説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】省エネモードから復帰して読取を行う場合、復帰時間を短縮し、画質の低下を防止すること。
【解決手段】画像読取装置は、ユーザーからの操作によって動作指示が所定時間ないと省エネモードへ移行し、省エネモードからの復帰要求があり省エネモードから復帰して読取を行う場合、自動ゲイン調整を実施せず前回値を用いて画像読取を行い、スキャン中にゲイン調整値を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子としてCCD等のイメージセンサを用いたスキャナ装置等の画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機等の読取部は、原稿画像を光電変換素子で読み取り、光電変換素子から出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換して出力する画像読取装置を備えている。このため、画像読取装置ではアナログ処理部とデジタル処理部とを備え、各種信号処理を施すようにしている。
【0003】
一般には光電変換素子で読み取ったアナログ信号に対してゲイン調整、オフセット補正等の処理を行った後に、デジタルデータへの変換を行い、シェーディング補正処理等を経て、後段の画像処理部に出力させるようにしている。
【0004】
上記ゲイン調整を行うため、短時間の省エネモード(スリープモード)からの復帰時に、初期化処理を行わず事前に行った初期化データを参照する技術があるが、省エネモード移行期間中に読取装置内のミラー、レンズ等に汚れが発生した場合等に画質が低下する可能性がある。
【0005】
また、省エネモードからの復帰毎に自動ゲイン調整(以下AGC:AutoGainControl)を行うとシステム復帰時間が大きくなり、システム復帰時間を短縮するためにAGCを行わないと画質が低下するという問題点がある。
【0006】
ここで、デジタル処理部側におけるオフセットレベル検出手段によりデジタル信号からオフセットレベルを検出し、目標レベルに対する補正値を補正値算出手段により算出した後、D/A変換手段によりアナログ補正信号に変換してオフセットレベル補正手段によりアナログ処理部中の増幅回路に直接フィードバックさせてオフセットレベルを補正することで、従来のようにドループを生じ得るクランプ回路を用いる必要がなく、ドループによるオフセットレベルの変化がなく、オフセットレベルを常に一定に保つことで、クランプ回路を用いることなくオフセットレベルの補正を簡単な構成で随時適正に行なうことができる画像読取装置を提供する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−057899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明においては、省エネモードから復帰時に、AGCを行わないためシステム復帰時間を短縮することができる。またスキャン中にゲイン調整値を補正するので、画質の低下を防止することを目的とする。
【0008】
また1スキャン毎又は1ジョブ毎にスキャン中にゲイン調整値の補正を行うことにより、読取時間の短縮と画質の最適化を図ることを目的とする。
【0009】
省エネモード移行時間に応じて、スキャン中のゲイン調整値の補正の実施/未実施を切り替え、補正レベルを切り替えることにより、読取時間の短縮と画質の最適化を図ることを目的とする。
【0010】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、アナログゲインを調整することにより量子化誤差をなくすことができ、デジタルゲインを調整することによりレベルを細かく調整できることを目的とする。
【0011】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、ゲインを小さい方から調整し、サンプリングポイントを2点以上平均することにより、信号の飽和を防止できることを目的とする。
【0012】
また電源オフ時間が短い場合に、電源オン直後のAGCは実施せず、前回調整値を不揮発メモリにセーブしておき、スキャン中にゲイン調整値の補正を行うことにより、読取時間の短縮と画質の最適化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明は、原稿からの反射光を受光してその光量に応じたアナログ信号を出力するイメージセンサ、イメージセンサから出力されるアナログ信号を増幅する増幅回路を有するアナログ処理部、アナログ処理部から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段、A/D変換手段により変換されたデジタル信号に対してシェーディング補正処理等の各種デジタル補正処理を行うデジタル処理部を有する画像読取装置において、ユーザーからの操作によって動作指示が所定時間ないと省エネモードへ移行し、省エネモードからの復帰要求があり省エネモードから復帰して読取を行う場合、自動ゲイン調整を実施せず前回値を用いて画像読取を行い、スキャン中にゲイン調整値を補正することを特徴とする画像読取装置である。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、スキャン中のゲイン調整値の補正は、1スキャン毎に行うことを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、スキャン中のゲイン調整値の補正は、1ジョブ毎に行うことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、省エネ移行時間に応じてスキャン中のゲイン調整値の補正の実施/未実施を切り替えることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、省エネ移行時間に応じてスキャン中のゲイン調整値の補正のレベルを切り替えることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、スキャン中のゲイン調整値の補正は、アナログゲインを調整することを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、スキャン中のゲイン調整値の補正は、デジタルゲインを調整することを特徴とする。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、スキャン中のゲイン調整値の補正は、アナログゲイン+デジタルゲインの組み合わせで調整することを特徴とする。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、スキャン中のゲイン調整値の補正は、信号が飽和しないようにゲイン値を小さい方から調整することを特徴とする。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、スキャン中のゲイン調整値の補正は、信号が飽和しないようにサンプリングポイントゲインを2点以上平均して調整することを特徴とする。
【0023】
請求項11記載の発明は、電源オフ時間が短い場合には、電源オン直後の自動ゲイン調整は実施せず、前回調整値を不揮発メモリにセーブしておき、スキャン中にゲイン調整値の補正を行うことを特徴とする画像読取装置である。
【0024】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11の画像読取装置を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、省エネモードから復帰して読取を行う場合、AGCを実施せず前回
調整値を用いて画像読取を行い、スキャン中にゲイン調整値を補正しているので、復帰時間を短縮し、画質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るカラー画像読取装置の全体構成図である。
スキャナ本体に関しての構成の説明を行う。
【0027】
原稿台ガラス(8)上に置かれた原稿は、第1ミラー(3)と照明ランプ(2)により照射される。
【0028】
第1ミラー(3)と照明ランプ(2)は第1キャリッジ(31)に搭載されており、原稿台下部を移動しながら走査を行う。原稿からの反射光は、第1ミラー(3)及び第2キャリッジ(32)上の第2ミラー(5)、第3ミラー(4)で走査され、レンズ(1)により集束され、CCDが搭載されたSBU(10)に照射されることにより電気信号に光電変換される。
【0029】
第1ミラー(3)、照明ランプ(2)及び第2ミラー(5)、第3ミラー(4)をそれぞれ搭載する第1・2キャリッジは、走行体モータ(9)を駆動源として、キャリッジホーム位置から最大走査領域方向(図左右方向)に移動可能となっている。
【0030】
次に、ARDF(自動両面原稿搬送装置)部に関しての構成の説明を行う。
原稿台(11)の原稿ガイド(12)に沿って積載された原稿は、片面原稿読み取りを選択した場合には呼び出しコロ(14)、給紙ベルト(16)により搬送コロ(15)、分離コロ(17)、第1搬送ローラによりDF用原稿ガラス(6)と反射ガイド板(20)との間の読取位置を経て、第2搬送ローラ(21)及び排紙ローラ(23)へ送り込まれ、原稿が排出される。DF用原稿ガラス前にはレジストセンサー(19)が配置されており、読取部への紙の進入(先端)や後端部のタイミングを検知できる。
【0031】
一方、両面原稿読み取りを選択した場合には、まず原稿の表面の読み取りを上記、片面原稿読み取りを選択した場合と同様に実施する。原稿の表面の読み取りに関して説明を行う。
【0032】
呼び出しコロ(14)給紙ベルト(16)により搬送コロ(15)、分離コロ(17)、第1搬送ローラによりDF用原稿ガラス(6)と反射ガイド板(20)との間の読取位置を経て、第2搬送ローラ及び排紙ローラ(23)へ送り込まれ、原稿を排出せずに、分岐爪(24)が下方へ切り換えられて反転ローラ(25)により反転テーブル(26)上へ移送される。原稿の後端が排紙ローラ(23)を抜けた後に分岐爪(24)が上方へ切り換えられて一旦、反転ローラが停止する。
【0033】
次に、原稿の裏面の読み取りに関して説明を行う。原稿の裏面の読み取りを実施するためには、一旦、停止していた反転ローラ(25)を上記とは逆方向へ回転させることにより原稿が反転テーブル(26)から第1搬送ローラ(18)の方向へ搬送され、更に第1搬送ローラ(18)を経て表面と同様にDF用原稿ガラス(6)と反射ガイド板(20)との間の読取位置を経て、第2搬送ローラ(21)及び排紙ローラ(23)へ送り込まれ、その後、原稿が排出される。
【0034】
原稿は、表面、裏面の読み取り共にDF用原稿ガラス(6)と反射ガイド板(20)との間の読取位置を通過する際に、読取位置の近傍に停止されている照明ランプ(2)により照射され、その反射光は、第1ミラー(3)及び一体に構成された第2ミラー(5)、第3ミラー(4)で走査される。
【0035】
以下原稿台の場合と同様に光電変換される。ARDFの呼び出しコロ(14)、給紙ベルト(16)、搬送コロ(15)、分離コロ(17)の給紙機 構は給紙モータ(図示せず)により駆動されている。
【0036】
又、第1搬送ローラ(18)、第2搬送ローラ(21)、排紙ローラ(23)、反転ローラ(25)の搬送機構は搬送モータ(図示せず)により駆動されている。
【0037】
更に、ARDFには原稿を検知するために原稿台(11)へ原稿がセットされているか否かを検知するセットセンサ(13)、原稿サイズを検知するための幅サイズ検知基板(28)、原稿長さセンサ1(29)と原稿長さセンサ2(30)、原稿の後端を検知するための原稿後端センサ(27)が搭載されている。スキャナ本体にはスキャナ本体及びARDFを含めたカラー画像読取装置の動作制御を行うSCU(7)が搭載されている。
【0038】
図2、図3は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の全体ブロック図である。
図2と図3で制御ブロック構成を説明する。
【0039】
SBU(10)上のCCD(100)に入光した原稿の反射光は、CCD内で光の強度に応じた電圧値を持つアナログ信号に変換され、奇数ビットと偶数ビットに分かれて出力される。
【0040】
上記SBU(10)のアナログ画像信号は、VIOB(33)上でアナログ処理回路(101)で暗電位部分が取り除かれ、奇数ビットと偶数ビットが合成され、所定の振幅にゲイン調整された後にA/Dコンバータ(102)に入力されデジタル信号化される。
【0041】
デジタル化された画像信号は、シェーディング部(103)によりシェーディング補正されVIOBからSCU上のIPU(104)で、ガンマ補正、MTF補正等の画像処理が行なわれた後、同期信号画像クロックとともにビデオ信号として、画像データ記憶手段(SDRAM106)を管理するメモリ−コントローラ(105)に入力され、SDRAMで構成される画像メモリに蓄えられる。
【0042】
画像メモリに蓄えられた画像データは、外部I/Fドライバ(107)に送られ、パソコンやプリンタ等の出力装置へ転送される。(実施例の外部I/FドライバーはSCSI,IEEE1394、LANなどドライバーやローカルVideo信号などを総称して記載している)SCU(7)上には、CPU(108)、ROM(109)、RAM(110)、モータコントローラ(112)が実装されており、CPUは、スキャナ本体のステッピングモータである走行体モーター(9)ARDFの給紙モーター(図示せず)、搬送モーター(図示せず)のタイミング制御も行なっている。
【0043】
ADU(42)は、ARDF部に用いる電装部品の電力供給を中継する機能を有している。SCU(7)上のCPUに接続されている入力ポートは、VIOB(31)を介して本体操作パネル:SOP(43)に接続されている。本体操作パネル:SOP(43)上にはスタートスイッチ(図示せず)と停止スイッチ(図示せず)が実装されている。それぞれのスイッチが押下されると入力ポートを介してCPUはスイッチがONされたことを検出する。
【0044】
信号処理基板VIOB(33)上に搭載された信号処理回路の概略ブロック図を図4に示す。
【0045】
図4に示すように、CCD(100)から偶数(EVEN)及び奇数(ODD)画素の2系統のアナログ信号が出力され、アナログ処理部(131)に出力される。前記アナログ処理部(131)は増幅回路としてアンプ(132)(133)を有しており、アナログ信号をゲイン分増幅して出力する。
【0046】
上記アナログ処理部(131)の出力側にはA/D変換手段としてのA/Dコンバータ(137)、(138)を有するデジタル処理部(136)が設けられている。前記デジタル処理部(136)の中にはA/Dコンバータ(137)(138)により各々変換されたデジタル信号が入力される信号補正部(139)が設けられている。前記信号補正部(139)はシェーディング補正処理、その他の各種デジタル補正処理を行うものであり、補正処理後のデジタル画像データを後段の画像処理部IPU(104)に出力する。
【0047】
請求項1のフローチャートを図5に示す。
まず、ユーザーからの操作による動作指示があるかを判断し(S10)、所定時間Tまでユーザーから操作指示がない場合(S12)、省エネモードへ移行する(S12)。省エネモード移行中は復帰要求の有り無しを監視し(S13)、復帰要求があれば省エネモードから復帰し(S14)、待機モードになる(S15)。
【0048】
ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作の指示があれば(S16)、AGCは行わず前回値を用いて読取動作を行い(S17)スキャン中にAGCを行いゲイン調整値を補正する(S18)。
【0049】
所定枚数の読み取り後、終了する(S19)。
【0050】
AGC(S18)は、光電変換素子(CCD、100)の出力信号の最大レベル(白レベル)のばらつきを吸収する目的で行い、最大レベルのデータがほぼ同じレベルになるようにプログラマブルにゲインを設定する。ゲイン調整値の補正方法の一例を以下に示す。CPU(108)は読取動作の動作プログラムに従って、スキャン中の紙間のタイミングで第1キャリッジ(31)を原稿ガラス(8)とDF用原稿ガラス(6)に挟まれた部分に配置される基準白板の位置に移動させる。そして基準白板のピークデータDwpを読み取る。次にピークデータDwpが所定範囲Dp±Bに入っているかをチェックする。Dpは調整目標値でアナログ画像信号のピーク値がA/DC(137,138)の上側基準電圧Vrefwを超えない値(マージンを考慮して例えば上側基準電圧Vrefwの約80%)である。これはA/DCの性能を十分引き出して精度の高いデジタル信号を取り出すためである。また、Bは調整公差である。
【0051】
ピークデータDwpが所定範囲Dp±Bに入っている場合は、この時の設定データをNVRAM(111)に保存する。ピークデータDwpが所定範囲Dp±Bに入っていない場合には、アナログゲイン調整(133)の制御電圧Vgを制御して所定範囲になるように設定する。設定後に再度ピークデータDwpを読み取り、所定範囲Dp±Bに入っているかをチェックする。ピークデータDwpが所定範囲Dp±Bに入るようにこれらの動作を繰り返し行う。
【0052】
請求項2のフローチャートを図6に示す。
【0053】
まず、ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作指示の有無を監視し(S20)、読取動作の指示があれば、前回値を用いて読取動作を行い(S21)、1スキャン毎にスキャン中にAGCを行いゲイン調整値を補正する(S22)。読取枚数をカウントし(S23)、所定枚数X枚の読み取りを行い終了する(S24)。
【0054】
請求項3のフローチャートを図7に示す。
【0055】
ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作指示の有無を監視し(S30)、読取動作の指示があれば、前回値を用いて読取動作を行い(S31)、1枚目のスキャン中にAGCを行いゲイン調整値を補正する(S32)。読取枚数をカウントし(S33)、1ジョブの所定枚数になっていないかを判断し(S34)、1ジョブの所定枚数まで読取動作を行う(S36)。所定の回数のジョブが完了したかを判断し、所定ジョブ回数に達したら読取を終了する(S35)。
【0056】
請求項4のフローチャートを図8に示す。
【0057】
省エネモード移行中かを判断し(S40)、省エネモード移行中であれば復帰要求の有り無しを判断し(S41)、復帰要求があれば移行時間を判断し(S42)、移行時間が所定時間T1より小さければ読取動作を行い(S43)、スキャン中のAGCは行わずに所定枚数の読取を行う(S44)。一方、移行時間が所定時間T1より大きければ読取動作を行い(S45)、スキャン中にAGCを行う(S46)。その後、所定枚数まで読取動作を行い(S47)、所定枚数に達すると終了する(S48)。
【0058】
請求項5のフローチャートを図9に示す。
【0059】
省エネモード移行中かを判断し(S500)、省エネモード移行中であれば復帰要求の有り無しを判断し(S501)、復帰要求があれば移行時間を判断し(S502)、移行時間が所定時間T2より小さければ読取動作を行い(S503)、スキャン中に例えばデジタルゲインを調整してゲイン調整値の補正AGC2を行い(S504)、所定の読取動作を行う(S505,S506)。一方、移行時間が所定時間T2より大きければ読取動作を行い(S507)、スキャン中に例えばアナログゲイン+デジタルゲインを調整してゲイン調整値の補正AGC3を行い(S508)、所定の読取動作を行う(S509,S510)。
【0060】
請求項6のフローチャートを図10に示す。
【0061】
ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作指示の有無を監視し(S60)、読取動作の指示があれば、前回値を用いて読取動作を行い(S61)、1枚目のスキャン中にアナログゲインを調整してゲイン調整値を補正AGC1する(S62)。読取枚数をカウントし(S63)、所定枚数になっていないかを判断し(S64)、所定枚数まで読取動作を行う(S65)。
【0062】
AGC1(S62)は、スキャン中の紙間のタイミングで第1キャリッジ(31)を基準白板の位置に移動させ、基準白板のピークデータDwpを読み取り、ピークデータDwpが所定範囲Dp±Bに入っていればデータをNVRAM(111)に保存し、入っていなければアナログゲイン調整(133)の制御電圧Vgを制御して所定範囲になるように設定する。
【0063】
請求項7のフローチャートを図11に示す。
【0064】
ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作指示の有無を監視し(S70)、読取動作の指示があれば、前回値を用いて読取動作を行い(S71)、1枚目のスキャン中にデジタルゲインを調整してゲイン調整値を補正AGC2する(S72)。読取枚数をカウントし(S73)、所定枚数になっていないかを判断し(S74)、所定枚数まで読取動作を行う(S75)。
【0065】
AGC2(S72)は、スキャン中の紙間のタイミングで第1キャリッジ(31)を基準白板の位置に移動させ、基準白板のピークデータDwpを読み取り、ピークデータDwpが所定範囲Dpd±Bdに入っていればデータをNVRAM(111)に保存し、入っていなければピークデータDwpdが所定範囲Dpd±Bdに入るように信号補正部(139)にてプログラマブルにデジタルゲインを設定する。
【0066】
請求項8のフローチャートを図12に示す。
【0067】
ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作指示の有無を監視し(S80)、読取動作の指示があれば、前回値を用いて読取動作を行い(S81)、1枚目のスキャン中にアナログゲイン+デジタルゲインを調整してゲイン調整値を補正AGC3する(S82)。読取枚数をカウントし(S83)、所定枚数になっていないかを判断し(S84)、所定枚数まで読取動作を行う(S85)。
【0068】
AGC3(S82)は、スキャン中の紙間のタイミングで第1キャリッジ(31)を基準白板の位置に移動させ、基準白板のピークデータDwpを読み取り、ピークデータDwpが所定範囲Dp±Bに入るようにアナログゲイン調整を行い、その後ピークデータDwpが所定範囲Dpd±Bdに入るようにデジタルゲイン調整を行う。
【0069】
請求項9のフローチャートを図13に示す。
【0070】
ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作指示の有無を監視し(S90)、読取動作の指示があれば、前回値を用いて読取動作を行い(S91)、1枚目のスキャン後にゲイン調整値をリセットして(S92)、ゲイン調整値を最小値にセットし(S93)、AGCを行う(S94)。調整値が目標値に等しいかを判断し(S95)、等しくなければゲイン調整値を大きくしてAGCを再度行い、目標値に等しくなるまで調整を繰り返す(S93〜95)。調整値が目標値に等しくなれば、読取枚数をカウントし(S96)、読取動作を行い(S97)、所定枚数になっていないかを判断し(S98)、所定枚数まで読取動作を行う。
【0071】
ゲイン調整値の補正方法の一例を以下に示す。CPU(108)は読取動作の動作プログラムに従って、スキャン中の紙間のタイミングで第1キャリッジ(31)を基準白板の位置に移動させる。そしてアナログゲイン調整(133)をリセットしてゲイン調整値を最小値にセットし、基準白板のピークデータDwpoを読み取る。次にピークデータDwpoが所定範囲Dp±Bに入っているかをチェックする。
【0072】
ピークデータDwpoが所定範囲Dp±Bに入っていない場合は、アナログゲイン調整(133)の制御電圧Vgを大きくして所定範囲になるように設定する。設定後に再度ピークデータDwpを読み取り、所定範囲Dp±Bに入っているかをチェックする。ピークデータDwpが所定範囲Dp±Bに入るようにこれらの動作を繰り返し行う請求項10のフローチャートを第14図に示す。
【0073】
ユーザーからコピーモード、スキャナモード等の読取動作指示の有無を監視し(S100)、読取動作の指示があれば、前回値を用いて読取動作を行い(S101)、1枚目のスキャン後に2点以上のサンプリング値を平均して(S102)、AGCを行う(S103)。調整値が目標値に等しいかを判断し(S104)、等しくなければ再度2点以上のサンプリング値を平均してAGCを行い、目標値に等しくなるまで調整を繰り返す(S102〜104)。調整値が目標値に等しくなれば、読取枚数をカウントし(S105)、読取動作を行い(S106)、所定枚数になっていないかを判断し(S107)、所定枚数まで読取動作を行う。
【0074】
2点以上のサンプリング値を平均してAGCを行う理由は、キセノンランプを光源として用いた場合、水銀蛍光灯、ハロゲンランプ等の光源に比べて安定度は高く、短時間で安定する傾向があるものの点灯直後から安定するまでの光量変動(時間−光量の傾き)が大きいため、点灯直後にAGCを行うとアナログ画像信号のピーク値がA/DCの入力範囲上限に近づく可能性があった、そこで2点以上のサンプリング値を平均してAGCを行うことにより、アナログ画像信号のピーク値がA/DCの入力範囲の飽和領域に近づくことを防止する。
【0075】
以下に各請求項ごとの効果を述べる。
請求項2の発明においては、1スキャン毎にゲイン調整値を補正しているので、画質の低下を防止することが出来る。
【0076】
請求項3の発明においては、1ジョブ毎にゲイン調整値を補正しているので、読取時間を短縮することが出来る。
【0077】
請求項4の発明においては、省エネ移行時間に応じてスキャン中のゲイン調整値の補正の実施/未実施を切り替えているので、復帰時間を短縮することが出来る。
【0078】
請求項5の発明においては、省エネ移行時間に応じてスキャン中のゲイン調整値の補正のレベルを切り替えているので、復帰時間を短縮でき画質の低下も防止することが出来る。
【0079】
請求項6の発明においては、スキャン中のゲイン調整値の補正は、アナログゲインを調整しているので、量子化誤差をなくすことが出来る。
【0080】
請求項7の発明においては、スキャン中のゲイン調整値の補正は、デジタルゲインを調整しているので、信号レベルを細かく調整できる。
【0081】
請求項8の発明においては、スキャン中のゲイン調整値の補正は、アナログゲイン+デジタルゲインの組み合わせで調整しているので、量子化誤差を小さくし、信号レベルを細かく調整できる。
【0082】
請求項9の発明においては、スキャン中のゲイン調整値の補正は、ゲイン値を小さい方から調整しているので、信号の飽和を防止できる。
【0083】
請求項10の発明においては、スキャン中のゲイン調整値の補正は、サンプリングポイントゲインを2点以上平均して調整しているので、信号の飽和を防止できる。
【0084】
請求項11の発明においては、電源オフ時間が短い場合には、電源オン直後のAGCは実施せず、前回調整値を不揮発メモリにセーブしておき、スキャン中にゲイン調整値を補正しているので、読取時間の短縮と画質の最適化を図ることが出来る。
【0085】
請求項12の発明においては、事業形態として画像読取装置を備えた画像形成装置が考えられる為、クレームとして記載する。
【0086】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係るカラー画像読取装置の全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像読取装置の全体ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像読取装置の全体ブロック図である。
【図4】信号処理回路の概略ブロック図である。
【図5】請求項1のフローチャートである。
【図6】請求項2のフローチャートである。
【図7】請求項3のフローチャートである。
【図8】請求項4のフローチャートである。
【図9】請求項5のフローチャートである。
【図10】請求項6のフローチャートである。
【図11】請求項7のフローチャートである。
【図12】請求項8のフローチャートである。
【図13】請求項9のフローチャートである。
【図14】請求項10のフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
100 CCD
131 アナログ処理部
132、133 アンプ
136 デジタル処理部
137,138 A/Dコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿からの反射光を受光してその光量に応じたアナログ信号を出力するイメージセンサ、前記イメージセンサから出力されるアナログ信号を増幅する増幅回路を有するアナログ処理部、前記アナログ処理部から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段、前記A/D変換手段により変換されたデジタル信号に対してシェーディング補正処理等の各種デジタル補正処理を行うデジタル処理部を有する画像読取装置において、
ユーザーからの操作によって動作指示が所定時間ないと省エネモードへ移行し、省エネモードからの復帰要求があり省エネモードから復帰して読取を行う場合、自動ゲイン調整を実施せず前回値を用いて画像読取を行い、スキャン中にゲイン調整値を補正することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、1スキャン毎に行うことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、1ジョブ毎に行うことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
省エネ移行時間に応じてスキャン中のゲイン調整値の補正の実施/未実施を切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】
省エネ移行時間に応じてスキャン中のゲイン調整値の補正のレベルを切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項6】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、アナログゲインを調整することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項7】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、デジタルゲインを調整することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項8】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、アナログゲイン+デジタルゲインの組み合わせで調整することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項9】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、信号が飽和しないようにゲイン値を小さい方から調整することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項10】
スキャン中のゲイン調整値の補正は、信号が飽和しないようにサンプリングポイントゲインを2点以上平均して調整することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項11】
電源オフ時間が短い場合には、電源オン直後の自動ゲイン調整は実施せず、前回調整値を不揮発メモリにセーブしておき、スキャン中にゲイン調整値の補正を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項1から11の画像読取装置を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−306581(P2008−306581A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153193(P2007−153193)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】