説明

画像読取装置用の画像データ補正装置

【課題】照明色を順次に切換えて画像検出する画像読取装置においても、適正にスミア補正を行えるようにする
【解決手段】受光素子をライン状に並べた受光部と電荷転送部とを有する光センサによって、光源LSからの照明光が照射される画像読取対象物1の像を読取る画像読取装置FSから出力される画像データのスミアの成分を補正するの画像データ補正装置において、前記画像読取装置FSの前記光源LSは、複数の照明色を順次に繰り返して切換えるように構成され、前記受光素子から前記電荷転送部に電荷を転送する際に、既に前記電荷転送部における転送先の位置に蓄積されていた電荷による既存信号成分と、前記電荷転送部において転送される過程で新たに蓄積される電荷による追加信号成分とを求めて、補正対象の画像データの補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子をライン状に並べて配列した受光部と前記受光素子夫々からの転送動作によって受け取った電荷を転送出力する電荷転送部とを有する光センサによって、光源からの照明光が照射される画像読取対象物の像を読取る画像読取装置から出力される画像データを補正するために、前記電荷転送部に蓄積される電荷のうちの、前記転送動作によって正規に前記受光素子から前記電荷転送部へ転送される電荷以外の不正電荷による信号成分を補正するための補正用データを求める補正用データ演算部と、前記補正用データにて各画像データを補正する補正処理演算部とが備えられ、前記補正用データ演算部は、撮像のために有効な複数の受光素子に生成された電荷が前記電荷転送部へ転送された後、前記電荷転送部において前記複数の受光素子から受け取った電荷の転送動作に追加して実行される追加転送動作によって出力される信号により得られるデータにより前記補正用データを求めるように構成された画像読取装置用の画像データ補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばCCDラインセンサあるいはCCDイメージセンサ等の光センサでは、受光素子への入射光によって生成された電荷を電荷転送部に転送した後、電荷転送部での転送動作によって各受光素子の検出信号を取り出す際に、例えば受光素子に強い光が入射して発生した電荷が電荷転送部にあふれ出したり、あるいは、電荷転送部に形成した遮光膜を透過して電荷を発生させたりする等して、受光素子から正規の転送タイミングで受け取った電荷以外の電荷(前記不正電荷)が電荷転送部に混入してしまうことによって、異常な画像データが生成されてしまういわゆるスミアという現象が発生する場合がある。
従来、このスミア現象による撮像画質の劣化を抑制するため、下記特許文献1に記載のように、遮光された受光素子から読出したデータを平均して補正用データを求め、通常の有効画素(光学像が結像される画素)の画像データからその補正用データを減算する補正処理を実行することが考えられている。
更に、上記補正用データを求めるための基礎となるデータとして、下記特許文献1のような遮光された画素からの出力データを用いるのではなく、受光素子から正規に受け取った電荷を転送する転送動作に追加して転送動作(空転送)を行い、その空転送によって出力されたデータを平均することで前記補正用データを求めることも考えられている。
この空転送は、実際には対応する受光素子が存在しない位置からの転送動作であるが、強い光が当たって電荷があふれ出している受光素子の位置を通過するときに、あふれ出した電荷を受け取って転送して行くことになる。
【特許文献1】特開2000−350032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来構成に記載のような取扱いでは、スミアの補正として適切でない場合もある。
すなわち、画像読取対象物に光源から照射する照明光の照明色が順次に繰り返して切換えられ、各照明色について1ライン分の画像データを出力するような読取り形式をとる場合である。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、このような場合にも、適正にスミア補正を行えるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の第1の発明は、受光素子をライン状に並べて配列した受光部と前記受光素子夫々からの転送動作によって受け取った電荷を転送出力する電荷転送部とを有する光センサによって、光源からの照明光が照射される画像読取対象物の像を読取る画像読取装置から出力される画像データを補正するために、前記電荷転送部に蓄積される電荷のうちの、前記転送動作によって正規に前記受光素子から前記電荷転送部へ転送される電荷以外の不正電荷による信号成分を補正するための補正用データを求める補正用データ演算部と、前記補正用データにて各画像データを補正する補正処理演算部とが備えられ、前記補正用データ演算部は、撮像のために有効な複数の受光素子に生成された電荷が前記電荷転送部へ転送された後、前記電荷転送部において前記複数の受光素子から受け取った電荷の転送動作に追加して実行される追加転送動作によって出力される信号により得られるデータにより前記補正用データを求めるように構成された画像読取装置用の画像データ補正装置において、前記画像読取装置の前記光源は、複数の照明色を順次に繰り返して切換えるように構成され、前記電荷転送部は、前記受光素子の並びの1ライン分の検出信号を、前記照明色の切換えと同期して転送出力するように構成され、前記補正処理演算部は、補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データである先行ラインデータに基づいて、前記不正電荷を実効的に生成させた光強度の前記受光素子の並び方向に沿った分布を示す先行光量分布データを求めると共に、補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データである後続ラインデータに基づいて、前記不正電荷を実効的に生成させた光強度の前記受光素子の並び方向に沿った分布を示す後続光量分布データを求め、補正対象の画像データに対応する前記受光素子の並び位置情報と、補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた前記補正用データである先行補正用データと、前記先行光量分布データとに基づいて、前記受光素子から前記電荷転送部に電荷を転送する際に、既に前記電荷転送部における転送先の位置に蓄積されていた電荷による既存信号成分を、前記先行光量分布データにおける総積算信号量に対する前記先行光量分布データにおける前記電荷転送部の転送始端側の端部位置から前記並び位置情報で特定される位置までの積算信号量の割合と前記先行補正用データとによって求め、補正対象の画像データに対応する前記受光素子の並び位置情報と、補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた前記補正用データである後続補正用データと、前記後続光量分布データとに基づいて、前記電荷転送部において転送される過程で新たに蓄積される電荷による追加信号成分を、前記後続光量分布データにおける総積算信号量に対する前記後続光量分布データにおける前記並び位置情報で特定される位置から前記電荷転送部の転送後端側の端部位置までの積算信号量の割合と前記後続補正用データとによって求め、前記既存信号成分と前記追加信号成分とを足し合わせたデータによって、補正対象の画像データの補正するように構成されている。
【0005】
すなわち、画像読取対象物に照射する照明光の照明色を切換えて画像の読取りを行う場合において、電荷転送部に存在する電荷のうち正規の転送タイミングで受光素子から転送されてくる電荷以外のスミアを発生させる前記不正電荷の量を評価する場合、受光素子から電荷転送部へ正規の電荷転送を行うタイミング以前に既に転送先の電荷転送部に蓄積されていた電荷と、正規に受光素子から電荷転送部に転送された電荷が、その電荷を取り出すために電荷転送部を転送される際に新たに混入する電荷とを評価する必要がある。
図3に示す受光素子の並びを1ライン備えた光センサを例示して説明すると、電荷転送部CTにおける矢印A1の方向への信号出力のための転送動作は、受光素子21から受け取った電荷の出力側への転送と、それに引き続いて、スミアの補正のために必要な基礎データである前記補正用データを求めるための前記追加転送動作とを行う。これは、電荷転送部CTの転送方向での長さが、見かけ上、図3中において破線A2で示すような前記追加転送動作の転送量に相当する長さ分だけ延長されたような形となる。
【0006】
追加転送動作によってスミアの発生量を検出する関係上、少なくとも追加転送動作が完了するまでその時点で受光素子が画像を検出するための照明光が照射されている。
従って、前記追加転送動作による出力信号の出力が完了した時点で、そのときの照明光による電荷が電荷転送部に蓄積されてしまっていることになる。
例えば、図3において、前記追加転送動作での出力完了時点での破線枠A3の位置では、照明光の照射下で距離「L1」だけ転送されており、その転送の間にスミアを発生させる前記不正電荷が蓄積されていることになる。
この蓄積されてしまった電荷の量は、上記照明光の照射下において、どれだけの強さの光を受けてどれだけ移動したかに依存し、換言すると、受光素子から電荷を受け取る時点での電荷転送部における電荷転送方向での位置と、上記照明光による電荷転送方向での光強度分布とに依存することになる。
【0007】
このようにして既に前記不正電荷が蓄積されてしまっている電荷転送部へ正規の電荷転送として受光素子から電荷が転送される。
この後、受光素子から受け取った電荷を出力するための電荷転送が電荷転送部において開始されると、その出力端に向けた電荷転送の過程で新たに前記不正電荷が混入してくる。
すなわち、この電荷転送を行っているタイミングでは、次の照明色での照明光の照射が開始されており、その照明光により生成された電荷(前記不正電荷)が混入してしまうのである。
例えば、図3において、破線枠A3の位置で受光素子21から正規の転送動作で電荷を受け取った後、次の照明色の照明光の照射下で距離「L2」だけ転送され、その転送の間にスミアを発生させる前記不正電荷が新たに蓄積される。
この電荷転送の過程で混入してしまう電荷の量についても、次の照明色に切換えられた照明光の照射下において、どれだけの強さの光を受けてどれだけ移動したかに依存し、換言すると、受光素子から電荷を受け取った時点での電荷転送部における電荷転送方向での位置と、次の照明色に切換えられた照明光による電荷転送方向での光強度分布とに依存することになる。
【0008】
上述のように、電荷転送部に混入する電荷の量が、電荷転送部における電荷転送方向での位置に依存するので、基本的には、その位置が異なる各画像データ毎にスミアの影響を除去するための補正演算処理を行う必要がある。
以下において、上述の受光素子から電荷転送部へ正規の電荷転送を行う前に既に蓄積されている電荷の量の評価(以下、「既存電荷の評価」と略称する)と、受光素子から電荷転送部へ正規に電荷転送を行った後の電荷転送部での転送動作において新たに蓄積される電荷の量の評価(以下、「新規蓄積電荷の評価」と略称する)とに分けて説明する。
【0009】
電荷転送部における電荷転送方向での位置は、各位置が受光素子の並びに対応しているので、補正対象の画像データに対応する受光素子の並び位置情報として把握できる。
「既存電荷の評価」のための情報としては、上記の受光素子の並び位置情報の他に、前記先行補正用データと前記先行光量分布データとがある。
ここで、「既存電荷の評価」の際の、電荷転送部を端から端まで移動したときのスミアの発生量を示す前記補正用データとして、上記の先行補正用データ、すなわち、「画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作」から得たデータを使用するものとしているのは、補正対象の画像データを生成した照明光が照射されているまさにその時に行われた前記追加転送動作によって求められた補正用データを用いるのが最も理想的であるが、近時の極めて高解像度の画像読取りを考慮すると、補正対象の画像データから1ラインか2ライン離れた程度では、画像がそれほど極端には変動しないものであり、その程度離れたラインでの追加転送動作から求めた前記補正用データを用いても精度はそれほど低下しないという観点に基づくものである。
但し、照明色が異なると得られる画像は基本的に全く異なるので、照明色は同一である必要がある。
【0010】
前記不正電荷を実効的に生成させた光強度の受光素子の並び方向に沿った分布である前記先行光量分布データは、前記先行ラインデータから求められる。これは、画像データは、そもそも、そのような光強度の分布を測定したものだからである。
特に、図3に例示するような、受光素子の並びが1ラインのみによって構成される場合には、前記先行ラインデータをそのまま前記先行光量分布データとして用いることができる。但し、例えば、受光素子の並びを3ラインにて構成する場合等、受光素子の並びの配置構成によっては、前記先行ラインデータをそのまま前記先行光量分布データとして用いることができない場合もあり、あくまでも、前記先行ラインデータのうち、前記不正電荷の生成に実効的に寄与した部分が前記先行光量分布データを構成することになる。
【0011】
ここで、上記の先行ラインデータについても、「画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データ」を使用するものとしているのは、補正対象の画像データが属する画像上の1ラインについてのその時の照明色での1ライン分の画像データを用いるのが最も理想的であるが、近時の極めて高解像度の画像読取りを考慮すると、補正対象の画像データから1ラインか2ライン離れた程度では、画像がそれほど極端には変動しないものであり、その程度離れたラインでの1ライン分の画像データを用いても精度はそれほど低下しないという観点に基づくものである。
但し、照明色が異なると得られる画像は基本的に全く異なるので、照明色は同一である必要があるのも上記と同様である。
【0012】
これらの情報から、各画像データについての「既存電荷の評価」をすると、電荷転送部を転送始端から転送終端まで移動して、前記先行光量分布データの全光量を受光したときのスミアの量が前記先行補正用データであるので、電荷転送部の転送始端から、補正対象の画像データを生成した電荷を受光素子から正規の転送動作で受け取る位置に到達するまでに発生するスミアの量は、前記先行光量分布データにおける総積算信号量に対する前記先行光量分布データにおける電荷転送部の転送始端側の端部位置から前記並び位置情報で特定される位置までの積算信号量の割合と前記先行補正用データとによって、両者を乗算することによって求められる。
【0013】
次ぎに、「新規蓄積電荷の評価」のための情報としては、上記の受光素子の並び情報の他に、前記後続補正用データと後続光量分布データとがある。
ここで、「新規蓄積電荷の評価」の際の、電荷転送部を端から端まで移動したときのスミアの発生量を示す前記補正用データとして、上記の後続補正用データ、すなわち、「画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作」から得たデータを使用するものとしているのは、「既存電荷の評価」の場合と同様に、補正対象の画像データを生成した電荷を電荷転送部にて転送しているまさにその時の照明下での前記追加転送動作、換言すると、補正対象の画像データを生成した電荷を含む1ライン分の電荷の転送の直後に行われる前記追加転送動作によって求められた補正用データを用いるのが最も理想的であるが、近時の極めて高解像度の画像読取りを考慮すると、補正対象の画像データから1ラインか2ライン離れた程度では、画像がそれほど極端には変動しないものであり、その程度離れたラインでの追加転送動作から求めた前記補正用データを用いても精度はそれほど低下しないという観点に基づくものである。
但し、照明色が異なると得られる画像は基本的に全く異なるので、照明色は同一である必要がある。
【0014】
前記不正電荷を実効的に生成させた光強度の受光素子の並び方向に沿った分布である前記後続光量分布データは、前記後続ラインデータから求められる。これは、画像データは、そもそも、そのような光強度の分布を測定したものだからである。
特に、図3に例示するような、受光素子の並びが1ラインのみによって構成される場合には、前記後続ラインデータをそのまま前記後続光量分布データとして用いることができる。但し、例えば、受光素子の並びを3ラインにて構成する場合等、受光素子の並びの配置構成によっては、前記後続ラインデータをそのまま前記後続光量分布データとして用いることができない場合もあり、あくまでも、前記後続ラインデータのうち、前記不正電荷の生成に実効的に寄与した部分が前記後続光量分布データを構成することになる。
【0015】
同様に、上記の後続ラインデータについても、「画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データ」を使用するものとしているのは、補正対象の画像データを生成した電荷が電荷転送部を転送されているまさにその時に補正対象の画像データを生成した受光素子が検出している画像上の位置においてのそのときの照明色での1ライン分の画像データを用いるのが最も理想的であるが、近時の極めて高解像度の画像読取りを考慮すると、補正対象の画像データから1ラインか2ライン離れた程度では、画像がそれほど極端には変動しないものであり、その程度離れたラインでの1ライン分の画像データを用いても精度はそれほど低下しないという観点に基づくものである。
但し、照明色が異なると得られる画像は基本的に全く異なるので、照明色は同一である必要があるのも上記と同様である。
【0016】
これらの情報から、各画像データについての「新規蓄積電荷の評価」をすると、電荷転送部を転送始端から転送終端まで移動して、前記後続光量分布データの全光量を受光したときのスミアの量が前記後続補正用データであるので、補正対象の画像データを生成した電荷を受光素子から正規の転送動作で受け取った位置から電荷転送部の転送終端に到達するまでに発生するスミアの量は、前記後続光量分布データにおける総積算信号量に対する前記後続光量分布データにおける前記並び位置情報で特定される位置から電荷転送部の転送後端側の端部位置までの積算信号量の割合と前記後続補正用データとによって、両者を乗算することによって求められる。
以上から、「既存電荷の評価」によって求めたスミアの量である前記既存信号成分と「新規蓄積電荷の評価」によって求めたスミアの量である前記追加信号成分とを足し合わせたデータを、補正対象の画像データから減算して補正する。
【0017】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記画像読取装置の前記光センサは、1ラインの受光素子の並びによって構成され、前記画像読取装置の前記光源は、青色光,緑色光及び赤色光の各照明色、又は、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光の各照明色を順次に繰り返して切換えるように構成されている。
すなわち、照明光の照明色を青色光,緑色光及び赤色光に順次に繰り返して切換えることで、画像読取対象物の画像を3原色に色分解してカラー画像データとして取込む操作を1ラインのみの受光素子列からなる光センサにて行うことができる。
更に、これらの照明色に赤外光を追加するときは、例えば、画像読取対象物が写真フィルムであるときには、写真フィルムについた傷やゴミ等を検出できる。
このような場合に発生するスミアを適切に抑制することができる。
【0018】
又、本出願の第3の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記画像読取装置の前記光センサは、夫々青色光成分,緑色光成分及び赤色光成分を検出する3ラインの受光素子の並びによって構成され、前記3ラインの受光素子の並びうち、少なくとも1ラインの受光素子の並びは赤外光に対して感度を有するように構成され、前記画像読取装置の前記光源は、赤外光及び白色光の各照明色を順次に繰り返して切換えるように構成されている。
すなわち、夫々青色光成分,緑色光成分及び赤色光成分を検出する3ラインの受光素子の並びを備えて、白色光の照射下で画像読取対象物の画像を3原色に色分解してカラー画像データとして取込むのであるが、例えば、そのような色分解のためにカラーフィルタを使用する場合には、青色光成分,緑色光成分又は赤色光成分を夫々透過するように設計しても、赤外光をも透過してしまう場合も多い。
これを逆に利用して、青色光成分,緑色光成分及び赤色光成分を検出する3ラインの受光素子の並びのうちの少なくとも何れか1つで赤外光を照射した状態での画像検出を行うのである。
このような構成とする上で、青色光成分,緑色光成分及び赤色光成分に色分解した画像検出信号と、赤外光による画像検出信号とを区別して取得するために、照明色を白色光と赤外光とに順次に繰り返して切換える。
【0019】
尚、ここでいう白色光とは、分光スペクトルが可視光の広い範囲で分布するものでも良いし、青色光,緑色光及び赤色光の夫々の光源からの出射光を混合することで構成するものでも良い。
又、光センサを3ラインの受光素子の並びによって構成すると、素子の配置構成上、各ラインは、受光素子の並びと直交する副走査方向にある程度離間することになる。
この場合でも、上記の先行ラインデータの取扱いについては、補正対象の画像データを生成した照明光が照射されているまさにその時の画像位置で各受光素子に蓄積された電荷により得られた1ライン分の画像データを使用するのが最も理想的であるが、3ラインの受光素子の並びから同時に出力される信号による画像データ、すなわち、各ライン間の間隔に対応する距離だけ離れた画像位置の画像データを前記先行ラインデータとして使用しても良い。前記後続ラインデータ等についても同様である。
【0020】
又、本出願の第4の発明は、上記第3の発明の構成に加えて、前記補正演算処理部は、前記先行光量分布データ又は前記後続光量分布データのうちの前記白色光についての光量分布データを、前記受光素子のラインが検出を担当する色成分に対応する前記先行ラインデータ又は前記後続ラインデータの他に、他の2色の色成分に対応する前記先行ラインデータ又は前記後続ラインデータをも含めて、それらのデータに色成分毎に設定した寄与の割合を乗算したものを足し合わせて求めるように構成されている。
【0021】
すなわち、照明色を赤外光と白色光とに順次に繰り返して切換える場合、前記先行光量分布データと前記後続光量分布データとのうち、一方は白色光による光量分布データとなり他方は赤外光による光量分布データとなる。
このうちの白色光についての光量分布データを求める場合、一般的にスミアの発生要因と考えられている受光素子から電荷転送部への電荷のあふれ出しに着目すると、例えば、青色光成分検出用の受光素子のラインは、他の2色の色成分(緑色光成分及び赤色光成分)については、カラーフィルタ等により排除するように設計されることから、青色光成分の先行ラインデータ(先行光量分布データの場合)又は後続ラインデータ(後続光量分布データの場合)だけを利用すれば良いようにも考えられる。
しかしながら、スミアの発生要因には、電荷転送部の遮光膜を透過して電荷を発生させてしまう場合等も考えられるので、前記受光素子のラインが検出を担当する色成分に対応する先行ラインデータ又は後続ラインデータの他に、他の2色の色成分に対応する先行ラインデータ又は後続ラインデータをも考慮して前記光量分布データを求めるのである。
この際、求めたい光量分布データに対する各色成分の先行ラインデータ又は後続ラインデータの寄与の割合は各色成分毎に異なるものであり、その寄与の割合も考慮に入れて前記光量分布データを求める。
【発明の効果】
【0022】
上記第1の発明によれば、受光素子から電荷転送部へ正規の電荷転送を行う前に既に蓄積されている電荷の量の評価と、受光素子から電荷転送部へ正規に電荷転送を行った後の電荷転送部での転送動作において新たに蓄積される電荷の量の評価とを行うことによって、照明光の照明色を順次に繰り返して切換えて画像を読取る場合にも、適正にスミア補正を行うことができる。
又、上記第2の発明によれば、照明光の照明色を青色光,緑色光及び赤色光、又は、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光に順次に繰り返して切換えて画像を読取る場合にも、適正にスミア補正を行うことができる。
又、上記第3の発明によれば、照明光の照明色を赤外光及び白色光に順次に繰り返して切換えて画像を読取る場合にも、適正にスミア補正を行うことができる。
又、上記第4の発明によれば、前記受光素子のラインが検出を担当する色成分に対応する前記先行ラインデータ又は前記後続ラインデータの他に、他の2色の色成分に対応する前記先行ラインデータ又は前記後続ラインデータをも含めて考慮することで、補正に利用する白色光による前記先行光量分布データ又は前記後続光量分布データをより精度良く求めることができ、スミア補正の補正精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の画像読取装置用の画像データ補正装置を写真プリントシステムに備えた場合の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
写真プリントシステムDPは、図1に示すように、現像処理済みの写真フィルム1(以下、単に「フィルム1」と称する)の駒画像を読取るための画像読取装置FSと、画像読取装置FSの読取りデータに基づいて写真プリントを作製する露光・現像装置EPとから構成されている。
【0024】
〔画像読取装置FSの概略構成〕
画像読取装置FSには、図1に概略的に示すように、フィルム1の画像を読取るための光源LSであるLED光源装置10と、光源制御装置12と、フィルム1の駒画像を光電変換する光センサPSとしてのCCDラインセンサユニット13と、フィルム1の画像をCCDラインセンサユニット13上に結像させるためのレンズ14と、光路を90度屈曲させるためのミラー15と、CCDラインセンサユニット13の出力信号を増幅及びA/D変換等する信号処理回路16と、所定の読取り用位置を経由してフィルム1を搬送するフィルムキャリア17とが備えられている。尚、LED光源装置10とフィルムキャリア17におけるフィルム搬送位置との間には、光拡散ボックス18が備えられている。
画像読取装置FSは、光源LSからの照明光が照射される画像読取対象物であるフィルム1の像を、それの透過光の光強度を色成分に分解して検出することで、カラー画像として読取る。
【0025】
本第1実施形態のCCDラインセンサユニット13は、図3に模式的に示すように、約5000個の受光素子21をライン状に配列した受光部LRと、その受光素子21の並びに沿って配置されて受光素子21夫々からの転送動作によって受け取った電荷を受光素子21の並び方向に転送出力する電荷転送部CTと、受光部LRと電荷転送部CTとの間に配置されて受光部LRから電荷転送部CTへの電荷転送動作を制御するシフトゲートSGとを主要部として構成されている。
受光素子21の並び方向(主走査方向)は、フィルム1の搬送横幅方向に一致しており、LED光源装置10の照射光で照明されたフィルム1の駒画像が、フィルム1の駒画像の幅が受光素子21の並び範囲内に収まる倍率で、レンズ14にてCCDラインセンサユニット13の受光面上に結像される。すなわち、フィルム1の透過光の像がCCDラインセンサユニット13にて検出される。
【0026】
本第1実施形態のCCDラインセンサユニット13は、図3に示す通り、1ラインの受光素子21の並びによって構成されており、この1ラインの受光素子21の並びによって、フィルム1の画像を青色,緑色及び赤色の3原色に色分解して検出すると共に、更にこれらに加えて赤外光の照明下での画像をも検出する。赤外光の照射下で検出する画像は、フィルム1に付いた傷やゴミ等の検出に用いる。
このため、詳しくは後述するが、LED光源装置10は、画像読取対象物であるフィルム1へ照射する照明光を、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光の4つの照明色を順次に繰り返して切換えており、電荷転送部CTは、受光素子21の並びの1ライン分の検出信号を、これらの照明色の切換えと同期して転送出力する。
CCDラインセンサユニット13の電荷転送部CTやシフトゲートSGを駆動するクロック信号等は、信号処理回路16から供給され、信号処理回路16は、電荷転送部CTにおいて電荷を転送動作させる信号として、1ライン分の撮像のために有効な複数の受光素子21の夫々から受け取った電荷を転送するためのクロック及びCCDラインセンサユニット13の仕様上要求されている転送動作を行わせるためのクロックの他に、スミアを補正するのに利用する補正用データを求めるために、それらに追加して追加転送動作を実行させるクロック信号を供給する。
このスミアは、電荷転送部CTに蓄積される電荷のちの、受光素子21から電荷転送部CTへの転送動作によって正規に(転送動作させるためのパルス信号に従って)転送された電荷以外の不正電荷によって発生するものであり、受光素子21から正規に電荷を受け取らない状態で転送動作することによって、前記不正電荷による信号成分を取得できる。
【0027】
画像読取装置FSでは、フィルムキャリア17にフィルム1がセットされると、フィルム1の搬送が開始され、CCDラインセンサユニット13の各受光素子21の受光面上に結像されたフィルム1の駒画像が、ライン単位に分割されて順次に読み取られる。
CCDラインセンサユニット13の検出信号は、信号処理回路16にてA/D変換され、画像データとして露光・現像装置EPへ送られる。
もちろん、各ライン毎に、各ラインの画像データに後続する形で、そのラインについての前記追加転送動作によって出力される信号により得られたデジタルデータも併せて出力される。
【0028】
〔LED光源装置10の構成〕
LED光源装置10は、図2に示すように、ほぼ閉空間を構成する筐体30内に、光源である発光ダイオードのチップ31を多数配列した金属製の2つのチップ支持基板32と、2つのチップ支持基板32を支持する略L字状のヒートシンク33と、2つのチップ支持基板32の夫々に対応して備えられる2つの第1レンズ34と、波長選択性反射ミラー35と、2つのチップ支持基板32に対して共通に備えられる第2レンズ36と、筐体30の一側に配置される吸気ファンユニット37と、筐体30における吸気ファンユニット37と反対側に配置される排気ファンユニット38とが備えられ、更に、ヒートシンク33におけるチップ支持基板32取付け位置付近に発光ダイオードの動作温度を安定させるためのヒータ39が埋め込まれている。
【0029】
2つのチップ支持基板32は、夫々異なる発光色の発光ダイオードチップを搭載しており、上方側のチップ支持基板32aは青色光を出射する発光ダイオードチップと緑色光を出射する発光ダイオードチップとを搭載し、下方側のチップ支持基板32bは赤色光を出射する発光ダイオードチップと赤外光を出射する発光ダイオードチップとを搭載している。従って、波長選択性反射ミラー35は、赤色及び赤外の光を反射し、それよりも短波長側の光を透過するように構成されている。
LED光源装置10を制御する光源制御装置12は、信号処理回路16からの制御信号によって、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光を出射する発光ダイオードチップを順次に繰り返して点灯させ、フィルム1に照射する照明光の照明色を、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光の各照明色に順次に繰り返して切換える。
【0030】
〔露光・現像装置EPの全体構成〕
露光・現像装置EPは、図1に示すように、画像読取装置FSとは別体で構成されており、筐体内部には、印画紙2に露光画像を形成する露光ヘッド41と、露光形成する画像の画像データに基づいて露光ヘッド41を制御する露光制御装置42と、露光ヘッド41にて露光された印画紙2を現像処理する現像処理装置43と、印画紙マガジン3から引き出された印画紙2を現像処理装置43へ搬送する印画紙搬送系PTとが設けられ、筐体外部には、現像処理装置43にて現像された印画紙2をオーダ毎に一時的に保存するためのソータ(図示を省略)へ搬送する排出コンベア44が設けられ、更に、これら各部を制御する主制御装置45が筐体内に設けられている。
【0031】
主制御装置45には、プリント画像をシミュレートして表示するためのモニタ45aと、操作者がそのモニタ45aに表示されたシミュレート画像を観察して露光条件の補正量を指示入力するための操作卓45bと、光磁気ドライブ装置やCD−Rドライブ装置等の外部入出力装置45cとが接続されている。更に、主制御装置45には、画像処理機能の一部として、スミアの発生により劣化した画質を補正するための画像データ補正装置45dとしての機能がプログラムとして組み込まれている。
印画紙搬送系PTは、各種の搬送形式にて構成される複数の搬送ローラ46等が備えられ、印画紙搬送系PTの搬送経路の途中には、印画紙マガジン3から引き出された長尺の印画紙2を設定プリントサイズに切断するカッタ47と、印画紙2の搬送列を振り分けるための振り分け装置48とが備えられている。
【0032】
〔画像データ補正装置45dによる補正処理〕
次ぎに、画像データ補正装置45dによるスミアの補正処理について、1つの受光素子21の検出信号が1つの画像データ、すなわち、1画素のうちの1色分のデータを生成するものとして説明する。
画像データ補正装置45dは、機能上、前記追加転送動作によって得られたデータから、前記不正電荷による信号成分(スミア)を補正するための補正用データを求める補正用データ演算部51と、前記補正用データにて各画像データを補正する補正処理演算部52とが備えられて構成されている。具体構成としては、それらの機能の処理プログラムが主制御装置45に組み込まれている。
スミアの補正処理は、照明光の照明色を電荷転送部CTからのデータの転送出力と同期して切換える関係上、単に前記追加転送動作によって得られた補正用データを各画像データから減算する処理を行うのではなく、スミアを発生させる光強度の電荷転送方向での分布を考慮して、受光素子21から電荷転送部CTへ正規の電荷転送を行う前に既に蓄積されている電荷の量の評価(上述の「既存電荷の評価」)と、受光素子21から電荷転送部CTへ正規に電荷転送を行った後の電荷転送部CTでの転送動作において新たに蓄積される電荷の量の評価(上述の「新規蓄積電荷の評価」)とを行って、補正量を算出する。
以下、主制御装置45が画像データ補正装置45dの補正処理演算部52として実行する図6のフローチャートに基づいて、スミアの補正処理を説明する。
この処理の実行前には、補正用データ演算部51が、信号処理回路16から入力されてくるデータに対して、各ラインの各色成分についての1ライン分の画像データに後続して送られてくる前記追加転送動作によるデータの夫々について前記補正用データを既に算出してある。
【0033】
上記のスミアを発生させる光強度の分布は、実際の画像データによって求めており、先ず、「既存電荷の評価」及び「新規蓄積電荷の評価」において、どのラインの画像データを利用するかを特定する(ステップ#1)。
本第1実施形態では、上述のように、電荷転送部CTからの1ライン分のデータ出力と同期してLED光源装置10による照明色を切換えており、これらのタイミングを図4のタイミングチャートに示す。
図4の最上段の「光源切換え」は、LED光源装置10の赤外光,青色光,緑色光及び赤色光の各発光ダイオードチップを発光駆動させるための点灯指示パルス信号で、赤外光−青色光−緑色光−赤色光に照明色を順次に切換えて1サイクルとし、このサイクルを繰り返す。フィルム1の搬送方向である副走査方向では、この1サイクルで得られる出力信号が1画素の各色の画像データを構成する。
各パルス信号内の符号は、点灯を指示する対象の照明色を示しており、「IR」は赤外光、「B」は青色光、「G」は緑色光、「R」は赤色光を意味している。
図4の第2段目の「S/H」は、各受光素子21に蓄積された電荷を電荷転送部CTへ転送動作させるためのパルス信号で、このパルス信号の立ち下がりで各受光素子21の蓄積電荷が一斉に電荷転送部CTへ正規に転送される。この転送のタイミングは、各照明色での点灯開始のタイミングと一致している。
【0034】
図4の第3段目の「電荷蓄積」は、受光素子21から電荷転送部CTへ電荷を正規に転送してから、次ぎに正規の転送を行うまでの間隔を示しており、この間、照明光を受光して発生した電荷が受光素子21に蓄積される。各電荷蓄積期間には、そのときの照明色を示す符号に各サイクルを区別するための連続番号を付加して示している。
図4の第4段目の「電荷転送」は、電荷転送部CTにおいて電荷を転送出力するための転送クロックを示している。この種のCCDの一般的な使用態様として、電荷転送部CTでの電荷の転送と並行して、受光素子21での受光及び電荷蓄積が行われている。
図4の最下段の「データ出力」は、第4段目の転送クロックによって信号が転送出力される様子を示している。
図中で、「SIR1」等と表記しているのは、赤外光,青色光,緑色光,赤色光の照射下で受光素子21が検出した信号であることを夫々示す「SIR」,「S」,「S」,「S」に説明の便宜上各サイクルを区別するための連続番号を付加して示したものであり、又、これらに引き続く状態で出力される「AIR1」等の表記は、赤外光,青色光,緑色光,赤色光の照射下で電荷転送部CTを転送される前記追加転送動作による出力信号であることを夫々示す「AIR」,「A」,「A」,「A」に説明の便宜上各サイクルを区別するための連続番号を付加して示したものである。尚、「SIR1」等は出力期間を示しており、実際の信号は各受光素子21毎の検出信号が独立して時系列に出力される。
【0035】
図4に示すようなタイミングで動作している場合において、例えば、図4の最下段における「S1」の出力信号によって生成された青色成分の1ライン分の画像データに属する何れかの画像データを補正対象とするときには、上記「既存電荷の評価」に関しては、その補正対象の画像データを生成した電荷(「B1」の電荷蓄積期間で蓄積された電荷)を受光素子21から電荷転送部CTへ正規に転送しようとするとき、電荷転送部CTの転送先の位置は、「B1」の電荷蓄積期間中の照明色である青色照明下で転送されてきて、既に電荷(前記不正電荷)が蓄積された状態となっている。
そのような不正電荷を生成した光強度の分布は、「B1」の電荷蓄積期間で受光素子21に蓄積された電荷によって出力された信号である「S1」によって知ることができる。
従って、上記の光強度の分布を特定するための「先行ラインデータ」として、「S1」により生成された、補正対象の画像データが属する1ライン分の画像データを使用するように特定する。
又、上記「既存電荷の評価」に関して、スミアの発生量を定量化するための補正用データである「先行補正用データ」として、「B1」の電荷蓄積期間中の照明色である青色照明下でのスミアの発生量を検出するための「A1」の信号出力から得たデータを使用する。この「A1」では、見かけ上複数画素分に相当するデータを出力しており、補正用データ演算部51がそれらの平均値を求めて、電荷転送部CTを転送始端から転送終端まで転送されたときに発生するスミアのデータ値である補正用データ(ここでは、先行補正用データ)としている。
【0036】
但し、前記先行ラインデータや前記先行補正用データの特定については、必ずしも、上記に関係に限定されるものではなく、前記先行ラインデータに関しては、補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色(ここでは、青色光)について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データの何れかから補正の精度を考慮して選択しても良い。
すなわち、照明色さえ同じであれば、画像上の位置が補正対象の画像データの属するラインと若干位置ずれしても、画像データはそれほど極端に変化するものではないからである。
例えば、「S1」の出力信号によって生成された青色成分の1ライン分の画像データに属する何れかの画像データを補正対象とするときでも、隣のラインである「S2」の出力信号によって生成された青色成分の1ライン分の画像データを前記先行ラインデータとしても良い。
【0037】
更に、同様の理由で、前記先行補正用データについても、補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた補正用データであれば良い。
例えば、上述の「A1」の代わりに画像上の位置が隣のラインの「A2」で求めた補正用データを前記先行補正用データとしても良い。但し、前記先行補正用データは、前記先行ラインデータよりも大きく補正結果に影響するので、極力「A1」で求めた補正用データを使用することが望ましい。
【0038】
次ぎに、上記「新規蓄積電荷の評価」については、その補正対象の画像データを生成した電荷を受光素子21から電荷転送部CTへ転送した後、電荷転送部CTにおいて転送しているとき、その転送は「G1」の電荷蓄積期間中の照明色である緑色照明下で行われ、その転送の過程でスミアを発生させる前記不正電荷が蓄積されていく。
そのような不正電荷を生成する光強度の分布は、「G1」の電荷蓄積期間で受光素子21に蓄積された電荷によって出力された信号である「S1」によって知ることができる。
従って、上記の光強度の分布を特定するための「後続ラインデータ」として、「S1」により生成された1ライン分の画像データを使用するように特定する。
又、上記「新規蓄積電荷の評価」に関して、スミアの発生量を定量化するための補正用データである「後続補正用データ」として、「G1」の電荷蓄積期間中の照明色である緑色照明下でのスミアの発生量を検出するための「A1」の信号出力から得たデータを使用する。この「A1」では、見かけ上複数画素分に相当するデータを出力しており、それらの平均値を求めて、電荷転送部CTを転送始端から転送終端まで転送されたときに発生するスミアのデータ値である補正用データ(ここでは、後続補正用データ)とする。
【0039】
但し、前記後続ラインデータや前記後続補正用データの特定については、必ずしも、上記に関係に限定されるものではなく、前記後続ラインデータに関しては、補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色(ここでは、緑色光)について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データであれば良い。
すなわち、照明色さえ同じであれば、画像上の位置が補正対象の画像データの属するラインと若干位置ずれしても、画像データはそれほど極端に変化するものではないからである。
例えば、「S1」の出力信号によって生成された青色成分の1ライン分の画像データに属する何れかの画像データを補正対象とするときでも、「S1」の代わりに「S2」(「S1」のラインの隣のラインの信号、図4では図示せず)の出力信号によって生成された緑色成分の1ライン分の画像データを前記後続ラインデータとしても良い。
【0040】
更に、同様の理由で、前記後続補正用データについても、補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色(ここでは、緑色光)の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた補正用データであれば良い。
例えば、上述の「A1」の代わりに「A2」で求めた補正用データを前記後続補正用データとしても良い。但し、前記後続補正用データは、前記後続ラインデータよりも大きく補正結果に影響するので、極力「A1」で求めた補正用データを使用することが望ましい。
【0041】
以上のようにして、前記先行ラインデータ及び先行補正用データ、並びに、前記後続ラインデータ及び後続補正用データに何れのデータを使用するかを特定すると、次ぎに、前記先行ラインデータに基づいて、受光素子21の並びに沿った前記不正電荷を生成させた光強度の分布を示す先行光量分布データを求め、更に、前記後続ラインデータに基づいて、受光素子21の並びに沿った前記不正電荷を生成させた光強度の分布を示す後続光量分布データを求める(ステップ#2)。
この先行光量分布データは、前記不正電荷の生成に実効的に寄与する光量分布であるが、本第1実施形態では、照明色として赤外光,青色光,緑色光及び赤色光を順次に繰り返して切換え、各照明色について1ライン分の画像データを得る構成としているので、前記先行ラインデータが1つの照明色についてのみのデータであり、前記先行ラインデータをそのまま先行光量分布データとして使用することができる。
これは、後続光量分布データについても同様であり、前記後続ラインデータをそのまま後続光量分布データとして使用できる。
以上で、1ライン分の画像データの補正のために必要な情報が揃ったので、次ぎに、各画像データ毎の処理に移る。
【0042】
各画像データ毎の処理としては、先ず、上記「既存電荷の評価」に関して、前記先行補正用データと、前記先行光量分布データとに基づいて、受光素子21から電荷転送部CTに電荷を転送する際に、既に電荷転送部CTにおける転送先の位置に蓄積されていた電荷による既存信号成分を求める(ステップ#3)。
この既存信号成分は、前記先行光量分布データにおける総積算信号量に対する前記先行光量分布データにおける電荷転送部CTの転送始端側の端部位置から並び位置情報(補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置)で特定される位置までの積算信号量の割合と前記先行補正用データとによって求める。
図5(a)に例示する前記先行光量分布データによって具体的に説明すると、前記先行光量分布データが図5(a)の曲線W1で示す分布である場合において、前記先行補正用データは、電荷転送部CTの搬送始端から搬送終端まで、すなわち、曲線W1の全範囲の光を受けて発生したスミアの量を示している。
【0043】
補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置が「P」であるとき、その位置の受光素子21から電荷転送部CTへ電荷を転送するとき、転送先には、転送始端側の端部位置から「P」までの範囲の光を受けてスミアを発生させる前記不正電荷が発生していることになる。
従って、前記既存信号成分S1は、曲線W1の全範囲(転送始端位置から転送終端位置まで)の積分値DT1に対する斜線を付した部分の積分値PT1の割合に、前記先行補正用データのデータ値C1を乗算することによって求まる。
すなわち、S1=C1×PT1/DT1 となる。
計算上は、DT1は、前記先行光量分布データの1ライン分の全データの総和をとって、総積算信号量を求めれば良く、又、PT1は、前記先行光量分布データのうち、電荷転送部CTの転送始端側の端部位置から補正対象の画像データを生成した受光素子の並び位置「P」までのデータの総和をとって、その区間の積算信号量を求めれば良い。
【0044】
次ぎに、上記「新規蓄積電荷の評価」については、前記後続補正用データと、前記後続光量分布データとに基づいて、電荷転送部CTにおいて転送される過程で新たに蓄積される電荷による追加信号成分を求める(ステップ#4)。
この追加信号成分は、前記後続光量分布データにおける総積算信号量に対する前記後続光量分布データにおける受光素子21の並び位置情報(補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置)で特定される位置から電荷転送部CTの転送後端側の端部位置までの積算信号量の割合と前記後続補正用データとによって求める。
図5(b)に例示する前記後続光量分布データによって具体的に説明すると、前記後続光量分布データが図5(b)の曲線W2で示す分布である場合において、前記後続補正用データは、電荷転送部CTの搬送始端から搬送終端まで、すなわち、曲線W2の全範囲の光を受けて発生したスミアの量を示している。
【0045】
補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置が「P」であるとき、その位置で受光素子21から正規に電荷を受け取った電荷転送部CTが、その電荷を転送するとき、位置「P」から転送終端位置までの範囲の光を受けてスミアを発生させる前記不正電荷が発生することになる。
従って、前記追加信号成分S2は、曲線W2の全範囲(転送始端位置から転送終端位置まで)の積分値DT2に対する斜線を付した部分の積分値PT2の割合に、前記後続補正用データのデータ値C2を乗算することによって求まる。
すなわち、S2=C2×PT2/DT2 となる。
計算上は、DT2は、前記後続光量分布データの1ライン分の全データの総和をとって、総積算信号量を求めれば良く、又、PT2は、前記後続光量分布データのうち、補正対象の画像データを生成した受光素子の並び位置「P」から電荷転送部CTの転送終端側の端部位置までのデータの総和をとって、その区間の積算信号量を求めれば良い。
【0046】
このようにして求めた、前記既存信号成分S1と前記追加信号成分S2とを、補正対象の画像データから減算することで、スミアのデータ成分を除去できる(ステップ#5)。
尚、以上の処理では、暗電流等により発生するオフセット成分を無視しているが、データ中にそのようなオフセット成分が存在するときは、適宜にそれらのオフセット成分を除去して計算する。
以上の処理を1ライン分の画像データの夫々について繰り返して(ステップ#6)、1ライン分の画像データの補正処理が完了すると、更に次ぎのラインの補正処理へ移行し(ステップ#7)、全ての色成分の全てのラインについてすなわち1つの画像全体について補正処理が完了すると処理を終了する。
【0047】
〔露光・現像装置EPの全体動作〕
次に、露光・現像装置EPの全体動作について概略的に説明する。
画像読取装置FSにてフィルム1の駒画像が読み取られて、その画像データが主制御装置45に入力されると、主制御装置45では、入力されてきた画像データに対して、画像データ補正装置45dにて上述の補正処理を実行させた後、補正後の画像データに基づいて写真プリントを作製したときに得られるであろう画像をシミュレート演算により求めてモニタ45aに表示する。
操作者は、モニタ45aに表示されたシミュレート画像を観察して、適宜露光条件の補正入力を操作卓45bから行う。
主制御装置45は、操作卓45bから補正入力があると、その指示に基づいて露光条件を補正演算して露光用の画像データを生成し、その画像データを露光制御装置42へ送る。
露光制御装置42は、印画紙2の搬送駆動と連動して、受け取った露光用の画像データに基づいて露光ヘッド41を駆動し、前記露光位置を搬送される印画紙2に対して潜像として画像を露光形成する。
露光ヘッド41にて露光処理された印画紙2は、現像処理装置43にて現像処理及び乾燥処理された後、排出コンベア44上に排出される。
【0048】
<第2実施形態>
次ぎに、本発明の第2実施形態を説明する。
本第2実施形態は、上記第1実施形態とは光センサPSであるCCDラインセンサユニット13の構成と、LED光源装置10による照明色の切換え制御とが異なり、それに伴って、スミアの補正処理も異なっている。
以下、上記第1実施形態の相違点を主体に説明する。以下で説明する部分以外の箇所は、上記第1実施形態と共通の構成である。
【0049】
本第2実施形態のCCDラインセンサユニット13の構成は、図7の模式図に示すように、赤色検出用のCCDラインセンサ20R,緑色検出用のCCDラインセンサ20G及び青色検出用のCCDラインセンサ20Bを設定間隔をおいて並べて配置する状態で一体に集積化したものであり、各CCDラインセンサ20R,20G,20Bは、夫々、約5000個の受光素子21をライン状に並べて配列した受光部LRと、その受光素子21の並びに沿って配置されて受光素子21夫々からの転送動作によって受け取った電荷を受光素子21の並び方向に転送出力する電荷転送部CTと、受光部LRと電荷転送部CTとの間に配置されて受光部LRから電荷転送部CTへの電荷転送動作を制御するシフトゲートSGとを主要部として構成されている。
各CCDラインセンサ20R,20G,20Bの受光面には、夫々、カラーフィルタが形成されて、フィルム1の駒画像を色分解して検出するように構成されている。
尚、上記カラーフィルタは、それの性質上、赤外光の透過率が高く、それを利用して、上記の3つのCCDラインセンサ20R,20G,20Bのうちの一つを赤外光の透過画像の検出に兼用している。本第2実施形態では、CCDラインセンサ20Gを赤外光の透過画像の検出にも兼用するものとして説明する。
【0050】
LED光源装置10については、それの構成自体は上記第1実施形態と全く変わるところはないが、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光を出射する発光ダイオードチップの点灯のさせ方が上記第1実施形態と異なる。
本第2実施形態では、CCDラインセンサユニット13が、青色,緑色及び赤色に同時に色分解して検出できるCCDラインセンサ20R,20G,20Bを備えていることから、青色光,緑色光及び赤色光を同時に照射して白色光の照明色としてフィルム1へ照射している。
但し、赤外光については、CCDラインセンサ20Gにおいて緑色光成分の検出信号と分離して検出するために、上記白色光の照射とは異なるタイミングで発光駆動している。
具体的には、赤外光及び白色光の各照明色を順次に繰り返して切換えている。
【0051】
〔画像データ補正装置45dによる補正処理〕
次ぎに、本第2実施形態における、画像データ補正装置45dによるスミアの補正処理について、1つの受光素子21の検出信号が1つの画像データ、すなわち、1画素のうちの1色分を生成するものとして説明する。
スミアの補正処理は、上記第1実施形態と同様に、照明光の照明色を電荷転送部CTからのデータの転送出力と同期して切換える関係上、単に前記追加転送動作によって得られた補正用データを各画像データから減算する処理を行うのではなく、スミアを発生させる光強度の電荷転送方向での分布を考慮して、受光素子21から電荷転送部CTへ正規の電荷転送を行う前に既に蓄積されている電荷の量の評価(上述の「既存電荷の評価」)と、受光素子21から電荷転送部CTへ正規に電荷転送を行った後の電荷転送部CTでの転送動作において新たに蓄積される電荷の量の評価(上述の「新規蓄積電荷の評価」)とを行って、補正量を算出する。
本第2実施形態におけるスミアの補正処理も、主制御装置45が画像データ補正装置45dとして実行する図6のフローチャートに基づいて実行されるが、各処理ステップの具体的な処理内容が上記第1実施形態と異なる。
以下、順を追って説明する。
【0052】
上記第1実施形態と同様に、上記のスミアを発生させる光強度の分布は、実際の画像データによって求めており、先ず、「既存電荷の評価」及び「新規蓄積電荷の評価」において、どのラインの画像データを利用するかを特定する(ステップ#1)。
本第2実施形態では、上述のように、電荷転送部CTからの1ライン分のデータ出力と同期してLED光源装置10による照明色を切換えており、これらのタイミングを図8のタイミングチャートに示す。
図8のタイミングチャートは、図4と対応させて図示しており、図8の最上段の「光源切換え」は、LED光源装置10の赤外光,青色光,緑色光及び赤色光の各発光ダイオードチップを発光駆動させるための点灯指示パルス信号で、赤外光−白色光(青色光,緑色光及び赤色光の同時点灯)に照明色を順次に切換えて1サイクルとし、このサイクルを繰り返す。
フィルム1の搬送方向である副走査方向では、この1サイクルで得られる各色(赤外光を含む)の出力信号から1画素分の各色のデータが得られることになる。但し、詳しくは後述するが、副走査方向に各CCDラインセンサ20R,20G,20Bが離間して配置されているので、同時にCCDラインセンサユニット13から出力される各色の出力信号が同じ画素のデータとはなっていない。
各パルス信号内の符号は、点灯を指示する対象の照明色を示しており、「IR」は赤外光、「WH」は白色光すなわち青色光,緑色光及び赤色光の同時照射を意味している。
図8の第2段目の「S/H」は、各受光素子21に蓄積された電荷を電荷転送部CTへ転送動作させるためのパルス信号で、このパルス信号の立ち下がりで各受光素子21の蓄積電荷が一斉に電荷転送部CTへ正規に転送される。この転送のタイミングは、各照明色での点灯開始のタイミングと一致している。
【0053】
図8の第3段目の「電荷蓄積」は、受光素子21から電荷転送部CTへ電荷を正規に転送してから、次ぎに正規の転送を行うまでの間隔を示しており、この間、照明光を受光して発生した電荷が受光素子21に蓄積される。各電荷蓄積期間には、そのときの照明色を示す符号に各サイクルを区別するための連続番号を付加して示している。
図8の第4段目の「電荷転送」は、電荷転送部CTにおいて電荷を転送出力するための転送クロックを示している。この種のCCDの一般的な使用態様として、電荷転送部CTでの電荷の転送と並行して、受光素子21での受光及び電荷蓄積が行われている。
図8の最下段の「データ出力」は、第4段目の転送クロックによって信号が転送出力される様子を示している。
図中で、「SWH1」等と表記しているのは、赤外光,白色光の照射下で受光素子21が検出した信号であることを夫々示す「SIR」,「SWH」に説明の便宜上各サイクルを区別するための連続番号を付加して示したものであり、又、これらに引き続く状態で出力される「AIR1」等の表記は、赤外光,白色光の照射下で電荷転送部CTを転送される前記追加転送動作による出力信号であることを夫々示す「AIR」,「AWH」に説明の便宜上各サイクルを区別するための連続番号を付加して示したものである。尚、「SIR1」等は出力期間を示しており、実際の信号は各受光素子21毎の検出信号が独立して時系列に出力される。白色光の照射下で検出した信号を「SWH1」あるいは「AWH1」等のように、まとめて表記しているが、前記追加転送動作による出力信号も含めて、青色,緑色及び赤色に色分解した状態で夫々独立に信号出力されるのは、上記のCCDラインセンサユニット13についての説明の通りである。
【0054】
図8に示すようなタイミングで動作している場合において、図8の最下段における「SWH1」の出力信号によって生成された青色成分,緑色成分及び赤色成分の3ライン分の画像データのうちの赤色成分の1ライン分の画像データに属する何れかの画像データを補正対象とする場合を例示して説明する。
このときには、上記「既存電荷の評価」に関しては、その補正対象の画像データを生成した電荷(「WH1」の電荷蓄積期間で蓄積された電荷)を受光素子21から電荷転送部CTへ正規に転送しようとするとき、電荷転送部CTの転送先の位置は、「WH1」の電荷蓄積期間中の照明色である白色照明下で転送されてきて、既に電荷(前記不正電荷)が蓄積された状態となっている。
補正対象の画像データが赤色成分の1ライン分の画像データであっても、照射されている照明色は白色光であるので、補正対象の画像データを生成した電荷がCCDラインセンサ20Rの受光素子21で蓄積されている間に、CCDラインセンサ20Rに照射されている赤色光はもちろんのこと、それ以外の青色光及び緑色光によるスミアの発生も考慮する。すなわち、青色光及び緑色光もCCDラインセンサ20Rの電荷転送部CTの遮光膜を透過してスミアの発生に寄与してしまうことを考慮している。
【0055】
このスミアを発生させる光強度の電荷転送方向での分布を考えるとき、赤色光の成分については、その時点でCCDラインセンサ20Rの受光素子21で検出中のデータである補正対象の画像データが属する1ライン分の画像データ(「SWH1」の赤色成分の出力信号によって得た画像データ)をそのまま利用するのが最も好ましい。
これに対して、青色光及び緑色光については、CCDラインセンサユニット13において、各CCDラインセンサ20R,20G,20Bは副走査方向(フィルム1の搬送方向)に数ライン程度の間隔をおいて配列されているので、各CCDラインセンサ20R,20G,20Bは画像上の異なる位置に対して検出作用しており、各CCDラインセンサ20R,20G,20Bから同じタイミングで出力される信号は、副走査方向でわずかに離れた位置(画像上の位置)についての検出信号を出力していることを考慮して選択する必要がある。
【0056】
従って、例えば、各CCDラインセンサ20R,20G,20Bが4ラインピッチで配列され、画像上の同じ位置の画像データをCCDラインセンサ20Rが最も先行して出力するようにフィルム1の搬送方向が設定されていると仮定すると、緑色成分の強度分布のためには「SWH5」(図8中では図示せず)の緑色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データを用いることが最も好ましく、又、青色成分の強度分布のためには「SWH9」(図8中では図示せず)の青色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データを用いることが最も好ましい。
従って、上記の条件下では、スミアを発生させる光強度の電荷転送方向での分布を求めるための1ライン分の画像データである先行ラインデータとして、本第2実施形態では、「SWH1」の赤色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データと、「SWH5」の緑色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データと、「SWH9」の青色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データとの3つを用いるように特定する。
【0057】
又、上記「既存電荷の評価」に関して、スミアの発生量を定量化するための補正用データである「先行補正用データ」として、「WH1」の電荷蓄積期間中の照明色である白色照明下でのスミアの発生量を検出するための「AWH1」の信号出力から得たデータを使用する。「AWH1」では各CCDラインセンサ20R,20G,20Bについての前記追加転送動作での信号が出力されるが、用いるのは当然に補正対象の画像データ(赤色成分)を生成した電荷を転送することになる電荷転送部CT(CCDラインセンサ20Rの電荷転送部CT)についてのものである。具体的な算出方法は、上記第1実施形態と同様であり、見かけ上複数画素分に相当するデータとして得たものの平均値を求めて、電荷転送部CTを転送始端から転送終端まで転送されたときに発生するスミアのデータ値である補正用データ(ここでは、先行補正用データ)とする。
【0058】
但し、上記第1実施形態と同様に、前記先行ラインデータや前記先行補正用データの特定については、必ずしも、上記に関係に限定されるものではなく、前記先行ラインデータに関しては、補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色(ここでは、白色光)について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データから補正の精度を考慮して選択しても良い。
すなわち、照明色さえ同じであれば、画像上の位置が補正対象の画像データの属するラインと若干位置ずれしても、画像データはそれほど極端に変化するものではないからである。
更に、同様の理由で、前記先行補正用データについても、補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色(ここでは、白色光)の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた補正用データの何れかを選択しても良い。もちろん、補正対象の画像データを生成した電荷を転送した電荷転送部CT(CCDラインセンサ20Rの電荷転送部CT)についての前記追加転送動作によるものである。
【0059】
次ぎに、上記「新規蓄積電荷の評価」については、その補正対象の画像データを生成した電荷を受光素子21から電荷転送部CTへ転送した後、電荷転送部CTにおいて転送しているとき、その転送は「IR2」の電荷蓄積期間中の照明色である赤外光照明下で行われ、その転送の過程でスミアを発生させる前記不正電荷が蓄積されていく。
そのような不正電荷を生成する光強度の分布を得るには、「IR2」の電荷蓄積期間においてCCDラインセンサ20Rの受光素子21上に結像されている画像上の位置(ライン)についての、「IR2」と同じ照明色(赤外光)での出力信号を用いることになる。
これは、上述のように、各CCDラインセンサ20R,20G,20Bが4ラインピッチで配列され、画像上の同じ位置の画像データをCCDラインセンサ20Rが最も先行して出力するようにフィルム1の搬送方向が設定されていると仮定すると、「IR2」の電荷蓄積期間においてCCDラインセンサ20Rの受光素子21上に結像されている画像上の位置(ライン)についての赤外光での出力信号は、「IR2」よりも4ライン分遅れた「IR6」(図8では不図示)の電荷蓄積期間でCCDラインセンサ20Gの受光素子21に蓄積される電荷によって生成され、それは、「SIR6」(図8では不図示)として出力される。
従って、この「SIR6」によって生成された1ライン分の画像データを、上記の光強度の分布を特定するための「後続ラインデータ」として使用するように特定する。
【0060】
又、上記「新規蓄積電荷の評価」に関して、スミアの発生量を定量化するための補正用データである「後続補正用データ」として、「IR2」の電荷蓄積期間中の照明色である赤外光照明下でのスミアの発生量を検出するための「AIR2」の信号出力から得たデータを使用する。ここでも、もちろん、補正対象の画像データを生成したCCDラインセンサ20Rについての前記追加転送動作によるものである。この「AIR2」では、見かけ上複数画素分に相当するデータを出力しており、それらの平均値を求めて、電荷転送部CTを転送始端から転送終端まで転送されたときに発生するスミアのデータ値である補正用データ(ここでは、後続補正用データ)とする。
【0061】
但し、前記後続ラインデータや前記後続補正用データの特定については、必ずしも、上記に関係に限定されるものではなく、前記後続ラインデータに関しては、補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色(ここでは、赤外光)について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データから、補正の精度を考慮して選択しても良い。
すなわち、照明色さえ同じであれば、画像上の位置が補正対象の画像データの属するラインと若干位置ずれしても、画像データはそれほど極端に変化するものではないからである。
更に、同様の理由で、前記後続補正用データについても、補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色(ここでは、赤外光)の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた補正用データから、補正の精度を考慮して選択しても良い。
【0062】
以上のようにして、前記先行ラインデータ及び先行補正用データ、並びに、前記後続ラインデータ及び後続補正用データに何れのデータを使用するかを特定すると、次ぎに、前記先行ラインデータに基づいて、受光素子21の並びに沿った前記不正電荷を生成させた光強度の分布を示す先行光量分布データを求め、更に、前記後続ラインデータに基づいて、受光素子21の並びに沿った前記不正電荷を生成させた光強度の分布を示す後続光量分布データを求める(ステップ#2)。
この先行光量分布データは、スミアを発生させる前記不正電荷の生成に実効的に寄与する光量分布であるが、本第2実施形態では、上記の事例において、基となる前記先行ラインデータとして、「SWH1」の赤色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データと、「SWH5」の緑色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データと、「SWH9」の青色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データとの3つを用いる。
すなわち、この事例においては、先行光量分布データ又は後続光量分布データのうちの白色光についての光量分布データは、先行光量分布データの方であるので、その先行光量分布データを、受光素子21のライン(CCDラインセンサ20R,20G,20B)が検出を担当する色成分に対応する先行ラインデータの他に、他の2色の色成分に対応する先行ラインデータをも含めた状態で算出する。尚、白色光による光量分布データが後続光量分布データである場合には、補正対象の画像データの色成分に対応する後続ラインデータの他に、他の2色の色成分に対応する後続ラインデータをも含めた状態で算出する。
【0063】
これら3つの1ライン分の画像データは、夫々均等に前記不正電荷の生成に寄与するのでなく、夫々寄与する割合が異なるものである。
そこで、この寄与する割合を予め実験により求めておき、その寄与の割合によって、スミアを発生させる前記不正電荷の生成に実効的に寄与する光量分布を求める。
この寄与の割合は、例えば、CCDラインセンサ20Rに対して、主走査方向に均等で且つ同じ光量の光を、青色,緑色及び赤色に順次に切換えて、夫々の照明色での前記追加転送動作でスミアの発生量を検出し、それらの比率を求めることで得られ、他のCCDラインセンサ20G及びCCDラインセンサ20Bについても同様に求める。
【0064】
例えば、CCDラインセンサ20Rについての上記の寄与の割合が、W:W:Wであったとして、「SWH1」の赤色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データを「Dr(i)」(iは、受光素子21の並び位置)、「SWH5」の緑色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データを「Dg(i)」(iは、受光素子21の並び位置)、「SWH9」の青色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データを「Db(i)」(iは、受光素子21の並び位置)とすると、前記先行光量分布データは、W×Dr(i)+W×Dg(i)+W×Db(i)で求まる。すなわち、各データ(Dr(i),Dg(i),Db(i))に色成分毎に設定した上記の寄与の割合を乗算したものを足し合わせて求めている。
この考え方は、前記後続ラインデータが、赤色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データ,緑色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データ及び青色成分の出力信号によって得た1ライン分の画像データにて構成される場合も同様である。
【0065】
補正対象の画像データが「SWH1」の出力信号によって生成されたうちの赤色成分の1ライン分の画像データに属する何れかの画像データである場合の事例では、前記後続ラインデータが「SIR6」によって生成された1ライン分の画像データのみであるので、前記後続ラインデータをそのまま後続光量分布データとして使用できる。これは、先行ラインデータが赤外光の照射下で生成された電荷による1ライン分の画像データのみであるときも同様である。
以上で、1ライン分の画像データの補正のために必要な情報が揃ったので、次ぎに、各画像データ毎の処理に移る。
【0066】
各画像データ毎の処理としては、先ず、上記「既存電荷の評価」に関して、前記先行補正用データと、前記先行光量分布データとに基づいて、受光素子21から電荷転送部CTに電荷を転送する際に、既に電荷転送部CTにおける転送先の位置に蓄積されていた電荷による既存信号成分を求める(ステップ#3)。
この既存信号成分は、前記先行光量分布データにおける総積算信号量に対する前記先行光量分布データにおける電荷転送部CTの転送始端側の端部位置から並び位置情報(補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置)で特定される位置までの積算信号量の割合と前記先行補正用データとによって求める。
図9(a)に例示する前記先行光量分布データによって具体的に説明すると、前記先行光量分布データが図9(a)の曲線W3で示す分布である場合において、前記先行補正用データは、電荷転送部CTの搬送始端から搬送終端まで、すなわち、曲線W3の全範囲の光を受けて発生したスミアの量を示している。
【0067】
補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置が「P」であるとき、その位置の受光素子21から電荷転送部CTへ電荷を転送するとき、転送先には、転送始端側の端部位置から「P」までの範囲の光を受けてスミアを発生させる前記不正電荷が発生していることになる。
従って、前記既存信号成分S3は、曲線W3の全範囲(転送始端位置から転送終端位置まで)の積分値DT3に対する斜線を付した部分の積分値PT3の割合に、前記先行補正用データのデータ値C3を乗算することによって求まる。
すなわち、S3=C3×PT3/DT3 となる。
計算上は、DT3は、前記先行光量分布データの1ライン分の全データの総和をとって、総積算信号量を求めれば良く、又、PT3は、前記先行光量分布データのうち、電荷転送部CTの転送始端側の端部位置から補正対象の画像データを生成した受光素子の並び位置「P」までのデータの総和をとって、その区間の積算信号量を求めれば良い。
【0068】
次ぎに、上記「新規蓄積電荷の評価」については、前記後続補正用データと、前記後続光量分布データとに基づいて、電荷転送部CTにおいて転送される過程で新たに蓄積される電荷による追加信号成分を求める(ステップ#4)。
この追加信号成分は、前記後続光量分布データにおける総積算信号量に対する前記後続光量分布データにおける受光素子21(補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置)の並び位置情報で特定される位置から電荷転送部CTの転送後端側の端部位置までの積算信号量の割合と前記後続補正用データとによって求める。
図9(b)に例示する前記後続光量分布データによって具体的に説明すると、前記後続光量分布データが図9(b)の曲線W4で示す分布である場合において、前記後続補正用データは、電荷転送部CTの搬送始端から搬送終端まで、すなわち、曲線W4の全範囲の光を受けて発生したスミアの量を示している。
【0069】
補正対象の画像データを生成した受光素子21の並び位置が「P」であるとき、その位置で受光素子21から正規に電荷を受け取った電荷転送部CTが、その電荷を転送するとき、位置「P」から転送終端位置までの範囲の光を受けてスミアを発生させる前記不正電荷が発生することになる。
従って、前記追加信号成分S4は、曲線W4の全範囲(転送始端位置から転送終端位置まで)の積分値DT4に対する斜線を付した部分の積分値PT4の割合に、前記後続補正用データのデータ値C4を乗算することによって求まる。
すなわち、S4=C4×PT4/DT4 となる。
計算上は、DT4は、前記後続光量分布データの1ライン分の全データの総和をとって、総積算信号量を求めれば良く、又、PT4は、前記後続光量分布データのうち、補正対象の画像データを生成した受光素子の並び位置「P」から電荷転送部CTの転送終端側の端部位置までのデータの総和をとって、その区間の積算信号量を求めれば良い。
【0070】
このようにして求めた、前記既存信号成分S3と前記追加信号成分S4とを、補正対象の画像データから減算することで、スミアのデータ成分を除去できる(ステップ#5)。
尚、以上の処理では、暗電流等により発生するオフセット成分を無視しているが、データ中にそのようなオフセット成分が存在するときは、適宜にそれらのオフセット成分を除去して計算する。
以上の処理を1ライン分の画像データの夫々について繰り返して(ステップ#6)、1ライン分の画像データの補正処理が完了すると、更に次ぎのラインの補正処理へ移行し(ステップ#7)、全ての色成分の全てのラインについてすなわち1つの画像全体について補正処理が完了すると処理を終了する。
【0071】
以上は、補正対象の画像データが、白色光の照明下において、CCDラインセンサ20Rにて生成された画像データのスミアを補正する場合を例示して説明しているが、それとは逆に、補正対象の画像データが、赤外光の照明下において、CCDラインセンサ20Gにて生成された画像データである場合に、図6のステップ#1における前記先行ラインデータ,前記後続ラインデータ、前記先行補正用データ及び前記後続補正用データの特定について、簡単に説明する。
図8の最下段における「SIR2」の出力信号によって生成された赤外光成分の1ライン分の画像データに属する何れかの画像データを補正対象とする場合を例示して説明する。
このときには、上記「既存電荷の評価」に関しては、その補正対象の画像データを生成した電荷(「IR2」の電荷蓄積期間で蓄積された電荷)を受光素子21から電荷転送部CTへ正規に転送しようとするとき、電荷転送部CTの転送先の位置は、「IR2」の電荷蓄積期間中の照明色である赤外光照明下で転送されてきて、既に電荷(前記不正電荷)が蓄積された状態となっている。
従って、前記先行ラインデータとしては、「IR2」の電荷蓄積期間中でCCDラインセンサ20Gの受光素子21にて検出している電荷による出力信号である「SIR2」によって生成された1ライン分の画像データを使用する。
又、上記「既存電荷の評価」に関して、スミアの発生量を定量化するための補正用データである「先行補正用データ」として、「IR2」の電荷蓄積期間中の照明色である赤外光照明下でのスミアの発生量を検出するための「AIR2」の信号出力から得たデータを使用する。用いるのは当然に補正対象の画像データ(赤色成分)を生成した電荷を転送することになる電荷転送部CT(CCDラインセンサ20Gの電荷転送部CT)についてのものである。
【0072】
次ぎに、上記「新規蓄積電荷の評価」については、その補正対象の画像データを生成した電荷を受光素子21から電荷転送部CTへ転送した後、電荷転送部CTにおいて転送しているとき、その転送は「WH2」の電荷蓄積期間中の照明色である白色光照明下で行われ、その転送の過程でスミアを発生させる前記不正電荷が蓄積されていく。
そのような不正電荷を生成する光強度の分布を得るには、「WH2」の電荷蓄積期間においてCCDラインセンサ20Gの受光素子21上に結像されている画像上の位置(ライン)についての光強度の分布を、青色光,緑色光及び赤色光の各成分夫々について考慮する必要があり、前記後続ラインデータも夫々の色成分について存在する。
フィルム1の搬送方向や、各CCDラインセンサ20R,20G,20Bの配列状態が上述の事例と共通であるとすると、問題とする画像上の位置(ライン)の画像データは、同じ画像位置のデータ出力が4ライン遅れる青色光については「SWH6」(図8では不図示)の青色信号成分により生成された1ライン分の画像データを前記後続ラインデータとして使用し、緑色光については赤外光と同じくCCDラインセンサ20Gで検出しているので「SWH2」の緑色信号成分により生成された1ライン分の画像データを前記後続ラインデータとして使用し、4ライン分先行する赤色光については、「SWH−2」(図8では不図示)の赤色信号成分により生成された1ライン分の画像データを前記後続ラインデータとして使用する。
【0073】
又、上記「新規蓄積電荷の評価」に関して、スミアの発生量を定量化するための補正用データである「後続補正用データ」として、「WH2」の電荷蓄積期間中の照明色である白色照明下でのスミアの発生量を検出するための「AWH2」の信号出力から得たデータを使用する。ここでも、もちろん、補正対象の画像データを生成したCCDラインセンサ20Gについての前記追加転送動作によるものである。
尚、前記先行ラインデータや前記先行補正用データ、更には、前記後続ラインデータや前記後続補正用データの特定については、同じ照明色であれば、画像上での位置が補正対象の画像データから多少ずれても良いのは上述の通りである。
【0074】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、画像読取装置FSの光源LSとして、発光ダイオードを備えて照明色を切換える場合を例示しているが、ハロゲンランプ等の白色光源からの出射光の光路中に各種のカラーフィルタを出退自在に配置して照明色を切換えるように構成する等、照明色を切換えるための構成は種々に変更可能である。
(2)上記実施の形態では、画像読取装置FSとしてフィルム1の画像を読取る場合を例示しているが、フラットベッドスキャナ等の各種の画像読取装置に本発明を適用できる。
(3)上記第1実施形態では、照明色を、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光に順次に繰り返して切換える場合を例示しているが、青色光,緑色光及び赤色光に順次に繰り返して切換えるように構成しても良い。
(4)上記第2実施形態は、CCDラインセンサ20Gによって本来の緑色光成分の検出と赤外光成分の検出とを行っているが、CCDラインセンサ20RあるいはCCDラインセンサ20Bに赤外光成分の検出を兼用させても良い。
(5)上記第2実施形態では、先行光量分布データ又は後続光量分布データのうちの白色光についての光量分布データを、受光素子21のラインが検出を担当する色成分に対応する先行ラインデータ又は後続ラインデータの他に、他の2色の色成分に対応する先行ラインデータ又は後続ラインデータをも含めて、それらのデータに色成分毎に設定した寄与の割合を乗算したものを足し合わせて求める場合を例示しているが、受光素子21のラインが検出を担当する色成分に対応する先行ラインデータ又は後続ラインデータだけを利用して先行光量分布データ又は後続光量分布データを求めるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態にかかる写真プリントシステムの概略ブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態にかかるLED光源装置の概略構成図
【図3】本発明の第1実施形態にかかる光センサの概略構成図
【図4】本発明の第1実施形態にかかるタイミングチャート
【図5】本発明の第1実施形態にかかる信号説明図
【図6】本発明の実施の形態にかかるフローチャート
【図7】本発明の第2実施形態にかかる光センサの概略構成図
【図8】本発明の第2実施形態にかかるタイミングチャート
【図9】本発明の第2実施形態にかかる信号説明図
【符号の説明】
【0076】
CT 電荷転送部
FS 画像読取装置
LR 受光部
LS 光源
PS 光センサ
21 受光素子
51 補正用データ演算部
52 補正処理演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子をライン状に並べて配列した受光部と前記受光素子夫々からの転送動作によって受け取った電荷を転送出力する電荷転送部とを有する光センサによって、光源からの照明光が照射される画像読取対象物の像を読取る画像読取装置から出力される画像データを補正するために、前記電荷転送部に蓄積される電荷のうちの、前記転送動作によって正規に前記受光素子から前記電荷転送部へ転送される電荷以外の不正電荷による信号成分を補正するための補正用データを求める補正用データ演算部と、前記補正用データにて各画像データを補正する補正処理演算部とが備えられ、
前記補正用データ演算部は、撮像のために有効な複数の受光素子に生成された電荷が前記電荷転送部へ転送された後、前記電荷転送部において前記複数の受光素子から受け取った電荷の転送動作に追加して実行される追加転送動作によって出力される信号により得られるデータにより前記補正用データを求めるように構成された画像読取装置用の画像データ補正装置であって、
前記画像読取装置の前記光源は、複数の照明色を順次に繰り返して切換えるように構成され、
前記電荷転送部は、前記受光素子の並びの1ライン分の検出信号を、前記照明色の切換えと同期して転送出力するように構成され、
前記補正処理演算部は、
補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データである先行ラインデータに基づいて、前記不正電荷を実効的に生成させた光強度の前記受光素子の並び方向に沿った分布を示す先行光量分布データを求めると共に、
補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色について出力され且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する前記同じ照明色での1ライン分の画像データである後続ラインデータに基づいて、前記不正電荷を実効的に生成させた光強度の前記受光素子の並び方向に沿った分布を示す後続光量分布データを求め、
補正対象の画像データに対応する前記受光素子の並び位置情報と、補正対象の画像データを生成した照明色と同じ照明色の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた前記補正用データである先行補正用データと、前記先行光量分布データとに基づいて、前記受光素子から前記電荷転送部に電荷を転送する際に、既に前記電荷転送部における転送先の位置に蓄積されていた電荷による既存信号成分を、前記先行光量分布データにおける総積算信号量に対する前記先行光量分布データにおける前記電荷転送部の転送始端側の端部位置から前記並び位置情報で特定される位置までの積算信号量の割合と前記先行補正用データとによって求め、
補正対象の画像データに対応する前記受光素子の並び位置情報と、補正対象の画像データを生成した電荷を前記電荷転送部にて転送しているときの照明色と同じ照明色の照明光の照射下で且つ画像上での位置が補正対象の画像データの近くに位置する1ラインにおける前記追加転送動作によって求められた前記補正用データである後続補正用データと、前記後続光量分布データとに基づいて、前記電荷転送部において転送される過程で新たに蓄積される電荷による追加信号成分を、前記後続光量分布データにおける総積算信号量に対する前記後続光量分布データにおける前記並び位置情報で特定される位置から前記電荷転送部の転送後端側の端部位置までの積算信号量の割合と前記後続補正用データとによって求め、
前記既存信号成分と前記追加信号成分とを足し合わせたデータによって、補正対象の画像データの補正するように構成されている画像読取装置用の画像データ補正装置。
【請求項2】
前記画像読取装置の前記光センサは、1ラインの受光素子の並びによって構成され、
前記画像読取装置の前記光源は、青色光,緑色光及び赤色光の各照明色、又は、赤外光,青色光,緑色光及び赤色光の各照明色を順次に繰り返して切換えるように構成されている請求項1記載の画像読取装置用の画像データ補正装置。
【請求項3】
前記画像読取装置の前記光センサは、夫々青色光成分,緑色光成分及び赤色光成分を検出する3ラインの受光素子の並びによって構成され、
前記3ラインの受光素子の並びうち、少なくとも1ラインの受光素子の並びは赤外光に対して感度を有するように構成され、
前記画像読取装置の前記光源は、赤外光及び白色光の各照明色を順次に繰り返して切換えるように構成されている請求項1記載の画像読取装置用の画像データ補正装置。
【請求項4】
前記補正演算処理部は、前記先行光量分布データ又は前記後続光量分布データのうちの前記白色光についての光量分布データを、前記受光素子のラインが検出を担当する色成分に対応する前記先行ラインデータ又は前記後続ラインデータの他に、他の2色の色成分に対応する前記先行ラインデータ又は前記後続ラインデータをも含めて、それらのデータに色成分毎に設定した寄与の割合を乗算したものを足し合わせて求めるように構成されている請求項3記載の画像読取装置用の画像データ補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−201553(P2007−201553A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14286(P2006−14286)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】