説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】ADFユニットが開閉駆動モータによって開閉駆動される構成において、操作者の安全性を確保する。
【解決手段】原稿の画像を読み取るスキャナユニット上に、ADFユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられて、開スイッチまたは閉スイッチの操作によってADFユニットが開閉駆動モータにより開閉駆動される。この場合、スキャナユニットのプラテンガラス上での操作者による原稿のセットが完了するまで(ステップS7およびS8)、または、ADFユニットの原稿給紙トレイ上での操作者による原稿のセットが完了するまで(ステップS2およびS3)、開閉駆動モータの駆動が禁止され(ステップS5)、原稿のセットが完了したと判断される場合には開スイッチまたは閉スイッチの操作にしたがって開閉駆動モータが制御される(ステップS4およびS9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取るスキャナユニット上に、当該スキャナユニットに原稿を搬送する自動原稿搬送ユニット(ADFユニット)がヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられるとともに、ADFユニットが開閉駆動手段によって開閉駆動される構成になった画像読取装置、および、そのような画像読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置では、複数枚の原稿の画像を読み取る際の操作性、読み取り効率等を向上させるために、原稿の画像を読み取るスキャナユニット上に、スキャナユニットに対して原稿を自動搬送する自動原稿搬送ユニット(ADFユニット)が設けられた画像読取装置が採用されている。また、このような画像読取装置では、ADFユニットを使用することなく、スキャナユニットの上面に設けられたプラテン(コンタクト)ガラス上に操作者による手作業によって原稿がセットされるように、ADFユニットをスキャナユニットに対してヒンジ機構によって回動可能に連結する構成とされている。
【0003】
ADFユニットが開閉可能になった画像読取装置では、ADFユニットが比較的重くなっており、スキャナユニットのプラテンガラス上に原稿を操作者が手作業によって載置する場合には、操作者は、ADFユニットを上方に回動させる操作を行う必要があり、その操作が操作者に大きな負担になる場合がある。特に、高速機能等の高機能を有するADFユニットは、大型であって重量も増加しているために、操作者にとってADFユニットの開閉操作は大きな負担になり、煩わしいものとなっている。
【0004】
このために、スキャナユニットとADFユニットとをヒンジ機構によって連結して、モータ等の駆動手段によって、ADFユニットをスキャナユニットに対して自動的に開閉する構成も開発されている。この場合、例えば、開閉スイッチの操作によって開指示または閉指示されることにより、モータ等の駆動手段が駆動されて自動的に開閉される。また、特許文献1には、画像形成装置に対して所定位置に存在する使用者を使用者検知手段によって検知し、自動原稿送り装置を画像形成装置の本体に対して自動的に開閉させる構成が開示されている。さらに、特許文献2には、画像形成動作の終了時に、自動原稿送り装置が画像形成装置の本体に対して自動的に開動作する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−3752号公報
【特許文献2】特開平7−271115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、開閉スイッチによってADFユニットの開閉が指示される構成では、開閉スイッチが誤操作されることによって、ADFユニットが操作者の意に反して開閉駆動されると、ADFユニットが操作者に衝突するおそれがあり、操作者の安全性を確保することができなくなるおそれがある。また、ADFユニットに原稿がセットされている場合には、原稿が飛散する等の不具合が生じるおそれもある。
【0007】
前記特許文献1に開示された構成では、使用者が、使用者検知手段にて検知される範囲内に位置することなくADFユニット等を操作している場合に、使用者検知手段が使用者以外の人間、物体等を検知すると、ADFユニットが自動的に開閉されることになる。このために、例えば、使用者がADFユニットに原稿をセットする動作、紙詰まりの処理等を行っている場合等には、自動的に開閉されるADFユニットが使用者に衝突するおそれがある。また、ADFユニットに原稿がセットされている場合には、原稿が飛散する等の不具合が生じるおそれもある。
【0008】
さらに、特許文献2に開示された装置でも、装置の近傍に操作者がいる場合には、ADFユニットが自動的に開動作することによって操作者に衝突するおそれがあり、安全性を確保することができず、また、原稿が飛散する等の不具合が生じるおそれもある。
ADFユニットが開閉駆動される場合に操作者に対する安全性を確保するために、各種センサ等を新たに設けてADFユニットを開閉させるモータ等を制御することも可能である。しかし、このような構成とする場合には、各種センサ等を新たに設ける必要があるために、経済性が損なわれるおそれ、装置が大型化するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ADFユニットが開閉駆動手段によって開閉駆動される構成において、開閉スイッチ等が誤って操作された場合にも、操作者の安全性を確保することができる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読取装置は、スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた画像読取装置であって、前記自動原稿搬送ユニットを開閉駆動する開閉駆動手段と、当該開閉駆動手段による開閉駆動を指示する開閉指示手段と、前記スキャナユニットに設けられたプラテンガラス上での操作者による原稿のセットが完了していないと判断される場合、または、前記自動原稿搬送ユニットにおいて操作者による原稿のセットが完了していないと判断される場合に前記開閉駆動手段を駆動禁止状態とし、前記原稿のセットのいずれかが完了したと判断される場合に前記開閉指示手段による開閉指示に従って前記開閉駆動手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像読取装置は、スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた画像読取装置であって、前記自動原稿搬送ユニットを開閉駆動する開閉駆動手段と、当該開閉駆動手段による開閉駆動を指示する開閉指示手段と、前記自動原稿搬送ユニットの原稿搬送経路における複数の位置においてそれぞれ紙詰まりを検出する複数の紙詰まり検出手段と、前記紙詰まり検出手段によって原稿の紙詰まりが検出される場合には、その紙詰まり位置に基づいて、前記開閉指示手段による開閉指示の有効および無効を判断し、有効と判断される場合に当該開閉指示手段の指示に従って前記開閉駆動手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、前記画像読取装置のいずれかが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、操作者がスキャナユニットまたは自動原稿搬送ユニットにおいて原稿のセットが完了するまでは、開閉指示手段による開閉駆動の指示が無効とされるために、操作者が原稿をセットしている作業中に自動原稿搬送ユニットが開閉駆動されるおそれがなく、従って、操作者が自動原稿搬送ユニットと衝突するような危険性がなく、操作者に対する安全性を確保することができる。
【0014】
また、自動原稿搬送ユニットにおいて紙詰まりが発生した場合に、必要とされる開閉指示手段による開閉駆動以外の開閉駆動の指示が無効とされるために、操作者が紙詰まりを解消するための操作を行おうとしていても、操作者の意図に反して自動原稿搬送ユニットが動作することが防止され、これによっても、操作者が自動原稿搬送ユニットと衝突するような危険性がなく、操作者の安全性を確保することができる。また、この場合には、操作者が意図する自動原稿搬送ユニットの開閉動作が実行されるために、紙詰まり除去を迅速かつ容易に行うことができる。
【0015】
好ましくは、前記制御手段は、前記プラテンガラス上での原稿のセットの完了の判断を、当該プラテンガラス上に載置される原稿のサイズを検出するために設けられたセンサの出力に基づいて行うことを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記プラテンガラス上での原稿のセットの完了の判断を、当該プラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取るために設けられた画像読取手段の出力に基づいて行うことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記制御手段は、前記プラテンガラス上での原稿のセットの完了の判断を、前記自動原稿搬送ユニットの開閉角度が所定値よりも小さい場合には、前記プラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取るために設けられた画像読取手段の出力に基づいて行い、前記自動原稿搬送ユニットの開閉角度が所定値以上である場合には、前記プラテンガラス上に載置される原稿のサイズを検出するために設けられたセンサの出力に基づいて行うことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記制御手段は、前記自動原稿搬送ユニットにおける原稿のセットの完了の判断を、当該自動原稿搬送ユニットの原稿載置トレイ上に載置される原稿のサイズを検出するために設けられたセンサの出力に基づいて行うことを特徴とする。
好ましくは、前記自動原稿搬送ユニットは、原稿搬送経路における複数の位置のそれぞれにおいて紙詰まりを検出する複数の紙詰まり検出手段を有し、前記制御手段は、前記紙詰まり検出手段によって原稿の紙詰まりが検出される場合には、その紙詰まり位置に基づいて、前記開閉指示手段による開閉指示の有効および無効を判断し、有効と判断される場合に当該開閉指示手段の指示に従って前記開閉駆動手段を制御することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の一例であるMFPを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像読取装置の概略構成を示す正面側から見た模式図である。
【図3】その画像読取装置におけるADFユニットに設けられた原稿給紙トレイの構成を示す平面模式図である。
【図4】その画像読取装置におけるスキャナユニットの平面模式図である。
【図5】その画像読取装置におけるスキャナユニットとADFユニットとを連結するヒンジ機構の構成を説明するための模式図である。
【図6】図1に示すMFPの側面模式図である。
【図7】画像読取装置における制御系の主要部を示すブロック図である。
【図8】画像読取装置におけるADF−CPUによって実行される開閉駆動モータの制御を説明するためのフローチャートである。
【図9】ADFユニットに紙詰まりが生じた場合におけるADF−CPUによって実行される開閉駆動モータの制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の一例を示す斜視図である。この画像形成装置は、複写機、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの機能を有する複合機(MFP:Multiple Function Peripheral)であり、ネットワークを介して、端末装置等とのデータの送受信が可能になっている。図1に示すように、このMFPは、記録用紙等の記録シート上にトナー画像を形成する画像形成装置本体Aと、画像形成装置本体A上に設けられた本発明の実施形態に係る画像読取装置Bとを備えている。画像読取装置Bは、原稿画像を読み取るスキャナユニット10と、スキャナユニット10上に設けられたADF(自動原稿給紙)ユニット20とを備えている。
【0020】
本実施形態の画像読取装置Bを構成するADFユニット20は、スキャナユニット10に対して、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられており、スキャナユニット10の上面を閉鎖した状態で、画像を読み取るための原稿をスキャナユニット10に自動的に供給する。スキャナユニット10は、ADFユニット20によって供給される原稿の画像、または、操作者によってスキャナユニット10におけるプラテンガラス18(図2参照)所定位置に手置きセットされた原稿の画像を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。
【0021】
画像形成装置本体Aには、プリンタ部61と、プリンタ部61の下側に設けられた給紙部62とが設けられており、給紙部62の記録シートがプリンタ部61に供給される。プリンタ部61では、スキャナユニット10にて生成された画像データ、あるいは、ネットワークを介して端末装置等から送られる画像データに基づいて、周知の電子写真方式によって、記録シート上にカラーのトナー画像をプリントする。プリンタ部61によってトナー画像がプリントされた記録シートは、スキャナユニット10の下側に設けられた排紙トレイ63上に排出される。
【0022】
スキャナユニット10の正面側部分には、情報の入力操作等のための操作パネル14が設けられている。操作パネル14には、ADFユニット20を開閉させる場合に、操作者によって操作される開スイッチ19aおよび閉スイッチ19bが設けられている。開スイッチ19aが操作者によって操作されることにより、ADFユニット20は自動的に上方に開動作され、閉スイッチ19bが操作者によって操作されることにより、ADFユニット20は自動的に下方に閉動作される。
【0023】
<画像読取装置におけるADFユニットの構成>
ADFユニット20は、スキャナユニット10の上面を全体にわたって覆った図1の閉状態から、上方に回動されることによってスキャナユニット10の上面を開状態とするADFユニット本体21と、スキャナユニット10に搬送される原稿が載置されるようにADFユニット本体21に取り付けられた原稿給紙トレイ22とを有している。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置Bの概略構成を示す正面側から見た模式図である。ADFユニット本体21の正面に向って左側(以下、単に「左側」とし、反対側を「右側」とする)の側部には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿が搬送される搬送経路を内部に有する給紙本体部21aが設けられており、給紙本体部21aの下部には、内部に反転経路21pが形成された反転経路形成部21bが、給紙本体部21aから右側方に水平状態で延出するように設けられている。
【0025】
ADFユニット本体21の給紙本体部21aおよび反転経路形成部21bは、スキャナユニット10の上面をほぼ全域にわたって覆うように一体に構成されている。原稿給紙トレイ22は、反転経路形成部21bの上方において、左側の側部が下側になるように傾斜した状態で、給紙本体部21aの上部に取り付けられている。ADFユニット20は、スキャナユニット10に原稿の片面だけを読み取らせる片面読取モードと、原稿を反転させて原稿の両面(表面と裏面)をスキャナユニット10に順番に読み取らせ両面読取モードとを選択的に実行する構成になっており、片面読取モードの場合には、原稿が、原稿給紙トレイ22上に、スキャナユニット10にて読み取られる原稿面を上方に向けた状態で載置される。
【0026】
原稿給紙トレイ22上の原稿は、給紙本体部21a内に設けられたピックアップローラ21cによって、概略水平状態になった第1搬送経路21dに供給され、第1搬送経路21dを通って、給紙本体部21a内における左側上部に設けられた一対の第1レジストローラ21jへ供給される。第1レジストローラ21jは、第1搬送経路21dを通過した原稿を、半円状に湾曲した第2搬送経路21eを介して、給紙本体部21a内の左側の下部に設けられた一対の第1読取ローラ21fへ供給する。第1読取ローラ21fの右側の側方には、一対の第2読取ローラ21gが設けられており、第1読取ローラ21fと第2読取ローラ21gとの間に、搬送される原稿の原稿面を、スキャナユニット10の上面に設けられたスリットガラス16に対向させる開口部が設けられている。
【0027】
第2読取ローラ21gの右側上方には、概略水平状態で配置された第1分岐ガイド21hが設けられている。第1分岐ガイド21hは、第2読取ローラ21g側に位置する先端部が上下方向に回動することによって、第2読取ローラ21gから搬送される原稿を、第1分岐ガイド21hの下方の第4搬送経路21sを通過させて反転経路形成部21内の反転経路21pへ、一対の反転ローラ21zを介して搬送する状態と、第1分岐ガイド21hの上方を通過させて第1分岐ガイド21hの右側上方に近接して配置された一対の第2レジストローラ21kに供給する状態とに切り替えるようになっている。
【0028】
反転ローラ21zは正転および逆転可能になっており、反転ローラ21zの正転によって、原稿は反転経路21pへ搬送される。また、第2レジストローラ21kも、正転および逆転可能になっており、第2レジストローラ21kの正転により、原稿は、第2レジストローラ21kに近接して配置された第2分岐ガイド21mへ搬送される。第2分岐ガイド21mは、第2レジストローラ21kから搬送される原稿を、第2分岐ガイド21mの下側を通過させて一対の排紙ローラ21qへ搬送する状態と、第2分岐ガイド21mの上方および排紙ローラ21qの上方を通過させて原稿給紙トレイ22の下面に沿って配置された反転ガイド(図示せず)上に排出する状態とに切り替えられる。
【0029】
ADFユニット20が片面読取モードの場合には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿は、ピックアップローラ21cによって、第1搬送経路21dに供給されて、第1レジストローラ21jおよび第2搬送経路21eを介して第1読取ローラ21fへと搬送され、第1読取ローラ21fによって傾き補正されて、スキャナユニット10の上面に設けられたスリットガラス(プラテンガラス)16上を通過する。原稿がスリットガラス16上を通過する間に、スキャナユニット10によって、原稿のスリットガラス16に対向する面の画像が読み取られる。その後、原稿は、第2レジストローラ21kによって、第1分岐ガイド21hへ搬送され、第1分岐ガイド21hの上方を通って、正転駆動されている第2レジストローラ21kによって、第2分岐ガイド21mへ搬送され、第2分岐ガイド21mの下方を通過することによって、排紙ローラ21qを介して、反転経路形成部21b上に設けられた原稿排出部上に排出される。
【0030】
ADFユニット20が両面読取モードの場合には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿は、片面読取モードの場合と同様に、第1搬送経路21dおよび第2搬送経路21eを通って、第2レジストローラ21kにまで搬送される。原稿がスリットガラス16上を通過する際には、スリットガラス16に対向する原稿面(第1面)の画像がスキャナユニット10にて読み取られる。第2レジストローラ21kに搬送された原稿は、正転駆動されている第2レジストローラ21kによって、第2分岐ガイド21mへ搬送される。このとき、第2分岐ガイド21mの上方を原稿が通過するように、第2分岐ガイド21mは切り替えられており、原稿は、第2分岐ガイド21mの上面に案内されて、原稿給紙トレイ22の下面に沿って配置された反転ガイド上に排出される。
【0031】
反転ガイド上に原稿を搬送する第2レジストローラ21kは、原稿の後端部が通過する直前に逆転駆動される。これにより原稿はスイッチバックして、第1搬送経路21dの下側に沿って設けられた第3搬送経路21nを通って、第1レジストローラ21jへと搬送される。その後、原稿は、表裏を反転した状態で、第2搬送経路21eを通過し、第1読取ローラ21fによってスリットガラス16の上方を搬送される。そして、スリットガラス16の上方を原稿が通過する間に、スリットガラス16に対向する原稿面(第2面)の画像がスキャナユニット10によって読み取られる。
【0032】
第2面の画像が読み取られた原稿は、第1分岐ガイド21hへ搬送される。この場合、第1分岐ガイド21hは、原稿が下側を通過するように切り替えられており、原稿は、第1分岐ガイド21hの下面に案内されて、第4搬送経路21sを通って、反転ローラ21zへ搬送され、反転ローラ21zの正転によって、反転経路形成部21b内の反転経路21pへと搬送される。反転ローラ21zは、原稿の後端が通過する直前に逆転駆動され、これにより、原稿はスイッチバックされて、排紙ローラ21qへと搬送され、排紙ローラ21qによって、反転経路形成部21b上の原稿排出部に排出される。
【0033】
ピックアップローラ21cは給紙部モータ25aによって駆動され、第1レジストローラ21j及び第2レジストローラ21kはレジスト部モータ25bによって駆動され、第1読取ローラ21f及び第2読取ローラ21gは読取部モータ25cによって駆動され、排紙ローラ21qは排出部モータ25dによって駆動される。各モータ25a〜25dのそれぞれは、例えばステッピングモータによって構成されている。
【0034】
給紙本体部21a内には、第1搬送経路21dまたは第3搬送経路21n内を通って第1レジストローラ21jに搬送される原稿を検出する第1通紙センサ27aが第1レジストローラ21jの近傍に設けられている。また、第2搬送経路21eを通って第1読取ローラ21fに供給されて、スリットガラス16上を通過する原稿を検出するために、第1読取ローラ21fの右側の側方に近接して第2通紙センサ27bが設けられている。さらには、反転経路21pから排紙ローラ21qへ搬送される原稿を検出する第3通紙センサ27cが、排紙ローラ21qの左側の側方に近接して設けられている。
【0035】
ADFユニット本体21における給紙本体部21aの原稿給紙トレイ22が設けられた右側面21tは開閉可能になっており、右側面21tを開放することにより、紙詰まりによって第1搬送経路21dおよび第3搬送経路21n内のそれぞれに残存する原稿を取り除くことができる。同様に、給紙本体部21aにおける左側の上部において傾斜状態で設けられた左側上面21xも開閉可能になっており、左側上面21xを開放することにより、紙詰まりによって第1搬送経路21dおよび第3搬送経路21nのいずれかに残存する原稿を取り除くことができる。さらに、反転経路形成部21bの上面21wも開閉可能になっており、上面21wを開放することにより、紙詰まりによって反転経路形成部21b内の反転経路21pに残存する原稿を取り除くことができる。
【0036】
給紙本体部21aにおける底面には、第2読取ローラ21gよりも左側部分を開閉する開閉扉21yが設けられており、スキャナユニット10の上面が大きく開放されるように、ADFユニット20の正面側部分を上方に回動した状態で、開閉扉21yを下方に回動させて開放することによって、紙詰まりにより第2読取ローラ21gの近傍において残存する原稿を取り除くことができる。
【0037】
図3は、原稿給紙トレイ22の構成を示す平面模式図である。原稿給紙トレイ22は、原稿Dが載置されるトレイ本体22aを有しており、図2に示すように、トレイ本体22aは、搬送経路形成部21aの右側面21tから右上方に向って傾斜状態で配置されている。トレイ本体22a上に載置された原稿Dは、トレイ本体22aに沿って左側下方に向って給紙される。
【0038】
図3に示すように、トレイ本体22aにおける給紙側の側部には、載置された原稿Dの給紙方向とは直交する幅方向の両側の各側縁に当接して原稿Dをトレイ本体22a上に位置決めする一対の規制板22bが設けられている。各規制板22bは、それぞれ、原稿Dの給紙方向(図3の左方向)に沿った直線状に構成されている。各規制板22bのそれぞれは、トレイ本体22aの幅方向に沿って配置された一対のラック22cのそれぞれの端部に取り付けられている。各ラック22cは、原稿Dの給紙方向に適当な間隔をあけて平行になっており、各ラック22cの間であってトレイ本体22aにおける幅方向の中央部に設けられた1つのピニオン22dと噛み合っている。
【0039】
このような構成により、一対の規制板22bの間におけるトレイ本体22a上に原稿Dが載置された状態で、一方の規制板22bをスライドさせて原稿Dの一方の側縁に当接させることによって、移動された規制板22bに取り付けられた一方のラック22cが規制板22bと同方向にスライドしてピニオン22dが回転する。ピニオン22dの回転によって、他方のラック22cは、一方のラック22cのスライド方向とは反対方向にスライドし、他方の規制板22bが、原稿Dの他方の側縁に当接する。これにより、原稿Dは、両側の側縁が、規制板22bによって位置決めされる。
【0040】
一方のラック22cの近傍には、両規制板22bによって位置決めされた原稿Dの幅方向サイズを検出するための原稿幅センサ24が設けられている。この原稿幅センサ24は、例えば、可変抵抗器によって構成されており、近接するラック22cのスライド位置に対応した電圧値を出力する。従って、原稿幅センサ24の出力は、両規制板22bの間隔に応じて変化し、両規制板22bの移動中には出力が変化し続け、トレイ本体22a上に載置された原稿Dに両規制板22bが当接して停止されると、原稿幅センサ24からは原稿Dの幅方向に応じた所定の電圧に維持される。
【0041】
また、トレイ本体22aには、載置された原稿Dの給紙方向に沿った長さを検出するための3つの第1原稿長さセンサ23a、第2原稿長さセンサ23b、第3原稿長さセンサ23cが設けられている。第1原稿長さセンサ23aは、例えば反射型のセンサによって構成されており、トレイ本体22aの幅方向の中央部であって、トレイ本体22a上に載置された異なるサイズの原稿のうち、給紙方向先端が所定の基準位置に位置した状態で、両側の側縁が位置決めされた所定サイズよりも小さな原稿以外のサイズの原稿を検出することができる位置に配置されている。第2原稿長さセンサ23bは、第1原稿長さセンサ23aに対して給紙方向とは反対方向に所定の間隔をあけて配置された反射型のセンサであり、第3原稿長さセンサ23cは、第2原稿長さセンサ23bに対して給紙方向とは反対側に所定の間隔をあけて配置された反射型のセンサである。原稿給紙トレイ22に載置される原稿Dのサイズは、第1〜第3の原稿長さセンサ23a〜23cのそれぞれの検出結果に基づいて、原稿Dがセットされる方向を特定して、その方向に基づいて検出される。
【0042】
<画像読取装置におけるスキャナユニットの構成>
図2に示すように、スキャナユニット10は、扁平な長方体形状に形成されたハウジング11を備えており、このハウジング11の上面に、ADFユニット20の第1読取ローラ21fと第2読取ローラ21gとの間に対向するように前後方向に沿って配置されたスリットガラス(プラテンガラス)16と、このスリットガラス16の左側の側方に配置された長方形状のプラテンガラス18とが設けられている。プラテンガラス18は、スリットガラス16の前後方向(主走査方向)長さと同程度の前後方向長さを有するとともに、スリットガラス16に近接した位置からハウジング11の右側の端部近傍にわたる左右方向(副走査方向)長さを有している。
【0043】
ハウジング11の内部には、図2に矢印Xで示す副走査方向にスライド可能に構成された第1スライダー12が設けられており、この第1スライダー12に、線状光源12aが主走査方向に沿った状態で搭載されている。第1スライダー12は、通常は、スリットガラス16とプラテンガラス18との間のホームポジションに位置されており、ADFユニット20によって原稿が搬送される場合には、スキャナモータ43によって、スリットガラス16の下方のシートスルーポジションに移動されて停止される。これに対して、プラテンガラス18上の原稿Dを読み取る場合には、第1スライダー12は、スキャナモータ43によって、プラテンガラス18に沿って副走査方向に往復移動されるようになっている。
【0044】
第1スライダー12には、スリットガラス16上を通過する原稿Dまたはプラテンガラス18上に載置された原稿Dからの反射光を、矢印Xで示す方向とは反対方向に略直角に反射する第1ミラー12bが設けられている。第1スライダー12よりも左側の側方には、第2スライダー13が設けられており、この第2スライダー13上に、第1ミラー12bにて反射された光を、矢印X方向に反転させるように相互に対向するように配置された第2ミラー13aおよび第3ミラー13bが搭載されている。
【0045】
第2スライダー13は、プラテンガラス18上に載置された原稿Dの画像を読み取る場合には、スキャナモータ43によって、第1スライダー12の移動に同期して、第1スライダー12の速度の1/2の速度で第1スライダー12と同方向に移動される。第2ミラー13aおよび第3ミラー13bによって矢印X方向に反転された光は、縮小レンズ(図示せず)を介して画像読取手段としてのCCD17に照射される。
【0046】
図4は、スキャナユニット10におけるハウジング11の平面模式図である。ハウジング11の上面における左側の側部に配置されたスリットガラス16は、前後方向に沿って延びる帯状に構成されており、スリットガラス16の右側には、スリットガラス13に対して適当な間隔をあけてプラテンガラス18が配置されている。ハウジング11の内部に設けられた第1スライダー13は、スリットガラス16とプラテンガラス18との間の位置がホームポジションになっている。
【0047】
ハウジング11の内部には、操作者によってプラテンガラス18上に載置される原稿Dのサイズを検出するための複数の原稿センサが設けられている。プラテンガラス18上に載置される原稿Dは、例えば、プラテンガラス18における左側の側縁部に沿って位置決めされるようになっており、原稿センサとして、例えば、プラテンガラス18上おいて位置決めされた所定サイズ(例えばB5サイズ)よりも大きいサイズの原稿Dにおける背面側の側縁を検出する第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bが設けられている。
【0048】
第1原稿センサ15aは、例えば反射型のセンサであり、プラテンガラス18上において長手方向が左右方向に沿うように配置された所定サイズ(例えばB5サイズ)よりも大きいサイズの原稿を検出するように配置されている。第2原稿センサ15bは、第1原稿センサ15aよりも右側に適当な間隔をあけて配置された反射型のセンサであり、プラテンガラス18上おいて位置決めされた所定サイズ(例えばA4サイズ)以上の原稿Dを長手方向が左右方向に沿うように配置した場合における背面側の側縁を検出するようになっている。なお、載置される原稿の前後方向(主走査方向)の長さは、ここでは、走査方向に適当な間隔をあけて配置された複数の原稿センサ(図示せず)によって検出される。
【0049】
<画像読取装置におけるヒンジ機構の構成>
画像読取装置BにおけるADFユニット20は、正面側部分がスキャナユニット10に対して上方に回動されるように、その背面側部分が、スキャナユニット10の背面側部分に対してヒンジ機構によって連結されている。図5は、そのヒンジ機構30の構成を説明するための模式図である。このヒンジ機構30は、スキャナユニット10の背面側の側部に取り付けられた固定側ヒンジ体31と、ADFユニット20の背面側の側部に取り付けられた回動側ヒンジ体32と、固定側ヒンジ体31および回動側ヒンジ体32の背面側の端部同士を回動可能に支持するヒンジ支点軸33とを有している。
【0050】
ヒンジ支点軸33には、ADFユニット20を開閉するための開閉駆動モータ34の回転力が、複数のギア36〜38を介して伝達されている。開閉駆動モータ34としては、例えばパルスモータが使用される。開閉駆動モータ34は、スキャナユニット10に設けられた操作パネル14の開スイッチ19aおよび閉スイッチ19bがそれぞれ選択的にオン状態になることによって、正転駆動および逆転駆動されるようになっている。
【0051】
ADFユニット20に取り付けられた回動側ヒンジ体32は、開閉駆動モータ34が正転駆動されることによって、ヒンジ支点軸33を中心として、正面側の先端部が上方に向って回動される。これにより、ADFユニット20は、正面側の側縁部が上方に回動し、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面が開放される。ADFユニット20は、ストッパー(図示せず)によって、スキャナユニット10の上面に対して70°程度の開閉角度で上方への回動が停止されるようになっている。開閉駆動モータ34が逆転駆動されると、ADFユニット20の正面側の端部は下方に回動される。ADFユニット20は、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面に当接することによって回動が停止され、ハウジング11の上面に設けられたプラテンガラス18を覆った閉状態になる。
【0052】
<ADFユニットの開閉位置検出器>
図6は、MFPの側面模式図である。スキャナユニット10には、ADFユニット20が所定の開閉角度以下になったことを検出する開閉位置検出器37が設けられている。開閉位置検出器37は、例えば、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面を貫通して上方に突出するように付勢されたセンサロッド37aを有しており、このセンサロッド37aは、ADFユニット20が下方に回動されてスキャナユニット10に対して所定角度(例えば20°)以下の開閉角度になることによって、ADFユニット20により下方に押し下げられるようになっている。
【0053】
センサロッド37aは、ADFユニット20がスキャナユニット10と接した状態で、上方へ回動されることによって、順次、上方にスライドし、ADFユニット20が所定の角度(例えば20°)を越えて上方に回動されることにより、ADFユニット20との接触状態が解除される。このような状態になると、ハウジング11の内部に設けられた回動位置検出センサ37bがオン状態になる。センサロッド37aは、ADFユニット20が上方に回動されて所定角度(例えば20°)以上になっても、ハウジング11の上面から所定の長さだけ上方に突出した状態を維持する。
【0054】
<画像読取装置における制御系の構成>
図7は、本実施形態の画像形成装置における制御系の主要部を示すブロック図である。画像形成装置本体Aには、画像形成動作等を制御するシステムCPU65と、操作パネル14における表示部の制御、各種データの送受信制御等を実行するパネルCPU66が設けられている。システムCPU65とパネルCPU66とは、相互にデータの送受信ができるように構成されている。また、画像読取装置Bのスキャナユニット10には、スキャナモータ43等を制御するスキャナCPU41が設けられており、ADFユニット20には、原稿の搬送等を制御するADF−CPU51が設けられている。システムCPU65と、スキャナCPU41と、ADF−CPU51とは、相互にデータの送受信ができるように構成されている。
【0055】
ADF−CPU51は、ADFユニット本体21に設けられた給紙部モータ25a、レジスト部モータ25b、読取部モータ25c、排出部モータ25dのそれぞれを駆動するための各モータ駆動IC52〜55をそれぞれ制御するようになっている。また、ADF−CPU51は、ADFユニット20を開閉駆動するための開閉駆動モータ34を駆動するモータ駆動IC56を制御して、開閉駆動モータ34を所定の回転数で正転駆動および逆転駆動するようになっている。
【0056】
ADF−CPU51には、さらに、ADFユニット20における原稿給紙トレイ22に設けられた第1原稿長さセンサ23a、第2原稿長さセンサ23b、第3原稿長さセンサ23cの出力、原稿幅センサ24の出力がそれぞれ与えられており、また、操作パネル14に設けられた開スイッチ19aおよび閉スイッチ19bのそれぞれの出力、ADFユニット本体21に設けられた第1通紙センサ27a、第2通紙センサ27b、第3通紙センサ27cの出力がそれぞれ与えられている。
【0057】
ADF−CPU51は、原稿サイズセンサを構成する第1原稿長さセンサ23a、第2原稿長さセンサ23b、第3原稿長さセンサ23c、および原稿幅センサ24の出力に基づいて、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿Dのサイズを検出して、検出された原稿Dのサイズに関するデータを画像形成装置本体AにおけるシステムCPU65に送信する。システムCPU65は、画像形成装置本体Aの給紙部61から、原稿Dのサイズに応じた記録シートを選択してプリンタ部61に搬送するようになっている。
【0058】
スキャナCPU41は、画像読取時にモータ駆動IC42を制御することによって、第1スライダー12および第2スライダー13が所定方向に所定の速度で移動するようにスキャナモータ43を駆動する。また、スキャナCPU41は、CCD17にて読み取られた画像データを処理する画像処理部44を制御する。画像処理部44は、CCD17にて得られた画像データに対して、シェーディング補正、シャープネス調整、HVC調整、濃度補正等を行う。
【0059】
さらに、スキャナCPU41には、プラテンガラス18上に載置される原稿Dのサイズを検出するための第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15b、開閉位置検出器37が、それぞれ接続されている。なお、スキャナCPU41には、図示していないが、プラテンガラス18上に載置される原稿Dの主走査方向のサイズを検出する複数の原稿センサの出力も与えられており、これらの原稿センサと主走査方向のサイズを検出する複数の原稿センサの全ての原稿センサの出力に基づいて、プラテンガラス18上に載置される原稿Dのサイズ検出するようになっている。
【0060】
スキャナCPU41は、決定された原稿サイズに関するデータを画像形成装置本体AにおけるシステムCPU65に送信する。システムCPU65は、画像形成装置本体Aの給紙部61からその原稿Dのサイズに応じた記録シートを選択してプリンタ部61に搬送する。
なお、プラテンガラス18上に載置される原稿Dの主走査方向のサイズを、CCD17の出力に基づいて検出するようにしてもよい。この場合には、スキャナCPU41は、モータ駆動IC42を制御してスキャナモータ43を駆動することにより、線状光源12aがプラテンガラス18上に載置された原稿に光を照射し得る所定の位置にまで第1スライダー12を移動させ、その位置において線状光源12aを点灯する。そして、原稿Dによって反射されてCCD17にて受光された光量に基づいて、原稿Dの主走査方向に沿った長さが検出される。
【0061】
スキャナCPU41は、第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力を、ADF−CPU51に送信する。ADF−CPU51は、第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力に基づいて、操作者がプラテンガラス18上において原稿Dのセットを完了したことを検出する。すなわち、第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力が、安定することなく変化していると、操作者によるプラテンガラス18上での原稿Dのセットが終了していないものと判断し、第1原稿センサ15aおよび第2原稿センサ15bの出力が、所定時間にわたって変化しないことが検出されると、操作者によるプラテンガラス18上での原稿Dのセットが終了したものとする。
【0062】
<開閉駆動モータの制御>
次に、開スイッチ19aおよび閉スイッチ19bが選択的にオンされた場合に、ADF−CPU51によって実行される開閉駆動モータ34の制御を、図8のフローチャートに基づいて説明する。ADF−CPU51は、開スイッチ19aおよび閉スイッチ19bのいずれかが選択的にオンされまで待機状態になっており(図8のステップS1およびS6)、開スイッチ19aがオンされると(ステップS1において「YES」)、ADF−CPU51は、ADFユニット20の原稿給紙トレイ22に設けられた第1〜第3の各原稿長さセンサ23a〜23cと、原稿幅センサ24との出力の少なくともいずれか1つが、一定でなく変化しているかについて判断し(ステップS2)、それらの少なくとも1つ以上の出力が変化している場合(ステップS2において「YES」)には、原稿給紙トレイ22上において操作者が原稿Dをセットしているものとして、開閉駆動モータ34を駆動禁止状態とする(ステップS5)。
【0063】
従って、ステップS1において、開スイッチ19aがオン状態になっていることが検知されても、操作者が原稿給紙トレイ22上において原稿Dをセットしている場合には、そのオン状態を無効として開閉駆動モータ34の駆動が禁止されるために、原稿をセットしている操作者にADFユニット20が衝突するおそれがなく、また、セットしている原稿Dが乱れるおそれもない。
【0064】
ステップS2において、ADFユニット20の原稿給紙トレイ22に設けられた第1〜第3の各原稿長さセンサ23a〜23cおよび原稿幅センサ24の全ての出力が変化せずに一定になり(ステップS2において「NO」)、その状態が所定時間にわたって継続すると(ステップS3において「YES」)、操作者による原稿給紙トレイ22上での原稿Dのセットが完了したものとして、ステップS1において検知された開スイッチ19aのオン状態を有効にして、開閉駆動モータ34を正転駆動する(ステップS4)。
【0065】
ステップS1において開スイッチ19aがオンされない場合(ステップS1において「NO」)には、閉スイッチ19bがオンされたかを判断する(ステップS6)。そして、閉スイッチ19bがオンされると(ステップS6において「YES」)、ADF−CPU51は、スキャナユニット10の上面のプラテンガラス18上における原稿Dがセットされているかを、スキャナユニット10内に設けられた第1および第2の原稿センサ15aおよび15bの出力に基づいて判断する(ステップS7)。そして、第1および第2の原稿センサ15aおよび15bの出力が一定でなく変化している場合(ステップS7において「YES」)には、プラテンガラス18上において操作者による原稿Dのセットが完了していないものとして、ステップS6においてオン状態になっている閉スイッチ19bの出力(オン状態)を無効とし、開閉駆動モータ34を駆動禁止状態とする(ステップS5)。従って、操作者がプラテンガラス18上において原稿をセットしている場合に、ADFユニット20が下方に回動して操作者に衝突するおそれがない。
【0066】
これに対して、ステップS7において、第1および第2の原稿センサ15aおよび15bの出力が変化することなく一定になり(ステップS7において「NO」)、しかも、そのような状態が所定時間にわたって継続する場合(ステップS8において「YES」)には、操作者によるプラテンガラス18上での原稿Dのセットが完了したものと判断し、ステップS6においてオン状態になった閉スイッチ19bの出力(オン状態)を有効として、開閉駆動モータ34を逆転駆動する(ステップS9)。
【0067】
なお、ステップS7において、ADF−CPU51が、スキャナユニット10から送信される第1および第2の原稿センサ15aおよび15bの出力に基づいて、原稿Dのセットの完了を判断する構成であったが、このような構成に限らず、スキャナユニット10において第1および第2の原稿センサ15aおよび15bの出力に基づいて、原稿Dのセットの完了を判断して、ADF−CPU51に対して開閉駆動モータ34の駆動禁止および駆動禁止解除を指示するように構成してもよい。
【0068】
<紙詰まり時の開閉駆動モータ34の制御>
次に、ADFユニット20に紙詰まりが生じた場合におけるADF−CPU51によって実行される開閉駆動モータ34の制御を、図9のフローチャートに基づいて説明する。ADF−CPU51は、まず、ADFユニット20において紙詰まりが発生しているかを、第1〜第3の通紙センサ27a〜27cの出力に基づいて判断する(図9のステップS11)。第1〜第3の通紙センサ27a〜27cの全てがオフしている場合(ステップS11において「YES」)には、紙詰まりが発生していないものとして、紙詰まり時における開閉駆動モータ34の制御を実行しない。
【0069】
第1〜第3の通紙センサ27a〜27cの全てがオフしていない場合(ステップS11において「NO」)には、少なくとも1つがオン状態になっていることにより、ADFユニット20の内部において原稿Dの紙詰まりが発生しているものと判断する。この場合には、第2通紙センサ27bについてのみ、オン状態、オフ状態のいずれになっているかを判断する(ステップS12)。
【0070】
第2通紙センサ27bがオン状態になっている場合(ステップS12において「YES」)には、第2読取ローラ21gの近傍において紙詰まりが発生しているために、給紙本体部21aにおける底面に設けられた開閉扉21yを開放する必要があることから、開スイッチ19aがオン状態になっているかを確認する(ステップS13)。開スイッチ19aがオン状態の場合(ステップS13において「YES」)には、そのオン状態を有効として、開閉駆動モータ34を正転駆動する(ステップS14)。
【0071】
これにより、ADFユニット20は上方へと回動されて、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面から離れた状態になり、給紙本体部21aにおける底面の開閉扉21yを開放することができる状態になる。従って、このような状態になると、操作者は、給紙本体部21aにおける底面の開閉扉21yを開放して、第2読取ローラ21gの近傍において紙詰まりしている原稿を取り除くことができる。
【0072】
ステップS12において第2通紙センサ27bがオン状態になっていない場合(ステップS12において「NO」)には、ADFユニット20における給紙本体部21aの底面に設けられた開閉扉21yを開放する必要がないために、閉スイッチ19bがオン状態になっていても、そのオン状態を無効として、開閉駆動モータ34を駆動禁止状態とする(ステップS15)。また、第2通紙センサ27bがオン状態であっても(ステップS12において「YES」)、開スイッチ19aがオン状態になっていない場合(ステップS13において「NO」)には、たとえ、閉スイッチ19bがオン状態になっても、そのオン状態を無効として、開閉駆動モータ34を駆動禁止状態とする(ステップS15)。
【0073】
このように、ADFユニット20において、第2通紙センサ27bがオン状態になる紙詰まりが発生すると、第2通紙センサ27bが、一旦、オン状態になることによって、ADFユニット20が開状態で閉スイッチ19bがオンされても、紙詰まりが解除されて第2通紙センサ27bがオフされない限り、ADFユニット20は閉動作されないために、操作者の安全性が確保されることになる。
【0074】
なお、上記の実施形態では、スキャナユニット10のプラテンガラス18上に操作者が原稿Dをセットしていることを、第1および第2の原稿センサ15aおよび15bの出力に基づいて判断する構成であったが、このような構成に限らず、プラテンガラス18上の原稿Dの主走査方向のサイズを検出する複数の原稿センサの出力に基づいて判断するようにしてもよく、さらには、第1および第2の原稿センサ15aおよび15bを含む全ての原稿センサの出力に基づいて判断するようにしてもよい。
【0075】
<他の実施形態>
ADFユニット20の開状態が、開閉位置検出器37によって検出される所定角度以下の場合には、スキャナユニット10のプラテンガラス18上に操作者が原稿Dをセットしていることを、CCD17の出力に基づいて判断するようにしてもよい。この場合には、図8のステップS7において、スキャナCPU41は、モータ駆動IC42を制御してスキャナモータ43を駆動することにより、線状光源12aがプラテンガラス18上に載置された原稿に光を照射し得る所定の位置にまで第1スライダー12を移動させ、その位置において線状光源12aを点灯する。
【0076】
線状光源12aが点灯すると、線状光源12aから照射される光は、原稿Dによって反射されてCCD17にて受光される。CCD17は、受光された光量に対応した信号を、画像処理部44に出力し、画像処理部44は、CCD17の出力を画像処理する。スキャナCPU41は、画像処理部44の出力が一定せず変化している場合には、プラテンガラス18上に載置された原稿Dの操作者によるセットが完了していないものと判断し、ADF−CPU51に対して、開閉駆動モータ34の駆動を禁止することを指示する。これにより、ADF−CPU51は、開スイッチ19aおよび閉スイッチ19bがオン状態になっても、開閉駆動モータ34の駆動を禁止することになる。
【0077】
これに対して、画像処理部44の出力が所定時間にわたって変化しない状態が継続すると、スキャナCPU41は、プラテンガラス18上に載置された原稿Dの操作者によるセットが完了したものと判断し、ADF−CPU51に対して、開閉駆動モータ34の駆動禁止を解除することを指示する。これにより、ADF−CPU51は、開スイッチ19aおよび閉スイッチ19bの選択的なオン状態に従って、開閉駆動モータ34が駆動されることになる。
【0078】
このように、CCD17の出力に基づいて操作者がプラテンガラス18上にて原稿をセットしていることを検出する場合には、ADFユニット20が所定角度以下の開状態になっていることにより、線状光源12aが点灯しても、線状光源12aから照射される光が操作者に目視されるおそれがなく、また、CCD17の出力によって、原稿Dの主走査方向の端縁位置の移動を直接検出することができるために、原稿Dが移動していることの判別精度を向上させることができる。
【0079】
なお、ADFユニット20の開状態が、開閉位置検出器37によって検出される所定角度よりも大きくなっている場合には、スキャナユニット10に設けられた原稿センサの出力に基づいて、原稿Dのセットが完了したことについて判断されることになる。また、例えば、光量を低減する等して、操作者の目視による眩しさを感じさせないような場合には、ADFユニット20が所定角度以下の開状態になっているときに限らず、常に、CCD17の出力によって、原稿Dの移動を検出するようにしてもよい。
【0080】
さらに、CCD17は、原稿画像そのものを読み取れるので、CCD17の出力を一定期間毎にサンプリングして、読み取った画像のある特定の領域の画素群1ページ内での位置が、前回のサンプリング時と今回のサンプリング時で異なる場合には、原稿が移動していると判断する構成とすることもできる。
また、上記の実施形態では、スキャナユニット10のプラテンガラス18上での原稿Dのセット状態と、ADFユニット20の原稿給紙トレイ22上での原稿Dのセット状態のそれぞれに基づいて開閉駆動モータ34の駆動を禁止する構成であったが、いずれか一方のみで、開閉駆動モータ34の駆動を禁止する構成としてもよい。さらに、ADFユニット20における原稿Dの紙詰まりに基づいて開閉駆動モータ34の駆動を禁止する構成は、単独で用いてもよいが、原稿のセット状態に基づく開閉駆動モータ34の駆動を禁止する構成と組み合わせて用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、原稿の画像を読み取るスキャナユニットと、スキャナユニットにおいて画像が読み取られる原稿を自動搬送する自動原稿搬送ユニット(ADFユニット)とを有する画像読取装置において、ADFユニットの開閉が開閉駆動手段によって行われる場合の安全性を確保することができる。
【符号の説明】
【0082】
A 画像形成装置本体
B 画像読取装置
10 スキャナユニット
12 第1スライダー
13 第2スライダー
14 操作パネル
15a 第1原稿センサ
15b 第2原稿センサ
16 スリットガラス
17 CCD
18 プラテンガラス
19a 開スイッチ
19b 閉スイッチ
20 ADFユニット
21 ADFユニット本体
21y 開閉扉
22 原稿給紙トレイ
23a 第1原稿長さセンサ
23b 第2原稿長さセンサ
23c 第3原稿長さセンサ
24 原稿幅センサ
30 ヒンジ機構
31 固定側ヒンジ体
32 回動側ヒンジ体
33 ヒンジ支点軸
34 開閉駆動モータ
41 スキャナCPU
51 ADF−CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた画像読取装置であって、
前記自動原稿搬送ユニットを開閉駆動する開閉駆動手段と、
当該開閉駆動手段による開閉駆動を指示する開閉指示手段と、
前記スキャナユニットに設けられたプラテンガラス上での操作者による原稿のセットが完了していないと判断される場合、または、前記自動原稿搬送ユニットにおいて操作者による原稿のセットが完了していないと判断される場合に前記開閉駆動手段を駆動禁止状態とし、前記原稿のセットのいずれかが完了したと判断される場合に前記開閉指示手段による開閉指示に従って前記開閉駆動手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記プラテンガラス上での原稿のセットの完了の判断を、当該プラテンガラス上に載置される原稿のサイズを検出するために設けられたセンサの出力に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記プラテンガラス上での原稿のセットの完了の判断を、当該プラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取るために設けられた画像読取手段の出力に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記プラテンガラス上での原稿のセットの完了の判断を、前記自動原稿搬送ユニットの開閉角度が所定値よりも小さい場合には、前記プラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取るために設けられた画像読取手段の出力に基づいて行い、前記自動原稿搬送ユニットの開閉角度が所定値以上である場合には、前記プラテンガラス上に載置される原稿のサイズを検出するために設けられたセンサの出力に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記自動原稿搬送ユニットにおける原稿のセットの完了の判断を、当該自動原稿搬送ユニットの原稿載置トレイ上に載置される原稿のサイズを検出するために設けられたセンサの出力に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記自動原稿搬送ユニットは、原稿搬送経路における複数の位置のそれぞれにおいて紙詰まりを検出する複数の紙詰まり検出手段を有し、
前記制御手段は、前記紙詰まり検出手段によって原稿の紙詰まりが検出される場合には、その紙詰まり位置に基づいて、前記開閉指示手段による開閉指示の有効および無効を判断し、有効と判断される場合に当該開閉指示手段の指示に従って前記開閉駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた画像読取装置であって、
前記自動原稿搬送ユニットを開閉駆動する開閉駆動手段と、
当該開閉駆動手段による開閉駆動を指示する開閉指示手段と、
前記自動原稿搬送ユニットの原稿搬送経路における複数の位置においてそれぞれ紙詰まりを検出する複数の紙詰まり検出手段と、
前記紙詰まり検出手段によって原稿の紙詰まりが検出される場合には、その紙詰まり位置に基づいて、前記開閉指示手段による開閉指示の有効および無効を判断し、有効と判断される場合に当該開閉指示手段の指示に従って前記開閉駆動手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像読取装置が設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−226431(P2010−226431A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71531(P2009−71531)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】