説明

画像形成装置

【課題】トナー容器を交換することによりトナーの粒度分布が変化した場合でもこれに起因した濃度変動に基づく異常画像の発生を未然に防止でき、高画質化並びに印刷物の品質向上に寄与できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体にトナー容器がセットされたとき、制御手段86は、トナー容器に備えられた記録部108に記録されたトナーの粒度分布に係るデータを読み取り、これに基づいて露光装置の露光パワーを制御し、感光体ドラム上に形成されるトナー像の濃度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいはこれらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは補給用トナーを収容したトナー容器を交換可能なタイプの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では、画像データに基づいて感光体等の像担持体に露光手段により潜像を形成し、該潜像を現像装置によりトナー像として可視像化し、該トナー像を直接にあるいは中間転写体を介して間接的に記録媒体に転写し、該記録媒体を定着装置に通して定着するようになっている。
しかしながら、種々の要因により画像濃度が変化することが知られている。常に安定した画像濃度が得られるようにするために、感光体等の像担持体上に濃度検知用のトナーパターンを作成し、そのパターン濃度を光学的検知手段により検知し、その検知結果に基づいて現像ポテンシャルを変更するようになっている。具体的には、LDパワー、帯電バイアス、現像バイアスの変更をするようになっている。
このようなプロセスコントロールは、現像装置内の現像剤のトナー濃度を調整することによりなされる。調整は、現像装置の現像容器内の現像剤へトナーを補給することによりなされ、補給用トナーが無くなった場合には、補給用トナーを収容したトナー容器を交換するようになっている。
【0003】
特許文献1では、感光体上の画像濃度調整用パターンを光学センサで測定して画像濃度の調整を行うことが記載されている。
特許文献2には、感光体上の画像濃度調整用パターンからトナー付着量を検出して画像濃度調整を行う調整部と、印刷ジョブ中に記録媒体上の印刷画像から光学センサで画像濃度を検出して画像濃度調整を行う調整部を有する構成が記載されている。
特許文献3には、感光体上に画像濃度調整用のトナーパッチを1パッチ作成し、トナー付着量と光学反射濃度との関係式からトナー付着量を換算し、換算したトナー付着量から現像バイアスを算出することで画像濃度調整を行うことが記載されている。
特許文献4には、感光体上のトナー画像濃度を検出し、現像バイアスにて画像濃度調整を行うことが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙上のトナー付着量が一定でも、トナーの粒度分布がばらつくことで紙の隠蔽率が変動し、画像濃度が変動してしまうことがある。
粒度分布が広い場合は、紙の隠蔽率が高くなり、画像濃度が高くなる傾向にある。隠蔽率は粒度分布の中でも微粉成分の影響を受けやすく、微粉成分が多いと粒子間の隙間が少なくなり、隠蔽率が高くなる傾向にある。
反対に粒度分布が狭い場合は前者よりも画像濃度が低くなる傾向にある。
また、光学的な画像濃度には大差が無い場合でも、人間の目には視覚的に検知され易く、濃度変動として認識され易い。紙質を影響する。すなわち、平滑性の高い紙はトナーの転写性が良く、トナーの粒度分布による隠蔽率の差は生じ難いが、平滑性の低い紙はトナーの転写性が悪く、隠蔽率に差が生じ易く、濃度変動として知覚されやすくなり、異常品質に繋がる。
【0005】
上記従来の技術は何れも画像形成装置内で画像濃度測定用パターンから画像濃度を検出し、その結果に基づき画像形成条件を決定し、画像濃度調整を行うものである。検出手段は光学センサによる光学的な入力値を付着量に換算しているものであり、トナーの粒度分布による紙上隠蔽率の差から生じる濃度変動を検出することはできない。
印刷画像から画像濃度を検出する手段も提案されているが、一旦は画像形成を行う必要があり、その後の内部演算結果に基づき画像形成条件を決定するため、ダウンタイムや生産性低下は避けられない。
このため、トナー交換時にトナーの粒度分布が変化する場合、従来技術では粒度分布変動に起因する濃度変動を未然に防止することはできなかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、トナー容器を交換することによりトナーの粒度分布が変化した場合でもこれに起因した濃度変動に基づく異常画像の発生を未然に防止でき、高画質化並びに印刷物の品質向上に寄与できる画像形成装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、像担持体と、該像担持体を帯電させる帯電手段と、前記像担持体を露光する露光手段と、前記像担持体上に形成された潜像を、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持した現像剤担持体で現像する現像手段と、前記現像手段にトナーを補給するトナー補給手段と、を備え、前記トナー補給手段は、補給用トナーを収容した交換可能なトナー容器を有する画像形成装置において、前記トナー容器は、前記補給用トナーの粒度分布情報が記録された記録部を備え、画像形成装置本体には、前記粒度分布情報を読み取る読み取り部が設けられ、前記粒度分布情報に応じて画像形成条件を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トナーの粒度分布に適した付着量に調整することができるので、光学的に検知された画像濃度では差がないが知覚されやすい濃度変化を抑制することができ、高画質化並びに印刷物の品質向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】トナー補給手段の構成を示す斜視図である。
【図3】トナー容器の構成を示す斜視図である。
【図4】制御ブロック図である。
【図5】トナーの粒度分布をパラメータとしたときの画像濃度と用紙上のトナー付着量との関係を示す特性図である。
【図6】感光体上のトナー現像量と現像ポテンシャルとの関係を示す特性図である。
【図7】粒度分布をパラメータとしたときの画像濃度と付着量との関係を示す特性図である。
【図8】露光パワーと現像ポテンシャルとの関係を示す特性図である。
【図9】第2の実施形態における露光時間と現像ポテンシャルとの関係を示す特性図である。
【図10】第3の実施形態における露光エネルギーと現像ポテンシャルとの関係を示す特性図である。
【図11】第4の実施形態における現像バイアスと現像ポテンシャルとの関係を示す特性図である。
【図12】制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのカラー複写機を示す断面構成図である。このカラー複写機は、中央に複写機本体100、その下部にテーブル状に構成された給紙部200が配置され、複写機本体100の上方にスキャナ300、スキャナ300の上方に自動原稿搬送装置400を配置した構成となっている。
複写機本体100には、複数のローラ14、15、16に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された中間転写体としての中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、複数のローラ14、15、16のうち1つのローラが図示していない駆動装置によって回転駆動され、これにより中間転写ベルト10が矢印で示す図中時計回り方向に走行駆動され、他のローラが従動回転する。
【0011】
このように走行する中間転写ベルト10の上部走行辺には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各作像ユニット18が横に並んで配置されている。すなわち、ローラ14とローラ15間のベルト走行辺上に、4つの画像形成手段18を配置してタンデム作像部20を構成している。
4個の作像ユニット18は、中間転写ベルト10に接する潜像担持体としての感光体ドラム40を具備している。感光体ドラム40の周りには、帯電装置、現像手段としての現像装置、クリーニング装置、除電装置等が配置され、感光体ドラム40が中間転写ベルト10に接する位置における中間転写ベルト10の内側には転写装置62が設けられている。
【0012】
本実施形態の場合、4個の作像ユニット18は同一構造に構成されているが、現像装置のトナーの色がブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色に異なっている。
各作像ユニット18の上方には光変調されたレーザ光を各感光体ドラム表面に照射する露光手段としての露光装置21が配置され、レーザ光は帯電装置と現像装置との間で感光体ドラムに照射される。露光装置21は、各作像ユニット18毎に設けてもよいが、共通の露光装置21を用いればコストの点で有利である。
中間転写ベルト10を挟んでタンデム作像部20と反対の側には、2次転写装置22が設けられている。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を巻き掛け、該ベルトが中間転写ベルト10を介してローラ16に押し当てられるように配置されている。
【0013】
図1において、2次転写装置22の左横には、シート上に担持された転写画像を定着するための定着装置25が設けられている。定着装置25は、加圧ローラ27と、該加圧ローラ27に押し当てた無端ベルトである定着ベルト26とを具備している。
2次転写装置22は、画像転写後のシートを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。もちろん、2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、転写後のシートを定着装置25まで搬送するシート搬送装置を、別途設ける必要が生ずる。
2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備えている。
【0014】
上記のように構成されたカラー複写機を用いてコピーをとる場合について説明する。まず、自動原稿搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、自動原稿搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
図示していないスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300が駆動され、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。
第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0015】
図示していないスタートスイッチを押すと、中間転写ベルト10が回転走行し、同時に、個々の作像ユニット18でその感光体ドラム40が回転して各感光体ドラム40上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像が形成される。
中間転写ベルト10の走行とともに、それらの単色画像が順次転写されて中間転写ベルト10上に合成カラー画像が形成される。
上記スタートスイッチを押すことで、給紙部200の給紙ローラ42の1つが選択的に回転駆動され、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートが繰り出される。シートは分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に入れられ、搬送ローラ対47で搬送されて複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ対49に突き当てて止められる。
【0016】
手差し給紙を選択した場合には、給紙ローラ50が回転して手差しトレイ51上のシートが繰り出され、分離ローラ52で1枚ずつ分離されて手差し給紙路53に入れられ、同じくレジストローラ対49に突き当てて止められる。
中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対49が回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートが送り込まれる。2次転写装置22でシート上に一括してフルカラー画像が転写され、記録される。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送されて定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で熱と圧力とを加えられて転写画像を定着された後、切換爪55で切り換えられて排出ローラ対56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
あるいは、切換爪55で切り換えられシート反転装置28に入れられ、そこで反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を記録されて後、排出ローラ対56で排紙トレイ57上に排出される。
【0017】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去され、タンデム作像部20による再度の画像形成に備える。
図2は、作像ユニット18の現像装置にトナーを補給するトナー補給手段を示す斜視図である。この図において、符号60は各色作像ユニット18毎に設けられる現像装置を示している。
トナー補給手段85は、各現像装置60へ補給するトナーを収納したトナー収納手段としてのトナー容器80を備えている。本実施形態では図2の左下から右上に向かって、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4つが複写機本体100に設けられたセット部(図示せず)にセットされて配置されている。
【0018】
各色のトナー容器80から各現像装置60へトナーを補給する機構は同一であるので、図2で一番手前に位置するブラック用の機器に符号を付して代表して説明する。
トナー容器80をセットする複写機本体のセット部には、トナー容器80内に挿入されるノズル90が図示していない機枠に設けられており、ノズル90と粉体ポンプ70とがトナー補給チューブ91で接続されている。
トナー容器80をセット部へセットすることにより、ノズル先端がトナー容器80の下部に装着されている取付部材101の弁室内に挿入され、トナー容器80内と粉体ポンプ70とが連通する。
粉体ポンプ70は、駆動モータ71により回転駆動される駆動シャフト72に装着された駆動シャフトギヤ73から連絡ギヤ74を介して駆動される。粉体ポンプ70としては周知の構成のモーノポンプを採用することができる。
粉体ポンプ70により移送されたトナーは、一旦サブホッパ75に収納され、サブホッパ下部のトナー補給口76より現像装置60へ供給される。
【0019】
図3は、トナー容器80の斜視図である。トナー容器80は、袋状のトナー収容体81と、排出用部材としての取付部材101とで構成されている。トナー収納体81は軟包材と呼ばれる厚さ50〜300μm程度のフィルム状の樹脂を溶着して袋状に形成され、あるいは成形樹脂で形成されている。
トナーTを収容したトナー収容体81と、取付部材101とは装着部材107を介して一体化されている。
取付部材101はその弁室内を塞ぐ弁体105を有しており、ノズル90が弁体105を押して移動させることにより、ノズル90が弁室内に入り、トナー容器80内と粉体ポンプ70とが連通する。
【0020】
取付部材101には、トナー容器80に収容された補給用トナーの粒度分布情報が記録された記録部108が備えられている。
図4(a)に示すように、記録部108は、トナーの粒度分布情報に係るデータを入出力することが可能な記憶手段としてのIDチップからなる。
装置本体側には、トナー容器80がセットされたときに、記録部108からデータを読み込むデータ処理手段としての制御手段86が設けられている。制御手段86は、読み込んだデータに基づいて、露光装置21を制御する。制御の詳細は後述する。
【0021】
以下に、本発明に係る用語について説明する。
[トナー粒度分布]
トナーの粒度分布はコールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布測定装置で測定され、装置としてはコールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径、個数平均粒径、微粉含有率、粗粉含有率を求めることができる。
【0022】
一般に、体積平均粒経をDv、個数平均粒経をDnとしたとき、粒度分布はDv/Dnで表される。粒経に分布が無く、単一粒経で揃っている場合はDv/Dn=1となり、粒度分布が広がるに従いDv/Dnの値は大きくなる。粒度分布の広がりは、微粉含有率で表される微粉成分の量と、粗粉含有率で表される粗粉成分の量で決まってくるが、粗粉成分よりも微粉成分の方がトナー粒子の個数が多く、また粒度分布測定装置で計測できない超微粉の影響もあるため、紙上隠蔽率の変動要因としては粗粉成分よりも微粉成分の方が影響が大きい。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。微粉とする粒経チャンネルは任意だが、一般に2〜3μm以下が微粉とされる場合が多い。
【0023】
[粒度分布と画像濃度]
トナーの粒度分布をパラメータとしたときの画像濃度と用紙上のトナー付着量の関係を図5に示す。
ここで、トナーの粒度分布はDv/Dnで表しており、Dv/Dnの値が大きい方がトナーの粒度分布が広い。
画像濃度は付着量と共に増加し、途中から飽和傾向を示すが、Dv/Dnが高い方が画像濃度の水準は高い。紙上のトナー付着量が一定の場合、Dv/Dnが高い方が紙表面の隠蔽率が高く、紙の白部が無くなるため、画像濃度は高く検知される傾向にある。
【0024】
[付着量制御]
用紙上のトナー付着量は感光体上のトナー現像量を調整することで制御されている。感光体上のトナー現像量と現像ポテンシャルの関係を図6に示す。感光体上のトナー現像量は現像ポテンシャルと相関関係にあり、現像ポテンシャルを増減調整することで感光体上のトナー現像量を調整する。
ここで、図1において、感光体ドラム40に現像されたトナーは、転写装置62にて中間転写ベルト10へ一次転写され、4個の作像ユニットの一次転写が完了した後に、ローラ14と2次転写装置22との中間に位置する図示しない光学センサによって中間転写ベルト上のトナー量として検知される。
ここで検知された中間転写ベルト上のトナー量が所定量になるよう現像ポテンシャルにフィードバックされ、現像ポテンシャルの適正化により感光体上のトナー現像量が適正量に調整される。
【0025】
このとき、感光体上のトナー現像量が一定制御されていても、すなわち用紙上のトナー付着量が所定量になるように制御されていても、粒度分布が変動すると図5に示すように画像濃度が変動してしまう。
粒度分布が変動する場合は付着量をそれに応じて調整する必要があるため、粒度分布の情報を予め画像形成装置に入力しておく必要がある。
【0026】
次に本実施形態の特徴部分を詳細に説明する。
粒度分布の異なるトナーを用いて画像濃度が一定になるよう付着量の調整を行う。
粒度分布Dv/Dnが、1.05、1.18、1.34のトナーを用いて実験を行った。用紙上の付着量を段階的に変化させ、その時の画像濃度を反射濃度計を用いて測定した。用紙はNBSリコー製マイペーパー、反射濃度計はX-Rite(X-Rite社製)を使用した。粒度分布をパラメータとしたときの画像濃度と付着量の関係を図7に示す。
所望の画像濃度制御値を1.5としたとき、粒度分布Dv/Dn=1.05の場合は付着量0.51mg/cm2となり、粒度分布Dv/Dn=1.34の場合は付着量0.35mg/cm2となった。
粒度分布Dv/Dn=1.18の場合は付着量0.43mg/cm2となるが、仮に付着量をこのまま0.43mg/cm2に固定すると、粒度分布Dv/Dn=1.05の場合は画像濃度下限外となる。一方、粒度分布Dv/Dn=1.34の場合は画像濃度上限外となり、何れも画像濃度制御域を外れることになる。
これに対し、予め粒度分布の情報を画像形成装置で保持し、各々の粒度分布に適した最適な付着量を制御値として設定し、その制御値になるよう付着量を調整することで、画像濃度変動が抑制でき、良好な画像形成を行うことができる。
【0027】
用紙上のトナー付着量を制御するために、感光体上のトナー現像量を制御する。図6より、感光体上のトナー現像量と現像ポテンシャルは相関関係にあるため、本実施形態では、現像ポテンシャルを調整することにより感光体上のトナー現像量を制御する。
具体的には、図4(a)に示すように、現像ポテンシャルを制御する手段としての制御手段86は、露光手段21の潜像担持体への露光パワーを制御する。
露光手段21が有する光源としてのLD(レーザーダイオード)による露光パワーと現像ポテンシャルとの関係を図8に示す。露光パワーと現像ポテンシャルとは相関関係にあり、露光パワーを制御することで、トナーの粒度分布に適した所望の現像ポテンシャルを得ることができる。
制御手段86の図示しないメモリには、予め求められた粒度分布と露光パワーとの関係が制御テーブルとして記憶されており、制御手段86は取得した粒度分布データに基づいて上記制御テーブルから調整量を決定する。
装置本体側で読み取ったID情報は制御手段86の図示しないメモリに保持される。トナー容器の交換時はID情報の更新でトナー交換を認識し、交換されたトナーの粒度分布に適した付着量に調整する。
【0028】
図9に基づいて第2の実施形態を説明する。
なお、上記実施形態と同一部分の説明は適宜省略し、要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では、現像ポテンシャルを制御する方法として、露光手段の潜像担持体への露光時間を制御する。LD露光時間と現像ポテンシャルとの関係を図9に示す。
露光時間と現像ポテンシャルは相関関係にあり、露光時間を制御することで、トナーの粒度分布に適した所望の現像ポテンシャルを得ることができる。
【0029】
図10に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、現像ポテンシャルを制御する方法段として、露光手段の潜像担持体への露光パワーと露光時間の積、すなわち露光エネルギーを制御する。
露光エネルギーと現像ポテンシャルとの関係を図10に示す。露光エネルギーと現像ポテンシャルは相関関係にあり、露光エネルギーを制御することで、トナーの粒度分布に適した所望の現像ポテンシャルを得ることができる。
【0030】
図11及び図12に基づいて第4の実施形態を説明する。
本実施形態では、現像ポテンシャルを制御する方法として、現像装置の現像剤担持体としての現像ローラに印加する現像バイアスを制御する。
現像バイアスと現像ポテンシャルとの関係を図11に示す。現像バイアスと現像ポテンシャルは相関関係にあり、図12に示すように、現像バイアスを制御することで、トナーの粒度分布に適した所望の現像ポテンシャルを得ることができる。
【0031】
上記各実施形態では、トナー容器80の記録部108に記録されたトナーの粒度分布情報に係るデータを受信する構成を述べたが、図4(b)に示すように、記録部108の情報がバーコードやマトリクス型の二次元コード、あるいは文字や記号等の画像であり、これを光学センサ88で読み取る構成としてもよい。
また、データのやり取りを磁気的に行う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0032】
21 露光手段としての露光装置
40 像担持体としての感光体ドラム
60 現像手段としての現像装置
80 トナー容器
85 トナー補給手段
86 読み取り部としての制御手段
108 記録部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2009-282496号公報
【特許文献2】特開2010-060673号公報
【特許文献3】特開2010-139553号公報
【特許文献4】特開2010-164748号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体を帯電させる帯電手段と、前記像担持体を露光する露光手段と、前記像担持体上に形成された潜像を、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持した現像剤担持体で現像する現像手段と、前記現像手段にトナーを補給するトナー補給手段と、を備え、前記トナー補給手段は、補給用トナーを収容した交換可能なトナー容器を有する画像形成装置において、
前記トナー容器は、前記補給用トナーの粒度分布情報が記録された記録部を備え、画像形成装置本体には、前記粒度分布情報を読み取る読み取り部が設けられ、
前記粒度分布情報に応じて画像形成条件を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記記録部が前記粒度分布情報に係るデータを入出力可能な記憶手段であり、前記読み取り部が前記データを読み込むデータ処理手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成条件が、前記露光手段の前記像担持体への露光パワーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成条件が、前記露光手段の前記像担持体への露光時間であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成条件が、前記現像剤担持体に印加する電圧であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記記録部が前記粒度分布情報を記憶したIDチップからなることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−97316(P2013−97316A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242522(P2011−242522)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】