説明

画像書込装置および画像形成装置

【課題】複数の発光素子を有する画像書込装置において、分布情報に基づいて設定しない場合に比べて、簡便な方法で濃度ムラを抑えること。
【解決手段】複数の発光素子を有し、像保持体(Py)表面に潜像を書き込む書込部材(1〜3)と、前記書込部材(1〜3)毎に予め測定された前記発光素子の光量分布(6)を特定する分布情報を取得する分布情報取得手段(C4C)と、分布情報(6)に基づいて、前記書込部材(1〜3)で書き込まれる画像濃度を均一化させる補正情報(7)を設定する補正情報設定手段(C4F)と、前記補正情報設定手段(C4F)で設定された補正情報(7)に基づいて、前記書込部材(1〜3)を作動させて潜像の書込を制御する書込制御手段(C6)と、を備えた画像書込装置(LHy)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像書込装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、画像を書き込む画像書込装置に関して、以下の特許文献1〜5に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開平10−811号公報には、発光素子をアレイ状に配列したプリントヘッド(30a〜30c)に対して、発光素子を1つおきに発光させたり、4つおきに発光させて印画紙に印刷した画像を濃度計で読み取って、全素子の露光量データの平均値である基準露光量と各素子の露光量との補正量を、発光素子1つ毎に演算して、画像形成時に補正量を使用して露光量のばらつきを補正する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2としての特開2002−307745号公報には、LEDアレイ(32)から出射される露光光の主走査方向の光量のばらつきを補正するために、出荷時またはメンテナンス時にテスト画像を形成して、形成されたテスト画像を画像読み取り部(10)で読み取って、取得された濃度データからLEDアレイ(32)の中の補正が必要なLEDチップ(32a)を特定して、LEDチップ(32a)の露光光の光量を補正する技術が記載されている。
【0005】
特許文献3としての特開2004−338367号公報には、記録素子が配列されたプリントヘッドにおいて、各記録素子に対応する光量補正を行うために、補正用画像を印画紙2に印刷した後に、画像読取装置(70)により濃度測定を行い、取得した濃度から各記録素子に対する補正量を求める技術が記載されている。
【0006】
特許文献4としての特開2008−90209号公報には、LEDヘッド(100)の主走査方向両端から突出する調整ピン(112,113)が画像形成装置(10)の位置決め部(26)に当たることでLEDヘッド(100)が位置決めされる構成において、最大焦点位置のばらつきに応じて、調整ピン(112,113)の突出量を調整することで、LEDヘッド(100)を主走査方向に対して傾けて、焦点位置のばらつきを抑える技術が記載されている。
【0007】
特許文献5としての特開平9−1857号公報には、弾性変形可能なLED基板(6)状にLEDチップ(12)が保持された状態で、アジャスト機構(8)でLED基板(6)を弾性変形させて、各LEDチップ(12)の焦点が感光体ドラム(2)上に結像されるように調整する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−811号公報(「0029」〜「0043」、図2〜図6)
【特許文献2】特開2002−307745号公報(「0025」〜「0029」)
【特許文献3】特開2004−338367号公報(「0209」〜「0242」)
【特許文献4】特開2008−90209号公報(「0028」〜「0053」、図3、図5〜図8)
【特許文献5】特開平9−1857号公報(「0015」〜「0025」、図1〜図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、複数の発光素子を有する画像書込装置において、分布情報に基づいて補正情報を設定しない場合に比べて、簡便な方法で濃度ムラを抑えることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の画像書込装置は、
潜像を書き込む方向に配置された複数の発光素子を有し、像保持体表面に潜像を書き込む書込部材と、
前記書込部材毎に予め測定された前記発光素子の光量分布を特定する分布情報を取得する分布情報取得手段と、
分布情報に基づいて、前記書込部材で書き込まれる画像濃度を均一化させる補正情報を設定する補正情報設定手段と、
前記補正情報設定手段で設定された補正情報に基づいて、前記書込部材を作動させて潜像の書込を制御する書込制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像書込装置において、
前記書込部材に支持され、且つ、前記分布情報を記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体に記憶された前記分布情報を取得する前記分布情報取得手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像書込装置において、
作業者が入力可能な入力部と、
前記入力部から入力された前記分布情報を取得する前記分布情報取得手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像書込装置において、
前記書込部材毎の前記分布情報に対応して、予め設定された補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された前記補正情報の中から、前記分布情報取得手段で取得された分布情報に対応する前記補正情報を設定する前記補正情報設定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像書込装置において、
前記分布情報取得手段で取得された前記分布情報に基づいて、前記補正情報を演算する補正情報演算手段と、
前記補正情報演算手段で演算された前記補正情報を設定する前記補正情報設定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像書込装置において、
前記補正情報設定手段で設定された補正情報に基づいて、前記各発光素子の光量を制御して、潜像の書込を制御する前記書込制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像書込装置において、
前記発光素子の光量分布となるように予め設定された前記各発光素子の光量を制御する情報である初期光量制御情報と、前記補正情報とに基づいて、前記発光素子の光量を制御する光量制御情報を演算する光量制御演算手段と、
前記光量制御情報に基づいて、潜像の書込を制御する前記書込制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像書込装置において、
前記補正情報設定手段で設定された補正情報に基づいて、書き込まれる画像の階調を補正して、潜像の書込を制御する前記書込制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像書込装置において、
前記光量分布に基づいて、各発光素子の焦点位置が前記像保持体表面となるように前記像保持体の副走査方向に沿って傾斜させた状態で支持された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像書込装置において、
前記像保持体に対して接近、離間する方向に沿って延びる回転軸を中心として、前記像保持体の副走査方向に沿って傾斜可能に支持された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の画像書込装置において、
前記像保持体に対して接近、離間する方向に移動可能に支持されると共に、前記像保持体の主走査方向に沿った状態且つ前記書込部材の焦点距離が極大の位置が前記感光体表面に対応する状態から、前記副走査方向に傾斜させた状態で支持された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像書込装置において、
前記像保持体の主走査方向に沿って、複数配置された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
前記技術的課題を解決するために、請求項13に記載の発明の画像形成装置は、
像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する請求項1ないし12のいずれかに記載の画像書込装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に最終的に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、分布情報に基づいて補正情報を設定しない場合に比べて、複数の発光素子を有する画像書込装置において、簡便な方法で濃度ムラを抑えることができる。
請求項2に記載の発明によれば、書込部材に支持され記憶媒体に記憶された分布情報に基づいて、自動的に補正情報を設定できる。
請求項3に記載の発明によれば、入力部から入力された分布情報に基づいて、自動的に補正情報を設定できる。
請求項4に記載の発明によれば、予め記憶された補正情報の中から補正情報を検索して自動的に設定できる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、補正情報を分布情報から自動的に演算でき、演算された補正情報を設定できる。
請求項6に記載の発明によれば、光量を制御しない場合に比べて、画像処理が必要なくなり、画像書込装置以外の部材の設定を変更せずにムラを抑えることができる。
請求項7に記載の発明によれば、発光素子の光量制御情報の補正を行うことができる。
請求項8に記載の発明によれば、補正情報に基づいて階調補正行って、濃度ムラを抑えることができる。
請求項9に記載の発明によれば、書込部材を傾斜させない場合に比べて、簡便な方法で濃度ムラを抑えることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、回転軸を中心として書込部材を傾斜させるという簡便な方法で、濃度ムラを抑えることができる。
請求項11に記載の発明によれば、極大の位置を基準に光量分布のムラを抑えることができる。
請求項12に記載の発明によれば、主走査方向に長い画像を書込可能な画像書込装置において、簡便な方法で濃度ムラが抑えることができる。
請求項13に記載の発明によれば、分布情報に基づいて補正情報を設定しない場合に比べて、複数の発光素子を有する画像書込装置において、簡便な方法で濃度ムラを抑えることができ、画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の可視像形成部材の説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像書込装置の説明図である。
【図4】図4は実施例1の画像形成装置の制御部分が備えている各機能をブロック図で示した図である。
【図5】図5は実施例1の焦点プロファイルの説明図である。
【図6】図6は、実施例1の補正テーブルの説明図であり、図6Aは焦点撓み量が大きな凸型の焦点プロファイルに対応して設定された補正テーブルの説明図、図6Bは焦点撓み量が小さな凸型の焦点プロファイルに対応して設定された補正テーブルの説明図、図6Cは焦点撓み量が大きな凹型の焦点プロファイルに対応して設定された補正テーブルの説明図である。
【図7】図7は実施例1の階調補正の一例の説明図であり、図7Aは階調補正前の説明図、図7Bは階調補正後の説明図である。
【図8】図8は本発明の実施例1の濃度ムラ調整処理のフローチャートである。
【図9】図9は実施例2のブロック図であり、実施例1の図4に対応する図である。
【図10】図10は実施例1の調整情報の説明図であり、図10Aは波形の焦点プロファイルの説明図、図10Bは凸型の焦点プロファイルの説明図である。
【図11】図11は本発明の実施例2の濃度ムラ調整処理のフローチャートである。
【図12】図12は実施例3のブロック図であり、実施例1の図4に対応する図である。
【図13】図13は実施例3の濃度ムラ調整の説明図であり、図13Aは初期光量制御情報と補正テーブルとの関係の説明図、図13Bは補正テーブルに基づいて光量制御情報が演算された状態の説明図である。
【図14】図14は本発明の実施例3の濃度ムラ調整処理のフローチャートである。
【図15】図15は実施例4の潜像形成装置の要部説明図である。
【図16】図16は実施例4の濃度ムラ調整方法の説明図であり、位置合わせ工程の説明図である。
【図17】図17は実施例4の濃度ムラ調整方法の説明図であり、傾斜合わせ工程の説明図である。
【図18】図18は実施例4の濃度ムラ調整方法における傾斜角度の算出方法の説明図であり、図18Aは平面図、図18Bは側面図である。
【図19】図19は特許文献4に記載された従来技術の濃度ムラ補正方法の説明図である。
【図20】図20は図19に示す従来技術の濃度ムラ補正方法における焦点プロファイルの変化の説明図であり、図20Aは平行移動させた場合の説明図、図20Bは主走査方向に対して傾斜させた場合の説明図である。
【図21】図21は実施例4の変更例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、入力部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像情報入力装置の一例としてのイメージ入力装置U1、給紙装置U2、画像形成装置本体U3、および用紙処理装置U4を有している。
【0029】
前記ユーザインタフェースUIは、表示部の一例としての表示パネルUI0や、複数の入力釦等を有している。
前記イメージ入力装置U1は、自動原稿搬送装置U1aおよび画像読取部の一例としてのイメージスキャナU1b等により構成されている。図1において、イメージ入力装置U1では、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
給紙装置U2は、複数の媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4や、前記各給紙トレイTR1〜TR4に収容された媒体の一例としての記録シートSを取り出して画像形成装置本体U3に搬送する給紙路SH1等を有している。
【0030】
図1において、画像形成装置本体U3は、前記給紙装置U2から搬送された記録シートSに画像記録を行う画像記録部U3a、現像剤供給装置の一例としてのトナーディスペンサー装置U3b、および、搬送路の一例としてのシート搬送路SH2や、用紙排出路SH3、用紙反転路SH4、用紙循環路SH6等を有している。なお、前記画像記録部U3aについては後述する。
また、画像形成装置本体U3は、制御部の一例としてのコントローラC、および、前記コントローラCにより制御される潜像書込装置駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路D、前記コントローラCにより制御される電源回路E等を有している。
【0031】
コントローラCにより作動を制御されるレーザ駆動回路Dは、前記イメージ入力装置U1から入力されたY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像情報に応じたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、画像書込装置の一例としての各色の潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
前記各色の潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkの下方には、像形成ユニット用の引出部材U3cが左右一対の案内部材R1,R1により、画像形成装置本体U3の前方に引き出された引出位置と画像形成装置本体U3内部に装着された装着位置との間で移動可能に支持されている。
【0032】
図2は実施例1の可視像形成部材の説明図である。
図1、図2において、K色の像保持体ユニットUkは、感光体Pk、放電器の一例としての帯電器CCk、および像保持体用清掃器の一例としてのクリーナCLkを有している。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUy,Um,Ucも、像保持体の一例としての感光体Py,Pm,Pc、帯電器CCy,CCm,CCc、クリーナCLy,CLm,CLcを有している。なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体Pkは、他の色の感光体Py,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
前記各像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukと現像ロールR0を有する現像器Gy,Gm,Gc,Gkとにより可視像形成部材Uy+Gy,Um+Gm,Uc+Gc,Uk+Gkが構成されている。前記像形成ユニット用の引出部材U3cには、前記像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukおよび現像器Gy,Gm,Gc,Gkが着脱可能に装着される。
【0033】
図1において、感光体Py,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電器CCy,CCm,CCc,CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkの出力する画像書込光によりその表面に静電潜像が形成される。前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像は、現像器Gy,Gm,Gc,GkによりY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の色の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0034】
感光体Py,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写器の一例としての一次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、一次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで、中間転写体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、画像記録領域の一例としての二次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体Pkおよび現像器Gkのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
一次転写後、感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の残留トナーは像保持体用のクリーナCLy,CLm,CLc,CLkによりクリーニングされる。
【0035】
前記像形成ユニット用の引出部材U3cの下方には、中間転写体用の引出部材U3dが画像形成装置本体U3の前方に引き出された引出位置と画像形成装置本体U3内部に装着された装着位置との間で移動可能に支持されている。前記中間転写体用の引出部材U3dにより、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが、前記感光体Py,Pm,Pc,Pkの下面に接触する上昇位置と前記下面から下方に離れた下降位置との間で昇降可能に支持されている。
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aと、前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kとを有している。ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aは、中間転写駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfおよび二次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aを有する。そして、前記中間転写ベルトBは、前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0036】
前記バックアップロールT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtの二次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bは、前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに離隔および接触可能に配置されており、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと接触する領域により、画像記録領域の一例としての2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには電圧印加部材の一例としてのコンタクトロールT2cが当接しており、前記ロールT2a〜T2cにより2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cにはコントローラCにより制御される電源回路から所定のタイミングでトナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0037】
前記ベルトモジュールBMの下方には、搬送路の一例としてのシート搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2から給紙された記録シートSは、搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、給紙路SH1からシート搬送路SH2に搬送される。そして、搬送時期調節部材の一例であって、下流端揃え部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、媒体案内部材SGr、転写前媒体案内部材SG1を通って2次転写領域Q4に搬送される。
なお、媒体案内部材SGrはレジロールRrとともに、画像形成装置本体U3に固定されている。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記記録シートSに転写される。なお、フルカラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録シートSに2次転写される。
【0038】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。なお、前記2次転写ロールT2bおよびベルトクリーナCLBは、中間転写ベルトBと離隔および接触可能に支持されている。
前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、中間転写ベルトB、二次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体Py〜Pk表面の画像を記録シートSに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
前記可視像形成部材Uy+Gy〜Uk+Gk、転写装置T1+B+T2+CLBにより、実施例1の画像記録部U3aが構成されている。
【0039】
トナー像が2次転写された前記記録シートSは、転写後媒体案内部材SG2、定着前媒体搬送部材の一例としての用紙搬送ベルトBHを通って定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが圧接する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記記録シートS上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。前記定着装置Fの下流側には搬送路切替部材GT1が設けられている。前記搬送路切替部材GT1はシート搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着された記録シートSを、用紙排出路SH3または用紙反転路SH4側のいずれかに選択的に切り替える。前記用紙排出路SH3に搬送された用紙Sは、用紙処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。
【0040】
用紙搬送路SH5の途中には、カール補正装置U4aが配置されており、前記用紙搬送路SH5には搬送路切替部材の一例としての切替ゲートG4が配置されている。前記切替ゲートG4は、前記画像形成装置本体U3の用紙搬送路SH3から搬送された記録シートSを、湾曲、いわゆる、カールの方向に応じて、第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2のいずれかの側に搬送する。前記第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2に搬送された記録シートSは、通過時にカールが補正される。カールが補正された記録シートSは、排出部材の一例としての排出ロールRhから用紙処理装置U4の排出部の一例としての排出トレイTH1に用紙の画像定着面が上向きの状態、いわゆる、フェイスアップ状態で排出される。
【0041】
前記搬送路切替部材GT1により画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4側に搬送された記録シートSは、弾性薄膜状部材により構成された搬送方向規制部材、いわゆる、マイラーゲートGT2を押しのける形で通過して、画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4に搬送される。
前記画像形成装置本体U3の用紙反転路SH4の下流端には、用紙循環路SH6および用紙処理装置U4の用紙反転路SH7が接続されており、その接続部にもマイラーゲートGT3が配置されている。前記切替ゲートGT1を通って用紙搬送路SH4に搬送された用紙は、前記マイラーゲートGT3を通過して用紙反転路SH7側に搬送される。両面印刷を行う場合には、用紙反転路SH4を搬送されてきた記録シートSは、前記マイラーゲートGT3をそのまま一旦通過して、用紙反転路SH7に搬送された後、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックさせられると、マイラーゲートGT3により搬送方向が規制され、スイッチバックした記録シートSが用紙循環路SH6側に搬送される。前記用紙循環路SH6に搬送された記録シートSは前記給紙路SH1を通って前記転写領域Q4に再送される。
前記用紙反転路SH4、用紙循環路SH6、用紙反転路SH7などにより、実施例1の反転路の一例としてのシート反転路SH4+SH6+SH7が構成されている。
【0042】
一方、用紙反転路SH4を搬送される記録シートSを、記録シートSの後端がマイラーゲートGT2を通過後、マイラーゲートGT3を通過する前に、スイッチバックすると、マイラーゲートGT2により記録シートSの搬送方向が規制され、記録シートSは表裏が反転された状態で用紙搬送路SH5に搬送される。表裏が反転された記録シートSは、カール補正装置U4aによりカールが補正された後、前記用紙処理装置U4の用紙排出トレイTH1に、用紙Sの画像定着面が下向きの状態、いわゆる、フェイスダウン状態で排出することができる。
前記符号SH1〜SH7で示された要素により媒体搬送路SHが構成されている。また、前記符号TR1〜TR4,SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1〜GT3,C等で示された要素により、媒体搬送装置の一例としてのシート搬送装置SUが構成されている。
【0043】
(画像書込装置の説明)
図3は実施例1の画像書込装置の説明図である。
図2、図3において、実施例1の画像書込装置の一例としての潜像書込装置LHy〜LHkでは、感光体Py〜Pkの回転方向である副走査方向に対して、上流側に配置された第1の書込部材の一例としての上流ヘッド1と、上流ヘッド1の下流側に配置された第2の書込部材の一例としての第1下流ヘッド2および第2下流ヘッド3とを有する。各ヘッド1〜3は、書込素子の一例であって発光素子の一例としてのLED4:Light Emission Diodeが、感光体Py〜Pkの幅方向である主走査方向に沿った線上、いわゆるアレイ上に沿って配置された構成、いわゆるLEDヘッドにより構成されている。
図3において、上流ヘッド1は、感光体Py〜Pkの最大画像の書込幅L1に対して、感光体Py〜Pkの幅方向である主走査方向の中央部に設定された第1の書込可能領域L2に画像の一例としての潜像を書込可能に構成されている。
【0044】
また、第1下流ヘッド2は、感光体Py〜Pkの幅方向の一部である前端から中央部に設定され、且つ、第1の書込可能領域L2に後側の一部が重複する第2の書込可能領域L3に対して潜像を書込可能に構成されている。
さらに、第2下流ヘッド3は、感光体Py〜Pkの幅方向の一部である後端から中央部に設定され、且つ、第1の書込可能領域L2に前側の一部が重複する第3の書込可能領域L4に対して潜像を書込可能に構成されている。
【0045】
したがって、図3に示すように、実施例1では、第1の書込可能領域L2と第2の書込可能領域L3との重複領域により繋ぎ目領域の一例としての第1のオーバーラップ領域L6が構成され、第1の書込可能領域L2と第3の書込可能領域L4との重複領域により繋ぎ目領域の一例としての第2のオーバーラップ領域L7が構成されている。
なお、各ヘッド1〜3は、共にオーバーラップ領域L6、L7に潜像形成可能であるが、実際の画像形成動作時には、オーバーラップ領域L6,L7の半分ずつを各ヘッド1〜3で潜像形成するように設定されている。
【0046】
(実施例1のコントローラCの説明)
図4は実施例1の画像形成装置の制御部分が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図4において、前記コントローラCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力信号調節部の一例としての入出力インターフェース、いわゆる、I/O、必要な処理を実行するためのプログラムおよびデータ等が記憶されたリードオンリーメモリ、いわゆる、ROM、必要なデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ、いわゆる、RAM、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置、いわゆる、CPU、ならびにクロック発振器等を有する計算機の一例としてのコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0047】
(コントローラCに接続された信号入力要素)
前記コントローラCは、ユーザインタフェースUI等の信号入力要素からの信号が入力されている。
UI:ユーザインタフェース
前記ユーザインタフェースUIは、表示部の一例としての表示パネルUI0、複写開始釦の一例としてのコピースタートキーUI1、数字入力釦の一例としてのテンキーUI2、複写枚数入力釦の一例としてのコピー枚数入力キーUI3、調整情報入力釦の一例としての調整情報入力キーUI4等を備えており、それらが入力されたことを検出して、その検出信号をコントローラCに入力する。
【0048】
(コントローラCに接続された制御要素)
また、コントローラCは、レーザ駆動回路D、メインモータ駆動回路D1、電源回路E、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
【0049】
D:レーザ駆動回路
レーザ駆動回路Dは、潜像形成装置LHy〜LHkを制御して、潜像を形成する。
D1:メインモータ駆動回路
主駆動源についての駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して、感光体Py〜Pk、現像器Gy〜Gkの現像ロールR0、ベルト駆動ロールRd、定着装置F等を回転駆動する。
【0050】
E:電源回路
前記電源回路Eは、現像用電源回路E1、帯電用電源回路E2、転写ロール用電源回路E3と加熱ロール用電源回路E4とを有している。
E1:現像用電源回路
現像用電源回路E1は現像器Gy〜Gkの現像ロールR0に現像電圧を印加する。
E2:帯電用電源回路
帯電用電源回路E2は帯電器CCy,CCm,CCc,CCkに帯電電圧を印加する。
E3:転写ロール用電源回路
転写ロール用電源回路E3は転写装置T1+B+T2+CLBの1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kおよびコンタクトロールT2cに転写電圧を印加する。
E4:加熱ロール用電源回路
加熱ロール用電源回路E4は定着装置Fの加熱ロールFhの加熱部材の一例としてのヒータに加熱用の電力を印加する。
【0051】
(コントローラCの機能)
前記コントローラCは、各信号出力要素からの出力信号に応じた処理を実行して、各制御要素に制御信号を出力する次の機能実現手段を有している。
C1:ジョブ制御手段
画像形成動作制御手段の一例としてのジョブ制御手段C1は、コピースタートキーUI1の入力に応じて、前記潜像形成装置LHy〜LHk、画像記録部U3a、定着装置Fおよびシート搬送装置SU等の動作を制御して、画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
【0052】
C2:メインモータ回転制御手段
主駆動源についての回転制御手段の一例としてのメインモータ回転制御手段C2は、前記メインモータ駆動回路D1を制御して、感光体Py〜Pkや現像器Gy〜Gk、定着装置F等の回転駆動を制御する。
C3:電源回路制御手段
電源回路制御手段C3は、電源回路Eを制御して、現像ロールR0や帯電器CCy,CCm,CCc,CCk、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、コンタクトロールT2c、定着装置Fの加熱ロールFhのヒータ等への電圧、電流の供給を制御する。
【0053】
図5は実施例1の焦点プロファイルの説明図である。
C4:濃度ムラ調整手段
濃度ムラ調整手段C4は、調整情報入力判別手段C4Aと、電源投入判別フラグFL1と、焦点プロファイル有無判別手段C4Bと、分布情報取得手段C4Cと、補正情報記憶手段の一例としての補正テーブル記憶手段C4Dと、補正情報検索手段の一例としての補正テーブル検索手段C4Eと、補正情報設定手段C4Fと、設定情報記憶手段C4Gとを有し、画像形成装置Uで形成される画像の濃度むらの調整を行う。図5に示すように、各ヘッド1〜3は、それぞれ、焦点位置の分布、いわゆる焦点プロファイル6が、LEDヘッドの製造後の検査工程において判明しており、画像形成装置Uの組み立て工程の前に予め判明している。そして、この放物線状の焦点プロファイル6に対して、焦点位置が感光体Py〜Pk表面と一致する点では、形成される画像の画素が最小となり設定された濃度となるが、焦点位置が一致しない場合、画素が大きくなり、濃くなりやすい。したがって、各ヘッド1〜3の書込可能領域L1〜L3の中でも濃度ムラが発生し、隣接する書込可能領域L1〜L3との比較でも濃度むらが発生する。よって、実施例1の濃度むら調整手段C4は、焦点プロファイル6の差異や焦点位置のズレに起因する濃度ムラの調整を行う。
【0054】
C4A:調整情報入力判別手段
調整情報入力判別手段C4Aは、ユーザインタフェースUIの調整情報入力キーUI4等への入力に基づいて、発光素子4が潜像を書き込む方向に線上に並んだ各ヘッド1〜3の光量分布を特定する情報である分布情報の一例としての焦点プロファイル6に関する情報である調整情報が入力されたか否かを判別する。実施例1の調整情報としては、一例として、焦点プロファイル6における焦点距離の最大と最小との差である焦点の撓み量や焦点撓み量を格付けした情報を使用可能である。例えば、焦点撓み量としては「最大○μmずれている」という情報を使用したり、撓み量が0〜5μmが格付け「A」、撓み量が5〜10μmが格付け「B」、…等を使用可能である。
【0055】
FL1:電源投入判別フラグ
電源投入判別手段の一例としての電源投入判別フラグFL1は、初期値は「0」であり、電源が投入、すなわち電源がオンになると「1」となり、電源が切断、すなわち、電源がオフになると「0」に初期化される。
C4B:焦点プロファイル有無判別手段
焦点分布情報有無判別手段の一例としての焦点プロファイル有無判別手段C4Bは、画像形成装置Uに取り付けられた各ヘッド1〜3に焦点プロファイル6に関する情報が存在するか否かを判別する。すなわち、各ヘッド1〜3には、各発光素子4を制御するための制御基板が支持されており、制御基板に設けられた記憶媒体の一例としての不揮発性メモリに焦点プロファイル6に関する情報としての調整情報が記憶されているか否かを判別する。実施例1の焦点プロファイル有無判別手段C4Bは、画像形成装置Uの電源がオンの状態では、ヘッド1〜3の交換作業が行われないことから、電源がオフの状態で取り付けられたヘッド1〜3に対して、電源がオンになった際に、焦点プロファイル6の有無の判別を行う。
【0056】
C4C:分布情報取得手段
分布情報取得手段C4Cは、焦点プロファイル取得手段C4C1と、入力調整情報取得手段C4C2とを有し、分布情報の一例としての焦点プロファイルに関する情報を取得する。
C4C1:焦点プロファイル取得手段
焦点分布情報取得手段の一例としての焦点プロファイル取得手段C4C1は、焦点プロファイル有無判別手段C4Bで各ヘッド1〜3に焦点プロファイル6に関する調整情報が存在すると判別された場合に、調整情報を記憶媒体から読み取ることで、取得する。
C4C2:入力調整情報取得手段
入力調整情報取得手段C4C2は、調整情報入力判別手段C4Aにより、ユーザインタフェースUIから調整情報の入力がされたと判別された場合に、ユーザインタフェースUIから入力された調整情報を読み込んで取得する。
【0057】
図6は、実施例1の補正テーブルの説明図であり、図6Aは焦点撓み量が大きな凸型の焦点プロファイルに対応して設定された補正テーブルの説明図、図6Bは焦点撓み量が小さな凸型の焦点プロファイルに対応して設定された補正テーブルの説明図、図6Cは焦点撓み量が大きな凹型の焦点プロファイルに対応して設定された補正テーブルの説明図である。
C4D:補正テーブル記憶手段
補正情報記憶手段の一例としての補正テーブル記憶手段C4Dは、ヘッド1〜3毎の焦点プロファイル6に対応して、予め設定された補正情報の一例としての補正テーブルを記憶する。図6において、実施例1の補正テーブル記憶手段C4Dは、図6Aに示す焦点プロファイル6に対して、主走査方向の端を基準とし、このときの発光素子4の点灯時間と消灯時間の比である点灯デューティを「1」とし、焦点距離が大きくなるに連れて点灯デューティが小さくなる補正テーブル7を記憶している。なお、実施例1では、理解を容易にするために、各ヘッド1〜3を主走査方向に並んだ発光素子4を5つの塊に区分けして、各区分毎に点灯デューティを設定する場合について説明する。なお、区分けの数は任意に変更可能であり、素子1つずつとすることも可能である。
【0058】
同様にして、図6Bや図6Cに示す焦点プロファイル6に対して、点灯デューティが設定された補正テーブル7が記憶されている。すなわち、製造工場の違いや、製造単位、いわゆるロットの違い等で、ヘッド1〜3毎に異なる複数の焦点プロファイル6に対応して補正テーブル7が記憶されている。
なお、実施例1では、各補正テーブル7に対して、焦点プロファイル6を特定する調整情報が関連づけられて記憶されている。一例として、図6Aに示す補正テーブル7には、焦点撓み量が「10μm」で格付けが「B」、図6Bに示す補正テーブル7には、焦点撓み量が「5μm」で格付けが「A」、図6Cに示す補正テーブル7には、焦点撓み量が「−10μm」で格付けが「C」というように調整情報が関連づけられて記憶されている。
【0059】
C4E:補正テーブル検索手段
補正テーブル検索手段C4Eは、補正テーブル記憶手段C4Dに記憶された補正テーブル7の中から、分布情報取得手段C4Cで取得された焦点プロファイル6に対応する補正テーブル7を検索する。実施例1の補正テーブル検索手段C4Eは、分布情報取得手段C4Cで取得された焦点プロファイル6を特定する調整情報に基づいて、対応する調整情報が関連づけられている補正テーブル7を検索する。
C4F:補正情報設定手段
補正情報設定手段C4Fは、焦点プロファイル6に基づいて、各ヘッド1〜3毎に、各ヘッド1〜3で書き込まれる画像濃度を均一化させる補正テーブル7を設定する。実施例1の補正情報設定手段C4Fは、補正テーブル検索手段C4Eで検索された補正テーブル7を、ヘッド1〜3で画像を書き込む際に使用する補正テーブル7として設定する。
【0060】
C4G:設定情報記憶手段
設定情報記憶手段C4Gは、補正情報設定手段C4Fで設定された補正テーブル7を記憶する。実施例1の設定情報記憶手段C4Gは、各ヘッド1〜3毎に設定された補正テーブル7を記憶する。
C5:画像処理手段
画像処理手段C5は、画像分割手段C5Aと、階調補正手段C5Bとを有し、イメージ入力装置U1で読み取られた画像情報や、図示しないパーソナルコンピュータ等の画像情報送信装置から送信された画像情報等の印刷を行う場合に、印刷対象の画像情報を、潜像形成装置LHy〜LHkで書き込むため情報に変換する処理である画像処理を行う。
C5A:画像分割手段
画像分割手段C5Aは、受信した画像情報の大きさに基づいて、各ヘッド1〜3が書き込む画像に分割する。すなわち、各ヘッド1〜3の書込可能領域L2〜L4に対応して画像を分割する。
【0061】
図7は実施例1の階調補正の一例の説明図であり、図7Aは階調補正前の説明図、図7Bは階調補正後の説明図である。
C5B:階調補正手段
階調補正手段C5Bは、補正情報設定手段C4Fで設定された補正テーブル7に基づいて、書き込まれる画像の階調を補正する。実施例1の階調補正手段C5Bは、印刷対象の画像情報の濃度を、補正情報設定手段C4Fで設定された補正テーブル7に基づいて、階調を補正する。図7において、一例として、印刷対象の画像情報の濃度が「50%」の場合、階調画像に変換されると、図7Aに示すように、16個の微画素中8個の微画素が塗りつぶされる場合を考える。図7Aの階調画像において、補正テーブル7として、図6Aに示す補正テーブル7が設定された場合、点灯デューティが「1」の区分では、図7Aに示す階調画像が書き込まれる。一方、点灯デューティが「0.7」の区分では、濃度が50%×0.7=35%に補正され、図7Bに示すように、16個中6個が塗りつぶされた階調濃度が書き込まれるように階調補正が行われる。
【0062】
C6:書込制御手段
書込制御手段C6は、第1の書込制御手段C6Aと、第2の書込制御手段C6Bと、第3の書込制御手段C6Cと、を有し、潜像形成装置LHy〜LHkを制御して、感光体Py〜Pk表面に潜像を形成する。実施例1の書込制御手段C6は、画像処理手段C5で画像の分割や階調補正等の画像処理がされた情報に基づいて、潜像形成装置LHy〜LHkを作動させて潜像の書込を制御する。すなわち、実施例1の書込制御手段C6は、補正情報設定手段C4Fで設定された補正テーブル7に基づいて、ヘッド1〜3を作動させて潜像の書込を制御する。
C6A:第1の書込制御手段
第1の書込制御手段C6Aは、上流ヘッド1を制御して、第1の書込可能領域L2に潜像を書き込む。
【0063】
C6B:第2の書込制御手段
第2の書込制御手段C6Bは、第1の下流ヘッド2を制御して、第2の書込可能領域L3に潜像を書き込む。実施例1の第2の書込制御手段C6Bは、上流ヘッド1が書き込んだ潜像に対して主走査方向の繋ぎ目を合わせるために、上流ヘッド1が書き込んだ潜像が第1の下流ヘッド2の位置に到達するのに対応する感光体Py〜Pkの回転時間である繋ぎ合わせ時間だけ書き込む時期をずらして潜像の書き込みを行う。
C6C:第3の書込制御手段
第3の書込制御手段C6Cは、第2の下流ヘッド3を制御して、第3の書込可能領域L4に潜像を書き込む。実施例1の第3の書込制御手段C6Cは、第2の書込制御手段C6Bと同様に、上流ヘッド1が書き込んだ潜像に対して主走査方向の繋ぎ目を合わせるために、上流ヘッド1が書き込んだ潜像が第1の下流ヘッド2の位置に到達するのに対応する感光体Py〜Pkの回転時間である繋ぎ合わせ時間だけ書き込む時期をずらして潜像の書き込みを行う。
【0064】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆる、フローチャートを使用して説明する。
(実施例1の濃度ムラ調整処理のフローチャートの説明)
図8は本発明の実施例1の濃度ムラ調整処理のフローチャートである。
図8のフローチャートの各ステップSTの処理は、画像形成装置UのコントローラCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図8に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0065】
図8のST1において、電源投入判別フラグFL1が「0」であるか否か、すなわち、電源投入直後であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST2に進み、イエス(Y)の場合はST3に進む。
ST2において、ユーザインタフェースUIから調整情報の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST1に戻る。
ST3において、電源投入判別フラグFL1を「1」として、ST4に進む。
ST4において、各ヘッド1〜3の記憶媒体に焦点プロファイル6に関する情報である調整情報が記憶されているか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST1に戻る。
ST5において、各ヘッド1〜3の記憶媒体に記憶された焦点プロファイル6に関する調整情報を読み取る。そして、ST6に進む。
ST6において、ユーザインタフェースUIからの入力、または、ヘッド1〜3から読み取られた調整情報に対応する補正テーブル7を検索して、各色の潜像形成装置LHy〜LHkの各ヘッド1〜3毎に、画像形成動作時に使用する補正テーブル7として設定する。そして、ST1に戻る。
【0066】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、ヘッド1〜3が画像形成装置Uに取り付けられると、電源投入時にヘッド1〜3の記憶媒体から調整情報が自動的に読み取られ、対応する補正テーブル7が自動検索され、自動的に設定される。また、記憶媒体に調整情報が記憶されていない場合でも、技術者等の作業者の作業でユーザインタフェースUIから調整情報が入力されると、補正テーブル7が自動的に検索されて、自動的に設定される。そして、設定された補正テーブル7に基づいて、区分毎の濃度の分布が均一化されるように画像処理が行われて、書込が行われる。したがって、形成された画像の濃度ムラが低減される。
【0067】
従来の濃度ムラの調整は、予め設定された画像を紙に印刷して出力した後、画像が印刷された紙を読み取るという煩雑な作業や、読み取った濃度から潜像形成装置の補正情報を反映させるためのシステムが必要となっていた。これに対して、実施例1では、製造工場やロットに応じた補正テーブル7が予め記憶されており、ヘッド1〜3に調整情報が記憶されている場合やユーザインタフェースUIから調整情報が入力された場合に、自動的に補正テーブル7が検索されて、設定される。従って、従来の構成に比べて、煩雑な作業や複雑なシステムが削減されており、簡便な方法で濃度ムラの調整が可能となっている。
【0068】
画像形成装置Uが、一般のオフィス向けの「A3」対応の機種ではなく、設計図面やポスター印刷等のように「A1」や「A0」対応の機種の場合、潜像形成装置LHy〜LHkを1本のLEDヘッドで構成することも可能であるが、特別注文となり費用が高騰する上に、主走査方向の長さが長くなり、濃度ムラの調整が困難になる。これに対して、一般のオフィス向けの機種で使用されるLEDヘッド1〜3は、量産化が進んでおり、比較的低価格で入手可能となっており、このようなLEDヘッド1〜3を実施例1のように複数並べて潜像形成装置LHy〜LHkを作製する方が、価格的に有利になる。この場合、従来の技術のように、例えば、「A0」の紙に印刷し、その後、印刷した紙の画像を読み取る作業を行うのは非常に繁雑で負担の大きな作業となる。したがって、実施例1の濃度ムラの調整方法では、このような場合に、特に有効である。
【0069】
また、実施例1では、ユーザインタフェースUIから調整情報が入力可能となっており、画像形成装置Uの組立後の故障が発生しても対応が可能になっている。
【実施例2】
【0070】
図9は実施例2のブロック図であり、実施例1の図4に対応する図である。
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0071】
(コントローラCの機能)
実施例2のコントローラCでは、実施例1の分布情報取得手段C4C、補正テーブル記憶手段C4Dおよび補正テーブル検索手段C4Eに替えて、分布情報取得手段C4C′および補正情報演算手段C4Hを有する以外は、同様であるため、同様の部分については詳細な説明は省略する。
【0072】
図10は実施例1の調整情報の説明図であり、図10Aは波形の焦点プロファイルの説明図、図10Bは凸型の焦点プロファイルの説明図である。
C4C′:分布情報取得手段
分布情報取得手段C4C′は、焦点プロファイル取得手段C4C1と、入力調整情報取得手段C4C2とを有し、分布情報の一例としての焦点プロファイルに関する情報を取得する。図10において、実施例2の分布情報取得手段C4C′は、焦点プロファイル6に関する情報として、実施例1の焦点撓み量や格付けの情報ではなく、焦点プロファイル6を特定する多項式の情報を取得する。実施例2では、図10Aや図10Bに示す焦点プロファイル6を特定する多項式の情報として、a0×x+a1×xn−1+…+anやb0×x+b1×xn−1+…+bnで表される多項式の係数(a0、a1、…、an)や(b0、b1、…、bn)を調整情報として、ヘッド1〜3の記憶媒体に記憶したり、ユーザインタフェースUIから入力可能に構成されている。なお、前記多項式は焦点プロファイル6に、完全に一致する場合に限定されず、近似した多項式も含む意味で使用している。
【0073】
C4H:補正情報演算手段
補正情報演算手段C4Hは、分布情報取得手段C4C′で取得された焦点プロファイル6に関する調整情報に基づいて、形成される画像の濃度を均一化するための補正情報を演算する。実施例2の補正情報演算手段C4Hは、取得された係数を有する多項式で特定される焦点プロファイル6が打ち消されてムラが少なくなるように補正情報を演算する。実施例2の補正情報演算手段C4Hでは、一例として、前記多項式の情報に基づいて、実施例1の補正テーブル7と同様に、区分けを行って、各区分の平均から補正テーブル7と同様の情報が演算される。
【0074】
(実施例2の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例2の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆる、フローチャートを使用して説明する。
(実施例2の濃度ムラ調整処理のフローチャートの説明)
図11は本発明の実施例2の濃度ムラ調整処理のフローチャートである。
図11において、実施例2の濃度ムラ調整処理では、実施例1の濃度ムラ調整処理のST6に替えて、以下の処理ST6′が実行される点が異なり、それ以外は共通であるため、共通の部分については詳細な説明は省略する。
図11のST6′において、取得された調整情報に基づいて、補正情報の一例としての補正テーブル7を演算して、設定する。そして、ST1に戻る。
【0075】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置Uでは、実施例1と異なり、焦点プロファイル6を特定する多項式の調整情報に基づいて、補正情報が自動的に演算され、自動的に設定される。したがって、実施例1のように補正テーブル7を予め記憶しておかなくても、ヘッド1〜3の記憶媒体等に記憶された多項式の情報に基づいて、その都度適切な補正テーブル7が自動的に演算され、設定される。したがって、補正テーブル7を記憶する場合に比べて、記憶装置の記憶容量を減らすことが可能になる。
したがって、実施例2の画像形成装置Uでも、実施例1と同様に、従来の技術のように、濃度ムラの調整をするために画像を紙に出力したり、出力された紙を読み取る等の作業が不要となり、簡便な方法で濃度ムラの調整が可能となっている。
【実施例3】
【0076】
図12は実施例3のブロック図であり、実施例1の図4に対応する図である。
次に、本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0077】
(コントローラCの機能)
実施例3のコントローラCでは、実施例1の階調補正手段C5Bが省略されており、実施例3の書込制御手段C6には、初期光量情報取得手段C6Dと、光量制御演算手段C6Eとが追加されている。したがって、実施例3では、実施例1と異なり補正テーブル7に基づいて階調補正が行われず、印刷対象の画像情報に応じた階調画像が作成される。
【0078】
図13は実施例3の濃度ムラ調整の説明図であり、図13Aは初期光量制御情報と補正テーブルとの関係の説明図、図13Bは補正テーブルに基づいて光量制御情報が演算された状態の説明図である。
C6D:初期光量情報取得手段
初期光量情報取得手段C6Dは、各潜像形成装置LHy〜LHkの各ヘッド1〜3が焦点プロファイル6となるように予め設定された各発光素子4の光量を制御する情報である初期光量制御情報を取得する。実施例1の初期光量情報取得手段C6Dは、各ヘッド1〜3の記憶媒体に記憶された初期光量制御情報を読み取ることで取得する。図13において、例えば、ヘッド1〜3を製造する段階において、図6Aに示す焦点プロファイル6となるようにヘッド1〜3を製造する場合、ヘッド1〜3を構成する発光素子4の1つずつの個体差があるため、図13Aの上段に示すように、各発光素子4の1つずつまたは複数個の素子4の集合毎に点灯デューティを補正する初期光量制御情報8が、各ヘッド1〜3の基板に組み込まれた記憶媒体に記憶されている。よって、実施例3の初期光量情報取得手段C6Dは、各ヘッド1〜3の記憶媒体に記憶された初期光量制御情報8を読み取ることで取得する。
【0079】
C6E:光量制御演算手段
光量制御演算手段C6Eは、初期光量情報取得手段C6Dで取得された初期光量制御情報8と、補正テーブル7とに基づいて、前記発光素子4の光量を制御する光量制御情報9を演算する。図13において、図6Aに示す焦点プロファイル6を、一例として説明すると、初期光量情報取得手段C6Dにより、図13Aの上段に示す初期光量制御情報8が取得され、実施例1と同様に補正テーブル7が検索されて図13Aの下段に示す補正テーブル7が設定される。実施例3の光量制御演算手段C6Eは、初期光量制御情報8と、補正テーブル7とに基づいて、図13Bに示すように、焦点プロファイル6が均一化されるように光量制御情報9が演算される。
なお、各書込制御手段C6A〜C6Cでは、演算された光量制御情報9に基づいて、各ヘッド1〜3の光量制御を行い、画像の書込を行う。
【0080】
(実施例3の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例3の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆる、フローチャートを使用して説明する。
(実施例3の濃度ムラ調整処理のフローチャートの説明)
図14は本発明の実施例3の濃度ムラ調整処理のフローチャートである。
図14において、実施例3の濃度ムラ調整処理では、実施例1の濃度ムラ調整処理のST6の後に、次の処理ST7〜ST8が実行される点が異なり、それ以外は共通であるため、共通の部分については詳細な説明は省略する。
図14のST7において、初期光量制御情報8を取得する。そして、ST8に進む。
ST8において、補正テーブル7と初期光量補正情報8とから光量制御情報9を演算して、画像形成に使用する光量制御情報として設定する。そして、ST1に戻る。
【0081】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の画像形成装置Uでは、焦点プロファイル6の調整情報から自動的に補正テーブル7が検索、設定された場合に、補正テーブル7と初期光量制御情報8とから光量制御情報9の演算が行われる。すなわち、実施例3では、実施例1のような階調補正を行うのではなく、各ヘッド1〜3の光量補正を行っている。したがって、画像処理で濃度ムラを抑制する実施例1、2とは異なり、実施例3では、潜像形成装置LHy〜LHkのヘッド1〜3で書き込む際の光量を直接補正している。したがって、潜像形成装置LHy〜LHk側だけで濃度ムラに対応可能になっており、画像処理等、画像形成装置Uのその他の部材を調整したり、補正をする必要がなくなる。
したがって、実施例3の画像形成装置Uでも、実施例1、2と同様に、従来の技術のように、濃度ムラの調整をするために画像を紙に出力したり、出力された紙を読み取る等の作業が不要となり、簡便な方法で濃度ムラの調整が可能となっている。
【実施例4】
【0082】
図15は実施例4の潜像形成装置の要部説明図である。
次に、本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
次に、図15を使用して、実施例4の潜像形成装置LHy〜LHkの説明をするが、Y,M,C,Kの各色の潜像形成装置LHy〜LHkは同様に構成されているため、Y色の潜像形成装置LHyについてのみ詳細に説明し、その他の色の潜像形成装置LHm〜LHkについては詳細な説明は省略する。
【0083】
図15において、実施例4の潜像形成装置LHyは、上流ヘッド1は、主走査方向に延びるヘッド本体11を有する。ヘッド本体11の感光体Py側の表面には複数の発光素子4がアレイ状に配置されている。ヘッド本体11の主走査方向の中央部には、感光体Pyから離間する方向に延びる回転軸12が支持されている。また、ヘッド本体11の主走査方向の両端部には、被案内部の一例として、感光体Pyから離間する方向に延びる一対の被ガイドピン13が支持されている。
【0084】
実施例4の上流ヘッド1は、支持部材の一例として、画像形成装置本体U3の図示しないヘッド固定部材に形成された円孔状の支持孔16に、回転軸12が回転可能に支持されている。また、ヘッド固定部材には、被ガイドピン13に対応して、支持孔16を中心とする円弧に沿った長孔状のガイド孔17に移動可能な状態で支持されている。したがって、実施例4の上流ヘッド1は、支持孔16を中心として、主走査方向の両側が感光体Pyの回転方向Ybである副走査方向に沿って回転、傾斜可能に支持されていると共に、回転軸12および被ガイドピン13の軸方向、すなわち、感光体Pyに接近、離間する方向に沿って移動可能に支持されている。
第1下流ヘッド2および第2下流ヘッド3も、上流ヘッド1と同様に構成されている。
【0085】
(濃度ムラの調整方法)
図16は実施例4の濃度ムラ調整方法の説明図であり、位置合わせ工程の説明図である。
図17は実施例4の濃度ムラ調整方法の説明図であり、傾斜合わせ工程の説明図である。
図18は実施例4の濃度ムラ調整方法における傾斜角度の算出方法の説明図であり、図18Aは平面図、図18Bは側面図である。
【0086】
図16〜図18において、実施例4の潜像形成装置LHy〜LHkの濃度ムラの調整をする場合、図16に示すように、各ヘッド1〜3を感光体Py〜Pkに対して接近、離間する方向に移動させて、焦点プロファイル6の極大位置が感光体Py〜Pk表面に一致するように位置調整する。次に、図17に示すように、感光体Py〜Pkの副走査方向に対して、焦点撓み量の大きなヘッド2、3を傾斜させる。図17、図18において、ヘッド2、3を傾斜させると、回転中心、すなわち、焦点位置が一致している点では、発光素子4と感光体Py〜Pkとの距離は変化しないが、焦点位置が一致していない主走査方向外端の発光素子4と感光体Py〜Pkとの距離が広がり、焦点距離とのズレが低減される。図18において、焦点撓み量が最大の位置が両端で、最大焦点撓み量Δy分補正をする場合、主走査方向の外端の発光素子4から他方の外端の発光素子4までの距離をxとし、ヘッド1〜3の傾斜角度をθとし、感光体Py〜Pkの半径をrとした場合に、以下の式(1)から導出される傾斜角度θだけヘッド1〜3を回転させることで、最大焦点撓み量Δyが補正可能である。
Δy=r−r×cos[sin−1[{(x/2)×sinθ}/r]] …式(1)
【0087】
図19は特許文献4に記載された従来技術の濃度ムラ補正方法の説明図である。
図20は図19に示す従来技術の濃度ムラ補正方法における焦点プロファイルの変化の説明図であり、図20Aは平行移動させた場合の説明図、図20Bは主走査方向に対して傾斜させた場合の説明図である。
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の画像形成装置Uでは、焦点プロファイル6に応じて、各ヘッド1〜3の焦点距離の極大位置、いわゆるピークポイントが揃えられた状態で、焦点撓み量に応じてヘッド1〜3が傾斜されて、焦点距離のムラが低減される。したがって、形成される画像の濃度ムラが低減される。
【0088】
図19、図20において、特許文献4に示す技術のような従来の濃度ムラ調整方法では、ヘッド01の両端のピン02,03に沿って感光体04を昇降させるだけで調整を行っており、ピン02,03を同じ量だけ昇降させることで、ヘッド01は平行移動し、図20Aに示すように、焦点プロファイルが全体として平行移動する。また、ピン02,03の昇降量を異なる量とすることで、ヘッド01は主走査方向に傾斜し、図20Bに示すように、焦点プロファイルが回転する。したがって、従来の方法では、焦点プロファイルの極大部の濃度ムラを無くすことは不可能である。
また、特許文献5に記載の技術では、ヘッドを変形させて、焦点を合わせているが、焦点ズレ量は、実際には、数μm単位の大変微小な量である。よって、特許文献5記載の技術のように適切な負荷をかけて変形させることは困難であり、変形させるための機構が必要となって、価格が上昇する問題がある。
したがって、実施例4の画像形成装置では、特許文献4、5に記載の構成に比べて、簡便な方法で濃度ムラを調整することが可能となっている。
【0089】
図21は実施例4の変更例の説明図である。
なお、実施例4では、各ヘッド1〜3のピークポイントを揃える作業および傾斜させる作業を手動で行う場合を例示したがこれに限定されず、自動で行うことも可能である。
図21において、実施例4の変更例のヘッド1〜3では、回転軸12の端部に歯車の一例としての被回転ギア21が支持されており、被回転ギア21には、駆動源の一例としてのモータM1からの駆動が伝達される歯車の一例としての回転ギア22が噛み合っている。なお、被回転ギア21の軸方向の長さは、ヘッド1〜3の昇降量に応じて、長く形成されており、被回転ギア21が感光体Py表面に対して昇降しても固定の回転ギア22と噛み合った状態で保持される。
【0090】
また、前記被ガイドピン13の端部には、昇降伝達部材の一例としてのラック23が支持されている。ラック23には、歯車部の一例としてのギア部23aが形成されており、ギア部23aには、昇降歯車の一例としてのピニオンギア24が噛み合っている。なお、ピニオンギア24は、ヘッド本体11の回転に伴って一体的に回転可能に支持されており、ピニオンギア24には図示しない弾性ベルトを介して駆動源の一例としてのモータM2から駆動が伝達される。
したがって、ピニオンギア24にモータM2からの駆動が伝達されると、ラック23やガイドピン13を介して、ヘッド本体11が感光体Py〜Pkに対して昇降する。
よって、実施例4の変更例では、実施例1〜3と同様に、各ヘッド1〜3の記憶媒体に記憶された調整情報を取得して、調整情報に基づいて、ピニオンギア24を駆動させてピークポイントを位置合わせしたり、調整情報から傾斜角度θを演算して、モータM2を制御して、演算された傾斜角度θだけ傾斜させたりする作業を自動で行うことも可能である。
【0091】
なお、実施例4では、各ヘッド1〜3が副走査方向に傾斜した場合、同じヘッド1〜3の中でも、主走査方向の一端側の発光素子と、中央の発光素子、他端側の発光素子とが同時に発光すると、感光体Py〜Pk表面に形成される画像が傾斜する恐れがある。これに対して、自動で傾斜角度θを演算した場合やユーザインタフェースUIから入力された場合に、回転軸12からn個外側の発光素子の回転軸12からの距離をxnとした場合に、以下の式(2)で演算される距離Δznだけ副走査方向にずれるため、距離Δznと感光体Py〜Pkの回転速度分だけ、時期をずらして発光させることで、画像の傾斜を防止することが可能である。
Δzn=xn×sinθ …式(2)
【0092】
なお、各ヘッド1〜3を傾斜させた場合でも、書込可能領域L2〜L4は互いに端部が重複、すなわち、オーバーラップしており、繋ぎ目に書込ができないといったことは防止されている。すなわち、オーバーラップ領域L6,L7において、各ヘッド1〜3が重複する画像を形成することで、繋ぎ目に画像が形成されないことが防止される。
また、実施例4の濃度ムラ調整を行った上で、補正しきれないムラが残る場合には、実施例1〜3のいずれかに記載の構成を使用して、濃度ムラの調整を重ねて行うことも可能である。
【0093】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置として複写機Uを例示したが、これに限定されず、例えば、プリンタ、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、4色の現像剤が使用される画像形成装置を例示したが、この構成に限定されず、例えば、5色以上や、3色以下、あるいは単色いわゆるモノクロの画像形成装置にも適用可能である。
【0094】
(H03)前記実施例において、ヘッド1〜3を3つ使用する構成について説明をしたが、ヘッド1〜3の本数は3本に限定されず、1本や2本とすることも可能であるし、4本以上とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、例示した数値は、設計や仕様等に応じて適宜変更可能である。
(H05)前記実施例1、2において、補正データを使用して補正する方法として、階調補正を例示したがこれに限定されず、例えば、点灯時間や発光出力等を補正することも可能である。また、調整情報は例示した情報に限定されず、発光素子4の光量分布に関連する情報であれば任意の情報を使用可能である。
【0095】
(H06)前記実施例において、補正情報として、補正テーブル7を例示したが、テーブルのような情報に限定されず、任意の形式の補正情報とすることが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1,2,3…書込部材、
4…発光素子、
6…分布情報、
7…補正情報、
8…初期光量制御情報、
9…光量制御情報、
12…回転軸、
C4C…分布情報取得手段、
C4D…補正情報記憶手段、
C4E…補正情報検索手段、
C4F…補正情報設定手段、
C4H…補正情報演算手段、
C6…書込制御手段、
C6E…光量制御演算手段、
F…定着装置、
Gy,Gm,Gc,Gk…現像装置、
LHy,LHm,LHc,LHk…画像書込装置、
Py,Pm,Pc,Pk…像保持体、
S…媒体、
T1+B+T2+CLB…転写装置、
U…画像形成装置、
UI…入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を書き込む方向に配置された複数の発光素子を有し、像保持体表面に潜像を書き込む書込部材と、
前記書込部材毎に予め測定された前記発光素子の光量分布を特定する分布情報を取得する分布情報取得手段と、
分布情報に基づいて、前記書込部材で書き込まれる画像濃度を均一化させる補正情報を設定する補正情報設定手段と、
前記補正情報設定手段で設定された補正情報に基づいて、前記書込部材を作動させて潜像の書込を制御する書込制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像書込装置。
【請求項2】
前記書込部材に支持され、且つ、前記分布情報を記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体に記憶された前記分布情報を取得する前記分布情報取得手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像書込装置。
【請求項3】
作業者が入力可能な入力部と、
前記入力部から入力された前記分布情報を取得する前記分布情報取得手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像書込装置。
【請求項4】
前記書込部材毎の前記分布情報に対応して、予め設定された補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された前記補正情報の中から、前記分布情報取得手段で取得された分布情報に対応する前記補正情報を設定する前記補正情報設定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像書込装置。
【請求項5】
前記分布情報取得手段で取得された前記分布情報に基づいて、前記補正情報を演算する補正情報演算手段と、
前記補正情報演算手段で演算された前記補正情報を設定する前記補正情報設定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像書込装置。
【請求項6】
前記補正情報設定手段で設定された補正情報に基づいて、前記各発光素子の光量を制御して、潜像の書込を制御する前記書込制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像書込装置。
【請求項7】
前記発光素子の光量分布となるように予め設定された前記各発光素子の光量を制御する情報である初期光量制御情報と、前記補正情報とに基づいて、前記発光素子の光量を制御する光量制御情報を演算する光量制御演算手段と、
前記光量制御情報に基づいて、潜像の書込を制御する前記書込制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の画像書込装置。
【請求項8】
前記補正情報設定手段で設定された補正情報に基づいて、書き込まれる画像の階調を補正して、潜像の書込を制御する前記書込制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像書込装置。
【請求項9】
前記光量分布に基づいて、各発光素子の焦点位置が前記像保持体表面となるように前記像保持体の副走査方向に沿って傾斜させた状態で支持された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像書込装置。
【請求項10】
前記像保持体に対して接近、離間する方向に沿って延びる回転軸を中心として、前記像保持体の副走査方向に沿って傾斜可能に支持された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする請求項9に記載の画像書込装置。
【請求項11】
前記像保持体に対して接近、離間する方向に移動可能に支持されると共に、前記像保持体の主走査方向に沿った状態且つ前記書込部材の焦点距離が極大の位置が前記感光体表面に対応する状態から、前記副走査方向に傾斜させた状態で支持された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする請求項9または10に記載の画像書込装置。
【請求項12】
前記像保持体の主走査方向に沿って、複数配置された前記書込部材、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の画像書込装置。
【請求項13】
像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する請求項1ないし12のいずれかに記載の画像書込装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を最終的に媒体に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図5】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−81078(P2011−81078A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231571(P2009−231571)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】