説明

画像記録装置

【課題】ハウジング2の背面側に第1手差しトレイ30を収納可能に装着した画像記録装置でレーベル印刷も安全確実に行う。
【解決手段】光ディスクを載置した第2手差しトレイ45はハウジング2の前面開口部から進退移動可能に構成され、第2手差しトレイ45はその後端部が、背面開口部からハウジングの背面の外に突出するとき、押されて上向き回動する第1手差しトレイ32の姿勢を第1センサ51の信号により検知し、第2センサ52にて第2手差しトレイ45がレーベル印刷可能位置にあるか否かを検知し、これらの信号により、制御部は判定に従って、第2手差しトレイ上の被記録媒体に対するレーベル印刷を確実に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像や文字等のデータを複数種類の被記録媒体に記録(印刷)できる画像記録装置に係り、より詳しくは画像記録装置の装置本体の背面側に手差しトレイを備える一方、別の手差しトレイに載置したDVD等の被記録媒体にも画像記録(レーベル印刷)することができる構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット式やレーザ式のプリンタ、複写装置、ファクシミリ装置等の単機能型の画像記録装置、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能型の画像記録装置において、用紙などの被記録媒体を装置本体に対して手差し供給できる手差しトレイを備えたものが知られている。
【0003】
そのうち、特許文献1に記載の画像記録装置では、装置本体(ハウジング)の上部に原稿のデータなどを読み取る画像読取装置を備え、装置本体内の下部に用紙などの被記録媒体が堆積収容される給紙カセットを配置し、Uターン経路を介し上方の記録部に被記録媒体を搬送し、装置本体の前面開口部から排紙する一方、手差しに係る被記録媒体を記録部に供給するための第1手差しトレイを装置本体の背面側に基端が下になるように傾斜状に取付け、手差しに係る被記録媒体を前面開口部から排紙する構成が開示されている。
【0004】
他方、特許文献2に記載の画像記録装置では、上記構成に加えて、さらに、DVD等の第3の被記録媒体を載置した第2手差しトレイを装置本体の前面開口部から供給し、第3の被記録媒体の表面に上記記録部で画像記録(レーベル印刷)したのち、前面開口部に戻す構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−39557号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2006−91947号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2の構成では、第1手差しトレイが装置本体に対して姿勢固定的に設けられているため、第1手差しトレイの不使用時でも装置本体の背面側に第1手差しトレイのための空間を大きく採る必要があり、画像記録装置を設置するための設置空間が大きくなる問題があった。
【0007】
上記の問題を解決するため、上記第1手差しトレイをその下端側の支軸(ヒンジ部)を中心として、上記傾斜状の姿勢から、装置本体の背面と同一面となるように上向きに折り畳み回動可能に構成したものが提案され、公知となっている。
【0008】
しかしながら、不使用時に第1手差しトレイを上側へ折り畳み回動可能とする構成では、装置本体の背面には、上記支軸よりも上方に第1手差しトレイ自体を収納できるように高さ方向の大きい収納部を凹み形成しなければならない。一方、画像記録装置の記録部は装置本体内において高い位置に設けられており、それに向かって実質的に水平状に手差しに係る被記録媒体を供給しなければならないから、上記支軸の高さ位置は必然的に高い位置となる。従って、その収納部のために上記支軸より上方の装置本体の背面側寸法を大きくする必要がある。
【0009】
他方、画像記録装置を一層コンパクトにする要望があり、画像記録装置の前後方向の寸法を短くするには、記録部を装置本体の背面に近い側に配置することが好ましい。そうすると、第2手差しトレイ上のDVD等の第3の被記録媒体に画像記録(レーベル印刷)する場合には、当該第2手差しトレイの後端部が装置本体の背面から突出することになる。
【0010】
このように、第2手差しトレイの後端部の突出や上記第1手差しトレイの折り畳み回動可能とするには、装置本体の背面側に所定量の空間が必要となるが、ユーザーにはどの程度の空間が必要であるかを把握できず、第1手差しトレイ及び第2手差しトレイが部屋の壁などの他物とぶつかるおそれがあった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、装置本体の高さ寸法を大きくしないで、第1手差しトレイを収納可能に装着でき、且つ第2手差しトレイ上のDVD等の第3の被記録媒体に画像記録(レーベル印刷)することができるコンパクトな画像記録装置を供給するものでありながら、他物との衝突という不具合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の画像記録装置は、装置本体の下部には画像記録部より下方に、被記録媒体を堆積収納可能な給紙カセットが前記装置本体の前面開口部から前記装置本体の背面側に向かって進退動可能に配置され、前記給紙カセット上の被記録媒体が給紙手段により1枚ずつ分離されて送り出されるとともに、前記装置本体内の背面側に配置されたUターン搬送部により第1搬送路に対して上向きに搬送され、前記前面開口部方向に排紙されるように構成する画像記録装置であって、前記装置本体の背面側に備えられて被記録媒体を給送するための第1手差しトレイと、前記装置本体の前面から前記第1搬送路に挿抜可能な第2手差しトレイと、前記第1搬送路に連通しており、前記第2手差しトレイの後端部が前記装置本体の背面に突出するための第2搬送路とを有し、前記第1手差しトレイはヒンジ部を介して前記装置本体の背面下方から上方へ回動可能に構成され、前記装置本体内に設けられて前記第1手差しトレイが所定量上向き回動したか否かを検知する第1センサの信号により制御部は、その後の前記第2手差しトレイの搬送及び当該第2手差しトレイ上の被記録媒体への印字の実施可否判定を実行するように構成されているものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記第2手差しトレイの後端部が前記装置本体の外に突出する時、前記装置本体の背面側収納空間に収納された前記第1手差しトレイを上向き回動するように、前記第1手差しトレイの前記ヒンジ部の回動中心が前記第2搬送経路より上側に設けられているものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、前記背面開口部から前記装置本体の外への前記第2手差しトレイの突出量は、前記第1手差しトレイの使用時から不使用の間で回動する場合の前記装置本体の外への最大突出量よりも小さいものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像記録装置において、使用時における前記第1手差しトレイは前記装置本体の背面の外側にて斜め上向きの姿勢に保持可能に構成されているものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置において、前記装置本体内には、前記第2手差しトレイが前記第2搬送路中に位置するか否かを判定する第2センサが設けられているものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、被記録媒体を載置した第2手差しトレイは前面開口部から第1搬送路に対して進退移動可能に構成され、第2手差しトレイはその後端部が、背面開口部から装置本体の外に突出可能に構成され、装置本体内に設けられて第1手差しトレイが所定量上向き回動したか否かを検知する第1センサの信号により制御部は、その後の第2手差しトレイの搬送及び当該第2手差しトレイ上の被記録媒体への印刷の実施可否判定を実行するように構成されているものであるから、この制御の判定に従って、第2手差しトレイ上の被記録媒体に対するレーベル印刷を確実に行うことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、第2手差しトレイの挿入動作により、当該第2手差しトレイの後端部で、第1手差しトレイを上向き回動させることができて、第1及び第2の手差しトレイ間の干渉を確実になくすることができる。また、第1手差しトレイがヒンジ部により上下回動可能に連結され、不使用時において第1手差しトレイは下向き姿勢で装置本体内の背面側収納空間に収納可能となるので、装置本体の高さを高くしないで、第1手差しトレイを装置本体内に収納することができ、画像記録装置をコンパクトに形成できる効果を奏する。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、前記背面開口部から前記装置本体の外への前記第2手差しトレイの突出量は、前記第1手差しトレイの使用時から不使用の間で回動する場合の前記装置本体の外への最大突出量よりも小さく設定されているので、第2手差しトレイ上の被記録媒体に対するレーベル印刷を安全確実に行うことができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、使用時における第1手差しトレイは装置本体の背面の外側にて斜め上向きの姿勢に保持可能に構成されているものであるから、第1手差しトレイからの手差し印刷も可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、装置本体内には、第2手差しトレイがレーベル印刷のための第2搬送路中にあるか否かを判定する第2センサが設けられているものであるから、第2手差しトレイを装置本体内に挿入することにより、自動的なレーベル印刷の実行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用された画像記録装置の正面側の斜視図である。
【図2】同じく画像記録装置の背面側の斜視図である。
【図3】第1実施例の画像記録装置に概略側面図である。
【図4】第2手差しトレイの分解斜視図である。
【図5】(A)は第2手差しトレイで実行中の概略側面図、(B)はその背面図である。
【図6】作用説明のための概略側面図である。
【図7】制御のブロック図である。
【図8】レーベル印刷処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施形態(実施例)について、図面に基づいて説明する。
【0024】
電気装置の一例としての画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )である。図1に示す第1実施例では、画像記録装置1における装置本体としてのハウジング2を備えている。ハウジング2は合成樹脂製の射出成形品からなる。
【0025】
[画像記録装置の基本的構成]
ハウジング2の上面には、合成樹脂製の射出成形品からなる上側本体3が、第1ヒンジ部6を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に装着されている。即ち、ハウジング2の正面側(図1において左前側)に前面開口部2aが形成されているとき、ハウジング2に対する上側本体3の回動軸線としての枢軸部は前面開口部2aから最も遠いハウジング2の背面側に位置している。ハウジング2の上面のうち前寄り部位には、表示パネル4a及び操作スイッチ4bが備えられた操作パネル部4が配置されている。なお、左右(左側、右側)とは、ハウジング2の正面側(前面開口部2a側)に対峙してハウジング2または画像記録装置1を見たときを基準として左右をいう(以下同じ)。
【0026】
上側本体3内には、コピー機能やファクシミリ機能における画像読取装置5が組み込まれている。この画像読取装置5は、原稿を載置することができる原稿載置用のガラス板と、ガラス板の下側に配置された原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)とからなる(共に図示せず)。原稿カバー体7はガラス板上面を覆い、原稿を押圧する。密着型イメージセンサは図1のY軸方向に延びるガイド軸に沿って往復移動可能に設けられている。画像読取装置5の上面を覆う原稿カバー体7の後端は上側本体3の背面側と第3ヒンジ部8を介して開閉回動連結されている。
【0027】
他方、ハウジング2の一側(前面開口部2aを有する前側面)には、インク貯蔵部のための蓋体2bが前向き開閉可能に設けられ、インク貯蔵部には、図示しないが個別の色毎のカートリッジとして、この実施形態では、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のインクカートリッジが収納されており、各インクカートリッジと、画像記録部12におけるインクジェット式の記録ヘッド14とを、可撓性を有するインク供給管で常時連結している。
【0028】
他方、ハウジング2の底部には、図1及び図3に示すように、用紙を堆積収容する給紙カセット15が前面開口部2aに対してX軸方向に進退動可能に配置されている。本実施形態では、給紙カセット15は、被記録媒体(用紙)としての、例えば、A4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等にカットされた用紙を複数枚積層(堆積)されて収納できる形態とする。給紙カセット15の上部にてX軸方向に進退動可能設けられた補助給紙カセット(不図示)には、葉書などの小サイズの用紙を1乃至複数枚載せることが可能となっている。
【0029】
給紙カセット15の奥側には、用紙分離用に傾斜分離板16が配置されている。この傾斜分離板16の用紙の幅方向の中央部には、用紙の先端縁に当接して分離を促進するための鋸歯状の弾性分離パッド(不図示)が設けられている。
【0030】
ハウジング2側には、給紙手段17における給紙アーム17aの基端部が上下方向に回動可能に装着され、この給紙アーム17aの先端部に設けられた給紙ローラ17bには、給紙アーム17a内に設けられた歯車伝達機構により、駆動源からの回転が伝えられる。そして、この給紙ローラ17bと傾斜分離板16の弾性分離パッドとにより、給紙カセット15または補助給紙カセットに堆積された用紙を選択して一枚ずつ分離搬送される。分離された用紙は、横向きのUターン搬送部18及び実質的に水平状の第1搬送路19を介して、給紙カセット15より上側(高い位置)に設けられた画像記録部12に給送される。
【0031】
画像記録部12は、図3に示されるように、箱型のメインフレーム21とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状の第1および第2ガイド部材(不図示)との間に形成される。画像記録部12におけるインクジェット式の記録ヘッド14が下面に搭載されたキャリッジは、排紙方向の上流側の第1ガイド部材及び下流側の第2ガイド部材に跨って摺動自在に支持されているため、Y軸方向に往復移動可能になっている。
【0032】
キャリッジを往復移動させるために、排紙方向の下流側に配置された第2ガイド部材の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるようにタイミングベルト(図示せず)が配置され、このタイミングベルトを駆動するCR(キャリッジ)モータ(図示せず)は第2ガイド部材の下面に固定されている。
【0033】
キャリッジにおける記録ヘッド14の下面と対峙するように扁平状のプラテン26がY軸方向に延びている。
【0034】
プラテン26の排紙方向上流側には、図3に示すように、用紙を記録ヘッド14の下方に搬送するための搬送(レジスト)ローラ対27として、駆動ローラと、この駆動ローラに対向する下方にニップローラとが配置されている。また、プラテン26の排紙方向下流側には、画像記録部12を経た用紙を排紙方向に沿って搬送するように駆動される排紙駆動ローラと、これに対向して排紙駆動ローラ側に付勢された拍車ローラとからなる排紙ローラ対28とが配置されている。
【0035】
画像記録部12にて記録された用紙がその記録面を上向きにして排出される排紙トレイ20は、補助給紙カセット(不図示)の前側に一体的に形成され、排紙トレイ20に連通する排紙口がハウジング2の前面開口部2aと共通にして開口されている。
【0036】
[第1手差しトレイの構成]
次に、第1手差しトレイ30の第1実施例の構成について、図3、図5(A)、図5(B)に基づいて説明する。
【0037】
第1手差しトレイ30は、左右一対のアーム31とこの一対のアーム31間を繋ぐ載置板32と、載置板32の表面に設けられたサイドガイド33とが備えられたものである。各アーム31の基端には、ハウジング2の背面部に上下回動可能に連結するための第2ヒンジ部34が設けられている。載置板32は手差しに係る被記録媒体を載置させるものであり、この載置板32の縁32aは第2ヒンジ部34の軸心35に近い側に位置している。アーム31は載置板32よりも厚い寸法を有している。
【0038】
第1実施例では、第1手差しトレイ30は第2ヒンジ部34を中心として上下回動可能に設けられている。第2ヒンジ部34は、背面開口部41のうち上部寄り部位であって、第2搬送路22の水準高さよりも若干高い位置であって第1ヒンジ部6より下方に設定されている。
【0039】
サイドガイド33は、幅方向に隔てられた一対のスライダと、各スライダに立設されて載置板32に載せられた被記録媒体の給送方向と直交する被記録媒体の幅方向の両側縁を挟んで当接する当接板37と、各スライダから前記幅方向に延びるラック杆38と、載置板32の下面に回動自在に設けられて両ラック杆38に噛合うピニオン39とが備えられている。当接板37はアーム31の自由端側に行くに従って載置板32からの高さが大きくなるように形成されているため、逆にいえば、当接板37は第2ヒンジ部34に向かって高さが低く形成されているため、ユーザーが指で当接板37を摘んで操作しやすい摘み部としての機能をも有している。
【0040】
ユーザーが指で一方の当接板37を摘んで被記録媒体の幅方向に移動させると、一対の当接板37間の間隔が広狭方向に変位可能となっている。なお、スライダの下面に設けられ、載置板32の裏面に形成された係合歯と係脱可能に変位可能なロック部材(共に不図示)を有している。これにより、一対の当接板37間の間隔が所望の値となった状態で、一対の当接板37の位置を保持できるものである。
【0041】
そして、使用時における第1手差しトレイ30はハウジング2の背面の外側にて斜め上向きの姿勢となり(図3の実線状態参照)、第1手差しトレイ30上の被記録媒体は、第1搬送路19に連通し、且つハウジング2の背面2cまで延設された実質的に水平状の第2搬送路22に供給可能となっている。供給された被記録媒体は第2搬送路22からレジストローラ対27を介して画像記録部12へ搬送され、印刷後に第1搬送路19から前面開口部2aに排出される。
【0042】
ハウジング2の背面板2cには、Uターン搬送部18の背面側の収納空間40に第1手差しトレイ30をその自由端が下向き姿勢で収納可能な背面開口部41が設けられている。従って、不使用時において第1手差しトレイ30はその自由端が下位置となる下向き姿勢でUターン搬送部18よりも背面側の背面側収納空間40に収納可能となる(図3の二点鎖線状態参照)。この場合、第1手差しトレイ30におけるサイドガイドユニット33の全体も背面側収納空間40内に収納されるものとする。なお、第1手差しトレイ30が使用時の傾斜姿勢を保持できるようなストッパ手段(不図示)を備えている。
【0043】
上記の構成によれば、ハウジング2の高さ寸法を高くすることなく、不使用時において、第1手差しトレイ30をハウジング2の背面側の背面側収納空間40に収納可能となる一方、第1手差しトレイ30を使用状態に設定した時には、第1手差しトレイ30自由端側が上側本体3の上面に近づくことになるので、ハウジング2の前側上方からのユーザ−が視認し易くなるという効果を奏する。また、第1手差しトレイ30を背面側収納空間40に収納にした状態で、上側本体3を第1ヒンジ部6を中心にして開き回動してもハウジング2の背面側において、上側本体3と第1手差しトレイ30とは互いに干渉することがない。さらに、背面側収納空間40に収納にした状態の第1手差しトレイ30を使用状態まで回動するとき、ユーザ−が当接板37のうち背高い部位(第1手差しトレイ30の下端側(自由端側)を摘んで1手差しトレイ30を回動操作し易い。
【0044】
第3の被記録媒体の一例としてのCD−RやDVD等の光ディスクの表面にいわゆるレーベル印刷可能な第2手差しトレイ(レーベルトレイともいう)について、図4に基づいて説明する。
【0045】
[第2手差しトレイの構成]
図4は第2手差しトレイ45の概略斜視図であり、合成樹脂材からなる第2手差しトレイ45の表面には、第3の被記録媒体の一例としてのCD−RやDVD等の光ディスク46をセットできる円形溝47が凹み形成されている。光ディスク46と同一直径の円形溝47の中央部には光ディスク46の中央穴46aに嵌まる凸部47aが円形溝47の深さと同一の高さを有する。また、光ディスク46の表面は題名などのレーベルを画像記録部12で印刷記録できるレーベル印刷領域46bとなる。他方、光ディスク46の裏面は画像や音楽などのデータ記録領域である。
【0046】
ハウジング2内のうち前面開口部2a側には、光ディスク46をセットした第2手差しトレイ45の幅方向の両側を支持して第1搬送路19に沿って画像記録部12方向に第2手差しトレイ45を搬送するための補助搬送手段48が設けられている(図5(A)参照)。
【0047】
第2手差しトレイ45がセットされていない準備位置では、補助搬送手段48はハウジング内であって、前面開口部2a側に近い位置に停止している。トレイセット指令を画像記録装置1に入れると、補助搬送手段48が若干下降してのち、前面開口部2aから前方に一部露出する。この状態で、光ディスク46をセットした第2手差しトレイ45を補助搬送手段48に載せる。次いで、レーベル印刷準備指令を出すと、補助搬送手段48が記録部12に接近するように移動し、このとき、レジストローラ対27及び排紙ローラ対28の駆動ローラと従動ローラ(拍車ローラ)との上下間隔が広がり、その隙間に第2手差しトレイ45が挿入される。次いで、これらの駆動ローラと従動ローラ(拍車ローラ)の隙間が狭くなって第2手差しトレイ45が上下ローラにて挟持され、上記2つの駆動ローラの逆回転により、第2搬送部22を通過させて、第2手差しトレイ45の後端部をハウジング2の背面開口部41から外側に適宜寸法L1だけ突出する準備位置まで搬送させることができる(図5(A)参照)。その後、レーベル印刷指令を出すと、上記2つの駆動ローラが間欠的に正回転しながら第2手差しトレイ45上の光ディスク46のレーベル印刷領域46bに印刷記録がなされるのである。
【0048】
なお、第1手差しトレイ30における載置板32の縁32aは第2ヒンジ部34の軸心35に近い側に位置しており、第2搬送部22に沿う第2手差しトレイ45の水準位置が下向き状態の第1手差しトレイ30における載置板32の縁32aより下方となるため、第2手差しトレイ45の後端部が進行して載置板32の裏面に衝突した後は、第2手差しトレイ45のさらなる進行につれて第1手差しトレイ30を上向き回動させることができる。
【0049】
上記準備位置で、第2手差しトレイ45の後端部がハウジング2の背面開口部41から外側に突出する寸法L1は、第1手差しトレイ30が収納姿勢から使用状態の姿勢へ上向き回動するときの第1手差しトレイ30の先端(自由端)の最大突出量L2よりも小さく、且つ、使用時の上向き傾斜姿勢時の第1手差しトレイ30の先端の突出量よりも小さく設定されている(図6参照)。
【0050】
次に、第1手差しトレイ30の姿勢(回動状態)及び第2手差しトレイ45のハウジング2への挿入の有無の検出と、その検出信号による画像記録装置1の動作を実行する制御部50について説明する。
【0051】
図3、図5(A)及び図6に示すように、第1手差しトレイ30の第2ヒンジ部34の近傍のハウジング2内には、第1手差しトレイ30の姿勢(回動状態)を検知するための第1センサ51が設けられている。他方、ハウジング2内における背面開口部41の近傍には、ハウジング2内に挿入された第2手差しトレイ45の後端部が背面開口部41から突出してるか否かを検知できる第2センサ52が設けられている。図6に示すように、第1センサ51は透過型フォトインタラプタ51a等であり、第1手差しトレイ30の基部に一体的に回動するように設けられた被検出部51bの有無により、オンオフ信号を出力するものである。
【0052】
実施例では、第1手差しトレイ30が背面より外側にて水平状となる姿勢(最大突出量L2のときに相当)から第1手差しトレイ30の姿勢が使用状態、つまり、自由端側がハウジング2の背面より外側にて上側となるような傾斜姿勢までの回動範囲内では、被検出部51bが透過型フォトインタラプタ51aの光を遮るので(図6の二点鎖線状態参照)、検出信号がオンとなる。第1手差しトレイ30がその自由端側を下向きにしている状態から収納空間40の内部に収容されている状態の回動範囲内では、被検出部51bが透過型フォトインタラプタ51aの外に位置して光を遮断しないので(図6の実線状態参照)、検出信号はオフとなる。
【0053】
第2搬送路22中に設けられた第2センサ52は、リミットスイッチ等により構成され、第2手差しトレイ45の後端部が第2センサ52を通過してハウジング2の背面より外側に位置すると(第2手差しトレイ45上の光ディスク46への印刷処理可能位置に相当)、検出信号がオンとなり、それ以前の状態では、検出信号はオフとなるものである。
【0054】
図7は制御のためのブロック図を示す。マイクロコンピュータなどの電子式の制御部50には、図示していないが、制御プログラムが記憶されたROMと、検出信号等の各種データを記憶するRAMなどを備えている。制御部50には、上記の第1センサ51と、第2センサ52と、操作スイッチ4bと、表示パネル4aと、画像読取装置5と、画像記録部12と、補助搬送手段48などが接続されている。
【0055】
次に制御部50による制御態様について説明する。図8に示すフローチャートに示すように、レーベル印刷処理のサブルーチンでは、まず第1センサ51がオンか否かを判別する。ユーザーが第1手差しトレイ30を収納空間40から取り出し、上向き回動させて、当該第1手差しトレイ30が水平状から使用可能状態(斜め上向き状態)にセットすれば、第1センサ51がオンの判別がなされる(S1:yes )。図6に示すように、第1手差しトレイ30が水平状のとき最大突出量L2となるので、もし、他物(壁など)53aとハウジング2の背面2cとの水平距離がL2より大きいように、画像記録装置1を設置しておけば、第1手差しトレイ30の上下回動に差し障りが発生しない。逆に、他物(壁など)53bとハウジング2の背面2cとの水平距離がL2より小さい場合には、収納空間40から出ようとする第1手差しトレイ30の自由端が他物(壁など)53bに支えることになり、第1センサ51がオフのままである。この場合には(S1:no)、表示パネル4aに、「第1手差しトレイを開いて下さい」等と表示される(S2)から、ユーザーは第1手差しトレイ30の個所を見ることになる。
【0056】
第1手差しトレイ30を上向き回動させる動作は、第2手差しトレイ45(フローチャートでは、仮にCDホルダと称する)をハウジング2の前面開口部2aから挿入するものであっても良い。その場合には、図6に示すように、第2手差しトレイ45の後端部が下向き状態の第1手差しトレイ30における載置板32の裏面を押して、第2ヒンジ部34を中心として第1手差しトレイ30を押し上げることになる。いずれにしても、第1センサ51がオンの場合(S1:yes )には、表示パネル4aに、「CDホルダをセットして下さい」と表示される(S3)。第2手差しトレイ45(CDホルダ)の後端部が所定量L1だけハウジング2の背面から突出していると、第2センサ52がオンとなるので(S4:yes )、光ディスク46への印刷実施可能と判断されて、第2手差しトレイ45上の光ディスク46にレーベル印刷を実行する(S5)。1枚の光ディスク46へのレーベル印刷が終了すると、自動的に補助搬送手段48が作動して、第2手差しトレイ45(CDホルダ)がハウジング2の前面開口部2aから出る(S6)。
【0057】
このように制御することにより、画像記録装置1の設置個所において、当該画像記録装置1の背面と部屋の壁などの他物との水平方向の隙間寸法を第1手差しトレイ30の最大突出量L2より若干大きく採れば、第2手差しトレイ45(CDホルダ)を補助搬送手段48を使って挿入することにより、第1センサ51及び第2センサ52が共にオンとなるので、光ディスク46へのレーベル印刷が安全確実且つ迅速にできる。また、後に第1手差しトレイ30の上向き回動や第2手差しトレイ45の後端部の突出に際して他物が邪魔にならず、第2手差しトレイ45によるレーベル印刷に支障が起こらないことを保障することができるのである。
【0058】
なお、第1手差しトレイ30を作業姿勢に保持して、これによる手差し印刷も、図3の状態で実行することができる。この場合、第1手差しトレイ30の使用時の姿勢において、載置板32に載せられた被記録媒体が第2搬送部22からレジストローラ対27に円滑に導かれるように、Uターン搬送部18の上端から背面開口部41に向かって延びる補助水平ガイド板の上側が第2搬送路22となることが好ましい(図5(A)、図6参照)。
【0059】
他の実施形態として、第1手差しトレイ30に、被記録媒体の後部側を支持するための補助載置板(不図示)を伸縮可能または折り畳み可能に備えているようにしても良い。
【0060】
本発明は、多機能型の画像記録装置1ばかりでなく、単機能型の画像記録装置についても適用できることはいうまでもなく、その場合にも上記と同様の作用・効果を奏することができるものである。
【符号の説明】
【0061】
2装置本体としてのハウジング
4操作パネル部
5画像読取装置
6第1ヒンジ部
12画像記録部
15給紙カセット
19第1搬送部
22第2搬送路
30第1手差しトレイ
32載置板
34第2ヒンジ部
40収納空間
41背面開口部
45第2手差しトレイ
46光ディスク
50制御部
51第1センサ
52第2センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の下部には画像記録部より下方に、被記録媒体を堆積収納可能な給紙カセットが前記装置本体の前面開口部から前記装置本体の背面側に向かって進退動可能に配置され、前記給紙カセット上の被記録媒体が給紙手段により1枚ずつ分離されて送り出されるとともに、前記装置本体内の背面側に配置されたUターン搬送部により第1搬送路に対して上向きに搬送され、前記前面開口部方向に排紙されるように構成する画像記録装置であって、
前記装置本体の背面側に備えられて被記録媒体を給送するための第1手差しトレイと、前記装置本体の前面から前記第1搬送路に挿抜可能な第2手差しトレイと、前記第1搬送路に連通しており、前記第2手差しトレイの後端部が前記装置本体の背面に突出するための第2搬送路とを有し、
前記第1手差しトレイはヒンジ部を介して前記装置本体の背面下方から上方へ回動可能に構成され、
前記装置本体内に設けられて前記第1手差しトレイが所定量上向き回動したか否かを検知する第1センサの信号により制御部は、その後の前記第2手差しトレイの搬送及び当該第2手差しトレイ上の被記録媒体への印字の実施可否判定を実行するように構成されていることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記第2手差しトレイの後端部が前記装置本体の外に突出する時、前記装置本体の背面側収納空間に収納された前記第1手差しトレイを上向き回動するように、前記第1手差しトレイの前記ヒンジ部の回動中心が前記第2搬送経路より上側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記背面開口部から前記装置本体の外への前記第2手差しトレイの突出量は、前記第1手差しトレイの使用時から不使用の間で回動する場合の前記装置本体の外への最大突出量よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
使用時における前記第1手差しトレイは前記装置本体の背面の外側にて斜め上向きの姿勢に保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記装置本体内には、前記第2手差しトレイが前記第2搬送路中に位置するか否かを判定する第2センサが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−207145(P2011−207145A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78814(P2010−78814)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】