説明

画像表示装置

【課題】術者が動かしているワイヤの先端位置に相当するCT画像の断面画像を表示し、術者がワイヤを動かしたらそれに追従して表示される断面画像も動いて表示する。
【解決手段】CT3D画像記憶部23は、予め所望の血管又は管腔臓器の中心線が抽出済みのボリューム3次元画像を記憶する。X線2D画像記憶部22は、リアルタイムで更新する2次元画像を記憶する。位置合わせ部28は、3次元画像と2次元画像との位置合わせを行う。サーチ部26は、デバイスの先端位置の所定時間後の位置を検索する。演算部27は、3次元画像に於けるデバイスの先端位置を算出する。モニタ17は、2次元画像とデバイスの先端位置を含む3次元画像の断面画像とを同期させて更新表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のCTの撮像技術の発達により、心臓冠状動脈の3次元(3D)画像が容易に得られるようになってきている。そこで、CTの3D画像を利用することにより、血管内治療をより良くしようとする考えがある。
【0003】
血管内治療はX線診断装置を用い、その投影透視画像をリアルタイムで見ながら治療を行うものである。治療には、カテーテルやガイドワイヤというデバイスが用いられる(以下、ワイヤと記載する)。ワイヤは冠状動脈に挿入した後、いくつかの血管分岐を経て病変部に至り、病変部を通り抜け、末梢で血管径が細くなった部分まで進め、そこで固定する。ワイヤをいったん固定すると、ステント等のデバイスを用いて、例えば狭窄拡張術が施される。そして、全ての治療術が終わり、最終造影検査で治療終了OKの判断がなされると、一番最初に入れて固定したワイヤを抜き去る。
【0004】
ワイヤを最初に挿入する場合、血管壁を傷つけないように動かすことが大切である。これは、特に、以下のような場合に注意することが必須となっている。例えば、図9(a)に示されるように、大動脈1、冠状動脈2等にカテーテル3を通し、その血管壁の薄い部分で力を入れて、ワイヤ4で血管を突き破ってしまったり、図9(b)に示されるように、ソフトプラークといった柔らかい組織5をワイヤ4で突付いて破綻させてしまったりすることである。
【0005】
しかしながらX線透視画像では、血管壁の厚さやプラークの軟らかさを可視することができない。このため、現在は、術者の勘と経験でワイヤを動かしている。
【0006】
一方、近年得られるようになったCT画像では、血管壁の厚さやプラークの軟らかさが可視化することができている。そこで、術者からは、CT画像を活用することにより、術者が動かしているワイヤの先端現在位置の断面画像を表示して欲しいというニーズがある。すなわち、術者が動かしているワイヤの先端位置に相当するCT画像の断面画像を表示したいという希望がある。
【0007】
これを実現するには、(i)X線2次元(2D)画像とCT3D画像の調整、(ii)ワイヤ先端の3次元座標の決定、(iii)断面の方向の決定、の3つのステップが必要になる。このうち、(i)は、例えば下記特許文献1に記載されているように、2D/3D調整と称される技術分野であり、2D画像と3D画像を位置合わせする技術である。また、画像処理の分野で各種の手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−290192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記(ii)については、X線の一方向の2D画像上の座標が得られただけでは、3D画像上の座標は得ることが理論的にできない。これについては各種工夫が検討されているが、画像処理で行う手法では限界がある。(ii)はまた、ある瞬間に2D画像上の座標が得られても、次の瞬間には術者がワイヤを動かしてしまうので、次の瞬間には2D画像上の座標が違ってきてしまう。よって従来技術では、ワイヤ先端の3D画像上の座標を特定することは困難であった。このため3次元位置センサを用いる手法等が提案されている。しかし、特殊なツールであり、好ましくは無い。
【0010】
また、前記(iii)は、画像処理では理論的にはできるものの困難なものであった。すなわち、画像から血管の走行を判定し、その走行に垂直な方向の画像を作ることである。これは、血管を正確に2値化して抽出したり、分岐血管の処理をしたり、主成分分析を行ったりしなければならず、完壁に走行を判定するのは画像処理的に難しいものである。このように、従来技術を組みあせても、術者が動かしているワイヤの先端位置に相当するCT画像の断面画像を表示することは困難であった。
【0011】
したがって本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、術者が動かしているワイヤの先端位置に相当するCT画像の断面画像を表示し、術者がワイヤを動かしたらそれに追従して表示される断面画像も動いて表示することのできる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本実施形態に係る画像表示装置は、予め所望の血管又は管腔臓器の中心線が抽出済みのボリューム3次元画像を記憶する第1の記憶手段と、リアルタイムで更新する2次元画像を記憶する第2の記憶手段と、前記3次元画像と前記2次元画像との位置合わせを行う位置合わせ手段と、デバイスの先端位置の所定時間後の位置を検索する検索手段と、前記3次元画像に於ける前記デバイスの先端位置を算出する算出手段と、前記2次元画像と前記デバイスの先端位置を含む前記3次元画像の断面画像とを同期させて更新表示する表示手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線診断治療装置の構成を示すブロック図である。
【図2】3次元画像と2次元画像との位置合わせについて説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に従ったX線診断治療装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に従ったX線診断治療装置のCT断面画像を得るための説明図である。
【図5】図3(a)〜(c)のフローチャートに従った処理動作により検出される心電図信号の波形図の一例である。
【図6】モニタ17への表示例を示した図である。
【図7】本発明の一実施形態の変形例を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施形態の更なる変形例を示すもので、バイプレーン型のX線診断治療装置の構成を示した外観斜視図である。
【図9】従来の血管内治療に於いてワイヤ操作ミスの例を示した図である。
【図10】従来のX線診断治療に於ける心電図信号の波形の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るX線診断治療装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に於いて、X線診断治療装置10は、患者(被検体)Kを載置する寝台11と、架台12と、この架台12に支持されて図示P軸を中心に図示矢印R方向に回動可能なCアーム13と、このCアーム13の一方の端部に設けられたX線源14と、Cアーム13の他方の端部に設けられたX線検出器15と、生成された画像を表示するモニタ17と、これら各装置を連携制御する制御部20とを備えて構成される。
【0017】
寝台11は、鉛直方向及び水平方向に移動可能となっており、これにより患者Kは、X線源14とX線検出器15との間に適当に配置される。
【0018】
Cアーム13は、X線源14及びX線検出器15を対向配置させて、これらを保持する構造になっている。X線源14は、図示されないが、患者Kに対しX線を照射するX線管球と、当該X線管球から照射されたX線をコリメートするコリメータとを有している。一方、X線検出器15は、例えばI.I.(イメージ・インテンシファイア)と光学系とによって構成されており、I.I.によって患者Kを透過したX線情報を光学情報に変換し、光学系によってこの光学情報を光学レンズで集光する。尚、I.I.以外の検出装置としてX線平面検出器を用いても良い。
【0019】
制御部20は、寝台11や架台12の位置制御や、X線源14に於けるX線照射の制御、X線検出器15を制御するシステム制御部21を有している。更に、制御部20は、X線2D画像を収集して記憶するX線2D画像記憶部22と、CT装置35より所望の血管中心線が抽出済みのボリューム3D画像を記憶するCT3D画像記憶部23と、X線2D画像から所定の心位相のフレームを選択したり、図示されないデバイスの先端位置を入力するための操作部25と、該デバイスの新たな先端位置を検索するサーチ部26と、3D画像に於けるデバイスの先端位置を計算する演算部27と、2D画像と3D画像の位置合わせを行うための位置合わせ部28と、前記デバイスの先端位置検索用に座標及び画像を記憶する画像記憶部30と、3D画像の断面画像をモニタ17に表示する表示制御部31とを有して構成される。
【0020】
このような構成のX線診断治療装置10に於いては、術者が治療用デバイスを動かした場合にも対応するようにしている。これは図2(a)に示されるような、CT3D画像41と2D画像(X線透視画像)45のパターンマッチングにより実現している。2D画像45は、デバイス、例えばカテーテル47の先端位置と、その周囲のROI画像をテンプレート46として記憶させる。加えて、CTの断面画像40を表示する。これは、図2(b)に示されるように、抽出済みのCT血管42の中心線43と垂直に交わる平面像を切り取って表示することにより実現する。
【0021】
図3(a)〜(c)のフローチャートを参照して、本実施形態の動作について説明する。
【0022】
ここでは、一例として、ボリュームデータとしてCT画像を、デバイスとしてワイヤの先端を、また、対象臓器として心臓の冠状動脈を、心臓運動の検出方法として心電図信号を、備える場合について説明する。
【0023】
先ず、図3(a)のフローチャートにて、今回の診断を行う前に、過去の診断としての動作を説明する。本ルーチンに入ると、ステップS1にてCT装置35によって心臓撮像が行われる。これにより、心臓のボリュームデータが得られる。ルーチン作業に於いて、術者によってこのボリュームデータが読み込まれる。その後、ステップS2にてある位相で再構成されると、続くステップS3にて、血管中心線を抽出するべく解析と称される処理が行われる。
【0024】
この解析処理では、骨等の心臓診断に不要な部分を消去する作業、見たい血管のみを抽出する作業、がある。後者では所望の血管上でマウスをクリックする操作が行われる。全自動で見たい血管がきれいに抽出される場合もあるが、多くの場合に於いては、見たい血管にそって多数の点がクリックされることにより、これが見たい血管であるということが入力される。術者が見たい血管とは、例えば、前下降枝(LAD)、回旋枝(LCX)、右冠状動脈(RAD)である。本実施形態では、治療したい病変がある血管を見たい血管と定義する。以上の解析処理により、ボリュームデータと共に、見たい血管の中心線のX,Y,Z座標群がデータとして得られる。
【0025】
次いで、ステップS4にて、得られたデータが、ディスク、メモリ等で構成される画像記憶部30に記憶され、図4(a)に示されるように、中心線抽出済みのCT画像(心位相P1 )51が取得される。
【0026】
これらステップS1〜S4の処理動作は、全て公知のものである。
【0027】
尚、CTデータに限らず、MRからのボリュームデータ、Angioからのボリュームデータにも適応可能である。
【0028】
次に、図3(b)のフローチャートを参照して、本実施形態に於けるX線診断治療装置10の位置合わせ動作について説明する。
【0029】
実際に治療対象の患者がX線診断治療装置10による治療を行うべく入出すると、寝台11に乗って治療を受ける。通常は、ステップS11で最初に血管に造影剤が注入されて、血管造影画像が得られる。通常は多方向から撮像されて、多方向の血管造影画像が得られる。次いで、ステップS12にて、これらの2D血管造影画像と、前述した図3(a)のフローチャートで取得済みのCT3D画像とが、心電図信号を基に心位相(P1)が合わせられてフレームが抽出される。
【0030】
そして、ステップS13にて位置合わせ(registration)が行われる。ここでは、図4(b)に示されるように、仮想X線源54からのCT投影像52とX線造影画像(心位相P1 ,時刻T1 )53とが位置合わせされる。また、位置合わせの技術手法の詳細については、いくつかの手法が知られている(例えば、特開2003−290192号公報には詳しく数種類の手法が記載されている)ので、ここでは説明を省略する。
【0031】
実際に治療対象の患者は、X線診断装置の診断に乗り、治療を受ける。すなわち、ステップS14にて、リアルタイムイメージングとしてX線透視画像(動画、リアルタイム)が得られる。前述した造影は多方向から行われるが、患部が良く見える方向を決めた後に治療を行う際の透視撮像では、撮像方向を変えることはあまり無い。
【0032】
次いで、ステップS15にて、X線2D画像から所望のフレームが操作部25によって選択される。X線2D画像は撮影画像でも透視画像でも動画であり、10〜200フレームから構成される。一般的には、10〜30frame/secで撮像することが多い。これらのフレームのうち、CTを再構成した心位相と同じ心位相P1のフレームが抽出される。
【0033】
心位相とは心拍運動であり、一般的にはR波を0、次のR波を100とし、その間を100等分して表現することが多い。X線2D画像の収集時には一般的に心電図信号も同時に収集しているので、心電図信号をモニタして、CTと同じ心位相で撮像されたフレームのみがリアルタイムに抽出される。
【0034】
尚、ここでは心電図信号を用いる手法としたが、心電図信号以外の手法で心位相を判断する手法であっても良い。例えば、画像内のワイヤの動きを見るものであっても良い。
【0035】
次に、透視画像のうち同心位相のフレームが得られたら、最初の1枚がモニタ17の画面に表示される。そして、ステップS16にて、インターフェースを通じてワイヤの先端が、術者による操作部25内のマウス等でクリックされる。これにより、図4(c)に示されるように、心位相P1,時刻T2に於ける2D画像上でのワイヤ先端の座標(U,V|P=P1,T=T2)が得られる。
【0036】
尚、ワイヤ先端を指定する方法は、術者のマニュアル入力に頼らずに自動化しても良い。これには、ワイヤの先端のパターンをテンプレートとして有しておき、そのテンプレートと類似したものを2D画像内でサーチするようにする。
【0037】
前記デバイスの先端位置の座標(U,V|P=P1,T=T2)が得られたならば、その座標及び周囲ROIの画像がテンプレートとして、画像記憶部30に保存される。
【0038】
次に、ステップS24にて、収集中の2D透視画像で、心位相P1 が来たら、そのフレーム画像内で、先に保存されたテンプレートと類似している場所がサーチされる。ここで、サーチは一般的な類似性が最大となる場所をサーチする方法で良く、例えば相互相関値を最大にする手法が採られる。これにより、新しい透視2D画像上でのワイヤ先端位置(U,V|P=P1,T=T3)を得ることができる。
【0039】
図4(d)に示されるように、時刻T2、心位相P1で得られたワイヤ先端位置の座標(U,V|P=P1,T=T2)59は、時刻T3、心位相P1の画像58では、ほぼ座標(U,V|P=P1,T=T2)の近傍に来る。僅かにずれが生じるのは、心臓運動の非周期性による成分と、術者がワイヤを動かした成分である。前者は最大約5mm程度、後者は1心拍、すなわち約0.5〜1秒の間に術者がワイヤを動かす距離であり、最大約10mm以内程度と考えられる。よって、最大でも約15mm程度の動きであり、この範囲60をサーチすることにより、新しいワイヤ先端位置を見つけることができる。ワイヤの形状も約0.5〜1秒の間ではあまり変化が無いと考えられるため、新しいワイヤ先端位置を見つけることができる。
【0040】
尚、新しい座標が得られたならば、その座標(U,V|P=P1,T=T3)61が保存されると共に、テンプレートも更新して保存される。
【0041】
次の時刻T4に於いては、T3とT4のパターンマッチングとする。
【0042】
図3(c)は、本実施形態に於けるX線診断治療装置10のX線透視画像の繰り返し取得の動作について説明するためのフローチャートである。
【0043】
図3(b)のフローチャートのステップS16に於いて、ワイヤ先端か指定された後もX線透視画像は引き続き収集されている。したがって、後述するステップS27で繰り返し有りとされた場合、ステップS21にて、図3(b)のフローチャートのステップS14と同様にしてX線透視画像が取得される。そして、続くステップS22にて術者によりワイヤが新たな位置に移動された後、ステップS23にて、図3(b)のフローチャートのステップS14と同様にして、CTを再構成した心位相と同じ心位相P1のフレームが抽出される。
【0044】
CT3D画像と、2DX線画像は、前述した図3のフローチャートのステップS13にて既に位置合わせ済みであるので、位置関係がわかっている。そこで、ステップS25にて、2D画像58に於けるワイヤ先端位置(U,V|P=P1,T=T3)とX線源54を結ぶ直線を考え、この直線が抽出済みのCT中心線との交点65を、3D画像に於けるデバイスの先端位置(X,Y,Z|P=P1,T=T3)とする。
【0045】
尚、種々の誤差要因により完全に1点では交わらないことが予想されるが、その場合は、投影線と中心線の、2本の線の距離を最小にする点をもって代替させる。これは、ワイヤは必ず血管の中を通っているということ、しかも、抽出済みの見たい血管の中をワイヤは必ず通っている、という仮定から考えられる。
【0046】
CT画像で血管が抽出されていない場合は、投影線と血管との交点は多数あるので定まらない。図4(e)に示されるように、CT画像の血管63内の血管中心線64が抽出されているので、X線源54からの投影線と血管中心線64との交点65を見つけることができる。
【0047】
これまでの処理により、ワイヤ先端位置の3次元座標(X,Y,Z|P=P1,T=T3)が算出されている。したがって、CT3D画像内にワイヤ先端位置を点で表示することが可能である。
【0048】
前記ステップS25までの処理により、ワイヤ先端位置の3次元座標(X,Y,Z|P=P1,T=T3)が算出されている。よって、ステップS26にて、図4(f)に示されるように、CT抽出済み血管中心線64がこの点(交点)65を通る箇所の、抽出済み血管中心線64と垂直な面68が切り出されることにより、それが血管断面画像70となる。尚、69は心位相P1のCT画像である。
【0049】
尚、本実施形態では単純に血管断面画像としたが、CT値で区分された断面画像や、プラークの硬さを表現した断面画像等、どのような加工断面画像であっても良い。
【0050】
次に、ステップS27に於いて、繰り返し画像収集が行われるか否かが判定される。X線透視画像は引き続き収集されているので、1心拍に1回、CT画像と同心位相の透視画像が得られる。前述した処理動作は、その度毎に行われる。したがって、1心拍に1回ワイヤ先端の3次元座標が計算され、1心拍に1回断面画像は更新される。すなわち、ほぼリアルタイムでステップS21〜S27の処理動作が繰り返される。
【0051】
透視収集が中断された場合は、最後の同心位相画像に於けるワイヤ先端位置Ui ,Vi が記憶されており、次に同角度からの透視収集が再開された場合には、マニュアル操作なしに、Ui,Vi近傍のパターンサーチが行われる。これにより、Cアームの角度を変えたり、寝台を動かしたりしない限り、マニュアル指定が不要で画像が更新される。
【0052】
逆にシステムは、常にCアーム13の角度と寝台11の移動をモニタしている。仮に、移動が検出された場合には、断面画像表示更新が中断され、術者に再度ワイヤ先端位置の入力が求められる。
【0053】
図5は、前述した図3(a)〜(c)のフローチャートに従った処理動作により検出される心電図信号の波形図の一例である。尚、図中に示されるA、Bは図3(b)のフローチャートのステップS12、S15の処理動作時、C1、C2、C3は図3(c)の繰り返しのフローチャートに於ける1回目、2回目、3回目のステップS23の処理動作時のフレームを表している。
【0054】
モニタ17への表示例としては、例えば、図6に示されるように、3画面構成とするのが良い。このうち、X線透視画像17aの画像は、例えば33msecに1度更新される。また、CT画像17bは更新されることはないが、ワイヤ先端の3D座標を示すマークの位置が1心拍に1度更新される。更に、CT断面画像17cは、1心拍に1度更新される。
【0055】
次に、前述した一実施形態の変形例について説明する。
【0056】
ここでは、血管が曲がっていて交点が2箇所以上計算される場合について説明する。
【0057】
前述した実施形態では、投影線と血管中心線は1箇所で交わると説明した。しかしながら、血管が極端に曲がっている場合や、奥行き方向に曲がっている(Foreshortening)場合には、1箇所で交わるとは限らない。このような場合、ワイヤの動きは突然飛躍することはなく、血管に沿って連続的であることから、次のように考えられる。
【0058】
図7に於いて、交点の候補が複数個、例えば候補点79、80が存在しているうちの、1つ前で検出された候補点80の座標X,Y,Zから最も近い候補点が、新しいワイヤの先端3D座標と定められる。図7に示される例では、時刻T1、時刻T2に於いては3次元座標を定めることができて、これから時刻T3 に於ける3次元座標を見つけようとしている。X線透視画像84に於いて、テンプレート85中にガイドワイヤ86の先端部分となる候補点として、3つの交点81a、81b、81cが検出されている。このうち、候補の交点81cが最も1つ前の時刻の3次元点からの血管中心線76に沿った長さが短いので、交点81cが最終的に候補点として選択される。このことは、CT画像で血管中心線76が抽出されているので、選択が可能となっている。
【0059】
また、前述した実施形態は、X線診断治療装置10はシングルプレーン装置であることを前提としている。しかしながら、X線診断治療装置は、図8に示されるような、2方向から同時に撮像可能であるバイプレーン装置を使用しても良い。こうしたバイプレーン型のX線診断治療装置90は、例えば、床置き型Cアームの装置91と天井走行式Ωアームの装置92とから構成される。
【0060】
このような構成のX線診断治療装置に於いて、2方向から撮像すれば、それだけでワイヤ先端の3次元位置X,Y,Zを定めることが可能である。よって、CT3D血管中心線にワイヤ先端が存在するという拘束条件を加えることにより、より精度良くワイヤ先端の3D座標を得ることができる。
【0061】
また、前述したように、血管が曲がっていて2箇所以上の交点候補があるという場合にも、バイプレーン型のX線診断治療装置を使用すれば、唯一の交点を得ることができる。
【0062】
尚、前述した本実施形態は心臓冠状動脈について説明したが、これに限られるものではなく、他の動く臓器の血管はもとより、静止臓器の血管にも適応可能である。更に、血管でなくても食道等の管腔臓器にも適応可能である。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0064】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0065】
10…X線診断治療装置、11…寝台、12…架台、13…Cアーム、14…X線源、15…X線検出器、17…モニタ、20…制御部、21…システム制御部、22…X線2D画像記憶部、23…CT3D画像記憶部、25…操作部、26…サーチ部、27…演算部、28…位置合わせ部、30…画像記憶部、31…表示制御部、35…CT装置、40…CTの断面画像、41…CT3D画像、42…血管、43…血管中心線、45…2D画像(X線透視画像)、46…テンプレート、47…カテーテル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め所望の血管又は管腔臓器の中心線が抽出済みのボリューム3次元画像を記憶する第1の記憶手段と、
リアルタイムで更新する2次元画像を記憶する第2の記憶手段と、
前記3次元画像と前記2次元画像との位置合わせを行う位置合わせ手段と、
デバイスの先端位置の所定時間後の位置を検索する検索手段と、
前記3次元画像に於ける前記デバイスの先端位置を算出する算出手段と、
前記2次元画像と前記デバイスの先端位置を含む前記3次元画像の断面画像とを同期させて更新表示する表示手段と、
を具備する画像表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記2次元画像と前記断面画像とを1心拍に一度更新する、請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記デバイスの先端位置を示すマークを表示する、請求項1又は2記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−66802(P2013−66802A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−12194(P2013−12194)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2007−256337(P2007−256337)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】