説明

画像検査装置および画像検査プログラム

【課題】高速かつ低コストで検査対象物の表面の不良や欠陥を検査することのできる画像検査装置および画像検査プログラムを提供する。
【解決手段】画像上で見て複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定し、エッジ部分と判定された箇所を含む領域については圧縮データを記録媒体に記録し、その箇所を含まない領域についてはその圧縮データを破棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の表面の不良や欠陥を検査する画像検査装置および画像検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、連続して搬送される紙やフィルムなどといった長尺な製品の製造工程における不良や欠陥を検査する装置について種々の提案がなされている。例えば、製造工程で検査対象物をラインセンサで読み込んだりカメラで撮影して画像を得て、得られた画像をソフトウェアや専用のハードウェアを用いて画像処理することによって、検査対象物の表面のキズ等を検査する装置が知られている。
【0003】
また、そのような検査で応用可能な画像処理の一例として、例えば、第1の画像データと第2の画像データを同一の分割パターンで複数のエリアに分割し、画素単位ではなくエリア単位のエリア画素値で比較して画像の変化を検出することにより、微細な変化は検出せずに大きな変化のみを効率よく検出する画像処理(例えば、特許文献1参照。)や、1つの静止画像を構成する画素のうち予め設定された1本の線分上にある画素のみに対応する画像信号を用いて濃度が連続的に変化している部分画像を検出することにより静止画像内のグラデーション部分を検出する画像処理(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−280697号公報
【特許文献2】特開2001−309373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来提案されている画像処理は、複雑な演算を要するものが多く、ソフトウェアを用いて画像処理を実行すると多くの時間を要し、ソフトウェアを用いて画像処理することによって検査対象物の表面のキズ等を検査する従来の装置に適用すると、その画像処理時間が製造工程におけるタクトタイムのボトルネックとなる。また、専用のハードウェアを用いて従来の画像処理を実行するにはそのハードウェアが高コストとなり、専用のハードウェアを用いて画像処理することによって検査対象物の表面のキズ等を検査する従来の装置に適用すると、コストの面で非常に不利である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、高速かつ低コストで検査対象物の表面の不良や欠陥を検査することのできる画像検査装置および画像検査プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する画像検査装置は、
数値の連続で2次元的な画像を表した被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
上記被圧縮データを構成する数値の連続について、上記画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、この差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する判定部と、
上記画像が分けられてなる領域のうち、上記判定部でエッジ部分と判定された箇所を含む領域については、上記可逆圧縮部で得られた圧縮データを記録媒体に記録し、その箇所を含まない領域についてはその圧縮データを破棄するデータ記録部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、上記の『画像が分けられてなる領域』における『領域』とは、具体的には、例えば、連続して搬送される紙やフィルムなどといった長尺な製品の画像をラインセンサで読み込んだ所定数ライン分の区間やそのような長尺な製品の画像をカメラで撮影した撮影領域等の意である。
【0008】
ここで、本発明の画像検査装置は、
上記判定部が、上記2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を上記画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分に基づいてその箇所がエッジ部分であるか否かを判定するものであることが好ましい。
【0009】
また、本発明の画像検査装置は、
上記判定部が、上記2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を上記画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分のうち少なくとも1つの差分が所定程度に達している場合にその箇所をエッジ部分と判定するものであることが、より好ましい。
【0010】
また、本発明の画像検査装置は、
上記被圧縮データが、上記画像上で縦横に配列された各画素に付与された画素値の連続からなるデータであり、
上記判定部が、上記2次元的な差分として、上記画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎に、縦方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を横方向に差し引いた第1差分と、横方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を縦方向に差し引いた第2差分と、対角に並んだ画素どうしにおける画素値の和の一方から他方を差し引いた第3差分とを求め、それら第1差分、第2差分、および第3差分のうち少なくとも1つの差分が所定程度に達している場合にそれら4つの画素の箇所をエッジ部分と判定するものであってもよい。
【0011】
また、本発明の画像検査装置は、
上記判定部が、上記2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を上記画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分の何れもが所定程度に達している場合にその箇所をエッジ部分と判定するものであることが、より好ましい。
【0012】
また、本発明の画像検査装置は、
上記被圧縮データが、上記画像上で縦横に配列された各画素に付与された画素値の連続からなるデータであり、
上記判定部が、上記2次元的な差分として、上記画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎に、縦方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を横方向に差し引いた第1差分と、横方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を縦方向に差し引いた第2差分と、対角に並んだ画素どうしにおける画素値の和の一方から他方を差し引いた第3差分とを求め、それら第1差分、第2差分、および第3差分の何れもが所定程度に達している場合にそれら4つの画素の箇所をエッジ部分と判定するものであってもよい。
【0013】
また、本発明の画像検査装置は、
上記被圧縮データが、所定の単位ビット数で表わされる数値の連続で上記画像を表現したものであり、
上記可逆圧縮部が、
上記被圧縮データを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることによりその差分を表わす数値の連続からなる新たな被圧縮データを生成する差分生成部と、
上記差分生成部によって生成された新たな被圧縮データを構成する各数値を所定値だけオフセットさせるオフセット部と、
上記オフセット部によって数値がオフセットされた被圧縮データの各数値を、上記単位ビット数よりも小さい所定の分割ビット数のところで上位ビット部分と下位ビット部分とに分けることによって、その被圧縮データを、各数値における上位ビット部分の連続からなる上位データと各数値の下位ビット部分の連続からなる下位データとに分割する分割部と、
上記分割部によって分割された上位データに対して可逆圧縮処理を施す上位データ圧縮部とを備えたものであることが好適である。
【0014】
ここで、『隣接する数値どうしの差分』とは、1次元的な差分のみならず2次元以上の多次元的な差分も含む意である。以下においても同様である。
【0015】
また、上記差分生成部を備えた画像検査装置は、
上記差分生成部が、上記被圧縮データを構成する数値について、上記画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求めるものであることが、より好ましい。
【0016】
また、上記上位データ圧縮部を備えた画像検査装置は、
上記上位データ圧縮部が、上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部を備えたものであることが好ましい。
【0017】
また、上記上位データ圧縮部を備えた画像検査装置は、
上記上位データ圧縮部が、
上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部と、
符号と数値を対応づけるテーブルを用いて、上記第1の符号化部で符号化された後のデータにエントロピー符号化を施す第2の符号化部を備えたものであることが、より好ましい。
【0018】
また、上記上位データ圧縮部を備えた画像検査装置は、
上記上位データ圧縮部が、
上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部と、
ハフマンテーブルを用いて、上記第1の符号化部で符号化された後のデータにハフマン符号化を施す第2の符号化部を備えたものであってもよい。
【0019】
また、上記上位データ圧縮部を備えた画像検査装置は、
上記上位データ圧縮部が、
上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部と、
上記第1の符号化部で符号化された後のデータ中に出現する数値のヒストグラムを求めるヒストグラム算出部と、
上記ヒストグラム算出部で求められたヒストグラムに基づき、符号と数値を対応づけるテーブルに、出現頻度の高い数値ほど符号長の短かい符号を割り当てる符号割当部と、
上記符号割当部で符号が割り当てられたテーブルを用いて、上記第1の符号化部で符号化された後のデータにエントロピー符号化を施す第2の符号化部を備えたものであることが、より好ましい。
【0020】
また、上記分割部を備えた画像検査装置は、
上記分割部によって分割された下位データに対して可逆圧縮処理を施す下位データ圧縮部を備えたことが好適である。
【0021】
また、上記下位データ圧縮部を備えた画像検査装置は、
上記下位データ圧縮部が、符号と数値を対応づけるテーブルを用いて下位データにエントロピー符号化を施すものであることが好ましい。
【0022】
また、上記下位データ圧縮部を備えた画像検査装置は、
上記下位データ圧縮部が、ハフマンテーブルを用いて下位データにハフマン符号化を施すものであってもよい。
【0023】
また、上記下位データ圧縮部を備えた画像検査装置は、
上記下位データ圧縮部が、圧縮省略の指示を受けて下位データを無圧縮で出力するものであることも好適である。
【0024】
また、本発明の画像検査プログラムは、
プログラムを実行する情報処理装置内に組み込まれてその情報処理装置に画像検査処理を実行させる画像検査プログラムにおいて、
上記情報処理装置上に、
数値の連続で2次元的な画像を表した被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
上記被圧縮データを構成する数値の連続について、上記画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、この差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する判定部と、
上記画像が分けられてなる領域のうち、上記判定部でエッジ部分と判定された箇所を含む領域については、上記可逆圧縮部で得られた圧縮データを記録媒体に記録し、その箇所を含まない領域についてはその圧縮データを破棄するデータ記録部とを構築することを特徴とする。
【0025】
なお、本発明にいう画像検査プログラムについては、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいう画像検査プログラムには、上記の基本形態のみではなく、前述した画像検査装置の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【0026】
また、本発明の画像検査プログラムがコンピュータ上に構成する可逆圧縮部などといった要素は、1つの要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよく、1つの要素が複数のプログラム部品によって構築されるものであってもよく、複数の要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよい。また、これらの要素は、そのような作用を自分自身で実行するものとして構築されてもよく、あるいは、コンピュータに組み込まれている他のプログラムやプログラム部品に指示を与えて実行するものとして構築されても良い。
【発明の効果】
【0027】
上記本発明の画像検査装置ないし画像検査プログラムによれば、画像上の2次元的な差分でエッジ部分を判定するので、高速かつ低コストで検査対象物の表面の不良や欠陥を検査することができる。この方式によるエッジ判定は、特にエッジの検知漏れを防ぐのに適している。
【0028】
また、エッジ部分と判定された箇所を含む領域については圧縮データを記録媒体に記録し、その箇所を含まない領域についてはその圧縮データを破棄するので、エッジ判定の事後検証が可能である。このため、エッジの検知漏れが少なければある程度の誤検知は許容され、上記の2次元的な差分によるエッジ判定との相性がよい。
【0029】
また、上記判定部が、上記2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を上記画像上の同一の箇所について求めるものであると、エッジ部分が容易かつ正確に求められる。さらに、その判定部が、それら複数種類の差分のうち少なくとも1つの差分が所定程度に達している場合にその箇所をエッジ部分と判定するものであると、エッジ部分の検知漏れが少ない。一方、その判定部が、それら複数種類の差分の何れもが所定程度に達している場合にその箇所をエッジ部分と判定するものであると、エッジ部分の誤検知を抑えて無用なデータ記録を抑えることができる。
【0030】
また、上記可逆圧縮部が、分割部などを備え上位データと下位データとを分けて処理する形態によれば、後で詳述するように、データ中の数値の分布傾向が顕著に異なっている上位データと下位データとで、各々に適した可逆な処理を施すことができ、高い圧縮率が実現できる。また、このような上位データおよび下位データは、アルゴリズムが単純な可逆圧縮処理で大幅な圧縮が期待できるため圧縮の処理時間が短い。
【0031】
また、上記差分生成部が、被圧縮データを構成する数値の連続について差分を求める際に、2次元的な差分を求めるものであると、差分ゼロの頻度が増して可逆圧縮による圧縮がより一層効率よくなる。
【0032】
また、上記の上位データ圧縮部が第1の符号化部を備えると、圧縮対象数値のみが、その圧縮対象数値と連続数とを表わす数値とに符号化されるため、原データよりも冗長度が増すという事態が回避され、圧縮率が向上する。
【0033】
また、上記の上位データ圧縮部が第2の符号化部を備えると、エントロピー符号化(典型的にはハフマン符号化)による、圧縮率の更なる向上が見込まれる。
【0034】
さらに、上記の上位データ圧縮部が、ヒストグラム算出部と符号割当部とを備え、第2の符号化部が、符号割当部で符号が割り当てられたテーブルを用いてエントロピー符号化(例えばハフマン符号化)を施すものであると、符号の割り当てが固定されたテーブルを用いたエントロピー符号化と比べ、圧縮率をさらに大きく向上させることができる。
【0035】
また、上記可逆圧縮部が下位データ圧縮部を備えると、下位データについても適切な可逆圧縮が施されて圧縮率が向上する。
【0036】
また、上記の下位データ圧縮部が、エントロピー符号化を施すものであると、エントロピー符号化(典型的にはハフマン符号化)による、圧縮率の更なる向上が見込まれる。
【0037】
さらに、上記の下位データ圧縮部が、圧縮省略の指示を受けて下位データを無圧縮で出力するものであると、そのような指示によってより高速な圧縮処理を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態が適用される欠陥検出システム1の構成図である。
【0040】
図1の欠陥検出システム1は、ラインセンサ200とパーソナルコンピュータ100とを有している。この欠陥検出システム1では、連続して搬送されるフィルム10の画像がラインセンサ200で読み込まれて画像を表す画像データが生成され、生成された画像データがインターフェースケーブル150を介してラインセンサ200からパーソナルコンピュータ100へ送られる。パーソナルコンピュータ100では、送られてきた画像データに可逆圧縮処理が施されて圧縮データが生成されるとともに、送られてきた画像データに基づいてフィルム10の表面の不良や欠陥が検出されて、不良や欠陥の箇所を含む領域については圧縮データが記録される。尚、ここでいう『領域』とは、パーソナルコンピュータ100に送られてきた画像データにより表わされる画像が分けられてなる領域であって、具体的には、連続して搬送されるフィルム10の画像をラインセンサ200で読み込んだ所定数ライン分の区間の意である。また、このパーソナルコンピュータ100は、圧縮データを伸長する機能も有しており、伸長したデータが表す画像は、上述した不良や欠陥の事後検証に用いられる。
【0041】
図1の欠陥検出システム1においては、パーソナルコンピュータ100が、本発明の画像検査装置の一実施形態として動作する。以下では、このパーソナルコンピュータ100について説明する。
【0042】
図2は、図1に示すパーソナルコンピュータ100のハードウェア構成図である。
【0043】
図1に示すパーソナルコンピュータ100は、図2に示す構成のコンピュータシステムで構成されている。
【0044】
この図2に示す、コンピュータシステムで構成されたパーソナルコンピュータ100には、CPU111、RAM112、通信インターフェース113、ハードディスクコントローラ114、FDドライブ115、CDROMドライブ116、マウスコントローラ117、キーボードコントローラ118、ディスプレイコントローラ119、および通信用ボード120が備えられており、これらはバス110で相互に接続されている。
【0045】
ハードディスクコントローラ114は、このパーソナルコンピュータ100に内蔵されているハードディスク104のアクセスを制御するものであり、FDドライブ115、CDROMドライブ116は、このパーソナルコンピュータ100に取出し自在に装填されるフレキシブルディスク(FD)130、CDROM140のアクセスを制御するものである。このハードディスク104は、本発明にいう記録媒体の一例に相当する。また、マウスコントローラ117、キーボードコントローラ118は、このパーソナルコンピュータ100に備えられたマウス107、キーボード108の操作を検出してCPU111に伝達する役割を担っている。さらに、ディスプレイコントローラ119は、このCPU111の指示に基づいて、パーソナルコンピュータ100に備えられた画像ディスプレイ109の表示画面上に画像を表示する役割を担っている。
【0046】
通信用ボード120は、SCSI等の汎用インターフェースプロトコルに準拠した通信を担っており、ラインセンサ200で読み込まれて生成された画像データをインターフェースケーブル150を介してこのパーソナルコンピュータ100に入力する役割を担っている。
【0047】
さらに、通信用インターフェース113は、インターネット等の汎用の通信を担っており、このパーソナルコンピュータ100は、この通信用インターフェース113を経由して画像データを取り込むこともできる。
【0048】
RAM112には、ハードディスク104に格納されているプログラムが読み出されてCPU111での実行のために展開され、CPU111では、そのRAM112に展開されたプログラムが読み出されて実行される。
【0049】
図3は、本発明の画像検査装置の一実施形態に相当する画像検査装置を示すブロック構成図である。
【0050】
この図3に示す画像検査装置500Aは、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、Hプレーン圧縮部550、第1の判定部561、およびデータ記録部570を備えている。各部510〜570の詳細は後述するが、この画像検査装置500A内での処理の流れは以下のとおりである。
【0051】
ラインセンサ200で生成されインターフェースケーブル150を介してラインセンサ200からパーソナルコンピュータ100へ送られてくる画像データD0は、8ビットの数値の連続で2次元的な画像を表しており、この画像データD0が画像検査装置500Aに入力されると、画像検査装置500A内の差分符号化部510および第1の判定部561の双方に入力される。この画像データD0は、本発明にいう被圧縮データの一例に相当する。
【0052】
先ず、画像データD0が差分符号化部510に入力された後の処理の流れを説明し、画像データD0が第1の判定部561に入力された後の処理の流れは後述する。
【0053】
画像データD0が差分符号化部510に入力されると、2次元差分符号化処理、すなわち、入力されてきた画像データD0を構成する数値の連続について、画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求めることによりその差分を表わす8ビットの数値の連続からなる画像データを生成する処理が行なわれる。この差分符号化部510は、本発明にいう差分生成部の一例に相当する。
【0054】
差分符号化部510で生成された、差分を表わす数値の連続からなる画像データは、オフセット部520に入力されて所定値だけオフセットされる。その後、プレーン分割部530で、画像データ中の8ビットの各数値が下位4ビットと上位4ビットとに分けられることにより、画像データは、下位4ビットの数値の連続からなる下位サブプレーンD1Lと上位4ビットの数値の連続からなる上位サブプレーンD1Hに分割される。このオフセット部520は、本発明にいうオフセット部の一例に相当し、プレーン分割部530は、本発明にいう分割部の一例に相当する。また、下位サブプレーンD1Lおよび上位サブプレーンD1Hは、それぞれ、本発明にいう下位データおよび上位データの各一例に相当する。
【0055】
プレーン分割部530で分割された下位サブプレーンD1Lおよび上位サブプレーンD1Hは、それぞれ、Lプレーン圧縮部540およびHプレーン圧縮部550に入力されて可逆圧縮が施される。これらLプレーン圧縮部540およびHプレーン圧縮部550は、それぞれ、本発明にいう下位データ圧縮部および上位データ圧縮部の各一例に相当する。
【0056】
Lプレーン圧縮部540にはハフマン符号化部541が備えられており、ハフマン符号化部541では、数値と符号とを対応づけるハフマンテーブルに従って、そのハフマン符号化部541に入力されてきた下位サブプレーンD1Lを構成する数値をそのハフマンテーブルに従う符号に置き換える符号化処理が行なわれる。このハフマン符号化は、エントロピー符号化の一種である。なお、Lプレーン圧縮部540にはモード切換部542が組み込まれており、このモード切換部542は、ユーザから、高速モードと通常モードとの切り換えを指示されて、上記のハフマン符号化部541によるハフマン符号化を経る通常モードと、ハフマン符号化を省略して下位サブプレーンD1Lをそのまま出力する高速モードとを切り換える。従って、最終的にLプレーン圧縮部540からは、通常モードの場合には、下位サブプレーンD1Lがハフマン符号化により圧縮された下位圧縮データD2Lが出力され、高速モードの場合には、ハフマン符号化が施されていない下位圧縮データD2Lが出力されることになる。
【0057】
一方、Hプレーン圧縮部550には、ランレングス符号化部551と、データスキャニング部552と、ハフマン符号化部553が備えられており、上位サブプレーンD1Hは、Hプレーン圧縮部550中のランレングス符号化部551に入力される。
【0058】
Hプレーン圧縮部550中のランレングス符号化部551では、先ず、入力されてきた上位サブプレーンD1Hのデータの中から1つもしくは複数の圧縮対象数値の存在及び同一の圧縮対象数値の連続数が検出される。次いで、ランレングス符号化部551では、その検出結果を受けて、上位サブプレーンD1Hのデータ中、圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力すると共に、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力するという符号化処理が行なわれる。このランレングス符号化部551では、その符号化処理にあたっては、同一の圧縮対象数値の連続数に応じ、その連続数を異なるビット数で表現する符号化が行なわれる。ここでは、具体的には、同一の圧縮対象数値の連続数が所定数以下のときはその連続数を1単位ビット数で表現し、その連続数が所定数を越えるときは2単位ビット数で表現する符号化が行なわれる。本実施形態では、このランレングス符号化部551が、本発明にいう第1の符号化部の一例に相当する。
【0059】
また、Hプレーン圧縮部550中のランレングス符号化部551での符号化後のデータは、次に、データスキャニング部552とハフマン符号化部553との双方に入力される。データスキャニング部552では、ランレングス符号化部551で符号化された後のデータの全てをスキャニングして、そのデータ中に出現する全ての数値の出現頻度(ヒストグラム)が求められる。ここで、この出現頻度を求める処理は、本実施形態では、図3に示す上位サブプレーンD1Hのデータ1つずつを単位として実行され、各上位サブプレーンD1Hの、ランレングス符号化部551で符号化された後のデータ中の数値の出現頻度が求められる。さらに、データスキャニング部552では、求められたデータヒストグラム(数値の出現頻度)に基づき、ハフマンテーブルに、出現頻度の高い数値ほど符号長の短かい符号を割り当てる。このデータスキャニング部552は、本発明にいうヒストグラム算出部および符号割当部の各一例を兼ね備えたものに相当する。
【0060】
データスキャニング部552で数値に符号が割り当てられてなるハフマンテーブルは、ハフマン符号化部553に渡され、ハフマン符号化部553では、その渡されたハフマンテーブルに従って、そのハフマン符号化部553に入力されてきたデータを構成する数値を、そのハフマンテーブルに従う符号、すなわち、出現頻度の高い数値ほど短かいビット長で表わされる符号に置き換える符号化処理が行なわれる。このハフマン符号化部553は、本発明にいう第2の符号化部の一例に相当する。
【0061】
ハフマン符号化部553でハフマン符号化された後のデータは、データスキャニング部552で割り当てられた数値と符号との割当テーブルを含む圧縮情報が添付され、上位サブプレーンD1Hが圧縮された上位圧縮データD2HとしてHプレーン圧縮部550から出力される。
【0062】
このようにLプレーン圧縮部540およびHプレーン圧縮部550のそれぞれから出力される下位圧縮データD2Lと上位圧縮データD2Hとの組で、元々の画像データに対する可逆圧縮が施された圧縮データが構成される。以上説明した差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、およびHプレーン圧縮部550の組み合わせは、本発明にいう可逆圧縮部の一例に相当する。
【0063】
次に、画像データD0が第1の判定部561に入力された後の処理の流れを説明する。
【0064】
画像データD0が第1の判定部561に入力されると、画像データD0を構成する数値の連続について、画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、この差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する処理が行なわれる。具体的には、この第1の判定部561は、2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分のうち少なくとも1つの差分が所定程度に達している場合にその箇所をエッジ部分と判定する。この第1の判定部561は、本発明にいう判定部の一例に相当する。
【0065】
第1の判定部561での判定結果は、データ記録部570に入力される。データ記録部570では、画像が分けられてなる領域のうち、第1の判定部561でエッジ部分と判定された箇所を含む領域については、上述した差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、およびHプレーン圧縮部550を経ることで得られた圧縮データをパーソナルコンピュータ100に内蔵されているハードディスク104(図2参照)に記録し、その箇所を含まない領域についてはその圧縮データを破棄する処理が行なわれる。尚、『画像が分けられてなる領域』における『領域』とは、上述したように、パーソナルコンピュータ100に送られてきた画像データD0により表わされる画像が分けられてなる領域であって、具体的には、連続して搬送されるフィルム10の画像をラインセンサ200で読み込んだ所定数ライン分の区間の意である。このデータ記録部570は、本発明にいうデータ記録部の一例に相当する。
【0066】
尚、上述したように、パーソナルコンピュータ100は、圧縮データを伸長する機能も有しており、パーソナルコンピュータ100においてデータ伸長処理が施される。ここで、このデータ伸長処理にあたっては、図3で説明した各種の符号化処理に対応する復号化処理が施される。そして、元の入力画像ファイル中の画像データと同一の画像データが復元される。このように復元された画像データは、キズ等の存在を人間の目等で確認する事後検証に用いられる。
【0067】
図4は、本発明の画像検査プログラムの一実施形態に相当する画像検査プログラムの模式構成図である。
【0068】
ここでは、この画像検査プログラム600Aは、CDROM140に記憶されている。
【0069】
この画像検査プログラム600Aは、差分符号化部610、オフセット部620、プレーン分割部630、Lプレーン圧縮部640、Hプレーン圧縮部650、第1の判定部661、およびデータ記録部670から構成されている。このCDROM140には、ここに示す画像検査プログラム600Aのほか、図1に示すパーソナルコンピュータ100における一連の処理を実行するための各種プログラムが記憶されているが、それらについては従来と同様であるため図示および説明は省略する。
【0070】
この図4に示すCDROM140が、図2に示すパーソナルコンピュータ100に装填されCDROMドライブ116でアクセスされてそのCDROM140に記憶されている画像検査プログラム600Aがこのパーソナルコンピュータ100にアップロードされ、ハードディスク104に記憶される。このハードディスク104に記憶されたプログラムがそのハードディスク104から読み出されてRAM112に展開され、CPU111によって実行されることにより、このパーソナルコンピュータ100は、図3に示す画像検査装置500Aとしての処理を含む各種処理を実行する装置として動作する。
【0071】
ここで、図4に示す画像検査プログラム600Aは、パーソナルコンピュータ100にインストールされてCPU111で実行されることにより、そのパーソナルコンピュータ100内に図3に示す画像検査装置500Aを実現するものであり、差分符号化部610、オフセット部620、プレーン分割部630、Lプレーン圧縮部640、Hプレーン圧縮部650、第1の判定部661、およびデータ記録部670は、CPU111で実行されることにより、そのパーソナルコンピュータ100を、図3に示す画像検査装置500Aを構成する、それぞれ、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、Hプレーン圧縮部550、第1の判定部561、およびデータ記録部570として動作させるプログラム部品である。つまり、これらのプログラム部品により、画像検査装置500Aの構成要素がパーソナルコンピュータ100上に実質的に構築されることとなる。
【0072】
図4の画像検査プログラム600Aを構成する各部610〜670の、CPU111で実行されたときの作用は、それぞれ、図3の画像検査装置500Aを構成する各部510〜570の作用そのものである。したがって、図3の画像検査装置500Aの各部510〜570に関する、これまでの説明、および、以下に説明する詳細説明をもって、図4の画像検査プログラム600Aを構成する各部610〜670の説明を兼ねるものとする。
【0073】
次に、図3に示す画像検査装置500A内での処理について詳しく説明する。
【0074】
図5は、図3の画像検査装置500Aに入力される画像データD0の構造を示す図、図6は、この画像データD0に対して2次元差分符号化処理が施された後のデータの構造を示す図である。
【0075】
画像データD0で表される画像は、所定の主走査方向に画素がM個並んでなるラインが、その主走査方向とは直角な副走査方向にNライン並ぶことによって構成されており、このような構成を反映してその画像データD0も、図5に示すように、主走査方向(図の左右方向)に画素値がM個並んでなるラインが、副走査方向(図の上下方向)にNライン並んでいるという構造を備えている。この図では、上からn番目のライン中の、左からm番目の画素値はPn,mと表記されており、この表記法を用いて、副走査方向にn番目のラインについては、主走査方向に並ぶ各画素の画素値が、その並び順に、
n,1,Pn,2,…,Pn,m−1,Pn,m,…,Pn,M−2,Pn,M−1,Pn,M
と表されている。これらの画素値は、16進表示で表された数値である。
【0076】
ここで、図3に示す画像検査装置500Aを構成する差分符号化部510には、上記のような画像データD0が入力されて2次元差分符号化処理が施され、主走査方向に隣接する画素どうしの差分における副走査方向での更なる差分が求められる。
【0077】
図6には、2次元差分符号化処理が施されたデータの構造が示されており、このデータも、2次元差分符号化後の画素値が主走査方向にM個並んでなるラインが、副走査方向にNライン並んでいるという構造を備えている。この図では、上からn番目のライン中の、左からm番目の、2次元差分符号化後の画素値は、Xn,mと表記されており、この2次元差分符号化後の画素値Xn,mは、図5の中央部に示す、2次元差分符号化前の4つの画素値{Pn−1,m−1,Pn−1,m,Pn,m−1,Pn,m}から、下記の変換式によって得られる。
n,m=(Pn,m−Pn,m−1)−(Pn−1,m−Pn−1,m−1) …(1)
ここで、n=1の場合やm=1の場合には、右辺の2次元差分符号化前の画素値の添え字に0が現れることとなるが、添え字が0となる画素値については、下記のように定義する。
0,0=P0,m=00 (m=1〜M), Pn,0=Pn−1,M (n=1〜N)…(2) ここで、式(2)の「00」は、画素値を16進表示で表したときに値がゼロであることを表している。以下、式(1)および式(2)の意味について簡単に説明する。
【0078】
式(1)は、主走査方向に隣接する画素どうしの差分(すなわち、カッコの中の値)における副走査方向での更なる差分によって2次元差分符号化後の画素値Xn,mが得られることを表しており、2次元差分符号化前の画素値Pn,mが隣接する画素の画素値と相関が強い(すなわち同じような大きさの画素値である)場合には、2次元差分符号化後の画素値Xn,mは、ゼロに近い値となる。
【0079】
式(2)は、副走査方向の仮想的な0番目のラインと、各ラインの左から0番目の仮想的な画素値とを新たに設けたときの各画素値の定義を表す式である。主走査方向については左端の画素値(左から0番目の画素値Pn,0)とそのラインより1ライン前のラインの右端の画素値Pn−1,Mとを同一視するという定義となっている。また、副走査方向については、図の一番上側の画素値(0番目のライン上の画素値)、すなわち、P0,0やP0,mが全て0に固定された定義となっている。
【0080】
2次元差分符号化後のデータにおいて、1ライン目の画素値、および各ラインの1番目の画素値については、式(1)の変換式の右辺に、添え字が「0」である項が現れるため、式(2)の定義が適用されることとなる。具体的には上記の式(1)および式(2)により、2次元差分符号化後の1ライン目の画素値は、
1,1=P1,1
1,2=P1,2−P1,1
1,3=P1,3−P1,2
…………
1,M=P1,M−P1,M−1
のように表される。
【0081】
一方、2次元差分符号化後のデータにおいて、各ラインの1番目の画素値については、上記の式(2)により、
1,1=P1,1
2,1=(P2,1−P1,M)−P1,1
3,1=(P3,1−P2,M)−(P2,1−P1,M),
…………
N,1=(PN,1−PN−1,M)−(PN−1,1−PN−2,M
のように表される。このように、1ライン目の画素値、および各ラインの1番目の画素値については、その変換の仕方がやや特殊であるが、これらの画素値以外の画素値については、式(2)の定義が適用されることなく、式(1)がそのまま適用される。例えば、2ライン目の画素値のうち一番左端を除いた画素値は、
2,2=(P2,2−P2,1)−(P1,2−P1,1),
2,3=(P2,3−P2,2)−(P1,3−P1,2),
…………
2,M=(P2,M−P2,M−1)−(P1,M−P1,M−1
のように表される。
【0082】
この2次元差分符号化処理を、具体的な数値を用いて説明する。
【0083】
図7は、図3の画像検査装置500Aを構成する差分符号化部510における2次元差分符号化処理を例示して示す図である。
【0084】
この図の左側(パート(A))に示す各数値が画像データD0を構成する画素値であり、この図の右側(パート(B))に示す各数値が2次元差分符号化処理で出力される出力値である。この図の横方向が主走査方向であり、主走査方向に並んだ8つの数値の並びが上記のラインである。この図に示すデータにはこうした8つの数値が並んだラインが全部で8本あり、図5および図6のデータにおいてN=8,M=8の場合のデータに相当する。
【0085】
図7のパート(A)に示すデータの2次元差分符号化処理では、先ず、1ライン目の各画素値「90 8A 8A 7B …」のうち、一番左の「90」については、この値がそのまま上記のX1,1として出力され、それ以外のX1,2,X1,3,…については、主走査方向に隣接する画素値どうしの差分の値「8A−90=FA」「8A−8A=00」…が出力される。ここで、「8A」から「90」を引き算した結果は実際には負の数となり、9ビットで「1FA」と表されるが、MSBの1ビットである最上位の「1」は省略し、下位8ビットである「FA」のみを出力する。
【0086】
2ライン目については、X2,1を求める式、
2,1=(P2,1−P1,M)−P1,1
において、M=8としたときの右辺の{P2,1,P1,8,P1,1}に対し、図7のパート(A)に示す数値が代入されて、「(87−58)−90=9F」がX2,1として出力される。それ以外のX2,2,X2,3,…については、2ライン目についての主走査方向に隣接する画素値どうしの差分と、1ライン目についての主走査方向に隣接する画素値どうしの差分とのさらなる差分の値「(84−87)−(8A−90)=3」「(88−84)−(8A−8A)=04」…が出力される。
【0087】
3ライン目については、X3,1を求める式、
3,1=(P3,1−P2,M)−(P2,1−P1,M
において、M=8としたときの右辺の{P3,1,P2,8,P2,1,P1,8}に、図7のパート(A)に示す数値が代入されて、「(8B−4C)−(87−58)=10」がX3,1として出力される。それ以外のX3,2,X3,3,…については、3ライン目についての主走査方向に隣接する画素値どうしの差分と、2ライン目についての主走査方向に隣接する画素値どうしの差分とのさらなる差分の値「(86−8B)−(84−87)=FE」「(8A−86)−(88−84)=00」…が出力される。
【0088】
以下、4ライン目以降についても、3ライン目の演算と同じ演算を繰り返すことにより、図7のパート(B)に示す各数値が得られることとなる。
【0089】
図1に示すパーソナルコンピュータ4では、このように2次元差分符号化されたデータに対してデータの復号化処理が行われる。この復号化処理では、2次元差分符号化されたデータの値からPn,mを求める式が使用されており、この式は以下のようにして求めることができる。
【0090】
2次元差分符号化後の画素値Xi,jを、i=1からi=mまで足し上げ、さらにj=1からj=mについて足し上げた結果は、式(1)および式(2)を用いて下記の式(3)のように表される。
【0091】
【数1】

【0092】
ここで、式の途中に現れる{P0,0,Pn,0,P0,m}に対して、式(2)が適用されている。この式から、2次元差分符号化前の画素値Pn,mは、下記の式(4)のように表される。
【0093】
【数2】

【0094】
図1に示すパーソナルコンピュータ4では、上記の式(4)により、先ず、1ライン目の画素値P1,1,P1,2,…,P1,Mが求められる。例えば、1ライン目の画素値のうち主走査方向にm番目の画素値は、上記の式(4)にn=1を代入し、さらに式(2)のP0,M=0を利用して、下記の式(5)のように表される。
【0095】
【数3】

【0096】
このようにして、1ライン目の画素値、P1,1,P1,2,…,P1,Mがすべて求められる。
【0097】
2ライン目の画素値P2,1,P2,1,…,P2,Mについては、同様に上記の式(4)にn=2を代入し、さらに1ライン目の画素値の複合化で得られたP1,Mを用いることで求めることができる。例えば、2ライン目の画素値のうち主走査方向にm番目の画素値は、下記の式(6)のように表される。
【0098】
【数4】

【0099】
3ライン目以降の画素値についても同様にして、上記の式(6)やそれ以降の計算で複合化された画素値を用いて求めることができる。図1に示すパーソナルコンピュータ4では、このような方式でデータの復号化処理が行われる。
【0100】
図3の差分符号化部510では、以上説明したような2次元差分符号化が画像データD0に施される。この2次元差分符号化によって得られるデータは、図3のオフセット部520に入力され、そのデータの各数値について所定のオフセット値が加算される。
【0101】
ここで、このような2次元差分符号化およびオフセットの効果について、具体的な画像を表す画像データを例に用いて説明する。
【0102】
図8は、画像を表す画像データの例を示す図である。
【0103】
この図8のパート(A)には、画像の一例としてモノクロの風景画像が示されており、本実施形態では、このような画像の各画素における色の濃度が8ビットの数値で表現された画像データが用いられる。図8のパート(B)には、パート(A)に示す風景画像を表す画像データにおけるデータ値のヒストグラムが示されており、このヒストグラムの横軸はデータ値、縦軸はデータ数(画素数)を表している。通常の画像ではヒストグラムの幅が広く、ヒストグラム中でデータ数の山谷は生じてもヒストグラムの途中にデータ数が「0」の領域が生じることは極めてまれである。
【0104】
図9は、画像データに対する2次元差分符号化およびオフセットの効果を示す図である。
【0105】
この図9のパート(A)には、図8に示した画像データに対して2次元差分符号化が施されて得られるデータのヒストグラムが示されており、このヒストグラムの横軸はデータ値、縦軸は出現頻度を表している。画像データに対して、図6および図7で説明した2次元差分符号化が施されると、データのヒストグラムは、一般に、この図9のパート(A)に示すような、最小データ値と最大データ値の双方に鋭いピークを有するヒストグラムとなる。そして、このようなデータに対してオフセットが施されると、データのヒストグラムは、図9のパート(B)に示すような、オフセット値のところに鋭いピークを持つヒストグラムとなる。本実施形態ではオフセット値として「8」が用いられており、オフセットの結果、値が「16」以上となるデータの頻度はほとんど「0」となっている。このように変形させたヒストグラムのピークが鋭いほど、この後の処理で高い圧縮率が期待される。
【0106】
このように2次元差分符号化およびオフセットによってヒストグラムが変形されたデータは、図3のプレーン分割部530によって下位サブプレーンD1Lと上位サブプレーンD1Hとに分割される。
【0107】
図10は、プレーン分割部530によるデータ分割の効果を説明する図である。
【0108】
この図10には、図9のパート(B)に示すヒストグラムがデータ値「15」とデータ値「16」との間で切り離されたヒストグラムが示されており、図3のプレーン分割部530によるデータ分割は、まさにこのようなヒストグラムの分割に相当する効果を生じる。すなわち、本実施形態では、データを構成している8ビットの各数値が上位4ビットと下位4ビットとに分割されることで、下位4ビットが表す数値の連続からなる下位サブプレーンD1Lと上位4ビットが表す数値の連続からなる上位サブプレーンD1Hとが得られる。そして、下位サブプレーンD1Lを構成する4ビットの数値が値「0」から値「15」までの各数値をそのまま表現していて、上位サブプレーンD1Hを構成する4ビットの数値の場合は、値「16」から値「256」までの、16間隔16種類の数値を表現していると解釈すると、下位サブプレーンD1Lのヒストグラムは、この図10の左側に示されたヒストグラムとほぼ同じものとなり、上位サブプレーンD1Hのヒストグラムは、図10の右側に示されたヒストグラムとほぼ同じものとなる。ただし、上位サブプレーンD1Hのヒストグラムについては、図10の右側に示されたヒストグラムのデータ値「16」のところに、図10の左側に示されたヒストグラムの面積に等しい高さのピークが付加されたものとなる。
【0109】
以下では、上位サブプレーンD1Hと下位サブプレーンD1Lとに分割された後のデータの処理について説明する。
【0110】
まず、上位サブプレーンD1Hに対する処理について説明する。
【0111】
図10の右側に示されたヒストグラムにおいて画素の出現頻度がほとんどゼロに近いことからわかるように、上位サブプレーンD1H中の数値は、ゼロに近い値(16進数表示での「00」や「01」や「FF」)の連続が多いことが予想される。このため、上位サブプレーンD1Hに圧縮を施すには、同一の数値の連続を符号化することで圧縮を行うランレングス符号化が有効であり、上位サブプレーンD1Hは、図3に示すHプレーン圧縮部550の構成要素の1つであるランレングス符号化部551に入力される。
【0112】
本実施形態では、処理の都合上、ランレングス符号化部551で、上位サブプレーンD1Hを構成する連続した4ビットの数値が2つで1つの8ビットの数値として取り扱われ、16進数表示で値「00」から値「FF」までの数値の連続に対して以下の符号化処理が適用される。
【0113】
この符号化処理では、複数の8ビットの数値のうちの特定の数値についてのみ符号化処理が行なわれる。このため、このランレングス符号化部551では、受け取ったデータの中から、符号化処理を行なう数値(ここでは、この数値を「圧縮対象数値」と称する)と、その圧縮対象数値の連続数が検出される。
【0114】
本実施形態では、一例として、「01」、「FF」および「00」の3つの数値を圧縮対象数値としている。
【0115】
図11は、図3に示すランレングス符号化部551での符号化の説明図である。
【0116】
図11の上のラインは、上位サブプレーンD1Hを構成するデータ、下のラインは、ランレングス符号化部551での符号化処理を行なった後のデータである。
【0117】
ここでは、図11の上のラインに示すように、プレーン分割部530からは、
「06 02 02 02 01 01 01 01 04 05 00 … 」
なるデータが入力されたものとする。このとき、図3のランレングス符号化部551では、先頭の「06」は圧縮対象数値ではなく、次に続く「02 02 02」も圧縮対象数値ではなく、次に、圧縮対象数値である「01」が4つ連続していること、次に、圧縮対象数値ではない「04」、「05」を間に置いて、圧縮対象数値である「00」が32767個連続していることが検出される。
【0118】
図12は、ランレングス符号化部551における、圧縮対象数値を対象にした符号化のアルゴリズムを示す図である。
【0119】
この図12中、Zは同一の圧縮対象数値の連続数、例えば図11の上のラインの「01」についてはZ=4、「00」についてはZ=32767である。
【0120】
また、図12中、「YY」は、16進2桁で表わされた圧縮対象数値自体を表わしている。その「YY」に続く、「0」又は「1」は1ビットで表現された「0」又は「1」であり、さらにそれに続く「XXX XXXX…」は、1つの「X」が1ビットを表わしており、この「XXX XXXX…」でZの値を表現している。
【0121】
すなわち、図12は、圧縮対象数値「YY」がZ<128連続するときは、1バイト目で圧縮対象数値「YY」を表現し、それに続く1バイトで、先頭ビットが「0」、それに続く7ビットでZの値を表現すること、また、圧縮対象数値「YY」がZ≧128連続するときは、1バイト目で圧縮対象数値「YY」を表現し、それに続く2バイト(16ビット)のうちの先頭の1ビットを「1」とすることで2バイトに跨って表現されていることを表現し、それに続く15ビットで、Zの値を表現することを意味している。
【0122】
この図12に示す規則に従って図11に示す符号化の例について説明する。
【0123】
図3のプレーン分割部530から入力されてきた上位サブプレーンD1Hのデータ(上のライン)を構成する先頭の数値「06」は圧縮対象数値ではないため、その「06」のまま出力される。また、それに続く「02 02 02」も、「02」は圧縮対象数値ではなく、これら3つの「02」もそのまま出力される。次に、圧縮対象数値である「01」が4個連続するため、「01 04」に符号化される。次の「04」及び「05」は圧縮対象数値ではないため、そのまま「04 05」が出力される。
【0124】
次に「00」が32767個連続しているため、「00」を置き、次の1バイトのうちの先頭の1ビットを「1」とし、次いで15ビットで32767−128を表現することにより、「00 FF 7F」の3バイトで「00」が32767個連続していることを表現する。すなわち、連続数128は、最初のビット「1」を除き、「00 00」と表現される。
【0125】
図13は、図3のランレングス符号化部551における、連続数に応じた符号化処理の例を示す図である。
・「00」が127個連続するときは、2バイトを用いて「00 7F」に符号化され、
・「00」が32767個連続するときは、3バイトを用いて「00 FF 7F」に符号化され、
・「00」が32895個連続するときは、3バイトを用いて「00 FF FF」に符号化され、
「00」が128個連続するときは、3バイトを用いて「00 80 00」に符号化され、
「01」が129個連続するときは、3バイトを用いて「01 80 01」に符号化され、
・「FF」が4096個連続するときは、3バイトを用いて「FF 8F 80」に符号化される。
【0126】
図3に示すランレングス符号化部551では、上記のような符号化処理が行なわれる。
【0127】
本実施形態によるランレングス符号化部551によれば、最大圧縮率は、3/32895=1/10,965にまで向上する。また、このランレングス符号化部551が符号化処理の対象としている上位サブプレーンD1Hのデータは、図10のヒストグラムで説明したように、4ビットの数値のほとんどが、データ値「16」を表現した数値「0」であり、その4ビットの数値から作られる8ビットの数値も、多くが、16進数表示で数値「00」となる。このためランレングス符号化部551における符号化処理によって大幅なデータ圧縮が期待される。
【0128】
図3のHプレーン圧縮部550内のランレングス符号化部551で上記の符号化処理の行なわれた後のデータは、次に図3のHプレーン圧縮部550を構成するデータスキャニング部552とハフマン符号化部553に入力される。
【0129】
このデータスキャニング部552では、先ず、ランレングス符号化部551から出力されたデータの全体がスキャニングされてデータ値の出現頻度が求められる。
【0130】
図14は、データスキャニング部552によるスキャニング結果の例を示す図である。
【0131】
ここでは、「A1」の出現頻度が最も強く、以下順に、「A2」、「A3」、「A4」、…の順であるとする。尚、これら「A1」、「A2」等は数値を直接表わしている訳ではなく、数値を表わす符号である。すなわち、「A1」は例えば数値「00」、「A2」は数値「FF」等である。また、ここでは、簡単のため、図3のランレングス符号化部551から送られてくるデータは全てのデータ値が「A1」〜「A16」の16個の数値のうちのいずれかの数値であるものとする。そして、このような16個の数値それぞれに対して、データスキャニング部552では、出現頻度に応じた符号が割り当てられてハフマンテーブルが作成される。即ち、出現頻度の最も高い「A1」には、2ビットで表わされた符号「00」が割り当てられ、次の「A2」には、やはり2ビットで表わされた符号「01」が割り当てられ、次の「A3」、さらに次の「A4」には、3ビットで表わされる、それぞれ、符号「100」、符号「101」が割り当てられ、次の「A5」〜「A8」には、5ビットで表わされる各符号が割り当てられ、以下同様に、出現頻度が低い数値ほど多くのビット数で表わされた符号が割り当てられる。
【0132】
図15は、ハフマンテーブルの一例を示す図である。
【0133】
このハフマンテーブルは、図14と一致させてあり、出現頻度が高い数値ほど短かいビット数で表わされた符号に置き換えられるように並べられた、符号化前(置き換え前)の数値と符号化後(置き換え後)の数値との対応テーブルである。
【0134】
図3のHプレーン圧縮部550を構成するハフマン符号化部553では、このようなハフマンテーブルに従ってデータの数値が符号化され、その結果、多くの数値が短かいビット数の符号に置き換えられることとなってデータ圧縮が実現される。
【0135】
図16は、ハフマンテーブルに用意される符号列の具体例を示す図である。
【0136】
図16に示す符号列では、各符号列中の「,」よりも右側の数値がビット長を意味しており、その「,」から左側に並ぶそのビット長分の2進符号が実際の符号を表わしている。例えば、図16の左上の第1番目の符号は「11」の2ビット、次の2番目の符号は「011」の3ビット、その次の3番目の符号は「010」の3ビット、さらにその次の4番目の符号は「1010」の4ビットである。このような符号列により、出現頻度が高い数値ほど短かいビット数で表わされた符号に置き換えられる。
【0137】
以上の図11〜図16で説明した処理により、図3のHプレーン圧縮部550に入力される上位サブプレーンD1Hについては、ランレングス符号化部551による符号化とハフマン符号化部553による符号化が施されることにより高い圧縮率で圧縮されて上位圧縮データD2Hとなる。
【0138】
次に、下位サブプレーンD1Lに対する処理について説明する。プレーン分割部530で分割された下位サブプレーンD1Lは、Lプレーン圧縮部540を構成するハフマン符号化部541において、図14〜図16で説明したハフマン符号化処理が行われる。ハフマン符号化後の下位サブプレーンD1Lは、下位圧縮データD2LとしてLプレーン圧縮部540から出力される。なお、上述したように、ユーザから、高速モードが指示された場合には、上記のハフマン符号化部541によるハフマン符号化処理は省略されて、Lプレーン圧縮部540から出力されることになる。
【0139】
次に、画像中のエッジ部分を判定して圧縮データを記録もしくは破棄する処理について詳しく説明する。
【0140】
図17は、図3の第1の判定部561で行われるエッジ部分判定処理の概念を示す図である。
【0141】
図17には、図3の第1の判定部561に入力される画像データD0のデータ構造も示されており、図17に示す画像データD0のデータ構造は、実際には、図5に示す画像データD0のデータ構造と同じものであるが、図17では、エッジ部分判定処理の概念を示すため、データ構造が図5とは異なる形式で表されている。
【0142】
図17では、図17の横方向が、図5で上述した主走査方向であり、その主走査方向とは直角な方向が副走査方向である。つまり、この主走査方向は、本発明にいう横方向の一例に相当し、この副走査方向は、本発明にいう縦方向の一例に相当する。上述したように主走査方向に並ぶ画素の列はラインと称され、ここでは6ライン分の画素が示されている。図17では、各画素の位置は、画素値を表す符号Tに付された添え字で表現される。例えば2番目のラインについて、主走査方向に並ぶ各画素の画素値には、その並び順に、
2_1,2_2,2_3,…
という添え字が付されている。
【0143】
図3に示す画像検査装置500Aを構成する第1の判定部561に、このように並んだ画素値からなる画像データD0が入力され、第1の判定部561は、画像データD0を構成する数値の連続について、画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、この差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する。
【0144】
以下、エッジ部分判定処理について具体的に説明する。
【0145】
図17に示す画素の画素値をTn_kと表現した場合に、画像上でその画素に互いに縦横に隣接する画素の画素値は、Tn_k+1,Tn+1_k,Tn+1_k+1というように表現される。
【0146】
このような、画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎に、2次元的な差分として、副走査方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を横方向に差し引いた第1差分と、主走査方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を縦方向に差し引いた第2差分と、対角に並んだ画素どうしにおける画素値の和の一方から他方を差し引いた第3差分とを求める。
【0147】
つまり、第1差分は、
((Tn_k)+(Tn+1_k))−((Tn_k+1)+(Tn+1_k+1))
の式によって求め、
第2差分は、
((Tn_k)+(Tn_k+1))−((Tn+1_k)+(Tn+1_k+1))
の式によって求め、
第3差分は、
((Tn_k)+(Tn+1_k+1))−((Tn_k+1)+(Tn+1_k))
の式によって求める。
【0148】
そして、第1差分、第2差分、および第3差分のうち少なくとも1つの差分が、第1の判定部561にあらかじめ入力されている閾値に達している場合にそれら4つの画素の箇所をエッジ部分と判定する。尚、第1差分が閾値に達している場合には縦エッジが検出され、第2差分が閾値に達している場合には横エッジが検出され、第3差分が閾値に達している場合には斜めエッジが検出される。
【0149】
この方式によるエッジ判定は、差分に基づいた単純な判定なので、エッジの検知漏れが少ない。一方で、多少の誤検知を生じる可能性があるが、誤検知は、記録された圧縮データに基づいた事後検証で取り除くことができる。また、画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎にエッジの検知を行うことにより、画像上の全範囲におけるエッジ検出が確実に行われる。
【0150】
データ記録部570は、パーソナルコンピュータ100に送られてきた画像データD0により表わされる画像における、連続して搬送されるフィルム10の画像をラインセンサ200で読み込んだ所定数ライン分の区間のうち、第1の判定部561でエッジ部分と判定された箇所を含む区間については、上述した差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、およびHプレーン圧縮部550を経ることで得られた圧縮データをパーソナルコンピュータ100に内蔵されているハードディスク104(図2参照)に記録し、その箇所を含まない区間についてはその圧縮データを破棄する。
【0151】
以下、本発明の別の実施形態を説明する。
【0152】
尚、以下説明する別の実施形態は、上述した実施形態の第1の判定部を、この第1の判定部とは異なる判定基準を有する第2の判定部に置き換えたものである。
【0153】
以下、上述した実施形態における要素と同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、上述した実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0154】
図18は、本発明の別の一実施形態が適用される画像検査装置を示すブロック構成図である。
【0155】
この図18に示す画像検査装置500Bは、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、Hプレーン圧縮部550、第2の判定部562、およびデータ記録部570を備えている。
【0156】
画像データD0が第2の判定部562に入力されると、画像データD0を構成する数値の連続について、画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、この差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する処理が行なわれる。具体的には、この第1の判定部561は、2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分の何れもが所定程度に達している場合にその箇所をエッジ部分と判定する。この第2の判定部562は、本発明にいう判定部の一例に相当する。
【0157】
図19は、本発明の別の一実施形態が適用される画像検査プログラムの模式構成図である。
【0158】
この画像検査プログラム600Bは、差分符号化部610、オフセット部620、プレーン分割部630、Lプレーン圧縮部640、Hプレーン圧縮部650、第2の判定部662、およびデータ記録部670から構成されている。
【0159】
図19に示す画像検査プログラム600Bは、パーソナルコンピュータ100にインストールされてCPU111で実行されることにより、そのパーソナルコンピュータ100内に図18に示す画像検査装置500Bを実現するものであり、差分符号化部610、オフセット部620、プレーン分割部630、Lプレーン圧縮部640、Hプレーン圧縮部650、第2の判定部662、およびデータ記録部670は、CPU111で実行されることにより、そのパーソナルコンピュータ100を、図18に示す画像検査装置500Bを構成する、それぞれ、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、Hプレーン圧縮部550、第2の判定部562、およびデータ記録部570として動作させるプログラム部品である。つまり、これらのプログラム部品により、画像検査装置500Bの構成要素がパーソナルコンピュータ100上に実質的に構築されることとなる。
【0160】
図19の画像検査プログラム600Bを構成する各部610〜670の、CPU111で実行されたときの作用は、それぞれ、図18の画像検査装置500Bを構成する各部510〜570の作用そのものである。したがって、図18の画像検査装置500Bの各部510〜570に関する、これまでの説明、および、以下に説明する詳細説明をもって、図19の画像検査プログラム600Bを構成する各部610〜670の説明を兼ねるものとする。
【0161】
次に、図18に示す画像検査装置500B内での処理のうちの、画像中のエッジ部分を判定する処理について詳しく説明する。尚、図18の第1の判定部561に入力される画像データD0のデータ構造は、図3の第1の判定部561に入力される画像データD0のデータ構造と同じものであるため、以下では、図17を参照して、画像中のエッジ部分を判定する処理について説明する。
【0162】
図18に示す画像検査装置500Bを構成する第2の判定部562は、画像データD0を構成する数値の連続について、画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、この差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する。
【0163】
以下、エッジ部分判定処理について具体的に説明する。
【0164】
図17に示す画素の画素値をTn_kと表現した場合に、画像上でその画素に互いに縦横に隣接する画素の画素値は、Tn_k+1,Tn+1_k,Tn+1_k+1というように表現される。
【0165】
このような、画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎に、2次元的な差分として、副走査方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を横方向に差し引いた第1差分と、主走査方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を縦方向に差し引いた第2差分と、対角に並んだ画素どうしにおける画素値の和の一方から他方を差し引いた第3差分とを求める。
【0166】
つまり、第1差分は、
((Tn_k)+(Tn+1_k))−((Tn_k+1)+(Tn+1_k+1))
の式によって求め、
第2差分は、
((Tn_k)+(Tn_k+1))−((Tn+1_k)+(Tn+1_k+1))
の式によって求め、
第3差分は、
((Tn_k)+(Tn+1_k+1))−((Tn_k+1)+(Tn+1_k))
の式によって求める。
【0167】
そして、第1差分、第2差分、および第3差分の何れもが、第2の判定部562にあらかじめ入力されている閾値に達している場合にそれら4つの画素の箇所をエッジ部分と判定する。
【0168】
この方式によるエッジ判定は、エッジ部分の誤検知を抑えて無用なデータ記録を抑えることができる。
【0169】
以上が、本実施形態の説明である。
【0170】
なお、上記説明では、本発明にいう可逆圧縮部の一例として、差分符号化部、オフセット部、プレーン分割部、Lプレーン圧縮部、およびHプレーン圧縮部を経る可逆圧縮処理を示したが、本発明にいう可逆圧縮部は、可逆圧縮処理を施すものであればよく、上記説明の方法に限定されない。
【0171】
また、上記説明では、本発明の画像検査装置をソフトウェアで実現する例が示されているが、本発明の画像検査装置は、専用のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0172】
また、上記説明では、本発明にいう差分生成部の一例として、画像の縦横双方の差分を複合した2次元的な差分演算を用いて差分を求める例が示されているが、本発明にいう差分生成部は、主走査方向や副走査方向の1次元の差分を求めるものであってもよい。
【0173】
また、上記説明では、本発明にいう判定部の一例として、画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎にエッジの検知を行う例が示されているが、本発明にいう判定部は、被圧縮データを構成する数値の連続について、画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、この差分が所定程度に達しているときに、その画像中でのこの差分を求めた箇所をエッジ部分と判定するものであればよく、上記説明の方法に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の一実施形態が適用される欠陥検出システムの構成図である。
【図2】図1に示すパーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】本発明の画像検査装置の一実施形態に相当する画像検査装置を示すブロック構成図である。
【図4】本発明の画像検査プログラムの一実施形態に相当する画像検査プログラムの模式構成図である。
【図5】図3の画像検査装置に入力される画像データの構造を示す図である。
【図6】図3の画像検査装置に入力される画像データに対して2次元差分符号化処理が施された後のデータの構造を示す図である。
【図7】図3の画像検査装置を構成する差分符号化部における2次元差分符号化処理を例示して示す図である。
【図8】画像を表す画像データの例を示す図である。
【図9】画像データに対する2次元差分符号化およびオフセットの効果を示す図である。
【図10】プレーン分割部によるデータ分割の効果を説明する図である。
【図11】図3に示すランレングス符号化部での符号化の説明図である。
【図12】ランレングス符号化部における、圧縮対象数値を対象にした符号化のアルゴリズムを示す図である。
【図13】図3のランレングス符号化部における、連続数に応じた符号化処理の例を示す図である。
【図14】データスキャニング部によるスキャニング結果の例を示す図である。
【図15】ハフマンテーブルの一例を示す図である。
【図16】ハフマンテーブルに用意される符号列の具体例を示す図である。
【図17】図3の第1の判定部で行われるエッジ部分判定処理の概念を示す図である。
【図18】本発明の別の一実施形態が適用される画像検査装置を示すブロック構成図である。
【図19】本発明の別の一実施形態が適用される画像検査プログラムの模式構成図である。
【符号の説明】
【0175】
1 欠陥検出システム
10 フィルム
100 パーソナルコンピュータ
104 ハードディスク
107 マウス、
108 キーボード
109 ディスプレイ
110 バス
111 CPU
112 RAM
113 通信インターフェース
114 ハードディスクコントローラ
115 FDドライブ
116 CDROMドライブ
117 マウスコントローラ
118 キーボードコントローラ
119 ディスプレイコントローラ
120 通信用ボード
130 フレキシブルディスク(FD)、
140 CDROM
150 インターフェースケーブル
200 ラインセンサ
500A,500B 画像検査装置
510 差分符号化部
520 オフセット部
530 プレーン分割部
540 Lプレーン圧縮部
541,553 ハフマン符号化部
542 モード切換部
550 Hプレーン圧縮部
551 ランレングス符号化部
552 データスキャニング部
561 第1の判定部
570 データ記録部
600A,600B 画像検査プログラム
610 差分符号化部
620 オフセット部
630 プレーン分割部
640 Lプレーン圧縮部
650 Hプレーン圧縮部
661 第1の判定部
670 データ記録部
562 第2の判定部
662 第2の判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値の連続で2次元的な画像を表した被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
前記被圧縮データを構成する数値の連続について、前記画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、該差分が所定程度に達しているときに、該画像中での該差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する判定部と、
前記画像が分けられてなる領域のうち、前記判定部でエッジ部分と判定された箇所を含む領域については、前記可逆圧縮部で得られた圧縮データを記録媒体に記録し、該箇所を含まない領域については該圧縮データを破棄するデータ記録部とを備えたことを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記判定部が、前記2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を前記画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分に基づいて該箇所がエッジ部分であるか否かを判定するものであることを特徴とする請求項1記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記判定部が、前記2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を前記画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分のうち少なくとも1つの差分が所定程度に達している場合に該箇所をエッジ部分と判定するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記被圧縮データが、前記画像上で縦横に配列された各画素に付与された画素値の連続からなるデータであり、
前記判定部が、前記2次元的な差分として、前記画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎に、縦方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を横方向に差し引いた第1差分と、横方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を縦方向に差し引いた第2差分と、対角に並んだ画素どうしにおける画素値の和の一方から他方を差し引いた第3差分とを求め、それら第1差分、第2差分、および第3差分のうち少なくとも1つの差分が所定程度に達している場合に該4つの画素の箇所をエッジ部分と判定するものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記判定部が、前記2次元的な差分として、判定可能なエッジ方向が異なる複数種類の差分を前記画像上の同一の箇所について求め、それら複数種類の差分の何れもが所定程度に達している場合に該箇所をエッジ部分と判定するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記被圧縮データが、前記画像上で縦横に配列された各画素に付与された画素値の連続からなるデータであり、
前記判定部が、前記2次元的な差分として、前記画像上で互いに縦横に隣接した4つの画素毎に、縦方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を横方向に差し引いた第1差分と、横方向に並んだ画素どうしにおける画素値の和を縦方向に差し引いた第2差分と、対角に並んだ画素どうしにおける画素値の和の一方から他方を差し引いた第3差分とを求め、それら第1差分、第2差分、および第3差分の何れもが所定程度に達している場合に該4つの画素の箇所をエッジ部分と判定するものであることを特徴とする請求項1、2、5のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記被圧縮データが、所定の単位ビット数で表わされる数値の連続で前記画像を表現したものであり、
前記可逆圧縮部が、
前記被圧縮データを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることにより該差分を表わす数値の連続からなる新たな被圧縮データを生成する差分生成部と、
前記差分生成部によって生成された新たな被圧縮データを構成する各数値を所定値だけオフセットさせるオフセット部と、
前記オフセット部によって数値がオフセットされた被圧縮データの各数値を、前記単位ビット数よりも小さい所定の分割ビット数のところで上位ビット部分と下位ビット部分とに分けることによって、該被圧縮データを、各数値における上位ビット部分の連続からなる上位データと各数値の下位ビット部分の連続からなる下位データとに分割する分割部と、
前記分割部によって分割された上位データに対して可逆圧縮処理を施す上位データ圧縮部とを備えたものであることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記差分生成部が、前記被圧縮データを構成する数値について、前記画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求めるものであることを特徴とする請求項7記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記上位データ圧縮部が、上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、該圧縮対象数値と、該圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部を備えたものであることを特徴とする請求項7または8記載の画像検査装置。
【請求項10】
前記上位データ圧縮部が、
上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、該圧縮対象数値と、該圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部と、
符号と数値を対応づけるテーブルを用いて、前記第1の符号化部で符号化された後のデータにエントロピー符号化を施す第2の符号化部を備えたものであることを特徴とする請求項7から9のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記上位データ圧縮部が、
上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、該圧縮対象数値と、該圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部と、
ハフマンテーブルを用いて、前記第1の符号化部で符号化された後のデータにハフマン符号化を施す第2の符号化部を備えたものであることを特徴とする請求項7から10のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項12】
前記上位データ圧縮部が、
上位データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、該圧縮対象数値と、該圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する第1の符号化部と、
前記第1の符号化部で符号化された後のデータ中に出現する数値のヒストグラムを求めるヒストグラム算出部と、
前記ヒストグラム算出部で求められたヒストグラムに基づき、符号と数値を対応づけるテーブルに、出現頻度の高い数値ほど符号長の短かい符号を割り当てる符号割当部と、
前記符号割当部で符号が割り当てられたテーブルを用いて、前記第1の符号化部で符号化された後のデータにエントロピー符号化を施す第2の符号化部を備えたものであることを特徴とする請求項7から11のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項13】
前記分割部によって分割された下位データに対して可逆圧縮処理を施す下位データ圧縮部を備えたことを特徴とする請求項7から12のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項14】
前記下位データ圧縮部が、符号と数値を対応づけるテーブルを用いて下位データにエントロピー符号化を施すものであることを特徴とする請求項13記載の画像検査装置。
【請求項15】
前記下位データ圧縮部が、ハフマンテーブルを用いて下位データにハフマン符号化を施すものであることを特徴とする請求項13または14記載の画像検査装置。
【請求項16】
前記下位データ圧縮部が、圧縮省略の指示を受けて下位データを無圧縮で出力するものであることを特徴とする請求項13から15のうちいずれか1項記載の画像検査装置。
【請求項17】
プログラムを実行する情報処理装置内に組み込まれて該情報処理装置に画像検査処理を実行させる画像検査プログラムにおいて、
前記情報処理装置上に、
数値の連続で2次元的な画像を表した被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
前記被圧縮データを構成する数値の連続について、前記画像上で見てその数値に複数方向それぞれに隣接する複数の数値に基づいた2次元的な差分を求め、該差分が所定程度に達しているときに、該画像中での該差分を求めた箇所をエッジ部分と判定する判定部と、
前記画像が分けられてなる領域のうち、前記判定部でエッジ部分と判定された箇所を含む領域については、前記可逆圧縮部で得られた圧縮データを記録媒体に記録し、該箇所を含まない領域については該圧縮データを破棄するデータ記録部とを構築することを特徴とする画像検査プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−21882(P2010−21882A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181784(P2008−181784)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】