説明

画像監視装置

【課題】映像表示手段に表示させる映像データの設定の手間を少なくした使い勝手の良い画像監視装置を提供する。
【解決手段】画像監視装置は、複数の撮像手段C1…と、複数の映像表示部D1…と、配信ルール記憶手段4に登録された配信ルールに基づいて映像の配信先を決定する映像データ配信手段3と、各撮像手段C1…の映像を映像データ配信手段3で決定された配信先の映像表示部D1…に出力する通信手段2と、複数の映像表示部D1…と同じ場所にそれぞれ設置された複数の人体検知手段S1…とを備え、監視者が移動すると、映像データ配信手段3は、移動元と移動先にある人体検知手段S1…の人体検知情報に基づいて、移動先にある映像表示部D1…に対し、配信ルールにより決定される撮像手段の映像データに加えて、移動元の映像表示部に出力していた撮像手段の映像データを配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像手段で撮像された画像を監視するための画像監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、宅内又は宅外の複数箇所にカメラを設置するとともに、他所に設置されたモニタ装置に各カメラで撮像された映像を表示させ、モニタ装置の映像を監視することによって、宅内の複数箇所において異常の有無などを監視する画像監視装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような画像監視装置を一般の住宅に設置して使用する場合、一般の住宅ではモニタ装置の設置場所に制約があり、1箇所に複数台のモニタ装置を設置するための空間を確保できないため、住宅内の1乃至複数箇所にモニタ装置を1台ずつ設置するのが一般的である。従って1箇所に設置されるモニタ装置の数がカメラの数よりも少なくなるため、モニタ装置に複数のカメラの映像を随時切り替えて表示させたり、モニタ装置の画面を複数に分割し、1画面に複数台のカメラの映像を表示させることで、複数箇所の監視を行っていた。
【特許文献1】特開平11−331822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般の住宅ではモニタ装置の映像を監視するために特定の部屋があるわけではなく、また映像を監視する人物(監視者)が家事などで住宅内の部屋を移動することが多く、モニタ装置の前に常時留まってモニタ装置の映像を監視することはできないため、住宅内の各部屋にモニタ装置を設置してどの部屋からでもモニタ装置に表示させたカメラの映像を監視できるようにするのが好ましい。
【0005】
しかしながら、家人が部屋を移動する度に、移動先の部屋に設置されているモニタ装置に表示させるカメラの切り替えや画面の分割などの監視条件を設定したり、監視条件の設定を変更する作業を行わねばならず、使い勝手が悪いという問題があった。
【0006】
また、一般の住宅では全てのモニタ装置を常時作動させておくことは、環境面でも経済面でも好ましくないが、必要な時だけモニタ装置を作動させるようにすると、家人が部屋を移動する毎に、移動元の部屋にあるモニタ装置の表示をオフにするとともに、移動先の部屋にあるモニタ装置の表示をオンにしなければならず、家人が部屋を頻繁に移動する場合には非常に煩わしい操作を家人に強いねばならず、使い勝手が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、映像表示手段に表示させる映像データの設定の手間を少なくした使い勝手の良い画像監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、互いに異なる場所に設置された複数の撮像手段と、撮像手段により撮影された映像を表示するための複数の映像表示手段と、各撮像手段の映像データを何れの映像表示手段に配信するかを指定する配信ルールが登録された配信ルール記憶手段と、各撮像手段の映像データの配信先を決定する映像データ配信手段と、各撮像手段の映像データを映像データ配信手段で決定された配信先の映像表示手段に出力する通信手段とを備え、複数の映像表示手段と同じ場所にそれぞれ設置されて人体を検知する複数の人体検知手段を設け、映像データ配信手段は、配信ルール記憶手段に記憶された配信ルールと、人体検知手段から得た人体検知情報とに基づいて、撮像手段により撮影された映像データの配信先を決定することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、映像データ配信手段が、配信ルール記憶手段に記憶された配信ルールと、人体検知手段から得た人体検知情報とに基づいて映像データの配信先を決定しているので、映像表示手段に表示された映像を監視する監視者が場所を移動する場合に、監視者自身が移動先の映像表示手段に表示させる映像データの設定を行う必要が無く、画像監視装置の使い勝手を良くできる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、映像表示手段に表示された映像を監視する監視者がある映像表示手段の設置場所から別の映像表示手段の設置場所へ移動すると、映像データ配信手段は、移動元と移動先にある人体検知手段から得た人体検知情報に基づいて、移動先にある映像表示手段に対し、配信ルールにより決定される撮像手段の映像データに加えて、移動元の映像表示手段に出力していた撮像手段の映像データを配信することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、映像データ配信手段が、監視者の移動元と移動先にある人体検知手段から得た人体検知情報に基づいて、移動先にある映像表示手段に対し、配信ルール記憶手段に記憶された配信ルールに従って決定した撮像手段の映像データに加えて、移動元の映像表示手段に出力していた撮像手段の映像データを配信させているので、移動元の映像表示手段に表示させていた撮像手段の映像データを、移動先の映像表示手段に自動的に引き継ぐことができ、監視者が場所を移動する毎に監視者自身が監視対象の撮像手段を設定する必要がなくなるから、画像監視装置の使い勝手を良くできる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、映像データ配信手段は、移動元にある撮像手段の映像データを移動先の映像表示手段に配信するとともに、撮像手段の映像データを同じ場所にある映像表示手段に配信しないことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、監視者が移動してきた移動元の映像を配信することで、監視者が不在になった移動元の状態を監視でき、且つ、監視者が今いる場所は直接目視で確認できるから、今いる場所の撮像手段の映像データを映像表示装置に配信するのを停止することで、映像表示手段に表示する映像を減らして、映像を視認する負担や映像データを送信するための通信量を少なくすることができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、映像データ配信手段は、移動元にある人体検知手段が無人状態を検出すると、移動元にある映像表示手段に対して全ての映像データの配信を停止することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、監視者の移動元が無人状態になると、移動元にある映像表示手段に映像データの配信を停止しているので、無人状態の場所にある映像表示手段に映像データを配信する無駄を無くすことができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの発明において、非表示にする撮像手段の映像データを監視者が入力するための入力手段を設け、監視者が入力手段を用いて何れかの撮像手段を選択すると、映像データ配信手段は、入力手段を用いて選択された撮像手段の映像データの配信を停止することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、監視者が入力手段を用いて撮像手段を選択すると、映像データ配信手段は、選択された撮像手段の映像データの配信を停止しているので、監視者が監視している映像表示手段に不要な映像を表示させないようにでき、監視者が監視する映像の数を減らすことで、監視者が映像を視認する負担や映像データを送信するための通信量を少なくできる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの発明において、各映像表示手段の設置場所にある人体検知手段が有人状態を検知すると同じ場所にある映像表示手段の表示をオンにするとともに、人体検知手段が無人状態を検知すると同じ場所にある映像表示手段の表示をオフにする手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、人体検知手段の人体検知情報に応じて映像表示手段の表示を自動的にオン/オフしているので、監視者自身が移動元や移動先の映像表示手段の表示をオン/オフする手間を無くすことができ、使い勝手がさらに向上する。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1乃至5の何れかの発明において、各映像表示手段の表示をオン/オフするためのオン/オフ操作部を設けるとともに、監視者がオン/オフ操作部を用いて移動先の映像表示手段の表示をオンにすると、移動元にある映像表示部の表示をオフにする手段を設けたことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、監視者がオン/オフ操作部を用いて移動先にある映像表示手段の表示をオンにすると、このオン操作に連動して移動元にある映像表示部の表示をオフにしているので、監視者がいない場所の映像表示手段の表示をオフにすることで、無駄な電力消費を無くすことができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかの発明において、各人体検知手段は設置場所における人体の動線を検知する動線検知センサからなるることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、映像データ配信手段が、動線検知センサの検知した人体の動線に基づいて監視者と監視者以外の人物とを判別することができ、監視者と監視者以外の人物との人体検知情報に基づいて、監視者が監視している映像表示手段に配信する撮像手段の映像データを決定することができる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、人体検知手段が、監視者の動線を検知することによって、監視者以外の人体を検知した場合に、映像データ配信手段は、監視者以外の人物の人体検知情報には関係無く映像データの配信先を決定することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、監視者以外の人物を検知した場合でも、監視者以外の人物の人体検知情報に関係なく、監視者が監視している映像表示手段に配信する撮像手段を決定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、映像データ配信手段が、配信ルール記憶手段に記憶された配信ルールと、人体検知手段から得た人体検知情報とに基づいて映像データの配信先を決定しているので、映像表示手段に表示された映像を監視する監視者が場所を移動する場合に、監視者自身が移動先の映像表示手段に表示させる映像データの設定を行う必要が無く、画像監視装置の使い勝手が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図3に基づいて説明する。図1(a)は画像監視装置の概略構成図であり、この画像監視装置は、複数台の撮像手段C1…と、複数の人体検知手段S1…と、複数台の映像表示部D1…と、配信管理部1と、配信ルール設定部5とを主要な構成として備える。ここで、図1(b)に示すように各1台の撮像手段C1と人体検知手段S1と映像表示部D1とが1つの組として住宅内の1つの部屋R1に配設されており、住宅内の適所に設置された配信管理部1と、撮像手段C1…、人体検知手段S1…、及び映像表示部D1…との間は信号線Lを介して電気的に接続されている。なお本実施形態では撮像手段C1…と人体検知手段S1…と映像表示部D1…とを1組として宅内の同じ場所(部屋や廊下などの空間)に設置しているが、撮像手段C1…と人体検知手段S1…と映像表示部D1…とを必ずしも1組にして設置する必要はなく、例えば廊下のように映像表示部D1が設置されず、人体検知手段S1…と撮像手段C1…のみが設置される空間も存在する。
【0029】
各撮像手段C1…は例えばCCDカメラからなり、住宅内の複数の部屋にそれぞれ設置されて、設置された部屋の内部を撮影し、映像データを配信管理部1に出力する。
【0030】
各人体検知手段S1…は検知エリアにおける人体の存否を検出する在室センサであって、例えば人体から放射される熱線を検知することによって検知エリアにおける人体の存否を検出する焦電型の赤外線検出素子からなり、住宅内の複数の部屋にそれぞれ設置されて、設置された部屋における人の存否を検知して、人体検知情報を配信管理部1に出力する。
【0031】
各映像表示部D1…は、例えば液晶ディスプレイなどの表示手段6と、ユーザが表示に関わる設定を行うための設定手段7とを備える。各映像表示部D1…は住宅内の複数の部屋にそれぞれ設置され、配信管理部1から送信された映像データを受信して、表示手段6に撮像手段C1…の映像を表示する。また、ユーザが設定手段7を操作することによって、配信管理部1から配信される映像の内、表示手段6に表示させる映像データを選択したり、変更するといった表示に関するルールを設定することができ、設定手段7を用いて設定されたルール(表示部別配信ルール)は配信管理部1に出力される。
【0032】
配信管理部1は通信手段2と映像データ配信手段3と配信ルール記憶手段4とで構成され、住宅の適所に設置される。
【0033】
通信手段2は、各撮像手段C1…で撮像された映像データを、映像データ配信手段3で決定された配信先の映像表示部D1…へ送信する。
【0034】
配信ルール記憶手段4には、各撮像手段C1…の映像データを何れの映像表示部D1…に配信するかを指定する配信ルールが登録されている。なお配信ルールとしては、予め登録されている基本配信ルールと、ユーザが後述の配信ルール設定部5を用いて設定したユーザ設定配信ルールとが格納されている。
【0035】
映像データ配信手段3は、各々の人体検知手段S1…で得られた人体検知情報と、配信ルール記憶手段4に記憶された配信ルールと、各々の映像表示部D1…で設定された表示部別配信ルールとを用いて、各々の撮像手段C1…で撮像された映像データの配信先を決定し、通信手段2の動作を制御する。
【0036】
配信ルール設定部5は、例えばパーソナルコンピュータのように表示手段8と操作手段9とを有し、各々の撮像手段C1…で撮影された映像データの配信先を入力させる入力画面を表示手段8に表示させるとともに、この入力画面においてユーザが操作手段9を用いて各撮像手段C1…の映像データの配信先を入力する。このとき、操作手段9を用いて入力された配信先(つまりユーザ設定配信ルール)が配信ルール記憶手段4に登録される。
【0037】
次に、この画像監視装置の動作を図2に基づいて説明する。なお図2に示す例では4つの部屋R1〜R4に、それぞれ、人体検知手段S1〜S4と、撮像手段C1〜C4と、映像表示部D1〜D4が1台ずつ設置されているが、人体検知手段S1…、撮像手段C1…、映像表示部D1…の台数を4台に限定する趣旨のものではなく、使用環境に合わせて台数を決定すれば良い。
【0038】
ここで、配信ルール記憶手段4には、基本配信ルールとして、各撮像手段C1…の映像を同じ場所にある映像表示部D1…には送信しないというルールが設定されているものとする。また、ユーザが配信ルール設定部5を用いて設定したユーザ設定配信ルールも配信ルール記憶手段4に登録されており、このユーザ設定配信ルールはユーザが必要に応じて適宜変更することが可能である。例えばある撮像手段C1…の映像をある映像表示部D1…に表示させたくない場合、又は、表示させる必要がない場合、この撮像手段C1…で撮影された映像データを所定の映像表示部D1…に配信しないようなルールを設定すれば良い。下記の表1は配信ルール記憶手段4に登録された配信ルールの一例を示し、×印のある欄は非配信の配信先を、空欄は配信可能な配信先をそれぞれ示している。つまり表1では、各撮像手段(カメラ)C1〜C4の映像は同じ部屋R1〜R4にある映像表示部D1〜D4に配信しないという基本配信ルールに加えて、部屋R1にある撮像手段C1の映像は部屋R4にある映像表示部D4には表示しないというルールと、部屋R2にある撮像手段C2の映像は部屋R3にある映像表示部D3以外には配信しないというルールとがユーザ設定配信ルールとして設定されている。
【0039】
【表1】

【0040】
このように配信ルール記憶手段4には基本配信ルールと、ユーザが設定したユーザ設定配信ルールとが登録されており、映像表示部D1〜D4の表示をオン/オフするためのオン/オフ操作部(図示せず)を用いてユーザが映像表示部D1〜D4の表示をオンにすると(つまり電源を投入すると)、電源の投入された映像表示部D1〜D4から映像データ配信手段3に電源投入信号が出力され、この電源投入信号に基づいて映像データ配信手段3が電源の投入された映像表示部D1〜D4に関する配信ルールを配信ルール記憶手段4から読み込む。
【0041】
例えば部屋R1で監視者Aが映像表示部D1の電源を投入すると、この映像表示部D1から映像データ配信手段3に電源投入信号が送信される。映像データ配信手段3は、映像表示部D1から電源投入信号を受信すると、この映像表示部D1に関する配信ルールを配信ルール記憶手段4から読み込み、映像表示部D1に配信可能な撮像手段の選択肢(この場合は撮像手段C3とC4)を映像表示部D1の表示手段6に表示させる。このとき部屋R1にいる監視者Aは、映像表示部D1の設定手段7を用いて監視対象から外す撮像手段を選択することができ(つまり表示部別配信ルールを設定することができ)、設定された表示部別配信ルールは映像データ配信手段3に送信される。映像データ配信手段3は、映像表示部D1で設定された表示部別配信ルールを受信すると、表示部別配信ルールの内容を配信ルール記憶手段4に登録されている配信ルールに反映させ、配信ルール記憶手段4に登録されている配信ルールを更新する。例えば監視者Aが映像表示部D1の設定手段7を用いて撮像手段C3を選択すると、撮像手段C3からの映像データの配信が停止され、映像表示部D1には撮像手段C4からの映像のみが表示される。この時、映像表示部D1から映像データ配信手段3へ撮像手段C3の配信停止を示す情報が送信され、映像データ配信手段3は、映像表示部D1から受信した情報をもとに、配信ルール記憶手段4に記憶されている配信ルールを更新する。この場合の更新結果を表2に示しており、映像表示部D1に関して撮像手段C3に対応する欄には送信停止を示す×印が、撮像手段C4に対応する欄には実際に映像データが送信される撮像手段を表す○印が表示される。
【0042】
【表2】

【0043】
また監視者Aが何も選択しなかった場合には、撮像手段C3,C4からの映像データが映像表示部D1に表示されることになり、映像表示部D1では画面を分割して撮像手段C3,C4からの映像を同時に表示する。尚、この場合の配信ルールの更新結果を表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
その後、図3に示すように監視者Aが部屋R1を出て部屋R4に移動すると、部屋R1にある人体検知手段S1は無人になったことを検知し、部屋R4にある人体検知手段S4は監視者Aが部屋R4に入った時点で有人になったことを検知する。映像データ配信手段3は、人体検知手段S1〜S4から人体検知情報(有人あるいは無人の情報)を取得しており、部屋R1が無人になった時点で映像表示部D1への映像データの配信を停止して映像表示部D1を非表示にするとともに、人体検知手段S1,S4の検知結果を基に監視者Aが部屋R1から部屋R4へ移動したと判断して、映像表示部D1に配信していた映像データを映像表示部D4に配信するように、映像表示部D4についての配信ルールを変更する。ここで、映像表示部D1の設定では撮像手段C3,C4の映像データが配信可能であり、また人体検知手段S1が人体を検知しなくなったことから監視者Aの移動元を部屋R1と判断し、撮像手段C1からの映像データも映像表示部D4に配信するように決定する。但し映像データ配信手段3が、監視者の移動に伴って映像データの配信先の設定を引く継ぐ際には、配信先の引き継ぎによって設定される配信ルールよりも、基本配信ルールやユーザ設定配信ルールが優先されるため、映像表示部D1の配信ルールを映像表示部D4に引き継ぐ際に映像表示部D4では撮像手段C4の映像配信は行われず、この場合は撮像手段C3の映像データを配信する設定のみが映像表示部D4に引き継がれる。またユーザ設定配信ルールにより映像表示部D4では撮像手段C2からの映像配信を停止しているため、結果的には移動元の撮像手段であるC1と、映像表示部D1から引き継いだ撮像手段C3の画像データのみが映像表示部D4に配信される(表4にこの場合の配信ルールを示す)。
【0046】
【表4】

【0047】
なお部屋R4に移動した監視者Aが映像表示部D4の表示をオンにすると、上述と同様に映像配信の選択画面が表示手段6に表示され、監視者Aが設定手段7を用いて撮像手段C3またはC4を選択すると、選択された撮像手段の映像データを配信停止にすることができ、選択後は映像データ配信手段3が通信手段2を制御して、配信が決定された撮像手段C1,C3の映像データを映像表示部D4に配信する。
【0048】
更にその後、監視者Aが部屋R4を出て部屋R3に移動すると、部屋R4にある人体検知手段S4は無人になったことを検知し、部屋R3にある人体検知手段S3は監視者Aが部屋R3に入った時点で有人になったことを検知する。映像データ配信手段3は、部屋R4が無人になった時点で映像表示部D4への映像データの配信を停止するとともに、人体検知手段S3,S4の検知結果を基に監視者Aが部屋R4から部屋R3へ移動したと判断して、映像表示部D4に配信していた映像データを映像表示部D3に配信するように、映像表示部D3についての配信ルールを変更する。ここで、映像表示部D4の設定では撮像手段C1,C3の映像データが配信可能であり、また人体検知手段S4が人体を検知しなくなったことから監視者Aの移動元を部屋R4と判断し、撮像手段C4からの映像データも映像表示部D3に配信するように決定する。また基本配信ルールとユーザ設定配信ルールが優先されるため、撮像手段C3の映像データは非配信であり、最終的には撮像手段C1、C4の映像データを配信するように決定する。したがって、部屋R3に入った監視者Aが映像表示部D3の表示をオンにすると、上述と同様に映像配信の選択画面が表示手段6に表示され、監視者Aが設定手段7を用いて撮像手段C1、C4の中から不要な映像データ(非表示映像)を選択すると、表示手段6に表示される映像が最終的に決定される。
【0049】
以上説明したように本実施形態の画像監視装置では、映像データ配信手段3が、配信ルール記憶手段4に記憶された配信ルールと、人体検知手段S1…から得た人体検知情報とに基づいて、撮像手段C1…により撮影された映像データの配信先を決定しているので、映像表示手段D1…に表示された映像を監視する監視者が場所を移動する場合に、監視者自身が移動先の映像表示手段D1…に表示させる映像データの設定を行う必要が無く、画像監視装置の使い勝手を良くできる。さらに監視者がある部屋から別の部屋へ移動するのに伴って、移動元の部屋で監視していた映像データを移動先の映像表示部D1…に引き継ぐ際には、配信ルール記憶手段4に登録された基本配信ルールに従って、同じ部屋にある撮像手段の映像データの配信を停止しており、監視者が今いる場所は直接目視で確認できるから、今いる場所の映像を映像表示部D1…に表示するのを止めることで、映像データの配信による通信量の削減と、監視者の監視作業に要する手間を削減することができる。
【0050】
また映像データ配信手段3では、人体検知手段S1…の人体検知情報を用いて監視者の移動元および移動先を判断し、移動元の映像表示部の設定を移動先の映像表示部に自動的に引き継いでいるので、監視者が部屋を移動することに伴って映像の配信先を変更したり、移動元の映像表示部への映像の配信を停止するといった設定作業を監視者自身が行う必要がなくなり、監視映像に関する設定の手間を削減することが出来る。また更に映像データ配信手段3では、移動元の配信ルールを引き継ぐ場合でも、移動先の映像表示部に対して予め設定されている基本配信ルールやユーザ設定配信ルールを優先して適用しているため、移動元の配信ルールを自動的に引き継いで決定された配信ルールを監視者が手入力で設定し直す必要が無く、設定の手間をさらに削減して使い勝手を良くできる。
【0051】
なお本実施形態では、監視者が部屋を移動する際に、移動先の部屋R1…にある映像表示部D1…の表示を自らオンにしているが、ある部屋の人体検知手段S1…が有人であることを検知した段階で、映像データ配信手段3がその部屋にある映像表示部D1…の表示を自動的にオンにしても良く、監視者自身が映像表示部D1…の表示をオン又はオフする手間を無くすこともできる。
【0052】
また部屋R3に監視者Aが、部屋R1に他のユーザBがおり、部屋R1,R3にある人体検知手段S1、S3が在室を検知している場合に、映像データ配信手段3が、人体検知手段S1、S3の人体検知情報に基づいて、監視者Aがいる部屋R3の映像表示部D3に、ユーザBがいる部屋R1の映像を配信しないように配信ルールを変更しても良い。つまり、部屋R1にはユーザBがいるので、この部屋の監視はユーザBが目視で行えるから、監視者Aがいる部屋R3の映像表示部D3には、部屋R1の映像を配信しないことで、通信量を削減したり、監視者Aが映像を視認する負担を削減することができる。また、ある部屋の映像表示部に、別の部屋の撮像手段で撮影された画像を配信して監視を行っている場合に、配信元の部屋に設置された人体検知手段が人体を検知すると、この部屋の撮像手段からの映像データの配信を停止しても良いし、また部屋に人がいたために撮像手段の映像を非配信にしている場合に、この部屋から人がいなくなると、映像データ配信手段3が人体検知手段の検知結果に基づいてこの部屋の撮像手段からの映像を配信して、監視を開始するようにしても良い。
【0053】
また更に、監視者が複数の場所を移動する場合に、監視者が移動先の映像表示部に対して表示部別配信ルールを毎回設定できるようにしているが、最初に何れかの場所で映像表示部を起動させた時のみ設定を行い、次回以降の移動時には自動設定のみとしても良く、その場合は人体検知手段の人体検知情報に基づいて自動的に移動元の映像表示部をオフ、移動先の映像表示部をオンに切り替えても良い。また、前回表示部別配信ルールの設定を変更してから、一定時間以上が経過すると、次の移動時に表示部別配信ルールを設定するようにしても良い。
【0054】
また本実施形態では、基本配信ルールとユーザ設定配信ルールとを表1〜4に示すように1つのテーブルとして配信ルール記憶手段4に記憶させているが、別個の独立したテーブルとして記憶させておき、映像データ配信手段3が、基本配信ルールのテーブルと、ユーザ設定配信ルールのテーブルを両方共に参照して、配信先を決定するようにしても良い。
【0055】
また配信ルール記憶手段4に各映像表示部D1…に配信される映像データの設定を履歴情報として記憶させておき、映像データ配信手段3が、履歴情報から頻繁に設定されるパターンを学習して、各映像表示部D1…に配信する映像を自動的に設定するようにしても良い。
【0056】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図4および図5に基づいて説明する。本実施形態では、上述した実施形態1の画像監視装置において、人体検知手段S1…を動線検知センサで構成している。動線検知センサは、例えば撮像素子で撮像した映像を画像処理することによって、人の動線を検出するセンサであり、各々の部屋にいる人の動線を検出して、検出結果を映像データ配信手段3に出力する。なお、人体検知手段S1…を動線検知センサで構成した点以外は実施形態1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0057】
次に、この画像監視装置の動作について図4および図5を参照して説明する。尚、画像監視装置による配信ルールの変更方法などは実施形態1と同様であるので、以下では実施形態1と異なる動作についてのみ説明を行う。
【0058】
部屋R1にいる監視者Aが、この部屋R1にある映像表示部D1を用いて部屋R3、R4にある撮像手段C3、C4の映像を監視していたとする。この監視者Aが図4に示すように部屋R2を通って部屋R3に移動した場合、部屋R1〜R3に設置された人体検知手段S1〜S3は、S1→S2→S3の順番で監視者Aを検知する。映像データ配信手段3は、人体検知手段S1〜S4から人体検知情報を取得しており、人体検知手段S1〜S3の人体検知情報をもとに監視者Aが部屋R1から部屋R2を経由して部屋R3に移動したと判断でき、この情報を用いて配信先を決定する。すなわち映像データ配信手段3は、移動先の部屋R3にある映像表示部D3に、直前に通過した部屋R2の映像表示部D2ではなく、監視作業を行っていた部屋R1にある映像表示部D1の設定を引き継ぐとともに、配信ルール記憶手段4に記憶されている基本配信ルールとユーザ設定配信ルールとを適用して、撮像手段C1、C2、C4の映像データを映像表示部D3に配信させ、部屋R1、R2、R4の監視を行う。なお監視者Aが、移動先の部屋R3にある映像表示部D3の設定手段7を用いて撮像手段C4の映像データを選択すれば、この映像データが非配信となり、映像表示部D3には撮像手段C1、C2の映像データのみが配信される。
【0059】
このように本実施形態では人体検知手段S1〜S4を動線検知センサで構成し、この人体検知手段S1〜S4で人体の動線を検知しているので、監視者Aの行動を追跡して、この監視者が部屋R1から部屋R3へ移動したことが判る。この場合、途中の部屋R2が有人であっても、監視者Aは部屋R3に移動したことが判っているため、部屋R2にいる人物は監視者Aとは別の人物であると判断でき、部屋R2が有人であっても監視者Aが望む限りは部屋R2の映像を配信することができる。したがって、監視者が台所からリビングを通って洗面所に移動した場合に子供がいるリビングの映像を洗面所から監視するといった使い方が可能になる。
【0060】
また監視者Aが部屋R3に移動した後で、他のユーザBが部屋R2に入室した場合でも、監視者Aが部屋R3から退室したことを人体検知手段S3が検知しない限りは監視者Aが部屋R3に在室中であると判断できるため、部屋R2への入室を検知した場合でも部屋R3からの退室を検知していない場合は映像データの配信を部屋R2の映像表示部D2に切り替えることはせず、部屋R3の映像表示部D3に配信を続けることができる。また、他のユーザBが部屋R2から退室して別の空間に移動した場合、このユーザBの移動経路を追跡して移動先の部屋にある撮像手段から映像表示部D3に映像データを配信しても良く、ユーザBの行動を監視することが出来る。なおこの場合にも部屋R3からの退室を検知していなければ、部屋R3に監視者Aが在室していると判断することができる。
【0061】
以上説明したように人体検知手段S1〜S4に動線検知センサを用いることで、特定のユーザの経路を或る程度追跡することが可能になる。複数の人物が同じ空間を同時に通行した場合には特定の人物の行き先を正確に追跡するのは動線検知センサのみでは不可能であるが、1人ずつが移動した場合や2人が同時に移動していても1階と2階というように全く異なる経路で移動している場合には位置関係から経路の把握が可能である。これによって宅内に他のユーザがいたとしても、監視を行っている特定のユーザの移動経路を監視して、このユーザの移動先に監視対象の映像を配信することが可能になり、対象空間に在室しているユーザを監視することができる。
【0062】
なお部屋R2に別のユーザBがいる場合、人体検知手段S1〜S4として在室センサを用いていると、監視者A,Bの別なく人体検知手段S2、S3の人体検知情報をもとに映像データ配信手段3は部屋R2,R3が在室と判断する。ここで、「ある部屋が有人であれば、その部屋にある撮像手段からは映像データを配信しない」という配信ルールが設定されている場合、上述の例では撮像手段C2からの映像データが配信されなくなり、映像表示部D3には撮像手段C1からの映像データのみが配信され、監視者Aは部屋R1のみを監視することになる(図5参照)。また、「ある部屋が無人状態から有人状態に変化すると、この部屋の撮像手段からの映像配信を停止する」という配信ルールが設定されている場合、監視者Aが部屋R3にある映像表示部D3で部屋R1,R2の監視を行っている際に、部屋R2に別のユーザBが現れ、このユーザBを人体検知手段S2が検知すると、映像データ配信手段3は人体検知手段S2の検知情報に基づいて撮像手段C2からの映像データの配信を停止する。
【0063】
なお、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は、特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態の画像監視装置を示し、(a)は概略構成図、(b)は配置を説明する説明図である。
【図2】同上の動作を説明する説明図である。
【図3】同上の他の動作を説明する説明図である。
【図4】実施形態2の画像監視装置の動作を説明する説明図である。
【図5】同上の他の動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 配信管理部
2 通信手段
3 映像データ配信手段
4 配信ルール記憶手段
5 配信ルール設定部
C1〜C4 撮像手段
D1〜D4 映像表示部
S1〜S4 人体検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる場所に設置された複数の撮像手段と、前記撮像手段により撮影された映像を表示するための複数の映像表示手段と、各撮像手段の映像データを何れの映像表示手段に配信するかを指定する配信ルールが登録された配信ルール記憶手段と、各撮像手段の映像データの配信先を決定する映像データ配信手段と、各撮像手段の映像データを映像データ配信手段で決定された配信先の映像表示手段に出力する通信手段とを備え、複数の映像表示手段と同じ場所にそれぞれ設置されて人体を検知する複数の人体検知手段を設け、前記映像データ配信手段は、前記配信ルール記憶手段に記憶された前記配信ルールと、前記人体検知手段から得た人体検知情報とに基づいて、撮像手段により撮影された映像データの配信先を決定することを特徴とする画像監視装置。
【請求項2】
映像表示手段に表示された映像を監視する監視者がある映像表示手段の設置場所から別の映像表示手段の設置場所へ移動すると、前記映像データ配信手段は、移動元と移動先にある人体検知手段から得た人体検知情報に基づいて、移動先にある映像表示手段に対し、前記配信ルールにより決定される撮像手段の映像データに加えて、移動元の映像表示手段に出力していた撮像手段の映像データを配信することを特徴とする請求項1記載の画像監視装置。
【請求項3】
前記映像データ配信手段は、移動元にある撮像手段の映像データを移動先の映像表示手段に配信するとともに、撮像手段の映像データを同じ場所にある映像表示手段に配信しないことを特徴とする請求項2記載の画像監視装置。
【請求項4】
前記映像データ配信手段は、移動元にある人体検知手段が無人状態を検出すると、移動元にある映像表示手段に対して全ての映像データの配信を停止することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像監視装置。
【請求項5】
非表示にする撮像手段の映像データを監視者が入力するための入力手段を設け、監視者が入力手段を用いて何れかの撮像手段を選択すると、前記映像データ配信手段は、入力手段を用いて選択された撮像手段の映像データの配信を停止することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像監視装置。
【請求項6】
各映像表示手段の設置場所にある人体検知手段が有人状態を検知すると同じ場所にある映像表示手段の表示をオンにするとともに、前記人体検知手段が無人状態を検知すると同じ場所にある映像表示手段の表示をオフにする手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像監視装置。
【請求項7】
各映像表示手段の表示をオン/オフするためのオン/オフ操作部を設けるとともに、監視者がオン/オフ操作部を用いて移動先の映像表示手段の表示をオンにすると、移動元にある映像表示部の表示をオフにする手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像監視装置。
【請求項8】
前記各人体検知手段は設置場所における人体の動線を検知する動線検知センサからなるることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の画像監視装置。
【請求項9】
前記人体検知手段が、監視者の動線を検知することによって、監視者以外の人体を検知した場合に、前記映像データ配信手段は、監視者以外の人物の人体検知情報には関係無く映像データの配信先を決定することを特徴とする請求項8記載の画像監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−333013(P2006−333013A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153015(P2005−153015)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】