画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法
【課題】輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できる画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法を提供する。
【解決手段】複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正装置は、前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成部と、前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力部とを含む。
【解決手段】複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正装置は、前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成部と、前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力部とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面テレビジョンやプロジェクタ等の高性能な画像表示装置が広く普及しており、これらの画像表示装置においては、より一層、色の再現性や画質が重要視されるようになっている。そのため、同じ信号値を有する画素は表示画像内のどの位置でも同じ色で表示される「画面の均一性」が確保された画像表示装置に対する市場の要求が高い。
【0003】
このような「画面の均一性」を確保するための技術として、画面内の色むらを補正する技術が、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0004】
特許文献1には、入力データが取り得るすべての階調において色むらの発生を抑制するために、画像表示装置の入出力特性データを測定し、該入出力特性データを基準入出力特性データに近づけるための補正データを全階調レベルについて決定する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、色むらと輝度むらを含めた照度むらを補正するために、輝度むら補正パターンと色むら補正パターンから、輝度むらの発生量及び色むらの発生量を低減する複数の照度レベルに応じた照度むら補正パターンテーブルを生成し、照度むらの発生量を低減させるようにした技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−38976号公報
【特許文献2】特開2006−153914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像表示装置として投写型画像表示装置(プロジェクタ)を採用する場合、投影画像内の周辺部において輝度低下が発生しやすい。このような画像表示装置を複数用いて同一スクリーンに投影する場合、特許文献1及び特許文献2に開示された技術を用いて補正データや補正パターンに従って画素の信号値を補正したとしても、各画像表示装置の投影画像内の周辺部の輝度低下はそのまま起こり、スクリーン上の画像には輝度むらが発生するという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できる画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正装置であって、前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成部と、前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力部とを含む画像補正装置に関係する。
【0010】
本発明によれば、複数の画素光形成手段を用いて画像を表示する場合に、1つの画素光形成手段の画素光による画素の輝度が出力目標値に達しないとき、残りの画素光形成手段の複数の画素光を用いて輝度を上げることで、表示画像の輝度低下の発生を抑えることができるようになる。しかも、個々の画素光形成手段で輝度低下を抑える場合に比べて、余力のある画素光形成手段で輝度を補完できるため、効率的に、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0011】
また本発明に係る画像補正装置では、前記残りの画素光形成手段は、前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記スクリーンに形成される表示画素の位置が近い順にn(nは2以上の整数)個の表示画素を形成することができる。
【0012】
本発明によれば、当該画素の輝度が出力目標値に達しないとき、当該画素の周辺のn個の表示画素を用いて輝度を補完させるようにしたので、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を効率的に防止できるようになる。
【0013】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光を構成する各画素光が均等に輝度を上げるように前記画像信号を補正することができる。
【0014】
本発明によれば、他の画素光形成手段による複数の画素に均等に輝度を補完させるようにしたので、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。しかも、他の画素光形成手段による複数の画素に一律に輝度増分を割り当てるようにしたので、少ない計算量で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する効果が得られるようになる。
【0015】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが大きい画素光に対し、前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが小さい画素光より輝度増分が大きくなるように前記画像信号を補正することができる。
【0016】
本発明によれば、当該画素の輝度を補完する他の画素の増分後の輝度が画素最大値を超えてしまう場合であっても、当該画素の輝度の不足分を効率的に振り分けて、増分後の輝度が画素最大値を超えないようにできるようになる。
【0017】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、各画素光の輝度に対応した画素値に応じた増分となるように前記画像信号を補正することができる。
【0018】
本発明によれば、補正前の輝度の分布を維持しつつ、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0019】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記各画素光により前記スクリーンに形成される表示画素までの距離に応じた増分となるように前記画像信号を補正することができる。
【0020】
本発明によれば、各画素光形成手段からの画素光による画素の位置合わせを粗く調整した場合であっても、高い精度で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0021】
また本発明は、上記のいずれか記載の画像補正装置と、前記画像補正装置からの前記画像信号に基づいて輝度が制御される前記複数の画素光形成手段とを含み、前記複数の画素光形成手段からの画素光を用いた画像を表示する画像表示システムに関係する。
【0022】
本発明によれば、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する画像表示システムを提供できるようになる。
【0023】
また本発明は、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正方法であって、前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成ステップと、前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力ステップとを含む画像補正方法に関係する。
【0024】
本発明によれば、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する画像調整方法を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る画像補正装置は、複数の画像表示装置により表示される複数の画像を用いて表示する画像表示システムに適用される。この画像表示システムは、複数の画像表示装置を構成する各画像表示装置により投影されたスクリーン上の投影画像の各画素同士を隣接させて表示することで高輝度の画像を表示することができる。そして、画像補正装置は、入力画像信号に対応した出力目標値の輝度を実現できるように、該入力画像信号を補正した画像信号を各画像表示装置に出力する。
【0027】
図1に、実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。
【0028】
実施形態1における画像表示システム10は、第1〜第L(Lは2以上の整数)のプロジェクタ(広義には画像表示装置)PJ1〜PJLと、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによって投射された画像から測定値を取得するための画像測定装置30と、画像補正装置(広義には画像処理装置)200とを含む。更に、画像表示システム10は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLに画像信号を入力する、図示しない画像入力部を含むことができる。
【0029】
第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLは、それぞれスクリーンSCRに対して画像を投射し、スクリーンSCRに各投射画像の画素同士を隣接させて1つの画像を表示するようになっている。ここで、各投射画像の隣り合う画素同士の境界が接するように投射されてもよいし、各投射画像の隣り合う画素同士が所与の間隔を置いて投射されてもよい。
【0030】
各プロジェクタは、投影画像の画素を形成するための画素光形成手段を有し、画像補正装置200からの画像信号により画素の輝度が制御される。このような画素光形成手段は、光源からの光を変調する光変調手段(光変調部)を有し、画像補正装置200からの画像信号により変調率(透過率、光変調率)が制御されることで画素の輝度が制御される。なお、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLは、それぞれ同じ構成を有してもよいし、異なる構成を有していてもよい。
【0031】
画像測定装置30は、撮像手段としてのカメラ32と、測定値処理部34とを含む。カメラ32は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによって投射されたスクリーンSCRの画像を撮像して投射画像の画像データを取り込む。このようなカメラ32として、例えばデジタルスチルカメラを採用できる。測定値処理部34は、カメラ32によって取り込まれた画像データに基づいて、測定値を生成する。画像測定装置30によって生成された測定値は、測定データとして画像補正装置200に供給される。
【0032】
画像補正装置200は、各プロジェクタが有する画素光形成手段毎に、画像入力部からの入力画像信号に対応した出力目標値を決定する。そして、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画像の画素の輝度値が該出力目標値となるように、各プロジェクタが有する画素光形成手段による画素の輝度を制御するための画像信号を該入力画像信号から補正し、補正後の画像信号を第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLに対して出力する。
【0033】
より具体的には、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのうち例えば第1のプロジェクタPJ1(複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段)に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する。そして、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度値が出力目標値となるように、第1のプロジェクタPJ1を除く第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJL(複数の画素光形成手段のうち第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段)からの複数の画素光の輝度を制御する各プロジェクタ用の画像信号を補正して第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJLに出力する。
【0034】
更に画像補正装置200は、出力目標値を決定する際に、プロジェクタが表示可能な値の範囲内で画像信号の補正量を調整し、該補正量を用いた補正後の画像信号により画像表示を行うことで、表示画面内の色むらの発生を抑える処理を行う。より具体的には、補正後の画像信号が、プロジェクタが表示可能な値の範囲内にないとき、当該画素の色相及び彩度が画面内の所与の基準画素の色相及び彩度と一致するように、プロジェクタが表示可能な値の範囲内で補正量を調整する。
【0035】
図2に、図1の第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLの各プロジェクタに適用される画像表示装置の構成例のブロック図を示す。なお、図2では、画像補正装置200に対して入力画像信号を供給する画像入力部40も合わせて示し、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLがそれぞれ同様の構成を有しているものとする。
【0036】
画像入力部40は、プロジェクタによって投射される画像の画像信号を生成する。画像入力部40として、例えばスキャナ42、デジタルカメラ44、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)46のいずれかが採用される。このような画像入力部40によって生成された画像信号が入力画像信号として画像補正装置200に出力される。
【0037】
画像補正装置200は、図1の画像測定装置30により測定された測定値に基づいて、画像入力部40からの入力画像信号に対応した出力目標値を、プロジェクタ毎に決定する。そして、画像補正装置200は、この出力目標値を実現するように、各プロジェクタに対して入力画像信号を補正して得られた画像信号を出力する。
【0038】
第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLは、それぞれ、光変調部24、投射部26を含む。光変調部24には、図示しない光源からの光が照射されており、画像補正装置200からの画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。このような光変調部24としては、液晶パネルにより構成されるライトバルブが採用される。液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像信号に対応して各画素の光の通過率を変調する。光変調部24は、各色光の通過率が制御された複数の色光を合成した画素光を生成することができ、画素光形成手段としての機能を有する。投射部26は、光変調部24によって変調された光源からの光をスクリーンSCRに投影する投射光学系を有する。
【0039】
図3に、図2の第1のプロジェクタPJ1の構成例を示す。図3では、第1のプロジェクタPJ1の構成例を示すが、第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJLも同様に構成することができる。また、図3では、第1のプロジェクタPJ1が、いわゆる3板式の構成例を示しているが、本発明に係るプロジェクタが、いわゆる3板式のものに限定されるものではない。
【0040】
第1のプロジェクタPJ1は、光源110、インテグレータレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G用フィールドレンズ124G、光変調素子130、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム(広義には光合成手段)160、投射レンズ170(広義には投射部)を含む。図3では、3板式であるため、光変調素子130として、R用液晶パネル130R(第1の光変調部)、G用液晶パネル130G(第2の光変調部)、B用液晶パネル130B(第3の光変調部)が採用される。R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
【0041】
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。光源110は、例えば画像補正装置200又は第1のプロジェクタPJ1内の図示しない光源駆動部から光源制御信号により駆動制御される。インテグレータレンズ112は、光源110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を重畳する。
【0042】
また偏光変換素子116は、偏光分離膜とλ/2板とを有し、p偏光を透過させると共にs偏光を反射させ、p偏光をs偏光に変換する。この偏光変換素子116からのs偏光が、重畳レンズ118に照射される。
【0043】
重畳レンズ118によって重畳された光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
【0044】
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレンズ124Gに導かれる。
【0045】
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
【0046】
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能し、R用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0047】
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能し、G用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0048】
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、B用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0049】
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bは、所与の光変調素子制御信号により、色成分毎に独立して変調率が制御される。
【0050】
光合成手段としてのクロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射部としての投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズである。
【0051】
実施形態1では、それぞれが上記のような構成を有する第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる投影画像の画素同士が隣り合うようにスクリーン上に表示させる。従って、実施形態1における画像表示システムでは、画像補正装置と、この画像補正装置からの画像信号に基づいて輝度が制御される複数の画素光形成手段とを含み、これらの複数の画素光形成手段からの画素光を用いた画像を表示することができる。
【0052】
例えば第1のプロジェクタPJ1は、1つの画素光形成手段を有する。この画素光形成手段は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bである第1〜第3の光変調部を含み、第1〜第3の光変調部からの変調光を合成して画素光として射出することができる。第1の光変調部は、第1の色成分の画像信号に基づいて第1の色成分の光を変調し、第2の光変調部は、第2の色成分の画像信号に基づいて第2の色成分の光を変調し、第3の光変調部は、第3の色成分の画像信号に基づいて第3の色成分の光を変調する。
【0053】
図4に、実施形態1におけるスクリーン上の表示画像の画素の一例の模式的な説明図を示す。図4では、第1及び第2のプロジェクタPJ1、PJ2による表示画像の画素の一例を示すが、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画像の画素も同様である。
【0054】
図4に示すように、実施形態1では、第1のプロジェクタPJ1が投影した画像の水平方向に並ぶ2つの画素列の間に、第2のプロジェクタPJ2が投影した画像の水平方向に並ぶ画素列が配置されるように第1及び第2のプロジェクタPJ1、PJ2が調整されている。第1のプロジェクタPJ1が投影した画像の画素は、R成分、G成分及びB成分のサブ画素により構成されている。第2のプロジェクタPJ2が投影した画像の画素は、R成分、G成分及びB成分のサブ画素により構成されている。即ち、第1のプロジェクタPJ1が有する画素光形成手段からの画素光と、第2のプロジェクタPJ2が有する画素光形成手段から画素光を用いて表示画像を表示する場合に、2つの画素光形成手段による表示画像の画素が隣り合うように調整されている。
【0055】
なお、図4では、第1のプロジェクタPJ1による表示画素DP1に対し、第2のプロジェクタPJ2による表示画素DP2が、水平方向にずれて表示されている。
【0056】
ここで、表示画像の画素は、プロジェクタが有する光変調手段の画素のスクリーン上の像である輝点を有し、表示画像の画素は光変調素子の画素に対応付けられる。即ち、2つの画素光形成手段が有する光変調手段の画素のスクリーン上の像である輝点の位置がずれるように調整されている。
【0057】
これにより、実施形態1によれば、第1及び第2のプロジェクタPJ1、PJ2の各プロジェクタの投影画像の輝度が低い場合であっても、スクリーン上の投影画像の輝度を向上させることができる。
【0058】
なお、図4では、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素と、第2のプロジェクタPJ2の投影画像の画素とを隣り合わせて表示させているが、両画素が少なくとも一部の領域において重複していてもよい。
【0059】
図5に、実施形態1における画像補正装置200の構成例のブロック図を示す。
【0060】
画像補正装置200は、出力目標値生成部210と、画像信号出力部220とを含む。出力目標値生成部210は、画像入力部40からの入力画像信号を受け、複数の画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する。画像信号出力部220は、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画像の画素の輝度値が出力目標値となるように、各画素光形成手段からの画素光の輝度を制御する画像信号を補正して複数の画素光形成手段に出力する。より具体的には、出力目標値生成部210が、複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成し、画像信号出力部220が、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素の輝度値が該出力目標値となるように、複数の画素光形成手段のうち第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正して、該残りの少なくとも1つの画素光形成手段の各画素光形成手段に出力することができる。
【0061】
即ち、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素を補正する画像補正方法として、複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成ステップと、該表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正して、残りの少なくとも1つの画素光形成手段の各画素光形成手段に出力する画像信号出力ステップとを含むことができる。
【0062】
例えば、複数の画素光形成手段が、第1及び第2の画素光形成手段を含む場合に、画像信号出力部220は、第1の画素光形成手段による表示画像の第1の画素DP1(図4参照)の輝度値が出力目標値に達しないとき、第1の画素に対応する第2の画素光形成手段による表示画像の複数の第2の画素DP2(図4参照)の輝度値を上げるように第2の画素光形成手段用の画像信号を出力する。
【0063】
複数の第2の画素DP2は、第1の画素DP1の周辺画素である。なお、複数の第2の画素DP2が、第2の画素光形成手段により形成されるものとして説明したが、複数の第2の画素DP2が、第1の画素光形成手段を除く複数の画素光形成手段により形成されたものであってもよい。
【0064】
これにより、複数の画素光形成手段を用いて画像を表示する場合に、1つの画素光形成手段の画素光による画素の輝度低下が発生するようなときであっても、残りの画素光形成手段の画素光を用いて輝度を上げることで、表示画像の輝度低下の発生を抑え、複数の画素光形成手段を用いた画像の輝度むらを目立たなくすることができるようになる。しかも、個々の画素光形成手段で輝度低下を抑える場合に比べて、余力のある画素光形成手段で輝度を補完(補填)できるため、効率的に、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0065】
ここで、画像信号出力部220は、画素ごとに輝度が制御される光変調手段(光変調部)に対して定義される座標系において、出力目標値が生成される当該画素と同じ画素位置の画素の変調率を制御する画像信号を補正して出力することができる。また、画像信号出力部220は、複数の画素光形成手段を用いた表示画像が投射されるスクリーンに対して定義されるスクリーン座標系において、出力目標値が生成される当該画素と同じ画素位置の画素の輝度を制御する画像信号を補正して出力することができる。
【0066】
更に、画像補正装置200において、出力目標値生成部210は、画像測定装置30の測定値(又は該測定値に対応した補正データ)に基づいて、第1のプロジェクタPJ1が表示可能(処理可能)な値の範囲内で入力画像信号の補正量を調整する。この補正量に基づいて画像信号が補正される。
【0067】
ここで、補正後の画像信号が、第1のプロジェクタPJ1で表示可能な範囲にない場合がある。例えば、入力画像信号がRGB空間の信号であり、画像入力部40からの画像信号により表される画素値のビット数が「8」のとき、補正後の画像信号により表される画素値が、8ビットで表現可能な画素値最大値である「255」を超えてしまうことがある。このような場合には、もはや画像信号を補正することができない。そこで、実施形態1では、出力目標値生成部210は、補正後の画像信号が第1のプロジェクタPJ1で表示可能な範囲にない場合には、当該画素の色相及び彩度が画面内の基準位置(例えば画面の中心位置)の色相及び彩度と一致するように、補正量を調整する出力飽和処理を行う。
【0068】
これにより、画像信号の補正前後において、明度差に比べて色差をほとんどなくすことができるため、画面内での色むら(輝度むら)の発生を抑えることができるようになる。
【0069】
また、画像信号出力部220は、出力飽和処理検出部222、出力目標値更新部224、補正信号出力部226を含む。出力飽和処理検出部222は、他の画素光形成手段で輝度を補完すべきか否かを判別するために、出力目標値生成部210において上記の出力飽和処理が当該画素の周辺画素の少なくとも1画素について行われたか否かを判別する。これにより、出力目標値を得るために入力画像信号の補正ができなかったとき上記の出力飽和処理が行われるため、他の画素光形成手段で輝度を補完すべきかないかを容易に判断できるようになる。
【0070】
出力目標値更新部224は、出力飽和処理検出部222により、当該画素の周辺画素の少なくとも1画素について上記の出力飽和処理が行われたことが検出されたときに、他のプロジェクタが有する画素光形成手段により輝度を補完するために当該画素光形成手段用の画像信号を補正する処理を行い、出力目標値を更新する。これにより、出力目標値生成部210は、再び、更新後の出力目標値を用いて、出力飽和処理の有無を検出しながら、当該プロジェクタで表示可能な範囲となるように入力画像信号を補正する。
【0071】
補正信号出力部226は、出力飽和処理検出部222により、当該画素の周辺画素の少なくとも1画素について上記の出力飽和処理が行われたことが検出されなかったときに、出力飽和処理を行うことなく出力目標値が得られると判断し、既に調整済みの補正量を用いて画像信号を補正し、補正後の画像信号を補正画像信号として各画素光形成手段に対して出力する。
【0072】
このような画像補正装置200において、出力目標値生成部210は、画像測定装置30により測定された測定値に基づいて出力目標値を生成する。また、補正信号出力部226は、測定値に基づいて、補正画像信号を出力する。そのため、画像補正装置200は、測定値テーブル230を含み、測定値テーブル230の記憶情報を参照して出力目標値を生成する。
【0073】
測定値テーブル(広義にはテーブル)230には、画像内の全画素について、各画素値に基づいて表示させた画素の測定値(測定した画素値)がプロジェクタ毎に格納される。従って、測定値テーブル230には、各画素値に基づいて表示させた基準画素の測定値(画素値)と、各画素値に基づいて表示させた当該画素の測定値(画素値)とが格納される。なお、測定値テーブル230には、測定値の代わりに、該測定値に対応した補正データが格納されていてもよい。
【0074】
図6に、図5の測定値テーブル230に格納される測定値が測定される画像の画素位置の説明図を示す。図6では、例えば第1のプロジェクタPJ1により投影された画像IMGにおいて、水平方向をx軸、垂直方向をy軸として、画像IMGの全画素の各画素の位置を定義することができる。ここでは、水平方向にN(Nは2以上の整数)画素が並び、垂直方向にM(Mは2以上の整数)画素が並ぶものとする。従って、画像IMGの画素(x0,y0)、(x1,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(x0,y2)、・・・、(x0,yM−1)、・・・、(xN−1,YM−1)の各画素について、画像測定装置30が測定した測定値が測定値テーブル230に格納される。
【0075】
図7に、図5の測定値テーブル230に格納される測定値の説明図を示す。
【0076】
測定値テーブル230には、まず、画素値「0」に基づいて表示させた画素の測定値(又は該測定値に対応した補正データ)が、例えば図6の画像IMGの水平方向に(x0,y0)、(x1,y0)、(x2,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(xN−1,yM−1)の順番に格納される。そして、測定値テーブル230には、続いて、画素値「1」に基づいて表示させた画素の測定値が、図6の画像IMGの水平方向に(x0,y0)、(x1,y0)、(x2,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(xN−1,yM−1)の順番に格納される。こうして、最終的に測定値テーブル230には、画素値「255」に基づいて表示させた画素の測定値が、図6の画像IMGの水平方向に(x0,y0)、(x1,y0)、(x2,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(xN−1,yM−1)の順番に格納される。この結果、測定値テーブル230には、画像内の全画素について、各画素値に基づいて表示させた画素の測定値が格納される。
【0077】
測定値テーブル230には、上述したような全画素の測定値が、プロジェクタ毎に格納される。
【0078】
なお、図7では、各画素値について測定値テーブル230に格納される測定値のデータサイズや、個々の測定値のデータサイズが予め認識されている。そのため、測定値テーブル230に記憶される測定値群の中から、所望の画素位置における所望の画素値の測定値の記憶領域を特定できるので、測定値テーブル230には測定値のみを記憶させておけばよい。
【0079】
以上のように、出力目標値生成部210は、プロジェクタ毎に基準画素について各画素値に基づいて表示させた画素の測定値が記憶された測定値テーブル230を参照して、当該画素の画素値に対応した測定値を出力目標値として生成することができる。そして、補正信号出力部226は、出力目標値生成部210により生成された出力目標値、又は出力目標値更新部224により更新された出力目標値に対応した補正量を求め、該補正量を用いて画像信号を補正して出力する。
【0080】
また、出力目標値生成部210は、測定値テーブル230を検索して、測定値テーブル230に、出力目標値に対応した測定値が記憶されていることが検出されたときには、出力飽和処理を行わない。一方、出力目標値生成部210は、測定値テーブル230を検索して、測定値テーブル230に、出力目標値に対応した測定値が記憶されていないことが検出されたときには、出力飽和処理を行って、当該画素の色相及び彩度が、基準画素の色相及び彩度と一致するように当該画素の補正量を調整する。
【0081】
こうすることで、基準画素についての測定値が記憶されたテーブルを参照して出力目標値を生成する一方、当該画素についての測定値が記憶されたテーブルに記憶されているか否かを判断することで、当該補正量を用いて当該画素の画素値を補正した補正画素値が画素値最大値を超えたか否かを判別できるようになる。従って、新たな付加装置を設けることなく、簡素な構成で、当該画素の補正画素値が画素値最大値を超えたか否かを判別できるようになる。
【0082】
図8に、実施形態1における画像補正装置200のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0083】
画像補正装置200は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)80、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)82、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)84、インターフェース(Interface:I/F)回路86、画像処理回路88を含む。CPU80、ROM82、RAM84、I/F回路86及び画像処理回路88は、バス90を介して接続されている。
【0084】
ROM82には、プログラムが格納されており、バス90を介してプログラムを読み込んだCPU80が、該プログラムに対応した処理を実行することができる。RAM84は、CPU80が処理を実行するための作業用メモリとなったり、CPU80が読み込むプログラムが一時的に格納されたりする。I/F回路86は、画像入力部40のそれぞれとのインターフェース処理を行い、画像入力部40からの入力画像信号の入力処理等を行う。画像処理回路88は、上記の画像処理を実現する。画像処理回路88は、例えばROM82に格納されているプログラムやデータを参照し、RAM84を作業用メモリとして用いながら実施形態1における画像処理を実現できる。
【0085】
画像処理回路88は、I/F回路86を介して画像入力部40からの入力画像信号を補正して、画面内の色むらの発生を抑える処理を行う。なお、画像補正装置200において、画像処理回路88がCPU80と別個に設けられる専用ハードウェアとして説明したが、画像処理回路88の機能を、ROM82又はRAM84に記憶されたプログラムを読み込んだCPU80の処理により実現してもよい。
【0086】
画像測定装置30による測定値又は該測定値に対応した補正データは、ROM82に書き込まれる。例えば、画像表示システム10において、プロジェクタ毎に、以下のシーケンスを繰り返すことで、各プロジェクタの測定値が収集される。
【0087】
即ち、まず第1のプロジェクタPJ1が評価用画像をスクリーンSCRに投射する。画像測定装置30は、スクリーンSCRの投射画像を画像データとして取り込み、測定値を生成する。次に第2のプロジェクタPJ2の投射と画像測定装置30の撮像とを行い、以降、プロジェクタの投射と画像測定装置30の撮像とを繰り返し、画像測定装置30は、プロジェクタ毎に、投射画像の全画素について、画素毎にすべての画素値に対応した測定値を生成する。そして、画像測定装置30によって生成された測定値、又は該測定値に対応した補正データは、ROM82に書き込まれる。その後、画像入力部40からの画像に対応した画像信号が入力されたとき、画像補正装置200は、ROM82に書き込まれた測定値(補正データ)に基づき、画素毎に補正量を求め、該補正量を用いて画像信号を補正して出力する。
【0088】
図5において、出力目標値生成部210及び画像信号出力部220の機能は、図8の画像処理回路88又はプログラムを読み込んで該プログラムに対応した処理を行う図8のCPU80により実現される。図5の測定値テーブル230の機能は、図8のROM82により実現される。
【0089】
次に、実施形態1における画像補正装置200の処理例について説明する。以下では、実施形態1における画像補正装置200が、画素毎に、RGB色空間の各色成分の画素値の補正量を調整するものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
図9に、実施形態1における画像補正装置200の処理例のフロー図を示す。
図10に、図9の出力目標値の決定処理の処理例のフロー図を示す。
図11に、図10の各色成分の補正処理の処理例のフロー図を示す。
例えば、ROM82には、予め図9、図10、図11に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図9、図10、図11に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0091】
まず、画像補正装置200は、画像入力部40からの入力画像信号が入力されるまで待つ(ステップS100:N)。画像入力部40からの入力画像信号が入力されたとき、画像補正装置200は、変数の初期化処理を行う(ステップS102)。例えば、ステップS102では、L台のプロジェクタのいずれかを指定するための変数iを「1」に設定すると共に、出力飽和処理において出力目標値を縮小する比率を示す変数を「1.0」に設定する等、処理の必要な変数を初期化する。続いて、変数iが「1」であるため、画像補正装置200は、入力画像信号に対応した第1のプロジェクタPJ1用の出力目標値を決定する処理を行う(ステップS104)。
【0092】
ステップS104の処理内容については後述するが、出力飽和処理が行われたときには、明度差に比べて色差をなくすために、RGBの各色成分の出力目標値が同じ比率で縮小される。そこで、画像補正装置200は、ステップS104に続いて、ステップS104の処理後の出力目標値の縮小比率を示す変数を保存し(ステップS106)、変数iをインクリメントする(ステップS108)。出力目標値の縮小比率には、第iのプロジェクタPJiにおける出力目標値の縮小率がステップS104において設定されている。そして、変数iの値がLより大きいか否かを比較して(ステップS110)、変数iの値がL以下のとき(ステップS110:N)、画像補正装置200は、ステップS104に戻り、インクリメント後の変数iで指定されるプロジェクタ用の出力目標値を決定する。
【0093】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の画素の輝度を第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJLの対応する画素で補完するものとすると、ステップS110において、変数iの値がLより大きいとき(ステップS110:Y)、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのすべてについて当該画素の周辺画素のすべてにおいてプロジェクタの出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われたか、或いは出力飽和処理が一切行われなかったかを判別する(ステップS112)。ステップS112では、上記の縮小比率を示す変数の値を参照することで処理を簡素化できる。
【0094】
周辺画素のすべてについて、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLにおいて出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われたとき(ステップS112:Y)、他のプロジェクタによる画素の輝度を補完することができないことを意味するため輝度の補完処理を行わずに、次の処理に進み、この時点で求められた出力目標値に対応した画像信号を、測定値テーブル230を参照して求め、補正画像信号として出力する(ステップS114)。同様に、周辺画素のすべてについて、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLにおいて出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われなかったとき(ステップS112:Y)、他のプロジェクタによる画素の輝度補完が不要であることを意味するため、輝度の補完処理を行わずに、次の処理に進み、この時点で求められた出力目標値に対応した画像信号を、測定値テーブル230を参照して求め、補正画像信号として出力する(ステップS114)。
【0095】
ステップS112において、周辺画素の少なくとも1つについて、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのいずれかにおいて出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われたと判別されたとき(ステップS112:N)、画像補正装置200は、他のプロジェクタによる複数の画素を用いて輝度補完処理を行って(ステップS116)、ステップS102に戻り、再び輝度補間処理後の画像信号を用いて、すべてのプロジェクタに対する出力目標値を決定し直す。なお、この輝度補完処理については、後述する。
【0096】
ステップS114において、補正画像信号を出力した後、全画素について終了したとき(ステップS118:Y)、一連の処理を終了し(エンド)、全画素について終了していないとき(ステップS118:N)、ステップS100に戻る。
【0097】
以上のように、実施形態1によれば、出力飽和処理が行われたか否かを判別して、他のプロジェクタによる複数の画素の輝度を上げることで、当該プロジェクタによる画素の輝度を補完することができる。これにより、個々のプロジェクタで輝度低下を抑える場合に比べて、効率的に、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0098】
次に、図9のステップS104について説明する。
【0099】
ステップS104では、補正後の画素値が画素値最大値を超えるとき、u´v´色度図(CIE 1976 UCS色度図)における当該画素のu´成分及びv´成分が基準画素のu´成分及びv´成分と一致するように補正量を調整する。これにより、一般に使われる色度図のu´成分及びv´成分に着目したので、簡素な構成で、当該画素の色相及び彩度が、基準画素の色相及び彩度と一致するように当該画素の補正量を調整することができるようになる。従って、既存のリソースを用いながら、補正後の画素値がプロジェクタの限界値を超える場合であっても色むらを目立たなくできるようになる。
【0100】
そこで、実施形態1では、以下のようにRGB空間の各色成分の画素値について補正画素値が画素値最大値を超えないように出力目標値を縮小させながら、補正量を調整するようにしている。
【0101】
図10に示すように、画像補正装置200は、まず、スキャナ42等の画像入力部40からの画像信号を入力値として取得する(ステップS10)。この画像信号は、例えばRGB空間の各色成分の画素値を有する。
【0102】
次に、画像補正装置200は、当該画素のRGB空間のB成分の画素値について補正処理を行う(ステップS12)。
【0103】
B成分の画素値の補正処理においては、図11に示すように、出力目標値生成部210が、当該画素のB成分の出力目標値を生成する(ステップS40)。より具体的には、出力目標値生成部210は、測定値テーブル230に記憶された測定値群の中から基準画素における各画素値(入力画素値)に基づいて表示したときの出力画素値である測定値を出力目標値関数として生成しておき、この出力目標値関数の中から、当該画素の画素値と同じ画素値を入力画素値としたときの測定値を出力目標値として求める。
【0104】
図12に、実施形態1におけるB成分の出力目標値関数の説明図を示す。
【0105】
図12では、横軸にB成分の入力画素値、縦軸にB成分の出力画素値に対応した出力値(測定値、物理量)をとり、基準画素において入力画素値が与えられたときの出力画素値の変化を表している。より具体的には、図12では、基準画素の測定値を出力目標値関数T1で表し、当該画素の測定値を関数MBで表している。
【0106】
図11のステップS40に続いて、出力目標値生成部210は、その測定値と当該画素の画素値とに基づいて補正量を求め、該補正量に基づいて当該画素の画素値を補正した補正画素値を求める(ステップS42)。例えば図12の入力画素値B1が与えられると、当該画素において入力画素値B1に対応する出力目標値(PB1、PB2)を得るための入力画素値B2が求められる。従って、画素値B1、B2の差分により補正量が求められる。
【0107】
これに対して、例えば図12の入力画素値B3が与えられたとき、当該画素において入力画素値B3に対応する出力目標値(PB3)は、関数MBでは存在しない。即ち、測定値テーブル230に対して当該画素について入力画素値B3の測定値を検索しても、出力値が得られずテーブル検索エラーとなってしまう。これは、入力画素値を補正した補正画素値が画素値最大値を超えてしまい、もはや第1のプロジェクタPJ1で表示不可能な範囲となるからである。そこで、補正画素値が画素値最大値を超えるときには、補正画素値が画素値最大値を超えないように補正量を調整するようになっている。
【0108】
そのため、図11のステップS42に続いて、出力目標値生成部210が、ステップS42で求めた補正画素値と画素値最大値とを比較する(ステップS44)。補正画素値が画素値最大値を超えるとき(ステップS44:Y)、出力目標値生成部210は、ステップS40で生成した出力目標値を縮小させる制御を行い(ステップS46)、ステップS42に戻る。ステップS46により、出力目標値は、図12の関数T2のようになる。そして、ステップS42では、縮小させた出力目標値と当該画素の画素値とに基づいて補正量を求め、該補正量に基づいて当該画素の画素値を補正した補正画素値を求めることになる。
【0109】
こうして、ステップS44において補正画素値が画素値最大値以下となるまで繰り返され、補正画素値が画素値最大値以下のとき(ステップS44:N)、画像補正装置200は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0110】
図10に戻って説明を続ける。ステップS12に続いて、画像補正装置200は、B成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS14:Y)、図11のステップS44で補正画素値が画素値最大値以下となった時点におけるB成分の出力目標値の縮小率rbを取得する(ステップS16)。そして、画像補正装置200は、この縮小率rbを用いて、当該画素の他の色成分であるR成分及びG成分の出力目標値を計算する(ステップS18)。
【0111】
そして、画像補正装置200は、ステップS14においてB成分の出力目標値の縮小制御が行われていないとき(ステップS14:N)、当該画素のR成分の出力目標値をそのまま用いて、R成分の補正処理を行う(ステップS20)。一方、画像補正装置200は、ステップS14においてB成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS14:Y)、B成分の出力目標値の縮小率rbを用いた縮小出力目標値を用いて、R成分の補正処理を行う(ステップS20)。ここで、縮小出力目標値は、当該画素のR成分の出力目標値Trにrbを乗算したTr×rbとなる。
【0112】
ステップS20のR成分の補正処理は、ステップS12のB成分の補正処理と同様であるため詳細な説明を省略する。即ち、ステップS20では、図11に示すように処理が行われる。
【0113】
図13に、実施形態1におけるR成分の出力目標値関数の説明図を示す。
【0114】
図13では、図12と同様に、横軸にR成分の入力画素値、縦軸にR成分の出力画素値に対応した出力値(測定値、物理量)をとり、基準画素において入力画素値が与えられたときの出力画素値の変化を表している。より具体的には、図13では、基準画素の測定値を出力目標値関数T10で表し、当該画素の測定値を関数MRで表している。なお、図13では、ステップS12において、B成分の出力目標値の縮小制御が行われたときのR成分の出力目標値の例を示している。R成分においても、出力目標値の縮小率rrで行われた結果、図13の関数T11のようになる。
【0115】
図10に戻って説明を続ける。ステップS20に続いて、画像補正装置200は、R成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS22:Y)、ステップS16と同様に補正画素値が画素値最大値以下となった時点におけるR成分の出力目標値の縮小率rrを取得する(ステップS24)。そして、画像補正装置200は、この縮小率rrを用いて、当該画素の他の色成分であるB成分及びG成分の出力目標値を計算する(ステップS26)。
【0116】
ここで、ステップS26で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と異なるとき(ステップS28:Y)、ステップS12に戻って、ステップS26で求められたB成分の出力目標値を用いて、再びB成分から順番に各成分の補正処理を行っていく。
【0117】
ステップS26で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と同じとき(ステップS28:N)、或いはステップS22においてR成分の出力目標値の縮小制御が行われていないとき(ステップS22:N)、画像補正装置200は、当該画素のG成分の出力目標値、或いはステップS18又はステップS26で求めた縮小出力目標値を用いて、G成分の補正処理を行う(ステップS30)。ここで、縮小出力目標値は、B成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき、ステップS18で計算した当該画素のG成分の出力目標値Tgにrbを乗算した縮小出力目標値Tg×rbにさらにrrを乗算したTg×rb×rrとなり、B成分の出力目標値の縮小制御が行われないとき、当該画素のG成分の出力目標値Tgにrrを乗算したTg×rrとなる。
【0118】
ステップS30のG成分の補正処理は、ステップS12のB成分の補正処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。即ち、ステップS30では、図11に示すように処理が行われる。
【0119】
図14に、実施形態1におけるG成分の出力目標値関数の説明図を示す。
【0120】
図14では、図12と同様に、横軸にG成分の入力画素値、縦軸にG成分の出力画素値に対応した出力値(測定値、物理量)をとり、基準画素において入力画素値が与えられたときの出力画素値の変化を表している。より具体的には、図14では、基準画素の測定値を出力目標値関数T20で表し、当該画素の測定値を関数MGで表している。なお、図14では、ステップS12において、B成分及びR成分の出力目標値の縮小制御が行われたときのG成分の出力目標値の例を示している。G成分においても、出力目標値の縮小率rgで行われた結果、図14の関数T21のようになる。
【0121】
図10に戻って説明を続ける。ステップS30に続いて、画像補正装置200は、G成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS32:Y)、ステップS16と同様に補正画素値が画素値最大値以下となった時点におけるG成分の出力目標値の縮小率rgを取得する(ステップS34)。そして、画像補正装置200は、この縮小率rgを用いて、当該画素の他の色成分であるB成分及びR成分の出力目標値を計算する(ステップS36)。
【0122】
ここで、ステップS36で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と異なるとき、或いはステップS36で計算されたR成分の出力目標値がステップS20で用いられた出力目標値と異なるとき(ステップS38:Y)、ステップS12に戻って、ステップS36で求められたB成分の出力目標値を用いて、再びB成分から順番に各成分の補正処理を行っていく。
【0123】
ステップS36で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と同じで、且つステップS36で計算されたR成分の出力目標値がステップS20で用いられた出力目標値と同じとき(ステップS38:N)、或いはステップS32においてG成分の出力目標値の縮小制御が行われていないとき(ステップS32:N)、画像補正装置200は、全画素についての補正処理が終了したか否かを判別する(ステップS39)。
【0124】
そして、画像の全画素について補正処理が終了したとき(ステップS39:Y)、画像補正装置200は、一連の処理を終了し(エンド)、画像の全画素について補正処理が終了していないとき(ステップS39:N)、ステップS10に戻る。
【0125】
このように、実施形態1では、色成分毎に出力目標値を縮小させながら補正画素値を求めると共に、出力目標値の縮小率に応じて出力目標値を更新している。そして、出力目標値が変更される度に、変更後の出力目標値を用いて最初の色成分から順番に補正処理を行うことで、最終的に各色成分の出力目標値が同じ比率で縮小させるように処理している。なお、図10で求められた縮小率が、図9のステップS106における比率を示す変数として保持される。
【0126】
以上のように、画像補正装置200は、RGB色空間の各色成分の画素値について補正画素値が画素値最大値を超えないように補正量を調整することができる。そして、u´v´色度図における当該画素のu´成分及びv´成分が基準画素のu´成分及びv´成分と一致させながら、補正量を調整することができるようになる。
【0127】
図15に、RGB空間の画素値からu´v´色度図のu´成分及びv´成分へ変換する処理の説明図を示す。
【0128】
図15において、RGB空間のR成分の画素値がR、G成分の画素値がG、B成分の画素値がBであり、RGBmaxは画素値最大値であるものとする。
【0129】
このとき、図15に示す一連の変換式により、RGB空間の画素の画素値をXYZ空間(CIE 1964 表色系)の画素値に変換できる。そして、XYZ空間の画素値を、更に図15に示す一連の変換式により、u´v´色度図(CIE 1976 UCS色度図)におけるu´成分及びv´成分に変換できる。u´v´色度図では、u´成分及びv´成分により色相及び彩度を表している。
【0130】
実施形態1では、上述のように補正画素値が画素値最大値を超えるとき、RGB色空間の各色成分の出力目標値が同じ比率で縮小された縮小後の出力目標値を用いている。そのため、当該画素の補正画素値を出力目標値である基準画素の測定値と揃えることで、図15に示す変数r、g、b、X成分及びY成分は、それぞれ同じ比率で縮小されることになる。従って、u´成分及びv´成分を一定にできるため、補正画素値が画素値最大値を超えない範囲で当該画素の色相及び彩度を基準画素の色相及び彩度と一致させることができる。
【0131】
また、各成分を同じ比率で縮小させているので、最大でRGBの各色成分数の3回の補正処理を行えば、必ずRGBの各色成分の画素値について補正画素値が画素値最大値を超えないように処理を完了させることができる。
【0132】
なお、上述の実施形態では、出力目標値として測定値を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、出力目標値として、基準画素を中心とする所定の領域内の画素値の平均値を採用したり、基準画素からの距離が遠い画素ほど値が小さくなるような出力目標値を採用したりできる。
【0133】
次に、図9のステップS116について説明する。
【0134】
ステップS116では、出力目標値の輝度が得られないときに、他のプロジェクタのうち余力のあるプロジェクタ(出力飽和処理を行わなかったプロジェクタ)による複数の画素を用いて当該画素の輝度を補完するように制御する。
【0135】
実施形態1では、第1の画素光形成手段としての第1のプロジェクタPJ1による表示画素の輝度を補完する場合、この画素の輝度の補完に用いられる複数の画素光形成手段のうち第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段は、第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンSCRに形成される表示画素の位置を基準に、スクリーンSCRに形成される表示画素の位置が近い順にn(nは2以上の整数)個の表示画素を形成するものとする。そして、複数の画素光を構成する各画素光が均等に輝度を上げるように画像信号が補正されるものとする。なお、nは4であることが望ましい。
【0136】
図16に、図9のステップS116の処理例のフロー図を示す。
【0137】
例えば、ROM82には、予め図16に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図16に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0138】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素Apqの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_Apqとする。
【0139】
まず、画像補正装置200は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS60)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.Gは、RGBT_SのG成分の画素値を、RGBT_S.Bは、RGBT_SのB成分の画素値を意味する。
【0140】
次に、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、画素Apqの出力目標値の縮小比率RATE_Apqを更新する(ステップS62)。例えば、各プロジェクタによる表示画素の輝度を積算して次式のように求め、この式を変換すればRATE_Apqの更新値を求めることができる。
【0141】
【数1】
【数2】
【0142】
上式では、RATE_Apqに同じαだけ増分し、輝度の和が不変となるようにαを求めている。このαを用いて、次式のようにRATE_Apqを更新する。
RATE_Apq=RATE_Apq+α
【0143】
続いて、画像補正装置200は、ステップS62で求めたRATE_Apqを用いて、画素Apqの出力目標値を次式に従って更新し(ステップS64)、一連の処理を終了する(エンド)。
RGBT_Apq=RGBT_Apq×RATE_Apq
【0144】
以上のように処理することで、当該画素の輝度の増加分を周辺画素の均等に割り振って、他のプロジェクタによる複数の画素で第1のプロジェクタによる画素の輝度を補完できるようになる。
【0145】
図17に、実施形態1の効果の説明図を示す。図17において、図4と同様の部分には同一符号を付して、適宜説明を省略する。
【0146】
例えば、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素DP1の周辺画素として、第2のプロジェクタPJ2の投影画像の4つの画素DP2を表示させる場合、両プロジェクタの画素DP1、DP2がそれぞれ出力飽和処理を行うことなく出力目標値の輝度をそのまま表示できる場合には、両プロジェクタでは各出力目標値の輝度で画素を表示させる。
【0147】
これに対して、図17に示すように、例えば第1のプロジェクタPJ1の画素DP1において出力飽和処理を行って当初の出力目標値の輝度で表示できない場合には、第2のプロジェクタPJ2の4つの画素DP2において出力目標値を更新して均等に輝度を上げた状態で表示させ、結果的に当該画素の輝度を上げる。
【0148】
図18(A)、図18(B)に、実施形態1の効果についての他の説明図を示す。図18(A)、図18(B)は、第1〜第3のプロジェクタPJ1〜PJ3による画素DP1〜DP3を示している。
【0149】
図18(A)に示すように、第1のプロジェクタPJ1による画素DP1が水平方向に並び、第2のプロジェクタPJ2による画素DP2が水平方向に並び、第3のプロジェクタPJ3による画素DP3が水平方向に並ぶ。そして、画素DP1群が、画素DP2群と画素DP3群との間に配置される。これにより、画素DP1に着目すれば、画素DP2、DP3を用いて輝度を上げることができる。
【0150】
例えば、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素DP1と第2のプロジェクタPJ2の投影画像の画素DP2と第3のプロジェクタPJ3の投影画像の画素DP3とを隣り合わせて表示させる場合、これらのプロジェクタの画素DP1〜DP3がそれぞれ出力飽和処理を行うことなく出力目標値の輝度をそのまま表示できる場合には、これらのプロジェクタでは各出力目標値の輝度で画素を表示させる。
【0151】
これに対して、例えば第1のプロジェクタPJ1の画素DP1において出力飽和処理を行って当初の出力目標値の輝度で表示できない場合には、図18(B)に示すように、第2のプロジェクタPJ2の画素DP2及び第3のプロジェクタPJ3の画素DP3において出力目標値を更新して輝度を上げた状態で表示させる。即ち、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP2により補完する。従って、2つの画素DP2は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。同様に、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP3により補完する。従って、2つの画素DP3は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。
【0152】
図19(A)、図19(B)に、実施形態1の効果についての更に別の説明図を示す。図19(A)、図19(B)は、第1〜第4のプロジェクタPJ1〜PJ4による画素DP1〜DP4を示している。
【0153】
図19(A)に示すように、第1のプロジェクタPJ1による画素DP1、第2のプロジェクタPJ2による画素DP2、第3のプロジェクタPJ3による画素DP3及び第4のプロジェクタによる画素DP4が、市松模様のように配置される。これにより、画素DP1に着目すれば、画素DP2、DP3を用いて輝度を上げることができる。また、画素DP3に着目すれば、画素DP1、DP4を用いて輝度を上げることができる。
【0154】
例えば、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素DP1、第2のプロジェクタPJ2の投影画像の画素DP2、第3のプロジェクタPJ3の投影画像の画素DP3及び第4のプロジェクタPJ4の投影画像の画素DP4を図19(A)に示すように隣り合わせて表示させる場合、これらのプロジェクタの画素DP1〜DP4がそれぞれ出力飽和処理を行うことなく出力目標値の輝度をそのまま表示できる場合には、これらのプロジェクタでは各出力目標値の輝度で画素を表示させる。
【0155】
これに対して、例えば第1のプロジェクタPJ1の画素DP1において出力飽和処理を行って当初の出力目標値の輝度で表示できない場合には、図19(B)に示すように、第2のプロジェクタPJ2の画素DP2及び第3のプロジェクタPJ3の画素DP3において出力目標値を更新して輝度を上げた状態で表示させる。即ち、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP2により補完する。従って、2つの画素DP2は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。同様に、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP3により補完する。従って、2つの画素DP3は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。
【0156】
以上のように、実施形態1によれば、当該画素の輝度が出力目標値に達しないとき、当該画素の周辺画素に均等に輝度を補完させるようにしたので、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。しかも、実施形態1によれば、周辺画素に一律に輝度増分を割り当てるようにしたので、少ない計算量で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する効果が得られるようになる。
【0157】
〔実施形態2〕
実施形態1では、当該画素の輝度が出力目標値に達しないとき、当該画素の周辺画素に均等に輝度を補完させるようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態2では、当該画素の周辺画素の中で輝度増分のマージンがある画素ほど大きく輝度を増分させる。
【0158】
図20(A)、図20(B)に、実施形態2における輝度補完処理の説明図を示す。図20(A)において、図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図20(A)、図20(B)では、画素DP1の輝度を、画素DP1の周辺の画素DP2で補完するものとして示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図18(A)や図19(A)に示す周辺画素で輝度を補完するようにしてもよい。
【0159】
図20(A)では、画素DP1の周辺の4つの画素DP2を、それぞれ画素DP2−1、DP2−2、DP2−3、DP2−4として示し、図20(B)は、画素DP2−1〜DP2−3の輝度と出力目標値T−1〜T−4とを模式的に表す。
【0160】
ここで、4つの画素DP2−1〜DP2−4の輝度と出力目標値T−1〜T−4とのマージンMM−1〜MM−4に着目すると、画素DP2−3のマージンMM−3が最大で、画素DP2−2のマージンMM−2が最小である。そこで、実施形態2では、画素DP1の輝度不足分を画素DP2−1〜DP2−4に振り分けて画素DP2−1〜DP2−4の輝度を上げる場合に、画素DP2−3に対して輝度増分が最大となるように振り分け、画素DP2−2に対して輝度増分が最小となるように振り分ける。即ち、実施形態2では、複数の画素光のうち輝度増分のマージンが大きい画素光に対し、複数の画素光のうち輝度増分のマージンが小さい画素光より輝度増分が大きくなるように画像信号を補正する。
【0161】
これにより、実施形態1の処理では増分(補正)後の輝度が画素最大値を超えてしまう場合であっても、実施形態2の処理では不足分を効率的に振り分けて、増分後の輝度が画素最大値を超えないようにできる場合がある。
【0162】
このような実施形態2を実現する画像補正装置及び画像表示システムの構成は、実施形態1と同様であるため、実施形態2における画像補正装置及び画像表示システムの構成についての詳細な説明を省略する。実施形態2が実施形態1と異なる点は、輝度補完処理の処理内容である。
【0163】
そこで、以下では実施形態2における輝度補完処理について説明する。なお、実施形態2では、上記のように各周辺画素のマージンを算出して、そのマージンに応じて輝度不足分を割り当てるように処理してもよいが、以下のように、処理を簡素化してもよい。即ち、周辺画素間では出力目標値がそれほど大きく変化しないことを前提に、出力飽和処理が行われなかった画素群が同じ輝度となるように振り分けることで、出力飽和処理が行われた画素群に輝度を振り分けず、且つ輝度の小さい画素ほど輝度増分のマージンが大きくすることができる。
【0164】
図21に、実施形態2における輝度補完処理の処理例のフロー図を示す。実施形態2では、実施形態1における図9のステップS116において、図21の処理が行われる。
【0165】
例えば、ROM82には、予め図21に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図21に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0166】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、周辺画素のうち、出力飽和処理が行われなかった画素(RATE_A00〜RATE_A11=1.0の画素)をAN0〜ANh(hは最大「3」)、出力飽和処理が行われた画素(RATE_A00〜RATE_A11<1.0の画素)をAS0〜ASk(h+k=2)とし、画素AN0〜ANhは同じ輝度YTNにするものとする。更に、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ANj、画素ANjの出力目標値の輝度をYT_ANj、画素ASr(rは整数、j+r=2)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ASr、画素ASrの出力目標値の輝度をYT_ASrとする。
【0167】
まず、画像補正装置は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS70)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.Gは、RGBT_SのG成分の画素値を、RGBT_S.Bは、RGBT_SのB成分の画素値を意味する。
【0168】
次に、画像補正装置は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、出力飽和処理を行わない画素が同じ輝度YTNとなるように、この輝度YTNを算出する(ステップS72)。
【0169】
【数3】
【数4】
【0170】
続いて、画像補正装置は、ステップS72で求めたYTNを用いて、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力目標値を次式に従って更新し(ステップS74)、一連の処理を終了する(エンド)。
RGBT_ANj=RGBT_ANj×YTN/YT_ANj
【0171】
ここで、RGBT_ANjは、画素ANjに対応する画素ApqのRGBT_Apq、YT_ANjは、画素ANjに対応する画素Apqの輝度YT_Apqである。
【0172】
以上のように処理することで、当該画素の輝度の不足分を、周辺画素のうち輝度の小さい画素ほど大きく割り振ることができ、簡素な処理で、輝度増分のマージンが大きい画素に対し、輝度増分のマージンが小さい画素より輝度増分が大きくなるように割り振ることができる。
【0173】
〔実施形態3〕
実施形態1又は実施形態2では、周辺画素の輝度の比率を保持することなく、周辺画素に当該画素の輝度の不足分を割り振っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態3では、周辺画素の輝度の比率を保持しながら、当該画素の周辺画素に輝度の不足分を割り振っている。
【0174】
図22(A)、図22(B)に、実施形態3における輝度補完処理の説明図を示す。図22(A)において、図20(A)と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図22(A)、図22(B)では、画素DP1の輝度を、画素DP1の周辺の画素DP2で補完するものとして示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図18(A)や図19(A)に示す周辺画素で輝度を補完するようにしてもよい。
【0175】
図22(A)では、画素DP1の周辺の4つの画素DP2を、それぞれ画素DP2−1、DP2−2、DP2−3、DP2−4として示し、図22(B)は、画素DP2−1〜DP2−4の輝度を模式的に表す。
【0176】
実施形態3では、画素DP2−1〜DP2−4が図22(B)のような輝度を有する場合、補正前の2つの画素DP2−1、DP2−2の輝度と2つの画素DP2−3、DP2−4の輝度との比率が一定となるように、画素DP1の輝度不足分を、4つの画素DP2−1〜DP2−4に割り振る。即ち、実施形態3では、輝度は画素値に対応しているため、複数の画素光を構成する各画素光に対し、各画素光の輝度に対応した画素値に応じた増分となるように画像信号が補正される。
【0177】
これにより、実施形態3の処理では、補正前の輝度の分布を維持しつつ、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0178】
このような実施形態3を実現する画像補正装置及び画像表示システムの構成は、実施形態1と同様であるため、実施形態3における画像補正装置及び画像表示システムの構成についての詳細な説明を省略する。実施形態3が実施形態1と異なる点は、輝度補完処理の処理内容である。そこで、以下では実施形態3における輝度補完処理について説明する。
【0179】
図23に、実施形態3における輝度補完処理の処理例のフロー図を示す。実施形態3では、実施形態1における図9のステップS116において、図23の処理が行われる。
【0180】
例えば、ROM82には、予め図23に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図23に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0181】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、周辺画素のうち、出力飽和処理が行われなかった画素(RATE_A00〜RATE_A11=1.0の画素)をAN0〜ANh(hは最大「3」)、出力飽和処理が行われた画素(RATE_A00〜RATE_A11<1.0の画素)をAS0〜ASk(h+k=2)とする。更に、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ANj、画素ANjの出力目標値の輝度をYT_ANj、画素ASr(rは整数、j+r=2)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ASr、画素ASrの出力目標値の輝度をYT_ASrとする。
【0182】
まず、画像補正装置は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS80)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.G、RGBT_S.Bも同様である。
【0183】
次に、画像補正装置は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、出力飽和処理を行わない画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の輝度YT_ANjに同じ比率を乗算する(ステップS82)。
【0184】
【数5】
【数6】
【0185】
続いて、画像補正装置は、ステップS82で求めたαを用いて、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力目標値を次式に従って更新し(ステップS84)、一連の処理を終了する(エンド)。
RATE_ANj=α
RGBT_ANj=RGBT_ANj×RATE_ANj
【0186】
ここで、RGBT_ANjは、画素ANjに対応する画素ApqのRGBT_Apqである。
【0187】
以上のように処理することで、周辺画素の補正前の輝度の比率を保持したまま、当該画素の輝度の不足分を周辺画素に割り振ることができるようになる。
【0188】
〔実施形態4〕
実施形態1〜実施形態3では、当該画素と周辺画素との距離にかかわらず、周辺画素に当該画素の輝度の不足分を割り振っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態4では、当該画素と周辺画素との距離に応じて、当該画素の輝度の不足分を割り振っている。
【0189】
図24に、実施形態4における輝度補完処理の説明図を示す。図24において、図20(A)と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図24では、画素DP1の輝度を、画素DP1の周辺の画素DP2で補完するものとして示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図18(A)や図19(A)に示す周辺画素で輝度を補完するようにしてもよい。図24では、画素DP1の周辺の4つの画素DP2を、それぞれ画素DP2−1、DP2−2、DP2−3、DP2−4として示している。
【0190】
実施形態4では、画素DP1と画素DP2−1〜DP2−4の各画素との距離に応じて、画素DP1の輝度不足分を、4つの画素DP2−1〜DP2−4に割り振る。即ち、実施形態4では、複数の画素光を構成する各画素光に対し、第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンSCRに形成される表示画素DP1の位置を基準に、各画素光によりスクリーンSCRに形成される表示画素までの距離に応じた増分となるように画像信号が補正される。
【0191】
これにより、実施形態4の処理では、各プロジェクタの表示画素の位置合わせを粗く調整した場合であっても、実施形態1〜実施形態3と同等の精度で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0192】
このような実施形態4を実現する画像補正装置及び画像表示システムの構成は、実施形態1と同様であるため、実施形態4における画像補正装置及び画像表示システムの構成についての詳細な説明を省略する。実施形態4が実施形態1と異なる点は、輝度補完処理の処理内容である。そこで、以下では実施形態4における輝度補完処理について説明する。
【0193】
図25に、実施形態4における輝度補完処理の処理例のフロー図を示す。実施形態4では、実施形態1における図9のステップS116において、図25の処理が行われる。
【0194】
例えば、ROM82には、予め図25に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図25に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0195】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、周辺画素のうち、出力飽和処理が行われなかった画素(RATE_A00〜RATE_A11=1.0の画素)をAN0〜ANh(hは最大「3」)、出力飽和処理が行われた画素(RATE_A00〜RATE_A11<1.0の画素)をAS0〜ASk(h+k=2)とする。更に、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ANj、画素ANjの出力目標値の輝度をYT_ANj、画素ASr(rは整数、j+r=2)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ASr、画素ASrの出力目標値の輝度をYT_ASrとする。
【0196】
まず、画像補正装置は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS90)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.G、RGBT_S.Bも同様である。
【0197】
次に、画像補正装置は、当該画素Sと各周辺画素との距離を算出する(ステップS92)。この距離は、画素Sを形成する画素光により形成される像の輝点と、周辺画素を形成する各画素光により形成される像の輝点との距離であり、図25の処理に先立って求められていてもよい。
【0198】
次に、画像補正装置は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、出力飽和処理を行わない画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の輝度YT_ANjに、距離Ljに反比例する比率を乗算する(ステップS94)。
【0199】
【数7】
【数8】
【0200】
続いて、画像補正装置は、ステップS94で求めたαを用いて、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力目標値を次式に従って更新し(ステップS84)、一連の処理を終了する(エンド)。
RATE_ANj=α/Lj
RGBT_ANj=RGBT_ANj×RATE_ANj
【0201】
ここで、RGBT_ANjは、画素ANjに対応する画素ApqのRGBT_Apqである。
【0202】
以上のように処理することで、当該画素と周辺画素との距離に応じて、当該画素の輝度の不足分を周辺画素に割り振ることができるようになる。
【0203】
〔実施形態5〕
実施形態1〜実施形態4では、各プロジェクタが画素光形成手段によって形成された画素光をスクリーンに投射するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態5では、1つのプロジェクタが1つの投射手段を有し、該投射手段に複数の画素光形成手段によって形成された画素光が入射される。
【0204】
図26に、実施形態5におけるプロジェクタの構成例を示す。例えば図1の第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのうち少なくとも1つが図26の構成を有していてもよい。
【0205】
実施形態5におけるプロジェクタ800は、R成分の色光(第1の色光)、G成分の色光(第2の色光)及びB成分の色光(第3の色光)を含む光を射出する照明装置810と、偏光分離光学系としての偏光分離ミラー820と、第1の画素光を射出する第1の画素光形成手段としての第1の画素光形成ユニット900と、第2の画素光を射出する第2の画素光形成手段としての第2の画素光形成ユニット950と、偏光合成光学系としての偏光合成プリズム850(光合成手段)と、偏光合成プリズム850で合成された画素光をスクリーンSCRに投射する投射光学系860とを備える。図3の投射光学系860は、図3の投射レンズ170と同等の機能を有する。
【0206】
照明装置810は、被照明領域側に照明光束を射出する光源装置(図示しない発光管、楕円面リフレクタ、凹レンズ等を含む)811と、光源装置811から射出される照明光束を複数の部分光束に分割するための第1の小レンズを有する第1の小レンズアレイ812と、第1の小レンズアレイ812の複数の第1の小レンズに対応する複数の第2の小レンズを有する第2の小レンズアレイ813と、第2の小レンズアレイ813から射出される各部分光束を被照明領域で重畳させるための重畳レンズ814とを有する。
【0207】
偏光分離ミラー820は、照明装置810からの光を第1の偏光成分を有する光(例えばp偏光)と第2の偏光成分を有する光(例えばs偏光)とに分離する機能を有する。
【0208】
第1の画素光形成ユニット900は、偏光分離ミラー820で分離された第1の偏光成分を有する光をR成分、G成分及びB成分の色光に分離する第1の色分離光学系910と、第1の色分離光学系910で分離された各色光をそれぞれ変調する第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bと、これら第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bでそれぞれ変調されたR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光を合成する第1の色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム940とを有する。第1の光変調素子920Rは、図3のR用液晶パネル130Rと同様の機能を有する。第2の光変調素子920Gは、図3のG用液晶パネル130Gと同様の機能を有する。第3の光変調素子920Bは、図3のB用液晶パネル130Bと同様の機能を有する。
【0209】
なお、クロスダイクロイックプリズム940は、第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bでそれぞれ変調された変調後のR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光が入射される第1の色光入射面940R、第2の色光入射面940G、第3の色光入射面940Bを有している。
【0210】
このように構成された第1の画素光形成ユニット900からは、第1の偏光成分を有する第1の画素光が射出され、その第1の画素光は偏光合成プリズム850の第1の画素光入射面851に入射する。
【0211】
第1の色分離光学系910は、偏光分離ミラー820で分離された第1の偏光成分を有する光をR成分の色光と他の成分の色光とに分離する第1のダイクロイックミラー911と、第1のダイクロイックミラー911で分離された他の成分の色光をG成分の色光とB成分の色光とに分離する第2のダイクロイックミラー912と、反射ミラー913と、リレー光学系930とを有する。
【0212】
第1のダイクロイックミラー911で反射されたR成分の色光は、反射ミラー913によって曲折され、第1の光変調素子920Rの液晶パネルの画素形成領域に入射する。また、第1のダイクロイックミラー911を通過したG成分及びB成分のうちG成分の色光は、第2のダイクロイックミラー912で反射され、第2の光変調素子920Gの液晶パネルの画素形成領域に入射する。一方、B成分の色光は、第2のダイクロイックミラー912を透過してリレー光学系930に入射する。
【0213】
リレー光学系930は、入射側レンズ931と、入射側の反射ミラー932と、リレーレンズ933と、射出側の反射ミラー934とを有し、第2のダイクロイックミラー912を透過したB成分の色光を第3の光変調素子920Bの液晶パネルまで導く機能を有する。
【0214】
第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bは、画像信号に応じて照明光束を変調するものであり、照明装置810の照明対象となる。第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bのそれぞれは、液晶パネルと、液晶パネルの光入射側に配置される入射側偏光板と、液晶パネルの光射出側に配置される射出側偏光板とを有する。なお、これら液晶パネル、入射側偏光板、射出側偏光板については、図26において符号は省略されている。
【0215】
クロスダイクロイックプリズム940は、第1〜第3の色光入射面940R、940G、940Bに入射された各色光ごとに変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。また、クロスダイクロイックプリズム940は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視ほぼ正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせたほぼX字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。ほぼX字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、R成分の色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、B成分の色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によってR成分及びB成分の色光は曲折され、G成分の色光の進行方向と揃えられることにより3つの色光が合成される。
【0216】
第2の画素光形成ユニット950は、偏光分離ミラー820で分離された第2偏光成分を有する光をR成分、G成分及びB成分の色光に分離する第2の色分離光学系960と、第2の色分離光学系960で分離された各色光をそれぞれ変調する第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bと、これら第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bでそれぞれ変調されたR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光を合成する第2の色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム990とを有する。
【0217】
なお、クロスダイクロイックプリズム990は、第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bでそれぞれ変調された変調後のR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光が入射される第1の色光入射面990R、第2の色光入射面990G、第3の色光入射面990Bを有している。
【0218】
このように構成された第2の画素光形成ユニット950からは、第2の偏光成分を有する第2の画素光が射出され、その第2の画素光は偏光合成プリズム850の第2の画素光入射面852に入射する。
【0219】
第2の色分離光学系960は、偏光分離ミラー820で分離された第2偏光成分を有する光をR成分の色光と他の成分の色光とに分離する第3のダイクロイックミラー961と、第3のダイクロイックミラー961で分離された他の成分の色光をG成分の色光とB成分の色光とに分離する第4のダイクロイックミラー962と、反射ミラー963と、リレー光学系980とを有する。
【0220】
第3のダイクロイックミラー961で反射されたB成分の色光は、反射ミラー963によって曲折され、第6の光変調素子970Bの液晶パネルの画素形成領域に入射する。また、第3のダイクロイックミラー961を通過したG成分及びR成分のうちG成分の色光は、第4のダイクロイックミラー962で反射され、第5の光変調素子970Gの液晶パネルの画素形成領域に入射する。一方、R成分の色光は、第4のダイクロイックミラー962を透過してリレー光学系980に入射する。
【0221】
リレー光学系980は、入射側レンズ981と、入射側の反射ミラー982と、リレーレンズ983と、射出側の反射ミラー984とを有し、第4のダイクロイックミラー962を透過したR成分の色光を第4の光変調素子970Bの液晶パネルまで導く機能を有する。
【0222】
なお、第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bは、第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bと同様の構成を有し、クロスダイクロイックプリズム990は、クロスダイクロイックプリズム940と同様の構成を有するため、これらについての詳細な説明は省略する。
【0223】
偏光合成プリズム850は、第1の画素光形成ユニット900から射出された第1の画素光が入射される第1の画素光入射面851及び第2の画素光形成ユニット950から射出された第2の画素光が入射される第2の画素光入射面852を有し、また、第1の偏光成分を有する光と第2の偏光成分を有する光とを合成する偏光合成面を有している。そして、第1の画素光入射面851に入射された第1の画素光と、第2の画素光入射面852に入射された第2の画素光とを合成して投射光学系860に射出される。
【0224】
偏光合成プリズム850から射出されたカラー画像は、投射光学系860によって拡大投射され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
【0225】
以上のような構成において、例えば第1の画素光形成ユニット900の各光変調素子を第1のプロジェクタPJ1用の画像信号で制御し、第2の画素光形成ユニット950の各光変調素子を第2のプロジェクタPJ2用の画像信号で制御し、これらの画像信号を実施形態1〜実施形態3のいずれかの画像補正装置で生成すればよい。以上のように、実施形態5によれば、実施形態1〜実施形態4のいずれかの画像補正装置と、この画像補正装置からの画像信号に基づいて変調率が制御される複数の画素光形成手段と、複数の画素光形成手段からの画素光を合成する光合成手段とを含む画像表示システムを提供することができる。
【0226】
以上、本発明に係る画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0227】
(1)上記の実施形態では、出力目標値を決定する際に、基準画素として画像の中心画素を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画面内で輝度が最も高い画素を基準画素として採用してもよい。画面内で輝度が最も高い画素を基準画素とすることにより、中心画素を基準画素とする場合と比較して、補正によるコントラスト低下をより確実に避けることができる。
【0228】
(2)上記の実施形態では、出力目標値を決定する際に、RGB空間の各色成分の補正画素値が画素値最大値を超えるときに、B成分、R成分及びG成分の順序で処理したが、本発明は、色成分の処理の順序に限定されるものではない。
【0229】
(3)上記の実施形態では、測定値テーブルに、画像の全画素について各画素値の測定値が記憶されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、測定値テーブルに、所定の画素について所定の画素値の測定値のみを離散的に記憶しておき、測定値テーブルに記憶されない画素の測定値を、測定値テーブルに記憶された測定値を用いた公知のデータ補間法で求めるようにしてもよい。この場合、測定値テーブルの記憶容量を削減できる効果が得られる。
【0230】
(4)上記の実施形態では、プロジェクタを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係る画像表示装置として、液晶表示装置、やプラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等の画像表示を行う装置全般に適用できる。
【0231】
(5)上記の実施形態では画像補正装置が画像表示装置の外部に設けられていたが、画像表示システムを構成する複数の画像表示装置のいずれかに内蔵されていてもよい。
【0232】
(6)上記の実施形態では、光変調素子(光変調部)としてライトバルブを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調素子(光変調部)として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
【0233】
(7)上記の実施形態において、本発明を、画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するための画像補正方法の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】図1の各プロジェクタに適用される画像表示装置の構成例のブロック図。
【図3】図2の第1のプロジェクタの構成例を示す図。
【図4】実施形態1におけるスクリーン上の表示画像の画素の一例の模式図。
【図5】実施形態1における画像補正装置の構成例のブロック図。
【図6】図5の測定値テーブルに格納される測定値が測定される画像の画素位置の説明図。
【図7】図5の測定値テーブルに格納される測定値の説明図。
【図8】実施形態1における画像補正装置のハードウェア構成例のブロック図。
【図9】実施形態1における画像補正装置の処理例のフロー図。
【図10】図9の出力目標値の決定処理の処理例のフロー図。
【図11】図10の各色成分の補正処理の処理例のフロー図。
【図12】実施形態1におけるB成分の出力目標値関数の説明図。
【図13】実施形態1におけるR成分の出力目標値関数の説明図。
【図14】実施形態1におけるG成分の出力目標値関数の説明図。
【図15】RGB空間の画素値からu´v´色度図のu´成分及びv´成分へ変換する処理の説明図。
【図16】図9のステップS116の処理例のフロー図。
【図17】実施形態1の効果の説明図。
【図18】図18(A)、図18(B)は実施形態1の効果についての他の説明図。
【図19】図19(A)、図19(B)は実施形態1の効果についての更に別の説明図。
【図20】図20(A)、図20(B)は実施形態2における輝度補完処理の説明図。
【図21】実施形態2における輝度補完処理の処理例のフロー図。
【図22】図22(A)、図22(B)は実施形態3における輝度補完処理の説明図。
【図23】実施形態3における輝度補完処理の処理例のフロー図。
【図24】実施形態4における輝度補完処理の説明図。
【図25】実施形態4における輝度補完処理の処理例のフロー図。
【図26】実施形態5におけるプロジェクタの構成例を示す図。
【符号の説明】
【0235】
10…画像表示システム, 24…光変調部, 26…投射部, 30…画像測定装置,
32…カメラ, 34…測定値処理部, 40…画像入力部, 42…スキャナ,
44…デジタルカメラ, 46…PC, 80…CPU, 82…ROM,
84…RAM, 86…I/F回路, 88…画像処理回路, 90…バス,
200…画像補正装置, 210…出力目標値生成部, 220…画像信号出力部,
222…出力飽和処理検出部, 224…出力目標値更新部,
226…補正信号出力部, 230…測定値テーブル,
PJ1〜PJL…第1〜第Lのプロジェクタ, SCR…スクリーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面テレビジョンやプロジェクタ等の高性能な画像表示装置が広く普及しており、これらの画像表示装置においては、より一層、色の再現性や画質が重要視されるようになっている。そのため、同じ信号値を有する画素は表示画像内のどの位置でも同じ色で表示される「画面の均一性」が確保された画像表示装置に対する市場の要求が高い。
【0003】
このような「画面の均一性」を確保するための技術として、画面内の色むらを補正する技術が、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0004】
特許文献1には、入力データが取り得るすべての階調において色むらの発生を抑制するために、画像表示装置の入出力特性データを測定し、該入出力特性データを基準入出力特性データに近づけるための補正データを全階調レベルについて決定する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、色むらと輝度むらを含めた照度むらを補正するために、輝度むら補正パターンと色むら補正パターンから、輝度むらの発生量及び色むらの発生量を低減する複数の照度レベルに応じた照度むら補正パターンテーブルを生成し、照度むらの発生量を低減させるようにした技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−38976号公報
【特許文献2】特開2006−153914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像表示装置として投写型画像表示装置(プロジェクタ)を採用する場合、投影画像内の周辺部において輝度低下が発生しやすい。このような画像表示装置を複数用いて同一スクリーンに投影する場合、特許文献1及び特許文献2に開示された技術を用いて補正データや補正パターンに従って画素の信号値を補正したとしても、各画像表示装置の投影画像内の周辺部の輝度低下はそのまま起こり、スクリーン上の画像には輝度むらが発生するという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できる画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正装置であって、前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成部と、前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力部とを含む画像補正装置に関係する。
【0010】
本発明によれば、複数の画素光形成手段を用いて画像を表示する場合に、1つの画素光形成手段の画素光による画素の輝度が出力目標値に達しないとき、残りの画素光形成手段の複数の画素光を用いて輝度を上げることで、表示画像の輝度低下の発生を抑えることができるようになる。しかも、個々の画素光形成手段で輝度低下を抑える場合に比べて、余力のある画素光形成手段で輝度を補完できるため、効率的に、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0011】
また本発明に係る画像補正装置では、前記残りの画素光形成手段は、前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記スクリーンに形成される表示画素の位置が近い順にn(nは2以上の整数)個の表示画素を形成することができる。
【0012】
本発明によれば、当該画素の輝度が出力目標値に達しないとき、当該画素の周辺のn個の表示画素を用いて輝度を補完させるようにしたので、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を効率的に防止できるようになる。
【0013】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光を構成する各画素光が均等に輝度を上げるように前記画像信号を補正することができる。
【0014】
本発明によれば、他の画素光形成手段による複数の画素に均等に輝度を補完させるようにしたので、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。しかも、他の画素光形成手段による複数の画素に一律に輝度増分を割り当てるようにしたので、少ない計算量で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する効果が得られるようになる。
【0015】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが大きい画素光に対し、前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが小さい画素光より輝度増分が大きくなるように前記画像信号を補正することができる。
【0016】
本発明によれば、当該画素の輝度を補完する他の画素の増分後の輝度が画素最大値を超えてしまう場合であっても、当該画素の輝度の不足分を効率的に振り分けて、増分後の輝度が画素最大値を超えないようにできるようになる。
【0017】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、各画素光の輝度に対応した画素値に応じた増分となるように前記画像信号を補正することができる。
【0018】
本発明によれば、補正前の輝度の分布を維持しつつ、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0019】
また本発明に係る画像補正装置では、前記画像信号出力部は、前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記各画素光により前記スクリーンに形成される表示画素までの距離に応じた増分となるように前記画像信号を補正することができる。
【0020】
本発明によれば、各画素光形成手段からの画素光による画素の位置合わせを粗く調整した場合であっても、高い精度で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0021】
また本発明は、上記のいずれか記載の画像補正装置と、前記画像補正装置からの前記画像信号に基づいて輝度が制御される前記複数の画素光形成手段とを含み、前記複数の画素光形成手段からの画素光を用いた画像を表示する画像表示システムに関係する。
【0022】
本発明によれば、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する画像表示システムを提供できるようになる。
【0023】
また本発明は、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正方法であって、前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成ステップと、前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力ステップとを含む画像補正方法に関係する。
【0024】
本発明によれば、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する画像調整方法を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る画像補正装置は、複数の画像表示装置により表示される複数の画像を用いて表示する画像表示システムに適用される。この画像表示システムは、複数の画像表示装置を構成する各画像表示装置により投影されたスクリーン上の投影画像の各画素同士を隣接させて表示することで高輝度の画像を表示することができる。そして、画像補正装置は、入力画像信号に対応した出力目標値の輝度を実現できるように、該入力画像信号を補正した画像信号を各画像表示装置に出力する。
【0027】
図1に、実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。
【0028】
実施形態1における画像表示システム10は、第1〜第L(Lは2以上の整数)のプロジェクタ(広義には画像表示装置)PJ1〜PJLと、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによって投射された画像から測定値を取得するための画像測定装置30と、画像補正装置(広義には画像処理装置)200とを含む。更に、画像表示システム10は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLに画像信号を入力する、図示しない画像入力部を含むことができる。
【0029】
第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLは、それぞれスクリーンSCRに対して画像を投射し、スクリーンSCRに各投射画像の画素同士を隣接させて1つの画像を表示するようになっている。ここで、各投射画像の隣り合う画素同士の境界が接するように投射されてもよいし、各投射画像の隣り合う画素同士が所与の間隔を置いて投射されてもよい。
【0030】
各プロジェクタは、投影画像の画素を形成するための画素光形成手段を有し、画像補正装置200からの画像信号により画素の輝度が制御される。このような画素光形成手段は、光源からの光を変調する光変調手段(光変調部)を有し、画像補正装置200からの画像信号により変調率(透過率、光変調率)が制御されることで画素の輝度が制御される。なお、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLは、それぞれ同じ構成を有してもよいし、異なる構成を有していてもよい。
【0031】
画像測定装置30は、撮像手段としてのカメラ32と、測定値処理部34とを含む。カメラ32は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによって投射されたスクリーンSCRの画像を撮像して投射画像の画像データを取り込む。このようなカメラ32として、例えばデジタルスチルカメラを採用できる。測定値処理部34は、カメラ32によって取り込まれた画像データに基づいて、測定値を生成する。画像測定装置30によって生成された測定値は、測定データとして画像補正装置200に供給される。
【0032】
画像補正装置200は、各プロジェクタが有する画素光形成手段毎に、画像入力部からの入力画像信号に対応した出力目標値を決定する。そして、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画像の画素の輝度値が該出力目標値となるように、各プロジェクタが有する画素光形成手段による画素の輝度を制御するための画像信号を該入力画像信号から補正し、補正後の画像信号を第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLに対して出力する。
【0033】
より具体的には、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのうち例えば第1のプロジェクタPJ1(複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段)に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する。そして、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度値が出力目標値となるように、第1のプロジェクタPJ1を除く第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJL(複数の画素光形成手段のうち第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段)からの複数の画素光の輝度を制御する各プロジェクタ用の画像信号を補正して第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJLに出力する。
【0034】
更に画像補正装置200は、出力目標値を決定する際に、プロジェクタが表示可能な値の範囲内で画像信号の補正量を調整し、該補正量を用いた補正後の画像信号により画像表示を行うことで、表示画面内の色むらの発生を抑える処理を行う。より具体的には、補正後の画像信号が、プロジェクタが表示可能な値の範囲内にないとき、当該画素の色相及び彩度が画面内の所与の基準画素の色相及び彩度と一致するように、プロジェクタが表示可能な値の範囲内で補正量を調整する。
【0035】
図2に、図1の第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLの各プロジェクタに適用される画像表示装置の構成例のブロック図を示す。なお、図2では、画像補正装置200に対して入力画像信号を供給する画像入力部40も合わせて示し、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLがそれぞれ同様の構成を有しているものとする。
【0036】
画像入力部40は、プロジェクタによって投射される画像の画像信号を生成する。画像入力部40として、例えばスキャナ42、デジタルカメラ44、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)46のいずれかが採用される。このような画像入力部40によって生成された画像信号が入力画像信号として画像補正装置200に出力される。
【0037】
画像補正装置200は、図1の画像測定装置30により測定された測定値に基づいて、画像入力部40からの入力画像信号に対応した出力目標値を、プロジェクタ毎に決定する。そして、画像補正装置200は、この出力目標値を実現するように、各プロジェクタに対して入力画像信号を補正して得られた画像信号を出力する。
【0038】
第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLは、それぞれ、光変調部24、投射部26を含む。光変調部24には、図示しない光源からの光が照射されており、画像補正装置200からの画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。このような光変調部24としては、液晶パネルにより構成されるライトバルブが採用される。液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像信号に対応して各画素の光の通過率を変調する。光変調部24は、各色光の通過率が制御された複数の色光を合成した画素光を生成することができ、画素光形成手段としての機能を有する。投射部26は、光変調部24によって変調された光源からの光をスクリーンSCRに投影する投射光学系を有する。
【0039】
図3に、図2の第1のプロジェクタPJ1の構成例を示す。図3では、第1のプロジェクタPJ1の構成例を示すが、第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJLも同様に構成することができる。また、図3では、第1のプロジェクタPJ1が、いわゆる3板式の構成例を示しているが、本発明に係るプロジェクタが、いわゆる3板式のものに限定されるものではない。
【0040】
第1のプロジェクタPJ1は、光源110、インテグレータレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G用フィールドレンズ124G、光変調素子130、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム(広義には光合成手段)160、投射レンズ170(広義には投射部)を含む。図3では、3板式であるため、光変調素子130として、R用液晶パネル130R(第1の光変調部)、G用液晶パネル130G(第2の光変調部)、B用液晶パネル130B(第3の光変調部)が採用される。R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
【0041】
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。光源110は、例えば画像補正装置200又は第1のプロジェクタPJ1内の図示しない光源駆動部から光源制御信号により駆動制御される。インテグレータレンズ112は、光源110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を重畳する。
【0042】
また偏光変換素子116は、偏光分離膜とλ/2板とを有し、p偏光を透過させると共にs偏光を反射させ、p偏光をs偏光に変換する。この偏光変換素子116からのs偏光が、重畳レンズ118に照射される。
【0043】
重畳レンズ118によって重畳された光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
【0044】
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレンズ124Gに導かれる。
【0045】
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
【0046】
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能し、R用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0047】
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能し、G用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0048】
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、B用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0049】
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bは、所与の光変調素子制御信号により、色成分毎に独立して変調率が制御される。
【0050】
光合成手段としてのクロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射部としての投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズである。
【0051】
実施形態1では、それぞれが上記のような構成を有する第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる投影画像の画素同士が隣り合うようにスクリーン上に表示させる。従って、実施形態1における画像表示システムでは、画像補正装置と、この画像補正装置からの画像信号に基づいて輝度が制御される複数の画素光形成手段とを含み、これらの複数の画素光形成手段からの画素光を用いた画像を表示することができる。
【0052】
例えば第1のプロジェクタPJ1は、1つの画素光形成手段を有する。この画素光形成手段は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bである第1〜第3の光変調部を含み、第1〜第3の光変調部からの変調光を合成して画素光として射出することができる。第1の光変調部は、第1の色成分の画像信号に基づいて第1の色成分の光を変調し、第2の光変調部は、第2の色成分の画像信号に基づいて第2の色成分の光を変調し、第3の光変調部は、第3の色成分の画像信号に基づいて第3の色成分の光を変調する。
【0053】
図4に、実施形態1におけるスクリーン上の表示画像の画素の一例の模式的な説明図を示す。図4では、第1及び第2のプロジェクタPJ1、PJ2による表示画像の画素の一例を示すが、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画像の画素も同様である。
【0054】
図4に示すように、実施形態1では、第1のプロジェクタPJ1が投影した画像の水平方向に並ぶ2つの画素列の間に、第2のプロジェクタPJ2が投影した画像の水平方向に並ぶ画素列が配置されるように第1及び第2のプロジェクタPJ1、PJ2が調整されている。第1のプロジェクタPJ1が投影した画像の画素は、R成分、G成分及びB成分のサブ画素により構成されている。第2のプロジェクタPJ2が投影した画像の画素は、R成分、G成分及びB成分のサブ画素により構成されている。即ち、第1のプロジェクタPJ1が有する画素光形成手段からの画素光と、第2のプロジェクタPJ2が有する画素光形成手段から画素光を用いて表示画像を表示する場合に、2つの画素光形成手段による表示画像の画素が隣り合うように調整されている。
【0055】
なお、図4では、第1のプロジェクタPJ1による表示画素DP1に対し、第2のプロジェクタPJ2による表示画素DP2が、水平方向にずれて表示されている。
【0056】
ここで、表示画像の画素は、プロジェクタが有する光変調手段の画素のスクリーン上の像である輝点を有し、表示画像の画素は光変調素子の画素に対応付けられる。即ち、2つの画素光形成手段が有する光変調手段の画素のスクリーン上の像である輝点の位置がずれるように調整されている。
【0057】
これにより、実施形態1によれば、第1及び第2のプロジェクタPJ1、PJ2の各プロジェクタの投影画像の輝度が低い場合であっても、スクリーン上の投影画像の輝度を向上させることができる。
【0058】
なお、図4では、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素と、第2のプロジェクタPJ2の投影画像の画素とを隣り合わせて表示させているが、両画素が少なくとも一部の領域において重複していてもよい。
【0059】
図5に、実施形態1における画像補正装置200の構成例のブロック図を示す。
【0060】
画像補正装置200は、出力目標値生成部210と、画像信号出力部220とを含む。出力目標値生成部210は、画像入力部40からの入力画像信号を受け、複数の画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する。画像信号出力部220は、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画像の画素の輝度値が出力目標値となるように、各画素光形成手段からの画素光の輝度を制御する画像信号を補正して複数の画素光形成手段に出力する。より具体的には、出力目標値生成部210が、複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成し、画像信号出力部220が、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素の輝度値が該出力目標値となるように、複数の画素光形成手段のうち第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正して、該残りの少なくとも1つの画素光形成手段の各画素光形成手段に出力することができる。
【0061】
即ち、複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素を補正する画像補正方法として、複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成ステップと、該表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正して、残りの少なくとも1つの画素光形成手段の各画素光形成手段に出力する画像信号出力ステップとを含むことができる。
【0062】
例えば、複数の画素光形成手段が、第1及び第2の画素光形成手段を含む場合に、画像信号出力部220は、第1の画素光形成手段による表示画像の第1の画素DP1(図4参照)の輝度値が出力目標値に達しないとき、第1の画素に対応する第2の画素光形成手段による表示画像の複数の第2の画素DP2(図4参照)の輝度値を上げるように第2の画素光形成手段用の画像信号を出力する。
【0063】
複数の第2の画素DP2は、第1の画素DP1の周辺画素である。なお、複数の第2の画素DP2が、第2の画素光形成手段により形成されるものとして説明したが、複数の第2の画素DP2が、第1の画素光形成手段を除く複数の画素光形成手段により形成されたものであってもよい。
【0064】
これにより、複数の画素光形成手段を用いて画像を表示する場合に、1つの画素光形成手段の画素光による画素の輝度低下が発生するようなときであっても、残りの画素光形成手段の画素光を用いて輝度を上げることで、表示画像の輝度低下の発生を抑え、複数の画素光形成手段を用いた画像の輝度むらを目立たなくすることができるようになる。しかも、個々の画素光形成手段で輝度低下を抑える場合に比べて、余力のある画素光形成手段で輝度を補完(補填)できるため、効率的に、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0065】
ここで、画像信号出力部220は、画素ごとに輝度が制御される光変調手段(光変調部)に対して定義される座標系において、出力目標値が生成される当該画素と同じ画素位置の画素の変調率を制御する画像信号を補正して出力することができる。また、画像信号出力部220は、複数の画素光形成手段を用いた表示画像が投射されるスクリーンに対して定義されるスクリーン座標系において、出力目標値が生成される当該画素と同じ画素位置の画素の輝度を制御する画像信号を補正して出力することができる。
【0066】
更に、画像補正装置200において、出力目標値生成部210は、画像測定装置30の測定値(又は該測定値に対応した補正データ)に基づいて、第1のプロジェクタPJ1が表示可能(処理可能)な値の範囲内で入力画像信号の補正量を調整する。この補正量に基づいて画像信号が補正される。
【0067】
ここで、補正後の画像信号が、第1のプロジェクタPJ1で表示可能な範囲にない場合がある。例えば、入力画像信号がRGB空間の信号であり、画像入力部40からの画像信号により表される画素値のビット数が「8」のとき、補正後の画像信号により表される画素値が、8ビットで表現可能な画素値最大値である「255」を超えてしまうことがある。このような場合には、もはや画像信号を補正することができない。そこで、実施形態1では、出力目標値生成部210は、補正後の画像信号が第1のプロジェクタPJ1で表示可能な範囲にない場合には、当該画素の色相及び彩度が画面内の基準位置(例えば画面の中心位置)の色相及び彩度と一致するように、補正量を調整する出力飽和処理を行う。
【0068】
これにより、画像信号の補正前後において、明度差に比べて色差をほとんどなくすことができるため、画面内での色むら(輝度むら)の発生を抑えることができるようになる。
【0069】
また、画像信号出力部220は、出力飽和処理検出部222、出力目標値更新部224、補正信号出力部226を含む。出力飽和処理検出部222は、他の画素光形成手段で輝度を補完すべきか否かを判別するために、出力目標値生成部210において上記の出力飽和処理が当該画素の周辺画素の少なくとも1画素について行われたか否かを判別する。これにより、出力目標値を得るために入力画像信号の補正ができなかったとき上記の出力飽和処理が行われるため、他の画素光形成手段で輝度を補完すべきかないかを容易に判断できるようになる。
【0070】
出力目標値更新部224は、出力飽和処理検出部222により、当該画素の周辺画素の少なくとも1画素について上記の出力飽和処理が行われたことが検出されたときに、他のプロジェクタが有する画素光形成手段により輝度を補完するために当該画素光形成手段用の画像信号を補正する処理を行い、出力目標値を更新する。これにより、出力目標値生成部210は、再び、更新後の出力目標値を用いて、出力飽和処理の有無を検出しながら、当該プロジェクタで表示可能な範囲となるように入力画像信号を補正する。
【0071】
補正信号出力部226は、出力飽和処理検出部222により、当該画素の周辺画素の少なくとも1画素について上記の出力飽和処理が行われたことが検出されなかったときに、出力飽和処理を行うことなく出力目標値が得られると判断し、既に調整済みの補正量を用いて画像信号を補正し、補正後の画像信号を補正画像信号として各画素光形成手段に対して出力する。
【0072】
このような画像補正装置200において、出力目標値生成部210は、画像測定装置30により測定された測定値に基づいて出力目標値を生成する。また、補正信号出力部226は、測定値に基づいて、補正画像信号を出力する。そのため、画像補正装置200は、測定値テーブル230を含み、測定値テーブル230の記憶情報を参照して出力目標値を生成する。
【0073】
測定値テーブル(広義にはテーブル)230には、画像内の全画素について、各画素値に基づいて表示させた画素の測定値(測定した画素値)がプロジェクタ毎に格納される。従って、測定値テーブル230には、各画素値に基づいて表示させた基準画素の測定値(画素値)と、各画素値に基づいて表示させた当該画素の測定値(画素値)とが格納される。なお、測定値テーブル230には、測定値の代わりに、該測定値に対応した補正データが格納されていてもよい。
【0074】
図6に、図5の測定値テーブル230に格納される測定値が測定される画像の画素位置の説明図を示す。図6では、例えば第1のプロジェクタPJ1により投影された画像IMGにおいて、水平方向をx軸、垂直方向をy軸として、画像IMGの全画素の各画素の位置を定義することができる。ここでは、水平方向にN(Nは2以上の整数)画素が並び、垂直方向にM(Mは2以上の整数)画素が並ぶものとする。従って、画像IMGの画素(x0,y0)、(x1,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(x0,y2)、・・・、(x0,yM−1)、・・・、(xN−1,YM−1)の各画素について、画像測定装置30が測定した測定値が測定値テーブル230に格納される。
【0075】
図7に、図5の測定値テーブル230に格納される測定値の説明図を示す。
【0076】
測定値テーブル230には、まず、画素値「0」に基づいて表示させた画素の測定値(又は該測定値に対応した補正データ)が、例えば図6の画像IMGの水平方向に(x0,y0)、(x1,y0)、(x2,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(xN−1,yM−1)の順番に格納される。そして、測定値テーブル230には、続いて、画素値「1」に基づいて表示させた画素の測定値が、図6の画像IMGの水平方向に(x0,y0)、(x1,y0)、(x2,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(xN−1,yM−1)の順番に格納される。こうして、最終的に測定値テーブル230には、画素値「255」に基づいて表示させた画素の測定値が、図6の画像IMGの水平方向に(x0,y0)、(x1,y0)、(x2,y0)、・・・、(xN−1,y0)、(x0,y1)、・・・、(xN−1,yM−1)の順番に格納される。この結果、測定値テーブル230には、画像内の全画素について、各画素値に基づいて表示させた画素の測定値が格納される。
【0077】
測定値テーブル230には、上述したような全画素の測定値が、プロジェクタ毎に格納される。
【0078】
なお、図7では、各画素値について測定値テーブル230に格納される測定値のデータサイズや、個々の測定値のデータサイズが予め認識されている。そのため、測定値テーブル230に記憶される測定値群の中から、所望の画素位置における所望の画素値の測定値の記憶領域を特定できるので、測定値テーブル230には測定値のみを記憶させておけばよい。
【0079】
以上のように、出力目標値生成部210は、プロジェクタ毎に基準画素について各画素値に基づいて表示させた画素の測定値が記憶された測定値テーブル230を参照して、当該画素の画素値に対応した測定値を出力目標値として生成することができる。そして、補正信号出力部226は、出力目標値生成部210により生成された出力目標値、又は出力目標値更新部224により更新された出力目標値に対応した補正量を求め、該補正量を用いて画像信号を補正して出力する。
【0080】
また、出力目標値生成部210は、測定値テーブル230を検索して、測定値テーブル230に、出力目標値に対応した測定値が記憶されていることが検出されたときには、出力飽和処理を行わない。一方、出力目標値生成部210は、測定値テーブル230を検索して、測定値テーブル230に、出力目標値に対応した測定値が記憶されていないことが検出されたときには、出力飽和処理を行って、当該画素の色相及び彩度が、基準画素の色相及び彩度と一致するように当該画素の補正量を調整する。
【0081】
こうすることで、基準画素についての測定値が記憶されたテーブルを参照して出力目標値を生成する一方、当該画素についての測定値が記憶されたテーブルに記憶されているか否かを判断することで、当該補正量を用いて当該画素の画素値を補正した補正画素値が画素値最大値を超えたか否かを判別できるようになる。従って、新たな付加装置を設けることなく、簡素な構成で、当該画素の補正画素値が画素値最大値を超えたか否かを判別できるようになる。
【0082】
図8に、実施形態1における画像補正装置200のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0083】
画像補正装置200は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)80、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)82、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)84、インターフェース(Interface:I/F)回路86、画像処理回路88を含む。CPU80、ROM82、RAM84、I/F回路86及び画像処理回路88は、バス90を介して接続されている。
【0084】
ROM82には、プログラムが格納されており、バス90を介してプログラムを読み込んだCPU80が、該プログラムに対応した処理を実行することができる。RAM84は、CPU80が処理を実行するための作業用メモリとなったり、CPU80が読み込むプログラムが一時的に格納されたりする。I/F回路86は、画像入力部40のそれぞれとのインターフェース処理を行い、画像入力部40からの入力画像信号の入力処理等を行う。画像処理回路88は、上記の画像処理を実現する。画像処理回路88は、例えばROM82に格納されているプログラムやデータを参照し、RAM84を作業用メモリとして用いながら実施形態1における画像処理を実現できる。
【0085】
画像処理回路88は、I/F回路86を介して画像入力部40からの入力画像信号を補正して、画面内の色むらの発生を抑える処理を行う。なお、画像補正装置200において、画像処理回路88がCPU80と別個に設けられる専用ハードウェアとして説明したが、画像処理回路88の機能を、ROM82又はRAM84に記憶されたプログラムを読み込んだCPU80の処理により実現してもよい。
【0086】
画像測定装置30による測定値又は該測定値に対応した補正データは、ROM82に書き込まれる。例えば、画像表示システム10において、プロジェクタ毎に、以下のシーケンスを繰り返すことで、各プロジェクタの測定値が収集される。
【0087】
即ち、まず第1のプロジェクタPJ1が評価用画像をスクリーンSCRに投射する。画像測定装置30は、スクリーンSCRの投射画像を画像データとして取り込み、測定値を生成する。次に第2のプロジェクタPJ2の投射と画像測定装置30の撮像とを行い、以降、プロジェクタの投射と画像測定装置30の撮像とを繰り返し、画像測定装置30は、プロジェクタ毎に、投射画像の全画素について、画素毎にすべての画素値に対応した測定値を生成する。そして、画像測定装置30によって生成された測定値、又は該測定値に対応した補正データは、ROM82に書き込まれる。その後、画像入力部40からの画像に対応した画像信号が入力されたとき、画像補正装置200は、ROM82に書き込まれた測定値(補正データ)に基づき、画素毎に補正量を求め、該補正量を用いて画像信号を補正して出力する。
【0088】
図5において、出力目標値生成部210及び画像信号出力部220の機能は、図8の画像処理回路88又はプログラムを読み込んで該プログラムに対応した処理を行う図8のCPU80により実現される。図5の測定値テーブル230の機能は、図8のROM82により実現される。
【0089】
次に、実施形態1における画像補正装置200の処理例について説明する。以下では、実施形態1における画像補正装置200が、画素毎に、RGB色空間の各色成分の画素値の補正量を調整するものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
図9に、実施形態1における画像補正装置200の処理例のフロー図を示す。
図10に、図9の出力目標値の決定処理の処理例のフロー図を示す。
図11に、図10の各色成分の補正処理の処理例のフロー図を示す。
例えば、ROM82には、予め図9、図10、図11に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図9、図10、図11に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0091】
まず、画像補正装置200は、画像入力部40からの入力画像信号が入力されるまで待つ(ステップS100:N)。画像入力部40からの入力画像信号が入力されたとき、画像補正装置200は、変数の初期化処理を行う(ステップS102)。例えば、ステップS102では、L台のプロジェクタのいずれかを指定するための変数iを「1」に設定すると共に、出力飽和処理において出力目標値を縮小する比率を示す変数を「1.0」に設定する等、処理の必要な変数を初期化する。続いて、変数iが「1」であるため、画像補正装置200は、入力画像信号に対応した第1のプロジェクタPJ1用の出力目標値を決定する処理を行う(ステップS104)。
【0092】
ステップS104の処理内容については後述するが、出力飽和処理が行われたときには、明度差に比べて色差をなくすために、RGBの各色成分の出力目標値が同じ比率で縮小される。そこで、画像補正装置200は、ステップS104に続いて、ステップS104の処理後の出力目標値の縮小比率を示す変数を保存し(ステップS106)、変数iをインクリメントする(ステップS108)。出力目標値の縮小比率には、第iのプロジェクタPJiにおける出力目標値の縮小率がステップS104において設定されている。そして、変数iの値がLより大きいか否かを比較して(ステップS110)、変数iの値がL以下のとき(ステップS110:N)、画像補正装置200は、ステップS104に戻り、インクリメント後の変数iで指定されるプロジェクタ用の出力目標値を決定する。
【0093】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の画素の輝度を第2〜第LのプロジェクタPJ2〜PJLの対応する画素で補完するものとすると、ステップS110において、変数iの値がLより大きいとき(ステップS110:Y)、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのすべてについて当該画素の周辺画素のすべてにおいてプロジェクタの出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われたか、或いは出力飽和処理が一切行われなかったかを判別する(ステップS112)。ステップS112では、上記の縮小比率を示す変数の値を参照することで処理を簡素化できる。
【0094】
周辺画素のすべてについて、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLにおいて出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われたとき(ステップS112:Y)、他のプロジェクタによる画素の輝度を補完することができないことを意味するため輝度の補完処理を行わずに、次の処理に進み、この時点で求められた出力目標値に対応した画像信号を、測定値テーブル230を参照して求め、補正画像信号として出力する(ステップS114)。同様に、周辺画素のすべてについて、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLにおいて出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われなかったとき(ステップS112:Y)、他のプロジェクタによる画素の輝度補完が不要であることを意味するため、輝度の補完処理を行わずに、次の処理に進み、この時点で求められた出力目標値に対応した画像信号を、測定値テーブル230を参照して求め、補正画像信号として出力する(ステップS114)。
【0095】
ステップS112において、周辺画素の少なくとも1つについて、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのいずれかにおいて出力目標値を決定する際に出力飽和処理が行われたと判別されたとき(ステップS112:N)、画像補正装置200は、他のプロジェクタによる複数の画素を用いて輝度補完処理を行って(ステップS116)、ステップS102に戻り、再び輝度補間処理後の画像信号を用いて、すべてのプロジェクタに対する出力目標値を決定し直す。なお、この輝度補完処理については、後述する。
【0096】
ステップS114において、補正画像信号を出力した後、全画素について終了したとき(ステップS118:Y)、一連の処理を終了し(エンド)、全画素について終了していないとき(ステップS118:N)、ステップS100に戻る。
【0097】
以上のように、実施形態1によれば、出力飽和処理が行われたか否かを判別して、他のプロジェクタによる複数の画素の輝度を上げることで、当該プロジェクタによる画素の輝度を補完することができる。これにより、個々のプロジェクタで輝度低下を抑える場合に比べて、効率的に、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0098】
次に、図9のステップS104について説明する。
【0099】
ステップS104では、補正後の画素値が画素値最大値を超えるとき、u´v´色度図(CIE 1976 UCS色度図)における当該画素のu´成分及びv´成分が基準画素のu´成分及びv´成分と一致するように補正量を調整する。これにより、一般に使われる色度図のu´成分及びv´成分に着目したので、簡素な構成で、当該画素の色相及び彩度が、基準画素の色相及び彩度と一致するように当該画素の補正量を調整することができるようになる。従って、既存のリソースを用いながら、補正後の画素値がプロジェクタの限界値を超える場合であっても色むらを目立たなくできるようになる。
【0100】
そこで、実施形態1では、以下のようにRGB空間の各色成分の画素値について補正画素値が画素値最大値を超えないように出力目標値を縮小させながら、補正量を調整するようにしている。
【0101】
図10に示すように、画像補正装置200は、まず、スキャナ42等の画像入力部40からの画像信号を入力値として取得する(ステップS10)。この画像信号は、例えばRGB空間の各色成分の画素値を有する。
【0102】
次に、画像補正装置200は、当該画素のRGB空間のB成分の画素値について補正処理を行う(ステップS12)。
【0103】
B成分の画素値の補正処理においては、図11に示すように、出力目標値生成部210が、当該画素のB成分の出力目標値を生成する(ステップS40)。より具体的には、出力目標値生成部210は、測定値テーブル230に記憶された測定値群の中から基準画素における各画素値(入力画素値)に基づいて表示したときの出力画素値である測定値を出力目標値関数として生成しておき、この出力目標値関数の中から、当該画素の画素値と同じ画素値を入力画素値としたときの測定値を出力目標値として求める。
【0104】
図12に、実施形態1におけるB成分の出力目標値関数の説明図を示す。
【0105】
図12では、横軸にB成分の入力画素値、縦軸にB成分の出力画素値に対応した出力値(測定値、物理量)をとり、基準画素において入力画素値が与えられたときの出力画素値の変化を表している。より具体的には、図12では、基準画素の測定値を出力目標値関数T1で表し、当該画素の測定値を関数MBで表している。
【0106】
図11のステップS40に続いて、出力目標値生成部210は、その測定値と当該画素の画素値とに基づいて補正量を求め、該補正量に基づいて当該画素の画素値を補正した補正画素値を求める(ステップS42)。例えば図12の入力画素値B1が与えられると、当該画素において入力画素値B1に対応する出力目標値(PB1、PB2)を得るための入力画素値B2が求められる。従って、画素値B1、B2の差分により補正量が求められる。
【0107】
これに対して、例えば図12の入力画素値B3が与えられたとき、当該画素において入力画素値B3に対応する出力目標値(PB3)は、関数MBでは存在しない。即ち、測定値テーブル230に対して当該画素について入力画素値B3の測定値を検索しても、出力値が得られずテーブル検索エラーとなってしまう。これは、入力画素値を補正した補正画素値が画素値最大値を超えてしまい、もはや第1のプロジェクタPJ1で表示不可能な範囲となるからである。そこで、補正画素値が画素値最大値を超えるときには、補正画素値が画素値最大値を超えないように補正量を調整するようになっている。
【0108】
そのため、図11のステップS42に続いて、出力目標値生成部210が、ステップS42で求めた補正画素値と画素値最大値とを比較する(ステップS44)。補正画素値が画素値最大値を超えるとき(ステップS44:Y)、出力目標値生成部210は、ステップS40で生成した出力目標値を縮小させる制御を行い(ステップS46)、ステップS42に戻る。ステップS46により、出力目標値は、図12の関数T2のようになる。そして、ステップS42では、縮小させた出力目標値と当該画素の画素値とに基づいて補正量を求め、該補正量に基づいて当該画素の画素値を補正した補正画素値を求めることになる。
【0109】
こうして、ステップS44において補正画素値が画素値最大値以下となるまで繰り返され、補正画素値が画素値最大値以下のとき(ステップS44:N)、画像補正装置200は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0110】
図10に戻って説明を続ける。ステップS12に続いて、画像補正装置200は、B成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS14:Y)、図11のステップS44で補正画素値が画素値最大値以下となった時点におけるB成分の出力目標値の縮小率rbを取得する(ステップS16)。そして、画像補正装置200は、この縮小率rbを用いて、当該画素の他の色成分であるR成分及びG成分の出力目標値を計算する(ステップS18)。
【0111】
そして、画像補正装置200は、ステップS14においてB成分の出力目標値の縮小制御が行われていないとき(ステップS14:N)、当該画素のR成分の出力目標値をそのまま用いて、R成分の補正処理を行う(ステップS20)。一方、画像補正装置200は、ステップS14においてB成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS14:Y)、B成分の出力目標値の縮小率rbを用いた縮小出力目標値を用いて、R成分の補正処理を行う(ステップS20)。ここで、縮小出力目標値は、当該画素のR成分の出力目標値Trにrbを乗算したTr×rbとなる。
【0112】
ステップS20のR成分の補正処理は、ステップS12のB成分の補正処理と同様であるため詳細な説明を省略する。即ち、ステップS20では、図11に示すように処理が行われる。
【0113】
図13に、実施形態1におけるR成分の出力目標値関数の説明図を示す。
【0114】
図13では、図12と同様に、横軸にR成分の入力画素値、縦軸にR成分の出力画素値に対応した出力値(測定値、物理量)をとり、基準画素において入力画素値が与えられたときの出力画素値の変化を表している。より具体的には、図13では、基準画素の測定値を出力目標値関数T10で表し、当該画素の測定値を関数MRで表している。なお、図13では、ステップS12において、B成分の出力目標値の縮小制御が行われたときのR成分の出力目標値の例を示している。R成分においても、出力目標値の縮小率rrで行われた結果、図13の関数T11のようになる。
【0115】
図10に戻って説明を続ける。ステップS20に続いて、画像補正装置200は、R成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS22:Y)、ステップS16と同様に補正画素値が画素値最大値以下となった時点におけるR成分の出力目標値の縮小率rrを取得する(ステップS24)。そして、画像補正装置200は、この縮小率rrを用いて、当該画素の他の色成分であるB成分及びG成分の出力目標値を計算する(ステップS26)。
【0116】
ここで、ステップS26で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と異なるとき(ステップS28:Y)、ステップS12に戻って、ステップS26で求められたB成分の出力目標値を用いて、再びB成分から順番に各成分の補正処理を行っていく。
【0117】
ステップS26で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と同じとき(ステップS28:N)、或いはステップS22においてR成分の出力目標値の縮小制御が行われていないとき(ステップS22:N)、画像補正装置200は、当該画素のG成分の出力目標値、或いはステップS18又はステップS26で求めた縮小出力目標値を用いて、G成分の補正処理を行う(ステップS30)。ここで、縮小出力目標値は、B成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき、ステップS18で計算した当該画素のG成分の出力目標値Tgにrbを乗算した縮小出力目標値Tg×rbにさらにrrを乗算したTg×rb×rrとなり、B成分の出力目標値の縮小制御が行われないとき、当該画素のG成分の出力目標値Tgにrrを乗算したTg×rrとなる。
【0118】
ステップS30のG成分の補正処理は、ステップS12のB成分の補正処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。即ち、ステップS30では、図11に示すように処理が行われる。
【0119】
図14に、実施形態1におけるG成分の出力目標値関数の説明図を示す。
【0120】
図14では、図12と同様に、横軸にG成分の入力画素値、縦軸にG成分の出力画素値に対応した出力値(測定値、物理量)をとり、基準画素において入力画素値が与えられたときの出力画素値の変化を表している。より具体的には、図14では、基準画素の測定値を出力目標値関数T20で表し、当該画素の測定値を関数MGで表している。なお、図14では、ステップS12において、B成分及びR成分の出力目標値の縮小制御が行われたときのG成分の出力目標値の例を示している。G成分においても、出力目標値の縮小率rgで行われた結果、図14の関数T21のようになる。
【0121】
図10に戻って説明を続ける。ステップS30に続いて、画像補正装置200は、G成分の出力目標値の縮小制御が行われたとき(ステップS32:Y)、ステップS16と同様に補正画素値が画素値最大値以下となった時点におけるG成分の出力目標値の縮小率rgを取得する(ステップS34)。そして、画像補正装置200は、この縮小率rgを用いて、当該画素の他の色成分であるB成分及びR成分の出力目標値を計算する(ステップS36)。
【0122】
ここで、ステップS36で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と異なるとき、或いはステップS36で計算されたR成分の出力目標値がステップS20で用いられた出力目標値と異なるとき(ステップS38:Y)、ステップS12に戻って、ステップS36で求められたB成分の出力目標値を用いて、再びB成分から順番に各成分の補正処理を行っていく。
【0123】
ステップS36で計算されたB成分の出力目標値がステップS12で用いられた出力目標値と同じで、且つステップS36で計算されたR成分の出力目標値がステップS20で用いられた出力目標値と同じとき(ステップS38:N)、或いはステップS32においてG成分の出力目標値の縮小制御が行われていないとき(ステップS32:N)、画像補正装置200は、全画素についての補正処理が終了したか否かを判別する(ステップS39)。
【0124】
そして、画像の全画素について補正処理が終了したとき(ステップS39:Y)、画像補正装置200は、一連の処理を終了し(エンド)、画像の全画素について補正処理が終了していないとき(ステップS39:N)、ステップS10に戻る。
【0125】
このように、実施形態1では、色成分毎に出力目標値を縮小させながら補正画素値を求めると共に、出力目標値の縮小率に応じて出力目標値を更新している。そして、出力目標値が変更される度に、変更後の出力目標値を用いて最初の色成分から順番に補正処理を行うことで、最終的に各色成分の出力目標値が同じ比率で縮小させるように処理している。なお、図10で求められた縮小率が、図9のステップS106における比率を示す変数として保持される。
【0126】
以上のように、画像補正装置200は、RGB色空間の各色成分の画素値について補正画素値が画素値最大値を超えないように補正量を調整することができる。そして、u´v´色度図における当該画素のu´成分及びv´成分が基準画素のu´成分及びv´成分と一致させながら、補正量を調整することができるようになる。
【0127】
図15に、RGB空間の画素値からu´v´色度図のu´成分及びv´成分へ変換する処理の説明図を示す。
【0128】
図15において、RGB空間のR成分の画素値がR、G成分の画素値がG、B成分の画素値がBであり、RGBmaxは画素値最大値であるものとする。
【0129】
このとき、図15に示す一連の変換式により、RGB空間の画素の画素値をXYZ空間(CIE 1964 表色系)の画素値に変換できる。そして、XYZ空間の画素値を、更に図15に示す一連の変換式により、u´v´色度図(CIE 1976 UCS色度図)におけるu´成分及びv´成分に変換できる。u´v´色度図では、u´成分及びv´成分により色相及び彩度を表している。
【0130】
実施形態1では、上述のように補正画素値が画素値最大値を超えるとき、RGB色空間の各色成分の出力目標値が同じ比率で縮小された縮小後の出力目標値を用いている。そのため、当該画素の補正画素値を出力目標値である基準画素の測定値と揃えることで、図15に示す変数r、g、b、X成分及びY成分は、それぞれ同じ比率で縮小されることになる。従って、u´成分及びv´成分を一定にできるため、補正画素値が画素値最大値を超えない範囲で当該画素の色相及び彩度を基準画素の色相及び彩度と一致させることができる。
【0131】
また、各成分を同じ比率で縮小させているので、最大でRGBの各色成分数の3回の補正処理を行えば、必ずRGBの各色成分の画素値について補正画素値が画素値最大値を超えないように処理を完了させることができる。
【0132】
なお、上述の実施形態では、出力目標値として測定値を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、出力目標値として、基準画素を中心とする所定の領域内の画素値の平均値を採用したり、基準画素からの距離が遠い画素ほど値が小さくなるような出力目標値を採用したりできる。
【0133】
次に、図9のステップS116について説明する。
【0134】
ステップS116では、出力目標値の輝度が得られないときに、他のプロジェクタのうち余力のあるプロジェクタ(出力飽和処理を行わなかったプロジェクタ)による複数の画素を用いて当該画素の輝度を補完するように制御する。
【0135】
実施形態1では、第1の画素光形成手段としての第1のプロジェクタPJ1による表示画素の輝度を補完する場合、この画素の輝度の補完に用いられる複数の画素光形成手段のうち第1の画素光形成手段を除く残りの少なくとも1つの画素光形成手段は、第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンSCRに形成される表示画素の位置を基準に、スクリーンSCRに形成される表示画素の位置が近い順にn(nは2以上の整数)個の表示画素を形成するものとする。そして、複数の画素光を構成する各画素光が均等に輝度を上げるように画像信号が補正されるものとする。なお、nは4であることが望ましい。
【0136】
図16に、図9のステップS116の処理例のフロー図を示す。
【0137】
例えば、ROM82には、予め図16に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図16に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0138】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素Apqの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_Apqとする。
【0139】
まず、画像補正装置200は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS60)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.Gは、RGBT_SのG成分の画素値を、RGBT_S.Bは、RGBT_SのB成分の画素値を意味する。
【0140】
次に、画像補正装置200は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、画素Apqの出力目標値の縮小比率RATE_Apqを更新する(ステップS62)。例えば、各プロジェクタによる表示画素の輝度を積算して次式のように求め、この式を変換すればRATE_Apqの更新値を求めることができる。
【0141】
【数1】
【数2】
【0142】
上式では、RATE_Apqに同じαだけ増分し、輝度の和が不変となるようにαを求めている。このαを用いて、次式のようにRATE_Apqを更新する。
RATE_Apq=RATE_Apq+α
【0143】
続いて、画像補正装置200は、ステップS62で求めたRATE_Apqを用いて、画素Apqの出力目標値を次式に従って更新し(ステップS64)、一連の処理を終了する(エンド)。
RGBT_Apq=RGBT_Apq×RATE_Apq
【0144】
以上のように処理することで、当該画素の輝度の増加分を周辺画素の均等に割り振って、他のプロジェクタによる複数の画素で第1のプロジェクタによる画素の輝度を補完できるようになる。
【0145】
図17に、実施形態1の効果の説明図を示す。図17において、図4と同様の部分には同一符号を付して、適宜説明を省略する。
【0146】
例えば、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素DP1の周辺画素として、第2のプロジェクタPJ2の投影画像の4つの画素DP2を表示させる場合、両プロジェクタの画素DP1、DP2がそれぞれ出力飽和処理を行うことなく出力目標値の輝度をそのまま表示できる場合には、両プロジェクタでは各出力目標値の輝度で画素を表示させる。
【0147】
これに対して、図17に示すように、例えば第1のプロジェクタPJ1の画素DP1において出力飽和処理を行って当初の出力目標値の輝度で表示できない場合には、第2のプロジェクタPJ2の4つの画素DP2において出力目標値を更新して均等に輝度を上げた状態で表示させ、結果的に当該画素の輝度を上げる。
【0148】
図18(A)、図18(B)に、実施形態1の効果についての他の説明図を示す。図18(A)、図18(B)は、第1〜第3のプロジェクタPJ1〜PJ3による画素DP1〜DP3を示している。
【0149】
図18(A)に示すように、第1のプロジェクタPJ1による画素DP1が水平方向に並び、第2のプロジェクタPJ2による画素DP2が水平方向に並び、第3のプロジェクタPJ3による画素DP3が水平方向に並ぶ。そして、画素DP1群が、画素DP2群と画素DP3群との間に配置される。これにより、画素DP1に着目すれば、画素DP2、DP3を用いて輝度を上げることができる。
【0150】
例えば、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素DP1と第2のプロジェクタPJ2の投影画像の画素DP2と第3のプロジェクタPJ3の投影画像の画素DP3とを隣り合わせて表示させる場合、これらのプロジェクタの画素DP1〜DP3がそれぞれ出力飽和処理を行うことなく出力目標値の輝度をそのまま表示できる場合には、これらのプロジェクタでは各出力目標値の輝度で画素を表示させる。
【0151】
これに対して、例えば第1のプロジェクタPJ1の画素DP1において出力飽和処理を行って当初の出力目標値の輝度で表示できない場合には、図18(B)に示すように、第2のプロジェクタPJ2の画素DP2及び第3のプロジェクタPJ3の画素DP3において出力目標値を更新して輝度を上げた状態で表示させる。即ち、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP2により補完する。従って、2つの画素DP2は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。同様に、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP3により補完する。従って、2つの画素DP3は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。
【0152】
図19(A)、図19(B)に、実施形態1の効果についての更に別の説明図を示す。図19(A)、図19(B)は、第1〜第4のプロジェクタPJ1〜PJ4による画素DP1〜DP4を示している。
【0153】
図19(A)に示すように、第1のプロジェクタPJ1による画素DP1、第2のプロジェクタPJ2による画素DP2、第3のプロジェクタPJ3による画素DP3及び第4のプロジェクタによる画素DP4が、市松模様のように配置される。これにより、画素DP1に着目すれば、画素DP2、DP3を用いて輝度を上げることができる。また、画素DP3に着目すれば、画素DP1、DP4を用いて輝度を上げることができる。
【0154】
例えば、第1のプロジェクタPJ1の投影画像の画素DP1、第2のプロジェクタPJ2の投影画像の画素DP2、第3のプロジェクタPJ3の投影画像の画素DP3及び第4のプロジェクタPJ4の投影画像の画素DP4を図19(A)に示すように隣り合わせて表示させる場合、これらのプロジェクタの画素DP1〜DP4がそれぞれ出力飽和処理を行うことなく出力目標値の輝度をそのまま表示できる場合には、これらのプロジェクタでは各出力目標値の輝度で画素を表示させる。
【0155】
これに対して、例えば第1のプロジェクタPJ1の画素DP1において出力飽和処理を行って当初の出力目標値の輝度で表示できない場合には、図19(B)に示すように、第2のプロジェクタPJ2の画素DP2及び第3のプロジェクタPJ3の画素DP3において出力目標値を更新して輝度を上げた状態で表示させる。即ち、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP2により補完する。従って、2つの画素DP2は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。同様に、画素DP1の輝度不足分の半分を、2つの画素DP3により補完する。従って、2つの画素DP3は、それぞれ画素DP1の輝度不足分の1/4を補完する。
【0156】
以上のように、実施形態1によれば、当該画素の輝度が出力目標値に達しないとき、当該画素の周辺画素に均等に輝度を補完させるようにしたので、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。しかも、実施形態1によれば、周辺画素に一律に輝度増分を割り当てるようにしたので、少ない計算量で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止する効果が得られるようになる。
【0157】
〔実施形態2〕
実施形態1では、当該画素の輝度が出力目標値に達しないとき、当該画素の周辺画素に均等に輝度を補完させるようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態2では、当該画素の周辺画素の中で輝度増分のマージンがある画素ほど大きく輝度を増分させる。
【0158】
図20(A)、図20(B)に、実施形態2における輝度補完処理の説明図を示す。図20(A)において、図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図20(A)、図20(B)では、画素DP1の輝度を、画素DP1の周辺の画素DP2で補完するものとして示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図18(A)や図19(A)に示す周辺画素で輝度を補完するようにしてもよい。
【0159】
図20(A)では、画素DP1の周辺の4つの画素DP2を、それぞれ画素DP2−1、DP2−2、DP2−3、DP2−4として示し、図20(B)は、画素DP2−1〜DP2−3の輝度と出力目標値T−1〜T−4とを模式的に表す。
【0160】
ここで、4つの画素DP2−1〜DP2−4の輝度と出力目標値T−1〜T−4とのマージンMM−1〜MM−4に着目すると、画素DP2−3のマージンMM−3が最大で、画素DP2−2のマージンMM−2が最小である。そこで、実施形態2では、画素DP1の輝度不足分を画素DP2−1〜DP2−4に振り分けて画素DP2−1〜DP2−4の輝度を上げる場合に、画素DP2−3に対して輝度増分が最大となるように振り分け、画素DP2−2に対して輝度増分が最小となるように振り分ける。即ち、実施形態2では、複数の画素光のうち輝度増分のマージンが大きい画素光に対し、複数の画素光のうち輝度増分のマージンが小さい画素光より輝度増分が大きくなるように画像信号を補正する。
【0161】
これにより、実施形態1の処理では増分(補正)後の輝度が画素最大値を超えてしまう場合であっても、実施形態2の処理では不足分を効率的に振り分けて、増分後の輝度が画素最大値を超えないようにできる場合がある。
【0162】
このような実施形態2を実現する画像補正装置及び画像表示システムの構成は、実施形態1と同様であるため、実施形態2における画像補正装置及び画像表示システムの構成についての詳細な説明を省略する。実施形態2が実施形態1と異なる点は、輝度補完処理の処理内容である。
【0163】
そこで、以下では実施形態2における輝度補完処理について説明する。なお、実施形態2では、上記のように各周辺画素のマージンを算出して、そのマージンに応じて輝度不足分を割り当てるように処理してもよいが、以下のように、処理を簡素化してもよい。即ち、周辺画素間では出力目標値がそれほど大きく変化しないことを前提に、出力飽和処理が行われなかった画素群が同じ輝度となるように振り分けることで、出力飽和処理が行われた画素群に輝度を振り分けず、且つ輝度の小さい画素ほど輝度増分のマージンが大きくすることができる。
【0164】
図21に、実施形態2における輝度補完処理の処理例のフロー図を示す。実施形態2では、実施形態1における図9のステップS116において、図21の処理が行われる。
【0165】
例えば、ROM82には、予め図21に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図21に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0166】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、周辺画素のうち、出力飽和処理が行われなかった画素(RATE_A00〜RATE_A11=1.0の画素)をAN0〜ANh(hは最大「3」)、出力飽和処理が行われた画素(RATE_A00〜RATE_A11<1.0の画素)をAS0〜ASk(h+k=2)とし、画素AN0〜ANhは同じ輝度YTNにするものとする。更に、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ANj、画素ANjの出力目標値の輝度をYT_ANj、画素ASr(rは整数、j+r=2)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ASr、画素ASrの出力目標値の輝度をYT_ASrとする。
【0167】
まず、画像補正装置は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS70)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.Gは、RGBT_SのG成分の画素値を、RGBT_S.Bは、RGBT_SのB成分の画素値を意味する。
【0168】
次に、画像補正装置は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、出力飽和処理を行わない画素が同じ輝度YTNとなるように、この輝度YTNを算出する(ステップS72)。
【0169】
【数3】
【数4】
【0170】
続いて、画像補正装置は、ステップS72で求めたYTNを用いて、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力目標値を次式に従って更新し(ステップS74)、一連の処理を終了する(エンド)。
RGBT_ANj=RGBT_ANj×YTN/YT_ANj
【0171】
ここで、RGBT_ANjは、画素ANjに対応する画素ApqのRGBT_Apq、YT_ANjは、画素ANjに対応する画素Apqの輝度YT_Apqである。
【0172】
以上のように処理することで、当該画素の輝度の不足分を、周辺画素のうち輝度の小さい画素ほど大きく割り振ることができ、簡素な処理で、輝度増分のマージンが大きい画素に対し、輝度増分のマージンが小さい画素より輝度増分が大きくなるように割り振ることができる。
【0173】
〔実施形態3〕
実施形態1又は実施形態2では、周辺画素の輝度の比率を保持することなく、周辺画素に当該画素の輝度の不足分を割り振っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態3では、周辺画素の輝度の比率を保持しながら、当該画素の周辺画素に輝度の不足分を割り振っている。
【0174】
図22(A)、図22(B)に、実施形態3における輝度補完処理の説明図を示す。図22(A)において、図20(A)と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図22(A)、図22(B)では、画素DP1の輝度を、画素DP1の周辺の画素DP2で補完するものとして示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図18(A)や図19(A)に示す周辺画素で輝度を補完するようにしてもよい。
【0175】
図22(A)では、画素DP1の周辺の4つの画素DP2を、それぞれ画素DP2−1、DP2−2、DP2−3、DP2−4として示し、図22(B)は、画素DP2−1〜DP2−4の輝度を模式的に表す。
【0176】
実施形態3では、画素DP2−1〜DP2−4が図22(B)のような輝度を有する場合、補正前の2つの画素DP2−1、DP2−2の輝度と2つの画素DP2−3、DP2−4の輝度との比率が一定となるように、画素DP1の輝度不足分を、4つの画素DP2−1〜DP2−4に割り振る。即ち、実施形態3では、輝度は画素値に対応しているため、複数の画素光を構成する各画素光に対し、各画素光の輝度に対応した画素値に応じた増分となるように画像信号が補正される。
【0177】
これにより、実施形態3の処理では、補正前の輝度の分布を維持しつつ、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0178】
このような実施形態3を実現する画像補正装置及び画像表示システムの構成は、実施形態1と同様であるため、実施形態3における画像補正装置及び画像表示システムの構成についての詳細な説明を省略する。実施形態3が実施形態1と異なる点は、輝度補完処理の処理内容である。そこで、以下では実施形態3における輝度補完処理について説明する。
【0179】
図23に、実施形態3における輝度補完処理の処理例のフロー図を示す。実施形態3では、実施形態1における図9のステップS116において、図23の処理が行われる。
【0180】
例えば、ROM82には、予め図23に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図23に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0181】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、周辺画素のうち、出力飽和処理が行われなかった画素(RATE_A00〜RATE_A11=1.0の画素)をAN0〜ANh(hは最大「3」)、出力飽和処理が行われた画素(RATE_A00〜RATE_A11<1.0の画素)をAS0〜ASk(h+k=2)とする。更に、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ANj、画素ANjの出力目標値の輝度をYT_ANj、画素ASr(rは整数、j+r=2)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ASr、画素ASrの出力目標値の輝度をYT_ASrとする。
【0182】
まず、画像補正装置は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS80)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.G、RGBT_S.Bも同様である。
【0183】
次に、画像補正装置は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、出力飽和処理を行わない画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の輝度YT_ANjに同じ比率を乗算する(ステップS82)。
【0184】
【数5】
【数6】
【0185】
続いて、画像補正装置は、ステップS82で求めたαを用いて、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力目標値を次式に従って更新し(ステップS84)、一連の処理を終了する(エンド)。
RATE_ANj=α
RGBT_ANj=RGBT_ANj×RATE_ANj
【0186】
ここで、RGBT_ANjは、画素ANjに対応する画素ApqのRGBT_Apqである。
【0187】
以上のように処理することで、周辺画素の補正前の輝度の比率を保持したまま、当該画素の輝度の不足分を周辺画素に割り振ることができるようになる。
【0188】
〔実施形態4〕
実施形態1〜実施形態3では、当該画素と周辺画素との距離にかかわらず、周辺画素に当該画素の輝度の不足分を割り振っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態4では、当該画素と周辺画素との距離に応じて、当該画素の輝度の不足分を割り振っている。
【0189】
図24に、実施形態4における輝度補完処理の説明図を示す。図24において、図20(A)と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図24では、画素DP1の輝度を、画素DP1の周辺の画素DP2で補完するものとして示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図18(A)や図19(A)に示す周辺画素で輝度を補完するようにしてもよい。図24では、画素DP1の周辺の4つの画素DP2を、それぞれ画素DP2−1、DP2−2、DP2−3、DP2−4として示している。
【0190】
実施形態4では、画素DP1と画素DP2−1〜DP2−4の各画素との距離に応じて、画素DP1の輝度不足分を、4つの画素DP2−1〜DP2−4に割り振る。即ち、実施形態4では、複数の画素光を構成する各画素光に対し、第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンSCRに形成される表示画素DP1の位置を基準に、各画素光によりスクリーンSCRに形成される表示画素までの距離に応じた増分となるように画像信号が補正される。
【0191】
これにより、実施形態4の処理では、各プロジェクタの表示画素の位置合わせを粗く調整した場合であっても、実施形態1〜実施形態3と同等の精度で、輝度の低下を抑えつつ輝度むらの発生を防止できるようになる。
【0192】
このような実施形態4を実現する画像補正装置及び画像表示システムの構成は、実施形態1と同様であるため、実施形態4における画像補正装置及び画像表示システムの構成についての詳細な説明を省略する。実施形態4が実施形態1と異なる点は、輝度補完処理の処理内容である。そこで、以下では実施形態4における輝度補完処理について説明する。
【0193】
図25に、実施形態4における輝度補完処理の処理例のフロー図を示す。実施形態4では、実施形態1における図9のステップS116において、図25の処理が行われる。
【0194】
例えば、ROM82には、予め図25に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、画像処理回路88の機能を有するCPU80又は図示しないCPUを含む画像処理回路88が、ROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図25に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0195】
ここで、第1のプロジェクタPJ1の当該画素Sにおいて、出力飽和処理を行って出力目標値が生成されたものとする。この画素Sに対応する周辺画素をApq(p、q=0又は1)、画素Sの出力目標値をRGBT_S、画素Apqの出力目標値をRGBT_Apq、画素Sの出力目標値の輝度をYT_S、画素Apqの出力目標値の輝度をYT_Apqとする。また、周辺画素のうち、出力飽和処理が行われなかった画素(RATE_A00〜RATE_A11=1.0の画素)をAN0〜ANh(hは最大「3」)、出力飽和処理が行われた画素(RATE_A00〜RATE_A11<1.0の画素)をAS0〜ASk(h+k=2)とする。更に、画素Sの出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_S、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ANj、画素ANjの出力目標値の輝度をYT_ANj、画素ASr(rは整数、j+r=2)の出力飽和処理による出力目標値の縮小比率をRATE_ASr、画素ASrの出力目標値の輝度をYT_ASrとする。
【0196】
まず、画像補正装置は、当該画素Sの出力目標値の輝度YT_Sを算出する(ステップS90)。この算出処理は、RGB空間から輝度を算出する一般的な変換式を用いて、次式のように算出すればよい。
YT_S=(0.212671×RGBT_S.R+0.715160×RGBT_S.G+0.072169×RGBT_S.B)/RGBMax
ここで、例えばRGBの各色成分のデータを8ビットとすると、画素最大値RGBMaxが255である。また、RGBT_S.Rは、RGBT_SのR成分の画素値を意味し、RGBT_S.G、RGBT_S.Bも同様である。
【0197】
次に、画像補正装置は、当該画素Sと各周辺画素との距離を算出する(ステップS92)。この距離は、画素Sを形成する画素光により形成される像の輝点と、周辺画素を形成する各画素光により形成される像の輝点との距離であり、図25の処理に先立って求められていてもよい。
【0198】
次に、画像補正装置は、第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLによる表示画素の輝度が変化しないように、出力飽和処理を行わない画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の輝度YT_ANjに、距離Ljに反比例する比率を乗算する(ステップS94)。
【0199】
【数7】
【数8】
【0200】
続いて、画像補正装置は、ステップS94で求めたαを用いて、画素ANj(jは0〜hのいずれかの整数)の出力目標値を次式に従って更新し(ステップS84)、一連の処理を終了する(エンド)。
RATE_ANj=α/Lj
RGBT_ANj=RGBT_ANj×RATE_ANj
【0201】
ここで、RGBT_ANjは、画素ANjに対応する画素ApqのRGBT_Apqである。
【0202】
以上のように処理することで、当該画素と周辺画素との距離に応じて、当該画素の輝度の不足分を周辺画素に割り振ることができるようになる。
【0203】
〔実施形態5〕
実施形態1〜実施形態4では、各プロジェクタが画素光形成手段によって形成された画素光をスクリーンに投射するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る実施形態5では、1つのプロジェクタが1つの投射手段を有し、該投射手段に複数の画素光形成手段によって形成された画素光が入射される。
【0204】
図26に、実施形態5におけるプロジェクタの構成例を示す。例えば図1の第1〜第LのプロジェクタPJ1〜PJLのうち少なくとも1つが図26の構成を有していてもよい。
【0205】
実施形態5におけるプロジェクタ800は、R成分の色光(第1の色光)、G成分の色光(第2の色光)及びB成分の色光(第3の色光)を含む光を射出する照明装置810と、偏光分離光学系としての偏光分離ミラー820と、第1の画素光を射出する第1の画素光形成手段としての第1の画素光形成ユニット900と、第2の画素光を射出する第2の画素光形成手段としての第2の画素光形成ユニット950と、偏光合成光学系としての偏光合成プリズム850(光合成手段)と、偏光合成プリズム850で合成された画素光をスクリーンSCRに投射する投射光学系860とを備える。図3の投射光学系860は、図3の投射レンズ170と同等の機能を有する。
【0206】
照明装置810は、被照明領域側に照明光束を射出する光源装置(図示しない発光管、楕円面リフレクタ、凹レンズ等を含む)811と、光源装置811から射出される照明光束を複数の部分光束に分割するための第1の小レンズを有する第1の小レンズアレイ812と、第1の小レンズアレイ812の複数の第1の小レンズに対応する複数の第2の小レンズを有する第2の小レンズアレイ813と、第2の小レンズアレイ813から射出される各部分光束を被照明領域で重畳させるための重畳レンズ814とを有する。
【0207】
偏光分離ミラー820は、照明装置810からの光を第1の偏光成分を有する光(例えばp偏光)と第2の偏光成分を有する光(例えばs偏光)とに分離する機能を有する。
【0208】
第1の画素光形成ユニット900は、偏光分離ミラー820で分離された第1の偏光成分を有する光をR成分、G成分及びB成分の色光に分離する第1の色分離光学系910と、第1の色分離光学系910で分離された各色光をそれぞれ変調する第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bと、これら第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bでそれぞれ変調されたR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光を合成する第1の色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム940とを有する。第1の光変調素子920Rは、図3のR用液晶パネル130Rと同様の機能を有する。第2の光変調素子920Gは、図3のG用液晶パネル130Gと同様の機能を有する。第3の光変調素子920Bは、図3のB用液晶パネル130Bと同様の機能を有する。
【0209】
なお、クロスダイクロイックプリズム940は、第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bでそれぞれ変調された変調後のR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光が入射される第1の色光入射面940R、第2の色光入射面940G、第3の色光入射面940Bを有している。
【0210】
このように構成された第1の画素光形成ユニット900からは、第1の偏光成分を有する第1の画素光が射出され、その第1の画素光は偏光合成プリズム850の第1の画素光入射面851に入射する。
【0211】
第1の色分離光学系910は、偏光分離ミラー820で分離された第1の偏光成分を有する光をR成分の色光と他の成分の色光とに分離する第1のダイクロイックミラー911と、第1のダイクロイックミラー911で分離された他の成分の色光をG成分の色光とB成分の色光とに分離する第2のダイクロイックミラー912と、反射ミラー913と、リレー光学系930とを有する。
【0212】
第1のダイクロイックミラー911で反射されたR成分の色光は、反射ミラー913によって曲折され、第1の光変調素子920Rの液晶パネルの画素形成領域に入射する。また、第1のダイクロイックミラー911を通過したG成分及びB成分のうちG成分の色光は、第2のダイクロイックミラー912で反射され、第2の光変調素子920Gの液晶パネルの画素形成領域に入射する。一方、B成分の色光は、第2のダイクロイックミラー912を透過してリレー光学系930に入射する。
【0213】
リレー光学系930は、入射側レンズ931と、入射側の反射ミラー932と、リレーレンズ933と、射出側の反射ミラー934とを有し、第2のダイクロイックミラー912を透過したB成分の色光を第3の光変調素子920Bの液晶パネルまで導く機能を有する。
【0214】
第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bは、画像信号に応じて照明光束を変調するものであり、照明装置810の照明対象となる。第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bのそれぞれは、液晶パネルと、液晶パネルの光入射側に配置される入射側偏光板と、液晶パネルの光射出側に配置される射出側偏光板とを有する。なお、これら液晶パネル、入射側偏光板、射出側偏光板については、図26において符号は省略されている。
【0215】
クロスダイクロイックプリズム940は、第1〜第3の色光入射面940R、940G、940Bに入射された各色光ごとに変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。また、クロスダイクロイックプリズム940は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視ほぼ正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせたほぼX字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。ほぼX字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、R成分の色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、B成分の色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によってR成分及びB成分の色光は曲折され、G成分の色光の進行方向と揃えられることにより3つの色光が合成される。
【0216】
第2の画素光形成ユニット950は、偏光分離ミラー820で分離された第2偏光成分を有する光をR成分、G成分及びB成分の色光に分離する第2の色分離光学系960と、第2の色分離光学系960で分離された各色光をそれぞれ変調する第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bと、これら第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bでそれぞれ変調されたR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光を合成する第2の色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム990とを有する。
【0217】
なお、クロスダイクロイックプリズム990は、第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bでそれぞれ変調された変調後のR成分の色光、G成分の色光及びB成分の色光が入射される第1の色光入射面990R、第2の色光入射面990G、第3の色光入射面990Bを有している。
【0218】
このように構成された第2の画素光形成ユニット950からは、第2の偏光成分を有する第2の画素光が射出され、その第2の画素光は偏光合成プリズム850の第2の画素光入射面852に入射する。
【0219】
第2の色分離光学系960は、偏光分離ミラー820で分離された第2偏光成分を有する光をR成分の色光と他の成分の色光とに分離する第3のダイクロイックミラー961と、第3のダイクロイックミラー961で分離された他の成分の色光をG成分の色光とB成分の色光とに分離する第4のダイクロイックミラー962と、反射ミラー963と、リレー光学系980とを有する。
【0220】
第3のダイクロイックミラー961で反射されたB成分の色光は、反射ミラー963によって曲折され、第6の光変調素子970Bの液晶パネルの画素形成領域に入射する。また、第3のダイクロイックミラー961を通過したG成分及びR成分のうちG成分の色光は、第4のダイクロイックミラー962で反射され、第5の光変調素子970Gの液晶パネルの画素形成領域に入射する。一方、R成分の色光は、第4のダイクロイックミラー962を透過してリレー光学系980に入射する。
【0221】
リレー光学系980は、入射側レンズ981と、入射側の反射ミラー982と、リレーレンズ983と、射出側の反射ミラー984とを有し、第4のダイクロイックミラー962を透過したR成分の色光を第4の光変調素子970Bの液晶パネルまで導く機能を有する。
【0222】
なお、第4の光変調素子970R、第5の光変調素子970G、第6の光変調素子970Bは、第1の光変調素子920R、第2の光変調素子920G、第3の光変調素子920Bと同様の構成を有し、クロスダイクロイックプリズム990は、クロスダイクロイックプリズム940と同様の構成を有するため、これらについての詳細な説明は省略する。
【0223】
偏光合成プリズム850は、第1の画素光形成ユニット900から射出された第1の画素光が入射される第1の画素光入射面851及び第2の画素光形成ユニット950から射出された第2の画素光が入射される第2の画素光入射面852を有し、また、第1の偏光成分を有する光と第2の偏光成分を有する光とを合成する偏光合成面を有している。そして、第1の画素光入射面851に入射された第1の画素光と、第2の画素光入射面852に入射された第2の画素光とを合成して投射光学系860に射出される。
【0224】
偏光合成プリズム850から射出されたカラー画像は、投射光学系860によって拡大投射され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
【0225】
以上のような構成において、例えば第1の画素光形成ユニット900の各光変調素子を第1のプロジェクタPJ1用の画像信号で制御し、第2の画素光形成ユニット950の各光変調素子を第2のプロジェクタPJ2用の画像信号で制御し、これらの画像信号を実施形態1〜実施形態3のいずれかの画像補正装置で生成すればよい。以上のように、実施形態5によれば、実施形態1〜実施形態4のいずれかの画像補正装置と、この画像補正装置からの画像信号に基づいて変調率が制御される複数の画素光形成手段と、複数の画素光形成手段からの画素光を合成する光合成手段とを含む画像表示システムを提供することができる。
【0226】
以上、本発明に係る画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0227】
(1)上記の実施形態では、出力目標値を決定する際に、基準画素として画像の中心画素を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画面内で輝度が最も高い画素を基準画素として採用してもよい。画面内で輝度が最も高い画素を基準画素とすることにより、中心画素を基準画素とする場合と比較して、補正によるコントラスト低下をより確実に避けることができる。
【0228】
(2)上記の実施形態では、出力目標値を決定する際に、RGB空間の各色成分の補正画素値が画素値最大値を超えるときに、B成分、R成分及びG成分の順序で処理したが、本発明は、色成分の処理の順序に限定されるものではない。
【0229】
(3)上記の実施形態では、測定値テーブルに、画像の全画素について各画素値の測定値が記憶されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、測定値テーブルに、所定の画素について所定の画素値の測定値のみを離散的に記憶しておき、測定値テーブルに記憶されない画素の測定値を、測定値テーブルに記憶された測定値を用いた公知のデータ補間法で求めるようにしてもよい。この場合、測定値テーブルの記憶容量を削減できる効果が得られる。
【0230】
(4)上記の実施形態では、プロジェクタを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係る画像表示装置として、液晶表示装置、やプラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等の画像表示を行う装置全般に適用できる。
【0231】
(5)上記の実施形態では画像補正装置が画像表示装置の外部に設けられていたが、画像表示システムを構成する複数の画像表示装置のいずれかに内蔵されていてもよい。
【0232】
(6)上記の実施形態では、光変調素子(光変調部)としてライトバルブを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調素子(光変調部)として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
【0233】
(7)上記の実施形態において、本発明を、画像補正装置、画像表示システム及び画像補正方法として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するための画像補正方法の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】図1の各プロジェクタに適用される画像表示装置の構成例のブロック図。
【図3】図2の第1のプロジェクタの構成例を示す図。
【図4】実施形態1におけるスクリーン上の表示画像の画素の一例の模式図。
【図5】実施形態1における画像補正装置の構成例のブロック図。
【図6】図5の測定値テーブルに格納される測定値が測定される画像の画素位置の説明図。
【図7】図5の測定値テーブルに格納される測定値の説明図。
【図8】実施形態1における画像補正装置のハードウェア構成例のブロック図。
【図9】実施形態1における画像補正装置の処理例のフロー図。
【図10】図9の出力目標値の決定処理の処理例のフロー図。
【図11】図10の各色成分の補正処理の処理例のフロー図。
【図12】実施形態1におけるB成分の出力目標値関数の説明図。
【図13】実施形態1におけるR成分の出力目標値関数の説明図。
【図14】実施形態1におけるG成分の出力目標値関数の説明図。
【図15】RGB空間の画素値からu´v´色度図のu´成分及びv´成分へ変換する処理の説明図。
【図16】図9のステップS116の処理例のフロー図。
【図17】実施形態1の効果の説明図。
【図18】図18(A)、図18(B)は実施形態1の効果についての他の説明図。
【図19】図19(A)、図19(B)は実施形態1の効果についての更に別の説明図。
【図20】図20(A)、図20(B)は実施形態2における輝度補完処理の説明図。
【図21】実施形態2における輝度補完処理の処理例のフロー図。
【図22】図22(A)、図22(B)は実施形態3における輝度補完処理の説明図。
【図23】実施形態3における輝度補完処理の処理例のフロー図。
【図24】実施形態4における輝度補完処理の説明図。
【図25】実施形態4における輝度補完処理の処理例のフロー図。
【図26】実施形態5におけるプロジェクタの構成例を示す図。
【符号の説明】
【0235】
10…画像表示システム, 24…光変調部, 26…投射部, 30…画像測定装置,
32…カメラ, 34…測定値処理部, 40…画像入力部, 42…スキャナ,
44…デジタルカメラ, 46…PC, 80…CPU, 82…ROM,
84…RAM, 86…I/F回路, 88…画像処理回路, 90…バス,
200…画像補正装置, 210…出力目標値生成部, 220…画像信号出力部,
222…出力飽和処理検出部, 224…出力目標値更新部,
226…補正信号出力部, 230…測定値テーブル,
PJ1〜PJL…第1〜第Lのプロジェクタ, SCR…スクリーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正装置であって、
前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成部と、
前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力部とを含むことを特徴とする画像補正装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記残りの画素光形成手段は、
前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記スクリーンに形成される表示画素の位置が近い順にn(nは2以上の整数)個の表示画素を形成することを特徴とする画像補正装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光を構成する各画素光が均等に輝度を上げるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが大きい画素光に対し、前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが小さい画素光より輝度増分が大きくなるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、各画素光の輝度に対応した画素値に応じた増分となるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記各画素光により前記スクリーンに形成される表示画素までの距離に応じた増分となるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載の画像補正装置と、
前記画像補正装置からの前記画像信号に基づいて輝度が制御される前記複数の画素光形成手段とを含み、
前記複数の画素光形成手段からの画素光を用いた画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正方法であって、
前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成ステップと、
前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力ステップとを含むことを特徴とする画像補正方法。
【請求項1】
複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正装置であって、
前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成部と、
前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力部とを含むことを特徴とする画像補正装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記残りの画素光形成手段は、
前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記スクリーンに形成される表示画素の位置が近い順にn(nは2以上の整数)個の表示画素を形成することを特徴とする画像補正装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光を構成する各画素光が均等に輝度を上げるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが大きい画素光に対し、前記複数の画素光のうち輝度増分のマージンが小さい画素光より輝度増分が大きくなるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、各画素光の輝度に対応した画素値に応じた増分となるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記画像信号出力部は、
前記複数の画素光を構成する各画素光に対し、前記第1の画素光形成手段からの画素光によりスクリーンに形成される表示画素の位置を基準に、前記各画素光により前記スクリーンに形成される表示画素までの距離に応じた増分となるように前記画像信号を補正することを特徴とする画像補正装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載の画像補正装置と、
前記画像補正装置からの前記画像信号に基づいて輝度が制御される前記複数の画素光形成手段とを含み、
前記複数の画素光形成手段からの画素光を用いた画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
複数の画素光形成手段からの画素光を用いた表示画素により形成される画像を補正する画像補正方法であって、
前記複数の画素光形成手段を構成する第1の画素光形成手段に対して、入力画像信号に対応した出力目標値を生成する出力目標値生成ステップと、
前記表示画素の輝度値が前記出力目標値となるように、前記複数の画素光形成手段のうち前記第1の画素光形成手段を除く残りの画素光形成手段からの複数の画素光の輝度を制御する各画素光形成手段用の画像信号を補正し、前記残りの画素光形成手段を構成する各画素光形成手段に出力する画像信号出力ステップとを含むことを特徴とする画像補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−168886(P2009−168886A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4042(P2008−4042)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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