説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置において、現像バイアス調整を正確に行い、画質低下の可能性を低減する
【解決手段】 プリントエンジン11は、現像装置における現像バイアスを変化させて複数の現像バイアス調整用トナーパッチを中間転写ベルト4上に形成させ、露光装置による露光量を変化させて複数の露光量調整用トナーパッチを中間転写ベルト4上に形成させ、その複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよびその複数の露光量調整用トナーパッチについてのセンサーによる測定結果に基づいて、現像装置における現像バイアスおよび露光装置による露光量を調整する。特に、プリントエンジン11は、各現像バイアス値について所定の数N(N>1)の現像バイアス調整用トナーパッチを、露光量を変化させて形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、トナーの濃度および階調性の調整が、例えば一定時間ごとに行われる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
トナーの濃度および階調性の調整では、調整用のトナーパッチが現像され、現像されたトナーパッチの濃度が反射型のセンサーで光学的に測定され、その測定結果に応じて、トナーの濃度および階調性の調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−8960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナー濃度が増加していくと、反射型の光学センサーの出力値は飽和する。このため、濃度調整のためにベタ塗りのトナーパッチを形成し、反射型の光学センサーの出力値に基づいてトナー濃度を正確に調整することは困難である。したがって、トナーの濃度の調整では、反射型の光学センサーの出力値が飽和しない領域で、中間調のトナーパッチを形成し、その中間調のトナーパッチについてのセンサー出力値からベタ塗りのトナーパッチでのトナー濃度の値を予測し、予測したトナー濃度の値に基づいてトナー濃度の調整を行っている。
【0006】
トナー濃度の調整については、現像バイアスを変化させて複数の現像バイアス調整用トナーパッチを形成し、その複数の現像バイアス調整用トナーパッチについてのセンサー出力値に基づいて現像装置における現像バイアスが調整される。トナーの階調における各中間調濃度の調整については、露光量を変化させて複数の露光量調整用トナーパッチを形成し、その複数の露光量調整用トナーパッチについてのセンサー出力値に基づいて露光装置による露光量が調整される。
【0007】
上述のように、複数の現像バイアス調整用トナーパッチには中間調のトナーパッチが使用されるため、複数の現像バイアス調整用トナーパッチについての測定の際の露光量が、トナーの階調調整により決定された露光量と異なると、ベタ塗りのトナーパッチでのトナー濃度の予測値に誤差が生じ画質が低くなる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、現像バイアス調整を正確に行い、画質低下の可能性を低減する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、感光体と、感光体上に光線を照射して静電潜像を形成する露光装置と、その静電潜像をトナー現像する現像装置と、感光体上のトナー像を転写される像担持体と、像担持体上のトナー像の濃度を測定するセンサーと、現像装置における現像バイアスおよび露光装置による露光量をそれぞれ変化させて複数の現像バイアス調整用トナーパッチを像担持体に形成させ、露光装置による露光量を変化させて複数の露光量調整用トナーパッチを像担持体上に形成させ、その複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよびその複数の露光量調整用トナーパッチについてのセンサーによる測定結果に基づいて、現像装置における現像バイアスおよび露光装置による露光量を調整する制御部とを備える。
【0011】
これにより、露光量を変化させて得られた現像バイアス調整用トナーパッチについての測定結果から、調整後の露光量の値に対応して、調整後の現像バイアスの値を求めることができる。このため、現像バイアス調整が正確に行われ、画質低下の可能性が低減される。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、制御部は、上述の複数の現像バイアス調整用トナーパッチについてのセンサーによる測定結果から、調整後の露光量の値に対応する現像バイアスの値を特定し、その値に現像バイアスを調整する。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、各現像バイアス値についての現像バイアス調整用トナーパッチの露光量の変化範囲は、露光量調整用トナーパッチの露光量の変化範囲の一部または全部に重なっている。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、各現像バイアス値についての現像バイアス調整用トナーパッチの露光量の変化範囲は、露光量調整用トナーパッチの露光量の変化範囲と同一である。
【0015】
これにより、現像バイアス調整用トナーパッチについての測定結果から、調整後の露光量の値に対応する、調整後の現像バイアスの値が正確に求められる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、複数のトナー色のそれぞれについて、感光体、露光装置、および現像装置を備える。像担持体は、複数のトナー色のそれぞれについて感光体上のトナー像を転写され、センサーは、像担持体上の複数のトナー色のトナー像の濃度を測定する。そして、制御部は、複数のトナー色のそれぞれについて、上述の複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよび上述の複数の露光量調整用トナーパッチを像担持体上に形成させ、複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよび複数の露光量調整用トナーパッチについてのセンサーによる測定結果に基づいて現像バイアスおよび露光量を調整する。
【0017】
これにより、各トナー色について現像バイアスの調整が正確に行われる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の像担持体は、無終端ベルトである。上述の複数の現像バイアス調整用トナーパッチは、その無終端ベルトのある周回でその無終端ベルト上に形成され、上述の複数の露光量調整用トナーパッチは、その無終端ベルトの次の周回でその無終端ベルト上に形成される。各現像バイアス値についての現像バイアス調整用トナーパッチは連続して形成される。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の像担持体は、無終端ベルトである。上述の複数の現像バイアス調整用トナーパッチは、それぞれ前後に間隔を有する。そして、その複数の現像バイアス調整用トナーパッチの一部は、その無終端ベルトのある周回でその無終端ベルト上に形成され、その複数の現像バイアス調整用トナーパッチの残りおよび上述の複数の露光量調整用トナーパッチは、その無終端ベルトの次の周回でその無終端ベルト上に形成される。
【0020】
これにより、現像バイアス調整用トナーパッチについてのセンサー出力値と、その前および/または後の像担持体の地肌についてのセンサー出力値とを比較して、現像バイアス調整用トナーパッチの濃度を正確に測定することができる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の次の周回において、上述の複数の露光量調整用トナーパッチのうちのいずれか1つの露光量調整用トナーパッチと同一の露光量で形成される現像バイアス調整用トナーパッチおよびその露光量調整用トナーパッチは連続して形成される。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の像担持体は、中間転写体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像形成装置の現像バイアス調整が正確に行われ、画質低下の可能性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1におけるセンサーでの濃度測定を説明する図である。
【図4】図4は、実施の形態1に係る画像形成装置における露光量および現像バイアスの調整を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、実施の形態1に係る画像形成装置において形成される現像バイアス調整用トナーパッチおよび露光量調整用トナーパッチの一例を示す図である。
【図6】図6は、図5における現像バイアス調整用トナーパッチの詳細を説明する図である。
【図7】図7は、実施の形態1において現像バイアス調整用トナーパッチから得られるトナー濃度測定値の一例を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1において調整後の露光量に対応する現像バイアスを特定する方法を説明する図である。
【図9】図9は、実施の形態2に係る画像形成装置において形成される現像バイアス調整用トナーパッチおよび露光量調整用トナーパッチの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
実施の形態1.
【0027】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式の印刷機能を有する装置である。
【0028】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a〜1d、露光装置2a〜2dおよび各色の現像装置3a〜3dを有する。感光体ドラム1a〜1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。露光装置2a〜2dは、感光体ドラム1a〜1dへレーザー光を照射して静電潜像を形成する装置である。露光装置2a〜2dは、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a〜1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0029】
さらに、感光体ドラム1a〜1dの周囲には、帯電装置10a〜10d、クリーニング装置、除電器などが配置されている。帯電装置10a〜10dは、スコロトロン方式などで、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる。また、クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1dを除電する。
【0030】
現像装置3a〜3dには、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーが充填されたトナーコンテナーを装着されている。現像装置3a〜3d(つまり、トナー)と感光体ドラム1a〜1dとの間に、現像バイアスがそれぞれ印加され、現像装置3a〜3dは、そのトナーコンテナーから供給されるトナーを供給感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。トナーは、キャリアとともに現像剤を構成し、さらに、酸化チタンなどの外添剤が付加されている。
【0031】
感光体ドラム1a、露光装置2aおよび現像装置3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1b、露光装置2bおよび現像装置3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1c、露光装置2cおよび現像装置3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1d、露光装置2dおよび現像装置3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0032】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a〜1dに接触し、感光体ドラム1a〜1d上のトナー画像を1次転写される無終端(つまり、環状)の転写体であり像担持体である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ周回していく。
【0033】
転写ローラー6は、搬送されてくる用紙を中間転写ベルト4に接触させ、中間転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0034】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0035】
センサー8は、中間転写ベルト4に光線を照射し、その反射光を検出する。トナー濃度調整および露光量調整の際、センサー8は、中間転写ベルト4上に形成されたテストパターン(後述のトナーパッチ)が通過する所定の領域に光線を照射し光線の反射光を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。図2において、プリントエンジン11は、上述のローラーなどを駆動する図示せぬ駆動源、1次転写バイアスを印加するバイアス回路、現像装置3a〜3d、露光装置2a〜2dなどを制御して、トナー画像の現像、転写および定着、並びに給紙、印刷および排紙を実行させる処理回路である。1次転写バイアスは、感光体ドラム1a〜1dと中間転写ベルト4との間にそれぞれ印加される。
【0037】
また、プリントエンジン11は、センサー8の出力からトナーパターンのトナー濃度を計算する。
【0038】
図3は、図1におけるセンサー8での濃度測定を説明する図である。
【0039】
図3に示すように、センサー8は、光線を出射する光源51と、光源側のビームスプリッター52と、光源側の受光素子53と、受光側のビームスプリッター54と、第1受光素子55と、第2受光素子56とを備える。
【0040】
光源51は、例えば発光ダイオードである。ビームスプリッター52は、光源51からの光線のうち、P偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する。光源側の受光素子53は、例えばフォトダイオードであり、ビームスプリッター52からのS偏光成分を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、光源51の出力光量の安定制御に使用される。
【0041】
光源側のビームスプリッター52を透過したP偏光成分の光は、中間転写ベルト4の表面(トナーパターン41または地肌)に入射し、反射する。このときの反射光は、正反射成分と拡散反射成分とを有し、正反射成分は、P偏光となる。
【0042】
ビームスプリッター54は、反射光のうちのP偏光成分(すなわち、正反射成分)を透過し、S偏光成分を反射する。第1受光素子55は、例えばフォトダイオードであり、ビームスプリッター54を透過したP偏光成分の光を検出し、その光量に応じた電圧の電気信号を出力する。第2受光素子56は、例えばフォトダイオードであり、第1受光素子55と同様の光検出特性を有し、ビームスプリッター54で反射したS偏光成分の光を検出し、その光量に応じた電圧の電気信号を出力する。
【0043】
この実施の形態では、プリントエンジン11は、第1受光素子55の出力と第2受光素子56の出力とに基づいてトナー濃度の測定値を特定し、その測定値に基づいてトナー濃度や階調の調整を行う。なお、受光素子55,56とプリントエンジン11との間には、必要に応じて増幅器などが設けられる。
【0044】
トナー濃度は、例えば、次式に基づいて計算される。
【0045】
トナー濃度[パーセント]={1−(P−S)/(Po−So)}×100
【0046】
ここで、Pは、P偏光成分のセンサー出力値(電圧)であり、Sは、S偏光成分のセンサー出力値(電圧)であり、Poは、トナー画像のない箇所(つまり、中間転写ベルト4の地肌)でのP偏光成分のセンサー出力値(電圧)であり、Soは、トナー画像のない箇所(つまり、中間転写ベルト4の地肌)でのS偏光成分のセンサー出力値(電圧)である。
【0047】
プリントエンジン11は、例えば定期的に、トナーの濃度および階調を適正にするためにトナー濃度調整および階調調整を行う。トナー濃度調整は、上述の現像装置3a〜3dにおける現像バイアスを調整することにより行われ、トナー階調調整は、上述の露光装置2a〜2dによる露光量を調整することにより行われる。このため、現像バイアス調整用トナーパッチおよび露光量調整用トナーパッチが中間転写ベルト4上に形成され、各パッチの濃度がセンサー8で測定される。
【0048】
プリントエンジン11は、パッチ形成部21、露光量設定部22および現像バイアス設定部23を有する。
【0049】
パッチ形成部21は、現像装置3a〜3dにおける現像バイアスを変化させて複数の現像バイアス調整用トナーパッチを中間転写ベルト4上に形成させるとともに、露光装置2a〜2dによる露光量を変化させて複数の露光量調整用トナーパッチを中間転写ベルト4上に形成させる。特に、トナーパッチ形成部21は、各現像バイアスについて所定の数N(N>1,ここではN=3)の現像バイアス調整用トナーパッチを、露光量を変化させて形成させる。
【0050】
また、パッチ形成部21は、センサー8の出力値をサンプリングなどで取得し、そのセンサー8の出力値から、各トナーパッチの濃度を上述のように計算する。
【0051】
各現像バイアス値についての所定の数Nの現像バイアス調整用トナーパッチの露光量の変化範囲は、露光量調整用トナーパッチの露光量の変化範囲の一部または全部に重なるように設定される。なお、この実施の形態1では、各現像バイアス値についての所定の数Nの現像バイアス調整用トナーパッチの露光量の変化範囲は、露光量調整用トナーパッチの露光量の変化範囲と同一である。
【0052】
この実施の形態1では、上述の複数の現像バイアス調整用トナーパッチは、中間転写ベルト4のある周回で中間転写ベルト4上に形成され、上述の複数の露光量調整用トナーパッチは、次の周回で中間転写ベルト4上に形成される。また、同一の現像バイアス値で形成される上述の所定の数Nの現像バイアス調整用トナーパッチは、間隔を開けず連続して形成される。
【0053】
露光量設定部22は、露光量調整用トナーパッチについてのセンサー8による測定結果に基づいて露光装置2a〜2dによる露光量を調整する。
【0054】
現像バイアス設定部23は、複数の現像バイアス調整用トナーパッチについてのセンサー8による測定結果に基づいて、現像装置3a〜3dにおける現像バイアスを調整する。特に、現像バイアス設定部23は、上述の複数の現像バイアス調整用トナーパッチについてのセンサー8による測定結果から、現像バイアス設定部23による調整後の露光量の値に対応する現像バイアスの値を特定し、その値に現像バイアスを調整する。
【0055】
次に、実施の形態1における露光量および現像バイアスの調整時の画像形成装置の動作について説明する。図4は、実施の形態1に係る画像形成装置における露光量および現像バイアスの調整を説明するフローチャートである。図5は、実施の形態1に係る画像形成装置において形成される現像バイアス調整用トナーパッチおよび露光量調整用トナーパッチの一例を示す図である。
【0056】
測定における中間転写ベルト4の第1周回において、パッチ形成部21は、現像バイアス調整用トナーパッチを現像させ中間転写ベルト4上に形成させ、センサー8の出力値から各トナーパッチの濃度を計算する(ステップS1)。
【0057】
このとき、例えば図5に示すように、ブラック(K)について3段階に現像バイアスを変化させて得られる現像バイアス調整用トナーパッチ61K1〜61K3が形成され、イエロー(Y)について3段階に現像バイアスを変化させて得られる現像バイアス調整用トナーパッチ61Y1〜61Y3が形成され、マゼンタ(M)について3段階に現像バイアスを変化させて得られる現像バイアス調整用トナーパッチ61M1〜61M3が形成され、シアン(C)について3段階に現像バイアスを変化させて得られる現像バイアス調整用トナーパッチ61C1〜61C3が形成される。
【0058】
現像バイアス調整用トナーパッチ61Ki,61Yi,61Mi,61Ci(i=1,2,3)は、前後に間隔62K1〜62K3,62Y1〜62Y3,62M1〜62M3,62C1〜62C3を開けて配列される。
【0059】
各色の現像バイアス調整用トナーパッチ61Ki,61Yi,61Mi,61Ciは、各色の露光装置2a〜2dによる露光量を変化させた複数の現像バイアス調整用トナーパッチからなる。
【0060】
図6は、図5における現像バイアス調整用トナーパッチの詳細を説明する図である。
【0061】
例えば図6に示すように、現像バイアス調整用トナーパッチ61K1は、露光量の異なる3つの現像バイアス調整用トナーパッチ61K1a,61K1b,61K1cからなり、現像バイアス調整用トナーパッチ61K2は、露光量の異なる3つの現像バイアス調整用トナーパッチ61K2a,61K2b,61K2cからなり、現像バイアス調整用トナーパッチ61K3は、露光量の異なる3つの現像バイアス調整用トナーパッチ61K3a,61K3b,61K3cからなる。
【0062】
そして、現像バイアス調整用トナーパッチ61K1aと現像バイアス調整用トナーパッチ61K2aと現像バイアス調整用トナーパッチ61K3aは同一の露光量(光量レベル#1)で現像され、現像バイアス調整用トナーパッチ61K1bと現像バイアス調整用トナーパッチ61K2bと現像バイアス調整用トナーパッチ61K3bは同一の露光量(光量レベル#2)で現像され、現像バイアス調整用トナーパッチ61K1cと現像バイアス調整用トナーパッチ61K2cと現像バイアス調整用トナーパッチ61K3cは同一の露光量(光量レベル#3)で現像される。
【0063】
なお、現像バイアス調整用トナーパッチ61Yi,61Mi,61Ciについても同様に現像される。
【0064】
各現像バイアス調整用トナーパッチ61Kia,61Kib,61Kic,61Yia,61Yib,61Yic,61Mia,61Mib,61Mic,61Cia,61Cib,61Cic(i=1,2,3)のトナー濃度は、そのトナーパッチについてのセンサー8の出力値と、そのトナーパッチの前および/または後の間隔62Ki,62Yi,62Mi,62Ciについてのセンサー8の出力値とから計算される。
【0065】
なお、間隔62Ki,62Yi,62Mi,62Ciについてのセンサー8の出力値は、露光量調整用トナーパッチの濃度測定に使用されるため記憶される。
【0066】
この測定後、現像バイアス調整用トナーパッチ61Ki,61Yi,61Mi,61Ciは、ローラー7のクリーニングブラシにより除去される。
【0067】
次に、測定における中間転写ベルト4の第2周回において、パッチ形成部21は、露光量調整用トナーパッチを現像させ中間転写ベルト4上に形成させ、センサー8の出力値から各トナーパッチの濃度を計算する(ステップS2)。
【0068】
各色の露光量調整用トナーパッチ63K1〜63K3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3,63C1〜63C3は、各色の露光装置2a〜2dによる露光量を変化させて現像される。
【0069】
また、図5に示すように、第2周回において露光量調整用トナーパッチ63K1〜63K3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3,63C1〜63C3は、第1周回における間隔62Ki,62Yi,62Mi,62Ciに形成される。
【0070】
パッチ形成部21は、第1周回で得られた間隔62Ki,62Yi,62Mi,62Ciについてのセンサー8の出力値と、露光量調整用トナーパッチ63K1〜63K3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3,63C1〜63C3とから、露光量調整用トナーパッチ63K1〜63K3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3,63C1〜63C3のそれぞれの濃度を計算する。
【0071】
そして、露光量設定部22は、所定の濃度の目標値に基づいて、露光量調整用トナーパッチの濃度測定結果から、露光量(つまり、調整後の露光量)を決定し、露光装置2a〜2dによる露光量を更新する(ステップS3)。
【0072】
次に、現像バイアス設定部23は、露光量設定部22により決定された露光量と、露光量調整用トナーパッチ63K1〜63K3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3,63C1〜63C3の濃度測定結果とから、現像バイアス(つまり、調整後の現像バイアス)を決定し、現像装置3a〜3dにおける現像バイアスを更新する(ステップS4)。
【0073】
図7は、実施の形態1において現像バイアス調整用トナーパッチから得られるトナー濃度測定値の一例を示す図である。図7に示すように、現像バイアス調整用トナーパッチ61K1(61K1a,61K1b,61K1c)から3つの濃度測定値101が得られ、現像バイアス調整用トナーパッチ61K2(61K2a,61K2b,61K2c)から3つの濃度測定値102が得られ、現像バイアス調整用トナーパッチ61K3(61K3a,61K3b,61K3c)から3つの濃度測定値103が得られる。これにより、光量レベル#1と光量レベル#2と光量レベル#3という3つの、現像バイアスに対する濃度特性が得られる。
【0074】
したがって、露光量設定部22により決定された露光量が光量レベル#1と同一であれば、現像バイアス設定部23は、光量レベル#1での、現像バイアスに対する濃度特性を使用して、濃度目標値から現像バイアス(図7におけるVd1)を決定する。露光量設定部22により決定された露光量が光量レベル#2と同一であれば、現像バイアス設定部23は、光量レベル#2での、現像バイアスに対する濃度特性を使用して、濃度目標値から現像バイアス(図7におけるVd2)を決定する。露光量設定部22により決定された露光量が光量レベル#3と同一であれば、現像バイアス設定部23は、光量レベル#3での、現像バイアスに対する濃度特性を使用して、濃度目標値から現像バイアス(図7におけるVd3)を決定する。
【0075】
また、露光量設定部22により決定された露光量が光量レベル#1、光量レベル#2および光量レベル#3以外の値である場合には、現像バイアス設定部23は、補間により、濃度目標値に対応する現像バイアスを決定する。
【0076】
図8は、実施の形態1において調整後の露光量に対応する現像バイアスを特定する方法を説明する図である。
【0077】
露光量設定部22により決定された露光量が光量レベル#1と光量レベル#2との間であれば、現像バイアス設定部23は、図8に示すように、光量レベル#1に対応する現像バイアスVd1と光量レベル#2に対応する現像バイアスVd2とから補間して現像バイアスを決定する。同様に、露光量設定部22により決定された露光量が光量レベル#2と光量レベル#3との間であれば、現像バイアス設定部23は、光量レベル#2に対応する現像バイアスVd2と光量レベル#3に対応する現像バイアスVd3とから補間して現像バイアスを決定する。
【0078】
以上のように、上記実施の形態1によれば、プリントエンジン11は、現像装置3a〜3dにおける現像バイアスおよび露光装置2a〜2dによる露光量をそれぞれ変化させて複数の現像バイアス調整用トナーパッチを中間転写ベルト4上に形成させ、露光装置2a〜2dによる露光量を変化させて複数の露光量調整用トナーパッチを中間転写ベルト4上に形成させ、その複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよびその複数の露光量調整用トナーパッチについてのセンサー8による測定結果に基づいて、現像装置3a〜3dにおける現像バイアスおよび露光装置2a〜2dによる露光量を調整する。
【0079】
これにより、露光量を変化させて得られた現像バイアス調整用トナーパッチについての測定結果から、調整後の露光量の値に対応して、調整後の現像バイアスの値を求めることができる。このため、現像バイアス調整が正確に行われ、画質低下の可能性が低減される。
【0080】
実施の形態2.
【0081】
本発明の実施の形態2に係る画像形成装置は、実施の形態1とは異なるパターンで、現像バイアス調整用トナーパッチおよび露光量調整用トナーパッチを形成する。
【0082】
図9は、実施の形態2に係る画像形成装置において形成される現像バイアス調整用トナーパッチおよび露光量調整用トナーパッチの一例を示す図である。
【0083】
実施の形態2では、中間転写ベルト4の第1周回において、一部の現像バイアス調整用トナーパッチ61Kia,61Kib,61Kic,61Yia,61Yib,61Yic,61Mia,61Mib,61Mic,61Cia,61Cib,61Cic(i=1,2)は、それぞれ、前後に間隔を開けて配列される。そして、第2周回において、残りの現像バイアス調整用トナーパッチ61Kia,61Kib,61Kic,61Yia,61Yib,61Yic,61Mia,61Mib,61Mic,61Cia,61Cib,61Cic(i=3)が、前後に間隔を開けて、露光量調整用トナーパッチ63K1〜63K3,63C1〜63C3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3とともに配列される。
【0084】
第1周回において形成されたトナーパッチの濃度は、そのトナーパッチについてのセンサー8の出力値と、そのトナーパッチの前および/または後の間隔についてのセンサー8の出力値とから計算される。
【0085】
第2周回において形成される各現像バイアス調整用トナーパッチ61Kia,61Kib,61Kic,61Yia,61Yib,61Yic,61Mia,61Mib,61Mic,61Cia,61Cib,61Cic(i=3)は、そのトナーパッチと同一の露光量で形成される露光量調整用トナーパッチ63K1〜63K3,63C1〜63C3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3に連続して形成される。
【0086】
なお、第2周回において形成されるトナーパッチは、第1周回において形成されたトナーパッチの間隔に形成される。
【0087】
例えば、現像バイアス調整用トナーパッチ61K3aと露光量調整用トナーパッチ63K1とは同一の露光量で形成され、現像バイアス調整用トナーパッチ61K3bと露光量調整用トナーパッチ63K2とは同一の露光量で形成され、現像バイアス調整用トナーパッチ61K3cと露光量調整用トナーパッチ63K3とは同一の露光量で形成される。その他の色についても同様である。
【0088】
第2周回において形成された現像バイアス調整用トナーパッチの濃度は、そのトナーパッチについてのセンサー8の出力値と、そのトナーパッチの前および/または後の間隔についてのセンサー8の出力値(あるいは第1周回におけるそのトナーパッチの位置のセンサー8の出力値)とから計算される。また、第2周回において形成された露光量調整用トナーパッチの濃度は、そのトナーパッチについてのセンサー8の出力値と、第1周回におけるそのトナーパッチの位置のセンサー8の出力値)とから計算される。
【0089】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置のその他の構成および動作は実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0091】
例えば、上記実施の形態1,2に係る画像形成装置は、カラー画像形成装置であるが、モノクロ画像形成装置に本発明を適用することも勿論可能である。
【0092】
また、上記実施の形態1,2に係る画像形成装置は、間接転写方式の画像形成装置であるが、直接転写方式の画像形成装置にも本発明を適用することができる。その場合、現像バイアス調整用トナーパッチおよび露光量調整用トナーパッチは、印刷用紙の搬送ベルトや感光体ドラム上に形成され、センサー8と同様のセンサーでの濃度測定が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における現像バイアスの調整に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1a〜1d 感光体ドラム(感光体の一例)
2a〜2d 露光装置
3a〜3d 現像装置
4 中間転写ベルト(像担持体の一例,中間転写体の一例)
8 センサー
11 プリントエンジン(制御部の一例)
61K1a〜61K3a,61K1b〜61K3b,61K1c〜61K3c,61Y1a〜61Y3a,61Y1b〜61Y3b,61Y1c〜61Y3c,61M1a〜61M3a,61M1b〜61M3b,61M1c〜61M3c,61C1a〜61C3a,61C1b〜61C3b,61C1c〜61C3c 現像バイアス調整用トナーパッチ
63K1〜63K3,63Y1〜63Y3,63M1〜63M3,63C1〜63C3 露光量調整用トナーパッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体上に光線を照射して静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像をトナー現像する現像装置と、
前記感光体上のトナー像を転写される像担持体と、
前記像担持体上のトナー像の濃度を測定するセンサーと、
前記現像装置における現像バイアスおよび前記露光装置による露光量をそれぞれ変化させて複数の現像バイアス調整用トナーパッチを前記像担持体に形成させ、前記露光装置による露光量を変化させて複数の露光量調整用トナーパッチを前記像担持体上に形成させ、前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよび前記複数の露光量調整用トナーパッチについての前記センサーによる測定結果に基づいて前記現像装置における現像バイアスおよび前記露光装置による露光量を調整する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチについての前記センサーによる測定結果から、調整後の前記露光量の値に対応する前記現像バイアスの値を特定し、特定した値に前記現像バイアスを調整することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
1つの現像バイアス値についての前記現像バイアス調整用トナーパッチの露光量の変化範囲は、前記露光量調整用トナーパッチの露光量の変化範囲の一部または全部に重なっていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
1つの現像バイアス値についての前記現像バイアス調整用トナーパッチの露光量の変化範囲は、前記露光量調整用トナーパッチの露光量の変化範囲と同一であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数のトナー色のそれぞれについて、前記感光体、前記露光装置、および前記現像装置を備え、
前記像担持体は、前記複数のトナー色のそれぞれについて前記感光体上のトナー像を転写され、
前記センサーは、前記像担持体上の前記複数のトナー色のトナー像の濃度を測定し、
前記制御部は、前記複数のトナー色のそれぞれについて、前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよび前記複数の露光量調整用トナーパッチを前記像担持体上に形成させ、前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチおよび前記複数の露光量調整用トナーパッチについての前記センサーによる測定結果に基づいて前記現像バイアスおよび前記露光量を調整すること、
を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体は、無終端ベルトであって、
前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチは、前記無終端ベルトのある周回で前記無終端ベルト上に形成され、前記複数の露光量調整用トナーパッチは、前記無終端ベルトの次の周回で前記無終端ベルト上に形成され、
1つの現像バイアス値についての前記現像バイアス調整用トナーパッチは連続して形成されること、
を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は、無終端ベルトであって、
前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチは、それぞれ前後に間隔を有し、
前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチの一部は、前記無終端ベルトのある周回で前記無終端ベルト上に形成され、
前記複数の現像バイアス調整用トナーパッチの残りおよび前記複数の露光量調整用トナーパッチは、前記無終端ベルトの次の周回で前記無終端ベルト上に形成されること、
を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記次の周回において、前記複数の露光量調整用トナーパッチのうちのいずれか1つの露光量調整用トナーパッチと同一の露光量で形成される前記現像バイアス調整用トナーパッチおよびその露光量調整用トナーパッチは連続して形成されることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体は、中間転写体であることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−76728(P2013−76728A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214887(P2011−214887)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】