面電位より絶対値が小さくかつ負極性である現像電圧(現像バイアス)が印加される。これにより、感光ドラム1上の静電潜像の画像部のみにトナーを付着させることが可能となる。本実施例では、帯電処理された感光ドラム1の表面の露光により電荷が減衰した露光部に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることで、感光ドラム1上の静電潜像はトナー像として現像される。
【0027】
一次転写ローラ8は、導電性ローラで構成される。本実施例では、一次転写ローラ8は、SUS(ステンレススチール)などの金属からなる外径6mmのシャフトの周囲に、外径12mmとなるよう発泡弾性体の層が形成された、発泡性弾性ローラとして構成されている。この発泡性弾性ローラは、106〜109Ωの抵抗を有する。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を挟んで感光ドラム1に加圧される。また、一次転写ローラ8には、一次転写電圧印加手段としての一次転写電源23(図2)が接続されている。一次転写電源23によって、一次転写ローラ8にトナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加されることにより、感光ドラム1上のトナー像は中間転写ベルト6上に転写(一次転写)される。
【0028】
中間転写ベルト5は、107〜1014Ωcmの体積固有抵抗率を持たせた厚さ50〜150μm程度の無端のフィルム状部材で構成されている。なお、上記体積抵抗率は、JIS法K6911に準拠した測定プローブを用い、ADVANTEST社製高抵抗計R2340にて、温度は25℃、相対湿度は50%で、50〜100Vを印加して得た値である。
【0029】
二次転写ローラ9は、一次転写ローラ8と同様の構成、物性を有するものである。二次転写ローラ9は、転写材Sを介して中間転写ベルト5に加圧される。また、二次転写ローラ8には、二次転写電圧印加手段としての二次転写電源(図示せず)が接続されている。二次転写電源によって、二次転写ローラ9にトナーの正規の帯電極性である正極性の二次転写電源(二次転写バイアス)が印加されることにより、中間転写ベルト5上のトナー像は転写材S上に転写(二次転写)される。
【0030】
定着装置10は、定着手段としての加熱源を内蔵する加熱ローラ10Aと、加熱ローラ10Aに圧接して接触領域(ニップ)を形成する加圧手段としての加圧ローラ10Bとを有する。
【0031】
3.画像形成動作
例えば、フルカラー画像を形成する場合を例に画像形成装置100による画像形成動作を説明する。この場合、各画像形成部Pにおいて、各感光ドラム1が一様に帯電処理された後、レーザースキャ3によって各色の画像情報に応じて露光されることで、各感光ドラム1上に各色の画像情報に応じた静電潜像が形成される。各感光ドラム1に形成された静電潜像は、各現像器4によって各色のトナーでトナー像として現像される。各感光ドラム1上に形成されたトナー像は、各一次転写ローラ8の作用により、移動する中間転写ベルト5のトナー像を担持する面に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に重ね合わせて転写(一次転写)される。一方、画像形成装置100の本体下部に装着されたカセット11に収納された転写材Sが、給送ローラ12によって1枚ずつ分離給送されると共に、搬送ローラ対13により二次転写部N2へと搬送される。そして、中間転写ベルト5上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーからなる多重トナー像は、二次転写ローラ9の作用により、二次転写部N2に搬送された転写材Sに転写(二次転写)される。これにより、転写材上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーからなる多重トナー像が形成される。トナー像が形成された転写材Sは、定着装置10に搬送され、加熱ローラ10Aと加圧ローラ10Bとからなるローラ対の接触部を通過させられることで、その上にトナー像が加熱定着される。その後、転写材Sは、画像形成装置100の上部の排出部へ排出される。
【0032】
なお、本実施例の画像形成装置100では、一次転写および二次転写は略100%の転写効率を達成している。そのため、上述の画像形成動作の過程において、感光ドラム1や中間転写ベルト5上に、視認できるレベルの残留トナー(転写残トナー)は存在しない。よって、本実施例では、感光ドラム1や中間転写ベルト5上の転写残トナーを回収するための特別の回収容器は設けられていない。
【0033】
4.制御態様
画像形成装置100の動作は、画像形成装置100に設けられた制御部60の制御手段たるCPU61が統括的に行う。CPU61は、制御部60に設けられた記録手段としてのROM62、RAM63に記憶されたプログラムやデータに従って、画像形成装置100の各部の制御を行う。CPU61は、パーソナルコンピュータなどの外部装置から送られた画像情報に対して、画像処理部(図示せず)において所定の処理が施された画像形成用の信号に基づいて、画像形成装置100の各部を制御して、上述のような画像形成動作を実行させる。特に、本実施例との関係において、CPU61は、各画像形成部Pに設けられた各カム部材(切替部材)14による各感光ドラム1の中間転写ベルト5に対する当接または離間の状態の切り替え動作を制御する。また、CPU61は、各画像形成部Pの各帯電電源21による各帯電ローラ2に対する電圧印加のON/OFFを制御する。また、CPU61は、各画像形成部Pの各現像電源22による各現像ローラ41に対する電圧印加のON/OFFを制御する。また、CPU61は、各画像形成部Pの各一次転写電源23による各一次転写ローラ8に対する電圧印加のON/OFFを制御する。
【0034】
ここで、詳しくは後述するように、各一次転写電源23は、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の電圧を出力する第1の電圧出力部と、トナーの正規の帯電極性と同極性である負極性の電圧を出力する第2の電圧出力部とを有する。そして、CPU61は、詳しくは後述するクリーニング動作などにおいて、第1の電圧出力部と第2の電圧出力部のいずれから電圧を出力させて、一次転写ローラ8に印加するのかを制御する。
【0035】
その他、本実施例との関係において、CPU61は、感光ドラム1、中間転写ベルト5を駆動する駆動手段(本実施例では共通の駆動モータ)のON/OFF、各感光ドラム1に形成した画像の画像データから当該画像のための各トナーの使用量の計算などを行う。
【0036】
5.クリーニング動作
上述のように、本実施例の画像形成装置100には、通常の画像形成時には感光ドラム1、中間転写ベルト5に残留トナーは実質的に生じないので、残留トナーを回収するための特別の回収容器は設けられていない。しかし、本実施例の画像形成装置100においても、ジャムやミスプリントなどで、感光ドラム1や中間転写ベルト5上に大量のトナーが付着する場合がある。なお、本実施例において、ジャムとは、転写材Sがカセット11から給紙され、定着装置10を通って排紙されるまでの間に、搬送不良によって画像形成装置の動作が停止し、転写材Sが画像形成装置100内に滞留した状態のことを言う。また、本実施例において、ミスプリントとは、次のような理由で画像形成動作が停止し、感光ドラム1や中間転写ベルト5上にトナーが残留してしまった状態のことを言う。すなわち、中間転写ベルト5に形成された画像のサイズと転写材Sのサイズの不適合や画像形成タイミングと転写材Sの搬送タイミングのズレが生じたなどの理由である。
【0037】
前述のように、ジャムやミスプリントが発生した状態で、すべてのトナーをブラックの現像器に回収すると、画像形成時のブラック色味変動を引き起こす可能性が高い。また、ジャムやミスプリントなどでは、中間転写ベルト5上の残留トナーは、単色のトナーのみからなる訳ではないため、それぞれの色の現像器に回収することは通常困難である。
【0038】
本実施例の目的の一つは、ジャムやミスプリントなどが発生し、感光ドラム1や中間転写ベルト5上に大量の残留トナーが存在する場合であっても、トナーの混色による色味変動を最大限抑制しつつ、残留トナーを現像器4に回収することである。
【0039】
そこで、本実施例では、概して、中間転写ベルト5上の実質的に単色の残留トナーは、同一色の現像器4に回収し、複数色が混在した残留トナーは、特定色であるブラックの現像器4kに回収する。これにより、ブラックの現像器4kの現像容器42k内のトナーの混色率が低下するため、画像形成時の色味変動を抑制することが可能となる。以下、更に詳しく説明する。
【0040】
図2を参照して、本実施例では、制御部60のCPU61は、各感光ドラム1上に形成された画像の画像データを色毎に累計し(以下「ビデオカウント」という。)、記憶装置であるビデオカウント記憶部64に逐次に記憶させる。CPU61は、ビデオカウント記憶部64に記憶されている情報を用いて、任意の時点において各感光ドラム1や中間転写ベルト5上に付着しているトナーの量や位置を求めることができ、そのトナーを回収する動作(クリーニング動作)を決定することができる。
【0041】
図3は、本実施例の画像形成装置100における画像形成動作のフローチャートである。まず、CPU61は、外部装置200からの画像形成要求を検知して(S101)、画像形成動作を開始させると(S102)、ビデオカウント記憶部64により各感光ドラム1上に形成された画像の画像データを色毎に記録していく(S103)。また、CPU61は、画像形成装置100内の転写材Sの搬送経路中に設けられた記録材Sの通過を検出するフラグセンサ(図示せず)などを用いて、通常行われるようにしてジャムやミスプリントの発生を監視している。ジャムやミスプリントが発生しなければ(S104)、CPU61は、通常の画像形成動作を行わせて(S105)、指定された枚数の画像を出力した後に、次の画像形成が可能な状態として画像形成動作を終了させる(S108)。一方、画像形成動作の最中にジャムやミスプリントなどが起こった場合には(S104)、次のような処理になる。すなわち、CPU61は、画像形成動作を停止させるとともに、ビデオカウント記憶部64に記憶された情報から画像形成停止時までに各感光ドラム1に形成した画像のビデオカウントを解析する(S106)。このとき、CPU61は、より具体的には、各感光ドラム1および中間転写ベルト5の駆動モータなどの駆動系、各種電源からの電圧出力などを停止させる。また、CPU61は、その停止時までに既に中間転写ベルト5に転写されているトナーの状態、未だ各感光ドラム1に残っているトナーの状態を解析する。そして、CPU61は、その結果によって、詳しくは後述するようにして、中間転写ベルト5上に付着しているトナーを回収する動作(クリーニング動作)を開始する(S107)。その後、CPU61は、次の画像形成(或いはやり直しの画像形成)が可能な状態として画像形成動作を終了させる(S108)。
【0042】
次に、本実施例におけるクリーニング動作について具体例を示して更に詳しく説明する。図4および図5は、ジャムやミスプリントが発生して画像形成動作が停止した時からの、クリーニング動作の推移(状態I〜IVまで)に伴う、残留トナーおよび中間転写ベルト5の周りの主要な要素の状態を模式的に示している。
【0043】
ここでは、一例として、CPU61が、ビデオカウントに基づいて、中間転写ベルト5上に一次転写される4色のトナー像のうち、1番目に一次転写されるイエロートナーが使用されていないと判断した場合の動作について説明する。なお、2番目〜4番目に一次転写されるマゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーは使用されているものとする。また、2番目に一次転写されるマゼンタトナーの領域の搬送方向の後端が第3の画像形成部Pcの一次転写部N1cに到達する前にジャムやミスプリントが発生して、画像形成動作が停止されたものとする。この場合、ジャムやミスプリントが発生して画像形成動作が停止した後、中間転写ベルト5上には、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mから第3の画像形成部Pcの一次転写部N1cまで、マゼンタトナーのみが転写されている領域が存在する。より詳細には、マゼンタトナーのみが転写さている可能性のある領域が存在する。この領域を「領域A」とする。本実施例では、この領域Aのトナーを、マゼンタ用である第2の画像形成部Pmの現像器4の現像容器42mに回収する。また、中間転写ベルト5上に転写されているトナーの領域のうち領域Aよりも搬送方向の先端側には、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが混在して転写されている領域が存在する。より詳細には、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが混在して転写されている可能性がある領域が存在する。この領域を「領域B」とする。本実施例では、この領域Bのトナーを、ブラック用である第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収する。これにより、回収したトナーを再利用するとともに、ブラック用である第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収トナーが集中することを防ぎ、画像形成時の色味変動を抑制する。
【0044】
まず、図4(a)の状態Iは、ジャムやミスプリントが発生して画像形成動作が停止した直後の状態を示す。
【0045】
次に、図4(a)の状態Iから、図4(b)の状態IIに示すように、一旦すべての感光ドラム1と中間転写ベルト5とを離間させ、その後感光ドラム1と中間転写ベルト5とをそれぞれ回転させる。この際に、各画像形成部Pの各帯電ローラ2には、放電開始電圧以上の負極性の電圧を印加する。なお、この際に、帯電ローラ2に、負極性の直流電圧を重畳した交流電圧(振幅が放電開始電圧以上)を印加してもよい。これは、感光ドラム1の表面を負極性に一様に帯電させるとともに、感光ドラム1に付着したトナーを負極性に帯電させる効果を意図したものである。さらに、この際に、各画像形成部Pの各現像ローラ41には、感光ドラム1の表面電位より絶対値が小さい負極性の電圧を印加する。これは、各感光ドラム1上に付着した負極性に帯電したトナーを、各現像ローラ41に転移させ、最終的に各現像容器42に回収させる効果を意図したものである。
【0046】
その後、図4(c)の状態IIIに示すように、中間転写ベルト5上の領域Bの先端が第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに到達する前に、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kと中間転写ベルト5とを接触させる。また、この際に、第4の画像形成部Pkの一次転写ローラ8kに感光ドラム1kの表面電位より絶対値が大きい負極性の電圧を印加する。すなわち、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに、正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1kに向かわせる電界を形成する。これは、中間転写ベルト5上の領域Bにおける負極性に帯電したトナーを、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kに転移させる効果を意図したものである。なお、この感光ドラム1kに転移したトナーを最終的に第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収するため、第4の画像形成部Pkの帯電ローラ2kおよび現像ローラ41kには、図4(b)の状態IIで印加した電圧を継続して印加する。この動作により、中間転写ベルト5上のマゼンタ、シアンおよびブラックの各色が混在している領域Bのトナーを、最終的に第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収することが可能となる。
【0047】
さらに、図5(a)の状態IVに示すように、中間転写ベルト5上の領域Aの先端が、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに到達した瞬間に、第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mと中間転写ベルト5とを接触させる。この領域Aのマゼンタトナーを第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移させるためである。また、同時に、第2の画像形成部Pmの一次転写ローラ8mに感光ドラム1mの表面電位より絶対値が大きい負極性の電圧を印加する。すなわち、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに、正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1mに向かわせる電界を形成する。また、この際、第2の画像形成部Pmの帯電ローラ2mおよび現像ローラ41mには、図4(b)の状態IIで印加した後停止していた電圧を再度印加する。この動作により、中間転写ベルト5上の実質的にマゼンタトナーのみからなる領域Aのトナーを、選択的に第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移させ、最終的に第2の画像形成部Pmの現像器4mの現像容器42mに回収することが可能となる。
【0048】
以上の動作によって、中間転写ベルト5上に残留した大部分のトナーが第2、第4の画像形成部Pm、Pkの現像容器42m、42kに回収される。しかしながら、中間転写ベルト5上の残留トナーのうち、一次転写などの影響によって電荷の極性が反転して正極性を持つトナーは依然として中間転写ベルト5上に残留していることがある。そのため、本実施例では、このように電荷の極性が反転した残留トナーを回収するために、さらに以下の動作を行う。
【0049】
まず、図5(b)の状態Vに示すように、図5(a)の状態IVから、次のタイミングで、第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mと中間転写ベルト5とを再度離間させる。中間転写ベルト5上の領域Aの後端が第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mを通過しかつ中間転写ベルト5上の領域Bの先端が再び第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに到達する前のタイミングである。また、第2の画像形成部Pmの帯電ローラ2mおよび現像ローラ41mに印加していた電圧を停止する。さらに、図5(a)の状態IVから、次のタイミングで、第4の画像形成部Pkの一次転写ローラ8kに印加している電圧の極性を反転させ、正極性の電圧に切替える。中間転写ベルト5上の領域Aの後端が第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kを通過しかつ中間転写ベルト5上の領域Bのトナーの先端が再び第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに到達する前のタイミングである。すなわち、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに、正規の帯電極性とは逆極性である正極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1kに向かわせる電界を形成する。なお、第4の画像形成部Pkの帯電ローラ2kおよび現像ローラ41kには、図4(b)の状態IIで印加した電圧を継続して印加している。この動作により、中間転写ベルト5上の正極性に帯電したマゼンタ、シアンおよびブラックの各色が混在している領域Bのトナーを、最終的に第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収することが可能となる。
【0050】
さらに、図5(c)の状態VIに示すように、図5(a)の状態IVから、中間転写ベルト5上の領域Aの先端が、再び第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに到達した瞬間に、再度第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mと中間転写ベルト5とを接触させる。また、同時に、第2の画像形成部Pmの一次転写ローラ8mに正極性の電圧を印加する。すなわち、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに、正規の帯電極性とは逆極性である正極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1mに向かわせる電界を形成する。また、この際、第2の画像形成部Pmの帯電ローラ2mおよび現像ローラ41mには、図5(a)の状態IVで印加した後停止していた電圧を再度印加する。この動作により、中間転写ベルト5上の正極性に帯電した実質的にマゼンタトナーのみからなる領域Aのトナーを、選択的に第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移させ最終的に第2の画像形成部Pmの現像器4mの現像容器42mに回収することが可能となる。
【0051】
図6は、上述の一連のシーケンス動作における、中間転写ベルト5と感光ドラム1の接触状態と、帯電ローラ2および現像ローラ41に印加する電圧のON/OFF状態と、一次転写ローラ8に印加する電圧のON/OFF状態を示す。同図中に帯を示した期間が、接触状態、電圧のON状態をそれぞれ示しており、帯が示されていない期間が離間状態、電圧のOFF状態をそれぞれ示している。また、同図中、1st、2st、3st、4stはそれぞれ第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを示す。
【0052】
なお、本実施例では、イエロートナーが使用されていないと判断された場合の動作について説明した。しかし、イエロートナーの使用量がゼロではない場合でも、本実施例で実質的に単色の残留トナーを回収するとした画像形成部Pに回収することで画像形成時の色味変動に影響を与えない範囲で閾値となる所定量を設定することができる。そして、イエロートナーの使用量がその所定量以下の場合に、本実施例と同様のクリーニング動作を行うこととしてもよい。この場合、本実施例では実質的にマゼンタトナーのみからなるものであった領域Aよりも搬送方向の後方に、実質的にイエロートナーのみからなる領域が存在することがある。この領域のイエロートナーは、当該領域をも含めて本実施例における領域Aとみなして、本実施例と同様に第2の画像形成部Pmの現像容器42mに回収することができる。或いは、この領域のイエロートナーは、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mを通過させて(感光ドラム1mを離間、一次転写ローラ8mへの電圧印加を停止)、第4の画像形成部Pkの現像容器42kに回収するようにしてもよい。
【0053】
また、中間転写ベルト5上の領域Aのみに着目し、領域Aのイエロートナーの使用量がゼロまたは上記同様の閾値となる所定量以下である場合に、本実施例と同様のクリーニング動作を行うこととしてもよい。
【0054】
また、本実施例では、中間転写ベルト5に1番目に一次転写されるイエロートナーが使用されていない(或いは、上述のようにイエロートナーの使用量が所定量以下である)と判断された場合の動作について説明した。しかし、1番目に一次転写されるイエロートナーと2番目に一次転写されるマゼンタトナーが使用されていないと判断された場合についても、本実施例と同様に考えることができる。この場合は、本実施例における一連のクリーニング動作における第2の画像形成部Pmの動作を第3の画像形成部Pcの動作に置き換えた動作を行う。これにより、実質的にシアントナーのみからなる領域Aのトナーを第3の画像形成部Pcの現像容器42cに回収し、シアンおよびブラックの各色のトナーが混在する領域Bのトナーを第4の画像形成部Pkの現像容器42kに回収することが可能である。
【0055】
また、本実施例では、ジャムやミスプリントが発生した際に、中間転写ベルト5上に単色(又は混色量が所定値以下)のトナーの領域Aがない場合は、中間転写ベルト5上のトナーは、すべて第4の画像形成部Pkの現像容器42kに回収する。
【0056】
以上、本実施例によれば、画像形成装置100は、トナー像を担持する像担持体1および像担持体1にトナーを供給してトナー像を形成する現像器4をそれぞれが有する複数の画像形成部Pを有する。また、画像形成装置100は、複数の画像形成部Pの各像担持体1に接触して移動する移動体5を有する。そして、複数の画像形成部Pのうち一つは現像器4がブラック色のトナー像を形成するブラック画像形成部Pkであり、複数の画像形成部Pの各像担持体1から移動体5上にそれぞれの転写部N1で順次に異なる色のトナー像を転写する。
【0057】
そして、複数の画像形成部Pのうちn番目に上記転写を行うブラック画像形成部ではないn番画像形成部(上記具体例では第2の画像形成部Pm)で形成するトナー像の移動方向の後端が、複数の画像形成部Pのうちn+1番目に上記転写を行うn+1番画像形成部(上記具体例では第3の画像形成部Pc)の転写部N1に到達する前に、当該画像形成装置100の動作が停止されることがある。また、このとき、複数の画像形成部Pのうちn番画像形成部よりも先に転写を行う画像形成部(上記具体例では第1の画像形成部Py)において所定量より多いトナーにより形成したトナー像の上記転写が行われていないことがある。
【0058】
本実施例の画像形成装置100は、この際には、n番画像形成部の転写部から、n+1番画像形成部の転写部までの移動体上に付着したトナーを、移動体5からn番画像形成部の像担持体1に転移させて、該画像形成部の現像器4に回収する。また、移動体5の移動方向においてn+1番画像形成部の転写部よりも下流側の移動体上に付着したトナーを、移動体5からブラック画像形成部の像担持体1に転移させて、該画像形成部の現像器4に回収する。
【0059】
これにより、ジャムやミスプリントなどが発生した際にも、トナーの混色による色味変動を抑制しつつ、残留トナーを現像器に回収することができる。
【0060】
なお、ブラック画像形成部がn番画像形成部より先に上記転写を行う位置にあってもよい。例えば、このような場合に、上記具体例のA領域のトナーがブラック画像形成部の感光ドラム1に転移しないように、上記具体例のA領域がブラック画像形成部の一次転写部を通過する際にはブラック画像形成部の感光ドラム1を中間転写ベルト5から離間させる。
【0061】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成および動作は実施例1の画像形成装置と同じである。したがって、実施例1の画像形成装置のものと同一またはそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0062】
本実施例ではビデオカウント記憶部64を用いて行う、ビデオカウントによる画像データの累計方法が実施例1とは異なる。
【0063】
図7を参照して、本実施例におけるビデオカウントによる画像データの累計方法について説明する。まず、本実施例では、図7(a)に示すように、1枚の転写材Sに形成する画像の画像形成可能領域を、制御部60のCPU61は、転写材Sの搬送方向に領域(1)〜(5)まで5分割する。次に、CPU61は、その領域毎に、実施例1と同様にして、色毎のビデオカウントを累計し、ビデオカウント記憶部64に記憶させる。これにより、領域ごとの累計結果から、ジャムやミスプリントが発生して画像形成動作が停止した時点において、中間転写ベルト5上のトナーの領域のうちいずれかの領域において実質的に単色の残留トナーが存在することを判断することができる。例えば、図7(b)のグラフに示すように領域(1)〜(5)における色毎のビデオカウントが累計された場合、中間転写ベルト5上に転写されたトナーの領域のうち領域(3)に対応する領域ではマゼンタトナーのみが使われていることを判断することができる。
【0064】
本実施例では、単色のトナーのみが転写されていると判断された中間転写ベルト5上の領域を領域Cとする。本実施例では、この中間転写ベルト5上の領域Cのトナーを同色用の画像形成部Pの現像容器42に回収する。また、中間転写ベルト5上のトナーの領域のうち、複数色のトナーが混在して転写されている、領域C以外の領域を領域Dとする。本実施例では、この領域Dのトナーを、ブラック用である第4の画像形成部Pkの現像容器42kに回収する。これにより、回収したトナーを再利用するとともに、ブラック用である第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収トナーが集中することを防ぎ、画像形成時の色味変動を抑制する。
【0065】
なお、ビデオカウントの累計方法における画像形成可能領域の分割数は5に限定されるものではない。
【0066】
次に、本実施例におけるクリーニング動作について具体例を示して更に詳しく説明する。図8および図9は、ジャムやミスプリントが発生して画像形成動作が停止した時からの、クリーニング動作の推移(状態I〜IVまで)に伴う、残留トナーおよび中間転写ベルト5の周りの主要な要素の状態を模式的に示している。
【0067】
ここでは、一例として、CPU61が、ビデオカウントに基づいて、図7に示すトナー像が既に中間転写ベルト5に転写されていると判断した場合の動作について説明する。
【0068】
まず、図8(a)の状態Iは、ジャムやミスプリントが発生して画像形成動作が停止した直後の状態を示す。中間転写ベルト5上の残留トナーには、複数色のトナーが混在して載っている領域Dと、実質的にマゼンタトナーのみが載っている領域Cとが存在する。本実施例では、CPU61は、ビデオカウント情報により、マゼンタトナーのみが中間転写ベルト5上に載っている領域Cの位置を判断し、そのマゼンタトナーを第2の画像形成部Pmの現像器4mの現像容器42mに回収する動作を行う。
【0069】
次に、図8(b)の状態IIにおける動作は、実施例1における図4(b)の状態IIの動作と同じである。すなわち、図8(a)の状態Iから、図8(b)の状態IIに示すように、一旦すべての感光ドラム1と中間転写ベルト5とを離間させ、その後感光ドラム1と中間転写ベルト5とをそれぞれ回転させる。この際に、各画像形成部Pの各帯電ローラ2には、放電開始電圧以上の負極性の電圧を印加する。さらに、この際に、各画像形成部Pの各現像ローラ41には、感光ドラム1の表面電位より絶対値が小さい負極性の電圧を印加する。なお、本実施例では、図8(a)に示すジャムやミスプリントの発生時には感光ドラム1上に残留トナーが付着していない状態を示している。しかし、各感光ドラム1上にトナーが付着している場合は、そのトナーは、実施例1の図4(b)の状態Iと同様に各現像容器42に回収される。
【0070】
その後、図8(c)の状態IIIに示すように、中間転写ベルト5上の領域Dの先端が第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに到達する前に、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kと中間転写ベルト5とを接触させる。また、この際に、第4の画像形成部Pkの一次転写ローラ8kに感光ドラム1kの表面電位より絶対値が大きい負極性の電圧を印加する。すなわち、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに、正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1kに向かわせる電界を形成する。これは、中間転写ベルト5上の領域C以外のトナー付着領域である領域Dにおける負極性に帯電したトナーを、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kに転移させる効果を意図したものである。なお、この感光ドラム1kに転移したトナーを最終的に第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収するため、第4の画像形成部Pkの帯電ローラ2kおよび現像ローラ41kには、図8(b)の状態IIの状態IIで印加した電圧を継続して印加する。この動作により、中間転写ベルト5上の複数色のトナーが混在していう領域Dのトナーを、最終的に第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収することが可能となる。
【0071】
さらに、図8(c)の状態IIIにおいて、中間転写ベルト5上の領域Cの先端が、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに到達した瞬間に、第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mと中間転写ベルト5とを接触させる。この領域Cのマゼンタトナーを第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移させるためである。また、同時に、第2の画像形成部Pmの一次転写ローラ8mに感光ドラム1mの表面電位より絶対値が大きい負極性の電圧を印加する。すなわち、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに、正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1mに向かわせる電界を形成する。また、この際、第2の画像形成部Pmの帯電ローラ2mおよび現像ローラ41mには、図8(b)の状態IIで印加した後停止していた電圧を再度印加する。この動作により、中間転写ベルト5上の実質的にマゼンタトナーのみからなる領域Cのトナーを、選択的に第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移させ、最終的に第2の画像形成部Pmの現像器4mの現像容器42mに回収することが可能となる。
【0072】
次に、図9(a)の状態IVに示すように、中間転写ベルト5上の領域Cの後端が第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mを通過する瞬間に、第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mを中間転写ベルト5から再度離間させる。また、第2の画像形成部Pmの帯電ローラ2mおよび現像ローラ41mに印加していた電圧を停止する。この動作により、中間転写ベルト5上の複数色のトナーが混在している領域D(ここでは、領域Cの後方に存在する領域D)の負極性に帯電したトナーが第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移するのを防ぐことが可能となる。
【0073】
以上の動作によって、中間転写ベルト5上に残留した大部分のトナーが第2、第4の画像形成部Pm、Pkの現像容器42m、42kに回収される。しかしながら、中間転写ベルト5上の残留トナーのうち、一次転写などの影響によって電荷の極性が反転して正極性を持つトナーは依然として中間転写ベルト5上に残留していることがある。そのため、本実施例では、このように電荷の極性が反転した残留トナーを回収するために、さらに以下の動作を行う。
【0074】
まず、図9(b)の状態Vに示すように、図9(a)の状態IVから、次のタイミングで、第4の画像形成部Pkの一次転写ローラ8kに印加している電圧の極性を反転させ、正極性の電圧に切替える。中間転写ベルト5上に転写されたトナーの領域の最後端が第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kを通過しかつ中間転写ベルト5上の領域Dの先端が再び第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに到達する前のタイミングである。すなわち、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに、正規の帯電極性とは逆極性である正極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1kに向かわせる電界を形成する。なお、第4の画像形成部Pkの帯電ローラ2kおよび現像ローラ41kには、図8(b)の状態IIで印加した電圧を継続して印加している。この動作により、中間転写ベルト5上の正極性に帯電した複数色が混在している領域Dのトナーを、最終的に第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収することが可能となる。
【0075】
さらに、図9(c)の状態VIに示すように、図9(a)の状態IVから、中間転写ベルト5上の領域Cの先端が、再び第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに到達した瞬間に、再度第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mと中間転写ベルト5とを接触させる。また、同時に、第2の画像形成部Pmの一次転写ローラ8mに正極性の電圧を印加する。すなわち、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mに、正規の帯電極性とは逆極性である正極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1mに向かわせる電界を形成する。また、この際、第2の画像形成部Pmの帯電ローラ2mおよび現像ローラ41mには、図8(c)の状態IIIで印加した後停止していた電圧を再度印加する。この動作により、中間転写ベルト5上の正極性に帯電した実質的にマゼンタトナーのみからなる領域Cのトナーを、選択的に第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移させ最終的に第2の画像形成部Pmの現像容器42mに回収することが可能となる。
【0076】
さらに、図9(c)の状態VIの後、中間転写ベルト5上の領域Cの後端が第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mを通過する瞬間に、第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mを中間転写ベルト5から再度離間させる。また、第2の画像形成部Pmの帯電ローラ2mおよび現像ローラ41mに印加していた電圧を停止する。この動作により、中間転写ベルト5上の複数色のトナーが混在している領域D(ここでは、領域Cの後方に存在する領域D)の正極性に帯電したトナーが第2の画像形成部Pmの感光ドラム1mに転移するのを防ぐことが可能となる。
【0077】
その後、第2の画像形成部Pmの一次転写部N1mを通過した中間転写ベルト5上の正極性に帯電した複数色が混在している領域Dのトナーは、第4の画像形成部Pkの現像器4kの現像容器42kに回収される。
【0078】
図10は、上述の一連のシーケンス動作における、中間転写ベルト5と感光ドラム1の接触状態と、帯電ローラ2および現像ローラ41に印加する電圧のON/OFF状態と、一次転写ローラ8に印加する電圧のON/OFF状態を示す。同図中に帯を示した期間が、接触状態、電圧のON状態をそれぞれ示しており、帯が示されていない期間が離間状態、電圧のOFF状態をそれぞれ示している。また、同図中、1st、2st、3st、4stはそれぞれ第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを示す。
【0079】
なお、本実施例では、マゼンタトナーのみが転写されている領域Cのトナーを第2の画像形成部Pmの現像容器42mに回収する動作について説明した。しかし、領域Cに含まれるトナーがマゼンタのみではない場合でも、本実施例で実質的に単色の残留トナーを回収するとした画像形成部Pに回収することで画像形成時の色味変動に影響を与えない範囲でトナー混色量に閾値となる所定量を設定することができる。そして、当該単色のトナー以外の色のトナーで領域Cに混在するトナーの総和がその所定量以下の場合に、本実施例と同様のクリーニング動作を行うこととしてもよい。
【0080】
また、本実施例では、実質的に単色のトナーのみからなる中間転写ベルト5上の領域Cのトナーは、マゼンタトナーであるものとして説明した。しかし、これに限定されるものではなく、本実施例においてマゼンタトナーを回収するための動作と同様の動作を、イエロー、シアンに置き換えて行うことができる。これにより、それぞれ該当する色用である第1、第3の画像形成部Py、Pcの現像容器42y、42cにイエロートナー、シアントナーを回収することができる。
【0081】
また、本実施例では、ジャムやミスプリントが発生した際に、中間転写ベルト5上に単色(又は混色量が所定値以下)のトナーの領域Cがない場合は、中間転写ベルト5上のトナーは、すべて第4の画像形成部Pkの現像容器42kに回収する。
【0082】
以上、本実施例によれば、画像形成装置100は、移動体5上にトナーが付着した状態で当該画像形成装置100の動作が停止されることがある。画像形成装置100は、この移動体5上のトナーの領域を移動体5の移動方向に複数の領域に分け、各領域のトナーの色およびその量を、複数の画像形成部Pで形成するトナー像の画像情報から計算する手段(ビデオカウント記憶部64、CPU61)を有する。そして、本実施例の画像形成装置100は、上記複数の領域のうち、単色領域のトナーを、移動体5から該特定の色のトナー像を形成する画像形成部の像担持体1に転移させて、該画像形成部の現像器4に回収する。ここで、上記単色領域とは、特定の色のトナーに混在する他の色のトナーの量が所定量以下となっており、該特定の色がブラックではない領域である。また、上記複数の領域のうち、上記単色領域以外の領域のトナーを、移動体5からブラック画像形成部の像担持体1に転移させて、該画像形成部の現像器4に回収する。
【0083】
これにより、ジャムやミスプリントなどが発生した際にも、トナーの混色による色味変動を抑制しつつ、残留トナーを現像器に回収することができる。
【0084】
なお、ブラック画像形成部が上記特定の色のトナー像を形成する画像形成部より先に像担持体1から移動体5上に転写を行う位置にあってもよい。例えば、このような場合に、上記具体例のC領域のトナーがブラック画像形成部の感光ドラム1に転移しないように、上記具体例のC領域がブラック画像形成部の一次転写部を通過する際にはブラック画像形成部の感光ドラム1を中間転写ベルト5から離間させる。
【0085】
その他の実施例
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0086】
例えば、上述の実施例では、画像形成装置100は中間転写方式のものであるとして説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。移動体として例えば無端ベルト状の転写材担持体である搬送ベルトを有する直接転写方式の画像形成装置にも本発明を適用することができる。図11に直接転写方式の画像形成装置の一例の概略構成を示す。なお、図11の画像形成装置300において、図1の画像形成装置100のものと同一またはそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。例えば、図11に示すように、直接転写方式の画像形成装置300は、中間転写方式の画像形成装置における中間転写体の代わりに、転写材担持体としての例えば搬送ベルト301を有する。そして、この搬送ベルト301に転写材Sを担持して搬送しながら、この転写材S上に直接、各画像形成部Pの各感光ドラム1上に形成されたトナー像を順次転写していく。このような直接転写方式の画像形成装置300においても、転写材Sが搬送不良により搬送されなかった場合などには、搬送ベルト301上に大量の残留トナーが付着することがある。そのため、このような直接転写方式の画像形成装置300においても本発明を適用することが有効である。この場合には、上述の実施例における中間転写ベルト5を、搬送ベルト301に置き換えて、上述の実施例における一連の動作を行えばよい。この場合、制御部60のCPU61は、ジャムやミスプリントが発生して画像形成動作が停止した時点における、本来転写材Sに形成されるべき画像の画像データに基づいて、各感光ドラム1上および搬送ベルト301上のトナーの量や位置を求めることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 感光ドラム(像担持体)
2 帯電ローラ
4 現像器
5 中間転写ベルト(移動体)
8 一次転写ローラ
9 二次転写ローラ
14 切替部材
41 現像ローラ
42 トナー供給容器
61 CPU
64 ビデオカウント記憶部
301 搬送ベルト(移動体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体および前記像担持体にトナーを供給してトナー像を形成する現像器をそれぞれが有する複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部の各前記像担持体に接触して移動する移動体と、を有し、前記複数の画像形成部のうち一つは前記現像器がブラック色のトナー像を形成するブラック画像形成部であり、前記複数の画像形成部の各前記像担持体から前記移動体上または前記移動体に担持された転写材上にそれぞれの転写部で順次に異なる色のトナー像を転写する画像形成装置において、
前記複数の画像形成部のうちn番目に前記転写を行う前記ブラック画像形成部ではないn番画像形成部で形成するトナー像の移動方向の後端が、前記複数の画像形成部のうちn+1番目に前記転写を行うn+1番画像形成部の前記転写部に到達する前に、当該画像形成装置の動作が停止され、前記複数の画像形成部のうち前記n番画像形成部よりも先に前記転写を行う画像形成部において所定量より多いトナーにより形成したトナー像の前記転写が行われていなかった際に、
前記n番画像形成部の前記転写部から、前記n+1番画像形成部の前記転写部までの前記移動体上に付着したトナーを、前記移動体から前記n番画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収し、
前記移動体の移動方向において前記n+1番画像形成部の前記転写部よりも下流側の前記移動体上に付着したトナーを、前記移動体から前記ブラック画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記n番画像形成部の前記像担持体は、前記ブラック画像形成部の前記像担持体に転移されるトナーが前記n番画像形成部の前記転写部を通過する際には前記移動体から離間され、前記n番画像形成部の前記像担持体に転移されるトナーが前記n番画像形成部の前記転写部に到達した際には前記移動体に接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ブラック画像形成部の前記像担持体は、前記n番画像形成部の前記像担持体に転移されるトナーが前記ブラック画像形成部の前記転写部を通過する際には前記移動体から離間され、前記ブラック画像形成部の前記像担持体に転移されるトナーが前記ブラック画像形成部の前記転写部に到達した際には前記移動体に接触することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー像を担持する像担持体および前記像担持体にトナーを供給してトナー像を形成する現像器をそれぞれが有する複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部の各前記像担持体に接触して移動する移動体と、を有し、前記複数の画像形成部のうち一つは前記現像器がブラック色のトナー像を形成するブラック画像形成部であり、前記複数の画像形成部の各前記像担持体から前記移動体上または前記移動体に担持された転写材上にそれぞれの転写部で順次に異なる色のトナー像を転写する画像形成装置において、
前記移動体上にトナーが付着した状態で当該画像形成装置の動作が停止された際に、前記移動体上に付着したトナーの領域を前記移動体の移動方向において複数の領域に分けて、各領域に付着したトナーの色およびその量を、前記複数の画像形成部で形成するトナー像の画像情報から計算する手段を有し、
前記複数の領域のうち、特定の色のトナーに混在する他の色のトナーの量が所定量以下となっており、該特定の色がブラックではない領域である単色領域のトナーを、前記移動体から該特定の色のトナー像を形成する画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収し、
前記複数の領域のうち、前記単色領域以外の領域のトナーを、前記移動体から前記ブラック画像形成部の前記像担持体に転移させて、該画像形成部の前記現像器に回収する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記特定の色のトナー像を形成する画像形成部の前記像担持体は、前記単色領域以外の領域のトナーが該画像形成部の前記転写部を通過する際には前記移動体から離間され、前記単色領域のトナーが該画像形成部の前記転写部に到達した際には前記移動体に接触することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ブラック画像形成部の前記像担持体は、前記単色領域のトナーが該画像形成部の前記転写部を通過する際には前記移動体から離間され、前記単色領域以外の領域のトナーが該画像形成部の前記転写部に到達した際には前記移動体に接触することを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーの前記移動体から前記像担持体への転移が行われる際に、該転移が行われる前記転写部には、各前記現像器が各前記像担持体に供給するトナーの正規の帯電極性と同極性に帯電したトナーを前記移動体から前記像担持体に向かわせる方向の電界か、または各前記現像器が各前記像担持体に供給するトナーの正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーを前記移動体から前記像担持体に向かわせる方向の電界が形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−88515(P2012−88515A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234985(P2010−234985)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】