説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】シート押圧部を閉じ切る際及び開き切る際、シート押圧部の開閉速度を一定とすることのできる画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】電動開閉部により、手動によるシート押圧部100の開閉を補助すると共に、シート押圧部100を手動開閉させる際、速度変更部によりシート押圧部100に加わる外力に応じて電動開閉部によるシート押圧部100の開閉速度を変更する。そして、シート押圧部100が外力に応じて開閉速度を変更する第1領域にあると判断したときには外力に応じて開閉速度を変更し、シート押圧部100が閉まり切る直前の第2領域にあるか、シート押圧部100が開き切る直前の第3領域に移動したと判断したときには、外力にかかわらず開閉速度を予め設定された速度に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関し、特にシートの画像を読み取る際、シート台に載置されたシートを上方より押えるシート押圧部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置、或は画像読取装置を有する画像形成装置において、シートの画像を読み取る場合に、例えば原稿台ガラス上にシートである原稿を載置した後、原稿押圧板によって原稿を押えることにより、原稿を固定するようにしている。そして、この状態で原稿台ガラスの下方に配された画像読取ユニットを読み取り方向に移動させることにより、原稿に記録された画像を読み取るようにしている。
【0003】
ここで、シート押圧部である原稿押圧板としては、原稿を自動的に原稿台ガラス上に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)の裏面で構成されるものがあり、原稿を読み取る場合には原稿搬送装置を閉じるようにしている。
【0004】
ところで、近年、自動原稿搬送装置は、画像形成装置の生産性が向上するのに比例して、より高速で原稿を搬送することができるようになっている。しかし、その一方で、高速化の実現のために大トルクの駆動モータが多数搭載されることとなり、結果自動原稿搬送装置自体の重量が増大する傾向にある。このため、原稿台ガラス上に原稿を載置して原稿の読み込みを行う際、手動で自動原稿搬送装置を開閉するようにすると、多大な労力が伴い、操作者の力が弱い場合には容易に開閉を行うことができないという問題があった。
【0005】
そこで、従来は、操作者が自動原稿搬送装置の開閉を意図して自動原稿搬送装置を操作したことを検知すると、自動原稿搬送装置を補助的に開閉動作させて開閉動作を容易に行うようにした開閉補助動作機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、操作者が操作ボタンを押下することで操作者の手を介在せず自動で自動原稿搬送装置の開閉を行う自動開閉機構が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−17571号公報
【特許文献2】特開2006−050225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、このような開閉補助動作機構や自動開閉機構を備えた従来の画像読取装置において、手動で自動原稿搬送装置を開閉する際、開閉補助動作機構や自動開閉機構により、想定されていないほど速い速度で自動原稿搬送装置が開閉される場合がある。
【0009】
ここで、このように高速で開閉されると、自動原稿搬送装置を閉じ切る際や、開き切る際に、大重量の自動原稿搬送装置が、画像読み取り面や最大開角面に対して高速で衝突するようになる。そして、このように大重量の自動原稿搬送装置が、高速で衝突すると、画像読取装置に衝撃が発生し、この衝撃により故障などを引き起こす場合がある。
【0010】
なお、このような自動原稿搬送装置の開閉時における衝撃の発生を防ぐため、従来、バネやダンパーを設けているが、高速で開閉される大重量の自動原稿搬送装置の衝撃の発生を防ぐためには、より強力なバネやダンパーを配する必要がある。しかし、このように強力なバネやダンパーを配した場合には、コストが増加する。
【0011】
一方、従来の来の画像読取装置において、例えば、自動原稿搬送装置が、所定の開閉角度にある際に、一定時間ランプを発光させ、その反射光の状態をCCDで読み取ることによってサイズ検知を行うようにしたものがある。しかし、このようなサイズ検知を行う場合でも、自動原稿搬送装置の開閉速度が速い場合には、一定のランプ点灯を行う時間を確保することができなくなってしまい、この結果、シートサイズの誤検知が生じる。
【0012】
そこで本発明では、このような現状に鑑みてなされたものであり、自動原稿搬送装置(シート押圧部)を閉じ切る際及び開き切る際、自動原稿搬送装置の開閉速度を一定とすることのできる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、シートが載置される載置台ガラスと、前記載置台ガラスに載置されたシートを上方より押える開閉自在なシート押圧部と、前記シート押圧部によりシートが上方から押えられた状態でシートの画像を読み取る画像読取部と、前記シート押圧部の手動による開閉を補助する電動開閉部と、前記シート押圧部を手動開閉させる際、前記シート押圧部に加わる外力に応じて前記電動開閉部による前記シート押圧部の開閉速度を変更する速度変更部と、前記シート押圧部の開閉角度を検出する開閉角度検出部と、前記開閉角度検出部からの検知信号に基づき、前記シート押圧部が前記外力に応じて前記開閉速度を変更する第1領域にあるか、前記シート押圧部が閉まり切る直前の第2領域にあるか、前記シート押圧部が開き切る直前の第3領域にあるかを判断し、前記シート押圧部が前記第1領域にあると判断したときには前記外力に応じて前記開閉速度を変更し、前記シート押圧部が前記第2領域又は前記第3領域に移動したと判断したときには前記外力にかかわらず前記開閉速度を予め設定された開閉速度に設定する開閉速度設定部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のように、シート押圧部が、閉まり切る直前の領域又は開き切る直前の領域にあるときには、外力にかかわらず開閉速度を予め設定された速度に設定することにより、閉じ切る際及び開き切る際のシート押圧部の開閉速度を一定とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置及び画像形成装置を示す斜視図である。
【0017】
図1において、210は不図示の画像形成部を備えた画像形成装置、110Aは画像形成装置210の上面に取り付けられた画像読取装置である。この画像読取装置110Aは、図2に示すようにシートである原稿の画像を読み取る画像読取部101を備えた画像読取装置本体110と、画像読取装置本体110の上面に上下方向に開閉回動可能に設けられた自動原稿給送装置(ADF)100とを備えている。
【0018】
また、画像読取部101は、載置台ガラスであるプラテンガラス201と、プラテンガラス上に載置された原稿Pの表面に光を照射して原稿画像を読み取る画像読取ユニット202とを備えている。
【0019】
画像読取ユニット202は、原稿Pの表面に対して光を照射する照明ランプ203及び第1反射ミラー204を有している。また、原稿Pからの反射光を第1反射ミラー204と共にレンズ207及びCCDセンサ208に導く第2及び第3反射ミラー205,206を備えている。
【0020】
ここで、プラテンガラス201上に載置された原稿Pの画像を読み取る際には、画像読取ユニット202、第2及び第3反射ミラー205,206を不図示のモータにより矢印方向に移動するようにしている。そして、このように移動する際に、プラテンガラス上の原稿の表面に対しランプ203から光を照射するようにしている。
【0021】
なお、原稿Pからの反射光は、第1〜第3反射ミラー204〜206を介してレンズ207に導かれ、レンズ207によってCCDセンサ208の受光部に結像され、これにより原稿画像が読み取られる。
【0022】
自動原稿給送装置100は、原稿積載トレイ620に積載された原稿Pをプラテンガラス201上に搬送するものであり、原稿積載トレイ620の上方には原稿Pを送り出すための給紙ローラ601が設けられている。また、この自動原稿給送装置100は、プラテンガラス201上に載置されたシートを上方より押える開閉自在なシート押圧部を構成するものである。
【0023】
ここで、給紙ローラ601は、通常、ホームポジションである上方位置に退避しており、原稿Pのセット作業を阻害しないようになっている。また、給紙動作が開始されると、給紙ローラ601は下降して原稿Pの上面に当接するようになっている。
【0024】
なお、給紙ローラ601の下流には、原稿を1枚ずつ分離する分離ローラ602と、分離ベルト603とからなる分離部が設けられている。さらに、分離部の下流には分離部により1枚ずつ分離されて搬送された原稿Pの先端を揃えるためのレジストローラ605が設けられている。そして、分離部により分離された1枚の原稿Pの先端を、静止した状態のレジストローラ605のニップ部に突き当て、原稿Pにループを生じさせることにより、原稿Pの先端を揃えるようにしている。
【0025】
レジストローラ605の下流側には、レジストローラ605を通過した原稿Pをプラテンガラス201方向へ搬送する給紙パス652が配置されている。さらに、この給紙パス652の下流には、給紙パス652を通過した原稿Pを、プラテンガラス上に搬送する搬送ベルト607が設けられている。
【0026】
なお、この搬送ベルト607は、ベルト駆動ローラ606により駆動されると共に、プラテンガラス201に接触しながら回転するようになっている。そして、このような搬送ベルト607により、給紙パス652を通過した原稿Pはプラテンガラス上の所定の読取位置に移動する。
【0027】
なお、611は原稿搬送開始前に原稿積載トレイ620より突出し、原稿Pの下流への進出を規制するストッパ、209は原稿サイズ検知センサであり、プラテンガラス上の対応する位置に原稿があるかないかを検知するものである。また、この原稿サイズ検知センサ209は、原稿の長手方向(図中の左右方向)のサイズを判断するためのものでもあり、原稿の奥手方向(図に対して垂直方向)のサイズの判断は後述する図9に示す原稿サイズ検知センサにより判断するようにしている。
【0028】
次に、このように構成された自動原稿給送装置100を備えた画像読取装置110Aの原稿画像読み取り動作について説明する。
【0029】
原稿画像を読み取る場合には、まず自動原稿給送装置100において、給紙ローラ601を原稿Pの上面に当接させた後、分離ローラ602と同一の駆動源により給紙ローラ601を回転し、最上位の原稿Paを分離ローラ602に搬送する。ここで、原稿Pが複数枚重なって搬送された場合には、分離ローラ602と分離ベルト603により構成される分離部により、最上位の原稿Paを他の原稿から分離して搬送する。
【0030】
次に、1枚に分離された原稿Paは、搬送ローラ604により、停止しているレジストローラ605に搬送された後、レジストローラ605によって先端が揃えられ、このように原稿Paの先端を揃えた後、レジストローラ605が回転する。これにより、原稿Paは、給紙パス652に搬送され、この後、搬送ベルト607によりプラテンガラス201上に搬送される。
【0031】
次に、このようにプラテンガラス201上に原稿が搬送された後、矢印方向に画像読取ユニット202、第2及び第3反射ミラー205,206が移動し、この際、プラテンガラス201上の原稿Paが照明ランプ203で照らされる。この原稿面の反射光が第1〜第3反射ミラー204〜206を介してレンズ207に導かれ、レンズ207によってCCDセンサ208の受光部に結像される。そして、このCCDセンサ208により、原稿画像は電気信号へと変換される。
【0032】
そして、このようにして画像が読み取られた後、原稿Paは、搬送ベルト607により給送され、給排紙ローラ617、排紙フラッパ616及び排紙ローラ618を介して原稿排紙パス655へ誘導されて原稿排紙口623へ排出される。
【0033】
なお、レジストローラ605の下流側には、レジストローラ605を通過した原稿を、給紙パス652又は反転パス653へ選択的に導く反転給紙フラッパ613が配置されている。そして、画像が読み取られた原稿Paを原稿積載トレイ620上に排出する場合は、搬送ベルト607を反転させると共に、反転給紙フラッパ613を切り替えて反転パス653に導くようにしている。
【0034】
この後、原稿は、第1反転ローラ614、第2反転ローラ615により搬送され、反転フラッパ612を通過した後、反転通路650を経て原稿積載トレイ620上に排出される。なお、原稿の裏面の画像を読み取る場合は、反転フラッパ612を切り替えて再給紙パス651へと導くようにしている。
【0035】
ところで、図2に示すように原稿積載トレイ620の下部には原稿後端検知センサ608、最終原稿検知センサ609、原稿セット検知センサ610が配置されている。ここで、原稿後端検知センサ608は、原稿がハーフサイズ原稿か否かを判定するための反射型の光センサである。
【0036】
原稿セット検知センサ610は、原稿Pがセットされたことを検知する透過型の光センサである。原稿セット検知センサ610と原稿後端検知センサ608との間にある最終原稿検知センサ609は、搬送中の原稿Pが最終原稿か否かを判定するための反射型の光センサである。なお、この最終原稿検知センサ609は、現在読み取り中の原稿Pの次に続く読み取り原稿Pがあるかの否かを検出するセンサでもある。
【0037】
また、原稿積載トレイ620には、それに載置された原稿Pの副走査方向にスライド可能な不図示のガイド規制板が設けられると共に、このガイド規制板に連動して原稿幅を検出する原稿幅検知センサ810(図3参照)が設けられている。
【0038】
そして、この原稿幅検知センサと、原稿後端検知センサ608との組み合わせにより、原稿積載トレイ620上に載置された原稿のサイズが判別可能となる。また、搬送パス内に設けられた原稿長検知センサ16(図3参照)により、搬送中の原稿の先端検知から後端検知までの搬送距離から原稿長を検出することも可能である。そして、検知した原稿長と原稿幅検知センサが検知した原稿幅との組み合わせからも、原稿サイズが判別可能である。
【0039】
図3は、自動原稿送り装置100の制御ブロック図であり、図3において、800は中央演算処理装置である制御手段であるCPUである。このCPU800の入出力ポートには、制御用プログラムが格納されたリードオンリーメモリ(ROM)801、入力データや作業用データが格納されるランダムアクセスメモリ(RAM)802が接続される。
【0040】
また、CPU800の出力ポートには、分離ローラ602及び給紙ローラ601を駆動する分離モータM1、レジストローラ605等を駆動する給紙モータM2、給排紙ローラ617及び排紙ローラ618を駆動する排紙モータM3が接続されている。さらに、出力ポートには、離間ソレノイドSL、給紙クラッチCLが接続されている。
【0041】
また、入力ポートには、分離後センサ11、レジストセンサ12、リードセンサ13、排紙センサ14、原稿サイズ検知センサ209、原稿長検知センサ16、原稿幅検知センサ810がそれぞれ接続されている。
【0042】
さらに、入力ポートには、エンコーダ9及び開閉検知センサ10からの信号がそれぞれ入力され、自動原稿給送装置100の開閉角度及び開閉速度を検出する後述する図8に示す開閉角度及び開閉速度検出部300が接続されている。
【0043】
そして、CPU800は、バスを介して接続されたROM801に格納された制御プログラムにしたがって原稿搬送を制御する。また、CPU800は、後述する図4に示す画像読取部101のCPU(中央演算処理装置)とシリアル通信を行い、画像読取部101との間で制御データの授受を行うようになっている。また、原稿画像データの先端の基準となる画先信号も通信ラインを通して画像読取部101に通知する。
【0044】
図4は、画像読取部101の制御ブロック図である。図4において、906は画像読取部101の制御を行うCPUであり、このCPU906には不図示のプログラム格納ROM、ワークRAM等が含まれる。
【0045】
904は紙間補正を行う紙間補正処理部、907は画像読取ユニット202を駆動するモータドライバ部、908は画像読取部101の各種センサからの信号をCPU906に取り込むためのセンサ信号入力部である。そして、CPU906は、モータドライバ部907及びセンサ信号入力部908を用いて画像読取部101の制御を行う。
【0046】
903は画像メモリであり、既述したようにCCDセンサ208上に結像された画像信号は後述する図5に示すように構成された画像処理部902により各種の画像処理が行われ、画像メモリ903に書き込まれる。そして、画像メモリ903に書き込まれたデータは順次コントローラI/F910を通して、コントローラ部400へ送信される。
【0047】
また、原稿画像データの先端の基準となる画先信号については、CPU906でタイミングを取って、コントローラI/F910を通して後述する図6に示すコントローラ部400へ通知される。DFからの通信ラインで通知される画先信号についても同様に画像読取部101のCPU906でタイミングを取って、コントローラI/F910を通して画像読取装置110Aのコントローラ部400へ通知される。
【0048】
図5は画像処理部902の構成を示す制御ブロック図であり、画像処理部902は、増幅回路1001、A/D変換器1002、補正回路1003を備えている。そして、CCDセンサ208から、原稿画像を走査する過程で、読み取りの1ラインごとにアナログの画像信号が出力されると、このアナログ画像信号は増幅回路1001により増幅された後、A/D変換器1002により8ビットのデジタル信号に変換される。
【0049】
なお、このデジタル信号は、補正回路1003において、紙間補正処理部904(図4参照)で作成された紙間補正データ1008に基づいて補正処理が行われ、この後、画像メモリ903に書き込まれて行く。
【0050】
図6は画像読取装置110Aに設けられ、画像読取装置110Aの動作全般を制御するコントローラ部400の制御ブロック図であり、このコントローラ部400は、リーダインタフェース401を介して画像読取部101に接続されている。コントローラ部400はリーダインタフェース401の他に、CPU407と、CPU407の作業領域であるRAM408と、コントローラ部400の制御プログラムがストアしてあるROM409とを備えている。ここで、CPU407はROM409の制御プログラムにしたがってコントローラ部400の各部を制御するものである。
【0051】
また、コントローラ部400は、リーダメモリ402と、リーダメモリ402の画像データを圧縮するエンコーダ403と、エンコーダ403により圧縮して得られた画像データをストアする圧縮用画像メモリ404を備えている。さらに、コントローラ部400は、ページメモリ406と、圧縮用画像メモリ404の圧縮されている画像データを解析し(伸張し)ページメモリ406上に展開するデコーダ405を備えている。
【0052】
そして、このような構成のコントローラ部400に、画像メモリ903のデータが、画像読取部101からの画先信号をトリガにしてコントローラI/F1310及びリーダインタフェース401を介して1ラインずつコントローラ部400に送信される。ここで、コントローラ部400は、このように送信された画像の圧縮前の画像データをリーダメモリ402に順次ストアしていく。
【0053】
また、コントローラ部400は、画像読取部101への読み取りジョブモード(片面や両面など)の指示を行う操作部412(図1参照)が接続されている。そして、コントローラ部400は、操作部412で指示されたジョブモードにしたがって、リーダインタフェース401を介して画像読取部101と通信を行って画像読み取り動作を行うようにしている。
【0054】
ところで、自動原稿搬送装置(以下、ADFという)100は、既述したように画像読取装置本体110に対して開閉回動可能となっている。そして、このADF100を自動開閉させるため、画像読取装置本体110には図7の(a)に示すように電動開閉部である自動開閉部70Aが設けられている。
【0055】
この自動開閉部70Aは、速度及び正逆回転切り換え自在なステッピングモータ等の駆動モータ70と、駆動モータ70の駆動ギヤ70aと噛合するピニオン71と、ADF100の回動端側に設けられ、ピニオン71と噛合するラック71aとを備えている。そして、駆動モータ70を駆動すると、駆動モータ70を駆動は駆動ギヤ70a、ピニオン71及びラック71aを有してADF100に伝達され、これにより図7の(b)に示すように、ADF100が開閉する。
【0056】
ここで、このADF100の開閉角度及び開閉速度は、図7の(c)に示すように、ADF100の不図示の開閉軸に取り付けたエンコーダ9の出力信号により検出可能である。また本実施の形態では、ADF100が完全に閉じたことを検知するための開閉検知センサ10を有しており、これらエンコーダ9及び開閉検知センサ10の出力に基づいてCPU800は、ADF100の開閉角度及び開閉速度出力を検出するようにしている。
【0057】
図8の(a)は、エンコーダ9及び開閉検知センサ10の出力に基づいてADF100の開閉角度及び開閉速度を検出するための開閉角度及び開閉速度検出部300の回路構成を示す図である。
【0058】
図8において、301、302はエンコーダ9の出力信号であり、この出力信号301,302は、開閉動作を行なう際に、ADF100が、ある微小角度分、移動する毎に出力されるものである。この2つ出力信号301,302のいずれかが変化することで、ADF100が、微小な固定角度分移動したことが分かる。
【0059】
また、この出力信号301,302及び出力信号301,302の反転出力である反転出力信号303,304は、カウンタ回路305に入力されるようになっている。カウンタ回路305では、出力信号301,302及び反転出力信号303,304のいずれかの信号が変化した回数を計数し、カウンタ回路305のカウント値に基づきCPU800(図3参照)は、ADF100の開閉が何ステップ分行なわれたかを判断する。
【0060】
また、同時にCPU800は、出力信号301,302及び反転出力信号303,304のエッジの変化方向からADF100が開方向に移動したか、閉方向に移動したかを判断する。例えば、図8の(b)に示すエンコーダ出力パルスの場合、立ち上がりエッジが301,302,303,304の順で発生するならばADF100の移動方向が開方向であるとみなす。逆に、立ち上がりエッジが304,303,302,301の順で発生するならば、ADF100の移動方向が閉方向であるとみなす。
【0061】
そして、CPU800は、ADF100の移動方向が開方向と判断した場合には、カウント回路305のカウント値を加算し、閉方向と判断した場合にはカウント値を減算する。この結果、カウントの値によりADF100の開閉角度を検出することが可能となる。なお、この開閉角度信号307はCPU800に送られる。
【0062】
また、カウント回路305にはエンコーダ9の出力以外に開閉検知センサ10の値が入力され、開閉検知センサ10の値によりADF100が閉状態にあることが通知されると、カウンタ回路305のカウント値は0にリセットされる。
【0063】
また、カウンタ回路305からの開閉角度信号307は、ADF100の開閉時の速度を算出するための開閉速度検出回路306に入力される。そして、この開閉速度検出回路306は、入力された開閉角度信号307の単位時間当たりの差分を算出することでADF100の開閉速度を検出するようにしている。
【0064】
図9は、既述した原稿サイズ検知センサ209の配置を示す図であり、本実施の形態において、原稿サイズ検知センサ209は、イメージセンサのライン方向(主走査方向)に2個、光学ユニットの移動方向(副走査方向)に3個、配置されている。そして、原稿サイズ検知センサ209の検知結果の組み合わせにより、A3R、B4R、A4R、B5R、A4、B5の定型サイズ原稿(Rは横置きを意味する)のサイズ検知が可能となっている。
【0065】
図10は、サイズ検知部である原稿サイズ検知センサ209の構成を示す図であり、図10において、209aはセンサ本体、209bはセンサ本体209aに設けられた発光部、209cはセンサ本体209aに設けられた受光部である。
【0066】
そして、センサ発光部209bより照射された光は、プラテンガラス201上に原稿があった場合には原稿面で反射し、センサ受光部209cに入力される。従って、プラテンガラス上に原稿がある場合には、原稿サイズ検知の開始時点からADF100が閉め切られるまでの間、原稿サイズ検知センサ209の出力は原稿ありを示す1の状態となる。
【0067】
しかし、プラテンガラス201上に原稿がなかった場合には、原稿からの反射がないため、センサ受光部209cでの受光はない。この場合、原稿サイズ検知センサ209の出力は原稿なしを示す0となる。
【0068】
ただし、ADF100の裏面の原稿押さえ部703は白色なため、ADF100が閉め切られた状態では、センサ発光部209bより照射された光は、原稿押さえ部703に当って反射し、センサ受光部209cで受光される。このため、ADF100が閉め切られた状態では、原稿の有る無しに関わらず原稿サイズ検知センサ209は原稿ありと判断する。したがって、プラテンガラス201上に原稿がなかった場合でも、ADF100が閉め切られると原稿サイズ検知センサ209の出力は0から1へと変化する。
【0069】
なお、原稿サイズ検知センサ209が原稿の有無を判定する領域に、原稿上の黒い部分がきてしまった場合には、反射光が弱くなるので、原稿があるにも関わらずセンサ出力は原稿なしを出力する。しかし、この場合、原稿サイズ検知の開始時点からADF100が閉め切られるまでのセンサ出力は0→0となり、ADF100を閉め切ることで1になるはずのセンサ出力が0のままであることから、この位置にも原稿があることが判断できる。
【0070】
これらのことから、各原稿サイズ検知センサ209の出力の変化を見ることにより、原稿サイズ検知センサ209の出力に変化があった場所には原稿がないことがわかると共に、出力の組み合わせにより原稿サイズを判断することができる。
【0071】
ところで、このような原稿サイズ検知は、ADF100を開いてプラテンガラス201に原稿を載置した後、ADF100を閉じる際に行なわれる。次に、このような原稿サイズ検知制御について図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0072】
原稿サイズを検知する場合は、CPU800は、まずADF100が開かれるのを待つ。そして、開閉角度及び開閉速度検出部300からの開閉角度情報により、ADF100の開角度が所定値θより大きくなった場合にADF100が開かれたと判断する。この後、原稿がプラテンガラス201にセットされる。
【0073】
次に、プラテンガラス201にセットされた原稿を上方より押えるようADF100が閉じられ始めるのを待つ(S501)。そして、ADF100の角度が所定値θより小さくなると、ADF100が閉じられ始めたと判断し(S501のY)、次にADF100の角度が所定値θ(θ>θ)である検知開始角度となるのを待つ(S502)。
【0074】
この後、ADF100の角度が検知開始角度となると(S502のY)、原稿サイズ検知センサ209の発光部209bにより検知用の光を原稿に向けて照射し、原稿サイズ検知を開始する(S503)。
【0075】
ここで、この原稿サイズ検知はADF100が閉じられる過程で繰り返し行い、ADF100が閉まり切ると(S504のN)、その時点で原稿サイズを確定する(S507)。また、ADF100が閉まり切らず(S504のY)、ある角度の状態で所定時間経過し、タイムアウトとなると(S505のY)、あるいはスタートキーが押され(S506のY)、読み込み動作が開始された時点で原稿サイズを確定する(S507)。
【0076】
そして、このように原稿サイズが確定された時点で原稿サイズ検知動作を停止する。なお、ステップ505の条件で原稿サイズの確定を行うのは、例えば、ブック原稿を読み込む際にはADF100は閉まり切らないことがあるためである。また、一度原稿サイズを確定した後は、電源OFFあるいは節電モードにならなければ、再度ADF100が開き始めるまでそのサイズを保持する。
【0077】
この後、ADF100の角度が所定値θ(θ>θ、或はステップ505で想定している一般的なブック原稿時のADF100の角度より大きい角度)より大きくなったと判断すると、ADF100が開き始めたと判断する(S508のY)。この場合、検知している原稿サイズをクリアし(S509)、この後、ステップ501に戻り、再度、ADF100が閉じられるのを待つ状態に戻る。
【0078】
なお、原稿サイズ検知の動作状態において、ADF100が閉まり切らず(S504のY)、タイムアウトとならず(S505のN)、スタートキーが押されない状態で(S506のN)、ADF100が開き始める場合が有る(S510のY)。この場合には、原稿サイズ検知動作を停止し(S511)、またその時点で検知していた原稿サイズをクリアし(S509)、ステップ501の待ち状態に戻る。なお、ステップ510において、ADF100が開き始めたことを判断するADF100の角度は、既述したステップ508のθに等しい。
【0079】
ところで、本実施の形態では、ADF100の開閉を手動で行う場合があり、この場合、ADF100には操作者により外力が加わる。この場合においても、CPU800は、既述したカウンタ回路305及び開閉速度検出回路306の出力値よりADF100の開閉角度や開閉速度に基づいてADF100の開閉状態を判定する。
【0080】
そして、ADF100が開閉動作中である場合には、自動開閉部70Aの駆動モータ70を、加わる外力に応じて最適な速度で回転させることで、操作者によるADF100の手動開閉動作を補助するようにしている。即ち、ADF100を手動開閉させる際、速度変更部であるCPU800は、ADF100に加わる外力に応じて自動開閉部70AによるADF100の開閉速度を変更するようにしている。
【0081】
ここで、ADF100の手動開閉の際、自動開閉部70Aによる開閉補助動作を行っている場合、ADF100を閉じ切る直前、又は開き切る直前のADF開閉速度が想定範囲を越えて高速になる場合がある。
【0082】
この場合には、駆動モータ70を自律的に回転させることにより、設定された一定の速度でADF100を自動的に開閉するようにしている。つまり、ADF100を閉じ切る直前、又は開き切る直前にADF100の開閉速度が高速になった場合には、自動開閉部70Aによる開閉補助動作を一定速度でADF100を開閉する自動開閉動作に自動的に切り替えるようにしている。
【0083】
次に、この場合の自動開閉部70AによるADF100の開閉時における開閉補助動作と自動開閉動作との自動切り替え処理について図12に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施の形態においては、ADF100が、後述する図13の(a)において、矢印で示すアシストの範囲にあるときに開閉補助動作を行い、矢印で示す自動の範囲にあるときに自動開閉動作を行うようにしている。
【0084】
まず、CPU800は、操作者によるADF100の開閉操作に対して、開閉補助動作を実施中か否かを判定する(S1100)。ここで、開閉補助動作中である場合には(S1100のY)、次に開閉角度検出部である開閉角度及び開閉速度検出部300によりADF100の開閉角度θが何度であるかを検出する。ここで、ADF100が開動作されているときには、ADF100開角度θが(θmax−10度)≦θ≦θmax(90度)であるかを判断する(S1101)。
【0085】
そして、(θmax−10度)≦θ≦θmax(S1101のY)の場合には、その時点での開速度ωの値に応じた最も近く、かつADF100が開き切ったとき、激突の衝撃が生じない開速度ωでADF100を開く自動開動作へと切り替える。つまり、ADF100の開角度θが(θmax−10度)≦θ≦θmaxの場合には、開補助動作から自動開動作への切り替え処理が行われる(S1103)。
【0086】
また、ADF100が開閉補助動作により閉動作されているときは、ADF100の閉角度θがθmin(0度)≦θ≦(θmin+10度)であるかを判断する(S1102)。そして、θmin≦θ≦(θmin+10度)の場合には(S1102のY)、その時点での閉速度ωの値に応じた最も近しくて、かつADF100が閉じ切る場合において激突の衝撃が生じない閉速度ωでADF100を閉じる自動閉動作へと切り替わる。つまり、ADF100の閉角度θがθmin≦θ≦(θmin+10度)の場合には、閉補助動作から自動閉動作への切り替え処理が行われる(S1103)。
【0087】
なお、切り替え処理を行う際、開閉速度検出部である開閉角度及び開閉速度検出部300により検出されたADF100の開閉速度ωと、設定されたADF100の開閉速度ωとの差分が大きい場合がある。この場合、操作者は開閉動作の切り替え時の違和感を強く感じてしまうことから、結果として操作感が損なわれてしまう恐れがある。
【0088】
このため、本実施の形態では、再設定されたADF100の開閉速度ωを複数の段階に分けて段階的に設定可能とし、極力、その時点での開閉速度ωとの差分が小さくなるように開閉速度ωを設定している。これにより、開閉操作によって操作者が意図していた開閉速度との差を必要以上に生じさせなくすることができ、これにより操作上の違和感を緩和し、結果として操作感を向上させることができる。
【0089】
次に、ADF100の閉角度がθmin(0度)、即ち閉じきった状態と、ADF100開角度がθmax(90度)、即ち開き切った状態においてADF100の開閉速度ω=0になるようにADF100の開閉速度を減速させる。そして、このような減速〜停止処理を行うことにより(S1104)、ADF100が閉じきった状態、若しくは開ききった状態においてスムーズにADF100を停止させることができる。
【0090】
このように構成することにより、操作者のADF100の開閉操作に対する補助動作を行った際に、ADF100が画像読み取り面や最大開角面に対して高速で衝突するのを防ぐことができる。この結果、画像読取装置本体110に加わる衝撃を抑えることができ、衝撃による故障の発生を防ぐことができる。
【0091】
なお、図13は、ADF100が閉じ切る、若しくは開き切る直前で開閉補助動作から自動開閉動作に切り替えた場合のADF100の開閉角度と開閉速度との関係を示す図である。
【0092】
本実施の形態においては、図13の(a)、(b)に示すように、ADF100を開く場合には、ADF100が外力に応じて開閉速度を変更する領域(第1領域)にあるときは、ADF100が開き切る直前までは開きを補助(アシスト)する開補助動作を行う。この後、ADF100が開き切る直前の領域(第3領域)となると、所定の速度によりADF100を開く自動開動作に切り替わるようにしている。
【0093】
また、ADF100を閉じる場合には、ADF100が閉じ切る直前の領域(第2領域)までは閉じを補助(アシスト)する閉補助動作を行う。この後、ADF100が閉じ切る直前の領域(第2領域)となると、所定の速度によりADF100を閉じる自動閉動作に切り替わるようにしている。
【0094】
つまり、開閉速度設定部であるCPU800は、ADF100が第1領域にあるか、第2領域にあるか、第3領域にあるかを判断し、ADF100が第1領域にあると判断したときには外力に応じて開閉速度を変更するようにしている。また、ADF100が第2領域又は第3領域に移動したと判断したときには外力にかかわらず開閉速度を予め設定された速度に設定するようにしている。
【0095】
このように、ADF100が、第2領域又は第3領域にあるときには、外力にかかわらず開閉速度を予め設定された速度に設定することにより、閉じ切る際及び開き切る際のADF100の開閉速度を一定とすることができる。これにより、ADF100が開閉する際、ADF100が画像読取装置本体110に衝撃が発生するのを抑えることができる。
【0096】
なお、ADF100が閉じ切る、若しくは開き切る直前に自動開閉動作に切り替わった後に、操作者が意図してADF100に開閉方向と逆方向に外力を加えてADF100の開閉動作の中断を行おうとする場合がある。この場合、CPU800は、開閉角度及び開閉速度検出部300からの開閉速度情報によりADF100の開閉速度の減速を検知し、速やかにADF100の開閉動作を自動開閉動作から開閉補助動作に切り替わるようにしている。これにより、ADF100開閉動作の中断に関する操作者の意図通りの動作を実現することができる。
【0097】
ところで、既述した原稿サイズ検知センサ209を用いた原稿サイズの検知を行う場合、ADF100の開閉速度が高速になると、原稿サイズ検知を確実に行うことができなくなる。しかし、本実施の形態のように、自動開閉部70Aの開閉補助動作によりADF100の開閉速度が高速になってしまった場合、自動開閉部70Aの開閉動作を開閉補助動作から自動開閉動作に切り替えることにより、原稿サイズ検知も確実に行うことができる。
【0098】
つまり、本実施の形態では、原稿サイズの検知を行う際にADF100の開閉速度が高速になってしまった場合には、自動開閉部70Aの開閉動作を開閉補助動作から自動開閉動作に自動的に切り替えるようにしている。
【0099】
次に、このような原稿サイズ検知時における自動開閉部70Aによる開閉補助動作と自動開閉動作との自動切り替え処理について図14に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施の形態においては、ADF100が、後述する図15の(a)において、矢印で示すアシストの範囲にあるときに開閉補助動作を行うようにしている。また、矢印で示す自動の範囲にあるときに自動開閉動作を行い、原稿サイズの検知を行うようにしている。
【0100】
まず、CPU800は、操作者によるADF100の開閉操作に対して、開閉補助動作を実施中か否かを判定し(S1301)、開閉補助動作中である場合には(S1301のY)、次にADF100の開閉角度θが何度であるかを監視する。ここで、この開閉角度θが、既述した図11で詳細に説明したようにADF100が閉じ始めたと判定される角度をθとした場合、θ≦θの範囲にあるかを判断する(S1302)。
【0101】
そして、θ≦θの場合には(S1302のY)、その時点でのADF100の開閉速度ωの値に応じた最も近しくて、かつ原稿サイズの誤検知が発生し得ない閉速度ωでのADF100の自動開閉動作へと切り替わる。つまり、ADF100の閉角度θがθ≦θの場合には、閉補助動作から自動閉動作への切り替え処理が行われる(S1303)。
【0102】
なお、この際、既述したように、その時点でのADF100の開閉速度ωと、再設定されたADF100の開閉速度ωとの差分を極力小さくなるようにすることで操作上の違和感を緩和し、結果として操作感を向上させるようにすることは言うまでもない。また、θ≦θでない場合には(S1302のN)、ステップ1301に戻り、監視処理を繰り返す。
【0103】
次に、ADF100の閉角度がθmin(0度)、即ち閉じきった状態となったとき、ADF100の開閉速度ω=0になるようにADF100の開閉速度を減速させる。そして、このような減速〜停止処理を行うことにより(S1304)、ADF100が閉じきった状態においてスムーズにADF100を停止させることができる。
【0104】
このように構成することにより、操作者のADF100の閉操作に対する閉補助動作を行った際に、サイズ検知実行中のADF100の閉速度が高速になるのを防止することができ、これにより原稿サイズの誤検知の発生を回避することができる。
【0105】
図15は、原稿サイズを検知する際、閉補助動作から自動閉動作に切り替えた場合のADF100の開閉角度と開閉速度との関係を示す図である。
【0106】
本実施の形態においては、図15の(a)、(b)に示すように、原稿サイズを検知する場合には、ADF100が外力に応じて開閉速度を変更する第1領域にあるときは、ADF100が開き切る直前までは開きを補助(アシスト)する開補助動作を行う。この後、ADF100の角度がθとなると、即ちADF100がサイズ検知可能範囲となるADF100が閉じ切る直前の領域(第2領域)となると、一定の設定速度によりADF100を閉じる自動閉動作に切り替わるようにしている。
【0107】
なお、サイズ検知実施時において自動開閉動作に切り替わった後に、操作者が意図してADF100の閉動作の中断を行おうとする場合がある。この場合、ADF100の開閉速度の減速を検知し、速やかにADF100の開閉動作を自動開閉動作から開閉補助動作に切り替わるようにしている。これにより、ADF100開閉動作の中断に関する操作者の意図通りの動作を実現することができる。
【0108】
なお、図12及び図13で説明したADF100の開閉動作に係る制御シーケンスと、図14及び図15で説明したサイズ検知動作に係る制御シーケンスは、それぞれ自動開閉動作に切り替るパターンが異なるため必ずしも同時に行うことはできない。
【0109】
そこで、本実施の形態では、ADF100に対し、原稿のサイズが確定するまでは後者の制御シーケンスを優先し、サイズが確定して以降は、前者の制御シーケンスに切り替るような処理を行っており、結果として2つの制御シーケンスの両立を実現している。なお、それぞれの制御シーケンスを独立して行うようにしても良い。
【0110】
ところで、これまでの説明では、主走査方向、副走査方向ともに原稿サイズ検知センサ209を用いて検知する場合について述べたが、主走査方向に関しては画像読み取りのイメージセンサを用いて原稿サイズを検知するようにしても良い。ただし、こちらの方式に対しても、原稿サイズ検知タイミングの制御に関して同様に実施することが可能である。
【0111】
また、これまでの説明では、ADF100の開閉角度をエンコーダ9の出力に基づいて検出したが、原稿サイズ検知時、原稿サイズ検知センサ209の光を照射してから反射光を受光するまでの時間を計ることでもADF100の開閉角度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置及び画像形成装置を示す斜視図。
【図2】上記画像読取装置の概略構成を説明する図。
【図3】上記画像読取装置に設けられた自動原稿送り装置の制御ブロック図。
【図4】上記画像読取装置に設けられた画像読取部の制御ブロック図。
【図5】上記画像読取部に設けられた画像処理部の構成を示す制御ブロック図。
【図6】上記画像読取装置に設けられたコントローラ部の制御ブロック図。
【図7】(a)は上記画像読取装置に設けられた自動開閉部の構成を示す斜視図、(b)は自動開閉部により自動原稿送り装置が開閉する様子を示す斜視図、(c)は上記画像読取装置に設けられたエンコーダ及び開閉検知センサを示す図。
【図8】(a)は上記画像読取装置に設けられた開閉角度及び開閉速度検出部の回路構成を示す図、(b)は上記開閉角度及び開閉速度検出部に入力されるエンコーダの出力を示す図。
【図9】上記画像読取装置に設けられた原稿サイズ検知センサの配置を示す図。
【図10】上記原稿サイズ検知センサの構成を示す図。
【図11】上記原稿サイズ検知センサを用いた原稿サイズ検知制御を示すフローチャート。
【図12】上記自動原稿送り装置の開閉時における開閉補助動作と自動開閉動作との自動切り替え処理を示すフローチャート。
【図13】上記自動原稿送り装置が閉じ切る、若しくは開き切る直前で開閉補助動作から自動開閉動作に切り替えた場合の自動原稿送り装置の開閉角度と、開閉速度との関係を示す図。
【図14】上記画像読取装置の原稿サイズ検知時における開閉補助動作と自動開閉動作との自動切り替え処理を示すフローチャート。
【図15】上記原稿サイズを検知する際、閉補助動作から自動閉動作に切り替えた場合の自動原稿送り装置の開閉角度と、開閉速度との関係を示す図。
【符号の説明】
【0113】
9 エンコーダ
10 開閉検知センサ
70 駆動モータ
70A 自動開閉部
101 画像読取部
100 自動原稿給送装置(ADF)
110 画像読取装置本体
110A 画像読取装置
201 プラテンガラス
202 画像読取ユニット
209 原稿サイズ検知センサ
210 画像形成装置
300 開閉角度及び開閉速度検出部
800 CPU
P 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置される載置台ガラスと、
前記載置台ガラスに載置されたシートを上方より押える開閉自在なシート押圧部と、
前記シート押圧部によりシートが上方より押えられた状態でシートの画像を読み取る画像読取部と、
前記シート押圧部の手動による開閉を補助する電動開閉部と、
前記シート押圧部を手動開閉させる際、前記シート押圧部に加わる外力に応じて前記電動開閉部による前記シート押圧部の開閉速度を変更する速度変更部と、
前記シート押圧部の開閉角度を検出する開閉角度検出部と、
前記開閉角度検出部からの検知信号に基づき、前記シート押圧部が前記外力に応じて前記開閉速度を変更する第1領域にあるか、前記シート押圧部が閉まり切る直前の第2領域にあるか、前記シート押圧部が開き切る直前の第3領域にあるかを判断し、前記シート押圧部が前記第1領域にあると判断したときには前記外力に応じて前記開閉速度を変更し、前記シート押圧部が前記第2領域又は前記第3領域に移動したと判断したときには前記外力にかかわらず前記開閉速度を予め設定された開閉速度に設定する開閉速度設定部と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記予め設定された開閉速度は、前記シート押圧部が閉まり切る際及び前記シート押圧部が開き切る際の衝撃を抑えることのできる開閉速度であることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記シート押圧部の開閉速度を検出する開閉速度検出部を備え、
前記開閉速度設定部は、前記シート押圧部が前記第1領域から前記第2領域又は前記第3領域に移動したときに前記開閉速度を予め設定された開閉速度にする際、前記開閉速度検出部によって検出された開閉速度に応じて段階的に前記開閉速度を前記予め設定された開閉速度に変更することを特徴とする請求項1または2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記開閉速度設定部は、前記第2領域又は前記第3領域にある前記シート押圧部に、移動方向と逆方向に外力が加えられたときには、前記開閉速度を前記予め設定された開閉速度から前記外力に応じた開閉速度に変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記シート押圧部の開閉動作に伴って前記載置台ガラスに載置されたシートのサイズを検知するサイズ検知部を備え、
前記サイズ検知部によるシートサイズ検知は、前記予め設定された開閉速度において行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置により読み取られた画像をシートに形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−191197(P2008−191197A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22628(P2007−22628)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】